JP4609348B2 - 鋳込みスリーブ構造およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのシリンダブロックやトランスミッションケース等のアルミニウム合金材のケース(ハウジング)部品において、異種材の金属が摺動する部分若しくは過大な荷重を受ける軸受部分等の変形や損傷を防止する等のために、円筒形状の鉄系材料が鋳包れた鋳込みスリーブ構造およびその製造方法に関するものである。
従来からアルミニウム合金材のケース鋳造時に鋳造金型内部の適切な位置に鉄系材のスリーブが配置され、鋳ぐるみにより一体成型されている。スリーブとアルミニウム合金材のケースは一体成型されるため、それぞれの境界は溶着された状態となる。そのため、スリーブとアルミニウム合金材のケースの間に隙間や滑りは、基本的に発生しない。鋳造一体成型により、スリーブをアルミニウム合金材のケースに圧入する工程を省略できる。また、スリーブを鋳込まれたアルミニウム合金材のケースは、一体部品として加工できるため、寸法精度の確保に有利である。
しかしながら、一般的にケースに使用されるアルミニウム合金材は、スリーブの鉄系材料と比べて、線膨張係数が大きく(約2倍)、また強度が低い(弾性率約1/3)ため、ケース鋳造後にアルミニウム合金材のケースが大きく収縮しようとするが、一方で内側のスリーブがその収縮を妨げようとする。このため、結果として強度の低いアルミニウム合金材のケースの残留応力が大きくなり、ケースの肉厚設定によっては、変形および割れが発生するという問題点があった。これは、スリーブ径が大径となるほど影響は大きくなり、ケースの割れの可能性が高くなる。このために、スリーブ外周のケースの肉厚を十分に厚く確保する必要があるが、要求される寸法やレイアウトの制約により、アルミニウム合金材のケースの肉厚を必要十分に確保できない場合がある。
このため、鋳込み時のスリーブの内径側から圧力を加え、予めスリーブを拡径させた状態で鋳造を行うことで、アルミニウム合金材のケース収縮時の残留応力を低減するという内燃機関のアルミニウム合金材のシリンダブロックの鋳造方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平6−126428号公報
しかしながら、上記従来例では、鋳込み時にスリーブの内径側から拡径させた状態で鋳造を行うものであるため、製造設備や鋳造金型に複雑な機構を必要とし、加工コストの増加は避けられない。また、スリーブの拡径量を管理するのが困難であり、品質の安定化が難しいという問題点があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、加工コスト増加を伴うことなく残留応力低減に好適な鋳込みスリーブ構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、アルミニウム合金材のケーシングの内面に内周面若しくは外周面を露出させて鉄系材のスリーブを一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造において、前記スリーブにはその両開口部から交互に軸方向中央側へ延びる複数の切込みが形成され、これらの切込みは、一方の開口部から延びる切込みの軸方向長さと隣接して他方の開口部から延びる切込みの軸方向長さとの和が、スリーブの軸方向長さより長く形成されて、前記隣接する切込み同士の先端領域がスリーブの円周方向で重なり合っており、これらの切込みにケーシングを構成するアルミニウム合金材が充填されているよう構成した。
