JP4617435B2 - 塗膜転写具 - Google Patents

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Description

本発明は、転写テープ基材の表面にコーティングされた修正用塗膜、接着用粘着剤、装飾用塗膜、マーカー用塗膜等を被転写面に転写する塗膜転写具に関する。
従来、塗膜転写具の転写ヘッドを保護する手段としてキャップ式が用いられてきたが、キャップ式のものは、取外し、取付けの際に手間が掛かる、取外したときに紛失しやすいといった問題があった。
転写ヘッドを保護するための他の手段としては、スライド式や繰出し式が提案されている(例えば、特許文献1、2、3を参照。)。
特許文献1の装置は、ケース本体に対して摺動可能な保護筒を具え、保護筒を転写ヘッドの先端方向へスライドさせることにより、転写ヘッドを覆って保護する機構を有する。
特許文献2の塗膜転写具は、転写ヘッド前端を露出させたケース本体の前端部に筒状の保護カバーが前後方向に摺動自在に設けられ、この保護カバーを回転させることにより、保護カバーに形成された螺旋溝にケース本体内部の突起が案内され、ケース先端から転写ヘッドの出し入れが行われる構成になっている。
また、特許文献3の塗膜転写具は、ケース本体と内部カセットと回動栓で構成され、回動栓を回転させることにより、回動栓の螺状突起がケース本体の後端部に設けられた螺状溝に螺合され、ケース本体内部で内部カセットが進退して転写ヘッドの出し入れが行われる構成になっている。
特開平10−119488号公報 特開2005−1850号公報 実用新案登録第3105968号公報
しかし、特許文献1のスライド式の転写装置の場合、転写ヘッドが保護筒内部に収納されている状態のときに、保護筒の係止が安定せずに転写ヘッドが露出することがあり、また、転写を行う際には、保護筒部分を押さえる力によって保護筒がスライドしてしまい、転写ヘッドが保護筒内部に隠れて正常な転写が行われないという不具合がある。
特許文献2の塗膜転写具の場合、転写ヘッドをケース先端から繰出し転写可能な状態を保持するために、まず保護カバーを回転させて第1係止溝から突起を脱出させ、次いで保護カバーを反対方向に回転させて螺旋溝に沿って突起を移動させ、さらに反対方向に回転させて突起を第2係止溝に進入させるという複雑な操作を行わなければならず、操作性が悪いという問題がある。また、転写ヘッドが保護カバー内部に収納されている状態のときに、ケース本体と保護カバーの接触距離が短くなるため、連結部が破損しやすくなるという不具合もある。
特許文献3の塗膜転写具では、交換カセットと回動栓の連結が鉤状構造であるため、カセット交換時に交換カセットの鉤状突起を変形させて回動栓の鉤状溝から取外す煩わしさがある。また、転写ヘッドがケース本体に収納された状態では回動栓の螺状突起が露出するため、外観形状の見栄えが悪いという問題がある。 また、従来の塗膜転写具の内部カセットは、装着方向が一方向に限定されているものが主流であり、内部カセットの交換作業が行い難いという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑み、転写ヘッドの出入れを容易に、且つ、確実に行うことができる塗膜転写具を提供することを目的とする。
本発明は、基材テープに塗膜がコーティングされた転写テープを繰出す繰出しリールと、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッドと、転写後の基材テープを巻取る巻取りリール及び両リールを連動させる連動機構とを具えた内部カセットがケースに収納された塗膜転写具において、
