JP4614295B2 - 給紙部材およびこれを用いた給紙装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は給紙部材(以下、単に「部材」とも称する)に関し、詳しくは、複写機、レーザープリンター、ファクシミリなどの電子写真装置や静電記録装置、さらにはインクジェットプリンター、現金自動取引装置(ATM)、両替機、計数機、自動販売機、キャッシュディスペンサー(CD)などの各種給紙機構を有する装置における給紙部材およびこれを用いた給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザープリンター、ファクシミリなどの電子写真装置や静電記録装置、さらにはインクジェットプリンターなどに搭載される帯電装置、転写装置、現像装置、除電装置、給紙装置またはクリーニング装置などには、ローラやベルトなどの事務機器用部材が用いられている。これらのうち、ゴムローラなどの摩擦を利用して給紙を行う給紙部材には、優れた給紙特性、紙、フィルム、印画紙などの紙葉類に対する非汚染性、良好な耐久性などが要求される。
【0003】
かかる給紙部材の材料としては、従来より、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムなどの加硫ゴムが使用されており、また、最近では熱可塑性エラストマーが注目され、軟化剤と組み合わせて用いられるようになってきている。
【0004】
また、給紙部材は、一般に、芯体上に上述のゴム材料等からなるゴム状弾性体層を設けた構造を有し、その構成としては、押出しや加圧プレス機等により成形を行ってドーナツ状に形成したゴム環を芯体に対し圧入または一体成形により嵌合したものであり、芯体に沿って同心円状にゴム層を設け、表面に型による各種パターンや二次加工としての研磨等が施されている。従って、給紙に必要な摩擦力は実質的にゴム層の材質のみに依存することになる。
【0005】
さらに、近年では、断面形状が部分切欠円状の芯体(コロ状のものを含む)や、偏心した芯体の外周面にゴム状弾性体層を設けた給紙部材も用いられている。このような給紙部材においては、回転させた場合、外周面には用紙に接触する部分と接触しない部分とが存在することになり、紙送りは外周面が用紙に接した際に、その部分のゴム状弾性体層の摩擦のみにより行われ、外周面が用紙に接しない間は給紙部材は空転して、紙送りは行われない。このような機構を有する給紙部材は、重送の防止を図ることができ、安定した給紙が行えるなど、優れた給紙特性を有している。
【0006】
給紙部材は表面のゴム状弾性体層の摩擦を利用して給紙を行うものであるため、安定した給紙特性を確保するためには、この弾性体層に対して、給紙枚数の増加によっても経時的に変化しない、紙との間の良好な摩擦力を備えていることが要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の給紙部材においては、経時的に十分安定な摩擦力を実現することは困難であった。また、連続して給紙を行う際に、シリカ、炭酸カルシウムなどの粉末や繊維質等の紙粉が部材表面に付着することにより、用紙との摩擦力が著しく低下してしまう場合もあり、いずれの場合にも通紙不良という問題が発生していた。
【0008】
ゴム材料の改良の観点から用紙との摩擦力を上げるための方法としては、ゴム硬度を低く設計したり、反撥弾性を高くするなどの方法が知られているが、前者では、硬度を低くするほど、ゴム層からのオイルのブリードや用紙への粘着が起こり、紙粉が付着しやすくなるなどの問題が生ずるという欠点があり、また、ゴム材料の反撥弾性を上げようとしても、ゴム単独では限界があった。
【0009】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、連続給紙時においても安定した摩擦力を維持することができ、良好な給紙性能を発揮することのできる給紙部材およびこれを用いた給紙装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、ゴム材料の改良とは異なる観点から、給紙部材の構造自体に着目して鋭意検討した結果、給紙部材を形成する芯体と環状弾性体との嵌合部において、環状弾性体表面に凸状の突起(凸部)部を設けることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の給紙ローラは、芯体と、その外周面に装着された環状弾性体とからなる給紙ローラにおいて、
前記環状弾性体が、前記芯体と嵌合する内周面に複数の凸部を有し、該凸部が、該環状弾性体の内周面に、該芯体の軸方向に対して45°および135°の方向に夫々延びる線上の各交点に配列され、隣接する該各交点間の距離が3〜9mmの範囲内であり、該凸部の、高さが2〜9mm、高さ方向の断面形状が半円形状であって、かつ、
前記複数の凸部と前記芯体との接触により前記環状弾性体に圧縮力が発生するように、前記芯体の外周面に前記環状弾性体が装着されていることを特徴とするものである。
【0012】
芯体と嵌合する環状弾性体内周面に複数の凸部を設けることで、この凸部により環状弾性体が圧縮されてゴム弾性が上昇し、給紙部材表面の反撥弾性が高められて、ゴム材料自体を改良することなく摩擦係数の向上を図ることができる。
【0013】
本発明においては、前記凸部が、前記環状弾性体の内周面に、前記芯体の軸方向に対して45°および135°の方向に夫々延びる線上の各交点に配列されていることが好ましく、より好ましくは、隣接する各交点間の距離(ピッチ)を3〜10mmの範囲内とする。これにより、部材表面全体にわたって均一な摩擦力を実現することができ、円滑な給紙を行うことができることから、用紙の搬送に最適である。
