JP2001133194A - プレート式熱交換器の閉塞防止方法 - Google Patents

プレート式熱交換器の閉塞防止方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレート式熱交換器の閉塞防止方法を提供す
る。 【解決手段】 プレート式熱交換器を加熱器および/ま
たは冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガス
を処理する装置において、a)当該装置内プレート式熱
交換器のプレート流路幅を6〜25mmとし、かつ、
b)当該装置内プレート式熱交換器を通過するガスのプ
レート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/sと
することを特徴とするプレート式熱交換器の閉塞防止方
法である。本発明は、(メタ)アクリル酸やそのエステ
ルの製造工程で発生する排出ガスの熱交換や、該ガスの
廃棄処理において、プレート式熱交換器内の閉塞を有意
に減少できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレート式熱交換
器の閉塞防止方法、特に排気ガス処理装置内プレート式
熱交換器の閉塞防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】広く高温、低温の2流体間で熱の伝授を
行わせる熱交換器は、化学工業で多使用される化学機械
の一つである。熱交換器の基本は、伝熱面を介して高温
流体と低温流体とが熱交換するものである。
【0003】一般に熱交換器は、冷却や加熱などの熱交
換を目的とする流体を該装置内の熱交換部に導入して熱
交換を行うが、該熱交換部としては多管式の管束を胴に
挿入した形式の多管式;波状のリブまたは半球状の突起
を作った伝熱プレートを、フィルタプレスのようにガス
ケットを介して重ね合わせて締め付け、各プレート間に
薄い長方形断面状の流路を形成し、この流路を1枚おき
に高温液体と低温液体が交互に流れて熱交換するプレー
ト式;伝熱効果を高めるために伝熱管内外面にフィンを
設けて伝熱面積を大きくするフィンチューブ式などがあ
る。
【0004】このような熱交換器は使用上から一般に、
(1)加熱器:流体を必要な温度まで加熱する目的で使
用される熱交換器で、被加熱流体の相変化が起こらない
もの、(2)予熱器:流体をあらかじめ加熱して次ぎの
操作での効率をよくするために用いられる熱交換器、
(3)過熱器:流体を過熱状態になるまで加熱するため
に用いられる熱交換器、(4)蒸発器:液体を加熱し
て、蒸発させるために用いられる熱交換器、(5)リボ
イラ:装置中において凝縮した液体を再び加熱し、蒸発
させるために用いられる熱交換器、(6)冷却器:流体
を必要温度まで冷却するために用いられる熱交換器、
(7)深冷器:0℃以下の非常に低温まで冷却するため
に用いられる熱交換器、(8)凝縮器:凝縮性気体を冷
却し、凝縮液化させるために用いられる熱交換器、
(9)全縮器:凝縮性気体の全部を凝縮化させる熱交換
器、(10)分縮器:凝縮性気体の一部を凝縮液化さ
せ、残りの部分を気体のままで放出させる熱交換器等と
称され、多用されている。
【0005】ここに、プレート式熱交換器による熱交換
の1例を図1を用いて説明すると以下のようになる。但
し、目的や必要に応じて、熱交換用ガスおよび/または
その他のガスの出入口は以下の説明とは逆方向から導入
または導出させてもよい。加えて、熱交換器の設置方向
は、垂直に限定されず取り扱いガスや流体の種類、熱交
換器の使用目的等に応じて選択できる。
【0006】まず、図1において、10はシェル、11
はガス出口、12はガス入口、22は熱交換用ガス導入
口、23は熱交換用ガス導出口、30は熱交換部を示
す。
【0007】該熱交換器では、熱交換を目的とするガス
は熱交換用ガス導入口から供給され、次いで熱交換部3
0に導入されたのち熱交換用ガス導出口から排出され
る。一方、熱交換用ガスと熱交換すべき他のガスは、ガ
ス入口からシェル内に導入された後流路を変更させなが
ら効率的に熱交換部で熱交換用ガスと熱交換し、ガス出
口から導出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このようなプレート式
熱交換器などのガス処理装置は、一般に、その処理を行
う際に必要温度を保持しあるいは熱回収のために加熱器
および/または冷却器として使用されるが、熱交換用ガ
スが易閉塞性物質を含有するときには、該プレート間で
しばしば閉塞が発生する。このため装置を停止し、人為
的または化学的に閉塞物を取り除くことが必要となる
が、汎用化合物の製造などで連続的な大量生産を目的と
する場合には、装置の停止は生産効率を低下させる原因
となる。また、かかる弊害を避けるために同一のガス処
理装置を二基設け、交互に切り替えて使用する方法もあ
るが、経費がかかりすぎるという問題がある。
【0009】また、プレート式熱交換器は、ガス導入口
の断面積は、熱交換部の断面積よりも小さいことが一般
的である。ガス導入口の断面積を熱交換部入口部と同じ
にすると、ガス配管を大きくする必要がありコスト高に