前記内部カセットを前記転写ヘッドの反突出方向へ付勢する弾性体と、前記ケ−スの前方又は後方から突出した前記内部カセットの繰出し筒とを有し、前記内部カセットは繰出し軸中心に対称に2箇所の突起を具え、前記繰出し筒の内周に前記突起を案内する螺旋カムと、前記突起を係止させる係止部が、繰出し軸中心に対称に2箇所の位置に設けられ、前記繰出し筒の180°の回転操作のみにより、前記突起が前記螺旋カムに沿って前進して前記ケース先端又は、前記繰出し筒先端から前記転写ヘッドが繰出され、前記弾性体の弾性反発力により前記突起が前記係止部に係止することにより転写可能な状態が保持されるとともに、前記繰出し筒のさらなる180°の回転操作のみにより、前記突起が前記係止部から脱出して前記転写可能な状態が解除され、前記突起が前記螺旋カムに沿って後退して前記転写ヘッドが前記ケース内部に収納されることを特徴とする塗膜転写具によって、前記の課題を解決した。

本発明によれば、ケース先端から転写ヘッドを繰出す操作と、ケース内に転写ヘッドを収納する操作が繰出し筒の回転のみでできるため、転写ヘッドの出入れを容易に行うことができる。
また、弾性体の弾性反発力によって、突起が螺旋カムの係止部に確実に係止するため、転写作業中にケース内に転写ヘッドが後退して転写作業が中断してしまうということがなく、転写作業を確実に行うことができる。また、塗膜転写具を使用しないときでも、弾性体の弾性反発力によって内部カセットが常に後方へ付勢されているので、ケース先端から転写ヘッドが露出することがない。
さらに、繰出し構造が外から見えないため、従来の繰出式の塗膜転写具と比べてデザイン性に優れる。
請求項2の発明によれば、内部カセットを交換してケースを再利用できるので、廃棄するプラスチックの量を削減することができる。
さらに請求項3の構成によれば、内部カセットの表と裏が逆でもケースに装着することができるため、内部カセットの交換作業が容易になる。
以下に、本発明の塗膜転写具の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、塗膜転写具10の分解斜視図であり、図2(a)は塗膜転写具10に用いられる内部カセット30の正面図及び図2(b)は内部カセット30の側面図である。
図1に示すように、この塗膜転写具10は、前後両端に開口部12及び13が設けられた中空のケース本体11a、ケース蓋体11b、ケース内に収納される内部カセット30、弾性体40及び内部カセット30の繰出し筒50からなる。図2に示すように、内部カセット30は、先端に転写ヘッド31を具え、後端部36には後述する螺旋カムに案内される突起37が2箇所に設けられている。なお、本明細書中では、ケース本体11aの係合部14がケース蓋体11bの係合部15と係合して一体になったものをケース11と呼ぶことにする。
図3(a)は、塗膜転写具10の転写ヘッド31がケース本体11aの先端開口部12から突出した状態、すなわち、使用時の状態を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)の上面図、図3(c)は図3(b)のc−c線断面図である。
図4(a)は、塗膜転写具10の転写ヘッド31がケース11内部に収められた状態、すなわち、使用しない状態を示す斜視図であり、図4(b)は図4(a)の上面図、図4(c)は図4(b)のc−c線断面図である。
図5(a)は繰出し筒50を正面から見た透視図、図5(b)は繰出し筒50の底面図、図5(c)は図5(b)のc−c線断面図であり、図5(d)は図5(b)のd−d線断面図である。なお、図5(c)及び図5(d)は、便宜上、図5(a)と上下の向きを揃えて示されている。図6はケース蓋体11bを中心で切った縦断面図である。
図3及び図4に示すように、内部カセット30は、基材テープに塗膜がコーティングされた転写テープ32を繰出す繰出しリール33と、塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッド31と、転写後の基材テープを巻取る巻取りリール34及び両リールを連動させる連動機構(図示せず。)とを具え、ケース本体11aの後端開口部13から装着される。
弾性体(ばね)40は、ケース本体11a内面の段部16と、内部カセット30に設けられた凸部35との間に嵌挿され、内部カセット30を後方(すなわち、転写ヘッド31の反突出方向)へ付勢している。この弾性反発力が、内部カセット後端部36を介して、繰出し筒50に設けられた係止部54又は螺旋カム53の端部55で受止められる構造になっている。
