JP4615051B2 - 天吊り型情報機器仮固定機構 - Google Patents

Description

この発明は、例えば自動車、電車および船舶等、或いは家屋等の室の天井に設置されるディスプレイ等情報機器の仮固定手段としての天吊り型情報機器仮固定機構に関する。

情報機器を室の天井部に取り付ける際、本来の設置態位に近い作業性の良好な仮の位置を定めてその仮の位置のもとで、ハーネスの這いまわし経路や距離を定めるという方法が採られる。しかし、情報機器は一般に重量物であるため、情報機器を作業員が抱えたままでハーネスの這いまわし等の作業を行なうことは安全性の確保の観点から好ましくなく、作業性もよくない。

そこで、情報機器を仮固定して作業することが考えられるが、この仮固定の準備に重量物を天井近くまで持ち上げなければならないため、大変な作業であることには変わりない。従来、電子機器の仮固定構造としては、ネジ締結時の落下防止を目的とした技術がある（例えば、特許文献１参照）。

上記特許文献１の技術は、車両天井面にブラケットを固定した後、このブラケットの各第１切片がそれぞれ対応する貫通穴に挿入されるように機器本体を持ち上げねばならず、しかも、持ち上げた状態で凹と凸との嵌合関係を得なければならないので容易とはいえない。機器本体はブラケットに仮固定され、さらに、仮固定状態でねじにより締結される。しかし、ねじ締結による仮固定状態のもとでは、機器本体をハーネスの這いまわし等、作業性の良好な状態に変位させる自由度は制限されると考えられるが、かかる自由度に関しての言及はない。

特開２００３−３３３４５８号公報

前記特許文献における電子機器の仮固定構造は、天井部との間に間隙が少ないほぼ平行な状態に仮固定される構成であり、コネクタの挿入等、下から部品を装着する等の作業に際し機器本体の作業対象部位を作業に適する向きに変位する自由度はないと考えられる。

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、情報機器を仮固定状態のもとで作業に適する態位に変位可能とする天吊り型情報機器仮固定機構を提供することを目的とする。

この発明は、天井部又は情報機器の何れか一方に形成されたフック部と、天井部又は情報機器の何れか残りの他方に形成された掛止部との組み合わせからなり、フック部は切り起こしによる板状片又は切り起こし状の板状片であって、掛止部と掛合することのできる第１掛合部を有し、掛止部は切り起こしによるばね性の板状片又は切り起こし状のばね性の板状片であって、第１掛合部が通る大きさの開口部と、この開口部よりも当該板状片の先端側に形成され第１掛合部と掛合することのできる第２掛合部とを有するものである。

この発明によれば、情報機器を仮固定状態のもとで作業に適する態位に変位可能である。

情報機器に設けた掛止部を、天井部ブラケットに設けたフック部に掛合させる径路を示した斜視図である。 情報機器に設けた掛止部と、天井部ブラケットに設けたフック部とを拡大して示した斜視図である。 仮固定状態にある情報機器を説明した要部断面図である。 本固定状態にある情報機器を説明した要部断面図である。 フック部と掛止部との組み合わせを複数備えた固定構造を説明した斜視図である。 情報機器に設けたフック部を、天井部ブラケットに設けた掛止部に掛合させてから情報機器を本固定した状態を示した斜視図である。 仮固定状態にある情報機器を説明した要部断面図である。 本固定状態にある情報機器を説明した要部断面図である。

以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態１．
図１および図１の要部を拡大して示した図２において、扁平な直方体状をした情報機器１は支軸１ｂで情報表示部１ａを支持している。情報機器１はその正規の固定態位で支軸１ｂを支点にして情報表示部１ａを視認に適する角度に開くことができ、乗員は車室内で各種の情報に接することができる。

天井部を構成する板状のブラケット部材２には、その一部が下向きに切り起こされてフック部３が構成されている。或いは切り起こしという工法ではなくても板状の部材をブラケット部材２から角度をつけて延出した構成としてフック部３を構成することもできる。何れにしても、フック部３は、下向きに切り起こされ或いは切り起こし状に構成された基端部３ａと、この基端部３ａから折曲し上面が平坦な第１掛合部３ｂ等からなる。第１掛合部３ｂの上面には、該上面より突出し上端が半球状をした凸部３ｃが設けられている。ブラケット部材２には切り起こしに伴い開口４が形成されている。本例ではフック部３を切り起こしにより形成したので、開口４が形成されているが、切り起こしによることなく、ブラケット部材２と一体に製造した場合には開口４は形成されない。