なるからである。このため、ガス導入口と熱交換部の断
面積とが異なると熱交換器の中央部には熱交換用ガスが
多く供給されるが、周辺部に供給されるガス量が少なく
なり、熱交換率を低下させる原因となる。しかしなが
ら、熱交換用ガスが導入される熱交換部について、ガス
の供給を均一にするための工夫については一切なされて
いない。
【0010】特に、熱交換用ガスが易閉塞性物質含有ガ
スの場合には、熱交換率が不均一であると易閉塞性物質
の付着や蓄積による閉塞物が局所的に生ずるが、これら
の対策も全くなされていない。例えば、易閉塞性物質含
有ガスとしてアクリル酸製造プロセスで発生した排出ガ
スを例にとれば、該ガスには易閉塞性のアクリル酸等が
含有されることが多いため、該ガスを熱交換した後に酸
化分解等を行って廃棄する場合には、熱交換の際に含ま
れるアクリル酸その他の易閉塞性物質によってプレート
間に閉塞が生じる。このように、易閉塞性物質含有ガス
の熱交換を行う際には、ガスが不均一に供給されること
による熱効率の低下に加え、供給ガスの一極集中によっ
て熱交換部の一部に閉塞物が発生し、装置全体の停止を
余儀なくされ、また、伝熱面に閉塞物が付着することで
伝熱効率が低下する等の問題がある。しかしながら、こ
れらはいずれも未解決のまま存在している。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するため種々の検討を重ね、プレート式熱交換器の
閉塞に関し以下の知見を得て、本発明を完成するに至っ
たのである。本発明は、プレート式熱交換器の閉塞を効
果的に防止することを目的とする。また、プレート式熱
交換器の構造を詳細に検討した結果、プレート流路幅お
よびガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を所定
の範囲に設定することでプレート式熱交換器の閉塞を防
止でき、熱交換部と熱交換用ガスの導入口との間にガス
分散板を設けることで熱交換部に均一にガスを供給する
ことができ、かつ該ガス分散板の配置によって閉塞物の
発生を有効に抑制できることを見出し本発明を完成させ
た。上記目的は、以下の(1)〜(10)によって達成
される。
【0012】(1)プレート式熱交換器を加熱器および
/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有する
ガスを処理する装置において、 i)当該装置内プレート式熱交換器のプレート流路幅を
6〜25mmの範囲とし、かつ、 ii)当該装置内プレート式熱交換器を通過するガスの
プレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/s
の範囲とする ことを特徴とするプレート式熱交換器の閉塞防止方法。
【0013】(2) プレート式熱交換器の易閉塞性物
質含有ガスのガス導入口が、ガス分散板を有する上記
(1)に記載の方法。
【0014】(3) 該ガス分散板の横断面積が、該ガ
ス導入口断面積の1.0〜10.0倍であることを特徴
とする、上記(2)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0015】(4) 該ガス導入口と該ガス分散板との
距離が該ガス導入口の直径の0.5〜3.0倍であり、
かつ、該ガス分散板と該熱交換部との距離が該ガス導入
口と該ガス分散板との距離の1.0〜5.0倍である、
上記(2)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0016】(5) 該ガス分散板が、開口率10〜6
0%の多孔板であることを特徴とする、上記(2)記載
の熱交換器の閉塞防止方法。
【0017】(6) 該多孔板の一つの孔の開口部面積
が、20〜1000mm2であることを特徴とする、上
記(5)記載の熱交換器の閉塞防止方法。
【0018】(7) 易閉塞性物質含有ガスのプレート
式熱交換器内ガス温度を該ガスの露点温度を超える温度
とする上記(1)に記載の方法。
【0019】(8) 前記装置が、(メタ)アクリル酸
の接触気相酸化プロセスで熱交換に使用されるものであ
る、上記(1)記載の方法。
【0020】(9) 前記装置が、(メタ)アクリル酸
およびそのエステルのプロセスから排出する廃棄ガスの
処理装置である、上記(1)に記載の方法。
【0021】(10) 該廃棄ガスを該プレート式熱交
換器に導入し、ついで酸化反応器で可燃性物質を分解し
て得た排出ガスを該熱交換器に供給し、該廃棄ガスと該
排出ガスとの間で熱交換するものである、上記(9)記
載の方法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の第一は、プレート式熱交
換器を加熱器および/または冷却器として備えた、易閉
塞性物質を含有するガスを処理する装置において、 i)当該装置内プレート式熱交換器のプレート流路幅を
6〜25mmの範囲とし、かつ、ii)当該装置内プレ
ート式熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積当
たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とすることを特
