JP4607432B2 - 細胞又は組織の培養装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞組織工学や遺伝子治療等の応用であるティッシュ・エンジニアリングに用いられる細胞又は組織の培養装置に係り、人体の欠損組織の修復等に必要な細胞や組織の体外培養に用いられる細胞又は組織の培養装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体の欠損箇所や異常箇所の修復には次のような方法がある。その第1は、欠損箇所や異常箇所の修復手段として、プラスチック、金属、セラミック等の生体以外の材料で代用する方法である。代用品としては骨用のセラミック、ステンレススチール、関節用のポリエチレン樹脂、血管用のビニール樹脂等がある。第2は、他の動物、他の部位等の生体材料を代用する方法がある。この代用品には例えば、皮膚等がある。また、第3は、他人の臓器を移植する方法である。
【0003】
第1の方法では、プラスチック、金属、セラミック等の生体以外の材料の摩耗、消耗によって定期的に交換の必要が生じたり、摩耗等により分離した物質が生体に対して悪影響を与えることがある。また、合成樹脂の血管では、血管が長期間の使用により、内部が詰まってくるという事例も報告されている。第3の方法では、移植すべき臓器の提供者がいなければ実施は不可能であるし、実施した場合でも臓器間の拒否反応の問題が残る。
【0004】
このため、実用化の期待がかかる修復方法は、生体細胞をその体内又は体外で細胞又は組織を培養して得られた細胞や組織を欠陥部位の修復にあてるという方法である。現在の研究では、皮膚、軟骨、骨、血管、肝臓、膵臓等多くの組織にその可能性があることが報告されている。生体の細胞から患者の体内、体外で細胞又は組織を培養し、その培養によって得られた細胞や組織を欠損部分の修復にあてれば、体内で再生不可能な組織の再生ができ、しかも、修復に用いた組織は患者自身の遺伝子を持った組織であるから拒否反応はなく、また、例えば合成樹脂等のように生体材料以外の化学物質が生体に悪影響を与えるということもない。理想的な治療が可能になる。
【0005】
ところで、従来、この種の技術として特開平9−313166号「細胞培養装置」が提案されている。この技術では、培養毎に各部品を分解して洗浄、滅菌を行った後、再度装置を組み立てなければならず、滅菌後に細菌に汚染されるおそれがある。汚染を防ぐために装置を組み立ててから、オートクレーブ(121°C絶対圧2気圧)等の滅菌処理を行うことは可能であるが、ポンプや圧力センサは多くの電子部品や特殊な樹脂、オイルを含んでいるから、汚染防止上、用いることができない。そのため、ポンプや圧力センサはその一部を分解して培養液の通路部分のみを取り出して薬品による滅菌を行い、他の部品はオートクレーブにより滅菌を行い、その後、ポンプや圧力センサと装置を組み立てることになるため、手間がかかるとともに雑菌汚染の危険性が高い。また、インキュベータ(培養庫)を用いて培養することは、ポンプや制御装置が温度、湿度により悪影響を受け易く、容積に限りがあるインキュベータに全ての装置を収容することができない。このため、インキュベータの貫通穴に配管や電源、制御用の電線を通すため、インキュベータと外気とを連結した状態で装置を組み上げなければならない。また、培養液の回路全体に圧力をかけるため、ポンプや配管等の部品を含め、全体を耐圧構造にしなければならないが、高い圧力(例えば1MPa以上)の設定は非常に難しく、高圧力を与えようとすると、全体を高耐圧構造としなければならず、コストアップが問題となる。
【0006】
また、従来、物理的刺激として圧力を加えながら生体組織を培養する研究はハーバードメディカルスクールの水野秀一博士他から報告されている〔Materials Science and Engineering C6 (1998)301-306〕。この研究によれば、図26に示すように培養装置が構成されており、この培養装置における各要素とその機能について説明すると、ポンプ400は、培養液402を循環させる役割と、培養チャンバ404の内部を加圧して細胞406又は組織に静水圧を与える役割を果たし、例えば、液体クロマト用のポンプが用いられ、一定流量を流すための制御装置が内蔵されている。
【0007】
バックプレッシャレギュレータ408は、細胞406又は組織に与えようとする圧力以上になると弁410を開いて圧力を逃がし、培養チャンバ404内部の圧力を一定に保つ。細胞406に与えようとする圧力に応じて、バックプレッシャレギュレータ408を選択して取り付ける。
【0008】
培養チャンバ404は細胞406又は組織を培養する空間を構成し、この培養チャンバ404にはコラーゲンで形成されたスポンジからなる足場412に細胞406又は組織を植え付けたものを収容する。細胞406又は組織は、コラーゲンのスポンジからなる足場412で増殖する。
【0009】
圧力センサ414は、培養チャンバ404内の圧力を検知し、圧力モニタ416は圧力センサ414の検出圧力を表示する。ポンプ400は、この検出圧力によって制御され、その検出圧力が過大となった場合、ポンプ400の運転を停止する。
【0010】
培養液槽418は、培養する細胞406又は組織に適する培養液402を溜め、この培養液402は、例えば、アミノ酸類、糖類、塩類等からなる。培養液槽418は、閉塞栓420に貫通させた通気チューブ422を通して外気に通じ、通気フィルタ424は外気による汚染を防止する。
【0011】
この培養装置は、密閉空間であるインキュベータに収容される。このインキュベータは、快適な培養雰囲気を形成する空間であって、細胞、組織に最適な温度、湿度及びガス濃度(酸素、炭酸ガス)に維持されている。そして、培養液402はポンプ400によって回路426内に満たされて循環する。酸素、炭酸ガスは通気フィルタ424を通過して培養液402に溶け込み、培養液402は適度な酸素濃度、炭酸ガス濃度に保たれる。ポンプ400を運転すると、次第に培養チャンバ404の中の圧力が上昇し、バックプレッシャレギュレータ408の設定圧力以上になると、バックプレッシャレギュレータ408の弁410が開いて培養液402を排出し、培養液402が排出した分だけ、培養液402の圧力が低下するため、弁410が閉じる。このような動作の繰り返しにより、一定圧力が維持され、同時に、一定量の培養液402の循環が繰り返される。細胞406又は組織はこのような圧力刺激を受けながら増殖する。
【0012】
この培養装置では一定圧力を維持できるものの、圧力の昇降を繰り返すことができない。圧力上昇はポンプ400によるため、圧力の上昇速度がポンプ400の能力により決まり、培養液402の循環量を増すと、上昇速度が速くなり、その循環量を少なく設定すると、圧力上昇が緩慢になる。このため、圧力サイクルを連続的に繰り返す場合、圧力を下降させるには、図27のように、バックプレッシャレギュレータ408に並列にバイパス弁428とオリフィス弁(ニードル弁)430を備えたバイパス路432を設置する方法がある。この方法では、降圧が可能になるものの、1周期に要する時間が長くなると同時に、繰り返し周期の設定と培養液402の循環量を独立させることができず、また、オリフィス弁430の調節が微妙となり、圧力低下の割合が不安定になるという欠点がある。
【0013】
そして、培養の実施の度に各部品を分解して洗浄、滅菌を行った後、装置を組み立てなければならないため、滅菌後に細菌汚染のおそれがある。汚染防止のため、組み立てた装置をオートクレーブ(121°C絶対圧2気圧)等の滅菌処理を施すことが考えられるが、ポンプや圧力センサは多くの電子部品や特殊な樹脂、オイルが含まれているために不可能である。このため、現状では、ポンプや圧力センサは一部を分解して培養液の通路部分のみを取り出し、薬品による滅菌を行い、他の部分はオートクレーブにより滅菌を行った後、ポンプや圧力センサと装置を組み立てなければならず、手間がかかり、雑菌汚染のおそれも高い。
【0014】
培養液への酸素、炭酸ガスの取り込みはフィルタを通しているが、周囲の雰囲気から直接行っているため、汚染のおそれもある。また、この培養装置は、インキュベータに収容されるが、ポンプユニットや圧力モニタは温度、湿度により悪影響を受け易く、インキュベータにポンプユニットや圧力モニタを収容することは容積的に困難である。このため、インキュベータの貫通穴に配管用のチューブや電源、制御用の電線を通してその内部と外部とを連結することにより、装置を組み上げなければならない。
【0015】
また、圧力の設定は設定圧力に応じたバックプレッシャレギュレータを選択して組み込むため、圧力の設定を変えるには、バックプレッシャレギュレータを取り替えなければならないため、手間がかかるとともに雑菌汚染の危険性も高い。
【0016】
圧力サイクルを変更する場合、図27に示す培養装置は、低圧側の設定をすることができず、オリフィス弁430である程度の圧力調整が可能であるとしても、設定された圧力がポンプ400の循環流量で変化する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の生体の細胞又は組織の培養では、インキュベータ(培養庫)内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度を最適な条件に設定し、その中で細胞を培養している。このようなインキュベータによる培養では、シャーレの上での平面的(2次元的)培養であり、3次元的な培養の試みが成されている。しかも、このような培養においては、外気に晒された培養液や細胞又は組織が細菌に汚染され易く、安定的な培養が難しい。
【0018】
しかも、生体の細胞は常に物理的刺激下にあり、それらの刺激は細胞の代謝機能の制御、細胞分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散等に間接的に影響を与えているが、それを安定的に実現することが難しく、物理的刺激の量、変化、周期等の設定や変更は非常に困難であった。そして、培養にあたっては微妙な圧力設定や調整が必要となり、培養担当者の熟練を要する。
【0019】
このため、従来の生体細胞の体外培養は、修復すべき部位の大きさに成長させるのに時間がかかり、汚染等により正常な培養が損なわれることがあった。
【0020】
