JP4616296B2 - 酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子、該遺伝子を修飾して育種された酢酸菌、及び該酢酸菌を用いた食酢の製造方法 - Google Patents

酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子、該遺伝子を修飾して育種された酢酸菌、及び該酢酸菌を用いた食酢の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子に関し、さらにクオラムセンシングシステム関与する遺伝子がコードする一つ又は二つ以上のタンパク質の機能を低下ないしは欠損させて、より高い酢酸濃度でも増殖能力や酢酸生産能が低下せずに酢酸発酵を行える性能(以下、酢酸発酵能と称する場合もある)を増強させた酢酸菌、該酢酸菌を用いた食酢の製造方法、及び該製造方法により製造される食酢に関する。
酢酸菌は食酢製造に広く利用されている微生物であり、特にアセトバクター属及びグルコンアセトバクター属に属する酢酸菌が工業的な酢酸発酵に利用されている。
酢酸発酵では、培地中のエタノールが酢酸菌によって酸化されて酢酸に変換され、その結果、酢酸が培地中に蓄積することになるが、酢酸は酢酸菌にとっても阻害的であり、酢酸の蓄積量が増大して培地中の酢酸濃度が高くなるにつれて酢酸菌の増殖能力や酢酸生産能は次第に低下する。
そのため、より高い酢酸濃度でも増殖能力や酢酸生産能が低下せずに酢酸発酵を行うことができる酢酸菌、すなわち、より優れた酢酸発酵能を有する酢酸菌を開発することが求められている。
このような酢酸発酵能の優れた酢酸菌を開発する試みとして、例えばアセトバクター属の酢酸菌を変異させて酢酸感受性にした株を元に回復させることのできる酢酸菌由来のクラスターを形成する3つの遺伝子(aarA、aarB、aarC)を増幅した形質転換株(例えば、特許文献1参照)、酢酸菌からクローニングされた膜結合型アルデヒド脱水素酵素(ALDH)をコードする遺伝子を酢酸菌に導入した例(例えば、特許文献2参照)、酢酸菌由来のアコニターゼ遺伝子を過剰発現させた例(例えば、特許文献3参照)など多くが開示されている。
しかし、いずれも十分な酢酸発酵能を付与することには成功していないのが現状であり、高濃度の酢酸を含有する食酢をより効率良く生産できる酢酸発酵能が増強された酢酸菌の取得が望まれていた。
一方、近年、多くの細菌で細胞密度に依存して特定の遺伝子の転写が制御される細胞間情報伝達機構の存在が明らかになっている。この情報伝達機構はクオラムセンシングシステム(quorum sensing system)(集団密度感知制御系)とよばれ、生物発光、菌体外酵素の生産、病原性の発現、バイオフィルムの形成、抗生物質生産など、様々な機能の発現制御に関わっている。
なお、ビブリオ・フィッシェリ(Vibrio fischeri)等の多くのグラム陰性細菌で見出されているクオラムセンシングシステムには2つのタンパク質が関与している(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、細胞間の情報伝達物質であるアシルホモセリンラクトンを合成するアシルホモセリンラクトン合成酵素、アシルホモセリンラクトンの受容体であり転写因子としても機能するアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子である。菌体内でアシルホモセリンラクトン合成酵素によって生産されたアシルホモセリンラクトンは、菌体内外に拡散する。そして、その濃度の増加に伴い、菌体内でアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子と複合体を形成し、遺伝子の転写を制御する。
クオラムセンシングシステムは上記のような重要な機能を有しているにも関わらず、酢酸菌におけるクオラムセンシングシステムの解析は全く行なわれておらず、その存在及び機能は不明であった。また、従来、クオラムセンシングシステムが酢酸発酵能に関与するということは全く知られていなかった。
特開平3−219878号公報 特開平2−2364号公報 特開2003−289867号公報 バイオサイエンスとインダストリー、60巻、4号、219〜224頁、2002年
本発明は、酢酸発酵能に関与する遺伝子を取得し、該遺伝子がコードするタンパク質の機能を低下ないし欠損させることによる酢酸菌の酢酸発酵能を向上させる方法、さらに、該方法により酢酸発酵能が向上した酢酸菌を用いることによる高濃度の酢酸を含有する食酢をより効率良く製造する方法、及び該製造方法により製造される食酢を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、酢酸菌にクオラムセンシングシステムが存在するかどうか不明の状況にあったが、クオラムセンシングシステムに関与する遺伝子に注目した。そこで、従来から知られているクオラムセンシングシステム遺伝子のゲノムサザンやその配列情報に基づいて作製した縮重プライマーを用いたPCR法などによって、酢酸菌のクオラムセンシングシステム遺伝子を取得しようと多くの実験を行ったが、成功しなかった。(クローニング後に、酢酸菌のクオラムセンシングシステム遺伝子の配列解析をして、はじめて、相同性が低いことが成功しなかった原因であることが判明した。)そこで、レポーター株を指標にクオラムセンシングシステム遺伝子をクローニングする方法について検討することにした。レポーター株を用いたアッセイにおいては、ショットガンクローニングで作製したライブラリーについて、数千コロニーについて試行したが、どのレポーター株でもうまくいく訳ではなく、最初クオラムセンシングシステム遺伝子のクローニングに成功しなかった。数種類目のレポーター株として、アグロバクテリウム・チュメファシエンス NTL4(pZLR4)株を選択したアッセイにおいて、ショットガンクローニングで作製したライブラリーについて、数千コロニーについて試行してようやく酢酸菌のクオラムセンシングシステム遺伝子のクローニングに成功した。このようにして酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する2つのタンパク質をコードする遺伝子、すなわち、アシルホモセリンラクトン合成酵素とアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子を酢酸菌において初めて見出した。そして、これらのアシルホモセリンラクトン合成酵素とアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子を修飾して、これらのタンパク質の機能を低下ないし欠損させることによって、意外にも酢酸菌の酢酸発酵能が顕著に増強されることを確認し、さらに、このようにして酢酸発酵能が顕著に増強された酢酸菌を用いて酢酸発酵を行うことによって、高濃度の酢酸を含有する食酢をより効率良く製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質。
(A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質
(2)以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質をコードするDNA。
(A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質
(3)以下の(A)、(B)又は(C)に示されるDNA。
(A)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列からなるDNA
(B)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA
(C)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA
(4)以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質。
(A)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質
(5)以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質をコードするDNA。
(A)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質
(6)以下の(A)、(B)又は(C)に示されるDNA。
(A)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列からなるDNA
(B)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA
(C)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA
(7)酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与するアシルホモセリンラクトン合成酵素の遺伝子がコードする請求項1に記載のタンパク質、及び/又は、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子の遺伝子がコードする請求項4に記載のタンパク質の機能を低下ないしは欠損させることを特徴とする酢酸発酵能が増強した酢酸菌の生産方法。
(8)上記(7)に記載の酢酸発酵能が増強した酢酸菌の生産方法により酢酸発酵能が増強されたことを特徴とする酢酸菌。
(9)上記(8)に記載の酢酸菌を、アルコールを含む培地で培養して該培地中に酢酸を生成蓄積せしめることを特徴とする食酢の製造方法。
本発明によれば、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子並びに該遺伝子がコードするタンパク質が提供される。より具体的には、酢酸菌のアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子と該酵素タンパク質、及びアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子と該転写因子タンパク質などが提供される。また、該遺伝子がコードするタンパク質の機能を低下ないし欠損させることによる酢酸菌の酢酸発酵能を顕著に増強させる方法が提供される。さらに、酢酸発酵能を顕著に増加させて高濃度の酢酸を含有する食酢をより効率的に製造する方法が提供され、また該製造方法によって製造された高濃度の酢酸を含有する食酢が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のタンパク質としては、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードするタンパク質である。具体的には、配列表の配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列表の配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質があげられ、さらに配列表の配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質に関する。
さらに、本発明のタンパク質としては、配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質があげられ、さらに配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質に関する。
ここで、アシルホモセリンラクトン合成酵素とはアシルホモセリンラクトンの生合成を触媒するタンパク質であり、本発明において「アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質」とは、配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の有するアシルホモセリンラクトン合成酵素活性の20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上の酵素活性を有するタンパク質をいう。また、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子とはアシルホモセリンラクトンと複合体を形成することによって、遺伝子の転写を制御することができる機能を有するタンパク質であり、本発明において「アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質」とは、配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の有する各種遺伝子の転写を制御することができる機能の20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上の機能を有するタンパク質をいう。
本発明のタンパク質の取得・調製方法は特に限定されず、天然由来のタンパク質でも、化学合成したタンパク質でも、遺伝子組換え技術により作製した組み換えタンパク質の何れでもよい。天然由来のタンパク質を取得する場合には、かかるタンパク質を発現している細胞からタンパク質の単離・精製方法を適宜組み合わせて本発明のタンパク質を取得することができる。
化学合成により本発明のタンパク質を調製する場合には、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法に従って本発明のタンパク質を合成することができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して本発明のタンパク質を合成することもできる。
また、遺伝子組換え技術により本発明のタンパク質を調製する場合には、該タンパク質をコードする塩基配列からなるDNAを好適な発現系に導入することにより本発明のタンパク質を調製することができる。これらの中でも、比較的容易な操作でかつ大量に調製することが可能な遺伝子組換え技術による調製が好ましい。
なお、遺伝子組換え技術によって本発明のタンパク質を調製する場合に、かかるタンパク質を細胞培養物から回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出を行った後、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法が用いられ、好ましくは、高速液体クロマトグラフィーが用いられる。
特に、アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、本発明のタンパク質に対するモノクローナル抗体等の抗体を結合させたカラムや、上記本発明のタンパク質に通常のペプチドタグを付加した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結合したカラムを用いることにより、これらのタンパク質の精製物を得ることができる。
さらに、配列表の配列番号2(図3)あるいは配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質、又は、配列表の配列番号2(図3)あるいは配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列と85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列表の配列番号2(図3)あるいは配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列の一例を示した配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適宜調製又は取得することができる。
例えば、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプライマーに用いるポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR反応)によって、あるいは該塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるハイブリダイゼーションによって、アセトバクター属やグルコンアセトバクター属に属する酢酸菌、あるいはそれら以外の酢酸菌より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。このホモログDNAの全長DNAをクローニング後、発現ベクターに組み込み適当な宿主で発現させることにより、該ホモログDNAによりコードされるタンパク質を製造することができる。
オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、市販されている種々のDNA合成機を用いて定法に従って合成できる。また、PCR反応は、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社製のサーマルサイクラーGene Amp PCR System 2400を用い、TaqDNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)やKOD-Plus-(東洋紡績社製)などを使用して、定法に従って行うことができる。
さらに、上記本発明のタンパク質とマーカータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させて融合タンパク質とすることもできる。マーカータンパク質としては、従来知られているマーカータンパク質であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリフォスファターゼ、HRP等の酵素、抗体のFc領域、GFP等の蛍光物質などを具体的に挙げることができ、またペプチドタグとしては、HA、FLAG、Myc等のエピトープタグや、GST、マルトース結合タンパク質、ビオチン化ペプチド、オリゴヒスチジン等の親和性タグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。かかる融合タンパク質は、常法により作製することができ、Ni−NTAとHisタグの親和性を利用した本発明のタンパク質の精製や、本発明のタンパク質の検出や、本発明のタンパク質に対する抗体の定量や、その他当該分野の研究用試薬としても有用である。