徴とするプレート式熱交換器の閉塞防止方法である。
【0023】本発明で使用するプレート式熱交換器とし
ては公知の装置を用いることができるが、例えば、プレ
ート式熱交換器は、管式の熱交換器とは異なり、伝熱部
に管ではなく板を使用しており、板の全面が伝熱板とな
るため、非常に熱効率がよく、小型化を図ることも容易
である。通常、伝熱板は薄い金属板で、流路、強度、伝
熱面積を考慮して、凹凸が付けてあり、又は波形であ
り、この金属板をフィルタープレスのように何枚も重
ね、その間に交互に流体を通して熱交換を行うことがで
きる。
【0024】本発明は、プレート式熱交換器を加熱器お
よび/または冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有
するガスを処理する装置において、プレート流路幅を6
〜25mmの範囲とし、かつ、該熱交換器を通過するガ
スのプレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m
/sの範囲とするものであるが、このようなガスを処理
する装置としては、少なくとも1のプレート式熱交換器
を含んでいればよく、その他に他の種類の熱交換器や、
ガス燃焼器、ガス酸化反応器、塔類、槽類、ガス移送用
ブロワー、温度測定器、圧力測定器、圧力制御弁などを
含んでいてもよい。
【0025】本発明でプレート式熱交換器に導入する易
閉塞性物質含有ガスとしては、プロパンやプロピレン、
イソブチレン、アクロレイン、メタクロレイン等を接触
気相酸化反応して(メタ)アクリル酸やそのエステルを
製造するプロセスで使用され、または該プロセスから排
出されるガスがある。例えば、接触気相酸化反応によっ
て(メタ)アクリル酸を製造する場合には、該酸化反応
の際に目的化合物以外に不純物が副生する。したがっ
て、目的化合物以外を分離精製する工程が必要となり、
該ガスを捕集溶液と向流接触して捕集し、次いでこれを
蒸留塔等に供給して低沸点化合物や高沸点化合物を分離
除去する等の工程を行う。このようなプロセスでは、該
反応器から排出される反応生成ガスや、各精製工程で使
用される蒸留塔等から排出されるガスに(メタ)アクリ
ル酸や下記する易閉塞性物質が含まれている。接触気相
酸化反応自体が発熱反応であることから反応生成ガスが
高温であり、次工程以降の蒸留操作では沸点以上に溶液
を加熱し、または還流操作のためにこれを冷却するなど
の熱交換操作が多用される。これらのプロセスで発生す
るガスの一部は同一プロセス内の他の工程にリサイクル
して再利用される場合もあるが、いずれにしても廃棄処
理すべき排出ガスが発生し、このガス中にも易閉塞性物
質が残存する場合がある。この廃棄対象となるガスも、
最終処分の前に熱交換器によって冷却して大気中に放出
され、または更にその他の処理を経た後に廃棄処理され
る場合がある。熱交換処理は、次工程で使用するガス温
度を目的温度に調整するために対象ガスを加熱しまたは
冷却する場合のほか、該ガス自体は不要であるが該ガス
の有する熱エネルギーを回収するために熱交換する場合
もある。従って、本発明の方法は、易閉塞性物質を含有
するガスであれば、特定化合物の製造プロセスからの排
出ガスに限られずに応用することができる。なお、本発
明の方法は、(メタ)アクリル酸およびそのエステルの
排気ガス処理装置に使用することが特に好ましい。これ
らのプロセスでは易閉塞性物質が多量に発生すること、
および同一プロセスにおいて高温ガスが発生すると共に
加温を必要とするガスが隣接して存在し、これら2者間
で熱交換を行えば熱交換率に優れるからである。
【0026】本発明でいう閉塞性物質含有ガスとは、プ
レート式熱交換器を閉塞する性質を有すれば特に限定は
されず、熱交換器への導入時に気体であればよい。ま
た、液体や浮遊可能な固体物質を含んでいてもよい。例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はこれ
らのエステル体、スチレン、アクリロニトリルが例示で
き、これらに更に高沸点物質や溶媒、昇華性物質、他の
混合物を含んでもよい。閉塞性物質としては、例えば、
アクリル酸およびアクリル酸エステルの場合には、アク
リル酸、アクリル酸エステルの他にアクリル酸を接触気
相酸化反応で得る際に副生するアクロレイン、マレイン
酸、テレフタル酸、ホルマリン混合物を挙げることがで
きる。
【0027】具体的には、(メタ)アクリル酸の接触気
相酸化プロセス内の装置、たとえば、プロピレン酸化用
反応器やアクロレイン酸化用反応器を備えるプロセス内
の装置から発生しまたは使用されるガス;(メタ)アク
リル酸、そのエステル、またはマレイン酸等の製造プロ
セスから発生するガス;前記ガスから目的成分を回収し
た後の廃棄対象となる精製工程で排出したガス等が例示
できる。
【0028】本発明の方法は、プレート式熱交換器に導
入されるガスの少なくとも1種が易閉塞性物質を含有す
る場合に有効であるため、互いに熱交換を行う2種のガ
スの双方が特定化合物の製造工程で発生した排出ガスで
ある必要はない。しかし、熱交換は近傍で発生しまたは
使用するガス間で行うことが熱損失が少なく効率的であ