【0014】
また、本発明においては、前記凸部が、前記環状弾性体の内周面に密度分布を持って配列されていてもよい。これにより、周面に沿って複数の摩擦力を意識的に作り出すことができ、かつ、硬度の調整も同時に行うことができる。
【0015】
さらに、前記凸部の高さが1〜5mmであることが好ましく、また前記凸部の高さ方向の断面形状が半月形状であることが好ましい。これにより、部材表面に適度の反撥弾性を生じさせ、摩擦係数を良好に調製することが可能となる。
【0016】
本発明の給紙装置は、上記本発明の給紙ローラを搭載していることを特徴とするものである。
【0017】
尚、本発明の給紙部材とは、各種の電子写真装置用部材、静電記録装置用部材やインクジェットプリンター用部材、あるいは現金自動取引装置(ATM)、両替機、計数機、自動販売機またはキャッシュディスペンサー(CD)などの各種給紙機構を有する装置に用いられる給紙ローラである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
本発明の給紙部材1は、図1に示すように、芯体2と、その外周面に装着された環状弾性体3とからなるものであり、環状弾性体3の芯体2と嵌合する内周面に、凸部4が設けられている。本発明においては、この凸部4を設けたことにより、環状弾性体3を芯体2に嵌合した場合に環状弾性体3が圧縮され、ゴム弾性が上昇して、給紙部材1表面の反撥弾性を高めることができる。このため、部材表面の摩擦係数を良好に高めて、安定な紙送りを実現することが可能となった。
【0019】
凸部4の形状には特に制限はなく、例えば、図2(イ)〜(ニ)に示すように、断面形状が矩形、半円形、三角形、台形等の適宜形状となるようすることができる。好ましくは、(ロ)に示すようにその断面形状が半円形である。凸部4は、金型を用いて、環状弾性体3の内周面上に一体成形により形成することができる。その配列としては、図3に示すように、凸部4が、環状弾性体3の内周面に、芯体2の軸方向に対して45°および135°の方向に夫々延びる線L1およびL2上の各交点に配列されていることが好ましい。凸部4を、一定の規則性を持って環状弾性体3の表面全体に均一に設けることにより、部材表面全体にわたって一様な摩擦力を良好に実現することができ、円滑な給紙が可能となる。より好適には、各交点間の間隔(ピッチ)aおよびbを3〜10mmとする。
【0020】
また、本発明においては、凸部4を、環状弾性体3の内周面に密度分布を持って設けることもできる(図示せず)。これにより、環状弾性体3の周方向に沿って表面の摩擦力を変化させることができ、所望に応じて部分的に高い摩擦力を作り出すことも可能である。さらに、部分的な硬度の調整も同時に行うことができる。尚、この場合には、凸部4の中心間の間隔は任意に設定すればよい。
【0021】
凸部4の高さHは、好ましくは1〜5mm、より好ましくは3mm程度である。この高さHが1mm未満であると、環状弾性体3に対する圧縮力が不十分であり、給紙部材1の表面の反撥弾性を十分に高めることができず、一方、5mmより大きいと、環状弾性体3に対する圧縮力が過大となり、いずれも好ましくない。
【0022】
本発明における芯体2の形状としては特に制限はなく、従来給紙部材として用いられている形状のもの、例えば、断面形状が部分切欠円状(コロ形状)のもの、偏心させたもの、円筒状のもの等の中から、使用目的等に応じ、適宜選択して用いることができる。特には、断面形状が部分切欠円状のものおよび円筒状のものが好ましい。芯体2が部分切欠円状の断面形状を有するものである場合には、部材の外周面は、回転することにより紙と接触する曲面部とそれに続く平面部とから構成され、また、円筒状のものである場合には、外周面全体が紙と接触することになる。断面形状が部分切欠円状の芯体における平面部の回転軸方向の長さや曲面部の最大径、および、円筒状芯体における長さや直径については、制限はなく、使用目的等に応じて適宜定めることができる。
【0023】
芯体2の材料にも、特に制限はなく、従来慣用のものを用いることができる。具体的には、例えば、ABS、POM、ポリカーボネート、ナイロン等のプラスチックや、アルミニウム、SLS、マグネシウム合金等の金属を挙げることができ、所望に応じて適宜選択して用いることができる。また、芯体2は、回転中心部にシャフトを有していてもよく、シャフト取り付け用の穴が設けられていてもよい。
【0024】
環状弾性体3の材料としては、一般的な、熱可塑性高分子化合物、例えば、熱可塑性エラストマー(水素添加物や変性物等も含む)、熱可塑性樹脂やそのゴム変性物、ゴム状弾性体等、を含む高分子材料を用いることができ、特には、熱可塑性エラストマーおよびゴム状弾性体を含む高分子材料を用いる。
【0025】
かかる熱可塑性エラストマーとしては、従来慣用のもの、例えば、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系等の中から任意のものを選択して用いることができるが、中でも、結晶構造、凝集構造等の硬質ブロックを形成しやすい部分と、アモルファス構造等の軟質ブロックとを共に持ち合わせているものが特に好ましく、具体的には、以下の▲1▼〜▲3▼が挙げられる。
【0026】
▲1▼ ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体。
▲2▼ ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、または、ポリブタジエンもしくはエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンのトリブロック共重合体等、中でも、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体。
