JP4615685B2 - プレート式熱交換器の閉塞防止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレート式熱交換器の閉塞防止方法、特に排気ガス処理装置内プレート式熱交換器の閉塞防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
広く高温、低温の2流体間で熱の伝授を行わせる熱交換器は、化学工業で多使用される化学機械の一つである。熱交換器の基本は、伝熱面を介して高温流体と低温流体とが熱交換するものである。
【0003】
一般に熱交換器は、冷却や加熱などの熱交換を目的とする流体を該装置内の熱交換部に導入して熱交換を行うが、該熱交換部としては多管式の管束を胴に挿入した形式の多管式;波状のリブまたは半球状の突起を作った伝熱プレートを、フィルタプレスのようにガスケットを介して重ね合わせて締め付け、各プレート間に薄い長方形断面状の流路を形成し、この流路を1枚おきに高温液体と低温液体が交互に流れて熱交換するプレート式;伝熱効果を高めるために伝熱管内外面にフィンを設けて伝熱面積を大きくするフィンチューブ式などがある。
【0004】
このような熱交換器は使用上から一般に、(1)加熱器:流体を必要な温度まで加熱する目的で使用される熱交換器で、被加熱流体の相変化が起こらないもの、(2)予熱器:流体をあらかじめ加熱して次ぎの操作での効率をよくするために用いられる熱交換器、(3)過熱器:流体を過熱状態になるまで加熱するために用いられる熱交換器、(4)蒸発器:液体を加熱して、蒸発させるために用いられる熱交換器、(5)リボイラ:装置中において凝縮した液体を再び加熱し、蒸発させるために用いられる熱交換器、(6)冷却器:流体を必要温度まで冷却するために用いられる熱交換器、(7)深冷器:0℃以下の非常に低温まで冷却するために用いられる熱交換器、(8)凝縮器:凝縮性気体を冷却し、凝縮液化させるために用いられる熱交換器、(9)全縮器:凝縮性気体の全部を凝縮化させる熱交換器、(10)分縮器:凝縮性気体の一部を凝縮液化させ、残りの部分を気体のままで放出させる熱交換器等と称され、多用されている。
【0005】
ここに、プレート式熱交換器による熱交換の1例を図1を用いて説明すると以下のようになる。但し、目的や必要に応じて、熱交換用ガスおよび/またはその他のガスの出入口は以下の説明とは逆方向から導入または導出させてもよい。加えて、熱交換器の設置方向は、垂直に限定されず取り扱いガスや流体の種類、熱交換器の使用目的等に応じて選択できる。
【0006】
まず、図1において、10はシェル、11はガス出口、12はガス入口、22は熱交換用ガス導入口、23は熱交換用ガス導出口、30は熱交換部を示す。
【0007】
該熱交換器では、熱交換を目的とするガスは熱交換用ガス導入口から供給され、次いで熱交換部30に導入されたのち熱交換用ガス導出口から排出される。一方、熱交換用ガスと熱交換すべき他のガスは、ガス入口からシェル内に導入された後流路を変更させながら効率的に熱交換部で熱交換用ガスと熱交換し、ガス出口から導出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなプレート式熱交換器などのガス処理装置は、一般に、その処理を行う際に必要温度を保持しあるいは熱回収のために加熱器および/または冷却器として使用されるが、熱交換用ガスが易閉塞性物質を含有するときには、該プレート間でしばしば閉塞が発生する。このため装置を停止し、人為的または化学的に閉塞物を取り除くことが必要となるが、汎用化合物の製造などで連続的な大量生産を目的とする場合には、装置の停止は生産効率を低下させる原因となる。また、かかる弊害を避けるために同一のガス処理装置を二基設け、交互に切り替えて使用する方法もあるが、経費がかかりすぎるという問題がある。
【0009】
また、プレート式熱交換器は、ガス導入口の断面積は、熱交換部の断面積よりも小さいことが一般的である。ガス導入口の断面積を熱交換部入口部と同じにすると、ガス配管を大きくする必要がありコスト高になるからである。このため、ガス導入口と熱交換部の断面積とが異なると熱交換器の中央部には熱交換用ガスが多く供給されるが、周辺部に供給されるガス量が少なくなり、熱交換率を低下させる原因となる。しかしながら、熱交換用ガスが導入される熱交換部について、ガスの供給を均一にするための工夫については一切なされていない。
【0010】
特に、熱交換用ガスが易閉塞性物質含有ガスの場合には、熱交換率が不均一であると易閉塞性物質の付着や蓄積による閉塞物が局所的に生ずるが、これらの対策も全くなされていない。例えば、易閉塞性物質含有ガスとしてアクリル酸製造プロセスで発生した排出ガスを例にとれば、該ガスには易閉塞性のアクリル酸等が含有されることが多いため、該ガスを熱交換した後に酸化分解等を行って廃棄する場合には、熱交換の際に含まれるアクリル酸その他の易閉塞性物質によってプレート間に閉塞が生じる。このように、易閉塞性物質含有ガスの熱交換を行う際には、ガスが不均一に供給されることによる熱効率の低下に加え、供給ガスの一極集中によって熱交換部の一部に閉塞物が発生し、装置全体の停止を余儀なくされ、また、伝熱面に閉塞物が付着することで伝熱効率が低下する等の問題がある。