JP2003289851A - 細胞又は組織の培養装置 - Google Patents

細胞又は組織の培養装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚染の防止とともに効率的な体外培養を実現
した細胞又は組織の培養装置を提供する。 【解決手段】 生体を模倣した環境等、任意に制御され
る環境下に培養位置(培養チャンバ20)を設置すると
ともに、前記培養位置に細胞(5)又は組織を保持しな
がら培養液(3)を供給し、理想的な環境下にある前記
培養位置で前記細胞又は前記組織を培養することで、汚
染防止を図るとともに、前記細胞又は前記組織の効率的
な体外培養を実現したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞組織工学や遺
伝子治療等の応用であるティッシュ・エンジニアリング
に用いられる細胞又は組織の培養装置に係り、人体の欠
損組織の修復等に必要な細胞や組織の体外培養に用いら
れる細胞又は組織の培養装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体の欠損箇所や異常箇所の修復には次
のような方法がある。その第1は、欠損箇所や異常箇所
の修復手段として、プラスチック、金属、セラミック等
の生体以外の材料で代用する方法である。代用品として
は骨用のセラミック、ステンレススチール、関節用のポ
リエチレン樹脂、血管用のビニール樹脂等がある。第2
は、他の動物、他の部位等の生体材料を代用する方法が
ある。この代用品には例えば、皮膚等がある。また、第
3は、他人の臓器を移植する方法である。
【0003】第1の方法では、プラスチック、金属、セ
ラミック等の生体以外の材料の摩耗、消耗によって定期
的に交換の必要が生じたり、摩耗等により分離した物質
が生体に対して悪影響を与えることがある。また、合成
樹脂の血管では、血管が長期間の使用により、内部が詰
まってくるという事例も報告されている。第3の方法で
は、移植すべき臓器の提供者がいなければ実施は不可能
であるし、実施した場合でも臓器間の拒否反応の問題が
残る。
【0004】このため、実用化の期待がかかる修復方法
は、生体細胞をその体内又は体外で細胞又は組織を培養
して得られた細胞や組織を欠陥部位の修復にあてるとい
う方法である。現在の研究では、皮膚、軟骨、骨、血
管、肝臓、膵臓等多くの組織にその可能性があることが
報告されている。生体の細胞から患者の体内、体外で細
胞又は組織を培養し、その培養によって得られた細胞や
組織を欠損部分の修復にあてれば、体内で再生不可能な
組織の再生ができ、しかも、修復に用いた組織は患者自
身の遺伝子を持った組織であるから拒否反応はなく、ま
た、例えば合成樹脂等のように生体材料以外の化学物質
が生体に悪影響を与えるということもない。理想的な治
療が可能になる。
【0005】ところで、従来、この種の技術として特開
平9−313166号「細胞培養装置」が提案されてい
る。この技術では、培養毎に各部品を分解して洗浄、滅
菌を行った後、再度装置を組み立てなければならず、滅
菌後に細菌に汚染されるおそれがある。汚染を防ぐため
に装置を組み立ててから、オートクレーブ(121°C
絶対圧2気圧)等の滅菌処理を行うことは可能である
が、ポンプや圧力センサは多くの電子部品や特殊な樹
脂、オイルを含んでいるから、汚染防止上、用いること
ができない。そのため、ポンプや圧力センサはその一部
を分解して培養液の通路部分のみを取り出して薬品によ
る滅菌を行い、他の部品はオートクレーブにより滅菌を
行い、その後、ポンプや圧力センサと装置を組み立てる
ことになるため、手間がかかるとともに雑菌汚染の危険
性が高い。また、インキュベータ(培養庫)を用いて培
養することは、ポンプや制御装置が温度、湿度により悪
影響を受け易く、容積に限りがあるインキュベータに全
ての装置を収容することができない。このため、インキ
ュベータの貫通穴に配管や電源、制御用の電線を通すた
め、インキュベータと外気とを連結した状態で装置を組
み上げなければならない。また、培養液の回路全体に圧
力をかけるため、ポンプや配管等の部品を含め、全体を
耐圧構造にしなければならないが、高い圧力(例えば1
MPa以上)の設定は非常に難しく、高圧力を与えよう
とすると、全体を高耐圧構造としなければならず、コス
トアップが問題となる。
