JP4614575B2 - 製氷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば氷ディスペンサ、氷自動販売機、自動製氷機等における冷凍機械室の騒音防止装置に関するもので、冷凍機の運転時に発生する騒音を低減するためのものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の氷ディスペンサ(以下「第1従来装置」という)を図6、図7で説明する。図6は氷ディスペンサの縦断面図であり、1はディスペンサの下部に設けた冷凍室で、上部に製氷機構部2,その下部に貯氷部3,氷放出部4,及びコントロールボックス5が設けられる。冷凍機室1は、空気による冷却を行う空冷式の構造であり、冷媒を圧縮するコンプレッサ8,放熱をするための凝縮器9,風を発生させるためのファンモータ10から構成される。ファンモータ10の回転により冷却風11,11’は、エアルーバー12,エアフィルター13を通り、凝縮器9へと流れる。また、冷却風11,11’は放熱を受けて暖かくなり、排気15となってリアルーバー16から機械本体後部へ排風される。
また、特開平4−371783号公報記載の自動販売機(以下「第2従来装置」という)は、図8に示すように機械室の前面に、遮蔽板51および吸音材52からなる防音手段を設置した技術である。これにより、機械室から外部へ風切り音が放出されるのを防ぐことで、静粛運転を得るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1従来装置における凝縮器9は、図7のように放熱フィン19が狭いピッチで多数設けられ、そこを通過した冷却風11,11’はファンモータ10の回転により、直線的な流れが横方向に風切られて乱流を形成する。このとき、風切り音14が発生し、エアルーバー12を通って矢印A方向に風切り音が機械前面に直接出てくる。そのため、騒音値が大きくなり、静かな環境を必要とする場所への設置に支障を生じるという問題があった。
また、第2従来装置では、防音手段51,52を機械室前面に立ちはだかるように設置した構成であるため、騒音低減の効果はあるものの、冷却風の吸入量が大幅に減少することとなり、却って機械室の冷却能を低下させ、ひいては製氷効率が著しく悪化する問題がある。
【0004】
この発明は、上記問題点を解決するために工夫されたもので、ただ単に風切り音による騒音を低減するだけでなく、機械室における冷却風の通風量を確保しつつ騒音低減を図り、静粛運転をすることで設置場所に制約を受けない冷凍機械室の騒音防止装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため次のような構成を有する。すなわち、請求項1記載の発明に係る冷凍機械室の騒音防止装置は、凝縮器のファンモータにより冷却風取り入れ口から冷却風を取り入れることで冷凍機械室を冷却するものであって、冷却風取り入れ口と凝縮器との中間部に遮音手段を立設し、遮音手段と冷却風取り入れ口との間に形成され且つ冷却風取り入れ口から取り入れられた冷却風が遮音手段に当たって上方に上昇して流れる上昇空間と、上昇空間を上昇した冷却風が遮音手段の上方で折り返すように流れる折り返し空間と、遮音手段と凝縮器との間に形成され且つ折り返し空間を通過した冷却風が下降して凝縮器へと流れる下降空間とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の冷凍機械室の騒音防止装置に係り、前記遮音手段は、その上端を前記凝縮器の上面よりも高くなるように形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の冷凍機械室の騒音防止装置に係り、前記遮音手段は、遮蔽板と、この遮蔽板に貼り付けた吸音材とで形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の冷凍機械室の騒音防止装置に係り、前記折り返し空間に、吸音材を設けたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明を図1に示す実施の形態1に基づいて詳述する。