JP4617242B2 - 手摺 - Google Patents

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Description

本発明は、手摺に関する。
踊場の床面や階段の踏板などに設置される手摺が特許文献1などに開示されている。特許文献1に開示された手摺は、支持構造物である踏板に固定されるベースと、このベースに立設される支柱と、この支柱に支持される笠木とを備えて構成されている。支柱は、中空部を有する押出形材から構成されていて、中空部を形成する周壁には、その下端面から上端面に亘ってビスホールが形成されている。そして、ベースの上面に支柱の下端面を突き当てた状態で、ベースに形成された挿通孔にその下側からボルトやタッピンねじ等の雄ねじ部品のねじ部を挿入するとともに、支柱のビスホールに雄ねじ部品のねじ部を螺入することで、ベースと支柱とが接合される。
特開2004−162518号公報(図1,図5)
ところで、特許文献1の手摺においては、ビスホールの孔壁の一部を欠損させて中空部に連通させていることから、ビスホールの配置は、中空部の形状等に左右されることになる。したがって、例えば、支柱の曲げ剛性を増大させるべく周壁を肉厚にして中空部の断面積を小さくすると、隣り合うビスホール同士が近接することになる。ところが、隣り合うビスホール同士を近接させると、支柱の下端部に作用するモーメントに対する抵抗力を増大させることができない。つまり、特許文献1の手摺においては、支柱の曲げ剛性を増大させても、ベースとの接合部分における曲げ剛性を増大させることができない場合がある。
このような観点から、本発明は、ベースと支柱との接合部分における曲げ剛性が高い手摺を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された本発明は、支持構造物に固定されるベースと、当該ベースに立設される支柱と、当該支柱に支持される笠木と、前記ベースと前記支柱とを接合する接合用雄ねじ部品と、を備える手摺であって、前記支柱は、その全長に亘って中空部が形成された押出形材からなり、前記中空部を形成する周壁には、その下端面から上端面に亘って、断面円形の貫通孔が形成されており、前記接合用雄ねじ部品のねじ部は、前記ベースの下側から前記貫通孔に螺入されていることを特徴とする。
支持構造物とは、手摺に作用する荷重を支持することが可能な構造物であって、踊場や渡り廊下における床材や梁材、階段の踏板などの総称である。
本発明に係る手摺によれば、支柱に形成した貫通孔を中空部に連通させずに、中空部から独立させたので、貫通孔の配置が中空部の形状等に影響され難くなる。したがって、例えば、支柱の曲げ剛性を増大させるべく、周壁を肉厚にして中空部の断面積を小さくしても、隣り合う貫通孔(接合用雄ねじ部品)同士を近接させる必要はなく、その結果、ベースと支柱との接合部分における曲げ剛性が高いものとなる。
本発明に係る手摺は、前記ベースを前記支持構造物に固定するための固定用雄ねじ部品を備えている。前記固定用雄ねじ部品のねじ部は、鉛直線に対して傾斜した状態で前記支持構造物に螺入する。このようにすると、固定用雄ねじ部品のねじ部の長さに比して支持構造物の厚さ(桁高)が小さい場合であっても、固定用雄ねじ部品のねじ部の先端が支持構造物から突出することがない。しかも、本発明では、前記笠木の長手方向に沿う方向を前後方向としたときに、前記支柱の左右両側に前記固定用雄ねじ部品を配置するとともに、左右に隣り合う二つの前記固定用雄ネジ部品を、前記笠木の中心線を含む鉛直面(第一鉛直面)と垂直に交差する鉛直面(第二鉛直面)内において逆ハ字状に配置し、前記固定用雄ねじ部品のねじ部、前記第二鉛直面内において鉛直線に対して傾斜させている。このような手摺は、これを押し倒すような力に対して高い抵抗力を発揮する
なお、前記ベースに、前記固定用雄ねじ部品のねじ部が挿通される挿通孔であって、鉛直線に対して傾斜する挿通孔を形成しておけば、簡単かつ確実に、固定用雄ねじ部品のねじ部を、鉛直線に対して傾斜した状態で支持構造物に螺入することが可能となる。