しかしながら、これらはいずれも未解決のまま存在している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するため種々の検討を重ね、プレート式熱交換器の閉塞に関し以下の知見を得て、本発明を完成するに至ったのである。本発明は、プレート式熱交換器の閉塞を効果的に防止することを目的とする。また、プレート式熱交換器の構造を詳細に検討した結果、プレート流路幅およびガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を所定の範囲に設定することでプレート式熱交換器の閉塞を防止でき、熱交換部と熱交換用ガスの導入口との間にガス分散板を設けることで熱交換部に均一にガスを供給することができ、かつ該ガス分散板の配置によって閉塞物の発生を有効に抑制できることを見出し本発明を完成させた。上記目的は、以下の(1)〜(10)によって達成される。
【0012】
(1)プレート式熱交換器を加熱器および/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガスを処理する装置において、
i)当該装置内プレート式熱交換器のプレート流路幅を6〜25mmの範囲とし、かつ、
ii)当該装置内プレート式熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とする
ことを特徴とするプレート式熱交換器の閉塞防止方法。
【0013】
(2) プレート式熱交換器の易閉塞性物質含有ガスのガス導入口が、ガス分散板を有する上記(1)に記載の方法。
【0014】
(3) 該ガス分散板の横断面積が、該ガス導入口断面積の1.0〜10.0倍であることを特徴とする、上記(2)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0015】
(4) 該ガス導入口と該ガス分散板との距離が該ガス導入口の直径の0.5〜3.0倍であり、かつ、該ガス分散板と該熱交換部との距離が該ガス導入口と該ガス分散板との距離の1.0〜5.0倍である、上記(2)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0016】
(5) 該ガス分散板が、開口率10〜60%の多孔板であることを特徴とする、上記(2)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0017】
(6) 該多孔板の一つの孔の開口部面積が、20〜1000mm2であることを特徴とする、上記(5)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0018】
(7) 易閉塞性物質含有ガスのプレート式熱交換器内ガス温度を該ガスの露点温度を超える温度とする上記(1)に記載の方法。
【0019】
(8) 前記装置が、(メタ)アクリル酸の接触気相酸化プロセスで熱交換に使用されるものである、上記(1)記載の方法。
【0020】
(9) 前記装置が、(メタ)アクリル酸およびそのエステルのプロセスから排出する廃棄ガスの処理装置である、上記(1)に記載の方法。
【0021】
(10) 該廃棄ガスを該プレート式熱交換器に導入し、ついで酸化反応器で可燃性物質を分解して得た排出ガスを該熱交換器に供給し、該廃棄ガスと該排出ガスとの間で熱交換するものである、上記(9)記載の方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、プレート式熱交換器を加熱器および/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガスを処理する装置において、
i)当該装置内プレート式熱交換器のプレート流路幅を6〜25mmの範囲とし、かつ、ii)当該装置内プレート式熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とすることを特徴とするプレート式熱交換器の閉塞防止方法である。
【0023】
本発明で使用するプレート式熱交換器としては公知の装置を用いることができるが、例えば、プレート式熱交換器は、管式の熱交換器とは異なり、伝熱部に管ではなく板を使用しており、板の全面が伝熱板となるため、非常に熱効率がよく、小型化を図ることも容易である。通常、伝熱板は薄い金属板で、流路、強度、伝熱面積を考慮して、凹凸が付けてあり、又は波形であり、この金属板をフィルタープレスのように何枚も重ね、その間に交互に流体を通して熱交換を行うことができる。
【0024】
本発明は、プレート式熱交換器を加熱器および/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガスを処理する装置において、プレート流路幅を6〜25mmの範囲とし、かつ、該熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とするものであるが、このようなガスを処理する装置としては、少なくとも1のプレート式熱交換器を含んでいればよく、その他に他の種類の熱交換器や、ガス燃焼器、ガス酸化反応器、塔類、槽類、ガス移送用ブロワー、温度測定器、圧力測定器、圧力制御弁などを含んでいてもよい。