【0006】また、従来、物理的刺激として圧力を加え
ながら生体組織を培養する研究はハーバードメディカル
スクールの水野秀一博士他から報告されている〔Materi
alsScience and Engineering C6 (1998)301-306〕。こ
の研究によれば、図26に示すように培養装置が構成さ
れており、この培養装置における各要素とその機能につ
いて説明すると、ポンプ400は、培養液402を循環
させる役割と、培養チャンバ404の内部を加圧して細
胞406又は組織に静水圧を与える役割を果たし、例え
ば、液体クロマト用のポンプが用いられ、一定流量を流
すための制御装置が内蔵されている。
【0007】バックプレッシャレギュレータ408は、
細胞406又は組織に与えようとする圧力以上になると
弁410を開いて圧力を逃がし、培養チャンバ404内
部の圧力を一定に保つ。細胞406に与えようとする圧
力に応じて、バックプレッシャレギュレータ408を選
択して取り付ける。
【0008】培養チャンバ404は細胞406又は組織
を培養する空間を構成し、この培養チャンバ404には
コラーゲンで形成されたスポンジからなる足場412に
細胞406又は組織を植え付けたものを収容する。細胞
406又は組織は、コラーゲンのスポンジからなる足場
412で増殖する。
【0009】圧力センサ414は、培養チャンバ404
内の圧力を検知し、圧力モニタ416は圧力センサ41
4の検出圧力を表示する。ポンプ400は、この検出圧
力によって制御され、その検出圧力が過大となった場
合、ポンプ400の運転を停止する。
【0010】培養液槽418は、培養する細胞406又
は組織に適する培養液402を溜め、この培養液402
は、例えば、アミノ酸類、糖類、塩類等からなる。培養
液槽418は、閉塞栓420に貫通させた通気チューブ
422を通して外気に通じ、通気フィルタ424は外気
による汚染を防止する。
【0011】この培養装置は、密閉空間であるインキュ
ベータに収容される。このインキュベータは、快適な培
養雰囲気を形成する空間であって、細胞、組織に最適な
温度、湿度及びガス濃度(酸素、炭酸ガス)に維持され
ている。そして、培養液402はポンプ400によって
回路426内に満たされて循環する。酸素、炭酸ガスは
通気フィルタ424を通過して培養液402に溶け込
み、培養液402は適度な酸素濃度、炭酸ガス濃度に保
たれる。ポンプ400を運転すると、次第に培養チャン
バ404の中の圧力が上昇し、バックプレッシャレギュ
レータ408の設定圧力以上になると、バックプレッシ
ャレギュレータ408の弁410が開いて培養液402
を排出し、培養液402が排出した分だけ、培養液40
2の圧力が低下するため、弁410が閉じる。このよう
な動作の繰り返しにより、一定圧力が維持され、同時
に、一定量の培養液402の循環が繰り返される。細胞
406又は組織はこのような圧力刺激を受けながら増殖
する。
【0012】この培養装置では一定圧力を維持できるも
のの、圧力の昇降を繰り返すことができない。圧力上昇
はポンプ400によるため、圧力の上昇速度がポンプ4
00の能力により決まり、培養液402の循環量を増す
と、上昇速度が速くなり、その循環量を少なく設定する
と、圧力上昇が緩慢になる。このため、圧力サイクルを
連続的に繰り返す場合、圧力を下降させるには、図27
のように、バックプレッシャレギュレータ408に並列
にバイパス弁428とオリフィス弁(ニードル弁)43
0を備えたバイパス路432を設置する方法がある。こ
の方法では、降圧が可能になるものの、1周期に要する
時間が長くなると同時に、繰り返し周期の設定と培養液
402の循環量を独立させることができず、また、オリ
フィス弁430の調節が微妙となり、圧力低下の割合が
不安定になるという欠点がある。
【0013】そして、培養の実施の度に各部品を分解し
て洗浄、滅菌を行った後、装置を組み立てなければなら
ないため、滅菌後に細菌汚染のおそれがある。汚染防止
のため、組み立てた装置をオートクレーブ(121°C
絶対圧2気圧)等の滅菌処理を施すことが考えられる
が、ポンプや圧力センサは多くの電子部品や特殊な樹
脂、オイルが含まれているために不可能である。このた
め、現状では、ポンプや圧力センサは一部を分解して培
養液の通路部分のみを取り出し、薬品による滅菌を行
い、他の部分はオートクレーブにより滅菌を行った後、
ポンプや圧力センサと装置を組み立てなければならず、