また、前記ベースが、前記支持構造物との当接面に対して傾斜する傾斜面を有する場合には、前記挿通孔を前記傾斜面の法線方向に沿って形成し、前記当接面と前記傾斜面とに開口させるとよい。このようにすると、固定用雄ねじ部品のねじ部を傾斜させた場合であっても、頭部の座面の全体が傾斜面に当接することになるので、ベースをしっかりと支持構造物に固定することが可能となる。
本発明では、前記固定用雄ねじ部品のねじ部の先端、前記ベースの直下に位置させている。このようにすると、支持構造物の幅がベースより狭い場合であっても、固定用雄ねじ部品を確実に支持構造物に定着させることができる。
本発明によれば、ベースと支柱との接合部分における曲げ剛性が高い手摺を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下においては、笠木30の長手方向に沿う方向を「前後方向」とする。
本実施形態に係る手摺Tは、図1に示すように、支持構造物Sに固定されるベース10と、このベース10に立設される支柱20と、この支柱20に支持される笠木30と、隣り合う支柱20,20間に配置されるパネル40とを備えており、さらに、図2の(a)および(b)に示すように、ベース10と支柱20とを接合する接合用雄ねじ部品50と、ベース10を支持構造物Sに固定するための固定用雄ねじ部品60とを備えている。支持構造物Sは、梁材S1と、この梁材S1の上面に載置されたスペーサS2とからなる。
なお、図1に示した手摺Tは、四つのベース10,10,…と、四つの支柱20,20,…と、上下二つの笠木30,30とを備えるものであるが、部材の個数を限定する趣旨ではなく、設置部分の状況に応じて変更しても差し支えない。
ベース10は、支持構造物Sと支柱20との間に介設されるものであり、図3に示すように、本実施形態では、平面視矩形(正方形)を呈するアルミニウム合金製の板状部材からなる。より詳細に、ベース10は、支持構造物Sの表面(上面)に当接する当接面11(図4の(a)および(b)参照)と、支柱20が載置される載置面12と、当接面11に対して傾斜する傾斜面13,13とを備えている。ベース10の中央部には、複数の透孔14,14,…が形成されており、ベース10の角部には、複数の透孔14,14,…を取り囲むように複数の挿通孔15,15が形成されている。
載置面12は、本実施形態においては、ベース10の上面の中央部(図3中、点線で囲んだ領域)に形成されており、支柱20の下端面に当接する。なお、本実施形態においては、載置面12は、水平かつ平坦に成形されている。
傾斜面13は、本実施形態においては、ベース10の上面であって載置面12の左右両側に形成されている。傾斜面13は、載置面12側(中央部側)から側端部(右端部又は左端部)に向かって一様な勾配で下向きに傾斜している。
透孔14は、図4の(a)に示すように、載置面12の法線(すなわち、鉛直線)に沿って形成されており、当接面11と載置面12とに開口している。透孔14には、接合用雄ねじ部品50が挿通される。なお、透孔14の下部は、接合用雄ねじ部品50の頭部51を収容できるように、拡径されている。
図4の(b)は、笠木30の中心線を含む鉛直面と垂直に交差する鉛直面P(図1参照)でベース10を切断したときの切断面を示す図(すなわち、図2の(b)のX5−X5線断面図)であるが、この図に示すように、挿通孔15は、傾斜面13の法線nに沿って形成されており、鉛直面P内(すなわち、図4の(b)の断面内)において鉛直線に対して傾斜している。挿通孔15には、固定用雄ねじ部品60のねじ部62が挿通される。なお、挿通孔15は、当接面11と傾斜面13とに開口している。
ベース10を支持構造物Sに固定するには、ベース10の挿通孔15に、その上側から固定用雄ねじ部品60のねじ部62を挿通したうえで、図示せぬ締付工具で頭部61を回転させてねじ部62を支持構造物Sに螺入すればよい。
図3に示す支柱20は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。押出形材の断面中心部には、その全長に亘って断面略矩形を呈する中空部21が形成されている。中空部21は、押出形材の押出方向に沿って形成されていて、その上端および下端が開口している。