したがって、本発明では、両開口部から交互に軸方向中央側へ延びる複数の切込みが形成され、一方の開口部から延びる切込みの軸方向長さと隣接して他方の開口部から延びる切込みの軸方向長さとの和が、スリーブの軸方向長さより長く形成されて、前記隣接する切込み同士の先端領域がスリーブの円周方向で重なり合っている鉄系材のスリーブをアルミニウム合金材のケーシングの内面に表面を露出させて一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造としているため、前記スリーブの径方向剛性が前記切込みにより低下され、その径方向の収縮変形が許容され、鋳造後のアルミニウム合金材のケースの収縮変形に追従でき、アルミニウム合金材のケースの残留応力を緩和できる。結果として、アルミニウム合金材のケースのスリーブ鋳込み部分の薄肉化、および割れ防止、さらに大径スリーブの鋳込みを実現可能とできる。
以下、本発明の鋳込みスリーブ構造およびその製造方法を各実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明を適用した鋳込みスリーブ構造およびその製造方法の第1実施形態を示し、図1は本実施形態の鋳込みスリーブ構造の断面図、図2は図1のA−A線に沿う鋳込みスリーブ構造の断面図、図3は第1実施例の鋳込みスリーブの斜視図、図4は第1実施例の鋳込みスリーブの詳細図である。
図1には、自動車用変速機のアルミニウム合金材のケース1における軸受支持部の断面形状が図示されている。前記ケース1は、圧入される軸受Bを外周側から支持する円筒状の内周面2を備える。この内周面2は、ケース1のアルミニウム合金材によるダイキャスト若しくは低圧鋳造時に、鋳造金型に予めセットされた円筒状の鉄系材よりなるスリーブ3を鋳ぐるみにより一体化させ、その円筒状スリーブ3の内周面により形成されている。
前記スリーブ3は、図3に示すように、円筒状をなしており、そのスリーブ3の両開口端には、両開口端面から交互に軸方向の切込み4(軸方向のスリット)が等間隔若しくは不等間隔に備えるよう構成している。これら切込み4の幅は、開口端側と切込み4の奥側とで同じ幅に形成されている。これら切込み4(スリット)の長さは、スリーブ3の軸方向寸法より短く且つスリーブ3の軸方向中央位置を越えて形成されている。このため、切込み4の先端と他方の開口端との間に部分円筒状の連結部5を残しており、これらの連結部5がスリーブ3の両端面に交互に形成されて夫々が連なることにより、円筒状のスリーブ3としての形状を保持している。なお、前記切込み4の数量は、スリーブ3の左右開口端に交互に配置するものであるため、左右開口端での切込み4の数量は同じとなる。
前記スリーブ3は、全周が連続しているスリーブに対して、前記切込み4(スリット)により円筒剛性を低下させており、スリーブ3に半径方向の内側から外側に向かう荷重が加えられた際には、その径が弾性を持って拡径変形可能であり、半径方向の外側から内側に向かう荷重が加えられた際には、その径が弾性を持って縮径変形可能である。
前記スリーブ3の円筒剛性は、図4に示すように、前記切込み4(スリット)の深さL(軸方向長さ)や円周上に配置する切込み4(スリット)の数量(ピッチP)により増減させて設定することができる。また、スリーブ3の左右の開口端において、前記切込み4(スリット)の深さL(軸方向長さ)を異ならせることにより、スリーブ3の軸方向位置に応じて円筒剛性が変化するようにも設定することができる。
また、前記スリーブ3の両開口端に設ける前記切込み4同士の間隔Pを等間隔に配置する場合においては、円周上の各角度位置において、同一の円筒剛性を保持させることができる。また、逆に、前記切込み4同士の間隔を図示しないが不等間隔に配置する場合においては、円周上の各角度位置において、異なる円筒剛性を保持させるようにもできる。
前記スリーブ3は、アルミニウム合金材によるケース1の鋳造時に鋳造金型内部の適切な位置に配置され、鋳ぐるみにより一体成型される。スリーブ3とアルミニウム合金材のケース1は一体成型されるため、それぞれの境界は溶着された状態となる。そのため、スリーブ3とアルミニウム合金材よりなるケース1の間に隙間や滑りは、基本的に発生しない。鋳造一体成型により、スリーブ3をアルミニウム合金材のケース1へ圧入する工程を省略できる。また、スリーブ3を鋳込まれたアルミニウム合金材のケース1は、一体部品として加工できるため、寸法精度の確保に有利である。そして、前記スリーブ3を鋳ぐるみした状態のケース1においては、図1および図2に示すように、前記スリーブ3の切込み4(スリット)には、ケース3を構成するアルミニウム合金材が充填される。
