JP4613494B2 - 寝室家具 - Google Patents

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本発明は、睡眠の質の向上を目的とした睡眠環境形成のための技術に関する。
生活リズムの乱れや、最近のストレスに満ちた社会を反映して、不眠に悩まされる人が増大する昨今では、「快眠」を求める声が高まっている。さらに、睡眠時間は人の生活時間の中で大きな割合を占め、快眠を得るために、単に眠るというだけでなく、寝具や、寝室の選定によって睡眠環境を整えようとする意識が高まっている。
睡眠環境は個別性が高い。すなわち、個々の人によって快適と感じる睡眠のための環境は異なることが一般的である。このような人によって異なる快適さにきめ細かく対応して睡眠の環境を整え、睡眠の質を向上させるために、図5に示す如く、寝室全体の環境(2次睡眠環境41)と、就寝者の周りの環境(1.5 次睡眠環境40)と、寝具と就寝者とで形成される環境(1次睡眠環境39)とに分けて、これらの環境を制御するアプローチが有効である。この、1.5 次睡眠環境40を個々に制御可能とすることにより、複数人のための寝室であっても、他の就寝者からの干渉を受けることなく個々が快適な睡眠環境を得ることができるのである。
上記1.5 次睡眠環境40において、各就寝者に適した空調を提供するための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、カプセルとして形成された睡眠室を就寝者の温熱生理的な快適に合った空調状態(「頭寒足熱」の状態)に制御するために、就寝者の頭部と腹部と脚部のそれぞれに別の送風する吹出口を設け、各吹出口に独立した給気経路を形成して、各吹出口より吹き出される気体の温度が異なるようにしている。
特開2002−357351号公報
しかし、上記のようなカプセル式の睡眠室は、住宅の寝室に配置するには大規模であったり、寝室全体の空間性やインテリア性を損ねたりする虞があり、一般の住宅には受け入れ難いという不具合がある。また、装置が高価なものとなってしまい、一般の住宅には採用することが難しい。そこで、本発明では、寝室全体の空間性やインテリア性を損なうことなく、各就寝者に対して睡眠環境を形成する空調を制御可能として、同一の寝室を使用する各就寝者に快適な睡眠空間を実現するための寝室家具を提案する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、寝室家具(10)を、ベッド(20)と天蓋(30)とで構成し、該ベッド(20)のヘッド側に設けられたヘッドボード(22)と、該天蓋(30)のヘッド側に設けられた天蓋垂壁(29)とを、一体的にして、前記ベッド(20)とヘッドボード(22)と天蓋垂壁(29)と天蓋(30)とを、側面視略コ字状に形成し、空調装置(49)を、室内機(62)と送風ダクト(63)と送風口(66)と、送風口(66)が開口している送風室(67)と、該送風室(67)と挿通され、内部に空調された気体が流入する空間である冷気溜(65)とで構成し、前記天蓋(30)を箱形状に構成し、前記天蓋(30)の空間内に、該空調装置(49)の送風口(66)と送風室(67)と冷気溜(65)とを構成し、前天蓋(30)の冷気溜(65)の下面には、就寝者の頭部上方に位置する空調装置(49)の頭部吹出口(47)と、就寝者の脚部上方に位置する前記空調装置(49)の脚部吹出口(48)とを設け、前記空調された気体の流入側である前記送風室(67)に近い方の冷気溜(65)に、該頭部吹出口(47)を開口し、前記冷気溜(65)の送風室(67)から遠い方に該脚部吹出口(48)を開口配置したものである。