【0025】
本発明でプレート式熱交換器に導入する易閉塞性物質含有ガスとしては、プロパンやプロピレン、イソブチレン、アクロレイン、メタクロレイン等を接触気相酸化反応して(メタ)アクリル酸やそのエステルを製造するプロセスで使用され、または該プロセスから排出されるガスがある。例えば、接触気相酸化反応によって(メタ)アクリル酸を製造する場合には、該酸化反応の際に目的化合物以外に不純物が副生する。したがって、目的化合物以外を分離精製する工程が必要となり、該ガスを捕集溶液と向流接触して捕集し、次いでこれを蒸留塔等に供給して低沸点化合物や高沸点化合物を分離除去する等の工程を行う。このようなプロセスでは、該反応器から排出される反応生成ガスや、各精製工程で使用される蒸留塔等から排出されるガスに(メタ)アクリル酸や下記する易閉塞性物質が含まれている。接触気相酸化反応自体が発熱反応であることから反応生成ガスが高温であり、次工程以降の蒸留操作では沸点以上に溶液を加熱し、または還流操作のためにこれを冷却するなどの熱交換操作が多用される。これらのプロセスで発生するガスの一部は同一プロセス内の他の工程にリサイクルして再利用される場合もあるが、いずれにしても廃棄処理すべき排出ガスが発生し、このガス中にも易閉塞性物質が残存する場合がある。この廃棄対象となるガスも、最終処分の前に熱交換器によって冷却して大気中に放出され、または更にその他の処理を経た後に廃棄処理される場合がある。熱交換処理は、次工程で使用するガス温度を目的温度に調整するために対象ガスを加熱しまたは冷却する場合のほか、該ガス自体は不要であるが該ガスの有する熱エネルギーを回収するために熱交換する場合もある。従って、本発明の方法は、易閉塞性物質を含有するガスであれば、特定化合物の製造プロセスからの排出ガスに限られずに応用することができる。なお、本発明の方法は、(メタ)アクリル酸およびそのエステルの排気ガス処理装置に使用することが特に好ましい。これらのプロセスでは易閉塞性物質が多量に発生すること、および同一プロセスにおいて高温ガスが発生すると共に加温を必要とするガスが隣接して存在し、これら2者間で熱交換を行えば熱交換率に優れるからである。
【0026】
本発明でいう閉塞性物質含有ガスとは、プレート式熱交換器を閉塞する性質を有すれば特に限定はされず、熱交換器への導入時に気体であればよい。また、液体や浮遊可能な固体物質を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はこれらのエステル体、スチレン、アクリロニトリルが例示でき、これらに更に高沸点物質や溶媒、昇華性物質、他の混合物を含んでもよい。閉塞性物質としては、例えば、アクリル酸およびアクリル酸エステルの場合には、アクリル酸、アクリル酸エステルの他にアクリル酸を接触気相酸化反応で得る際に副生するアクロレイン、マレイン酸、テレフタル酸、ホルマリン混合物を挙げることができる。
【0027】
具体的には、(メタ)アクリル酸の接触気相酸化プロセス内の装置、たとえば、プロピレン酸化用反応器やアクロレイン酸化用反応器を備えるプロセス内の装置から発生しまたは使用されるガス;(メタ)アクリル酸、そのエステル、またはマレイン酸等の製造プロセスから発生するガス;前記ガスから目的成分を回収した後の廃棄対象となる精製工程で排出したガス等が例示できる。
【0028】
本発明の方法は、プレート式熱交換器に導入されるガスの少なくとも1種が易閉塞性物質を含有する場合に有効であるため、互いに熱交換を行う2種のガスの双方が特定化合物の製造工程で発生した排出ガスである必要はない。しかし、熱交換は近傍で発生しまたは使用するガス間で行うことが熱損失が少なく効率的である。このような例として、接触気相酸化反応によって(メタ)アクリル酸を製造するプロセスで発生し、または使用する2種のガスの熱交換がある。
【0029】
なお、アクリル酸の精製製造の工程を図8に示す。図8において、201は、プレート式熱交換器、210は接触気相酸化反応器を、211、222は熱交換器を、220はアクリル酸捕集塔を、221は充填物を、223は捕集液、224、225,233,245は廃棄ガス、226は槽、230は低沸点物質分離塔を、231、241はコンデンサーを、232はリボイラーを、240は高沸点物質分離塔を、242はリボイラー、243はアクリル酸製品、244は廃棄有機物を示す。原料ガスは、接触気相酸化反応器(210)に供給され、アクリル酸捕集塔(220)で含まれるアクリル酸を捕集液を用いて捕集し、次いで低沸点物質分離塔(230)および高沸点物質分離塔(240)を経て精製し、該高沸点物質分離塔(240)の塔頂からアクリル酸製品を得る。
【0030】
(メタ)アクリル酸の接触気相酸化プロセス内の装置から発生しまたは使用されるガスの具体的な熱交換の対象として、(i)分子状酸素含有ガス、水蒸気、不活性ガスよりなる群から選ばれた少なくとも1種、およびプロピレンとの混合ガスと、(ii)接触酸化反応器から排出した反応生成ガスとの熱交換がある。なお、分子状酸素含有ガスとしては酸素ガス;不活性ガスとしては窒素ガス、二酸化炭素ガスなどであり、分子状酸素含有ガスおよび不活性ガスとして空気を用いてもよい。不活性ガスには、(メタ)アクリル酸の接触気相酸化反応で得られた生成ガスから(メタ)アクリル酸などの必要な成分を除いた後のガス成分を単独で用いる場合および前記の不活性ガスと混合する場合が含まれる。