以上のように構成したケース1において、鋳造後のスリーブ3外周のアルミニウム合金材よりなるケース1が収縮すると、スリーブ3が径方向に収縮変形し、切込み4の幅も収縮する。このため、アルミニウム合金材のケース1鋳造後において、ケース1の収縮変形に対してスリーブ3が追従し、アルミニウム合金材のケース1の残留応力が大幅に緩和される。その際に、切込み4の部分に充填されたアルミニウム合金材も同様に収縮するため、切込み4の部分に充填されたアルミニウム合金材がスリーブ3の収縮変形を阻害する要因にはならない。したがって、特別にアルミニウム合金材のケース1の肉厚を増加させることなく、大型で大径のスリーブ3のアルミニウム合金材への鋳込みを容易に実現できる。
次に、第1実施例の鋳込みスリーブ構造は、以下に説明する製造方法により形成することができる。
図5は、型閉め状態の鋳造金型を示し、中型21(下型)はケース1の内面形状に型彫りされ、外型22(上型)はケース1の外面形状に型彫りされている。前記中型21と外型22との間には、ケース1を構成するキャビティ23が形成されている。また、前記軸受Bを外周側から支持する円筒状の内周面2を形成する中型21の円筒状の外周面2Aには、予め前記スリーブ3を嵌合させて配置されている。スリーブ3は切込み4により縮径および拡径可能であるため、その径を前記中型21の円筒状の外周面2Aの径より小さめに形成し、円筒状の外周面2Aへの嵌合時に若干拡径させて嵌合させることにより、その内周面2を円筒状の外周面2Aに弾力を持って密着させることができる。
この型閉め状態において、アルミニウム合金材の溶湯を前記キャビティ23に射出し加圧充填すると、溶湯は前記キャビティ23に充満され、前記スリーブ3の外周を取囲み、スリーブ3の切込み4にも充填される。溶湯が完全に凝固すると、図示されない駆動手段によって中型21、外型23が後退し、鋳造品の取り出しが可能となる。
この状態では、スリーブ3とアルミニウム合金材のケース1は、それぞれの境界で溶着された一体状態となる。そのため、スリーブ3とアルミニウム合金材よりなるケース1の間に隙間や滑りは、基本的に発生しない。
図6に示す第2実施例のスリーブ3では、円筒状のスリーブ3の両開口端に、第1実施例と同様に、両開口端面から交互に軸方向の切込み4A(軸方向のスリット)が等間隔若しくは不等間隔に備えるよう構成している。これら切込み4A(スリット)の長さは、スリーブ3の軸方向寸法より短く且つスリーブ3の軸方向中央位置を越えて形成されている。このため、切込み4Aの先端と他方の開口端との間に部分円筒状の連結部5Aを残しており、これらの連結部5Aがスリーブ3の両端面に交互に形成されて夫々が連なることにより、円筒状のスリーブ3としての形状を保持している。そして、これら切込み4Aの幅は、開口端側で大きい幅となり切込み4Aの奥側で小さい幅となる不均一な幅に形成されている。
このスリーブ3においても、第1実施例と同様に、鋳造後のスリーブ3外周のアルミニウム合金材よりなるケース1が収縮すると、スリーブ3が径方向に収縮変形し、切込み幅も収縮する。このため、アルミニウム合金材よりなるケース1鋳造後の収縮変形にスリーブ3が追従し、アルミニウム合金材のケース1の残留応力が大幅に緩和される。その際に、切込み4Aの部分に充填されたアルミニウム合金材も同様に収縮するため、切込み4Aの部分に充填されたアルミニウム合金材がスリーブ3の収縮変形を阻害する要因にはならない。したがって、特別にアルミニウム合金材よりなるケース1の肉厚を増加させることなく、大型で大径のスリーブ3のアルミニウム合金材への鋳込みを容易に実現できる。