る。このような例として、接触気相酸化反応によって
(メタ)アクリル酸を製造するプロセスで発生し、また
は使用する2種のガスの熱交換がある。
【0029】なお、アクリル酸の精製製造の工程を図8
に示す。図8において、201は、プレート式熱交換
器、210は接触気相酸化反応器を、211、222は
熱交換器を、220はアクリル酸捕集塔を、221は充
填物を、223は捕集液、224、225,233,2
45は廃棄ガス、226は槽、230は低沸点物質分離
塔を、231、241はコンデンサーを、232はリボ
イラーを、240は高沸点物質分離塔を、242はリボ
イラー、243はアクリル酸製品、244は廃棄有機物
を示す。原料ガスは、接触気相酸化反応器(210)に
供給され、アクリル酸捕集塔(220)で含まれるアク
リル酸を捕集液を用いて捕集し、次いで低沸点物質分離
塔(230)および高沸点物質分離塔(240)を経て
精製し、該高沸点物質分離塔(240)の塔頂からアク
リル酸製品を得る。
【0030】(メタ)アクリル酸の接触気相酸化プロセ
ス内の装置から発生しまたは使用されるガスの具体的な
熱交換の対象として、(i)分子状酸素含有ガス、水蒸
気、不活性ガスよりなる群から選ばれた少なくとも1
種、およびプロピレンとの混合ガスと、(ii)接触酸
化反応器から排出した反応生成ガスとの熱交換がある。
なお、分子状酸素含有ガスとしては酸素ガス;不活性ガ
スとしては窒素ガス、二酸化炭素ガスなどであり、分子
状酸素含有ガスおよび不活性ガスとして空気を用いても
よい。不活性ガスには、(メタ)アクリル酸の接触気相
酸化反応で得られた生成ガスから(メタ)アクリル酸な
どの必要な成分を除いた後のガス成分を単独で用いる場
合および前記の不活性ガスと混合する場合が含まれる。
【0031】また、(メタ)アクリル酸の製造プロセス
から発生する廃棄ガスと該ガスを酸化処理して得た酸化
分解ガスとの熱交換がある。プレート式熱交換器を備え
た触媒酸化反応廃棄ガス処理装置の概略フローを図7に
示す。図7において、110は触媒酸化反応器、120
は第一プレート式熱交換器、130は第二プレート式熱
交換器、140は熱回収装置、150はスタック、16
0は廃棄ガス用ブロワー、170はリサイクルブロワ
ー、180は温度調節弁、190は温度調節弁を示す。
本発明の方法を応用できる廃棄ガスの処理装置の一例を
図7を用いて説明する。該処理装置は、プレート式熱交
換器によって「易閉塞性ガスを含有する廃棄ガス」と
「その他のガス」との熱交換処理を行い、かつ該廃棄ガ
スに含まれる可燃性物質を該装置に付属する触媒酸化反
応器で焼却処理するものであれば、制限はない。熱交換
器が2以上配設されていても、および、熱交換器と触媒
酸化反応器に加えてブロワーや流量調節計、温度制御計
等を備えていてもよい。このような装置を用いて本発明
を応用する好ましい一例として、例えば図8の廃棄ガス
224、225,233,245の予熱がある。「廃棄
ガス」を予熱するために、熱エネルギーとして酸化分解
によって発生した熱エネルギーを利用し、熱交換器内で
「廃棄ガス」と「酸化分解ガス」との熱交換を行うので
ある。例えば、廃棄ガスをブロワー160によって熱交
換器120、130を経て酸化反応器110に移送し、
ここで可燃性物質を燃焼処理する。熱交換器120、1
30において廃棄ガスと熱交換する他のガスとして、酸
化反応器110から排出された分解ガスを使用する。酸
化反応器110での触媒酸化は発熱反応であるため、酸
化反応器から排出されるガスは多量の熱エネルギーを保
有するため、この熱エネルギーを用いて、酸化反応器に
導入する廃棄ガスを予熱するのである。このような熱交
換を実現するために必要な廃棄ガスや酸化分解ガスの流
路は、適宜配管することができる。図7では、酸化反応
器110から排出したガスの一部を熱交換器130に導
入し、かつリサイクルブロワー170を介して、バルブ
180、190の開閉によって一部を酸化反応器110
循環させ、また一部は、熱回収装置140に導入するこ
とができる。なお、酸化反応器から排出された分解ガス
は、熱交換器120によって廃棄ガスの予熱に利用され
ると共に、それ自体の温度を冷却することができ、最終
的にスタック150から排出される際の温度を至適に調
整することができるのである。
【0032】なお、アクリル酸の製造プロセスから発生
する廃棄ガスとしては、接触気相酸化反応器から排出し
た反応生成ガスを次工程にて精製した後の残ガスのほ
か、接触気相酸化工程に関わらず、精製工程単独で排出
されたガスが例示でき、該ガスを含んでいれば他のガス
を含んでいてもよい。
【0033】プレート式熱交換器を加熱器および/また
は冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガスを
処理する装置では、このようなプレート式熱交換器にお
いて、易閉塞性物質を含有するガスによる閉塞は、プレ
ートに易閉塞性物質が1)付着し、2)増嵩し、3)プ
レート間にブリッジが形成され、ついには閉塞に至る。
【0034】本発明において閉塞を防止するためには、
1)易閉塞性物質によるブリッジの形成を防ぐためにプ
レート流路幅を、6〜25mm、好ましくは8〜20m