手間がかかり、雑菌汚染のおそれも高い。
【0014】培養液への酸素、炭酸ガスの取り込みはフ
ィルタを通しているが、周囲の雰囲気から直接行ってい
るため、汚染のおそれもある。また、この培養装置は、
インキュベータに収容されるが、ポンプユニットや圧力
モニタは温度、湿度により悪影響を受け易く、インキュ
ベータにポンプユニットや圧力モニタを収容することは
容積的に困難である。このため、インキュベータの貫通
穴に配管用のチューブや電源、制御用の電線を通してそ
の内部と外部とを連結することにより、装置を組み上げ
なければならない。
【0015】また、圧力の設定は設定圧力に応じたバッ
クプレッシャレギュレータを選択して組み込むため、圧
力の設定を変えるには、バックプレッシャレギュレータ
を取り替えなければならないため、手間がかかるととも
に雑菌汚染の危険性も高い。
【0016】圧力サイクルを変更する場合、図27に示
す培養装置は、低圧側の設定をすることができず、オリ
フィス弁430である程度の圧力調整が可能であるとし
ても、設定された圧力がポンプ400の循環流量で変化
する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の生
体の細胞又は組織の培養では、インキュベータ(培養
庫)内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、酸素濃度を最適
な条件に設定し、その中で細胞を培養している。このよ
うなインキュベータによる培養では、シャーレの上での
平面的(2次元的)培養であり、3次元的な培養の試み
が成されている。しかも、このような培養においては、
外気に晒された培養液や細胞又は組織が細菌に汚染され
易く、安定的な培養が難しい。
【0018】しかも、生体の細胞は常に物理的刺激下に
あり、それらの刺激は細胞の代謝機能の制御、細胞分裂
サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散等に間接的に影響
を与えているが、それを安定的に実現することが難し
く、物理的刺激の量、変化、周期等の設定や変更は非常
に困難であった。そして、培養にあたっては微妙な圧力
設定や調整が必要となり、培養担当者の熟練を要する。
【0019】このため、従来の生体細胞の体外培養は、
修復すべき部位の大きさに成長させるのに時間がかか
り、汚染等により正常な培養が損なわれることがあっ
た。
【0020】そこで、本発明は、汚染の防止とともに効
率的な体外培養を実現した細胞又は組織の培養装置を提
供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、生体を模倣し
た環境等、任意に制御される環境下に培養位置(培養チ
ャンバ20)を設置するとともに、前記培養位置に細胞
(5)又は組織を保持しながら培養液(3)を供給し、
理想的な環境下にある前記培養位置で前記細胞又は前記
組織を培養することで、汚染防止を図るとともに、前記
細胞又は前記組織の効率的な体外培養を実現したもので
ある。
【0022】上記目的を達成するため、本発明の細胞又
は組織の培養装置は、ガスが供給され、かつ温度条件が
設定されて生命維持に必要な環境に維持される密閉空間
(2)と、この密閉空間に設置され、培養液(3)が溜
められる培養液槽(9、49、培養液バッグ48)と、
前記密閉空間に設置され、前記培養液が供給されて細胞
(5)又は組織を培養する培養チャンバ(20)と、こ
の培養チャンバと前記培養液槽とをチューブ(50A〜
50E)で連結して構成され、前記培養液槽の培養液を
前記培養チャンバに連続的、間欠的又は周期的のうちの
一つ、又はこれらの組合せの何れかにより循環させる培
養回路(培養回路ユニット4)と、前記培養チャンバ内
の培養液中に前記細胞又は前記組織を浮遊状態又は非浮
遊状態で保持し、前記細胞又は前記組織の成長によりそ
の細胞又は組織に吸収される保持手段(足場7)と、前
記培養回路の前記培養チャンバの前段側に設置され、前
記密閉空間内に供給されている前記ガスを透過させて前
記培養チャンバの手前で前記培養液に吸収させる気体吸
収部(気体吸収装置10)とを備えたことを特徴とす
る。
【0023】即ち、欠損した生体の一部等の修復に必要
な組織は、その生体の細胞や組織を用いることが理想的
である。これを実現するためには、生体から採取した細