図1は実施の形態1に係る氷ディスペンサーの縦断面図である。なお、従来装置と同じ部材、部分には、これらに用いたと同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図1において、コンプレッサ8、凝縮器9、ファンモータ10およびコンプレッサボックス5を全体として後方にずらせて配置する。凝縮器9とエアフィルタ13との間に形成された空間の略中央部に、遮蔽板20を垂直に立てて設ける。その上端は、凝縮器9の上端面よりもさらに高くなるような位置に設定する。そして遮蔽板20の背面に、吸音材21(遮音材)を貼り付け、これら遮蔽板20と吸音材21とで遮音手段を形成する。そして、これにより冷却風11,11’が上昇する上昇空間22と、下降する下降空間23とが形成される。また、コントロールボックス5の前面部に、貯氷部3の底板3aから段差を形成して位置が高くなるようにして連続するガイド部24を設ける。このガイド部24により冷却風が折り返すように流れる折り返し空間25が形成される。
また、折り返し空間25に面して、別の吸音材26(遮音材)が設置される。
これら各空間22,23,25は、予め試験を行い、冷凍機の能力にマッチングした空間となるように設定される。
【0010】
実施の形態1における冷却風の流れは、次のようになる。すなわち、外部から冷却風取り入れ口であるエアルーバー12,エアーフィルタ13を通過して吸入される冷却風11,11’は、上昇空間22,冷却風折り返し空間25を経由して下降空間23に流れ、凝縮器9を通過する。凝縮器9を通過して暖められた通過風は、リアルーバー16から排気15として排風されて機外背面へ放出される。
【0011】
こうして、凝縮器9とファンモータ部10を通過するときに発生した風切り音14は、矢印Bのように前方へ移るが、吸音材21により吸音あるいは遮音されてしまう。万一、吸音材21の上端からはみ出した風切り音27があっても、その風切り音27は、前方に設けた吸音材26に当たり、吸音される。このため、機械前面には低レベルの騒音28を発するだけである。
【0012】
このように、実施の形態1によれば、凝縮器9を通過した冷却風11,11’が、ファンモータ10の回転により風切り音14として発生しても、その風切り音14は凝縮器9の前に設けた遮蔽板20と吸音材21に当たることで吸音されてしまう。また、吸音材21の上端から一部洩れた騒音は、前方のエアーフィルタ13の上部に設けた吸音材26により吸音されてしまう。
したがって、機械本体から大きな騒音が外へ漏れることはなくなり、大変に静かな氷ディスペンサを得ることができ、また、静かさを必要とする場所、例えばホテルのロビー、病院等へ販売設置されたとしても、騒音が低いレベルであるため、なんら支障を来すこともない。
【0013】
実施の形態2.
実施の形態2の特徴は、図2に示すように機械後部に排出される排気15を全て覆うように排気ダクト29を設け、かつ、その内面に吸音材30を貼り付けた構成にしたことである。
すなわち、図9のように従来では、コンプレッサ8は運転と同時に運転音17を発しており、リアルーバー16から機械室1後部へ音が洩れる。このため設置場所の壁18に反射した運転音17’は、機械室周囲の空間から機械室1前面まで達して、運転音17”となって騒音値が高くなっていた。
そこで、この実施の形態2では、図2に示すように吸音材30を貼り付けた排気ダクト29を、機械室後部のリアルーバー16に設置した。この排気ダクト29は冷凍機械室1の上面よりもさらに高い位置にまで延長して形成するのが効果的である。
【0014】
係る構成とすることで、排気ダクト29により形成された上昇空間31を排気15が上昇排気32となって機械室1背面に排気される。また、排気ダクト29と吸音材30の下部は、上向きに傾斜面30を設けることで、よりスムーズに排気15を上方へと案内することができる。コンプレッサ8から発する騒音、すなわち運転音17はそのまま後部の吸音材30に当たるまで進むが、ここで吸音される。したがって、機械室1背面へは、低レベルの騒音34がわずかに発するだけとなり、設置場所を静粛な環境に保持できる。
【0015】
実施の形態3.