そこで、本発明は、汚染の防止とともに効率的な体外培養を実現した細胞又は組織の培養装置を提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、生体を模倣した環境等、任意に制御される環境下に培養位置(培養チャンバ20)を設置するとともに、前記培養位置に細胞(5)又は組織を保持しながら培養液(3)を供給し、理想的な環境下にある前記培養位置で前記細胞又は前記組織を培養することで、汚染防止を図るとともに、前記細胞又は前記組織の効率的な体外培養を実現したものである。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の細胞又は組織の培養装置は、ガスが供給され、かつその雰囲気の温度、湿度及びガス濃度が調節される密閉空間(2)と、この密閉空間に設置され、培養液(3)が溜められる培養液槽(9、49、培養液バッグ48)と、前記密閉空間に設置され、前記培養液が供給されて細胞又は組織を培養する培養チャンバ(20)と、前記密閉空間に設置されて外部と遮断され、前記培養チャンバと前記培養液槽とをチューブ(50A〜50E)で連結して構成され、前記培養液槽の培養液を前記培養チャンバに連続的、間欠的又は周期的のうちの一つ、又はこれらの組合せの何れかを用いて循環させる培養回路(培養回路ユニット4)と、前記培養チャンバ内の培養液中に前記細胞又は前記組織を浮遊状態又は非浮遊状態で保持する保持手段(足場7)と、前記培養液槽と前記培養チャンバとの間の前記培養回路に設置され、前記密閉空間内に供給されている前記ガスを前記チューブに流れる前記培養液に吸収させる気体吸収部(気体吸収装置10)と、前記培養チャンバの外側に備えられ、前記培養チャンバの外側から前記培養チャンバに対して圧力を加えることにより、前記培養チャンバ内の培養液中で培養されている前記細胞又は前記組織に対して作用させ、その圧力として、前記細胞又は前記組織に連続して変化する圧力、間欠して変化する圧力又は周期的に変化する圧力の何れかの圧力の一つ又はこれらの2以上の組合せからなる圧力を加えるとともに、前記細胞又は前記組織に加えられている前記圧力を検出して付与すべき圧力との誤差を求めて前記圧力の補正を行う加圧手段(圧力印加装置16)とを備えることを特徴とする。
【0023】
即ち、欠損した生体の一部等の修復に必要な組織は、その生体の細胞や組織を用いることが理想的である。これを実現するためには、生体から採取した細胞や組織を用いてそれを体外培養することである。この体外培養で重要なことは、汚染防止と、生体と同等の培養環境、即ち、生体を模倣した環境を人工的に実現することである。そこで、人工的に形成した環境に培養位置を設定し、この培養位置に細胞又は組織を保持し、培養液を供給することにより、細胞又は組織の体外培養を実現している。ここで、環境とは、細胞又は組織によって形成される生体を基準とし、その生命を健康的に維持するに必要な体内、体外の刺激を含む生存条件を示す。また、培養液は、細胞又は組織の生命を維持するとともに生育に必要な栄養源を含む。この場合、培養液の供給は、細胞又は組織に静水圧と流れという物理的刺激を与え、細胞又は組織が代謝機能、分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影響を受け、その培養が促進され、その結果、体内組織に近く、また、体内組織と融合し易い細胞又は組織を培養することが可能となる。
【0024】
上記目的を達成するためには、本発明の細胞又は組織の培養装置において、前記保持手段は、前記細胞又は前記組織の成長により前記保持手段をその細胞又は組織に吸収されることを特徴とする。
【0025】
培養位置の設定や環境設定については、既に述べた通りである。培養位置に設定された細胞又は組織に対し、培養回路を通して培養液を連続的又は断続的に供給する。外界と分離又は遮断された培養回路を通して培養液を供給することにより、培養液の供給形態を連続的又は断続的に行うことができると同時に、汚染防止を図ることができる。培養液の供給形態についても、生体の環境に対応して制御することで、生体を模倣することができ、効率的に細胞又は組織の培養を行うことができる。そして、培養中に細胞又は組織には所望の圧力を作用させて物理的刺激を加えており、その圧力の形態は、連続、間欠又は周期的な変化とすることにより、生体を模倣し、培養される細胞又は組織に必要な柔軟性や耐久性等の生体に必要な物理的、機械的な強度を付与することができる。これは、修復すべき生体の部位に対応した理想的かつ実用的な細胞又は組織、即ち、体内組織に近く、体内組織と融合し易い細胞又は組織の培養に寄与することになる。
【0026】
このような構成によれば、培養すべき細胞又は組織が培養チャンバに収容され、外気と遮断されて必要な培養液が供給される。外気と遮断された細胞又は組織は、菌体等の汚染から防護され、その結果、品質の良い組織に成長する。また、細胞又は組織には、培養液による静水圧と流れによる物理的刺激に加え、加圧手段によって所望の圧力が付与される。この結果、細胞の代謝機能、分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影響を受け、細胞又は組織の培養が促進される。また、細胞又は組織への培養液の供給は、間欠的又は連続的に行うことができるので、バリエーションのある物理的刺激によって培養の促進が図られる。この場合、常に新しい培養液の供給や培養液を繰り返し循環させる供給の何れか一方又は双方を含むものである。循環させる形態では、培養液を節約できるが、一方向的な供給の場合には培養液の濃度変化を防止できる点で有利であろう。
【0027】
上記目的を達成するためには、前記保持手段は、ハイドロジェルである構成としてもよい。即ち、保持手段として細胞又は組織を培養液中に浮遊状態で保持させるハイドロジェルを用いれば、細胞又は組織の成長によりその細胞又は組織に養分として吸収される。ハイドロジェルは、培養すべき細胞又は組織を包み込んで浮遊状態に保持し、培養が完了した時点でそのハイドロジェルから細胞や組織を取り出すことが可能である。
【0028】
上記目的を達成するためには、前記培養液は、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク質の1又は2以上を含んで構成してもよい。培養液の選択は、効率的な培養や品質の良い細胞又は組織を形成する上で主要な要素であり、培養すべき細胞又は組織に応じたものとして、例えば、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク質の1つ又はこれらから選択された2以上の物質又は全てを含んで構成したものを用いれば、効率的な培養や品質の良い細胞又は組織が形成される。
【0029】
上記目的を達成するためには、少なくとも前記培養チャンバを含み前記密閉空間から分離可能な培養ユニット(培養回路ユニット4)を構成してもよい。即ち、培養する細胞又は組織を収容する培養チャンバを備える培養ユニットは、培養装置本体と独立して分離、着脱可能とすることにより、外気と分離された培養ユニットとともに細胞又は組織を移動させることができ、移動中に菌体等による汚染から細胞又は組織を防護することができる。
【0030】
上記目的を達成するためには、前記密閉空間に供給される前記ガスは、窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスとしてもよい。即ち、細胞又は組織を培養すべき環境は生体に対応した環境が望ましいことから、その一例として、窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスの供給、温度又は湿度の設定等の生体環境を設定し、所望の状態に制御すればよい。
【0031】
上記目的を達成するためには、前記培養回路に前記培養液を供給する培養液供給手段(培養液供給装置6)を備え、この培養液供給手段は、前記培養回路に取り付けられた送液チャンバ(128)と、この送液チャンバに取り込まれた前記培養液を加圧して送り出す送液装置(12)とを備える構成としてもよい。即ち、培養液供給手段は、培養回路に培養液を供給又は循環させる手段であって、その形態は各種のものが想定できるが、例えば、送液チャンバを設け、この送液チャンバに取り込んだ培養液を加圧して送り出す送液装置で構成すれば、加圧量を制御することで所望の送液量を設定することができる。
【0032】
上記目的を達成するためには、前記密閉空間は、前記温度条件を設定する加熱手段(温度調節装置34)を備えて所望の温度に維持、制御される構成としてもよく、また、前記密閉空間は、湿度条件を設定する加湿手段(湿度調節装置32)を備えて所望の湿度に維持、制御される構成としてもよい。即ち、培養回路が収容される密閉空間の温度及び湿度を制御し、生体環境に合致する培養空間を形成することができる。
【0033】
上記目的を達成するためには、前記培養チャンバに超音波等の音波を付与する音波発生装置(114)を備えた構成としてもよい。即ち、生体は外界からの音響的刺激を受けており、音波発生装置を併用することにより、生体環境を音響的に模倣することができる。また、培養チャンバに培養すべき細胞又は組織を注入する際に、超音波を併用して効率的かつ信頼性の高い注入を行うことができる。
【0034】
上記目的を達成するためには、前記密閉空間内のガス濃度を制御する制御手段(制御装置40)を備える構成としてもよい。即ち、密閉空間に供給されるガス濃度を制御手段によって制御することにより、生体環境を模倣することができ、細胞又は組織の培養促進を図ることができる。
【0035】
上記目的を達成するためには、前記細胞又は前記組織に加える前記圧力は、培養される前記細胞又は前記組織が対応する生体の部位に応じて設定する。即ち、細胞又は組織を生体の部位に応じて培養することができる。
【0036】
上記目的を達成するためには、前記加圧手段から前記細胞又は前記組織に加えられる前記圧力は、断続状態、一定時間毎の連続した繰り返し、一定時間毎に増減させる構成としてもよい。即ち、圧力パターンはあらゆる形態を想定することができ、その選択により効率的に細胞又は組織の培養を行うことができる。
【0037】
上記目的を達成するためには、前記培養回路は、前記加圧手段による前記培養チャンバ内の前記培養液の圧力上昇を緩衝する圧力緩衝手段(圧力緩衝装置18)を備えた構成としてもよい。即ち、培養回路の圧力調整を圧力緩衝手段で行えば、生体環境に近い物理的刺激を実現することができ、細胞又は組織の培養の促進を図ることができる。
【0038】
上記目的を達成するためには、前記培養チャンバに受圧膜(64)を介在させて圧力チャンバ(60)を取り付け、この圧力チャンバに水圧、油圧又は空気圧を作用させ、前記培養チャンバ内の前記細胞又は前記組織に圧力を加える構成としてもよい。即ち、受圧膜を設置したことにより、培養チャンバに収容されている細胞又は組織に対し、外気と遮断した状態で加圧刺激を与えることができるとともに、生体環境を模倣した刺激等、所望の加圧刺激を実現できる。
【0039】
上記目的を達成するためには、前記圧力緩衝手段は圧力逃し弁(26)で構成され、この圧力逃し弁は、前記培養チャンバ内の前記培養液の圧力が所定圧力を越えるとき、開くことにより、前記培養チャンバ内の前記培養液を前記培養回路に流して前記培養液の圧力を降下させる構成としてもよい。即ち、培養液に加えられる圧力を緩衝することは、理想的な加圧刺激を細胞又は組織に付与するために極めて重要であり、その一手段として、圧力逃し弁を用いて培養液の圧力が圧力逃し弁に任意に設定される一定圧力を越えるとき、圧力逃し弁を開いて培養液の圧力を降下させれば、培養液を汚染させることなく、理想的な圧力状態に制御することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の細胞又は組織の培養装置の第1の実施形態を示している。