また、本発明のDNAとしては、配列表の配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号2(図3)に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列からなるDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列の一部から作製したプライマー対又はプローブとしての機能を有する塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAなどがあげられる。
さらに本発明のDNAは、配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加とされたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列からなるDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列の一部から作製したプライマー対又はプローブとしての機能を有する塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNAなどがあげられる。
このように、本発明のアシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質やアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNAは、コードされるタンパク質の機能が損なわれない限り、1又は複数の位置で1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたタンパク質をコードするものであってもよい。
このようなアシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質やアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAは、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸を欠失、置換、挿入又は付加し、あるいは逆位として塩基配列を改変することによっても取得することができる。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている突然変異処理によっても取得することができる。さらに、一般的にタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列は、種間、株間、変異体、変種間でわずかに異なることが知られているので、実質的に同一のタンパク質をコードするDNAは、酢酸菌全般、中でもアセトバクター属やグルコンアセトバクター属の種、株、変異体、変種から得ることが可能である。
上記「1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列を意味する。また、上記「1若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列」とは、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意の数の塩基が置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列を意味する。
例えば、これら1若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなるDNA(変異DNA)は、上記のように、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法により作製することもできる。具体的には、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNAに対し、変異原となる薬剤を接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的な手法等を用いて、これらDNAに変異を導入することにより、変異DNAを取得することができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989)やカレントプロトコールズ・イン・モレキュラーバイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley & Sons (1987-1997))等に記載の方法に準じて行うことができる。この変異DNAを適切な発現系を用いて発現させることにより、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を得ることができる。
上記「配列表の配列番号2(図3)又は配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列」とは、配列表の配列番号2(図3)又は配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列との相同性が85%以上であれば特に制限されるものではなく、例えば、85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上であることを意味する。
上記「ストリジェントな条件下」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、具体的には、50%以上、好ましくは70%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である65℃、1×SSC、0.1%SDS、又は0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件を挙げることができる。
また、上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、DNA又はRNAなどの核酸をプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989)等に記載されている方法に準じて行うことができる。例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げることができ、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するDNAを好適に例示することができる。
本発明のDNAの取得方法や調製方法は特に限定されるものでなく、本明細書中に開示した配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列情報又は配列表の配列番号2(図3)や配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列情報に基づいて適当なブローブやプライマーを調製し、それらを用いて当該DNAが存在することが予測されるcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより目的のDNAを単離したり、常法に従って化学合成により調製することができる。
例えば、アセトバクター属やグルコンアセトバクター属に属する酢酸菌から、常法に従ってcDNAライブラリーを調製し、次いで、このライブラリーから、本発明の遺伝子DNAに特有の適当なプローブを用いて所望クローンを選抜することにより、本発明の遺伝子DNAを取得することができる。また、これらの酢酸菌からの全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実施することができる。本発明の遺伝子DNAをcDNAライブラリーからスクリーニングする方法は、例えば、モレキュラークローニング第2版に記載の方法等、当業者により常用される方法を挙げることができる。
具体的には、本発明のDNAは、グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051(Gluconacetobacter intermedius NCI1051)株の染色体DNAから次のようにして取得することができる。
染色体DNAは、常法(例えば、特開昭60−9489号公報参照)に開示された方法により取得できる。得られた染色体DNAから、アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子を単離するために、染色体DNAライブラリーを作製する。まず、染色体DNAを適当な制限酵素で部分分解して種々のDNA断片混合物を得る。切断反応時間などを調節して切断の程度を調節すれば、幅広い種類の制限酵素が使用できる。例えばPstIを温度30℃以上、好ましくは37℃、酵素濃度1〜10ユニット/mlで様々な時間(1分〜2時間)、染色体DNAに作用させてこれを消化する。