実施の形態3の特徴は、図3,図4に示すように下吸気、後排気とすることで冷凍機械室1内に吸音材41〜43を設けたことである。
すなわち、従来では図10,図11のように、凝縮器9を冷却するのに、ファンモータ10によってフロントパネルLOに取り付けられたルーバー12の開口部より空気を吸い込み、冷凍機械室1右側面に取り付けたルーバーおよび冷凍機械室1後ろ側のリヤパネルの開口部より排気していた。フロントパネルLOに取り付けられたルーバー12の背面には、エアフィルタ13が取り付けてある。
【0016】
ところが、運転時に冷凍機械室1の内側から発生する騒音(ファンモータ10の吸い込み音、凝縮器9の風切り音、コンプレッサ8の運転音等)が、冷凍機械室1右側面のルーバーやリヤパネルの開口部より直接に洩れていた。このため、エアフィルタ13がお客の目につき易いため、長い間掃除がされていないと、目詰まりを起こして冷凍能力が低下したり、ルーバー12以外の隙間から吸気をするために機内に誇りがたまり、不衛生になる。また、正面にルーバーが取り付けてあったため、誇り等による汚れが目立ち易くなる問題があった。
【0017】
実施の形態3は、図3、図4に示すように凝縮器9,ファンモータ10、コンプレッサ8を従来よりも後方へ配置し、凝縮器9の前側のベース44の底面の吸気用の長穴40を設けることで、フロントパネルLOに取り付けられたルーバー12を廃止した。また、フロントパネルLOの裏側、冷凍機械室の左右両側面、上面に吸音材41〜43を貼り付けた。
【0018】
実施の形態3によれば、エアフィルタ45の取り付け位置を冷凍機械室の下側に変更し、下吸気で冷却風を冷凍機械室1に取り入れる構成としたことで、外から目に付きやすいルーバー等他の部品を外さなくても、目に付きにくい下側のエアフィルタ45を脱着するだけでよく、本体脚を高くするだけで冷凍機械室1下部の掃除も簡単にできる。
また、フロントパネルLOの裏側に吸音材41を貼り付けたことにより、凝縮器9正面部のシール性がよくなり、エアフィルタ45以外から吸気がなされるということもなく、機内にほこりがたまらなくなるとともに、断熱性も向上し、排気の熱が貯氷部3の方へ流れ、氷放出部における結露や融氷対策に有効となる効果がある。
【0019】
実施の形態4.
実施の形態4の特徴は、図5に示すように実施の形態3の構成に加えて、冷凍機械室背面に吸音材46を貼り付けたダクト48を取り付けた構成にしたことである。
すなわち、冷凍機械室1の背面に排気を案内するダクト48を取り付け、内側に吸音材46を貼り付けることで、外に騒音が漏れにくくなるようにした。
ダクト48は、本体背面にビス固定されていて、凝縮器9からの排熱が、ダクト48を本体に取り付けたときに形成される開口部47から排気される。暖かい排気はそのまま上昇していくため、本体下に回り込み、再び吸気されるということはない。また、冷凍機械室1内で発生した騒音についても、ダクト48の内側に貼り付けた吸音材46に吸収されるため、機外へ洩れる騒音も小さい。
【0020】
このように、実施の形態4は、ダクト48を冷凍機械室1背面に取り付けたため、排気が本体の下に回り込んで再び吸気したりすることがなく、したがって冷凍効果を向上でき、また、ダクト48の内側に吸音材を貼り付けたため、冷凍機械室の騒音が、ダクトの排気口から出る際に吸音材46により消される。
【0021】
以上、本実施の形態を具体的に詳述してきたが、具体的な構成はこの形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、各実施の形態1〜4では、氷ディスペンサについて説明したが、氷自動販売機や自動製氷機等種々の製氷機に適宜応用できるのは言うまでもない。
また、各実施の形態における製氷機構部2は、クローズドセルタイプを図示して説明したが、氷を作るその他の機構方式であってもよい。
また、貯氷部3には、ギャードモータ6、放出スクリュー7が設けられるが、その他の一般的な自動製氷機では、このような機構はなく、その代わりに図示しない開閉ドアを取り付けた構造のものであってもよい。