中空部21を形成する周壁22は、図5に示すように、その外形が断面略長方形を呈していて、その短辺側に配置された厚肉部22aと、長辺に沿って配置された薄肉部22bとを備えている。厚肉部22aは、薄肉部22bよりも肉厚に成形されている。周壁22には、その下端面から上端面に亘って、貫通孔23と切欠き24とが形成されており、さらに、周壁22の前後の側面には、凹部25が形成されている。中空部21、貫通孔23、切欠き24、凹部25は、押出形材の押出方向に沿って形成されていて、押出成形する際に形成される。
貫通孔23は、断面円形を呈していて、中空部21から独立している。貫通孔23は、厚肉部22aの端部に形成されている。すなわち、貫通孔23は、周壁22の四隅の各々に形成されている。なお、図4の(a)に示すように、貫通孔23,23,…の配置は、ベース10の透孔14,14,…の配置に対応していて、ベース10の載置面12に支柱20を載置すると、透孔14と貫通孔23とが連通する。
図5に示す切欠き24は、断面略V字形状を呈していて、中空部21に連通している。切欠き24は、厚肉部22aの中央部に形成されていて、反対側の切欠き24と中空部21を挟んで対向している。切欠き24の最深部は、円形に成形されている。
二つの凹部25,25は、押出形材の押出方向に沿って形成されており、中空部21を挟んで対向している。
支柱20をベース10に接合するには、図4の(a)に示すように、支柱20の下端面をベース10の載置面12に当接させたうえで、ベース10の透孔14に接合用雄ねじ部品50のねじ部52を挿通し、図示せぬ締付工具で頭部51を回転させてねじ部52を貫通孔23の下端部に螺入すればよい。なお、支柱20は、その断面の長辺が左右方向に沿うようにベース10の載置面12に載置する(図2の(b)参照)。
図2の(a)に示すように、上段の笠木30は、支柱20の上端の斜め上方に配置されていて、上ブラケット31を介して支柱20に支持されている。上ブラケット31は、図3に示すように、支柱20の中空部21に上方から挿入される脚部31aと、中空部21に脚部31aを挿入したときに支柱20の上面を塞ぐ塞ぎ部31bと、この塞ぎ部31bの上面から斜め上方に立ち上がる柱部31cと、この柱部31cの頂部に形成され、上段の笠木30(図2の(a)参照)の下面に当接する受部31dとを備えて構成されている。上ブラケット31を支柱20に接合するには、脚部31aを支柱20の中空部21に挿入したうえで、塞ぎ部31bに形成した透孔にタッピンねじを挿入し、支柱20の切欠き24(図5参照)の円形部分に螺入すればよい。また、上ブラケット31を笠木30に接合するには、受部31dの上面を笠木30の下面に当接させたうえで、受部31dに形成した透孔にタッピンねじを挿入し、笠木30に螺入すればよい。
下段の笠木30は、図2の(a)に示すように、支柱20の上下方向の中間部の側方に配置されていて、下ブラケット32を介して支柱20に支持されている。下ブラケット32は、支柱20の側面に接合される基部32aと、この基部32aの側面から斜め上方に張り出す枝部32bと、この枝部32bの先端部に形成され、笠木30の下面に当接する受部32cを備えて構成されている。下ブラケット32を支柱20に接合するには、基部32aを支柱20の側面に当接させたうえで、基部32aに形成した透孔にタッピンねじを挿入し、支柱20に螺入すればよい。また、下ブラケット32を笠木30に接合するには、受部32cの上面を笠木30の下面に当接させたうえで、受部32cに形成した透孔にタッピンねじを挿入し、笠木30に螺入すればよい。
なお、笠木30は、木製のものに限られるものではなく、金属製(例えば、アルミニウム合金製、ステンレス鋼製など)や合成樹脂製のものであってもよいし、材質の異なる複数の部材を組み合わせたものでもよい。