図5に示すように、繰出し筒50の端部にはフランジ51が、外周面には凸条52が設けられ、内周には内部カセット30後端部36に設けられた突起37を案内する螺旋カム53及び突起37を係止させる係止部54が設けられている。 本明細書中の「螺旋カム」とは、内部カセットの軸方向への位置調整手段である螺旋状のカムを意味する。従って、本明細書中の「螺旋カム」には、図5に示した螺旋カム面の他、螺旋溝も含まれる。
なお、螺旋カム53は中心軸に対称に2箇所設けられているが、図5では、二つのうちのひとつを省略して示している。
図3及び図4に示すように、繰出し筒50の繰出操作部56はケース蓋体11bの開口部17から常に突出し、繰出し筒50は、フランジ51と凸条52の間で開口部17に遊嵌され、周方向に回転する。図5に示すように繰出し筒50のフランジ51には突起57が2箇所設けられており、これらが図6に示すケース蓋体11bに設けられた回転止め18に当接し、繰出し筒50が180°以上回転しない構造になっている。
転写ヘッド31がケース11内に収められた状態では、内部カセット30の突起37は、繰出し筒50内部の螺旋カム53の端部55に当接している。この状態で繰出操作部56を回転させると、突起37が螺旋カム53のカム面に沿って移動することによって内部カセット30が前進し、転写ヘッド31がケース本体11aの先端開口部12から繰出される。突起37が螺旋カム53の端部55に当接している状態から繰出し筒50を180°回転させると、弾性体40の弾性反発力によって突起37が螺旋カム53の係止部54に係止し、転写可能な状態が保持される。
次に、繰出し筒50を上記と逆方向に回転させ、係止部54から突起37を脱出させると、転写可能な状態が解除され、弾性体40の弾性反発力によって突起37が螺旋カム53のカム面に沿って後退する。突起37が係止部54に係止している状態から繰出し筒50を180°回転させると、突起37が螺旋カム53の端部55に当接し、転写ヘッド31がケース11内に収納される。
なお、この第1実施形態では、ケース11後端で回転操作を行うよう構成したが、ケース11先端で回転操作を行う構成にしてもよい(第2実施形態)。
図7は第2実施形態の塗膜転写具の分解斜視図である。この塗膜転写具20では、繰出し筒50’の繰出操作部56’及び前端部58が、ケース本体11a’の先端開口部12’から常に突出し、繰出し筒50’は後端部59で開口部12’に遊嵌され、周方向に回転する。突起37’は内部カセット30’の前端に2箇所設けられており(図7では1箇所のみ示されている。)、突起37’を案内する螺旋カム53’及び係止部54’は、繰出し筒50’の後端部59の内周に設けられている。なお、螺旋カム53’は中心軸に対称に2箇所設けられているが、図7では、二つのうちのひとつを省略して示している。弾性体40は、ケース本体11a’内面の段部16’(図示せず。)と内部カセット30’に設けられた凸部35’との間に挿嵌され、内部カセット30’を後方へ付勢している。
第1実施形態では、転写ヘッド31をケース先端から繰出す操作とケース内部に収納する操作の繰出し筒50の回転方向を逆にしたが、以下のように、転写ヘッド31の出入れを同一方向の回転で行なうようにしてもよい。
突起37’が螺旋カム53’の端部55’(図示せず。)に当接している状態から繰出し筒50’を90°回転させると、転写ヘッド31が繰出し筒50’の前端部58から繰出され、弾性体40の弾性反発力によって突起37’が螺旋カム53’の係止部54’に係止し、転写可能な状態が保持される。さらに繰出し筒50’を同一方向に回転させ、係止部54’から突起37’を脱出させると、転写可能な状態が解除され、弾性体40の弾性反発力によって突起37’が螺旋カム53’のカム面に沿って移動し、転写ヘッド31がケース11内に収納される。