【0041】
細胞又は組織の培養装置1はその培養空間として密閉空間2を備えており、この密閉空間2には、培養すべき細胞又は組織に培養液3を供給する培養回路として培養回路ユニット4が設置されている。この培養回路ユニット4は、装置本体側と分離、着脱可能に設定することができる。この培養回路ユニット4は、培養液槽9、培養液供給装置6、培養加圧装置8、気体吸収装置10及び弁11を備えているとともに分岐路13を備えており、この分岐路13には弁15が設けられている。培養液3は、培養しようとする細胞や組織に養分を与えるキャリアであって、必須アミノ酸や各種アミノ酸とグルコース(糖類)を含んだ液体であり、培養しようとする細胞や組織に応じてNa+ 、Ca++等の無機質が追加されたり、血清等のタンパク質を含む場合もある。また、これらの装置は、フッ素樹脂、PEEK、高耐熱グレードポリプロピレン、シリコーン、ステンレススチール等の十分な耐熱性を持ち、生体に影響を与えるような物質の溶出のない樹脂材料を用いて構成することにより、構成部品での汚染を防止することができる。
【0042】
弁11、15は、ピンチバルブ等で構成することができ、培養回路ユニット4は、弁15を閉じ弁11を開くことで閉ループ回路、弁15を開き弁11を閉じることで全開ループ回路、弁11、15を共に開くことで一部開ループ回路となる。また、培養回路ユニット4は、部分的に設置した気体吸収装置10に代えて、二点鎖線で示す気体吸収部41と、実線で示す耐圧部43とを備えても良く、気体吸収部41は密閉空間2に充満させたガスを培養液3に吸収させる部分、耐圧部43は培養液3の加圧部分に対応して信頼性のある送液を確保して液漏れを防止する部分である。気体吸収部41には、例えば、CO2 、O2 ガス等のガスを透過し易いエラストマ材料等で形成されたチューブを用いることができる。
【0043】
培養液槽9は、密閉空間2に収容されて細胞又は組織の培養に必要な培養液3を溜める手段である。また、培養液供給装置6は培養回路ユニット4に培養液3を供給する手段であって、培養回路ユニット4に挿入された送液装置12を駆動装置14によって駆動し、所定量の培養液3を培養回路ユニット4に供給する。培養加圧装置8は、培養すべき細胞5(図3)又は組織に加圧する手段であって、圧力印加装置16及び圧力緩衝装置18を備えている。圧力印加装置16は、培養回路ユニット4の培養チャンバ20に圧力容器22を取り付け、駆動装置24によって任意の圧力を培養チャンバ20に作用させる。培養チャンバ20にはコラーゲン等から成形された足場に培養すべき細胞又は組織が植え付けられて収容され、外界から隔離される。
【0044】
圧力緩衝装置18は、培養加圧装置8で加圧される培養液3の圧力を緩衝する手段であって、所定値を越える培養液3の圧力に対し、培養回路ユニット4に挿入された圧力逃し弁26を駆動装置28で駆動して最大圧を設定し、その最大圧を越える培養液3の圧力が作用したとき、培養液3を逃がすことにより圧力を緩衝する。また、圧力容器22には、培養加圧装置8に併設された加圧用液体注入装置30から加圧用液体が注入される。
【0045】
また、この培養装置1には湿度調節装置32、温度調節装置34及びガス混合・濃度調節装置36が設置されており、雰囲気の湿度、温度及びガス混合・濃度が調節される。また、操作装置38は管理者によって所望の調整操作を行うためのものであって、制御装置40は培養液供給装置6、培養加圧装置8、加圧用液体注入装置30、湿度調節装置32、温度調節装置34及びガス混合・濃度調節装置36等の各種装置を操作装置38からの操作入力や制御プログラムによって制御する手段である。
【0046】
次に、この装置を用いた細胞又は組織の培養について説明すると、培養準備として、制御装置40に対して操作装置38等の操作によって培養条件等の必要事項を入力する。この場合、必要事項は、培養液3にどのような圧力を設定するかであり、その設定形態は、最大圧力、最小圧力、その昇圧又は減圧等の圧力傾斜、加圧周期、培養液3の流量、培養温度、培養時間等である。また、培養回路ユニット4は、弁11、15の開閉を切り換えることにより、閉ループとするか、開ループとするかを選択する。
【0047】
次に、培養チャンバ20の中にコラーゲンのスポンジ等の足場7(図3)を設置し、この足場に培養すべき細胞5(図3)又は組織を植え付ける。コラーゲンのスポンジは、培養チャンバ20内でコラーゲン液を凍結乾燥することによって形成しても良い。
【0048】
次に、培養液槽9に規定量の培養液3を入れ、密閉空間2を閉鎖した後、運転スイッチを投入し、培養運転の準備(自動運転)により、加圧用液体注入装置30から圧力容器22側に加圧用液体が供給される。
【0049】
培養液供給装置6が駆動されると、送液装置12を通じて培養液3が培養チャンバ20側に流れ、培養すべき細胞又は組織に培養液3が供給される。この培養液3の供給形態は、連続、間欠的、周期的又はこれらの組合せの何れかが選択される。
【0050】
また、培養液3で満たされた培養チャンバ20には、足場によって保持された細胞又は組織が収容されており、この細胞又は組織には圧力容器22から圧力が加えられる。この圧力は、培養準備で設定された圧力パターンによる。
【0051】
そして、培養液3に加えられる圧力が設定圧力を越えた場合には、圧力逃し弁26を通して培養液3が耐圧部43から流出し、圧力調整が行われる。
【0052】
このような動作を所定の培養時間中繰り返すことにより、細胞又は組織が培養チャンバ20内で所望の大きさに成長する。足場にコラーゲンのスポンジを用いている場合には、培養される細胞又は組織がそのコラーゲンを吸収し、足場は自然に消失する。
【0053】
また、ハイドロジェルを保持手段に用いた場合には、そのハイドロジェル内に細胞又は組織が浮遊状態で収容されて保持されている。
【0054】
また、弁15を閉じ、弁11を開いて培養回路ユニット4を閉ループ化した場合には、培養液3は、培養回路ユニット4内を循環し、培養すべき細胞又は組織側には培養液3が供給される。また、弁11を閉じ、弁15を開いて培養回路ユニット4を開ループ化した場合には、培養液3は、分岐路13側に流れ、加圧用液体注入装置30側、即ち、加圧水槽68(図2)側に流れ、培養すべき細胞又は組織側には常に新鮮な培養液3を供給することができる。
【0055】
そして、培養中、培養回路ユニット4の気体吸収装置10又は気体吸収部41には、通流する培養液3に密閉空間2内から窒素、酸素、二酸化炭素等のガスが吸収され、生体と同様のガス交換に必要なガスが細胞又は組織に培養液3を通じて供給される。
【0056】
このように、細胞又は組織には、生体を模倣した培養環境が設定されて体外培養を、菌体等に汚染されることなく、効率的に行うことができる。即ち、細胞又は組織は、培養チャンバ20内で培養液3の静水圧と流れによる物理的刺激が加えられるので、代謝機能、分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影響を受け、培養が促進される。また、細胞又は組織は、圧力印加装置16による加圧及びその加圧形態に応じて物理的刺激を受ける。この結果、細胞又は組織の培養が促進され、体内の組織に近い、また、体内組織と融合し易い組織を培養することができる。また、耐圧部43を部分的に設定することにより、耐圧構造に要するコストを低減することができる。
【0057】
次に、図2は培養装置1の具体的な実施形態を示し、図3は培養装置1の培養回路ユニット4の一部、培養液供給装置6、培養加圧装置8の圧力印加装置16及び圧力緩衝装置18を拡大して示している。培養装置1は、図4に示すように、培養回路ユニット4が着脱される構成である。
【0058】
この培養装置1は、密閉可能な培養庫42を備えており、ドア270(図14)の開閉がドアスイッチ44によって検出される。この培養庫42には、培養液3を供給する培養回路ユニット4が収容される。この培養回路ユニット4は、培養チャンバ20、送液装置12、圧力逃し弁26を介して培養液3を溜める培養液槽としての培養液バッグ48をチューブ50A、50B、50C、50D、50Eで連結した着脱可能なチューブユニットである。チューブ50A、50D、50Eは、気体吸収部41(図1)であって、培養庫42内のガスを吸収可能なエラストマ材料等で構成された通気チューブで構成され、また、チューブ50B、50Cは耐圧部43(図1)であって、培養液3の圧力に耐える耐圧チューブで構成される。そして、チューブ50Eには、チューブ50Eを屈曲させて培養回路ユニット4内のガスを吸収するガス吸収部52が形成されている。
【0059】
培養液バッグ48は培養庫42の壁面に重量検知手段としての検知スイッチ54を備えるフック56を以て支持されており、培養液バッグ48内の培養液3の容量がその重量により検知スイッチ54によって検知される。この検知スイッチ54が培養液バッグ48の所定重量の減少を検知したとき、制御装置40を通して表示手段(表示装置232)や電話等を通じてその異常を告知する。ガス吸収部52と送液装置12との間のチューブ50A、50Eには培養液排出部58が分岐して設けられ、チェック用バルブ59によって開閉される。このチェック用バルブ59は、培養回路ユニット4内の培養液3を採取するための手段であって、培養液排出部58から採取された培養液3は、その変性状態、即ち菌体等の物質によって汚染されているか否か、pH、濃度、生成物、酸素濃度、二酸化炭素濃度等の検査に供することができる。
【0060】
培養すべき細胞5はコラーゲン等で形成された足場7に着床させ、足場7とともに培養チャンバ20に収容される。この培養チャンバ20は培養容器61によって構成され、培養容器61は、圧力チャンバ60に複数のボルト62等の固定手段によって取外し可能に取り付けられており、インジェクションポート63が設けられている。このインジェクションポート63は、培養チャンバ20内に設置した足場7に培養すべき細胞5を外部から注射器等によって着床させるために用いる。培養チャンバ20の固定には例えばクランパのような他の固定手段を用いても良い。圧力チャンバ60及び培養容器61はOリング等のシール材によって封止される。培養チャンバ20の圧力チャンバ60側の面部が受圧膜64で閉塞されて密閉空間を形成しており、この受圧膜64を介して培養チャンバ20に圧力チャンバ60内の加圧水65が接している。
【0061】
圧力チャンバ60には給水管路66を通して加圧水(液)槽68が連結されており、給水管路66には流水センサ70、ポンプ80、バイパス弁82及び封止弁84が設けられ、バイパス弁82には中間にオリフィス86を持つバイパス管路88が設けられている。即ち、バイパス弁82及び封止弁84を開いてポンプ80を駆動することにより、加圧水65を加圧水槽68から圧力チャンバ60内に充填することができる。加圧水槽68の加圧水位は水位センサ96によって検出されるので、その水位に応じて給水バルブ92を開閉することにより、加圧水槽68に加圧水65を給水管路94を通じて補充するので、加圧水槽68の水位を常に最適水位に保持することができる。また、加圧水槽68の給水管路66には排水管路98が分岐されており、細胞5の培養終了時、排水バルブ100を開いて加圧水65が排水される。