【0031】
また、(メタ)アクリル酸の製造プロセスから発生する廃棄ガスと該ガスを酸化処理して得た酸化分解ガスとの熱交換がある。プレート式熱交換器を備えた触媒酸化反応廃棄ガス処理装置の概略フローを図7に示す。図7において、110は触媒酸化反応器、120は第一プレート式熱交換器、130は第二プレート式熱交換器、140は熱回収装置、150はスタック、160は廃棄ガス用ブロワー、170はリサイクルブロワー、180は温度調節弁、190は温度調節弁を示す。本発明の方法を応用できる廃棄ガスの処理装置の一例を図7を用いて説明する。該処理装置は、プレート式熱交換器によって「易閉塞性ガスを含有する廃棄ガス」と「その他のガス」との熱交換処理を行い、かつ該廃棄ガスに含まれる可燃性物質を該装置に付属する触媒酸化反応器で焼却処理するものであれば、制限はない。熱交換器が2以上配設されていても、および、熱交換器と触媒酸化反応器に加えてブロワーや流量調節計、温度制御計等を備えていてもよい。このような装置を用いて本発明を応用する好ましい一例として、例えば図8の廃棄ガス224、225,233,245の予熱がある。「廃棄ガス」を予熱するために、熱エネルギーとして酸化分解によって発生した熱エネルギーを利用し、熱交換器内で「廃棄ガス」と「酸化分解ガス」との熱交換を行うのである。例えば、廃棄ガスをブロワー160によって熱交換器120、130を経て酸化反応器110に移送し、ここで可燃性物質を燃焼処理する。熱交換器120、130において廃棄ガスと熱交換する他のガスとして、酸化反応器110から排出された分解ガスを使用する。酸化反応器110での触媒酸化は発熱反応であるため、酸化反応器から排出されるガスは多量の熱エネルギーを保有するため、この熱エネルギーを用いて、酸化反応器に導入する廃棄ガスを予熱するのである。このような熱交換を実現するために必要な廃棄ガスや酸化分解ガスの流路は、適宜配管することができる。図7では、酸化反応器110から排出したガスの一部を熱交換器130に導入し、かつリサイクルブロワー170を介して、バルブ180、190の開閉によって一部を酸化反応器110循環させ、また一部は、熱回収装置140に導入することができる。なお、酸化反応器から排出された分解ガスは、熱交換器120によって廃棄ガスの予熱に利用されると共に、それ自体の温度を冷却することができ、最終的にスタック150から排出される際の温度を至適に調整することができるのである。
【0032】
なお、アクリル酸の製造プロセスから発生する廃棄ガスとしては、接触気相酸化反応器から排出した反応生成ガスを次工程にて精製した後の残ガスのほか、接触気相酸化工程に関わらず、精製工程単独で排出されたガスが例示でき、該ガスを含んでいれば他のガスを含んでいてもよい。
【0033】
プレート式熱交換器を加熱器および/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガスを処理する装置では、このようなプレート式熱交換器において、易閉塞性物質を含有するガスによる閉塞は、プレートに易閉塞性物質が1)付着し、2)増嵩し、3)プレート間にブリッジが形成され、ついには閉塞に至る。
【0034】
本発明において閉塞を防止するためには、1)易閉塞性物質によるブリッジの形成を防ぐためにプレート流路幅を、6〜25mm、好ましくは8〜20mmとし、かつ、2)通過ガス独自の衝突エネルギーによる付着物洗浄効果を増加させるために、通過ガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を、3〜15m/s、好ましくは5〜12m/sとすることが必要である。
【0035】
なお、本発明で閉塞を防止できるプレート式熱交換器におけるプレートの形状は特に制限はされないが、通常用いられる平板のほか、ディンプル加工板、波板等様々な形式の板を用いることができる。また、加工の容易さからプレート入口部は概ね平板であるのが一般的である。
【0036】
また、各プレートの配置は、熱交換すべき2つのガス流が互いに混合せずに熱交換できるのであれば、制限はない。このため2つのガス流が向流で熱交換する場合、並流で熱交換する場合のほか、図1で示したように直交流であってもよい。
【0037】
図2は、プレート式熱交換器においてプレートとガス流路との関係の一例を示す概略図である。プレートを利用してガスで熱交換を行うために、少なくとも2種類のガス流路が必要となる。一つの流路は、プレート1b,1cおよび縦板4a,4bで囲うことにより構成される。この流路を流れるガス流れAは、プレート1b,1cおよび縦板4a,4bで囲まれた流路を降下する。なお、図2において、ガス流れAを易閉塞性物質を含有するガスとする。
【0038】
プレートは、伝熱板であり、通常、薄いステンレス鋼などの金属板で、流路、強度、伝熱面積を考慮して、必要により凹凸(図示せず)が付けてある。ガス流れAは、他のガス流れB1,B2と混合することなく、このようにして作られた流路をプレート1b,1cを介して熱交換を行いながら下方に進む。また、他のガス流B1は、プレート1a、1bおよび横板2a、2bで囲うことにより構成された流路を一のガス流と混合することなく、プレート1bを介してガス流れAと熱交換を行いながら前から後ろ方向に流れる。他のガス流B2も、同様に、プレート1c、1dおよび横板2c、2dで囲うことにより構成された流路を、一のガス流と混合することなく、プレート1cを介してガス流れAと熱交換を行いながら前から後ろ方向に流れる。