また、実施の形態1では、吸音材26をエアーフィルタ13の上部だけに限定して設けたが、これを折り返し空間25に面する部位全体に貼り付けて設けてもよく、また、遮音板20と吸音材21とは、水平位置においてみたとき貯氷部3の底板3aとオーバーラップするように形成されるが、そのオーバーラップ量は、折り返し空間25で騒音が蛇行することで吸音効果が発揮されるに必要な最適量に設定されるのは言うまでもない。また、実施の形態1において、そのオーバーラップ量はゼロ、すなわち騒音低減効果があるのであれば、押し返し空間25さえ形成していれば、遮音板20等の上端が、底板3aとほぼ同じ高さになるように設定してもよい。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係る冷凍機械室の騒音防止装置は、冷却風取り入れ口と凝縮器との中間部に遮音手段を立設し、遮音手段と冷却風取り入れ口との間に形成され且つ冷却風取り入れ口から取り入れられた冷却風が遮音手段に当たって上方に上昇して流れる上昇空間と、上昇空間を上昇した冷却風が遮音手段の上方で折り返すように流れる折り返し空間と、遮音手段と凝縮器との間に形成され且つ折り返し空間を通過した冷却風が下降して凝縮器へと流れる下降空間とを備えているので、従来のようにただ単に騒音を低減するだけでなく、冷凍機械室の冷却能を確保した上で、騒音低減を図ることができる。すなわち、ファンモータの回転により発生した風切り音は、凝縮器の前に設けた遮音手段に当たることで吸音され、ひいては機械本体から大きな騒音が外部へ漏れることを大幅に低減できることで、静粛性ある氷ディスペンサ、氷自動販売機、自動製氷機を製造することができ、したがって静粛性を必要とする場所、例えばホテルのロビー、病院へなんら支障なく販売設置できる効果を奏する。
【0023】
また、請求項2記載の発明では、遮音手段の上端を前記凝縮器の上面よりも高くなるように形成したため、騒音は折り返し空間を迂回するように伝わることで遮音効果が一段と向上する効果を奏する。
また、請求項3記載の発明は、遮音手段を、遮蔽板と、この遮蔽板に貼り付けた吸音材とで形成したことで、騒音の吸音および遮音効果は格段に向上する効果を奏する。
また、請求項4記載の発明は、折り返し空間に、吸音材を設けたので、吸音材の上端からもれた一部の騒音は、折り返し空間を通過する間に、この吸音材で吸音ないしは遮音されるため、騒音防止効果に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る氷ディスペンサの縦断面図である。
【図2】 実施の形態2における氷ディスペンサの縦断面図である。
【図3】 実施の形態3における平断面図である。
【図4】 実施の形態3における縦断面図である。
【図5】 実施の形態4における縦断面図である。
【図6】 第1従来装置における氷ディスペンサの縦断面図である。
【図7】 第1従来装置に用いられる凝縮器の外観拡大斜視図である。
【図8】 第2従来装置における断面図である。
【図9】 実施の形態2における従来の不具合を説明する縦断面図である。
【図10】 実施の形態3における従来の不具合を説明する平断面図である。
【図11】 図10の縦断面図である。
【符号の説明】
1…冷凍機械室、3…貯氷部、12…エアルーバー、13…エアフィルタ、9…凝縮器、20…遮蔽板、21…吸音材、22…上昇空間、23…下降空間、25…折り返し空間、26…吸音材。
Claims (3)
- 冷凍機械室と、該冷凍機械室の上方に貯氷部とを備える製氷機であって、
前記貯氷部と前記冷凍機械室とは底板で仕切られており、
前記冷凍機械室は該冷凍機械室内部の凝縮器のファンモータにより冷却風取り入れ口から冷却風を取り入れることで冷却されるものであって、
前記冷却風取入れ口と前記凝縮器との中間部に立設され、上端が前記凝縮器の上面よりも高くなるように形成された遮音手段と、
前記遮音手段と前記冷却風取入れ口との間に形成され且つ前記冷却風取入れ口から取り入れられた冷却風が前記遮音手段に当たって上方に上昇して流れる上昇空間と、
前記底板よりも高い位置に形成され且つ前記上昇空間を上昇した冷却風が前記遮音手段の上方で折り返すように流れる折り返し空間と、
前記遮音手段と前記凝縮器との間に形成され且つ前記折り返し空間を通過した冷却風が下降して前記凝縮器へと流れる下降空間とを備えたことを特徴とする製氷機。 - 前記遮音手段は、遮蔽板と、この遮蔽板に貼り付けた吸音材で形成したことを特徴とする請求項1記載の製氷機。
- 前記折り返し空間に、吸音材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の製氷機。
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