次いで、切断された染色体DNAを、大腸菌内で自立複製可能、かつ抗生物質耐性マーカー遺伝子を有するベクターDNAに連結し、組換えDNAを作製する。
具体的には、染色体DNAの切断に用いた制限酵素PstIを温度37℃、酵素濃度1〜100ユニット/mlの条件下で、1時間以上ベクターDNAに作用させてこれを完全消化し、切断開裂する。次いで、染色体DNA断片混合物を切断開裂されたベクターDNAを混合し、これにT4DNAリガーゼを温度4〜16℃、酵素濃度1〜100ユニット/mlの条件下で1時間以上、好ましくは6〜24時間作用させて組換えDNAを得る。
得られた組換えDNAを用いて、大腸菌を形質転換する。形質転換株はベクターに含まれる抗生物質耐性遺伝子に対応する抗生物質を添加したLB寒天培地で選択する。上記選択培地で生育した抗生物質耐性の形質転換株を10の3乗個〜5乗個得る。これを染色体DNAライブラリーとして使用する。
この染色体DNAライブラリーから、以下の方法でアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子を有する断片を持つ株を選択する。具体的にはアシルホモセリンラクトン存在下で色素を生産するレポーター株(例えば、ジャーナル・オブ・マイクロバイオロジカルメソッズ(Journal of Microbiological Methods)、44巻、239〜251頁、2001年参照)を植菌した培地に、染色体DNAライブラリーの株を植菌し、その後、レポーター株の色素生産を誘導した株を選択すればよい。このようにして選択した株からプラスミドを回収することでアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子が得られる。
また、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子は多くの場合、アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子と隣接して存在することから、以下の方法でアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子を取得することが可能である。
すなわち、上記のようにして得られたアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の前後の塩基配列を決定し、DDBJ/EMBL/GenbankおよびSWISS−PROT/PIRによるホモロジー検索やNCBIのドメイン検索(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/structure/cdd/cdd.shtml)を使用したモチーフ検索を行なうことにより、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子を取得することができる。なお、アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の前後の配列が短い場合には、この配列をもとにしてプローブを作製し、ハイブリダイゼーションによって、前後の配列を取得すればよい。
また本発明のDNAは、その塩基配列が明らかとなったので、例えば、鋳型として酢酸菌グルコンアセトバクター・インターメディウスのゲノムDNAを用い、該塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプライマーに用いるポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR反応)によって、または該塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるハイブリダイゼーションによっても得ることができる。なお、染色体DNAは、常法(例えば、特開昭60−9489号公報)に開示された方法により取得できる。
オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、市販されている種々のDNA合成機を用いて常法に従って合成できる。また、PCR反応は、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社製のサーマルサイクラーGene Amp PCR System 2400を用い、TaqDNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)やKOD-Plus-(東洋紡績社製)などを使用して常法に従って行なうことができる。
本発明のDNAは、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されるように塩基配列を改変することによって取得され得る。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている突然変異処理によっても取得することができる。
また、一般的にタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列は、種間、株間、変異体、変種間でわずかに異なることが知られているので、実質的に同一のタンパク質をコードするDNAは、酢酸菌全般、中でもアセトバクター属やグルコンアセトバクター属の種、株、変異体、変種から得ることが可能である。
具体的には、アセトバクター属やグルコンアセトバクター属の酢酸菌、又は変異処理したアセトバクター属やグルコンアセトバクター属の酢酸菌、これらの自然変異株若しくは変種から、例えば配列表の配列番号1(図2)に記載の塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268、もしくは849〜1559からなる塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、アシルホモセリンラクトン合成酵素やアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子の機能を有するタンパク質をコードするDNAを単離することによっても、該タンパク質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得られる。
また、上記配列表の配列番号2(図3)もしくは配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、酢酸存在下での増殖促進機能を有するタンパク質をコードするDNAや、配列表の配列番号2(図3)又は配列表の配列番号3(図4)に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質もしくはアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNAなどからなる本発明の変異遺伝子又は相同遺伝子としては、配列表の配列番号1(図2)に示される塩基配列又はその一部を有するDNA断片を利用し、他の酢酸菌等から、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。その他、前述の変異DNAの作製方法により調製することもできる。
例えば、アセトバクター属やグルコンアセトバクター属の酢酸菌、又は変異処理したアセトバクター属やグルコンアセトバクター属の酢酸菌、これらの自然変異株若しくは変種から、例えば配列表の配列番号1に示される塩基配列、又はその一部から作製したプローブと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、アシルホモセリンラクトン合成酵素やアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子の機能を有するタンパク質をコードするDNAを単離することによっても、該タンパク質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得ることができる。
本発明の酢酸菌には特に制限はなく、例えば、アルコール酸化能を有するアセトバクター属(Acetobacter)やグルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)などの細菌があげられるが、本発明の酢酸菌は上記の如くクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードするタンパク質の機能が低下ないしは欠損するように改変されたことを特徴とするものであり、以下のものが例示される。