【0062】
また、圧力チャンバ60には加圧水槽68側に向かう回収管路102が設けられ、この回収管路102には封止弁104及び循環ポンプ106が設けられている。回収管路102の先端部は加圧水槽68内の加圧水65中に浸漬している。即ち、封止弁84を開きかつバイパス弁82を閉じて循環ポンプ106を駆動すると、圧力チャンバ60内が減圧されて、圧力チャンバ60や各管路66、102等の内壁に付着している気泡等を加圧水槽68側に排出することができる。また、この圧力チャンバ60の加圧水65は、ポンプ80、106の同時駆動により加圧水槽68から給水管路66を通して圧力チャンバ60に供給しつつ回収管路102を通して加圧水槽68に戻し、加圧水槽68との間で循環させることも可能である。
【0063】
圧力チャンバ60の壁面部にはヒータ108、温度センサ110、圧力センサ112及び音波発生装置114が設けられており、収容されている加圧水65の加熱と、その温度又は圧力が検出されるとともに、圧力チャンバ60には、必要に応じて音波発生装置114から超音波等の音波を加えることができる。
【0064】
そして、圧力チャンバ60には加圧手段として加圧ピストン116が進退自在に設けられ、加圧ピストン116は圧力チャンバ60の壁面部に突出させた支持筒部117によって支持され、支持筒部117と加圧ピストン116との間には封止手段であるOリング119によって封止されている。この加圧ピストン116には加圧用スプリング118を介して加圧駆動手段としてアクチュエータ120及びモータ122が取り付けられている。モータ122は例えば、ステッピングモータで構成され、このモータ122の回転がアクチュエータ120によって進退動に変換されて加圧用スプリング118に加えられ、加圧ピストン116の進退に応じて圧力チャンバ60内の圧力を増減させることができ、加圧ピストン116の進入時、高圧、加圧ピストン116の後退時、低圧を生じさせ、その圧力変化が受圧膜64を通して足場7上の細胞5に加圧刺激を与える。また、加圧ピストン116の位置は位置センサ123によって検出されており、その検出データは加圧ピストン116の進退の制御、即ち、加圧刺激の制御に用いられる。
【0065】
この場合、圧力チャンバ60には加圧水65が充填されており、加圧ピストン116から加えられる圧力は、加圧水65を通じて受圧膜64に全面的に作用し、その圧力が受圧膜64から培養液3を通して細胞5や組織に均等に静水圧を作用させることができ、ストレイン(変位)も同様に均等に作用させることができる。しかも、加圧ピストン116の移動量の制御で圧力変化量のダイナミックレンジを大きくでき、小さい値から大きな値まできめ細かい制御が可能である。そして、加圧ピストン116の移動は位置センサ123によって検出されて制御装置40によって監視され、その移動量が限界位置に到達した場合には、培養装置1の異常として制御装置40から警報出力が発せられ、制御装置40に接続されている表示手段(図5の表示装置232等)に警告表示を行い、又は、電話等の通信回線を通じて管理者に告知することができる。
【0066】
また、培養チャンバ20に連続的又は間欠的に培養液3を送る送液装置12は、出入側に送出側逆流防止弁124、吸引側逆流防止弁126を有する送液チャンバ128を備え、培養庫42にネジ130によって取外し可能に取り付けられている。送液チャンバ128には送液ピストン132が進退自在に取り付けられ、この送液ピストン132の中途部には殺菌液溜134が設けられるとともに、加圧用スプリング136が取り付けられている。送液ピストン132と送液チャンバ128の本体部との間には封止手段であるOリング133、135が設けられている。殺菌液溜134には、殺菌剤、消毒液又はペニシリン等の抗生物質が充填され、外部からの菌体や異物の侵入を阻止している。加圧用スプリング136は、防護筒137内に収容されている。
【0067】
送液ピストン132の後端部には駆動手段としてアクチュエータ138及びモータ140が取り付けられている。モータ140は例えば、ステッピングモータで構成され、このモータ140の回転がアクチュエータ138によって進退動に変換されて加圧用スプリング136に加えられ、送液ピストン132の進退に応じて送液チャンバ128内の圧力が増減し、その圧力変化が各逆流防止弁124、126の弁体142、144に加えられる。送液ピストン132が送液チャンバ128から引き出されると、送液ピストン132の引出し分だけ送液チャンバ128内が負圧になって弁体142はスプリング143の復元力によって引き下げられて送出側逆流防止弁124が閉じるとともに、弁体144がスプリング145の加圧力に逆らって引き上げられて吸引側逆流防止弁126が開くことにより、送液チャンバ128内に培養液3が吸い込まれる。また、送液ピストン132が送液チャンバ128内に進入すると、送液チャンバ128内が加圧されて弁体144が下降して吸引側逆流防止弁126が閉じ、弁体142が上昇して送出側逆流防止弁124が開くので、送液チャンバ128内の培養液3が培養チャンバ20側に送り出される。
【0068】
また、培養液3の圧力緩衝装置18は圧力逃し弁26を備えており、圧力逃し弁26は培養庫42にネジ146によって取外し可能に取り付けられている。この圧力逃し弁26は、弁室148に進退して開閉可能な弁体150が取り付けられ、この弁体150のプランジャ152の中途部には殺菌液溜153が設けられている。プランジャ152と弁室148の本体部との間には封止手段であるOリング155、157が設けられている。殺菌液溜153には、殺菌剤、消毒液又はペニシリン等の抗生物質が充填され、外部からの菌体や異物の侵入を阻止している。また、弁体150のプランジャ152の後端部には緩衝スプリング154を介して駆動手段としてのアクチュエータ156及びモータ158が取り付けられている。モータ158は例えば、ステッピングモータで構成され、このモータ158の回転がアクチュエータ156によって進退動に変換されて緩衝スプリング154に加えられ、弁体150を開く動作圧は緩衝スプリング154の圧縮度に応じて調整される。即ち、緩衝スプリング154の圧縮度が高いとき、弁体150を開くために必要な培養液3からの圧力が高くなり、また、緩衝スプリング154の圧縮度が低いとき、弁体150を開くために必要な培養液3からの圧力が低くなる。このような圧力緩衝装置18を設けるのは、培養チャンバ20の培養液3に加えられる加圧力を培養回路ユニット4側で緩衝するためである。
【0069】
この圧力逃し弁26の弁室148と培養液バッグ48とを連結するチューブ50Dにはピンチバルブ162とともに吸引チューブ164が分岐して設けられ、この吸引チューブ164にはピンチバルブ166、逆流防止弁168及び培養液溜170が設けられており、培養液溜170は吸引チューブ165を通じて回収管路102に連結されている。ピンチバルブ162はチューブ50Dを開閉し、また、ピンチバルブ166は吸引チューブ164の開閉に用いられる。逆流防止弁168は、弁体169をスプリング171の加圧力によって閉止させており、培養液3の圧力がスプリング171の加圧力を越えるとき、培養液3が吸引チューブ164を通して培養液溜170側に流れる。ピンチバルブ166は逆流防止弁168とは無関係にその操作によって吸引チューブ164を閉止でき、その閉止によって培養液3の通流を阻止することができる。また、ピンチバルブ166が開いているとき、培養液溜170は密閉容器であるから、封止弁104を閉じ、循環ポンプ106を駆動すると、培養液溜170内が減圧されるので、スプリング171の加圧力に対抗して弁体169を移動させ、逆流防止弁168を開くことができ、このとき、培養液3を培養液溜170側に引き込むことができる。
【0070】
また、培養庫42にはガス混合・濃度調節装置36としてN2 ガスボンベ172、O2 ガスボンベ174、CO2 ガスボンベ176がそれぞれ管路178、180、182を通して連結され、各管路178、180、182にはガス開閉バルブ184、186、188、流量調節弁190、192、194、フローメータ196、198、200、圧力調整器202、204、206及びバルブ208、210、212が設置されている。即ち、ガス開閉バルブ184〜188を選択的に開閉することにより、N2 、O2 又はCO2 の1又は2以上が供給されて混合される。
【0071】
また、培養庫42には加湿手段である湿度調節装置32として加湿用水214を溜める加湿用水受皿216及び攪拌用ファン218が設置されるとともに、加熱手段である温度調節装置34として気体加熱用ヒータ220、庫内温度センサ222及び攪拌用ファン218が設置されている。攪拌用ファン218は、ファンモータ224によって駆動される。
【0072】
なお、培養装置1の異常発生時、警告を発することを言及しているが、管理者が必要な処置を行うまで、異常の種別に関係なく培養中の細胞5や組織を保存するため、制御装置40は、培養庫42内の保温制御、ガス濃度の制御、送液運転を継続する。このような継続運転は、所定の培養時間が到来しても、また、正常に運転が終了した場合にも、培養庫42内の保温制御、ガス濃度の制御、送液運転を同様に継続させる。
【0073】
次に、図5は、操作装置38及び制御装置40の構成例を示している。操作装置38及び制御装置40は、パーソナルコンピュータ等で構成された主制御装置230を備えている。主制御装置230にはディスプレイ、液晶等の表示装置232、ハードディスク、光ディスク、フロッピィディスク、ICカード等の外部記憶装置234、キーボードの入力装置236が接続されている。入力装置236は、操作装置38の一部又は全部を構成する。
【0074】
主制御装置230には、温度検出回路238を通じて温度センサ110の検出出力、温度検出回路240を通じて庫内温度センサ222の検出出力、圧力検出回路242を通じて圧力センサ112の検出出力、位置センサ123の検出出力及び検知スイッチ54の検知出力が加えられ、モータ122の駆動出力が駆動回路244、モータ140の駆動出力が駆動回路246、モータ158の駆動出力が駆動回路248、ヒータ108の駆動出力が駆動回路250、バルブ184、186及びバルブ188の駆動出力が駆動回路252、ファンモータ224の駆動出力が駆動回路254、ヒータ220の駆動出力が駆動回路256から得られるとともに、音波発生装置114の駆動出力が得られる。
【0075】
次に、本発明に係る細胞又は組織の培養について、図6に示す動作フローチャートを参照して説明する。
【0076】
ステップS1は初期設定モードである。この初期設定モードは、培養回路ユニット4の装着後に、圧力チャンバ60内に加圧水65を満たし、培養回路ユニット4内に培養液3を満たす工程と、設定入力された圧力値に相当する培養加圧装置8の圧力印加装置16、圧力緩衝装置18の動作量をサンプリングして記憶保持する工程を含む。培養回路ユニット4及び受圧膜64を構成する材質の伸び率が異なり、かつ圧力チャンバ60内に残留する気泡等によって設定圧力を得るための動作量が異なる。そこで、初期設定モードでは、これらの設定値を修正する。