請求項2においては、請求項1記載の前記寝室家具(10)において、前記ベッド(20)を構成するベッドフレーム(21)の就寝者の脚部下方に位置する面状発熱体(53)を設け、ベットスプリング(23)を介して、就寝者の脚部を穏やかに加温可能とし、該ベットスプリング(23)には、該面状発熱体(53)の熱が伝達されやすいように、複数の通気口(23a)を設けたものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に記載の如く、寝室家具(10)を、ベッド(20)と天蓋(30)とで構成し、該ベッド(20)のヘッド側に設けられたヘッドボード(22)と、該天蓋(30)のヘッド側に設けられた天蓋垂壁(29)とを、一体的にして、前記ベッド(20)とヘッドボード(22)と天蓋垂壁(29)と天蓋(30)とを、側面視略コ字状に形成し、空調装置(49)を、室内機(62)と送風ダクト(63)と送風口(66)と、送風口(66)が開口している送風室(67)と、該送風室(67)と挿通され、内部に空調された気体が流入する空間である冷気溜(65)とで構成し、前記天蓋(30)を箱形状に構成し、前記天蓋(30)の空間内に、該空調装置(49)の送風口(66)と送風室(67)と冷気溜(65)とを構成し、前天蓋(30)の冷気溜(65)の下面には、就寝者の頭部上方に位置する空調装置(49)の頭部吹出口(47)と、就寝者の脚部上方に位置する前記空調装置(49)の脚部吹出口(48)とを設け、前記空調された気体の流入側である前記送風室(67)に近い方の冷気溜(65)に、該頭部吹出口(47)を開口し、前記冷気溜(65)の送風室(67)から遠い方に該脚部吹出口(48)を開口配置したので、同一の寝室を利用する他の就寝者に干渉されることなく各就寝者に適した空調装置を整えることができる。
また、空調機能を備えた寝室家具は、ベッドと天蓋とで構成されるため、高級感があり、寝室に配置することが違和感なく、寝室のインテリア性を損ねることがない。
また、天蓋の内部空間を利用して気体が流れ込む溜場所を形成することができるのである。
また、一旦気体が溜場所に流入してから天蓋外部へ流出することで、頭部吹出口及び脚部吹出口からの送風を穏やかなものとすることができる。
また、特別な装置を用いることなく、頭部吹出口から出る冷気を、脚部吹出口よりも、風量が大きく、また、温度の低いものとすることができ、「頭寒足熱」の温熱生理的な快適に近い状態とすることができる。
請求項2においては、請求項1記載の前記寝室家具(10)において、前記ベッド(20)を構成するベッドフレーム(21)の就寝者の脚部下方に位置する面状発熱体(53)を設け、ベットスプリング(23)を介して、就寝者の脚部を穏やかに加温可能とし、該ベットスプリング(23)には、該面状発熱体(53)の熱が伝達されやすいように、複数の通気口(23a)を設けたので、夏季ならず冬季においても、「頭寒足熱」の温熱生理的な快適に近い状態とすることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係る寝室家具の全体的な構成を示した側面図、図2は寝室家具の内部構成を示す側断面図である。
図3は複数の寝室家具を配置した寝室の様子を示す図、図4は空調装置の構成を示す図である。図5は1.5 次環境を説明する図である。
図5に示す如く、同一の寝室を使用する各就寝者が快適な睡眠環境を得るためには、寝室全体の環境(2次睡眠環境41)と、就寝者の周りの環境(1.5 次睡眠環境40)と、寝具と就寝者とで形成される環境(1次睡眠環境39)とに分けて、これらの環境を制御するアプローチが有効である。本発明に係る寝室家具10では、『1.5 次睡眠環境40』における温度環境を、各個人に適した睡眠環境とすべく調整可能とすることを可能としている。これにより、他の就寝者に干渉されること無く各個人に適した睡眠環境を形成することができ、睡眠の質を高めることに寄与することができる。
ここで、本発明の実施例に係る寝室家具10の構成について説明する。図1及び図2に示す如く、寝室家具10は、ベッド20と天蓋30とで構成され、ベッド20のヘッド側に設けられたヘッドボード22と、天蓋30のヘッド側に設けられた天蓋垂壁29によって、側面視略コ字状に形成されている。この、寝室家具10を構成するベッド20と天蓋30とによって形成された空間が1.5 次睡眠環境40であり、寝室家具10や寝具等が1次睡眠環境39であり、寝室のそれ以外の空間は個人睡眠空間を包囲する全体的な環境睡眠空間である2次睡眠環境41である。本発明では、1次睡眠環境39を包囲し相互に影響する1.5 次睡眠環境40の、空調を整えるための装置として、寝室家具10を構成している。寝室家具10は寝室に単数組配置することも複数組配設することもできる。
前記ベッド20は、床44上に載置された略矩形箱形状のベッドフレーム21と、該ベッドフレーム21のヘッド側に配設されたヘッドボード22とで構成されている。ベッドフレーム21には、ベットスプリング23等が載置され、寝床が形成される。