mとし、かつ、2)通過ガス独自の衝突エネルギーによ
る付着物洗浄効果を増加させるために、通過ガスのプレ
ート流路断面積当たりの平均流速を、3〜15m/s、
好ましくは5〜12m/sとすることが必要である。
【0035】なお、本発明で閉塞を防止できるプレート
式熱交換器におけるプレートの形状は特に制限はされな
いが、通常用いられる平板のほか、ディンプル加工板、
波板等様々な形式の板を用いることができる。また、加
工の容易さからプレート入口部は概ね平板であるのが一
般的である。
【0036】また、各プレートの配置は、熱交換すべき
2つのガス流が互いに混合せずに熱交換できるのであれ
ば、制限はない。このため2つのガス流が向流で熱交換
する場合、並流で熱交換する場合のほか、図1で示した
ように直交流であってもよい。
【0037】図2は、プレート式熱交換器においてプレ
ートとガス流路との関係の一例を示す概略図である。プ
レートを利用してガスで熱交換を行うために、少なくと
も2種類のガス流路が必要となる。一つの流路は、プレ
ート1b,1cおよび縦板4a,4bで囲うことにより
構成される。この流路を流れるガス流れAは、プレート
1b,1cおよび縦板4a,4bで囲まれた流路を降下
する。なお、図2において、ガス流れAを易閉塞性物質
を含有するガスとする。
【0038】プレートは、伝熱板であり、通常、薄いス
テンレス鋼などの金属板で、流路、強度、伝熱面積を考
慮して、必要により凹凸(図示せず)が付けてある。ガ
ス流れAは、他のガス流れB1,B2と混合することな
く、このようにして作られた流路をプレート1b,1c
を介して熱交換を行いながら下方に進む。また、他のガ
ス流B1は、プレート1a、1bおよび横板2a、2b
で囲うことにより構成された流路を一のガス流と混合す
ることなく、プレート1bを介してガス流れAと熱交換
を行いながら前から後ろ方向に流れる。他のガス流B2
も、同様に、プレート1c、1dおよび横板2c、2d
で囲うことにより構成された流路を、一のガス流と混合
することなく、プレート1cを介してガス流れAと熱交
換を行いながら前から後ろ方向に流れる。
【0039】プレート式熱交換器においては、プレート
を介して熱交換させるガスが易閉塞性物質を含有するガ
スの場合には、該ガスが通過する流路では、易閉塞性物
質により流路の閉塞の問題が生ずる場合がある。本発明
では、易閉塞性物質を含有するガスのプレート流路幅w
およびプレート流路断面積当たりの平均流速を特定範囲
に調整することにより、プレートへの易閉塞性物質に基
づく閉塞防止するものである。
【0040】ここに、本発明におけるプレート流路幅と
は、プレートによって構成されたガス流路口の幅であっ
て、図2で示すWに該当する。プレートが、ディンプル
加工板、波板などの平板でない場合には、本発明のプレ
ート流路幅Wは、プレート流路幅W=(ガスの流れ方向
に対して垂直な横断面における流路口面積)/流路口の
長さLで示される。
【0041】また、プレート流路断面積当たりの平均流
速とは図2の記号を用いれば以下の式で表される。
【0042】平均流速=(プレート入口部でのガスの体
積流量)/(プレート流路幅W×流路口の長さL×(流
路数))で示される。
【0043】プレート流路幅が6mm未満であれば易閉
塞性物質がプレート間でブリッジを形成しやすく、その
一方25mmを越えると、結果的に易閉塞性物質含有ガ
スの平均流速が遅くなり、伝熱面であるプレート1b,
cへの付着物の増大を引き起こし好ましくない。さら
に、プレートの伝熱係数の低下を招き、該熱交換器が大
型化するため経済的でない。また、熱交換器の流路数を
減少し、または流路口の長さを短くすることで、ガスの
平均流速の減少を防ぐことも可能であるが、その場合に
は、熱交換の為の伝熱面積を確保するために易閉塞性物
質含有ガスの流れ方向にプレートを追加せねばならず、
機器の圧力損失の増大を招き、ブロワー等の大型化、ラ
ンニングコストの増加の点から経済的ではない。
【0044】また、本発明によって易閉塞性物質による
閉塞を防止するには、ガスのプレート流路断面積当たり
の平均流速を3〜15m/sとする必要がある。平均流
速が、3m/s未満であると、プレートの伝熱係数の低
下を招き、熱交換が十分に行われず、かつ伝熱面である
プレートへの付着物の増大を引き起こし好ましくない。
その一方、15m/sを上回ると結果的にプレート流路
幅を狭くすることとなり、プレートへの付着物の増大を
引き起こし好ましくない。また、機器の圧力損失の増大
を招き、ブロワー等の大型化、ランニングコストの増加
の点から経済的でない。プレート式熱交換器の流路数あ
るいはLを減らしプレート幅Wを広く保つことも可能で
あるが、その場合には、伝熱面積を確保するために易閉
塞性物質含有ガスの流れ方向にプレートを追加せねばな
らず、同じく機器の圧力損失の増大を招く。
【0045】なお、本発明では、プレート式熱交換器の
プレート流路幅を6〜25mmの範囲とし、かつ、該プ
レート式熱交換器を通過するガスのプレート流路断面積
当たりの平均流速を3〜15m/sの範囲とすればよ
く、プレート流路断面積のサイズや流路数に制限はな
い。
【0046】加えてプレート式熱交換器においては、ガ