▲3▼ エチレン/ブチレン共重合体の片末端または両末端に結晶性ポリエチレンが連結したブロック共重合体。
【0027】
これらの中でも、特に▲2▼に挙げたビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つからなるブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体であって、数平均分子量が150000〜400000であるものが好ましい。
尚、これら熱可塑性エラストマーは、一種で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
また、ゴム状弾性体としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、ウレタンゴム等の一般ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンアクリルゴム、ポリエステルエラストマー、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、塩素化ポリエチレン等の特殊ゴムが挙げられるが、これらの中でも、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴムが好ましい。これらゴム状弾性体は、単独で、または、二種以上をブレンドして用いることができる。
【0029】
さらに、給紙部材の耐候性の観点から好ましいゴム状弾性体としては、エチレンプロピレン系ゴム(EP系ゴム)、即ち、エチレンプロピレンゴムやエチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム等があり、耐摩耗性を考慮する場合には、中でも、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が70以上となる分子量の高いエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPDM、EPR)であって、かつ、そのエチレン単位含有率が50〜75重量%の範囲内のものが好適である。
【0030】
また、かかる高分子材料には、部材の硬度を適切な範囲に調節するために、所望に応じて軟化剤を配合することができる。この軟化剤としては特に制限はなく、従来プラスチックやゴムの軟化剤として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができるが、特には、物理的性質として、100℃における粘度が5×105センチポイズ以下のものが好ましく、より好ましくは1×105センチポイズ以下であるものを用いる。また、分子量の観点からは、数平均分子量が20000以下、特には10000以下、更には5000以下であるものが好ましい。このような軟化剤としては、通常、室温で液体または液状のものを好適に用いることができる。また、親水性、疎水性のいずれの軟化剤も使用可能である。このような軟化剤としては、例えば、鉱物油系、植物油系、合成系等の各種ゴム用または樹脂用軟化剤の中から適宜選択することができる。鉱物油系としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、椰子油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等を挙げることができる。中でも、鉱物油系のパラフィン系オイル、ナフテン系オイルまたは合成系のポリイソブチレン系オイルから選択される一種または二種以上であって、数平均分子量が450〜5000であるものが好ましい。尚、これらの軟化剤は、一種を単独で用いてもよく、互いの相溶性が良好であれば、二種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
本発明に係る高分子材料においては、熱可塑性高分子化合物として特に熱可塑性エラストマーを用いる場合には、三次元連続の網状骨格構造を有することが好ましく、形成される三次元連続の網状骨格構造は、その骨格の平均径が50μm以下、好ましくは30μm以下、セル(網目)の平均径が500μm以下、好ましくは300μm以下であり、高分子有機材料の体積分率を(高分子有機材料の体積/(高分子有機材料の体積+軟化剤の体積))×100(%)と定義したとき、高分子有機材料の体積分率が50%以下、特には33%以下であるのが、給紙部材の性能の点から好ましい。
【0032】
また、多量の軟化剤と、これより少ない量の高分子有機材料とを含む高分子材料を得るために、用いる軟化剤と高分子有機材料の各々の溶解度パラメーター値δ=(ΔE/V)1/2(ΔE:モル蒸発エネルギー、V:モル体積)の差が、3.0以下、好ましくは2.5以下となるように、両材料を選択することが好ましい。この差が3.0を超えると両材料の相溶性の点から軟化剤が多量に保持されにくく、得られる高分子材料の低硬度化の障害となり、また、軟化剤のブリードが発生しやすくなるため好ましくない。尚、ここで高分子有機材料とは、全熱可塑性高分子化合物を意味する。
【0033】
さらに、高分子材料には、必要に応じて、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の無機系添加剤を配合することによって部材表面のタッキネスを改善することができる。特には、タッキネスの環境変化を小さくする観点からシリカがより好ましい。かかる無機系添加剤の配合量は、高分子材料100重量部に対して通常20重量部以下、好ましくは5〜10重量部である。
【0034】