【0039】
プレート式熱交換器においては、プレートを介して熱交換させるガスが易閉塞性物質を含有するガスの場合には、該ガスが通過する流路では、易閉塞性物質により流路の閉塞の問題が生ずる場合がある。本発明では、易閉塞性物質を含有するガスのプレート流路幅wおよびプレート流路断面積当たりの平均流速を特定範囲に調整することにより、プレートへの易閉塞性物質に基づく閉塞防止するものである。
【0040】
ここに、本発明におけるプレート流路幅とは、プレートによって構成されたガス流路口の幅であって、図2で示すWに該当する。プレートが、ディンプル加工板、波板などの平板でない場合には、本発明のプレート流路幅Wは、
プレート流路幅W=(ガスの流れ方向に対して垂直な横断面における流路口面積)/流路口の長さLで示される。
【0041】
また、プレート流路断面積当たりの平均流速とは図2の記号を用いれば以下の式で表される。
【0042】
平均流速=(プレート入口部でのガスの体積流量)/(プレート流路幅W×流路口の長さL×(流路数))で示される。
【0043】
プレート流路幅が6mm未満であれば易閉塞性物質がプレート間でブリッジを形成しやすく、その一方25mmを越えると、結果的に易閉塞性物質含有ガスの平均流速が遅くなり、伝熱面であるプレート1b,cへの付着物の増大を引き起こし好ましくない。さらに、プレートの伝熱係数の低下を招き、該熱交換器が大型化するため経済的でない。また、熱交換器の流路数を減少し、または流路口の長さを短くすることで、ガスの平均流速の減少を防ぐことも可能であるが、その場合には、熱交換の為の伝熱面積を確保するために易閉塞性物質含有ガスの流れ方向にプレートを追加せねばならず、機器の圧力損失の増大を招き、ブロワー等の大型化、ランニングコストの増加の点から経済的ではない。
【0044】
また、本発明によって易閉塞性物質による閉塞を防止するには、ガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sとする必要がある。平均流速が、3m/s未満であると、プレートの伝熱係数の低下を招き、熱交換が十分に行われず、かつ伝熱面であるプレートへの付着物の増大を引き起こし好ましくない。その一方、15m/sを上回ると結果的にプレート流路幅を狭くすることとなり、プレートへの付着物の増大を引き起こし好ましくない。また、機器の圧力損失の増大を招き、ブロワー等の大型化、ランニングコストの増加の点から経済的でない。プレート式熱交換器の流路数あるいはLを減らしプレート幅Wを広く保つことも可能であるが、その場合には、伝熱面積を確保するために易閉塞性物質含有ガスの流れ方向にプレートを追加せねばならず、同じく機器の圧力損失の増大を招く。
【0045】
なお、本発明では、プレート式熱交換器のプレート流路幅を6〜25mmの範囲とし、かつ、該プレート式熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とすればよく、プレート流路断面積のサイズや流路数に制限はない。
【0046】
加えてプレート式熱交換器においては、ガスを熱交換、すなわちガスを予熱または冷却することが目的であり、易閉塞性物質含有ガスのガス流と他のガス流のガスの種類およびガスの流れの方向は任意に選択することが可能である。即ち、少なくとも易閉塞性物質を含有するガスを熱交換する場合に、該易閉塞性物質含有ガスの流路において、上記プレート流路幅範囲およびプレート流路断面積当たりの平均流速範囲を充たせばよい。図2においては、易閉塞性物質含有ガスをガス流れAとして、プレート流路幅およびガスの平均流速を規定した。他のガス流れB1、B2も同様に易閉塞性物質含有ガスである場合には、該ガス流れB1,B2についてもそれぞれ上記規定を採用することによりプレート閉塞防止効果が得られる。
【0047】
本発明では、プレート式熱交換器の易閉塞性物質含有ガスのガス導入口が、ガス分散板を有することが好ましい。この該ガス分散板の横断面積が、該ガス導入口断面積の1.0〜10.0倍であることが好ましい。また、該ガス導入口と該ガス分散板との距離が該ガス導入口の直径の0.5〜3.0倍であり、かつ、該ガス分散板と該熱交換部との距離が該ガス導入口と該ガス分散板との距離の1.0〜5.0倍であることが好ましい。また、該ガス分散板が、開口率10〜60%の多孔板であることが好ましい。さらに、該多孔板の一つの孔の開口部面積が、20〜1000mm2であることが好ましい。これを以下に説明する。
【0048】
本発明では、図3に示すように、ガスの偏流を防ぐためのガス分散板をプレート式熱交換器の易閉塞性物質含有ガスのガス導入口に設けることが望ましい。該分散板の形式は、例えば多孔板等があるが特に限定されない。ただし、分散板自体の閉塞防止を考慮に入れ、なるべく流路の広い簡単な構造のものを選定することが好ましい。なお、図3および図6において、10はシェル、11はガス出口、12はガス入口、22は易閉塞性物質含有ガス導入口、23は易閉塞性物質含有ガス導出口、30は熱交換部、32はプレート、40はガス分散板、42はガス分散板支持体を示す。