ベッドフレーム21の内部には、面状発熱体53が配設され、ベットスプリング23を介して就寝者の脚部を穏やかに加温可能とされている。ベットスプリング23には、面状発熱体53の熱が伝達されやすいように、複数の通気口23aが設けられている。この面状発熱体53は、主に冬季に就寝者の脚部を加温して、「頭寒足熱」の温熱生理的な快適に近い状態とするために備えられている。なお、面状発熱体53はベッドフレーム21に設けているが、天蓋30の下面に設けることもできる。この場合、天蓋30下面とベッド20との間の空間を輻射して熱が寝ている人に穏やかに伝達されることとなる。
前記天蓋30は、天井43に固設されており、略矩形箱形状に構成され、そのヘッド側には天蓋垂壁29が配置されている。但し、寝室の天井43から天蓋30を吊設して、1.5 次睡眠環境40の高さ方向の大きさを調節することもできる。人によっては、下がり天井の方が落ち着きを得られることもあるため、所望に応じて天蓋30の高さを調節することが好ましい。
天蓋30の下面には、ベッド20を包囲するカーテン27を摺動可能とするレール28が設けられている。カーテン27によりベッド20と天蓋30との間が他の空間から視覚的に柔らかく区画される。さらに、カーテン27により1.5 次睡眠環境40の範囲が限定される。カーテン27は、柔らかなレース素材であることが好ましく、視覚的にも音響的にも閉塞感の無いように半透明であり、且つ、1.5 次睡眠環境40と2次睡眠環境41とを区画するため、2次睡眠環境41に吹き出した冷風又は温風によって1.5 次睡眠環境40内に就寝者が感じるような0.3 〜0.4m/s程度の強い気流或いは気流速の不安定な気流が流入しないように、そして、1.5 次睡眠環境40に吹き出した冷気によって達成した2次睡眠環境41に対する温度差が温熱的にカーテン27を透過する熱損失によって或いはカーテン27の隙間から気流的に流出する熱損失によって失われないように、素材や色等が選定されている。但し、カーテン27を厚手の遮光カーテンとして、光や温度環境の個別性をより確保し易い状況を形成することもできる。さらに、生地の素材や色柄の選択によって各1.5 次睡眠環境40の独立性を調整することができる。
そして、天蓋30の下面には、空調装置49の吹出口が形成されている。吹出口は、天蓋30の下面ヘッド側に頭部吹出口47が、エンド側に脚部吹出口48が、それぞれ形成されている。頭部吹出口47及び脚部吹出口48からは、夏季の頭部や脚部の冷却のために、冷風が吹き出される。頭部吹出口47からの冷風にて就寝者の頭部を冷却して体熱を放散させるために、頭部吹出口47は就寝者の頭部の上方に設けられており、位置に風を感じない程度の微風が送られる。また、脚部吹出口48からの冷風にて就寝者の脚部を冷却するために、脚部吹出口48は就寝者の脚部の上方に設けられている。頭部吹出口47及び脚部吹出口48のいずれからの送風も、就寝者が風を感じない程度の微風であり、就寝者の上方から穏やかな冷気が降りてくるように感じる程度とする。
空調装置49は、室外機61と、室外機61と送風ダクト68で接続された室内機62と、室内機62に送風ダクト63を介して接続された送風口66と、送風口66が開口している送風室67と、送風室67と挿通された冷気溜65とで構成されている。冷気溜65には頭部吹出口47及び脚部吹出口48が開口している。
前記送風室67及び冷気溜65は、箱形状に形成された天蓋30の内部空間を利用して設けられた、室内機62にて調整された気体を溜めるための空間である。すなわち、空調装置49の室内機62で調整された気体は、送風口66から天蓋30の内部形成された送風室67に流入し、冷気溜65へ移動して、天蓋30の下面に開口した頭部吹出口47及び脚部吹出口48より吹き出され、天蓋30の下方の就寝者へ送られることとなる。このように、天蓋30の内部空間を利用して調整された気体の溜まる空間を形成し、一旦気体をとどめることで、頭部吹出口47及び脚部吹出口48より吹き出される冷気は、流入時の勢いが和らげられ、就寝者が風を感じない程度の微風となる。
なお、送風ダクト63には、バルブ64が設けられ、バルブ64の開度を調整することにより、頭部吹出口47及び脚部吹出口48より吹き出される気体の量、すなわち、風量が調節可能とされている。