パネル40は、透光性を有する素材(例えば、アクリル樹脂など)で形成された板状の部材であり、図6に示すように、パネルブラケット41を介して支柱20に支持されている。パネルブラケット41は、支柱20の凹部25に係合する凸部を有する係合部41aと、この係合部41aの側面から張り出す張出部41bと、この張出部41bの先端部に形成され、パネル40の一面に当接する保持部41cを備えて構成されている。パネルブラケット41を支柱20に接合するには、係合部41aを支柱20の側面に当接させたうえで、係合部41aに形成した透孔にタッピンねじを挿入し、支柱20の周壁22に螺入すればよい。また、パネルブラケット41にパネル40を保持させるには、保持部41cをパネル40の一面に当接させたうえで、パネル40の他面側に配した押え部材42の雄ねじを、パネル40に形成した透孔に挿通し、保持部41cに形成した雌ねじに螺合すればよい。
図3に示す接合用雄ねじ部品50は、本実施形態では、ステンレス製の六角穴付きボルトからなる。接合用雄ねじ部品50のねじ部52は、ベース10の下側から支柱20の貫通孔23に螺入される(図4の(a)参照)。なお、接合用雄ねじ部品50の緩みを防止するために、ベース10の透孔14には、緩み止剤が充填される。
固定用雄ねじ部品60は、本実施形態では、ステンレス製のコーチスクリューからなる。図4の(b)に示すように、固定用雄ねじ部品60のねじ部62は、ベース10の上側から挿通孔15に挿入され、鉛直線に対して傾斜した状態で支持構造物Sに螺入される。本実施形態における傾斜角度は10°である。なお、本実施形態においては、固定用雄ねじ部品60のガイドとなるベース10の挿通孔15が、図1に示す鉛直面P内(すなわち、図4の(b)の断面内)において鉛直線に対して傾斜しているので、固定用雄ねじ部品60のねじ部62も、鉛直面P内において鉛直線に対して傾斜し、さらに、傾斜面13の法線nに沿う方向に挿通孔15を形成するとともに、その上端を傾斜面13に開口させたので、固定用雄ねじ部品60を締め付けたときに、頭部61の座面の全体が傾斜面13に当接する。また、本実施形態においては、ベース10の挿通孔15が、側端部に向かって下向きに傾斜する傾斜面13の法線nに沿って形成されているので、固定用雄ねじ部品60のねじ部62の先端は、ベース10の直下に位置することになる。すなわち、本実施形態においては、鉛直面P(図1参照)内に配置される二つの固定用雄ねじ部品60,60が、逆ハ字状に配置されることになる。
図3に示すカバー70は、ベース10と固定用雄ねじ部品60の頭部61を覆い隠すものであり、合成樹脂製の箱状部材からなる。カバー70の上面の中央部には、支柱20を挿通するための開口部71が形成されている。
以上説明した本実施形態に係る手摺Tによれば、支柱20に形成した貫通孔23を中空部21に連通させずに、中空部21から独立させたので、貫通孔23の配置が中空部21の形状等に影響され難くなる。したがって、例えば、支柱20の曲げ剛性を増大させるべく、周壁22を肉厚にして中空部21の断面積を小さくしても、隣り合う貫通孔23,23(接合用雄ねじ部品60,60)同士を近接させる必要はなく、その結果、ベース10と支柱20との接合部分における曲げ剛性が高いものとなる。
また、固定用雄ねじ部品60のねじ部62を鉛直線に対して傾斜させたので、ねじ部62の長さに比して支持構造物Sの厚さ(桁高)が小さい場合であっても、ねじ部62の先端が支持構造物Sから突出することがない。逆を言えば、支持構造物Sの厚さ(桁高)が小さい場合であっても、固定用雄ねじ部品60の定着長(支持構造物Sに螺入されているねじ部62の長さ)を大きく取ることが可能となるので、固定用雄ねじ部品60の引抜耐力が増大し、ひいては、手摺Tの曲げ耐力も増大する。なお、固定用雄ねじ部品60の傾斜角度が5°を下回ると、固定用雄ねじ部品60を鉛直に配置した場合との差異が小さくなり、傾斜角度が20°を上回ると、支持構造物Sへの螺入作業が困難になるとともに、鉛直面P(図1参照)内に配置される固定用雄ねじ部品60,60の先端同士が接触・干渉する虞があるので、固定用雄ねじ部品60の傾斜角度は、鉛直線に対して5°〜20°の範囲にあることが望ましい。