【0077】
培養回路ユニット4が装着されると、ガス混合・濃度調節装置36、湿度調節装置32及び温度調節装置34を動作させ、培養庫42の内部にガスを充填するとともに適湿及び適温に制御する。そして、給水バルブ92を開いて加圧水槽68に上水等からなる加圧水65を設定水位まで補充し、バイパス弁82、封止弁84、104を開き、ポンプ80を動作させて圧力チャンバ60内に加圧水65を供給する。圧力チャンバ60への加圧水65の供給量は流水センサ70で検出され、所定量の加圧水65が検出されたとき、ポンプ80を停止し、循環ポンプ106による循環動作に切り換える。
【0078】
循環動作では、バイパス弁82を閉じてバイパス管路88への流路に切り換える。このとき、オリフィス86によって加圧水65の通流量が制限され、循環ポンプ106の吸引力によって圧力チャンバ60内が負圧となり、圧力チャンバ60内に残留する気泡が加圧水槽68側に排出される。このとき、ピンチバルブ162を閉じ、ピンチバルブ166を開いて、循環ポンプ106によって生じる負圧により培養液バッグ48内の培養液3をチューブ50E、50A、50Bを通して培養チャンバ20に充填する。循環ポンプ106を所定時間動作させて培養液3を培養チャンバ20に充填させた後、ピンチバルブ166を閉じ、ピンチバルブ162とバイパス弁82を開き、循環流による負圧を解除し、かつ循環ポンプ106を停止させる。続いて封止弁84、104を閉じた後、ヒータ108により圧力チャンバ60内の加圧水65を加熱し、その温度を温度センサ110で検出することにより、温度制御を開始する。
【0079】
次に、圧力緩衝装置18のモータ158を動作させ、圧力逃し弁26を閉じ、チューブ50Cを一定圧で閉塞させる。モータ122を動作させて予め設定した最大圧力Pmaxが検出されるまで圧力印加装置16を動作させる。最大圧力Pmaxが検出されたとき、モータ122のパルスカウントを主制御装置230のメモリに記憶する。次に、圧力緩衝装置18のモータ158を現在の圧力値が低下するまで回転させ、この圧力値を最大圧力Pmaxの位置としてモータ158のパルスカウントを主制御装置230のメモリに記憶する。
【0080】
次に、圧力印加装置16のモータ122を予め設定した最小圧力Pminが検出されるまで回転させる。最小圧力Pminが検出されたとき、モータ122のパルスカウントを主制御装置230のメモリに記憶する。次に、圧力緩衝装置18のモータ158を回転させ、最小圧力Pminより減少を開始する位置にてモータ158を停止し、そのとき、このモータ158のパルスカウント値を主制御装置230のメモリに記憶する。
【0081】
次に、この初期設定モードの後、ステップS2に移行し、圧力可変培養モードか否かを判定する。即ち、圧力を周期的に変更して培養を行うか否かが判定され、圧力可変を行うときはステップS3の圧力可変培養モードに移行し、また、一定圧力で培養するときはステップS7の固定圧力培養モードに移行する。
【0082】
ステップS3の圧力可変培養モードでは、周期T毎に加圧、圧力保持、減圧、圧力保持を繰り返して培養チャンバ20の細胞5を加圧刺激し、かつ培養液3の送液を行う。
【0083】
ステップS4では、圧力印加装置16、圧力緩衝装置18の動作による圧力とPmax、Pminとの誤差が所定値以上か否かが判定される。所定値以上の誤差が生じたとき、ステップS5に移行して最大圧力Pmax、最小圧力Pminの各値と一致する圧力印加装置16、圧力緩衝装置18の移動量をサンプリングして主制御装置230のメモリの記憶値を修正する。
【0084】
次に、ステップS6では、所定の培養時間tが経過するまでステップS3〜ステップS6を繰り返し、所定の培養時間tが経過したとき、培養終了とし、ステップS11に移行する。
【0085】
また、ステップS7の固定圧力培養モードでは一定の圧力によって細胞5又は組織を刺激し、かつ培養液3の送液を行う。即ち、ステップS8では圧力印加装置16、圧力緩衝装置18の動作による圧力と設定圧力Psとの誤差が所定値以上か否かが判定される。所定値以上の誤差が生じたとき、ステップS9に移行して設定圧力Psと一致する圧力印加装置16、圧力緩衝装置18の移動量をサンプリングして主制御装置230のメモリの記憶値を修正する。そして、ステップS10では、所定の培養時間tが経過したとき、培養終了とし、ステップS11に移行する。
【0086】
次に、ステップS11では生体細胞保存運転モードを実行する。細胞5又は組織の培養が完了、即ち、組織が生成されても、移植のための移送を開始するまでの間、その細胞5ないし組織を健全に保存する必要がある。生体細胞保存運転モードでは、細胞5を所定温度に維持しつつ、培養液3を供給して生体細胞を健全な状態に保持する。
【0087】
次に、ステップS12では生体細胞を移植か否か、即ち、細胞5からなる組織の移植のために運転停止命令が入力されたか否かを判定し、運転停止命令により培養液3の循環と温度制御を停止する。培養回路ユニット4を脱離させ、細胞5ないし組織は培養回路ユニット4とともに移送される。
【0088】
次に、図7、図8及び図9は、初期設定モードにおける設定入力動作を示し、符号a、b、c、d及びeは、分割して記載したフローチャートの結合子であって、符号a〜eの一致は結合部である。
【0089】
ステップS21では培養チャンバ20を周期的な加圧下での培養か、又は一定圧力下での培養かを入力する。ステップS22において、圧力を周期的に可変させるとき、ステップS24に移行して「圧力可変」を表示する。また、一定圧力下で培養を行うとき、ステップS23に移行して「圧力一定」を表示する。
【0090】
ステップS25では、圧力を可変させる周期Tを入力する。ステップS26では入力された周期Tが実行可能な範囲内であるか否かを判定し、実行範囲外のときはステップS27に移行して「周期Tの再入力」を表示して告知し、ステップS25に移行して再入力を行う。実行範囲内であれば、ステップS28に移行して設定した「周期T」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶が行われる。
【0091】
ステップS29では最大圧力Pmaxの保持時間t1 を入力する。ステップS30では入力された時間t1 が周期Tの動作範囲内にあるか否かを判定する。動作範囲外であればステップS31に移行して「t1 の再入力」の表示により告知し、ステップS29に移行して再入力を行う。動作範囲内であればステップS32に移行して「最大圧保持時間t1 」の表示と主制御装置230のメモリへの記憶が行われる。
【0092】
ステップS33では最小圧力Pminの保持時間t2 を入力する。ステップS34では入力された時間t2 が周期Tの動作範囲内にあるか否かを判定する。動作範囲外であればステップS35に移行し「t2 の再入力」を表示し、ステップS33に移行して再入力を行う。動作範囲内であればステップS36に移行して「最小圧保持時間t2 」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0093】
ステップS37では入力された周期Tと時間(t1 +t2 )の差時間を2分して加圧、減圧時間t3 を演算する。ステップS38では時間t3 が動作範囲内にあるか否かを判定する。動作範囲外にあるとき、周期T、時間t1 、t2 の値が適切なものでないと判断し、ステップS25に戻る。時間t3 が動作範囲内にあるとき、演算された時間t3 を主制御装置230のメモリに格納し、ステップS39において「加圧、減圧時間t3 」を表示する。ステップS40では加圧、減圧時に緩急の変化を付けるか否かの入力を行う。ステップS41において緩急を付けるときにはステップS42に移行し、緩急を付けないときはステップS46に移行する。ステップS42では加圧、減圧時に緩急を付けるための変化量の入力が行われる。ステップS43では入力された変化量が動作可能か否かを判定する。動作不能のときはステップS44に移行し「加圧、減圧変化量の再入力」を表示してステップS42に移行して再入力を行う。また、動作可能であればステップS45に移行して「加圧、減圧量」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶とを行う。このとき、圧力変位のシュミレーション画面を表示させても良い。
【0094】
ステップS46では最小圧力Pminを入力する。ステップS47では圧力印加装置16が実行可能な範囲内にあるか否かを判定する。実行範囲外であればステップS48に移行し「最小圧力Pminの再入力」を表示し、ステップS46で再入力が行われる。また、実行範囲内であればステップS49に移行し「最小圧力Pmin」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0095】
ステップS50では最大圧力Pmaxを入力し、ステップS51では圧力印加装置16が実行可能な範囲内にあるか否かを判定する。実行範囲外であればステップS52に移行し「最大圧力Pmaxの再入力」を表示し、ステップS50で再入力が行われる。また、実行範囲内であればステップS53に移行し「最大圧力Pmax」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0096】
ステップS54では圧力チャンバ60の制御温度ctが入力される。ステップS55では実行可能な範囲内にあるか否かが判定される。実行範囲外であればステップS56に移行し「温度ctの再入力」を表示し、ステップS54で再入力を行う。また、実行範囲内であればステップS57に移行し「温度ct」の表示と主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0097】
ステップS58では培養回路ユニット4の培養液3の循環流量fを入力する。ステップS59では実行可能な範囲内にあるか否かが判定される。実行範囲外であればステップS60に移行し、「循環流量fの再入力」を表示して告知し、ステップS58で再入力を行う。また、実行範囲内であればステップS61に移行し「循環流量f」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0098】
ステップS62では運転時間の入力を行う。ステップS63では「運転時間」の表示と、主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0099】
ここで、圧力印加装置16における加圧ピストン116と細胞5或いは組織に加えられる圧力との関係を説明すると、加圧ピストン116の断面積をA(cm2 )、圧力をP(kg/cm2 )、力をF(kgf )とすると、力Fは、F=P×Aとなり、加圧用スプリング118のバネ定数をK( kgf/mm)、そのバネ収縮量をL2 (mm)とすると、力Fは、F=K×L2 であるから、