なお、以上の実施形態では、環境を考慮して内部カセット30、30’を交換可能にしてもよい。内部カセット30、30’を交換する場合には、ケース本体11a、11a’の係合部14とケース蓋体11bの係合部15の係合を解除して、ケース本体11開口部13、13’から内部カセット30、30’の取出し、装着を行う。
また、図2及び図7に示すように、内部カセット30、30’は、幅方向にほぼ対称形状であるから、ケース本体11a、11a’へ装着する際に、内部カセット30、30’の表と裏が逆でも装着することができる。従って、装着方向が一方向に限定された従来の内部カセットを用いる場合と比べて、カセット交換を速やかに行うことができる。
なお、実施形態1、2に示したケース本体11a、11a’、ケース蓋体11b、11b’、内部カセット30、30’、螺旋カム53、53’の形状は一例であり、上記に限定されない。
以上説明したように、本発明の塗膜転写具によれば、繰出操作部を回転させるだけで、転写ヘッドの出入れ操作を行うことができる。従って、使用者は、筆記具を用いる感覚で、転写ヘッドの出し入れを容易に、且つ、確実に行うことができる。
また、本発明の請求項2の発明によれば、内部カセットを交換してケースを再利用することができる。
また、請求項3の構成では、内部カセットの表と裏が逆でも装着することができるため、さらに使い勝手がよいものとなる。
本発明の塗膜転写具の第1実施形態の分解斜視図。 図2(a)は内部カセットの正面図、図2(b)は内部カセットの側面図。 図3(a)は、第1実施形態の転写ヘッドがケース本体先端部から突出した状態を示す斜視図、図3(b)は図3(a)の上面図、図3(c)は図3(b)のc−c線断面図。 図4(a)は、第1実施形態の転写ヘッドがケース本体内部に収められた状態を示す斜視図、図4(b)は図4(a)の上面図、図4(c)は図4(b)のc−c線断面図。 図5(a)は繰出し筒の正面図、図5(b)は繰出し筒の底面図、図5(c)は図5(b)のc−c線断面図、図5(d)は図5(b)のd−d線断面図。 ケース蓋体の縦断面図。 本発明の塗膜転写具の第2実施形態の分解斜視図。
符号の説明
10,20:塗膜転写具
11:ケース
30,30’:内部カセット
31:転写ヘッド
32:転写テープ
33:繰出しリール
34:巻取りリール
37,37’:突起
40:弾性体
50,50’:繰出し筒
53,53’:螺旋カム
54,54’:係止部

Claims (3)

  1. 基材テープに塗膜がコーティングされた転写テープを繰出す繰出しリールと、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッドと、転写後の基材テープを巻取る巻取りリール及び両リールを連動させる連動機構とを具えた内部カセットがケースに収納される塗膜転写具において、
    前記内部カセットを前記転写ヘッドの反突出方向へ付勢する弾性体と、前記ケ−スの前方又は後方から突出した前記内部カセットの繰出し筒とを有し、
    前記内部カセットは繰出し軸中心に対称に2箇所の突起を具え、前記繰出し筒の内周に前記突起を案内する螺旋カムと、前記突起を係止させる係止部が、繰出し軸中心に対称に2箇所の位置に設けられ、
    前記繰出し筒の180°の回転操作のみにより、前記突起が前記螺旋カムに沿って前進して前記ケース先端又は、前記繰出し筒先端から前記転写ヘッドが繰出され、前記弾性体の弾性反発力により前記突起が前記係止部に係止することにより転写可能な状態が保持されるとともに、前記繰出し筒のさらなる180°の回転操作のみにより、前記突起が前記係止部から脱出して前記転写可能な状態が解除され、前記突起が前記螺旋カムに沿って後退して前記転写ヘッドが前記ケース内部に収納されることを特徴とする、
    塗膜転写具。
  2. 前記内部カセットが交換可能である、請求項1の塗膜転写具。
  3. 前記内部カセットが幅方向にほぼ対称形状である、請求項2の塗膜転写具。
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