なお、上記実施形態において、スリーブ3の両端開口に交互に設ける切込み4の深さとして、同一長さを備え、一方の開口端からの切込みの先端が他方の開口端からの切込みの先端を超えて延びて互いに重なる領域がスリーブ3の中央に位置されて、スリーブ3全体は一様に縮径および拡径されるものについて説明した。しかしながら、図示はしないが、両端開口に設ける切込み同士が軸方向のいずれかの領域で重なる部分、即ち、一方の開口端からの切込みの先端が他方の開口端からの切込みの先端を超えて延びて互いに重なる領域があればよいため、前記切込みの長さが、左右端開口において相違して、前記領域がスリーブの軸方向中央位置から軸方向いずれかへずれて配列する場合であってもよく、この場合には、ずれた側の円筒剛性を高まり且つ他方の円筒剛性は弱まるよう設定することができる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)アルミニウム合金材のケーシング1の内面に内周面若しくは外周面を露出させて鉄系材のスリーブ3を一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造において、前記スリーブ3にはその両開口部から交互に軸方向中央側へ延びる複数の切込み4が形成され、これらの切込み4にケーシング1を構成するアルミニウム合金材が充填されている、即ち、両開口部から交互に軸方向中央側へ延びる複数の切込み4が形成された鉄系材のスリーブ3をアルミニウム合金材のケーシング1の内面に表面を露出させて一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造としているため、前記スリーブ3の径方向剛性が前記切込み4により低下され、その径方向の収縮変形が許容され、鋳造後のアルミニウム合金材のケース1の収縮変形に追従でき、アルミニウム合金材のケース1の残留応力を緩和できる。結果として、アルミニウム合金材のケース1のスリーブ3鋳込み部分の薄肉化、および割れ防止、さらに大径スリーブ3の鋳込みを実現可能とできる。
(第2実施形態)
図7〜図9は、本発明を適用した鋳込みスリーブ構造の第2実施形態を示し、図7および図8は第1および第2実施例の鋳込みスリーブの斜視図、図9は本実施形態の鋳込みスリーブ構造の断面図である。本実施形態においては、鋳込みスリーブに設ける切込みをスリーブの一方の開口端のみに設けるようにしたものである。なお、図1〜図6と同一装置・部品には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図7に示す第1実施例のスリーブ13においては、円筒状をなしたスリーブ13の一方の開口端に、開口端面から軸方向の切込み14(軸方向のスリット)を等間隔若しくは不等間隔に備えるよう構成している。これら切込み14の幅は、開口端側と切込み14の奥側とで同じ幅に形成されている。これら切込み14(スリット)の長さは、スリーブ13の軸方向寸法より短く且つスリーブ13の軸方向中央位置を越えて形成されている。このため、切込み14の先端と他方の開口端との間に円筒状部分15を残しており、円筒状のスリーブ13としての形状を保持している。
図8に示す第2実施例のスリーブ13においては、円筒状をなしたスリーブ13の一方の開口端に、開口端面から軸方向の切込み14(軸方向のスリット)を等間隔若しくは不等間隔に備えるよう構成している。これら切込み14の幅は、開口端側で大きい幅となり切込み14の奥側で小さい幅となる不均一な幅に形成されている。これら切込み14(スリット)の長さは、スリーブ13の軸方向寸法より短く且つスリーブ13の軸方向中央位置を越えて形成されている。このため、切込み14の先端と他方の開口端との間に円筒状部分15を残しており、円筒状のスリーブ13としての形状を保持している。
前記第1および第2実施例のスリーブ13は、全周が連続しているスリーブに対して、前記切込み14(スリット)が設けられた領域の円筒剛性を低下させている。即ち、全周が連続している他方に開口端近傍においては充分な円筒剛性を備えるものの、切込み14が形成されている領域においては、スリーブ13に半径方向の内側から外側に向かう荷重が加えられた際には、その径が弾性を持って拡径変形可能であり、半径方向の外側から内側に向かう荷重が加えられた際には、その径が弾性を持って縮径変形可能である。