【0049】
本発明では、ガス分散板の横断面積は、ガス導入口断面積の1.0〜10.0倍、より好ましくは1.2〜8.0倍、特には1.5〜6.0倍であることが好ましい。ガス導入口はガス処理装置内にガスを導入するためのガス配管と接続させるために、その横断面積は熱交換部断面積よりも小さいことが一般的であり、通常、ガス導入口断面積1に対する熱交換部断面積は、2〜100倍である。上記範囲としたのは、ガス分散板の横断面積がガス導入口断面積の1倍を下回るとガス分散板により分散されないガスが存在するため十分なガス分散が困難となり、その一方、10.0倍を越えると分散板で閉塞が発生する場合があるからである。
【0050】
また、該ガス分散板には貫通する孔が無くてもよいが孔を設ければガスの分散がより均一となる。このような孔を有する多孔板を図4に示す。使用する分散板は、開口率10〜60%、より好ましくは20〜55%、特には40〜50%であることが好ましい。10%を下回ると、分散板を通過しないガスが多くなり孔を設けた割には均一に分散されず、また、該分散板での閉塞が生ずるからである。その一方、60%を越えると分散板を通過するガスが多くなって均一に分散されない場合が生ずるからである。なお、本願明細書では、上記ガス分散板の横断面積は開口部0%の場合の平面部表面積を意味するものとする。従って、図4に示すように多孔の開口部を有する場合には、実際の平面表面積は、横断面積×(100−開口率)/100となる。また、開口率は、開口部面積×100/ガス分散板横断面積とする。
【0051】
図4では四角形の板に円形の貫通孔を設けたものを示すが、本発明においてはガス分散板の形状は板状であれば、円形、楕円形、三角形、四角形などの多角形であってもよい。また、開口する多孔の形状も円形、楕円形に限られず三角形、四角形などの多角形であってもよい。尚、多孔はガス分散板に均一に分散していることが好ましいが、各多孔の形状が同一形状である必要はない。図5に円形の板に直径の異なる円形の貫通孔を設けたガス分散板を示す。本発明では、図5に示す様に異なるサイズの多孔が分散して配置してあってもよい。
【0052】
しかしながら、本発明で使用する分散板では、孔のサイズは、20〜1000mm2、より好ましくは50〜700mm2、特には100〜500mm2あることが好ましい。20mm2を下回ると孔が閉塞され、最終的に熱交換部への均一なガスの分散が成されず、熱交換部で閉塞の発生が生じる場合がある。その一方1000mm2を越えるとガス分散板の経過時にガスが十分に分散されず、熱交換部で閉塞が生じる場合がある。
【0053】
一般にガスの分散は、ガス分散板の配置場所によっても異なる。本発明で使用する分散板の配置を図6を用いて説明する。本発明では、該ガス導入口と該ガス分散板との距離(Ln)が該ガス導入口相当直径(An)の0.5〜3.0倍、より好ましくは0.6〜2.5倍、特には0.8〜2.0倍であり、かつ、該ガス分散板と該熱交換部との距離(Lt)が該ガス導入口と該ガス分散板との距離(Ln)の1.0〜5.0倍、より好ましくは1.1〜4.0倍、特には1.2〜3.0倍であることが好ましい。Lnが0.5倍を下回るとガス導入口からのガスがガス分散板の全面に分散されずにぶつかるためにガス分散板表面で閉塞し易く、その一方、3.0倍を越えるとガス分散板に接触するガス量が少ないためにガスの分散が不十分となるからである。更に、Ltが、Lnの1.0倍を下回ると、ガス分散板と最も近い熱交換部へのガスの分散が不十分となり、その一方、5.0倍を越えると、熱交換器の仕切室長をより長くする必要が生じて不利となるからである。なお、ガス導入口は円形に限られず、三角形、四角形等の多角形でもよい。ガス導入口が円形の場合には、該ガス導入口相当直径は該内径を意味するが、ガス導入口が円形で無い場合には、該ガス導入口と該ガス分散板との距離(Ln)の算出に際しては、4×ガス導入口断面積/ガス導入口内周長で算出される値を相当内径として使用する。また、ガス分散板は、ガス分散板と最も近傍に位置する熱交換部のガス接触面と平行または略平行に配設されることが好ましい。
【0054】
また、該分散板を配設するには、図6に示すように、1ないし複数本のガス分散板支持体でガス分散板を中吊りにすれば簡便に配設できる。なお、易閉塞性物質含有ガスの熱交換を目的とするには、本来、ガス導入口から熱交換部までの間に構造物を有しないことが好ましい。該構造物に易閉塞性物質含有ガスが接触すると、接触面で易閉塞性物質含有ガスが付着、蓄積し、ブリッチを形成し易くなるからである。しかしながら、導入ガスの分散をより均一にするために、該分散板を上記範囲内で複数設けることは可能である。複数のガス分散板の配設によってより分散が均一となる場合がある。
【0055】
このようなガス分散板やガス分散板支持体の材料としては、鋼材を使用することが好ましく、溶接等し易さから、オーステナイト系鋼、オーステナイト・フェライト系鋼、フェライト系鋼などの公知の鋼材が好ましく使用できる。これらによれば易閉塞性物質と反応せず、易閉塞性物質に変性等を与えず、伝熱板自体の腐食を生ずることがないからである。