すなわち、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)に属する酢酸菌としては、例えば、グルコンアセトバクター・インターメディウス(Gluconacetobacter intermedius)、グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)、グルコンアセトバクター・ヨーロパエウス(Gluconacetobacter europaeus)、グルコンアセトバクター・ジアゾトロフィカス(Gluconacetobacter diazotrophicus)、グルコンアセトバクター・エンタニイ(Gluconacetobacter entanii)などがあげられ、さらに具体的には、グルコンアセトバクター・キシリヌス IFO3288(Gluconacetobacter xylinus IFO3288)、グルコンアセトバクター・ヨーロパエウス DSM6160(Gluconacetobacter europaeus DSM6160)株、グルコンアセトバクター・ジアゾトロフィカス ATCC49037(Gluconacetobacter diazotrophicus ATCC49037)株、アセトバクター・アルトアセチゲネス MH−24(Acetobacter altoacetigenes MH-24)株、グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051(Gluconacetobacter intermedius NCI1051)(FERM BP−10767)株などがあげられる。
また、アセトバクター属(Acetobacter)に属する酢酸菌としては、例えば、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)があげられ、さらに具体的には、アセトバクター・アセチ No.1023(Acetobacter aceti No.1023)株、アセトバクター・アセチ IFO3283(Acetobacter aceti IFO3283)株などがあげられる。
本発明の酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードする一つ又は二つ以上のタンパク質の機能を低下ないしは欠損させる酢酸菌の酢酸発酵能が増強した酢酸菌の生産方法としては、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子の発現や、該遺伝子がコードするタンパク質の活性が阻害を受けるような物質を培地中に添加して培養する方法などを挙げることができる。このような物質の一つとしては、DHCP(4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン)などの抗菌物質があげられ、該抗菌物質を適当量添加して培養することにより酢酸発酵能が増強した酢酸菌を得ることができる。
また、本発明の酢酸発酵能が増強した酢酸菌の生産方法として、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子を修飾して、機能を低下ないし欠損させる方法も有効である。また、これらの遺伝子の発現を制御するように当該遺伝子の発現に関与する遺伝子部分に突然変異を誘導することも有効である。なお、遺伝子を修飾する方法としては、物理的処理や化学的変異剤を用いて当該遺伝子に突然変異を誘導する方法が有効であり、これらの突然変異を誘導する方法としては、従来、酢酸菌で実施されてきた方法が有効である。例えば、酢酸菌を紫外線照射またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、突然変異を誘発させる方法があげられる。
このようにして突然変異によりアシルホモセリンラクトン合成酵素の機能が低下、又は欠損した株は、アシルホモセリンラクトンの生産が低下、又は停止する。また、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子はアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の転写を活性化することから、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子の機能が低下、又は欠損した株においても、アシルホモセリンラクトンの生産が低下、又は停止する。
このことから、突然変異を誘導した酢酸菌から目的とする酢酸菌を選択するには、アシルホモセリンラクトンの生産が低下、又は停止した株を選択すればよい。例えば、バイオアッセイなどにより、アシルホモセリンラクトンを検出する方法が利用できる。具体的にはアシルホモセリンラクトン存在下で色素を生産するレポーター株(例えば、ジャーナル・オブ・マイクロバイオロジカルメソッズ(Journal of Microbiological Methods)、44巻、239〜251頁、2001年参照)を植菌した培地に、突然変異株を植菌し、培養する。そして、レポーター株の色素生産量を確認し、野生株と比較して、色素生産を誘導しない突然変異株、即ちアシルホモセリンラクトンの生産が低下又は停止した突然変異株を選択すればよい。
なお、酢酸菌は自然に変異を起こしやすい細菌として知られていることから、自然界から、上記酵素の発現や機能に自然に変異をおこした遺伝子を有する酢酸菌を分離することによっても酢酸発酵能が増強した酢酸菌を得ることができる。このような自然変異株の分離は、上記の突然変異株と同様にして、アシルホモセリンラクトンの生産を検出する方法を利用して実施することができる。
また、既にこれらの遺伝子が取得され、塩基配列も明らかとなっているので、これらの遺伝子を組換えることによって変異を導入した遺伝子を元の酢酸菌中に導入し、相同組換えなどを利用して元の酢酸菌の当該遺伝子の機能を低下ないし欠損させることにより、本発明の酢酸発酵能が増強した酢酸菌を生産することができる。例えば、アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の部分配列を欠失させる、又は、該遺伝子の内部に薬剤耐性遺伝子を挿入するなどして正常に機能するアシルホモセリンラクトン合成酵素を産生しないように修飾した遺伝子を含むDNAで酢酸菌を形質転換し、染色体上の正常な遺伝子との間で相同組換えを起こさせることにより、染色体上の該遺伝子を破壊することなどの方法が有効である。同様に、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子遺伝子が破壊され、酢酸発酵能が増強した酢酸菌を得ることもできる。
1つの菌株において本発明のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードするタンパク質のうち1つの機能を低下ないしは欠損させることもできるし、2つ以上のタンパク質の機能を低下ないしは欠損させることもできる。2つ以上の発現を抑える場合には、まず、上記の突然変異や相同組換えなどを利用して、クオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードするタンパク質のうち1つの機能を低下ないし欠損させた株(一重欠損株と呼ぶ)を作製する。そして、クオラムセンシングシステムに関与する2つめの遺伝子の内部に薬剤耐性遺伝子を挿入するなどして正常に機能するアシルホモセリンラクトン合成酵素を産生しないように修飾した遺伝子を含むDNAで一重欠損株を形質転換し、染色体上の正常な遺伝子との間で相同組換えを起こさせることにより、染色体上の該遺伝子を破壊することなどの方法が有効である。なお、一重欠損株を作製する際に薬剤耐性遺伝子を使用している場合には、形質転換体を効率よく選択するため、別の薬剤耐性遺伝子を使用すればよい。
なお、酢酸菌の形質転換は、塩化カルシュウム法(例えば、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)、49巻、2091頁、1985年参照)やエレクトロポレーション法(例えば、バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci. Biotech. Biochem.)、58巻、974頁、1994年参照)等によって行うことができる。
このようにして、アルコール酸化能を有するアセトバクター属(Acetobacter)やグルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)の酢酸菌において、上記のようにしてクオラムセンシングシステムの機能を低下ないしは欠損させて正常に機能しないように改変することにより、酢酸発酵能を向上させることができる。
その他、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードする一つ又は二つ以上のタンパク質の機能を低下ないしは欠損させて、酢酸菌の酢酸発酵能を増強する方法としては、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子の発現や、該遺伝子がコードするタンパク質の活性が阻害を受けるような物理的条件下で、該酢酸菌を培養する方法があり、このような条件としては、例えば比較的低温度で培養することなどが挙げられる。
本発明の食酢の製造方法は、酢酸菌のクオラムセンシングシステムの機能を低下ないしは欠損させて正常に機能しないようにして、アルコールを含有する培地で培養して該培地中に酢酸を生成蓄積せしめること以外は、従来公知の方法が採用される。すなわち、クオラムセンシングシステムの機能を低下ないしは欠損させて正常に機能しないようにした酢酸菌の培養は、基本的には酢酸発酵が可能な条件で行えば良く、具体的には、従来の酢酸菌の発酵法による食酢の製造法と同様にして行えば良い。