前記切込み14が形成されている領域の円筒剛性は、円周上に配置する切込み14(スリット)の数量により増減させて設定することができる。また、前記スリーブ13の一方の開口端に設ける前記切込み14同士の間隔を等間隔に配置する場合においては、円周上の各角度位置において、同一の円筒剛性を保持させることができる。また、逆に、前記切込み14同士の間隔を図示しないが不等間隔に配置する場合においては、円周上の各角度位置において、異なる円筒剛性を保持させるようにもできる。
本実施形態のスリーブ13は、アルミニウム合金材のケース1のスリーブ13外周の軸方向全領域においてケース1肉厚を十分に確保できない場合でも、ケース1が薄肉となる領域のスリーブ13の円筒剛性を局所的に低下させることで、アルミニウム合金材のケース1の収縮に追従させ、鋳造後のスリーブ13外周のアルミニウム合金材のケース1残留応力を低減でき、スリーブ13の鋳込みを容易に実現できるようにしている。即ち、スリーブ13外周のアルミニウム合金材よりなるケース1の肉厚およびレイアウトに影響されずに、スリーブ13を鋳込み可能とする。
例えば、図9に示すように、スリーブ13外周のアルミニウム合金材よりなるケース1に、冷却用の水路16を設けた場合には、スリーブ13と水路16との間のケース1肉厚は薄くなる場合が多いが、そのような場合でも、水路16領域にあたるスリーブ剛性を下げることでアルミニウム合金材よりなるケース1の割れを防止することができる。
この場合、スリーブ13には完全な円筒部分が残されることになるため、例えば、スリーブ13に内周側から嵌合する部品Bに強い締付け力(大きな締め代)を与えることも可能である。
本実施形態においては、以下に記載した効果を奏することができる。
(イ)一方の開口部から軸方向中央側へ延びる切込み14が形成された鉄系材のスリーブ13をアルミニウム合金材のケーシング1の内面に内周面若しくは外周面を露出させて一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造としているため、前記スリーブ13の軸方向の一部の領域の径方向剛性が前記切込み14により局所的に低下され、その領域の径方向の収縮変形が許容され、鋳造後のアルミニウム合金材のケース1の収縮変形に追従させることができ、ケース1肉厚が薄肉となる部位のアルミニウム合金材のケース1の残留応力を緩和でき、その割れを防止できる。また、ケース1肉厚が厚肉となる部位においては、スリーブ13の完全な円筒部分15によりその円筒剛性を確保して、スリーブ13の内周側に嵌合する部品Bに強い締付け力を与えることができる。結果として、アルミニウム合金材のケース1のスリーブ13鋳込み部分の薄肉化、および割れ防止、さらに大径スリーブ13の鋳込みを実現可能とする。
(第3実施形態)
図10および図11は、本発明を適用した鋳込みスリーブ構造およびその製造方法の第3実施形態を示し、図10はスリーブ構造の断面図、図11は鋳造金型の断面図である。本実施形態においては、スリーブに設けた切込みを利用して内周側部品の回り止め機能を持つようにしたものである。なお、図1〜図9と同一装置・部品には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
本実施形態における鋳込みスリーブ構造においては、図10に示すように、スリーブ13の円周上に設ける数箇所の切込み14にケース1を構成するアルミニウム合金材を充填させることなく、そのまま凹溝状に形成し、内周部に嵌合する部品から外周側に突出したスプライン突起、回転防止キー突起等と係合させる係合溝17としている。この係合溝17は、その底部はケース1を構成するアルミニウム合金材で形成されるも、その両側壁はスリーブ13を構成する鉄系材で形成されており、内周側に嵌合する嵌合部品Bの外周側の突起18と鉄系材同士で接触される。このため、係合溝17の側壁と内周側部品Bの外周側突起18との係合による摺動抵抗を低減できる一方、その摩耗が抑制される。