スを熱交換、すなわちガスを予熱または冷却することが
目的であり、易閉塞性物質含有ガスのガス流と他のガス
流のガスの種類およびガスの流れの方向は任意に選択す
ることが可能である。即ち、少なくとも易閉塞性物質を
含有するガスを熱交換する場合に、該易閉塞性物質含有
ガスの流路において、上記プレート流路幅範囲およびプ
レート流路断面積当たりの平均流速範囲を充たせばよ
い。図2においては、易閉塞性物質含有ガスをガス流れ
Aとして、プレート流路幅およびガスの平均流速を規定
した。他のガス流れB1、B2も同様に易閉塞性物質含
有ガスである場合には、該ガス流れB1,B2について
もそれぞれ上記規定を採用することによりプレート閉塞
防止効果が得られる。
【0047】本発明では、プレート式熱交換器の易閉塞
性物質含有ガスのガス導入口が、ガス分散板を有するこ
とが好ましい。この該ガス分散板の横断面積が、該ガス
導入口断面積の1.0〜10.0倍であることが好まし
い。また、該ガス導入口と該ガス分散板との距離が該ガ
ス導入口の直径の0.5〜3.0倍であり、かつ、該ガ
ス分散板と該熱交換部との距離が該ガス導入口と該ガス
分散板との距離の1.0〜5.0倍であることが好まし
い。また、該ガス分散板が、開口率10〜60%の多孔
板であることが好ましい。さらに、該多孔板の一つの孔
の開口部面積が、20〜1000mm2であることが好
ましい。これを以下に説明する。
【0048】本発明では、図3に示すように、ガスの偏
流を防ぐためのガス分散板をプレート式熱交換器の易閉
塞性物質含有ガスのガス導入口に設けることが望まし
い。該分散板の形式は、例えば多孔板等があるが特に限
定されない。ただし、分散板自体の閉塞防止を考慮に入
れ、なるべく流路の広い簡単な構造のものを選定するこ
とが好ましい。なお、図3および図6において、10は
シェル、11はガス出口、12はガス入口、22は易閉
塞性物質含有ガス導入口、23は易閉塞性物質含有ガス
導出口、30は熱交換部、32はプレート、40はガス
分散板、42はガス分散板支持体を示す。
【0049】本発明では、ガス分散板の横断面積は、ガ
ス導入口断面積の1.0〜10.0倍、より好ましくは
1.2〜8.0倍、特には1.5〜6.0倍であること
が好ましい。ガス導入口はガス処理装置内にガスを導入
するためのガス配管と接続させるために、その横断面積
は熱交換部断面積よりも小さいことが一般的であり、通
常、ガス導入口断面積1に対する熱交換部断面積は、2
〜100倍である。上記範囲としたのは、ガス分散板の
横断面積がガス導入口断面積の1倍を下回るとガス分散
板により分散されないガスが存在するため十分なガス分
散が困難となり、その一方、10.0倍を越えると分散
板で閉塞が発生する場合があるからである。
【0050】また、該ガス分散板には貫通する孔が無く
てもよいが孔を設ければガスの分散がより均一となる。
このような孔を有する多孔板を図4に示す。使用する分
散板は、開口率10〜60%、より好ましくは20〜5
5%、特には40〜50%であることが好ましい。10
%を下回ると、分散板を通過しないガスが多くなり孔を
設けた割には均一に分散されず、また、該分散板での閉
塞が生ずるからである。その一方、60%を越えると分
散板を通過するガスが多くなって均一に分散されない場
合が生ずるからである。なお、本願明細書では、上記ガ
ス分散板の横断面積は開口部0%の場合の平面部表面積
を意味するものとする。従って、図4に示すように多孔
の開口部を有する場合には、実際の平面表面積は、横断
面積×(100−開口率)/100となる。また、開口
率は、開口部面積×100/ガス分散板横断面積とす
る。
【0051】図4では四角形の板に円形の貫通孔を設け
たものを示すが、本発明においてはガス分散板の形状は
板状であれば、円形、楕円形、三角形、四角形などの多
角形であってもよい。また、開口する多孔の形状も円
形、楕円形に限られず三角形、四角形などの多角形であ
ってもよい。尚、多孔はガス分散板に均一に分散してい
ることが好ましいが、各多孔の形状が同一形状である必
要はない。図5に円形の板に直径の異なる円形の貫通孔
を設けたガス分散板を示す。本発明では、図5に示す様
に異なるサイズの多孔が分散して配置してあってもよ
い。
【0052】しかしながら、本発明で使用する分散板で
は、孔のサイズは、20〜1000mm2、より好まし
くは50〜700mm2、特には100〜500mm2
ることが好ましい。20mm2を下回ると孔が閉塞さ
れ、最終的に熱交換部への均一なガスの分散が成され
ず、熱交換部で閉塞の発生が生じる場合がある。その一
方1000mm2を越えるとガス分散板の経過時にガス
が十分に分散されず、熱交換部で閉塞が生じる場合があ
る。
【0053】一般にガスの分散は、ガス分散板の配置場
所によっても異なる。本発明で使用する分散板の配置を
図6を用いて説明する。本発明では、該ガス導入口と該
ガス分散板との距離(Ln)が該ガス導入口相当直径
(An)の0.5〜3.0倍、より好ましくは0.6〜
2.5倍、特には0.8〜2.0倍であり、かつ、該ガ
ス分散板と該熱交換部との距離(Lt)が該ガス導入口
と該ガス分散板との距離(Ln)の1.0〜5.0倍、
より好ましくは1.1〜4.0倍、特には1.2〜3.