さらにまた、高分子材料には、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、粒状または粉末ポリマー等の粒状または粉末固体充填材、その他各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、ワラ、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)等を配合することができる。また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体等からなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。さらに、軽量化等の各物性の改善のために各種発泡剤を混入することもでき、混合時等に機械的に気体を混ぜ込んでもよい。
【0035】
さらにまた、諸特性の改良のために、公知の樹脂成分等の添加剤を併用することも可能である。かかる樹脂成分としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、または、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂等を併用することができる。ポリフェニレンエーテル樹脂を配合することにより、高分子材料の圧縮永久歪みを改善することができる。また、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂を配合することにより、高分子材料の加工性、耐熱性の向上を図ることができる。
【0036】
さらに他の添加剤として、難焼剤、帯電防止剤、抗菌剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、シリコーンオイル、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、レオストマーB(商品名:理研ビニル社製)等の各種接着剤性エラストマー、ハイブラー(商品名:クラレ社製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合体)、ノーレックス(商品名:日本ゼオン社製、ノルボルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)等の他の熱可塑性エラストマーまたは樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン等の極性の高い他の熱可塑性エラストマーや樹脂等を併用することができる。
【0037】
この高分子材料の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、上述の各成分と、所望に応じて用いる各添加剤成分とを加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、プラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練りすることにより製造することができる。
【0038】
熱可塑性高分子化合物としてゴム状弾性体を用いる場合には、加硫剤(硫黄、ペルオキシド等)、加硫促進剤(テトラメチルチウラムモノサルファイド(ノクセラーTS)、メルカプトベンゾチアゾール(ノクセラーM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルサルフェンアミド(ノクセラーCZ)、ジフェニルグアニジン(ノクセラーG)等)、加硫助剤(エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、N,N’−m−フェニレンジマレイミド(バルノックPM)、亜鉛華等)、各種充填剤(カーボンブラック、ホワイトカーボン、白艶華CC、白艶華DD等)、老化防止剤(スチレン化フェノール(アンテージSP−P)、2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール(ノクラック200)、ジブチルハイドロゲンホスファイト(DBP)等)、加工助剤などの一般的なゴム配合剤を適宜添加して加硫することができる。
【0039】
また、熱可塑性高分子化合物として熱可塑性エラストマーを用いた場合には、有機パーオキサイド等の架橋剤、架橋助剤等を添加して架橋することができる。ここで、部分架橋のために添加しうる架橋剤としては、有機パーオキサイドが好適であり、具体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ジクミルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド;1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン;ベンゾイルパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられ、また、有用な架橋助剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、キノンジオキシム、フェニレンビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメタクリレート、不飽和シラン化合物等が挙げられる。
【0040】
尚、ゴムの加硫には電気式プレス、蒸気式プレス等の方法があるが、本発明においては特に制限されない。
【0041】
図4に、本発明の給紙部材を用いた給紙ローラの一例の概略斜視図を示す。給紙部材7は樹脂または金属などの材料からなる芯体6と、その外周に設けられた環状弾性体9とからなり、複数個の給紙部材7を樹脂または金属等の材料からなるシャフト5に貫通させることにより給紙ローラ8が構成されている。