前記係合溝17は、スリーブ13をアルミニウム合金材よりなるケース1に鋳込む段階において、スリーブ13周上に設けられた切込み部分14にアルミニウム合金材が充填されないように処理しておくことで形成することができる。即ち、スリーブ13の鋳込み時に、図11に示すように、スリーブ13の切込み部分14にアルミニウム合金材が充填されないように、スリーブ13を内周側から支持する鋳造金型21(中型)に、スリーブ13の切込み配置に合わせて凸部24を設け、この凸部24をスリーブ13の切込み部14に嵌合させて装着した状態とし、この状態でケース1を構成するアルミニウム合金材の溶湯をキャビティ23内に射出・充填させてスリーブ13外周面とケース1を構成するアルミニウム合金材とを溶着させて一体状態とし、凝固後に内外型21、22を型開きすることにより、スリーブ13の切込み部14を内周側に開いた係合溝17として形成することができる。
本実施形態の鋳込みスリーブ構造においては、特に、自動車の駆動系部品において、アルミニウム合金材のケース1に大径の鉄系材の円筒部品Bを嵌合させる場合に有効である。
即ち、一般的には、前記大径の鉄系材の円筒部品Bは、温度上昇時のアルミニウム合金材の熱膨張によるがたつきの発生、および、がたつき発生による円筒部品とアルミニウム合金材のケースとの熱伝達の悪化を抑えるため、大きな締め代を持たせて両者を嵌合させることが多い。
このとき、アルミニウム合金材のケース1と円筒部品Bは常温での圧入は困難であり、アルミニウム合金材のケース1を加熱して熱膨張させた状態で円筒部品Bを圧入して挿入する焼き嵌めが必要となる。しかしながら、これはケース1の加熱設備が必要となり、設備コスト増加、およびタクトタイムの増加は避けられない。また、締め代を大きくすると、円筒部品Bを嵌合した後のアルミニウム合金材のケース1の変形が大きくなり、ケース1の他部分との寸法精度にも影響を与え、追加の後加工を必要とする場合がある。
そこで、本実施形態に示すように、アルミニウム合金材のケース1部分に円筒部品Bを嵌合および係合させる鉄系材のスリーブ13を鋳込みむことで、高温時におけるアルミニウム合金材のケース1と円筒部品Bとの熱膨張差の影響は無視できるため、締め代を前者の場合と比べて大幅に低減できる。これにより、ケース1加熱設備などの特別な設備は必要なくなり、加熱工程が省略できる。しかも、嵌合後のアルミニウム合金材のケース1の変形も最小限に抑えられ、追加のケース1後加工を廃止できるため、製造コストを大幅に削減することができる。即ち、製造設備や鋳造金型に特別な機構を設けることなく、容易に実現でき、設備コストの増加も抑えることができる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ウ)アルミニウム合金材のケーシング1の内面に内周面若しくは外周面を露出させて鉄系材のスリーブ13を一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造において、前記スリーブ13にはその一方の開口部から軸方向中央側へ延びる複数の切込み14が形成され、これらの切込み14の少なくとも一部にはケーシング1を構成するアルミニウム合金材が充填されることなく内周への嵌合部品と係合する係合溝17に形成されていることにより、特に後加工を必要とせず、スリーブ13と嵌合する部品Bとの係合手段、例えば回転防止用のキー溝を設けることができ、キー溝の加工工程が削減でき、加工コストを低減することができる。
なお、上記実施形態において、アルミニウム合金材のケース(ハウジング)部品1として、トランスミッションケースについて説明したが、図示はしないが、シリンダ用スリーブが鋳ぐるまれるエンジンのシリンダブロックであってもよく、また、スリーブが鋳ぐるまれる他のケース・ハウジングであってもよい。