しかも、本実施形態においては、ベース10の挿通孔15を所定の方向に傾斜させているので、固定用雄ねじ部品60のねじ部62を、簡単かつ確実に、鉛直線に対して傾斜した状態で支持構造物Sに螺入することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、ベース10の挿通孔15を傾斜面13の法線nに沿う方向に形成するとともに、その上端を傾斜面13に開口させたので、固定用雄ねじ部品60の頭部61の座面の全体が傾斜面13に当接する。つまり、本実施形態に係る手摺Tによれば、テーパーワッシャ等を使用しなくとも、ベース10をしっかりと支持構造物Sに固定することが可能となる。
また、固定用雄ねじ部品60のねじ部62を、笠木30を含む鉛直面と垂直に交差する鉛直面P(図1参照)内において鉛直線に対して傾斜させたので、手摺Tを左右方向に押し倒すような力に対して高い抵抗力を発揮する。すなわち、手摺Tを左右方向に押し倒そうとすると、鉛直面P内にある二つの固定用雄ねじ部品60の一方には、鉛直上向きの引張力Fが作用することになるが、固定用雄ねじ部品60が傾斜しているので、当該引張力Fは、固定用雄ねじ部品60の軸方向に作用する引抜力と軸直角方向に作用するせん断力とに分散されることになる。つまり、固定用雄ねじ部品60が鉛直方向に配置されている場合には、固定用雄ねじ部品60に作用する引抜力(軸方向に作用する力)は、鉛直上向きの引張力Fと等しくなるが、固定用雄ねじ部品60が傾斜角度θで傾斜している場合には、固定用雄ねじ部品60に作用する引抜力は、引張力F×cosθとなり、鉛直方向に配置した場合よりも小さくなる。
また、左右方向に隣り合う固定用雄ねじ部品60,60を逆ハ字状に配置すると、ねじ部62の先端がベース10の直下に位置することになるので、支持構造物Sの幅がベース10よりも狭いような場合においても、固定用雄ねじ部品60を確実に支持構造物Sに定着させることができる。
なお、図示した手摺Tの構成は、適宜変更しても差し支えない。例えば、前記した実施形態では、一つのベース10に一つの支柱20を立設した場合を例示したが(図1参照)、これに限定されることはなく、図示は省略するが、一つのベース10に二つ以上の支柱20を立設してもよい。また、前記した実施形態においては、矩形形状を呈するベース10を例示したが、これに限定されることはなく、多角形状、円形、楕円形などを呈するものであっても差し支えない。同様に、前記した実施形態においては、断面矩形を呈する支柱20を例示したが、これに限定されることはなく、断面多角形、断面円形、断面楕円形を呈するものであっても差し支えない。
前記した実施形態においては、ベース10の挿通孔15を、載置面12側から側端部に向かって下向きに傾斜する傾斜面13の法線nに沿う方向に形成した場合を例示した図4の(b)参照)。なお、図7の(a)は、参考実施形態を示すものである。図7の(a)に示すように、支持構造物Sがベース10よりも幅広である場合には、側端部に向かって上向きに傾斜する傾斜面13の法線nに沿う方向に形成してもよい。このようにすると、鉛直面P(図1参照)内に配置される二つの固定用雄ねじ部品60,60がハ字状に配置されることになるので、ねじ部62の長さに比して支持構造物Sの厚さ(桁高)が小さい場合であっても、ねじ部62の先端が支持構造物Sから突出することがない。
前記した実施形態においては、ベース10の載置面12と傾斜面13とをなだらかに連ねた場合を例示したが(図3参照)、これに限定されることはなく、例えば、図7の(b)に示すように、ベース10の上面に設けた凹部16の底面を載置面としてもよい。このようにすると、支柱20の位置決めが容易になるとともに、凹部16の側壁によって支柱20の下端部の回転が規制されることになるので、ベース10と支柱20との接合部分における曲げ剛性がより一層高いものとなる。
前記した実施形態においては、ベース10の傾斜面13が一様な勾配で傾斜する場合を例示したが、これに限定されることはなく、例えば、図8に示すように、勾配が途中で変化するものであっても差し支えない。すなわち、ベース10の上面であって載置面12の左右両側の各々に、傾斜角度の異なる複数(図8においては二つ)の傾斜面13,13を形成しても差し支えない。図8においては、載置面12側(中央部側)にある傾斜面13(以下、「第一の傾斜面13A」という。)よりも、側端部(右端部又は左端部)にある傾斜面13(以下、「第二の傾斜面13B」という。)のほうが、急勾配になっている。なお、挿通孔15は、第一の傾斜面13Aに開口させる場合には、第一の傾斜面13Aの法線に沿って形成し、第二の傾斜面13Bに開口させる場合には、第二の傾斜面13Bの法線に沿って形成するとよい。このように、傾斜角度の異なる複数の傾斜面13A,13Bを形成しておけば、支柱20の取付条件(支持構造物Sの寸法や取付強度など)に応じて挿通孔15の傾斜角度(すなわち、固定用雄ねじ部品60の傾斜角度)を変更する場合に、容易に対応することが可能となる。