【0042】
この場合、給紙部材7の表面はサンドブラスト処理することも可能であり、例えば、ダルマミキサー、オムニミキサーなどの撹拌装置による手段により、給紙部材表面におけるタッキネスを適当にコントロールすることができる。また、必要に応じてローレット加工やシボ加工などにより凹凸等のパターンを付与することにより、給紙部材表面と用紙との接触面積を物理的に低減してタッキネスをコントロールすることも可能である。特に皮シボ加工が、紙粉溜り防止に好適である。
【0043】
本発明の給紙部材は、各種の電子写真装置用部材、静電記録装置用部材やインクジェットプリンター用部材などとして、また、現金自動取引装置(ATM)、両替機、計数機、自動販売機またはキャッシュディスペンサー(CD)などにおける各種給紙装置において用いることができ、特に用途等に制限はない。本発明の給紙部材を用いた本発明の給紙装置によれば、連続使用後にも給紙不良等を生じない、良好な給紙性能を維持することができ、各種給紙機構を備えた機器において好適である。
【0044】
【実施例】
次に、本発明を実施例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
実施例1〜5および比較例1〜4
図5に示す形状および構造を有するトランスファー金型を用い、下記の表1に示す配合処方のEPDM系配合ゴムをトランスファー成形し、下記の表3および4に示す各条件にて実施例および比較例のサンプルを作製した。尚、図5(イ)は金型構造、(ロ)はピン部拡大図を示し、図中の10は押し板、11はポット、12はピン部、13はミゾを夫々示す。環状弾性体の、芯体と嵌合する内周面には、図3に示すように凸部4を、環状弾性体3の内周面に、芯体2の軸方向に対して45°および135°の方向に夫々延びる線L1およびL2上の各交点(各交点間の距離をピッチとした)に配列した。芯体は径20mmとし、環状弾性体は径25mm、厚さ4.5mm、幅16mmの円筒形状とした。また、EPDM系ゴムの加硫は電気式プレス(180℃、10分)にて行った。加硫ゴムの物性値を下記の表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
*1:JIS−A型硬度計にて測定した。
*2:DIN3号ダンベルで、引張速度50mm/分にて測定した。
*3:図6に示すように、芯体16がスぺーサー15に接するまでローラ14に対し荷重を印加し、固定した状態にて70℃×22時間、乾燥オーブンに入れた。圧縮率は下記式に従い25%圧縮とした。
(圧縮率)=100−{(B/A)×100}
22時間経過後、室温下で2時間放冷し、永久変形した量を試験前後の差にて求めた。
【0047】
各供試ローラについて、図7に示す測定装置を用いて、摩擦係数を測定した。図中、17は印加荷重、18は天秤、19はバランス荷重、20はテフロン板、21は荷重変換機、22は用紙を夫々示す。印加荷重は100g〜300gとし、ローラ周速度75mm/秒、測定温度25℃、湿度60%とした。また、10万枚給紙後の通紙性についても試験した。10万枚通紙性の評価試験は、用紙を幅25mm、長さ200mmの短冊状に裁断して、各供紙ローラにて1枚ずつ送ることにより行った。判断基準は以下の通りである。
○:10万枚通紙ミスフィードなし
○〜△:ミスフィード発生率0.001%超0.005%以下
△:ミスフィード発生率0.005%超0.01%以下
これらの結果を下記表3および4に併せて示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の給紙部材によれば、部材表面の摩擦力を良好に高めることにより、連続通紙時にも安定して給紙を行うことができ、かかる給紙部材を備えた給紙装置においては、長期使用時にも不良を生じない、良好な給紙性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の給紙部材の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る凸部の例を示す概略図である。
【図3】実施例で作成したローラの展開図である。
【図4】本発明の給紙部材を用いた給紙ローラの概略図である。
【図5】実施例で用いた金属金型の構造を示す概略図である。
【図6】実施例における圧縮永久歪の測定方法の説明図である。
【図7】実施例で用いた摩擦係数測定装置の概略図である。
【符号の説明】
1 給紙部材
2 芯体
3 環状弾性体
4 凸部
5 シャフト
6 芯体
7 給紙部材
8 給紙ローラ
9 環状弾性体
10 押し板
11 ポット
12 ピン部
13 ミゾ
14 ローラ
15 スぺーサー
16 芯体
17 印加荷重
18 天秤
19 バランス荷重
20 テフロン板
21 荷重変換機
22 用紙
Claims (2)
- 芯体と、その外周面に装着された環状弾性体とからなる給紙ローラにおいて、
前記環状弾性体が、前記芯体と嵌合する内周面に複数の凸部を有し、該凸部が、該環状弾性体の内周面に、該芯体の軸方向に対して45°および135°の方向に夫々延びる線上の各交点に配列され、隣接する該各交点間の距離が3〜9mmの範囲内であり、該凸部の、高さが2〜9mm、高さ方向の断面形状が半円形状であって、かつ、
前記複数の凸部と前記芯体との接触により前記環状弾性体に圧縮力が発生するように、前記芯体の外周面に前記環状弾性体が装着されていることを特徴とする給紙ローラ。 - 請求項1記載の給紙ローラを搭載していることを特徴とする給紙装置。
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