また、アルコールを含有する培地としては酢酸発酵に使用する培地であれば良く、エタノールなどのアルコール成分の他、炭素源、窒素源、無機物等を含有し、必要があれば使用菌株が生育に要求する栄養源を適当量含有するものを用いることができる。培地は、合成培地でも天然培地でも良い。炭素源としては、グルコースやシュークロースをはじめとする各種炭水化物、各種有機酸が挙げられる。窒素源としては、ペプトン、発酵菌体分解物などの天然窒素源を用いることができる。
また、培養条件は、静置培養法、振盪培養法、通気攪拌培養法等の好気的条件下で行ない、培養温度は25〜35℃、通常30℃とする。培地のpHは、通常は2.5〜7の範囲であり、2.7〜6.5の範囲が好ましく、各種酸、各種塩基、緩衝液等によって調製することができる。通常1〜21日間培養することによって、培地中に高濃度の酢酸が蓄積する。
このような本発明の食酢の製造方法により、高酸度の食酢をより効率良く製造することができる。本発明はまた、アシルホモセリンラクトンの含量が減少した、本発明の食酢の製造方法により得られる食酢に関する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが,本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[酢酸菌株由来のアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の取得]
酢酸菌のアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子を単離するため、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地中央第6)に受託番号 FERM BP−10767としてブダペスト条約に基づき寄託されているグルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051(Gluconacetobacter intermedius NCI1051)株(以下、野生株と称する場合もある)を用い、この野生株の染色体DNAライブラリーを作製した。
染色体DNAは、GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(Amersham Biosciences製)を用いて抽出した。得られた染色体DNAを制限酵素Pst I(タカラバイオ製)で37℃、1時間処理した。
次いで、切断した染色体DNA断片を、pUC19に連結し、組換えDNAを作製した。
具体的には、染色体DNAの切断に用いた制限酵素Pst Iを37℃、1時間以上ベクターDNAに作用させてこれを完全消化し、切断開裂する。次いで、染色体DNA断片混合物と切断開裂されたpUC19を混合し、これにT4DNAリガーゼを16℃、6時間作用させて組換えDNAを得た。
得られた組換えDNAを用いて、大腸菌JM109(Escherichia coli JM109)株にエレクトロポレーション法(例えば、バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci.Biotech.Biochem.)、58巻、974頁、1994年参照)によって形質転換した。
形質転換株は100μg/mlの抗生物質を添加したLB寒天培地で選択する。上記選択培地で生育したアンピシリン耐性の形質転換株を染色体DNAライブラリーとして使用した。
このライブラリーから、以下の方法でアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子を有する断片を選択した。具体的には、アシルホモセリンラクトン存在下で色素を生産するレポーター株であるアグロバクテリウム・チュメファシエンス NTL4(pZLR4)(Agrobacterium tumefaciens NTL4(pZLR4))株(例えば、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、185巻、19号、5665〜5672頁参照)を植菌した50μg/mlのX−Galを含むLB寒天培地に、レポーター株と隣接するように染色体ライブラリーの株を植菌した。30℃で2日間培養し、レポーター株の色素生産を誘導した株を選択した。このようにして選択した株からプラスミドを回収し、塩基配列を決定した。その結果、図2及び配列表の配列番号1の塩基番号1〜2333に相当する塩基配列が決定された。
その結果、ビブリオ・フィッシェリ(Vibrio fischeri)のアシルホモセリンラクトン合成酵素とわずかに21.2%の相同性を有するタンパク質(以下、Orf1と称する場合もある)をコードするORF(以下、orf1と称する場合もある)(図2及び配列表の配列番号1の塩基番号1639〜2268)を含むDNA断片を取得した。
[アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の破壊株の作製]
実施例1で取得したorf1の塩基配列に基づいて、プライマー1(図5及び配列表の配列番号4参照)及びプライマー2(図6及び配列表の配列番号5参照)を合成し、グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051株の染色体DNAを鋳型にして、PCR法によりorf1の上流配列と5’側配列を増幅し、該増幅産物を制限酵素EcoR IとKpn I(タカラバイオ製)で処理してDNA断片(DNA断片1)を調製した。
同様にして、プライマー3(図7及び配列表の配列番号6参照)及びプライマー4(図8及び配列表の配列番号7参照)を合成し、グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051株の染色体DNAを鋳型にして、PCR法によりorf1の構造遺伝子の3’側配列と構造遺伝子の下流配列を増幅し、該増幅産物を制限酵素Hind III(タカラバイオ製)で処理してDNA断片(DNA断片2)を調製した。
また、大腸菌トランスポゾンTn5を鋳型にして、プライマー5(図9及び配列表の配列番号8参照)及びプライマー6(図10及び配列表の配列番号9)を使用して、PCR法によりカナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片を増幅し、該増幅産物を制限酵素Sma I(タカラバイオ製)で処理してDNA断片(DNA断片3)を調製した。
染色体DNAはGenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(Amersham Biosciences製)を用いて抽出した。また、PCR反応はPyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ製)を用い、変性94℃、30秒、会合55℃、30秒、伸長、72℃、1分の条件で30サイクル行なった。
次にDNA断片3をpUC18のSma Iサイトに連結した。このようにして調製したDNAを大腸菌JM109(Escherichia coli JM109)株にエレクトロポレーション法(バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci. Biotech. Biochem.)、58巻、974頁、1994年参照)によって形質転換した。
形質転換株は100μg/mlのアンピシリンを添加したLB寒天培地で選択した。上記選択培地で生育したアンピシリン耐性の形質転換株について、常法によりプラスミドDNAを調製した。このようにして得たプラスミドDNAのEcoR I、Kpn IサイトにDNA断片1を、Hind IIIサイトにDNA断片2を同様にして連結し、大腸菌を形質転換して、orf1破壊用プラスミドpUCΔorf1を調製した。
このようにして得たorf1破壊用プラスミドpUCΔorf1を用いて、グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051株(以下、野生株と称する場合もある。)をエレクトロポレーション法(プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・USA(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)、87巻、8130〜8134頁、1990年参照)によって形質転換した。
形質転換株は100μg/mlのカナマイシンを添加したYPG培地(3%グルコース、0.5%酵母エキス、0.3%ポリペプトン)で選択した。選択培地上で生育したカナマイシン耐性の形質転換株は、染色体DNAを抽出し、サザンハイブリダイゼーションにより、orf1遺伝子中にカナマイシン耐性遺伝子が挿入され、orf1遺伝子が破壊されていることを確認した。
得られた形質転換株グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051Δorf1株(以下、orf1破壊株と称する場合もある)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地中央第6)にブダペスト条約に基づき寄託されており、その受託番号は、FERM BP−10768である。