また、冷気溜65の、より送風室67に近い位置に頭部吹出口47が設けられている。これは、まず送風室67に送られてきた気体が冷気溜65へ移動するが、頭部吹出口47と脚部吹出口48とはいずれも冷気溜65に開口しており、先に頭部吹出口47から気体が吹き出すことによって、脚部吹出口48より吹き出される気体L2より頭部吹出口47から吹き出される気体L1の方が、温度が低く、且つ、風量が大きくなるようにするためである。この頭部吹出口47と脚部吹出口48との配置関係により、就寝者の頭部と脚部とへの送風を、特別な装置を用いることなく、「頭寒足熱」の温熱生理的な快適により近い状態とすることができる。
さらに、図3及び図4に示す如く、一つの寝室に複数の寝室家具10・10を配置する際には、全部の寝室家具10・10に対して、一つの室外機61及び室内機62を設けるが、各寝室家具10において頭部吹出口47及び脚部吹出口48からの風量を個々に調節可能としている。これにより、各寝室家具10で就寝者に適した風量で冷気を就寝者に送ることができ、各就寝者に異なる良好な睡眠環境を形成することができる。
室内機62と、各寝室家具10の天蓋30内に設けられた送風室67への送風口66とを繋ぐ送風ダクト63はそれぞれに設けられ、各送風ダクト63(63A・63B)にバルブ64(64A・64B)が備えられている。室内機62の制御部62aでは、各バルブ64(64A・64B)の開度と、室内機62で調整される気体の温度とが制御される。また、室内機62では、寝室家具10近傍に配置されたキャビネット等の寝室家具60に設けられた操作パネル59や、遠隔操作装置69にて入力された信号を、通信部62bにて受信可能としている。そして、室内機62の制御部62aでは、通信部62bにて受信した信号に基づいて、各バルブ64(64A・64B)の開度と、室内機62で調整される気体の温度とが制御される。各バルブ64(64A・64B)の開度は個々に調整可能であり、従って、個々の寝室家具10は独立して、頭部吹出口47及び脚部吹出口48からの風量が調節可能である。なお、室外機61や室内機62は、寝室全体のための空調装置と兼用させることもできる。
本発明の実施例に係る寝室家具の全体的な構成を示した側面図。 寝室家具の内部構成を示す側断面図。 複数の寝室家具を配置した寝室の様子を示す図。 空調装置の構成を示す図。 1.5 次環境を説明する図。
10 寝室家具
20 ベッド
27 カーテン
30 天蓋
47 頭部吹出口
48 脚部吹出口
49 空調装置
64 バルブ
65 冷気溜
66 送風口
67 送風室

Claims (2)

  1. 寝室家具(10)を、ベッド(20)と天蓋(30)とで構成し、該ベッド(20)のヘッド側に設けられたヘッドボード(22)と、該天蓋(30)のヘッド側に設けられた天蓋垂壁(29)とを、一体的にして、前記ベッド(20)とヘッドボード(22)と天蓋垂壁(29)と天蓋(30)とを、側面視略コ字状に形成し、空調装置(49)を、室内機(62)と送風ダクト(63)と送風口(66)と、送風口(66)が開口している送風室(67)と、該送風室(67)と挿通され、内部に空調された気体が流入する空間である冷気溜(65)とで構成し、前記天蓋(30)を箱形状に構成し、前記天蓋(30)の空間内に、該空調装置(49)の送風口(66)と送風室(67)と冷気溜(65)とを構成し、前記天蓋(30)の冷気溜(65)の下面には、就寝者の頭部上方に位置する空調装置(49)の頭部吹出口(47)と、就寝者の脚部上方に位置する前記空調装置(49)の脚部吹出口(48)とを設け、前記空調された気体の流入側である前記送風室(67)に近い方の冷気溜(65)に、該頭部吹出口(47)を開口し、前記冷気溜(65)の送風室(67)から遠い方に該脚部吹出口(48)を開口配置したことを特徴とする寝室家具。
  2. 請求項1記載の前記寝室家具(10)において、前記ベッド(20)を構成するベッドフレーム(21)の就寝者の脚部下方に位置する面状発熱体(53)を設け、ベットスプリング(23)を介して、就寝者の脚部を穏やかに加温可能とし、該ベットスプリング(23)には、該面状発熱体(53)の熱が伝達されやすいように、複数の通気口(23a)を設けたことを特徴とする寝室家具。
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