Figure 0004607432
となる。即ち、加圧ピストン116が移動するとき、加圧用スプリング118の弾性力が加圧ピストン116に作用し、加圧ピストン116は圧力チャンバ60内の加圧水65を圧縮する。圧縮されることにより圧力チャンバ60内は圧力が上昇し、圧力センサ112でその圧力が検出される。この加圧ピストン116の変位、即ち、移動量(mm)と圧力P(kg/cm2 )との関係は、例えば、図10のようになる。図10において、L1 はモータ122による移動量、L2 は加圧用スプリング118の収縮量、L3 は加圧用スプリング118を用いない場合の加圧ピストン116の移動量、L4 は混入している空気の収縮による加圧ピストン116の移動量、L5 は水の収縮による加圧ピストン116の移動量、L6 は培養チャンバ20及び圧力チャンバ60の容器の変形による加圧ピストン116の移動量を示している。L3 はL4 、L5 、L6 の総和であり、L1 はL2 、L3 の総和を表している。この圧力印加装置16による加圧ピストン116の移動量と、圧力センサ112の圧力値の関係を主制御装置230のメモリに格納する。
【0100】
空気の収縮による加圧ピストン116の移動量を説明すると、空気の容積(1気圧時)をV(cm3 )、空気の容積(加圧時)をVa (cm3 )とし、1×V=(Pa +1)×Va =一定とすると、空気の容積Va は、Va =V/(Pa +1)となり、空気の収縮による加圧ピストン116の移動量L4 (mm)は、
Figure 0004607432
となる。
【0101】
また、水及び培養液3の圧縮による加圧ピストン116の移動量は以下のようになる。即ち、水及び培養液3の体積をW(cm3 )、水の圧縮率(40°C)を0.44×10-5( cm2/kg)とすると、水及び培養液3の圧縮量ΔW(cm3 )は、ΔW=0.44×10-5×P×Wとなり、水及び培養液3の圧縮による加圧ピストン116の移動量L5 (mm)は、
Figure 0004607432
となる。ここで、圧力容器22及び培養容器61の変形によるみかけの収縮率をCt とすると、収縮量ΔWt は、ΔWt =W×Ct であるから、容器の変形による加圧ピストン116の移動量L6 は、
Figure 0004607432
となる。したがって、加圧ピストン116の総移動量は式(1)、(2)、(3)及び(4)を加算した値L1 となる。
【0102】
また、圧力緩衝装置18側では、緩衝スプリング154に加える圧力を減らしていくと、培養チャンバ20内の圧力が、圧力逃し弁26にかかる圧力に打ち勝ち、圧力逃し弁26が開き、培養液3が圧力逃し弁26を通過し、培養チャンバ20側の圧力が低下する。緩衝スプリング154の加圧力と培養液3側の圧力が釣り合ったところで落ち着く。圧力緩衝装置18の圧力逃し弁26に加えられる力を説明すると、圧力逃し弁26による閉塞面積をB(cm2 )、圧力をP(kg/cm2 )、圧力Pと釣り合う力をF(kgf )とすると、F=P×Bとなり、緩衝スプリング154のバネ定数をK( kgf/mm)、緩衝スプリング154の縮み量をm(mm)とすると、釣り合う力FはF=K×mとなり、緩衝スプリング154の縮み量mはm=P×B/Kによって表される。図11は、圧力逃し弁26側に加える圧力、即ち、アクチュエータ156側の移動量(緩衝スプリング154の縮み量)と圧力逃し弁26に作用する圧力、即ち、調整圧力との関係を示す。図11において、m1 は単一の緩衝スプリング154を用いた場合、m2 は緩衝スプリング154に異なる2つのスプリングを用いた場合を示している。
【0103】
送液装置12の容積が小さいため、培養液3の収縮や容器の変形、気体の収縮等はほとんど無視することができる。そのため、送液ピストン132の送液量V(ml)は送液ピストン132の断面積C(cm2 )、移動量l(cm)とすると、V=C×lであるので、移動量lはl=V/Cとなり、送液量に応じて移動量が決定する。送液装置12の送液ピストン132の移動量が多い場合は、送液ピストン132の移動後すぐに元の位置に戻すが、培養液3の移動量が少ない場合は戻さず、次の送液動作のときはその位置からさらに送液ピストン132を移動させ、移動不可能な位置まで移動したら元の位置に戻す。このとき、設定の降下圧力の許容値より高くなった場合は運転前に記憶した圧力逃し弁26のアクチュエータ156の移動量と圧力の関係のデータをこの値を元に補正する必要がある。
【0104】
次に、図12は、図6のステップS3で実行される圧力可変培養モードの実行形態を表している。即ち、図12は、培養チャンバ20に印加される圧力状態と加圧タイミングを表すタイミングチャートであって、(a)は培養チャンバ20の圧力推移、(b)は圧力緩衝装置18の動作タイミング、(c)は圧力印加装置16の加圧タイミング、(d)は培養液供給装置6の送液タイミングを示している。
【0105】
培養チャンバ20は周期Tで最大圧力Pmaxと最小圧力Pminの間で加圧、減圧が繰り返される。t1 は最大圧力Pmaxを保持する時間であり、t2 は最小圧力Pminを保持する時間である。また、t3 は加圧、減圧時の動作時間である。これら最大圧力Pmax、最小圧力Pmin、時間t1 、t2 、t3 は生体内の外部培養させる部位に応じて任意に変更することができる。また、培養すべき細胞5における生体の年齢、性別、身長、体重、生体内の部位等のデータによって適切な数値を選択して加圧、減圧を行うこともできる。
【0106】
圧力緩衝装置18は加圧を開始する前に時間t5 で最大速力にて最大圧力Pmaxを得られる位置まで動作させてチューブ50Cを閉塞する。その後、t4 の遅延時間を経て圧力印加装置16の動作を開始し、時間t3 に相当する速度で最小圧力Pminから最大圧力Pmaxまで加圧を行う。
【0107】
最大圧力Pmaxの時間t1 で保持した後、圧力印加装置16が再び動作し、時間t3 に相当する速度で最大圧力Pmaxから最小圧力Pminまで減圧を開始する。圧力印加装置16が動作してから時間t6 だけ遅延して圧力緩衝装置18が時間t7 だけ動作して、チューブ50Cの閉塞力を解除する。
【0108】
また、圧力制御を開始したとき、圧力0付近から最大圧力Pmaxまで増加させる。このとき、圧力緩衝装置18は最大速度で閉塞位置まで移動し、時間t9 経過後に圧力印加装置16を動作させ、時間t3 に相当する速度で最大圧力Pmaxに到達するまでの時間t8 の間加圧を行う。
【0109】
最小圧力Pminに保持されてから時間t11の経過後に培養液供給装置6が時間t12だけ動作して培養液3を培養チャンバ20に送出する。時間t12を変更することにより送液量を任意に設定することができる。送液後、時間t13だけ経過後に時間t12とほぼ等しい時間t14の間、送液ピストン132を後退させる。なお、この例では最小圧力Pminの保持時間t2 で送液を行ったが、最大圧力Pmaxの保持時間t1 又は加圧、減圧時間t3 で送液を行っても良い。
【0110】
次に、図13は、図6のステップS3で実行される圧力可変培養モードの他の実行形態を表している。即ち、図13は、培養チャンバ20に印加される圧力状態と加圧タイミングを表すタイミングチャートであって、(a)は培養チャンバ20の圧力推移、(b)は圧力緩衝装置18の動作タイミング、(c)は圧力印加装置16の加圧タイミング、(d)は培養液供給装置6の送液タイミング、即ち、培養チャンバ20に印加する圧力パターンの変形例を示す。
【0111】
この例では、加圧、減圧時間t3 に、加圧速度、減圧速度を2次関数的に変動させて緩急を付けた圧力印加パターンを送出させたものであり、圧力変動に緩急を付けることにより、例えば歩行時の膝の軟骨にかかる圧力パターンを再現することができる。この場合、圧力印加装置16は時間t15、t16、t17に示されるように動作速度が変更され、時間t3 において加圧力に緩急が加えられる。その他の動作は、図12の動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
次に、図14ないし図21は、本発明の細胞又は組織の培養装置の第2の実施形態を示し、図14は培養装置の正面側配置、図15は培養装置の側面側配置、図16は培養装置の要部、図17は培養回路ユニット4、図18は培養回路ユニット4を除いた培養装置の要部、図19は圧力印加装置16、図20は培養液供給装置6、図21は圧力緩衝装置18を示している。第1の実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0113】
この培養装置は単一のハウジング260を以て構成され、ハウジング260は培養室262、機械室264及び制御・電源室266に区画されている。培養室262の内部には培養庫42が収容されており、培養庫42内の構成は第1の実施形態と同様であるが、異なる点は、培養液供給装置6、圧力印加装置16及び圧力緩衝装置18等が単一の処理部268で構成されている。
【0114】
培養室262及び機械室264には独立して開閉されるドア270、272が設けられ、機械室264には培養液供給装置6、圧力印加装置16及び圧力緩衝装置18の機構部分とともに加圧水槽68等が収容されており、各アクチュエータ120、138、156は、図15に示すように、共通の取付板269で機械室264の背面側に支持されている。機械室264の壁面には、給水口274、排水口276が設けられている。制御・電源室266には制御装置40及び電源装置が収容されており、その前面パネル側に表示装置232とともに電源スイッチ278が設置されている。
【0115】
次に、図16に示すように、培養室262には培養庫42が収容されており、培養庫42には培養回路ユニット4及び処理部268が収容されている。処理部268には、図17及び図18に示すように、培養回路ユニット4側の処理ユニット280が着脱可能に構成されている。
【0116】
次に、図19は、培養チャンバ20を構成する培養容器61、圧力容器22を含む圧力印加装置16を示している。この場合、圧力印加装置16のアクチュエータ120は、ハウジング282にボールスクリュ284を取り付け、このボールスクリュ284の後端部にモータ122をカップリングジョイント286で結合したものである。ボールスクリュ284には回転によって前後動する移動ベッド288が設けられ、この移動ベッド288とボールスクリュ284の前端部側に設けられた支持フランジ290との間に重合させた2つの加圧用スプリング118A、118Bが設置されている。即ち、加圧用スプリング118A、118Bは、ボールスクリュ284の回転に応じて移動する移動べッド288により圧縮状態が変化し、各加圧用スプリング118A、118Bの弾性特性が加圧ピストン116側に作用する。ボールスクリュ284に代えてベルトやカム等でアクチュエータ120を構成しても良い。
【0117】