0倍であることが好ましい。Lnが0.5倍を下回ると
ガス導入口からのガスがガス分散板の全面に分散されず
にぶつかるためにガス分散板表面で閉塞し易く、その一
方、3.0倍を越えるとガス分散板に接触するガス量が
少ないためにガスの分散が不十分となるからである。更
に、Ltが、Lnの1.0倍を下回ると、ガス分散板と
最も近い熱交換部へのガスの分散が不十分となり、その
一方、5.0倍を越えると、熱交換器の仕切室長をより
長くする必要が生じて不利となるからである。なお、ガ
ス導入口は円形に限られず、三角形、四角形等の多角形
でもよい。ガス導入口が円形の場合には、該ガス導入口
相当直径は該内径を意味するが、ガス導入口が円形で無
い場合には、該ガス導入口と該ガス分散板との距離(L
n)の算出に際しては、4×ガス導入口断面積/ガス導
入口内周長で算出される値を相当内径として使用する。
また、ガス分散板は、ガス分散板と最も近傍に位置する
熱交換部のガス接触面と平行または略平行に配設される
ことが好ましい。
【0054】また、該分散板を配設するには、図6に示
すように、1ないし複数本のガス分散板支持体でガス分
散板を中吊りにすれば簡便に配設できる。なお、易閉塞
性物質含有ガスの熱交換を目的とするには、本来、ガス
導入口から熱交換部までの間に構造物を有しないことが
好ましい。該構造物に易閉塞性物質含有ガスが接触する
と、接触面で易閉塞性物質含有ガスが付着、蓄積し、ブ
リッチを形成し易くなるからである。しかしながら、導
入ガスの分散をより均一にするために、該分散板を上記
範囲内で複数設けることは可能である。複数のガス分散
板の配設によってより分散が均一となる場合がある。
【0055】このようなガス分散板やガス分散板支持体
の材料としては、鋼材を使用することが好ましく、溶接
等し易さから、オーステナイト系鋼、オーステナイト・
フェライト系鋼、フェライト系鋼などの公知の鋼材が好
ましく使用できる。これらによれば易閉塞性物質と反応
せず、易閉塞性物質に変性等を与えず、伝熱板自体の腐
食を生ずることがないからである。
【0056】本発明では、ガス分散板を設けることでガ
スの分散のみならず、易閉塞性物質による閉塞をも防止
するものである。
【0057】また、本発明では、プレート式熱交換器に
おける閉塞物質の付着性を減じるため、上記プレート幅
の選択およびガスのプレート流路断面積当たりの平均流
速の選択に加えて、プレート式熱交換器内該ガス温度を
該ガスの露点温度を超える温度、好ましくは露点温度+
5℃以上の範囲で使用することも効果的な方法である。
露点以下では、プレート面に液滴が付着するため、易閉
塞性物質が液滴を介してプレートに付着しやすい。易閉
塞性物質含有ガスが流れるプレート間内のガスを乾き雰
囲気に保つことで易閉塞性物質のプレートへの付着や蓄
積を防止できるからである。
【0058】本発明の方法は、(メタ)アクリル酸およ
びそのエステルのプロセスから排出する廃棄ガスの処理
装置であることが好ましい。特に、該廃棄ガスを該プレ
ート式熱交換器に導入し、ついで酸化反応器で可燃性物
質を酸化して得た排出ガスを該熱交換器に供給し、該廃
棄ガスと該排出ガスとの間で熱交換するものであること
が好ましい。
【0059】(メタ)アクリル酸やそのエステルの製造
プロセスでは、易閉塞性物質を含有するガスが発生する
ため、最終的は廃棄ガスにも易閉塞性物質である可燃性
物質が含まれている。これを大気中に放出すると臭気や
物質自体の物性による環境汚染の影響がある。このため
これを酸化分解などした後に廃棄することが好ましい
が、この酸化分解においても熱が発生する。従って、該
熱エネルギーを有効に利用するためにも、本発明の閉塞
防止方法が有効だからである。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0061】(実施例1)以下、本発明の実施例により
具体的に説明する。
【0062】実験例 以下の実施例は、易閉塞性物質を含有するガスとして接
触気相酸化反応によってアクリル酸を製造し、次いでこ
れを精製する際に精製工程から排出したガスを用いて、
プレート式熱交換器の閉塞の有無を確認した。
【0063】用いた排出ガスの組成は、炭化水素類0.
5〜1.0容量%、一酸化炭素0.5〜1.0容量%、
二酸化炭素1.0〜1.5容量%、水蒸気15〜25容
量%、酸素0.5〜2.0容量%、有機酸等の易閉塞性
物質は0.2〜0.5容量%、残りは、窒素であった。
【0064】図7は、プレート式熱交換器を備えた触媒
酸化反応排出ガス処理装置の概略フローの一例を示す図
面である。上記の組成の排出ガス(温度60℃)を排出
ガス用ブロワーを用いて、第一プレート式熱交換器(易
閉塞性物質含有ガスの熱交換器内の最低温度60℃、他
のガスの熱交換器内の最低温度100℃)及び第二プレ
ート式熱交換器((易閉塞性物質含有ガスの熱交換器内
の最低温度150℃、他のガスの熱交換器内の最低温度
200℃)を通過させて触媒酸化反応器で可燃性物質を
燃焼した。各熱交換器内のプレートの材質はそれぞれス
テンレス鋼(SUS304)である。触媒酸化反応器で
は、白金、パラジウムなどの貴金属を活性成分とする公
知の酸化触媒を用いて、燃焼可能な成分を燃焼させた。
もちろん、マンガン、コバルトなどの重金属を活性成分
を用いたものでもよい。なお、かかる燃焼ガスの一部を
第二プレート式熱交換器に経由させて排出ガスの予熱に
利用している。該排出ガスはリサイクルブロアーを経由
させ、バルブ180、190を適宜開閉して触媒酸化反
応器にまたは後述の熱回収装置に送った。また、燃焼ガ
スの残部を熱回収装置に送った。熱回収装置を出たガス
は、第一熱交換器を通して排出ガスの予熱に利用しスタ
ックから放出させた。なお、第一プレート式熱交換器の
易閉塞性物質含有ガスの露点温度は55℃であった。
【0065】それぞれのプレート式熱交換器の易閉塞性
物質含有ガス導入口には、ガス導入口と分散板との距離
が、ガス導入口直径の0.6倍、分散板と熱交換器との
距離がガス導入口と分散板との距離の2.0倍の位置
に、断面積がガス導入口断面積の1.3倍、開口率が2
5%、一つの孔の開口部面積が490mm2である分散
板を設置した。
【0066】プレート式熱交換器の閉塞防止方法の効果
を評価する基準として閉塞度を用いた。閉塞度はプレー
ト式熱交換器の大きさや処理ガス量の相違を考慮して次
のように規定した: 閉塞度(mg/Nm3)=プレート式熱交換器内付着物