胞や組織を用いてそれを体外培養することである。この
体外培養で重要なことは、汚染防止と、生体と同等の培
養環境、即ち、生体を模倣した環境を人工的に実現する
ことである。そこで、人工的に形成した環境に培養位置
を設定し、この培養位置に細胞又は組織を保持し、培養
液を供給することにより、細胞又は組織の体外培養を実
現している。ここで、環境とは、細胞又は組織によって
形成される生体を基準とし、その生命を健康的に維持す
るに必要な体内、体外の刺激を含む生存条件を示す。ま
た、培養液は、細胞又は組織の生命を維持するとともに
生育に必要な栄養源を含む。この場合、培養液の供給
は、細胞又は組織に静水圧と流れという物理的刺激を与
え、細胞又は組織が代謝機能、分裂サイクル、生物刺激
の濃度勾配や分散に影響を受け、その培養が促進され、
その結果、体内組織に近く、また、体内組織と融合し易
い細胞又は組織を培養することが可能となる。
【0024】上記目的を達成するため、本発明の細胞又
は組織の培養装置は、ガスが供給され、かつ温度条件が
設定されて生命維持に必要な環境に維持される密閉空間
と、この密閉空間に設置され、培養液が溜められる培養
液槽と、前記密閉空間に設置され、前記培養液が供給さ
れて細胞又は組織を培養する培養チャンバと、この培養
チャンバと前記培養液槽とをチューブで連結して構成さ
れ、前記培養液槽の培養液を前記培養チャンバに連続
的、間欠的又は周期的のうちの一つ、又はこれらの組合
せの何れかにより循環させる培養回路と、前記培養チャ
ンバ内の培養液中に前記細胞又は前記組織を浮遊状態又
は非浮遊状態で保持する保持手段と、前記培養回路の前
記培養チャンバの前段側に設置され、前記密閉空間内に
供給されている前記ガスを透過させて前記培養液に吸収
させる気体吸収部と、前記培養チャンバ内の培養液中で
培養されている前記細胞又は前記組織に対して加圧し、
その圧力として、前記細胞又は前記組織に連続して変化
する圧力、間欠して変化する圧力又は周期的に変化する
圧力の何れかの圧力の一つ又はこれらの2以上の組合せ
である圧力を加える加圧手段(圧力印加装置16)とを
備えたことを特徴とする。
【0025】培養位置の設定や環境設定については、既
に述べた通りである。培養位置に設定された細胞又は組
織に対し、培養回路を通して培養液を連続的又は断続的
に供給する。外界と分離又は遮断された培養回路を通し
て培養液を供給することにより、培養液の供給形態を連
続的又は断続的に行うことができると同時に、汚染防止
を図ることができる。培養液の供給形態についても、生
体の環境に対応して制御することで、生体を模倣するこ
とができ、効率的に細胞又は組織の培養を行うことがで
きる。そして、培養中に細胞又は組織には所望の圧力を
作用させて物理的刺激を加えており、その圧力の形態
は、連続、間欠又は周期的な変化とすることにより、生
体を模倣し、培養される細胞又は組織に必要な柔軟性や
耐久性等の生体に必要な物理的、機械的な強度を付与す
ることができる。これは、修復すべき生体の部位に対応
した理想的かつ実用的な細胞又は組織、即ち、体内組織
に近く、体内組織と融合し易い細胞又は組織の培養に寄
与することになる。
【0026】このような構成によれば、培養すべき細胞
又は組織が培養チャンバに収容され、外気と遮断されて
必要な培養液が供給される。外気と遮断された細胞又は
組織は、菌体等の汚染から防護され、その結果、品質の
良い組織に成長する。また、細胞又は組織には、培養液
による静水圧と流れによる物理的刺激に加え、加圧手段
によって所望の圧力が付与される。この結果、細胞の代
謝機能、分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影
響を受け、細胞又は組織の培養が促進される。また、細
胞又は組織への培養液の供給は、間欠的又は連続的に行
うことができるので、バリエーションのある物理的刺激
によって培養の促進が図られる。この場合、常に新しい
培養液の供給や培養液を繰り返し循環させる供給の何れ
か一方又は双方を含むものである。循環させる形態で
は、培養液を節約できるが、一方向的な供給の場合には
培養液の濃度変化を防止できる点で有利であろう。
【0027】上記目的を達成するためには、前記保持手
段は、ハイドロジェルである構成としてもよい。即ち、
保持手段として細胞又は組織を培養液中に浮遊状態で保
持させるハイドロジェルを用いれば、細胞又は組織の成