次に、図20は、培養液供給装置6を示している。アクチュエータ138は、ハウジング291にボールスクリュ292を取り付け、このボールスクリュ292の後端部にモータ140をカップリングジョイント294で結合したものである。ボールスクリュ292には回転によって前後動する移動ベッド296が設けられ、この移動ベッド296に取り付けられたピストン押板298の前面部には送液ピストン132の後端部が接触している。即ち、モータ140によるボールスクリュ292の回転に応じて移動する移動べッド296が前進することにより、加圧用スプリング136が圧縮されると、送液ピストン132が前進し、移動べッド296が後進することにより、加圧用スプリング136の圧縮が解かれ、加圧用スプリング136の復帰力によって送液ピストン132が後退する。送液ピストン132の進退によって培養液3を送り出すことができる。
【0118】
次に、図21は、圧力緩衝装置18を示している。アクチュエータ156は、ハウジング300にボールスクリュ302を取り付け、このボールスクリュ302の後端部にモータ158をカップリングジョイント304で結合したものである。ボールスクリュ302には回転によって前後動する移動ベッド306が設けられ、この移動ベッド306には重合させた緩衝スプリング154A、154Bを介してプランジャ押板308が取り付けられ、このプランジャ押板308の前面部には圧力逃し弁26のプランジャ152の後端部が接触している。即ち、モータ158によるボールスクリュ302の回転に応じて移動する移動べッド306が前進することにより、緩衝スプリング154A、154Bとともにプランジャ押板308を前進させ、緩衝スプリング154A、154Bの圧縮状態が変化する。即ち、弁体150が圧縮状態にある緩衝スプリング154A、154Bを介して押し付けられ、圧力逃し弁26が閉塞状態に保持される。この保持状態は、ボールスクリュ302の回転と、それに伴う緩衝スプリング154A、154Bの圧縮状態によって変化する。
【0119】
次に、図22は、培養液供給装置6の変形例を示している。図2、図3及び図14に示す培養液供給装置6では、送液ピストン132に加圧用スプリング136を設置したが、加圧用スプリング136を除き、アクチュエータ138のボールスクリュ292で移動する移動ベッド296に連結シャフト310を取り付け、この連結シャフト310の先端に送液ピストン132の後端部を固定ピン312等の固定手段を以て連結するようにしても良い。このように構成しても、ボールスクリュ292の正逆転によって送液ピストン132を進退させることができる。
【0120】
次に、図23は、本発明の細胞又は組織の培養装置の第3の実施形態を示している。この実施形態では、圧力印加装置16の圧力容器22で形成される圧力チャンバ60の内部に図示しないコンプレッサから矢印Prで示すように、加圧空気を圧力調整器314、昇圧バルブ316及びニードルバルブ318を備えた管路67を通して作用させ、圧力チャンバ60内の加圧空気をニードルバルブ320及び降圧バルブ322を備えた回収管路102を通して排出させ、チューブ50D側に弁11(図1)又はピンチバルブ162(図2)に代えて、アクチュエータ321の回転によって開閉されるバルブ323を設けても良い。バルブ323を間欠的に閉塞させる動作と、加圧空気を作用させて受圧膜64を加圧する動作とを併用することにより、細胞5に加圧刺激を加えることができる。この場合、加圧刺激に変化を付与するには、昇圧バルブ316及び降圧バルブ322の開閉制御によって行うことができる。このような空気を用いた場合には、低圧では単位移動量あたりの圧力変化量を小さく、また、高圧では単位移動量あたりの圧力変化量を大きくできるとともに、細胞又は組織に圧力を印加する際、モータやアクチュエータ等から発生する不要な振動の吸収が可能となり、細胞又は組織に対する加圧刺激の精度を高めることができる。
【0121】
次に、図24及び図25は、本発明の細胞又は組織の培養装置の第4の実施形態を示している。培養すべき細胞5はコラーゲン等から成形された足場7に移植されており、足場7毎に培養チャンバ20に格納される。培養チャンバ20には培養液3が培養液槽49から培養回路ユニット4を通して供給される。培養回路ユニット4は、閉回路を構成しており、この培養回路ユニット4には、送液装置12としてのポンプ324、圧力センサ326及び圧力緩衝装置18が設けられている。圧力センサ326の検出圧力は圧力制御器328に加えられ、その検出圧力に応じた制御出力が圧力制御器328からポンプ324に加えられている。
即ち、培養液3の圧力Pが一定に制御されている。
【0122】
また、圧力緩衝装置18は、培養回路ユニット4の一部に挿入された圧力逃し弁26の弁体150のプランジャ152に緩衝スプリング154を介在してアクチュエータ156を取り付け、このアクチュエータ156にモータ158を連結したものである。モータ158の回転、即ち、正転、逆転、停止及び回転速度が制御装置40によって制御される。即ち、モータ158の回転がボールスクリュ302に伝達され、ボールスクリュ302の回転によって移動ベッド306がその回転方向に応じて前後に移動する。この移動は、緩衝スプリング154を介して弁体150のプランジャ152に伝達されるので、弁体150の閉止力が移動ベッド306の位置及び緩衝スプリング154の圧縮力によって設定される。ポンプ324による培養液3の圧力が弁体150の閉止力に打ち勝つとき、弁体150が開かれ、圧力逃し弁26を培養液3が通過する。
【0123】
そして、培養液槽49には、酸素又は二酸化炭素等のガスを取り入れる空気管路330が設けられ、空気管路330には雑菌、異物等の侵入を防止するフィルタ332が設けられている。即ち、空気管路330から取り入れられた酸素又は二酸化炭素は培養液3とともに培養チャンバ20の細胞5に伝達される。
【0124】
このような構成によれば、ポンプ324を駆動することにより、培養液3が培養回路ユニット4に供給されて培養チャンバ20に通流し、細胞5に必要な養分と酸素又は二酸化炭素等のガスを供給する。圧力緩衝装置18を駆動することにより培養回路ユニット4が閉塞され、ポンプ324から培養液3に加えられる圧力によって培養チャンバ20内の圧力が上昇する。圧力緩衝装置18の緩衝力、即ち、弁体150の閉止力の調整によって、ポンプ324から加えられた圧力と平衡する任意の圧力値を得ることができる。
【0125】
図25はこの加圧動作を示している。圧力緩衝装置18を周期的に動作させることにより、最大圧力Pmaxと最小圧力Pminを交互に細胞5に付与することができる。即ち、細胞5には最大圧力Pmaxが時間t1 、最小圧力Pminが時間t2 、また、昇圧時間t3 及び降圧時間t3 が設定され、生体と同様に培養液3の圧力循環が得られ、生体と同等の成長環境が実現される。そして、圧力緩衝装置18の動作速度を制御することにより、時間t1 、t2 、t3 を任意に調整でき、培養する細胞5の特性や生体部位に応じた最適状態を実現することができる。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
a 生体内環境を模倣した環境下で汚染されることなく効率良く培養することができ、体内組織に近い、しかも、体内組織と融合し易い細胞又は組織を培養することができる。
b 生体の細胞又は組織を特定の培養位置に保持し、生体を模倣した環境下に設定して培養液を連続的又は断続的に供給し、連続、間欠又は周期的に変化する圧力を加えることにより、修復すべき生体の部位に対応した理想的かつ実用的な組織、即ち、体内組織に近く、体内組織と融合し易い組織の培養を実現することができる。
c 培養すべき細胞又は組織を培養液中に浮遊又は非浮遊の状態で保持し、極めて安定した状態で効率的な培養を行うことができる。
d 細胞又は組織を培養液中に浮遊状態でハイドロジェル、又は足場によって保持するので、細胞又は組織の培養を促進することができる。
e 培養液を培養すべき細胞又は組織に応じた、例えば、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク質の1つ又はこれらから選択された2以上の物質又は全てを含んで構成したものを用いるので、効率的な培養や品質の良い細胞又は組織を培養することができる。
f 培養環境を生体の部位の生理的条件、又はこの生理的条件に加えて年齢、身長、体重、性別、その他の生体毎の固有情報に応じて設定するので、体内組織と融合し易い細胞又は組織を培養することができる。
g 窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスの供給及び制御、温度又は湿度の設定及び制御により生体環境を設定するので、生体に近い環境制御を実現でき、体内組織に近い、しかも、体内組織と融合し易い細胞又は組織の培養に寄与することができる。
h 修復すべき生体の部位に対応して圧力を加えることにより、理想的かつ実用的な細胞又は組織を形成することができる。
i 圧力のパターンを連続、間欠又は周期的に変化する形態とし、それを選択し、又は組み合わせることにより、理想的な物理的刺激を実現することができ、細胞の代謝機能や分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影響を与え、培養の促進を図ることができる。
j 培養回路は、培養すべき細胞又は組織を培養チャンバに収容して外気と遮断された細胞又は組織に必要な培養液を供給するので、外気と遮断された細胞又は組織は、菌体等の汚染から防護され、その結果、品質の良い組織を培養することができる。また、細胞又は組織は、培養液による静水圧と流れによる物理的刺激に加え、加圧手段によって所望の圧力が付与されるので、細胞の代謝機能、分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影響を受け、細胞又は組織の培養を促進することができる。また、細胞又は組織への培養液の供給形態は培養液供給手段によって任意に設定され、間欠的又は連続的に供給することができるので、バリエーションのある物理的刺激によって培養の促進を図ることができる。
k 加圧手段又は培養液供給手段は、任意に制御することができ、コンピュータ等の制御手段を用いることにより、フィードバック制御やフィードフォワード制御等の各種のプログラム制御を行うことにより、生体環境を模倣するとともに、所望の環境を設定でき、効率の良い培養を行うことができる。
l 圧力の加え方、即ち、圧力パターンは培養すべき細胞又は組織に対応して設定することにより、より効率的な培養を行うことができる。
m 圧力パターンはあらゆる形態に設定でき、その選択及び組合せを以て効率的に細胞又は組織の培養を行うことができる。
n 培養した細胞又は組織を収容する培養チャンバを備える培養ユニットは、培養装置本体と独立して分離、着脱可能であるので、外気と分離された培養ユニットとともに細胞又は組織を移動させることができ、移動中に菌体等による汚染から細胞又は組織を防護でき、生体の修復等の信頼性を高めることができる。
o 培養空間である密閉空間が外気と遮断されることにより、所望のガスの供給による培養環境の設定が可能になるとともに、外気による汚染から細胞又は組織を防護することができる。