[Orf1の機能解析]
野生株とorf1破壊株のアシルホモセリンラクトン合成酵素活性を測定した。
アシルホモセリンラクトン合成酵素活性は、バイオアッセイ法(例えば、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、188巻、5号、1943〜1949頁、2006年参照)によって検出した。
まず、野生株とorf1破壊株を2%のエタノールと1%のセルクラスト1.5L(ノボザイムス製)を含むYPG培地で培養し、経時的にサンプリングした。この培養液を0.22μmのフィルターでろ過し、培養上清を得た。この培養上清に等量の酢酸エチルを加え、良く攪拌した後、酢酸エチル層を回収した。水層に等量の酢酸エチルを再度加え、酢酸エチル層を回収した。
このようにして回収した酢酸エチル層をまとめて、遠心エバポレーターで酢酸エチルを除去した後、生じた沈殿をジメチルスルホキシドに溶解し、バイオアッセイ用サンプルを調製した。
次に、アシルホモセリンラクトンを検出するためのレポーター株であるアグロバクテリウム・チュメファシエンス NTL4(pZLR4)(Agrobacterium tumefaciens NTL4(pZLR4))株(例えば、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、185巻、19号、5665〜5672頁参照)をA培地(0.2%グルコース、0.1%酵母エキス、0.3%リン酸水素二カリウム、0.1%リン酸二水素ナトリウム、0.1%塩化アンモニウム、0.03%硫酸マグネシウム7水和物、0.015%塩化カリウム、0.001%塩化カルシウム2水和物、0.00025%硫酸鉄7水和物、5μg/μlゲンタマイシン)で、30℃、12時間培養し、前培養液とした。この前培養液を植菌したA培地に、上記の培養上清から調製したバイオアッセイ用サンプルを添加し、30℃で6時間培養した。
このようにして作製した培養液のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。β−ガラクトシダーゼ活性の測定は常法(例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)、第2版、17.35頁、1989年参照)により行なった。
以上のようにして、野生株とorf1破壊株の培養液中のアシルホモセリンラクトンの濃度を調べた。その結果を図1に示した。
図1から明らかなように、野生株ではアシルホモセリンラクトンが検出されたが、orf1破壊株では検出されなかった。この結果から、orf1によってコードされるタンパク質Orf1がアシルホモセリンラクトン合成酵素であることが確認できた。
[orf1破壊株の酢酸発酵試験]
実施例2で得られたorf1遺伝子が破壊されたorf1破壊株について、野生株と酢酸発酵能を比較した。具体的には、3リッターのミニジャー(丸菱バイオエンジ製、Bioneer300型 3L)を用いて、エタノール3%、グルコース3%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.3%、アンピシリン100μg/ml、セルクラスト1.5L(ノボザイムス製)1%、消泡剤0.01%を含む1.5リッターの培地にて、30℃、500rpm、1リッター/minの通気攪拌培養を行った。発酵中は培地中のエタノール濃度を2%に制御した。発酵成績を表1にまとめた。
Figure 0004616296
表1から明らかなように、orf1破壊株は、野生株と比較して、培養24時間の平均生産速度は約1.5倍早く、発酵時間の短縮が可能であることが明らかとなった。更に、培養液の酢酸濃度は、野生株の3.30%に対して、orf1破壊株では4.68%と約1.4倍に増加していたことから、orf1破壊株はより高濃度の酢酸を含有する食酢を効率良く製造することが可能であることが明らかとなった。
この結果から、アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードするorf1を破壊することにより、酢酸菌の酢酸発酵能が増強され、高濃度の酢酸を含有する食酢をより効率良く生産することができることが示された。
[酢酸菌由来のアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子の取得]
実施例1で得られたDNA断片の塩基配列を決定した結果、アシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子の上流にビブリオ・フィッシェリ(Vibrio fischeri)のアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子とわずかに26.2%の相同性を有するタンパク質(以下、Orf2と称する場合もある)をコードするORF(以下、orf2と称する場合もある)(図2及び配列表の配列番号1の塩基番号849〜1559)を含むDNA断片を取得した。
[アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードする遺伝子の破壊株の作製]
実施例5のorf2の塩基配列に基づいて、プライマー7(図11及び配列表の配列番号10参照)及びプライマー8(図12及び配列表の配列番号11参照)を合成し、グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051株の染色体DNAを鋳型にして、PCR法によりorf2を含む配列を増幅し、該増幅産物を制限酵素EcoR IとSma I(タカラバイオ製)で処理してDNA断片(DNA断片4)を調製した。
また、大腸菌トランスポゾンTn5を鋳型にして、プライマー5(図9及び配列表の配列番号8参照)とプライマー6(図10及び配列表の配列番号9参照)を使用して、PCR法によりカナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片を増幅し、該増幅産物を制限酵素Sma I(タカラバイオ製)で処理してDNA断片(DNA断片5)を調製した。
染色体DNAはGenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(Amersham Biosciences製)を用いて行なった。また、PCR反応はPyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ製)を用い、変性94℃、30秒、会合55℃、30秒、伸長、72℃、1分の条件で30サイクル行なった。
次にPCR産物4をpUC19のEcoR I、Sma Iサイトに連結した。このようにして調製したDNAを大腸菌JM109(Escherichia coli JM109)株にエレクトロポレーション法(例えば、バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci. Biotech. Biochem.)、58巻、974頁、1994年参照)によって形質転換した。形質転換株は100μg/mlのアンピシリンを添加したLB寒天培地で選択した。上記選択培地で生育したアンピシリン耐性の形質転換株について、常法によりプラスミドDNAを調製した。このプラスミドをEcoR V(タカラバイオ製)で処理することにより、orf2の内部で切断し、DNA断片5を連結した。
このようにして調製したDNAで上述のように大腸菌を形質転換し、常法によりプラスミドDNAを調製し、orf2破壊用プラスミドpUCΔorf2を得た。
このようにして得たorf2破壊用プラスミドpUCΔorf2を用いて、野生株をエレクトロポレーション法(例えば、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・USA(Proc. Natl.Acad. Sci. U.S.A.)、87巻、8130〜8134頁、1990年参照)によって形質転換した。
形質転換株は100μg/mlのカナマイシンを添加したYPG培地(3%グルコース、0.5%酵母エキス、0.3%ポリペプトン)で選択した。選択培地上で生育したカナマイシン耐性の形質転換株は、染色体DNAを抽出し、サザンハイブリダイゼーションにより、orf2遺伝子中にカナマイシン耐性遺伝子が挿入され、orf2遺伝子が破壊されていることを確認した。
得られた形質転換株グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051Δorf2株(以下、orf2破壊株と称する場合もある)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地中央第6)にブダペスト条約に基づき寄託されており、その受託番号は、FERM BP−10769である。
[Orf2の機能解析]
アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子はアシルホモセリンラクトンと複合体を形成して、特異的な遺伝子の転写を制御する。このようにアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子−アシルホモセリンラクトン複合体によって制御される遺伝子の1つとしてアシルホモセリンラクトン合成酵素をコードする遺伝子が挙げられる。上記の複合体はこの遺伝子の上流に結合して、その転写を活性化することが知られていた(例えば、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、185巻、19号、5665〜5672頁、2004年参照)。そこで、本発明者はタンパク質のモチーフ検索による機能推定、ゲルシフトアッセイによるDNA結合能、orf1の転写解析を行い、Orf2がアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子であることを推定した。
NCBIのドメイン検索(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/structure/cdd/cdd
.shtml)を使用したモチーフ検索により、Orf2のN末側にアシルホモセリンラクトン受容体ドメイン(pfam03472.10)、C末側にヘリックスターンへリックスDNA結合モチーフ(Smart00421.11)が存在することを見出した。
次に、Urbanowskiらの方法(例えば、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bacteriol.)、185巻、19号、5665〜5672頁、2004年参照)に従って、ゲルシフトアッセイを行った。大腸菌で高発現したOrf2組換えタンパク質を用い、orf1遺伝子の上流配列を(配列表の配列番号1の1349〜1749)をプローブとした。その結果、Orf2はアシルホモセリンラクトン存在下でorf1遺伝子の上流に結合することが示唆された。
さらに、野生株とorf2破壊株からRNAを抽出し、ノザンハイブリダイゼーションにより、orf1の転写解析を行なった。
RNAは2%のエタノールと1%のセルクラスト1.5L(ノボザイムス製)を含むYPG培地で8時間培養した菌体から、ホットフェノール法により抽出した。その結果、野生株ではorf1の転写が見られたが、orf2破壊株ではorf1の転写は見られなかった。
以上の結果から、Orf2はアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子として機能していることが確認できた。
[グルコンアセトバクター・インターメディウス NCI1051Δorf2株の酢酸発酵試験]
実施例3で得られたorf2破壊株について、野生株と酢酸発酵能を比較した。具体的には、3リッターのミニジャー(丸菱バイオエンジ製、Bioneer300型 3L)を用いて、エタノール3%、グルコース3%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.3%、アンピシリン100 μg/ml、セルクラスト1.5L(ノボザイムス製)1%、消泡剤0.01%を含む1.5リッターの培地にて、30℃、500rpm、1.0リッター/minの通気攪拌培養を行った。発酵中は培地中のエタノール濃度を2%に制御した。発酵成績を表2にまとめた。
Figure 0004616296
表2から明らかなように、orf2破壊株は、野生株と比較して、培養24時間の平均生産速度は約1.4倍早く、発酵時間の短縮が可能であることも明らかとなった。更に、培養液の酢酸濃度は、野生株の3.30%に対して、orf2破壊株では4.68%と約1.6倍に増加していたことから、形質転換株は、より高酸度の食酢の製造に利用可能であることが明らかとなった。
この結果から、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子をコードするorf2を破壊することにより、酢酸菌の酢酸発酵能が増強され、高濃度の酢酸を含有する食酢をより効率良く生産することができることが示された。
本発明によれば、酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子ならびに該遺伝子がコードするタンパク質が提供され、さらに酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与する遺伝子がコードするタンパク質の機能を低下又は欠損させることによる酢酸菌の酢酸発酵能を顕著に増強させ方法が提供されるので、該方法により酢酸菌を用いた高濃度の酢酸を含有する食酢のより効率的な製造を行うことができるようになる。
アシルホモセリンラクトン合成酵素遺伝子を破壊した株の培養液中のアシルホモセリンラクトン(AHL)濃度と生育(OD660)を示した図である。 アシルホモセリンラクトン合成酵素及びアシルホモセリンラクトン受容体型転写因子の遺伝子を含むDNA断片の塩基配列(配列番号1)を示した図である。 アシルホモセリンラクトン合成酵素のアミノ酸配列(配列番号2)を示した図である。 アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子のアミノ酸配列(配列番号3)を示した図である。 プライマー1の塩基配列(配列番号4)を示した図である。 プライマー2の塩基配列(配列番号5)を示した図である。 プライマー3の塩基配列(配列番号6)を示した図である。 プライマー4の塩基配列(配列番号7)を示した図である。 プライマー5の塩基配列(配列番号8)を示した図である。 プライマー6の塩基配列(配列番号9)を示した図である。 プライマー7の塩基配列(配列番号10)を示した図である。 プライマー8の塩基配列(配列番号11)を示した図である。

Claims (9)

  1. 以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質。
    (A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質
  2. 以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質をコードするDNA。
    (A)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質
  3. 以下の(A)、(B)又は(C)に示されるDNA。
    (A)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列からなるDNA
    (B)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA
    (C)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号1639〜2268の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA
  4. 以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質。
    (A)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質
  5. 以下の(A)又は(B)に示されるタンパク質をコードするDNA。
    (A)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B)配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質
  6. 以下の(A)、(B)又は(C)に示されるDNA。
    (A)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列からなるDNA
    (B)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA
    (C)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち、塩基番号849〜1559の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入、又は付加された塩基配列からなり、かつ、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子としての機能を有するタンパク質をコードするDNA
  7. 酢酸菌のクオラムセンシングシステムに関与するアシルホモセリンラクトン合成酵素の遺伝子がコードする請求項1に記載のタンパク質、及び/又は、アシルホモセリンラクトン受容体型転写因子の遺伝子がコードする請求項4に記載のタンパク質の機能を低下ないしは欠損させることを特徴とする酢酸発酵能が増強した酢酸菌の生産方法。
  8. 請求項7に記載の酢酸発酵能が増強した酢酸菌の生産方法により酢酸発酵能が増強されたことを特徴とする酢酸菌。
  9. 請求項8に記載の酢酸菌を、アルコールを含む培地で培養して該培地中に酢酸を生成蓄積せしめることを特徴とする食酢の製造方法。
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