本発明は、エンジンのシリンダブロックやトランスミッションケース等のアルミニウム合金材のケース(ハウジング)部品の異種材の金属が摺動する部分若しくは過大な荷重を受ける軸受部分等の変形や損傷を防止する等のために、円筒形状の鉄系材料が鋳ぐるまれる鋳込みスリーブ構造およびその製造方法に関するものであるが、これに限定されることなく、他のケース・ハウジングに鋳ぐるまれる鋳込みスリーブ構造にも適用できる。
本発明の一実施形態を示す鋳込みスリーブ構造の断面図。 同じく図1のA−A線に沿う鋳込みスリーブ構造の断面図。 第1実施例の鋳込みスリーブの斜視図。 第1実施例の鋳込みスリーブの詳細図。 鋳造金型を示す断面図。 第2実施例の鋳込みスリーブの斜視図。 本発明の第2実施形態の第1実施例の鋳込みスリーブの斜視図。 本発明の第2実施形態の第2実施例の鋳込みスリーブの斜視図。 本発明の第2実施形態の鋳込みスリーブ構造の断面図。 本発明の第3実施形態の鋳込みスリーブ構造の断面図。 本発明の第3実施形態の鋳込みスリーブ構造の鋳造金型の断面図。
符号の説明
1 ケース、ケーシング
2 内周面
3、13 スリーブ
4、4A、14 切込み(スリット)
5、15 連結部

Claims (4)

  1. アルミニウム合金材のケーシングの内面に内周面若しくは外周面を露出させて鉄系材のスリーブを一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造において、
    前記スリーブにはその両開口部から交互に軸方向中央側へ延びる複数の切込みが形成され、
    これらの切込みは、一方の開口部から延びる切込みの軸方向長さと隣接して他方の開口部から延びる切込みの軸方向長さとの和が、スリーブの軸方向長さより長く形成されて、前記隣接する切込み同士の先端領域がスリーブの円周方向で重なり合っており、
    これらの切込みにはケーシングを構成するアルミニウム合金材が充填されていることを特徴とする鋳込みスリーブ構造。
  2. 前記スリーブのいずれか一方の開口部から延びる切込みの少なくとも一部にはケーシングを構成するアルミニウム合金材が充填されることなく内周への嵌合部品と係合する係合溝に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳込みスリーブ構造。
  3. アルミニウム合金材のケーシングの内面に内周面若しくは外周面を露出させて鉄系材のスリーブを一体に鋳造してなる鋳込みスリーブ構造の製造方法において、
    両開口部から交互に軸方向中央側へ延びる複数の切込みが形成され、一方の開口部から延びる切込みの軸方向長さと隣接して他方の開口部から延びる切込みの軸方向長さとの和が、スリーブの軸方向長さより長く形成されて、前記隣接する切込み同士の先端領域がスリーブの円周方向で重なり合っている鉄系材のスリーブをケーシングのキャビティを構成する金型のキャビティ面にその外周面若しくは内周面を露出させて配置し、
    前記キャビティにアルミニウム合金材の溶湯を加圧充填して前記切込みにも前記溶湯を充満させ、
    溶湯の凝固後に前記キャビティを形成している金型を型開きして、前記切込みにケーシングを構成するアルミニウム合金材が充填された鋳込みスリーブを備えるケーシングを得ることを特徴とする鋳込みスリーブ構造の製造方法
  4. 前記スリーブのいずれか一方の開口部から延びる切込みの少なくとも一部には前記スリーブに外周側若しくは内周側から接触する金型に設けた突起を前記スリーブの切込みに嵌合させ、
    前記キャビティにアルミニウム合金材の溶湯を加圧充填して前記キャビティに開放されている切込みにも前記溶湯を充満させ、
    溶湯の凝固後に前記キャビティを形成している金型を型開きして、前記スリーブの切込みにはケーシングを構成するアルミニウム合金材が充填されていない鋳込みスリーブを備えるケーシングを得ることを特徴とする請求項3に記載の鋳込みスリーブ構造の製造方法。
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