量(mg)/全処理ガス量(Nm3) 第一プレート式熱交換器について閉塞度を測定し、得ら
れた結果を下記の表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】(結果)表1において、実験例3と4は、
比較例を示す。備考に特に記述なきものは、1ヶ月稼働
後停止して付着物重量を測定した。実験例5は付着物に
偏りがあるが、その他の例についてはプレートに一様に
付着物があった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、プレート流路幅および
ガスのプレート流路断面積当たりの平均流速を所定の範
囲に設定することにより、(メタ)アクリル酸製造装置
内などの易閉塞性物質を含む排出ガスを処理する際に、
プレート式熱交換器の閉塞を防止しまたはプレート式熱
交換器を長期間停止することなく運転ができる。
【0070】また、本発明は、プレート式熱交換器によ
る易閉塞性物質の熱交換において、該プレート式熱交換
器が、易閉塞性物質含有ガスのガス導入口にガス分散板
を配設されたものであるプレート式熱交換器の熱交換器
の閉塞防止方法である。
【0071】本発明によれば、プレート式熱交換器内の
熱交換部における易閉塞性物質含有ガスを均一に分散す
る結果、熱交換部においてガスが不均一に供給される場
合の閉塞物の発生を抑制することができる。ガスの分散
が不均一の場合に、構造物に易閉塞性物質含有ガスが接
触すると、該接触面で該ガスが付着、蓄積しこれによっ
て閉塞物が発生するが、本発明の方法によれば分散板の
設置によって熱交換部にガスを均一に分散することがで
き、該ガスの付着や蓄積を抑制し、閉塞を防止すること
ができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、プレート式交換器によって熱交換を
行う場合のガス流路の流れを示す斜視図である。熱交換
用ガスの流れを黒矢印で、他のガスの流れを白抜き矢印
で示す。
【図2】 図2は、プレート式熱交換器においてプレー
トとガス流路との関係の一例を示す概略図である。
【図3】 図3は、ガス分散板を設けたプレート式交換
器を示す斜視図である。易閉塞性物質含有ガスの流れを
黒矢印で、流体の流れを白抜き矢印で示す。
【図4】 図4は、本発明の方法で使用することが好ま
しい、方形かつ円形の多孔を有するガス分散板の斜視図
である。
【図5】 図5は、本発明の方法で使用することが好ま
しい、円形かつ大小異なる円形の多孔を有するガス分散
板の平面図である。
【図6】 図6は、ガス分散板を設置したプレート式熱
交換器における、好ましい分散板の配置位置を説明する
概略図である。
【図7】 図7は、プレート式熱交換器を備えた触媒酸
化反応廃棄ガス処理装置の概略フローの一例を示す図面
である。
【図8】 図8は、プレート式熱交換器を備えたアクリ
ル酸製造プロセスの概略フローの一例を示す図面であ
る。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d…プレート 2a,2b,2c,2d…横板 4a,4b…縦板 10・・シェル、 11・・・ガス出口、 12・・・ガス入口、 22・・・熱交換用ガス導入口(易閉塞性物質含有ガス導
入口)、 23・・・熱交換用ガス導出口(易閉塞性物質含有ガス導
出口)、 30・・・熱交換部、 32・・・プレート、 40・・・ガス分散板、 41・・・孔、 42・・・ガス分散板支持体 110・・・触媒酸化反応器、 120・・・第一プレート式熱交換器、 130・・・第二プレート式熱交換器、 140・・・熱回収装置、 150・・・スタック、 160・・・廃棄ガス用ブロワー、 170・・・リサイクルブロワー、 180・・・温度調節弁、 190・・・温度調節弁 201・・・プレート式熱交換器、 210・・・接触気相酸化反応器 211、222・・・熱交換器、 220・・・アクリル酸捕集塔 221・・・充填物、 223・・・捕集液、 224、225,233,245・・・廃棄ガス、 226・・・槽、 230・・・低沸点物質分離塔、 231、241・・・コンデンサー 232・・・リボイラー、 240・・・高沸点物質分離塔、 242・・・リボイラー、 243・・・アクリル酸製品、 244・・・廃棄有機物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 整 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 百々 治 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレート式熱交換器を加熱器および/ま
    たは冷却器として備えた、易閉塞性物質を含有するガス
    を処理する装置において、 i)当該装置内プレート式熱交換器のプレート流路幅を
    6〜25mmの範囲とし、かつ、 ii)当該装置内プレート式熱交換器を通過するガスの
    プレート流路断面積当たりの平均流速を3〜15m/s
    の範囲とすることを特徴とするプレート式熱交換器の閉
    塞防止方法。
  2. 【請求項2】 プレート式熱交換器の易閉塞性物質含有
    ガスのガス導入口が、ガス分散板を有する請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 易閉塞性物質含有ガスのプレート式熱交
    換器内ガス温度を該ガスの露点温度を超える温度とする
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記装置が、(メタ)アクリル酸の接触
    気相酸化プロセスで熱交換に使用されるものである、請
    求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記装置が、(メタ)アクリル酸および
    そのエステルのプロセスから排出する廃棄ガスの処理装
    置である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 該廃棄ガスを該プレート式熱交換器に導
    入し、ついで酸化反応器で可燃性物質を分解して得た排
    出ガスを該熱交換器に供給し、該廃棄ガスと該排出ガス
    との間で熱交換するものである、請求項5記載の方法。
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