【0056】
本発明では、ガス分散板を設けることでガスの分散のみならず、易閉塞性物質による閉塞をも防止するものである。
【0057】
また、本発明では、プレート式熱交換器における閉塞物質の付着性を減じるため、上記プレート幅の選択およびガスのプレート流路断面積当たりの平均流速の選択に加えて、プレート式熱交換器内該ガス温度を該ガスの露点温度を超える温度、好ましくは露点温度+5℃以上の範囲で使用することも効果的な方法である。露点以下では、プレート面に液滴が付着するため、易閉塞性物質が液滴を介してプレートに付着しやすい。易閉塞性物質含有ガスが流れるプレート間内のガスを乾き雰囲気に保つことで易閉塞性物質のプレートへの付着や蓄積を防止できるからである。
【0058】
本発明の方法は、(メタ)アクリル酸およびそのエステルのプロセスから排出する廃棄ガスの処理装置であることが好ましい。特に、該廃棄ガスを該プレート式熱交換器に導入し、ついで酸化反応器で可燃性物質を酸化して得た排出ガスを該熱交換器に供給し、該廃棄ガスと該排出ガスとの間で熱交換するものであることが好ましい。
【0059】
(メタ)アクリル酸やそのエステルの製造プロセスでは、易閉塞性物質を含有するガスが発生するため、最終的は廃棄ガスにも易閉塞性物質である可燃性物質が含まれている。これを大気中に放出すると臭気や物質自体の物性による環境汚染の影響がある。このためこれを酸化分解などした後に廃棄することが好ましいが、この酸化分解においても熱が発生する。従って、該熱エネルギーを有効に利用するためにも、本発明の閉塞防止方法が有効だからである。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0061】
(実施例1)
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0062】
実験例
以下の実施例は、易閉塞性物質を含有するガスとして接触気相酸化反応によってアクリル酸を製造し、次いでこれを精製する際に精製工程から排出したガスを用いて、プレート式熱交換器の閉塞の有無を確認した。
【0063】
用いた排出ガスの組成は、炭化水素類0.5〜1.0容量%、一酸化炭素0.5〜1.0容量%、二酸化炭素1.0〜1.5容量%、水蒸気15〜25容量%、酸素0.5〜2.0容量%、有機酸等の易閉塞性物質は0.2〜0.5容量%、残りは、窒素であった。
【0064】
図7は、プレート式熱交換器を備えた触媒酸化反応排出ガス処理装置の概略フローの一例を示す図面である。上記の組成の排出ガス(温度60℃)を排出ガス用ブロワーを用いて、第一プレート式熱交換器(易閉塞性物質含有ガスの熱交換器内の最低温度60℃、他のガスの熱交換器内の最低温度100℃)及び第二プレート式熱交換器((易閉塞性物質含有ガスの熱交換器内の最低温度150℃、他のガスの熱交換器内の最低温度200℃)を通過させて触媒酸化反応器で可燃性物質を燃焼した。各熱交換器内のプレートの材質はそれぞれステンレス鋼(SUS304)である。触媒酸化反応器では、白金、パラジウムなどの貴金属を活性成分とする公知の酸化触媒を用いて、燃焼可能な成分を燃焼させた。もちろん、マンガン、コバルトなどの重金属を活性成分を用いたものでもよい。なお、かかる燃焼ガスの一部を第二プレート式熱交換器に経由させて排出ガスの予熱に利用している。該排出ガスはリサイクルブロアーを経由させ、バルブ180、190を適宜開閉して触媒酸化反応器にまたは後述の熱回収装置に送った。また、燃焼ガスの残部を熱回収装置に送った。熱回収装置を出たガスは、第一熱交換器を通して排出ガスの予熱に利用しスタックから放出させた。なお、第一プレート式熱交換器の易閉塞性物質含有ガスの露点温度は55℃であった。
【0065】
それぞれのプレート式熱交換器の易閉塞性物質含有ガス導入口には、ガス導入口と分散板との距離が、ガス導入口直径の0.6倍、分散板と熱交換器との距離がガス導入口と分散板との距離の2.0倍の位置に、断面積がガス導入口断面積の1.3倍、開口率が25%、一つの孔の開口部面積が490mm2である分散板を設置した。
【0066】
プレート式熱交換器の閉塞防止方法の効果を評価する基準として閉塞度を用いた。閉塞度はプレート式熱交換器の大きさや処理ガス量の相違を考慮して次のように規定した:
閉塞度(mg/Nm3)=プレート式熱交換器内付着物量(mg)/全処理ガス量(Nm3
第一プレート式熱交換器について閉塞度を測定し、得られた結果を下記の表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004615685
【0068】
(結果)
表1において、実験例3と4は、比較例を示す。備考に特に記述なきものは、1ヶ月稼働後停止して付着物重量を測定した。実験例5は付着物に偏りがあるが、その他の例についてはプレートに一様に付着物があった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、プレート流路幅およびガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を所定の範囲に設定することにより、(メタ)アクリル酸製造装置内などの易閉塞性物質を含む排出ガスを処理する際に、プレート式熱交換器の閉塞を防止しまたはプレート式熱交換器を長期間停止することなく運転ができる。