情報機器１の上面は矩形をしている。支軸１ｂが設けられた側の上面であって、支軸１ｂの軸線方向の略中央位置には、掛止部５が設けられている。この掛止部５はフック部３と対をなして本発明の天吊り型情報機器仮固定機構を構成する。また、支軸１ｂが設けられた側とは逆側の側面部には傾斜面が形成されており、この傾斜面にハーネス取り付け開口６が設けられている。

掛止部５は、情報機器１の筐体状のフレームを構成する板状部を切り起こした板状片で形成されており、この板状片は上記フレームとの接続部を含め、ばね性を有する材料からなる。或いは切り起こしという工法ではなくても板状の部材を情報機器１の上面から角度をつけて延出した構成として掛止部５を構成することもできる。何れにしても、掛止部５は上向きに切り起こされた基端部５ａと、この基端部５ａから情報機器１の上面と略平行な向きに折曲し上面が平坦な第２掛合部５ｂ等からなる。情報機器１の筐体には切り起こしにより開口５ｆが形成されている。切り起こしによることなく、上記フレームと一体に製造した場合には開口５ｆは形成されない。

基端部５ａには第１掛合部３ｂが通る大きさの開口部５ｃが形成されている。第２掛合部５ｂは開口部５ｃよりも当該板状片の先端側に位置し、第１掛合面部３ｂと掛合することができる。

第２掛合部５ｂの中央部に貫通穴５ｄが形成されている。或いは貫通穴でなく、裏面に凹部を形成してもよい。この貫通穴５ｄ（或いは上記凹部）は凸部３ｃと嵌合できる大きさを有している。凸部３ｃと貫通穴５ｄ（或いは上記凹部）は対をなし、これらは第１掛合部３ｂと第２掛合部５ｂとの掛合が外れないようにするストッパとして機能する。

情報機器１の仮固定に際しては、情報機器１を持ち上げ、掛止部５の開口部５ｃに第１掛合部３ｂを挿通させ、第１掛合部３ｂの上に第２掛合部５ｂを重ね、凸部３ｃを貫通穴５ｄに嵌合させる。この作業は、開口部５ｂが容易に視認でき確認が可能な大きさで形成可能であることから、また、開口部５ｃの幅をガイドにして第１掛合部３ｂを挿通させることができることから比較的容易である。また、奥行き方向についても、傾斜面を構成している基端部３ｂに第２掛合部５ｂの端部が突き当たる位置で貫通穴５ｄ（或いは上記凹部）と凸部３ｃとが嵌合するように位置を定めておくことで、容易に凸部３ｃと貫通穴５ｄとの嵌合状態を得ることができる。こうして、情報機器１は仮固定状態となる。仮固定状態では、情報機器１は掛合部を介してフック部３で支持され、しかもストッパにより掛合位置がずれないので、情報機器１から手を離しても、安全に以後の作業を進めることができる。

情報機器１の仮固定状態を示した図３において、第２掛合部５ｂの貫通穴５ｄに第１掛合部３ｂの凸部３ｃを嵌合させ、手を離すと、情報機器１から一体に延出した基端部５ａの根元部５ｅを中心に情報機器１の重量分の回転モーメントが加わる。

掛止部５は前記したとおりばね性を有しており、上記回転モーメントが加わることにより、上記根元部５ｅを支点として円弧状の矢印で示すように情報機器１が回転し（掛止部５が根元部５ｅを中心にして開き）、図３に示すように、ハーネス取り付け開口６が下になる傾きの状態で安定した仮固定状態となるようにしてある。このような傾き状態が得られるように情報機器１上での掛止部５の位置、形状、掛止部５を構成する材料の材質等を考慮して定めておく。

図３に示すように、ハーネス取り付け開口６が下向きとなる状態では、作業者は片手を軽く情報機器１に添えるだけで簡単にハーネス取り付け開口６にハーネス７を取り付ける作業を行うことができる。また、掛止部５はばね性を有する材質からなるため、ハーネス７、或いはその他部品等の取り付け作業中でも、情報機器１に作業者が力を加えることで、根元部５ｅを支点に情報機器１を揺動させて簡単に、作業し易い仮固定角度に変えることができる。

情報機器１にハーネス７を取り付ける等、必要な作業が終了したならば、図４に示したように情報機器１を押し上げ、ブラケット部材２に形成された台形状の下向き凸状部２ａに情報機器１の上面を押し当てた最終固定位置で、ねじ等の固定手段を用いて下向き凸状部２ａに本固定をする。