前記した実施形態においては、支持構造物Sの上面にベース10を固定する場合を例示したが(図2の(a)参照)、参考実施形態としては、図示は省略するが、支持構造物の下面にベースを固定しても差し支えない。このような場合には、ベースの下面に傾斜面を形成し、固定用雄ねじ部品のねじ部をベースの下側から支持構造物に螺入すればよい。なお、固定用雄ねじ部品のねじ部を鉛直線に対して傾斜させて、ねじ部の先端をベースの直上に位置させれば、支持構造物の幅がベースよりも狭いような場合においても、固定用雄ねじ部品を確実に支持構造物に定着させることができる。
また、本実施形態においては、手摺Tが踊場の縁部に設置されている場合を例示したが、本発明に係る手摺の設置場所を限定する趣旨ではない。図示は省略するが、本発明に係る手摺は、ベランダ、渡り廊下、階段などにも適用することが可能である。
本発明に係る手摺を示す斜視図である。 (a)は本発明に係る手摺を示す断面図、(b)は(a)に示すX1−X1線における断面図である。 本発明に係る手摺の分解斜視図である。 (a)は図2の(b)に示すX4−X4線における断面図、(b)は同じくX5−X5線における断面図である。 図2の(a)に示すX3−X3線における端面図である。 図2の(a)に示すX2−X2線における断面図である。 (a)は参考実施形態に係るベースを示す断面図、(b)は本発明の実施形 態に係る手摺におけるベースの変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る手摺におけるベースの他の変形例を示す断面図である。
符号の説明
T 手摺
10 ベース
11 当接面
13 傾斜面
15 挿通孔
20 支柱
21 中空部
22 周壁
23 貫通孔
30 笠木
50 接合用雄ねじ部品
60 固定用雄ねじ部品
S 支持構造物

Claims (3)

  1. 支持構造物に固定されるベースと、当該ベースに立設される支柱と、当該支柱に支持される笠木と、前記ベースと前記支柱とを接合する接合用雄ねじ部品と、前記ベースを前記支持構造物に固定するための固定用雄ねじ部品と、を備える手摺であって、
    前記支柱は、その全長に亘って中空部が形成された押出形材からなり、
    前記中空部を形成する周壁には、その下端面から上端面に亘って、断面円形の貫通孔が形成されており、
    前記接合用雄ねじ部品のねじ部は、前記ベースの下側から前記貫通孔に螺入されており、
    前記笠木の長手方向に沿う方向を前後方向としたときに、前記支柱の左右両側に前記固定用雄ねじ部品が配置されており、
    左右に隣り合う二つの前記固定用雄ねじ部品は、前記笠木の中心線を含む第一鉛直面と垂直に交差する第二鉛直面内において逆ハ字状に配置されており、
    前記固定用雄ねじ部品のねじ部が、前記第二鉛直面内において鉛直線に対して傾斜した状態で前記支持構造物に螺入されており、
    前記各固定用雄ねじ部品のねじ部の先端が前記ベースの直下に位置していることを特徴とする手摺。
  2. 前記ベースには、鉛直線に対して傾斜する挿通孔が形成されており、当該挿通孔に前記固定用雄ねじ部品のねじ部が挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の手摺。
  3. 前記ベースは、前記支持構造物との当接面に対して傾斜する傾斜面を有し、
    前記挿通孔は、前記傾斜面の法線方向に沿って形成されており、かつ、前記当接面と前記傾斜面とに開口していることを特徴とする請求項に記載の手摺。
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