【0070】
また、本発明は、プレート式熱交換器による易閉塞性物質の熱交換において、該プレート式熱交換器が、易閉塞性物質含有ガスのガス導入口にガス分散板を配設されたものであるプレート式熱交換器の熱交換器の閉塞防止方法である。
【0071】
本発明によれば、プレート式熱交換器内の熱交換部における易閉塞性物質含有ガスを均一に分散する結果、熱交換部においてガスが不均一に供給される場合の閉塞物の発生を抑制することができる。ガスの分散が不均一の場合に、構造物に易閉塞性物質含有ガスが接触すると、該接触面で該ガスが付着、蓄積しこれによって閉塞物が発生するが、本発明の方法によれば分散板の設置によって熱交換部にガスを均一に分散することができ、該ガスの付着や蓄積を抑制し、閉塞を防止することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、プレート式交換器によって熱交換を行う場合のガス流路の流れを示す斜視図である。熱交換用ガスの流れを黒矢印で、他のガスの流れを白抜き矢印で示す。
【図2】 図2は、プレート式熱交換器においてプレートとガス流路との関係の一例を示す概略図である。
【図3】 図3は、ガス分散板を設けたプレート式交換器を示す斜視図である。易閉塞性物質含有ガスの流れを黒矢印で、流体の流れを白抜き矢印で示す。
【図4】 図4は、本発明の方法で使用することが好ましい、方形かつ円形の多孔を有するガス分散板の斜視図である。
【図5】 図5は、本発明の方法で使用することが好ましい、円形かつ大小異なる円形の多孔を有するガス分散板の平面図である。
【図6】 図6は、ガス分散板を設置したプレート式熱交換器における、好ましい分散板の配置位置を説明する概略図である。
【図7】 図7は、プレート式熱交換器を備えた触媒酸化反応廃棄ガス処理装置の概略フローの一例を示す図面である。
【図8】 図8は、プレート式熱交換器を備えたアクリル酸製造プロセスの概略フローの一例を示す図面である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d…プレート
2a,2b,2c,2d…横板
4a,4b…縦板
10・・シェル、
11・・・ガス出口、
12・・・ガス入口、
22・・・熱交換用ガス導入口(易閉塞性物質含有ガス導入口)、
23・・・熱交換用ガス導出口(易閉塞性物質含有ガス導出口)、
30・・・熱交換部、
32・・・プレート、
40・・・ガス分散板、
41・・・孔、
42・・・ガス分散板支持体
110・・・触媒酸化反応器、
120・・・第一プレート式熱交換器、
130・・・第二プレート式熱交換器、
140・・・熱回収装置、
150・・・スタック、
160・・・廃棄ガス用ブロワー、
170・・・リサイクルブロワー、
180・・・温度調節弁、
190・・・温度調節弁
201・・・プレート式熱交換器、
210・・・接触気相酸化反応器
211、222・・・熱交換器、
220・・・アクリル酸捕集塔
221・・・充填物、
223・・・捕集液、
224、225,233,245・・・廃棄ガス、
226・・・槽、
230・・・低沸点物質分離塔、
231、241・・・コンデンサー
232・・・リボイラー、
240・・・高沸点物質分離塔、
242・・・リボイラー、
243・・・アクリル酸製品、
244・・・廃棄有機物。

Claims (5)

  1. プレート式熱交換器を加熱器および/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガスを処理する装置において、
    該易閉塞性物質が(メタ)アクリル酸および/またはそのエステルであり、
    i)当該装置内プレート式熱交換器のプレート流路幅を6〜25mmの範囲とし、
    ii)当該装置内プレート式熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とし、かつ
    iii)当該装置内プレート式熱交換器の易閉塞性物質含有ガスのガス導入口が、開口率10〜60%の多孔板であるガス分散板を有することを特徴とするプレート式熱交換器の閉塞防止方法。
  2. 易閉塞性物質含有ガスのプレート式熱交換器内ガス温度を該ガスの露点温度を超える温度とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記装置が、(メタ)アクリル酸の接触気相酸化プロセスで熱交換に使用されるものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記装置が、(メタ)アクリル酸およびそのエステルのプロセスから排出する廃棄ガスの処理装置である、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 該廃棄ガスを該プレート式熱交換器に導入し、ついで酸化反応器で可燃性物質を分解して得た排出ガスを該熱交換器に供給し、該廃棄ガスと該排出ガスとの間で熱交換するものである、請求項記載の方法。
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