ここで、情報機器１を図３に示した状態から図４に示した状態まで押し上げるに伴い、掛止部５はばね性を有しているので最終固定位置まで情報機器１が変位するのに応じて変形して縮む。本例のようにばね性を有する材料で構成すれば、掛止部５が縮む傾向に変形することから上記逃げ用のスペースを必要とせず、スペースを節約できる。これに対して、例えば、掛止部５に相当する部材をばね性を有しない剛体で構成した場合には、この変形しない剛体を逃がすために余計なスペースが必要となる。

また、情報機器１が最終固定位置に本固定された状態では、ばね性を有する掛止部５がばねを圧縮された状態となるため、情報機器１とブラケット部材２との間でテンションをかけ合う状態となる。つまり、情報機器１を固定している固定手段に掛止部５がもつばね力Ｐの反力Ｐ’が作用して一方向に押圧する状態となるため、車体走行時等で振動が加わった際にも、固定手段の隙間に起因して発生する異音を防止することができる。

本実施の形態において、凸部３ｃと貫通穴５ｄ（或いは上記凹部）によるストッパは必須の構成ではなく、第１掛合部３ｂおよび第２掛合部５ｂがが外れにくい関係となる場合等には設けなくてもよい。或いは、凸部３ｃと貫通穴５ｄ（或いは上記凹部）以外の凹凸の組み合わせ等適宜のストッパを構成することもできる。

実施の形態２．
前記実施の形態において、第１掛合部、第２掛合部同士は、面同士の接触により掛合するので、情報機器は仮固定状態で比較的安定しているが、本実施の形態２ではさらなる安定を得る。
この実施の形態２では、図５に示したように１つの情報機器１に対して、前記したフック部３と前記した掛止部５との組み合わせを支軸１ｂの軸方向に複数設けている。このように複数設けると、単数の場合に比べて根元部５ｅを支点とする回転軸がねじれたりしにくくなり、情報機器の空間位置がより安定となるため、情報機器１の仮固定位置がさらに安定し、仮固定状態での安全性、作業性を増すことが可能となる。

実施の形態３．
この実施の形態３は、前記実施の形態に比べ、フック部と掛止部とを情報機器１とブラケット部材間で置き換えた如き構成を採用している。つまり、情報機器１にフック部を設け、ブラケット部材に掛止部を設けている。

図６は情報機器１に設けたフック部３０を、ブラケット部材２に設けた掛止部５０に掛合させてから情報機器１をブラケット部材２に本固定した状態を示す。情報機器１は前記実施の形態１におけると同じ形態をしているが、異なるのは、掛止部５に代えてフック部３０を設けていることである。ブラケット部材２は前記実施の形態１におけると同じ形態をしているが、異なるのは、フック部３に代えて掛止部５０を設けたことである。フック部３０と掛止部５０とは対をなし、両者の掛合、掛止関係により実施の形態１におけると同じように情報機器１が仮固定される。

図７において、情報機器１の上面であって、実施の形態１においてフック部３が形成された部位に相当する部位に切り起こし（或いは切り起こし状に）フック部３０が構成されている。フック部３０は、切り起こしにより上向きに延出した基端部３０ａと該基端部３０ａから折曲し上面が平坦な第１掛合部３０ｂ等からなる。

第１掛合部３０ｂには貫通穴３０ｃ（或いは凹部）が形成されている。開口４０は切り起こしに伴い形成されたものである。本例ではフック部３０を切り起こしにより形成したので、開口４０が形成されているが、切り起こしによることなく、情報機器１のフレームを一体形成した場合には開口４０は形成されない。

掛止部５０は、ブラケット部材２を構成する板状の部分を下向きに切り起こして形成されており、この板状の部分は根元５０ｅを含め、ばね性を有する材料からなる。掛止部５０は下向きに切り起こされた基端部５０ａと、この基端部５０ａから折曲し上面が平坦な第２掛合部５０ｂ等からなる。ブラケット部材２には切り起こしにより開口５０ｆが形成されている。

基端部５０ａには第１掛合部３０ｂが通る大きさの開口５０ｃが形成されている。第２掛合部５０ｂは開口部５０ｃよりも当該板状片の先端側に位置し、第１掛合面部３０ｂと掛合することができる。

第２掛合部５０ｂには上面より突出し上端が半球状をした丸軸状の凸部５０ｄ（或いは凹部）が設けられている。第１掛合部３０ｂに設けられた貫通穴３０ｃは凸部５０ｄと嵌合できる大きさを有しており、凸部５０ｄと対をなし第１掛合部３０ｂと第２掛合部５０ｂとの掛合が外れないようにするストッパである。