p 密閉空間に収容される培養回路に窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスを供給するとともに、培養回路に気体吸収部を備えることにより、ガスを細胞又は組織に付与することができ、ガスの供給及び制御によって生体環境を模倣することができる。
q 密閉空間によって形成される培養空間に窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスを充填させることにより、生体環境を模倣し、所望の培養空間を形成することができる。
r 培養回路に必要な培養液を供給又は循環させるための培養液槽を備え、しかも、外気と遮断された密閉空間内に培養液槽を設置するので、培養液の汚染防止を図ることができる。
s 受圧膜の設置により、培養チャンバに収容されている細胞又は組織に対し、外気と遮断した状態で加圧刺激を与えることができるとともに、生体環境を模倣した刺激等、所望の加圧刺激を実現できる。
t 培養回路の一部を加圧した場合、その圧力調整を圧力緩衝手段で行えば、生体環境に近い物理的刺激を実現することができ、細胞又は組織の培養の促進を図ることができる。
u 圧力の形成手段として、水圧、油圧又は空気圧の何れを用いても所望の加圧刺激を実現でき、生体環境を精度良く模倣することができる。
v 培養液供給手段を送液チャンバに取り込んだ培養液を加圧して送り出す送液装置で構成すれば、培養回路に効率良く培養液を供給又は循環させることができ、この加圧量を制御することで所望の送液量を設定できる。
w 培養液に加えられる圧力を緩衝するので、理想的な加圧刺激を細胞又は組織に付与することができ、例えば、圧力逃し弁を用いて、培養液の圧力を圧力逃し弁の制御により、圧力逃し弁を開いて培養液の圧力を降下させれば、培養液を汚染させることなく、理想的な圧力状態に制御することができる。
x 培養回路が収容される密閉空間の温度及び湿度を制御し、生体環境に合致する培養空間を形成することができる。
y 生体は外界からの音響的刺激を受けており、音波発生装置を併用することにより、生体環境を音響的に模倣することができ、しかも、培養チャンバに培養すべき細胞又は組織を注入する際に、超音波を併用して効率的かつ、信頼性の高い注入を行うこともできる。
z 密閉空間に供給されるガス濃度を制御手段によって制御することにより、生体環境を模倣することができ、細胞又は組織の培養促進に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞又は組織の培養装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】細胞又は組織の培養装置を示す図である。
【図3】培養装置の培養回路ユニットの一部、培養液供給装置、圧力印加装置及び圧力緩衝装置を拡大して示した図である。
【図4】培養装置と培養回路ユニットとの分離状態を示す図である。
【図5】制御装置を示すブロック図である。
【図6】細胞又は組織の培養を示すフローチャートである。
【図7】細胞又は組織の培養における初期設定を示すフローチャートである。
【図8】細胞又は組織の培養における初期設定を示すフローチャートである。
【図9】細胞又は組織の培養における初期設定を示すフローチャートである。
【図10】圧力印加装置における加圧ピストンの変位、移動量に対する圧力チャンバ内の圧力を示す図である。
【図11】圧力逃し弁におけるアクチュエータの変位に対する弁の調整圧力を示す図である。
【図12】圧力可変培養モードの実行形態を示すタイミングチャートである。
【図13】圧力可変培養モードの他の実行形態を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の細胞又は組織の培養装置の第2の実施形態を示す図である。
【図15】図14の培養装置の側面側を示す図である。
【図16】培養装置本体の部分及び培養回路ユニットを示す図である。
【図17】培養装置本体から分離した培養回路ユニットを示す図である。
【図18】培養回路ユニットを外した培養装置本体の部分を示す部分断面図である。
【図19】培養回路ユニットにおける圧力印加装置を示す部分断面図である。
【図20】培養回路ユニットにおける培養液供給装置を示す部分断面図である。
【図21】培養回路ユニットにおける圧力緩衝装置を示す部分断面図である。
【図22】培養回路ユニットにおける培養液供給装置の他の構成例を示す部分断面図である。
【図23】本発明の細胞又は組織の培養装置の第3の実施形態を示す図である。
【図24】本発明の細胞又は組織の培養装置の第4の実施形態を示す図である。
【図25】加圧制御を示す図である。
【図26】従来の細胞又は組織の培養を示す図である。
【図27】従来の他の細胞又は組織の培養を示す図である。
【符号の説明】
1 培養装置
2 密閉空間
3 培養液
4 培養回路ユニット(培養回路、培養ユニット)
5 細胞
6 培養液供給装置(培養液供給手段)
7 足場(保持手段)
8 培養加圧装置
9 培養液槽
10 気体吸収装置(気体吸収部)
12 送液装置
16 圧力印加装置(加圧手段)
18 圧力緩衝装置(圧力緩衝手段)
20 培養チャンバ(培養位置)
26 圧力逃し弁
32 湿度調節装置(加湿手段)
34 温度調節装置(加熱手段)
40 制御装置(制御手段)
42 培養庫
48 培養液バッグ(培養液槽)
49 培養液槽
50A〜50E チューブ
60 圧力チャンバ
64 受圧膜
114 音波発生装置
128 送液チャンバ

Claims (16)

  1. ガスが供給され、かつその雰囲気の温度、湿度及びガス濃度が調節される密閉空間と、
    この密閉空間に設置され、培養液が溜められる培養液槽と、
    前記密閉空間に設置され、前記培養液が供給されて細胞又は組織を培養する培養チャンバと、
    前記密閉空間に設置されて外部と遮断され、前記培養チャンバと前記培養液槽とをチューブで連結して構成され、前記培養液槽の培養液を前記培養チャンバに連続的、間欠的又は周期的のうちの一つ、又はこれらの組合せの何れかを用いて循環させる培養回路と、
    前記培養チャンバ内の培養液中に前記細胞又は前記組織を浮遊状態又は非浮遊状態で保持する保持手段と、
    前記培養液槽と前記培養チャンバとの間の前記培養回路に設置され、前記密閉空間内に供給されている前記ガスを前記チューブに流れる前記培養液に吸収させる気体吸収部と、
    前記培養チャンバの外側に備えられ、前記培養チャンバの外側から前記培養チャンバに対して圧力を加えることにより、前記培養チャンバ内の培養液中で培養されている前記細胞又は前記組織に対して作用させ、その圧力として、前記細胞又は前記組織に連続して変化する圧力、間欠して変化する圧力又は周期的に変化する圧力の何れかの圧力の一つ又はこれらの2以上の組合せからなる圧力を加えるとともに、前記細胞又は前記組織に加えられている前記圧力を検出して付与すべき圧力との誤差を求めて前記圧力の補正を行う加圧手段と、
    を備えることを特徴とする細胞又は組織の培養装置。
  2. 前記保持手段は、前記細胞又は前記組織の成長により前記保持手段をその細胞又は組織に吸収されることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  3. 前記保持手段は、ハイドロジェルであることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  4. 前記培養液は、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク質の1又は2以上を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  5. 少なくとも前記培養チャンバを含み前記密閉空間から分離可能な培養ユニットを構成したことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  6. 前記密閉空間に供給される前記ガスは、窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスであることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  7. 前記培養回路に前記培養液を供給する培養液供給手段を備え、この培養液供給手段は、
    前記培養回路に取り付けられた送液チャンバと、
    この送液チャンバに取り込まれた前記培養液を加圧して送り出す送液装置と、
    を備える構成としたことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  8. 前記密閉空間は、前記温度条件を設定する加熱手段を備えて所望の温度に維持、制御されることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  9. 前記密閉空間は、湿度条件を設定する加湿手段を備えて所望の湿度に維持、制御されることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  10. 前記培養チャンバに超音波等の音波を付与する音波発生装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  11. 前記密閉空間内のガス濃度を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  12. 前記細胞又は前記組織に加える前記圧力は、培養される前記細胞又は前記組織が対応する生体の部位に応じて設定されたことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  13. 前記加圧手段から前記細胞又は前記組織に加えられる前記圧力は、断続状態、一定時間毎の連続した繰り返し、一定時間毎に増減させることを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  14. 前記培養回路は、前記加圧手段による前記培養チャンバ内の前記培養液の圧力上昇を緩衝する圧力緩衝手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  15. 前記培養チャンバに受圧膜を介在させて圧力チャンバを取り付け、この圧力チャンバに水圧、油圧又は空気圧を作用させ、前記培養チャンバ内の前記細胞又は前記組織に圧力を加えるようにしたことを特徴とする請求項1記載の細胞又は組織の培養装置。
  16. 前記圧力緩衝手段は圧力逃し弁で構成され、この圧力逃し弁は、前記培養チャンバ内の前記培養液の圧力が所定圧力を越えるとき、開くことにより、前記培養チャンバ内の前記培養液を前記培養回路に流して前記培養液の圧力を降下させることを特徴とする請求項14記載の細胞又は組織の培養装置。
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