情報機器１の仮固定に際しては、情報機器１を持ち上げ、掛止部５０の開口部５０ｃに第１掛合部３０ｂを挿通させ、第１掛合部３０ｂの下に第２掛合部５０ｂを重ね、凸部５０ｄを貫通穴３０ｃに嵌合させる。この作業において開口部５０ｃで第１掛合部３０ｂのガイド機能を果たさせることや、基端部３０ａに第２掛合部５０ｂが当たる位置で凸部５０ｄと貫通穴３０ｃが合致するようにすること等により、作業性が向上することは前記実施例におけると同様である。こうして、情報機器１をブラケット部材２に仮固定状態にする。仮固定状態では情報機器１から手を離しても、情報機器１はフック部３０で支持されているので落下しない。

情報機器１の仮固定状態を示した図７において、第１掛合部３０ｂの貫通穴３０ｃに第２掛合部５０ｂの凸部５０ｄを嵌合させると、ブラケット部材２から切り起こされた基端部５０ａの根元部５０ｅを中心に情報機器１の重量分の回転モーメントが加わる。

掛止部５０はばね性を有しており、上記回転モーメントが加わることにより、上記根元５０ｅを支点として、矢印で示すように情報機器１が回転し（掛止部５０が根元部５０ｅを中心にして開き）、図７に示すように、ハーネス取り付け開口６が下になる傾きの状態で安定した仮固定状態となる。このような傾き状態が得られるように情報機器１上での掛止部５０の位置、形状、掛止部５０を構成する材料の材質等を考慮して定めておく。

図７に示すように、ハーネス取り付け開口６が下向きとなる状態では、作業者は片手を軽く情報機器１に添えるだけで簡単にハーネス取り付け開口６にハーネス７を取り付ける作業を行うことができる。また、掛止部５０はばね性を有する材質からなるため、ハーネス７、或いはその他部品等の取り付け作業中でも、情報機器１に作業者が力を加えることで、根元部５０ｅを支点に情報機器１を揺動させて簡単に、作業し易い仮固定角度に変えることができる。

情報機器１にハーネス７を取り付ける等、必要な作業が終了したならば、図８に示したように情報機器１を押し上げ、ブラケット部材２に形成された台形状の下向き凸状部２ａに情報機器１を押し当てた最終固定位置で、ねじ等の固定手段を用いて下向き凸状部２ａに本固定をする。

情報機器１の本固定時には図８に示すように、掛止部５０が圧縮され、反発力が発生し、第２掛合部５０ｂの部位が情報機器１をばね力で押圧する。そこで、第２掛合部５０ｂと情報機器１の上面とで挟まれる部位に圧電系のセンサを配置しておけば、情報機器の固定が確実になされた場合にはばね力で上記押圧力が発生するので、該センサ出力を検知することにより、情報機器１の固定を確実に判断することができ、かかる判断手段として、掛止部５０のばね性を利用することが可能である。

本実施の形態例においても、図５に示した例に準じて、１つの情報機器１に対して、前記したフック部３０と前記した掛止部５０との組み合わせを支軸１ｂの軸方向に複数設けた構成を採ることができ、仮固定状態での安全性、作業性を増す等、同様の効果が得られる。

以上のように、この発明に係る天吊り型情報機器仮固定機構は、天井部または情報機器のいずれか一方に形成されたフック部と、もう一方に形成された掛止部とを組み合わせる構成にすることで、情報機器を仮固定状態のもとで作業に適する態位に変位可能な天吊り型情報機器仮固定機構としたので、自動車、電車、船舶等、或いは家屋等の室の天井に設置されるディスプレイ等情報機器の仮固定手段に用いるのに適している。

Claims (3)

1. 情報機器を天井部に仮固定する仮固定機構であって、前記天井部又は前記情報機器の何れか一方に形成されたフック部と、前記天井部又は前記情報機器の何れかの他方に形成された掛止部との組み合わせからなり、
   前記フック部は切り起こしによる板状片又は切り起こし状の板状片であって、前記掛止部と掛合する第１掛合部を有し、
   前記掛止部は切り起こしによるばね性の板状片又は切り起こし状のばね性の板状片であって、前記第１掛合部が通る大きさの開口部と、この開口部よりも当該板状片の先端側に形成され前記第１掛合部と掛合する第２掛合部とを有することを特徴とする天吊り型情報機器仮固定機構。
2. 前記第１掛合部と前記第２掛合部にはそれぞれ、これら両者の掛合状態の外れ防止用のストッパが対をなして設けたことを特徴とする請求項１記載の天吊り型情報機器仮固定機構。
3. １つの情報機器に対して、前記フック部と前記掛止部との組み合わせを複数設けたことを特徴とする請求項１記載の天吊り型情報機器仮固定機構。

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