長によりその細胞又は組織に養分として吸収される。ハ
イドロジェルは、培養すべき細胞又は組織を包み込んで
浮遊状態に保持し、培養が完了した時点でそのハイドロ
ジェルから細胞や組織を取り出すことが可能である。
【0028】上記目的を達成するためには、前記培養液
は、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク質の1又は
2以上を含んで構成してもよい。培養液の選択は、効率
的な培養や品質の良い細胞又は組織を形成する上で主要
な要素であり、培養すべき細胞又は組織に応じたものと
して、例えば、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク
質の1つ又はこれらから選択された2以上の物質又は全
てを含んで構成したものを用いれば、効率的な培養や品
質の良い細胞又は組織が形成される。
【0029】上記目的を達成するためには、少なくとも
前記培養チャンバを含み前記密閉空間から分離可能な培
養ユニット(培養回路ユニット4)を構成してもよい。
即ち、培養する細胞又は組織を収容する培養チャンバを
備える培養ユニットは、培養装置本体と独立して分離、
着脱可能とすることにより、外気と分離された培養ユニ
ットとともに細胞又は組織を移動させることができ、移
動中に菌体等による汚染から細胞又は組織を防護するこ
とができる。
【0030】上記目的を達成するためには、前記密閉空
間に供給される前記ガスは、窒素、酸素又は二酸化炭素
等のガスとしてもよい。即ち、細胞又は組織を培養すべ
き環境は生体に対応した環境が望ましいことから、その
一例として、窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスの供
給、温度又は湿度の設定等の生体環境を設定し、所望の
状態に制御すればよい。
【0031】上記目的を達成するためには、前記培養回
路に前記培養液を供給する培養液供給手段(培養液供給
装置6)を備え、この培養液供給手段は、前記培養回路
に取り付けられた送液チャンバ(128)と、この送液
チャンバに取り込まれた前記培養液を加圧して送り出す
送液装置(12)とを備える構成としてもよい。即ち、
培養液供給手段は、培養回路に培養液を供給又は循環さ
せる手段であって、その形態は各種のものが想定できる
が、例えば、送液チャンバを設け、この送液チャンバに
取り込んだ培養液を加圧して送り出す送液装置で構成す
れば、加圧量を制御することで所望の送液量を設定する
ことができる。
【0032】上記目的を達成するためには、前記密閉空
間は、前記温度条件を設定する加熱手段(温度調節装置
34)を備えて所望の温度に維持、制御される構成とし
てもよく、また、前記密閉空間は、湿度条件を設定する
加湿手段(湿度調節装置32)を備えて所望の湿度に維
持、制御される構成としてもよい。即ち、培養回路が収
容される密閉空間の温度及び湿度を制御し、生体環境に
合致する培養空間を形成することができる。
【0033】上記目的を達成するためには、前記培養チ
ャンバに超音波等の音波を付与する音波発生装置(11
4)を備えた構成としてもよい。即ち、生体は外界から
の音響的刺激を受けており、音波発生装置を併用するこ
とにより、生体環境を音響的に模倣することができる。
また、培養チャンバに培養すべき細胞又は組織を注入す
る際に、超音波を併用して効率的かつ信頼性の高い注入
を行うことができる。
【0034】上記目的を達成するためには、前記密閉空
間内のガス濃度を制御する制御手段(制御装置40)を
備える構成としてもよい。即ち、密閉空間に供給される
ガス濃度を制御手段によって制御することにより、生体
環境を模倣することができ、細胞又は組織の培養促進を
図ることができる。
【0035】上記目的を達成するためには、前記細胞又
は前記組織に加える前記圧力は、培養される前記細胞又
は前記組織が対応する生体の部位に応じて設定する。即
ち、細胞又は組織を生体の部位に応じて培養することが
できる。
【0036】上記目的を達成するためには、前記加圧手
段から前記細胞又は前記組織に加えられる前記圧力は、
断続状態、一定時間毎の連続した繰り返し、一定時間毎
に増減させる構成としてもよい。即ち、圧力パターンは
あらゆる形態を想定することができ、その選択により効
率的に細胞又は組織の培養を行うことができる。
【0037】上記目的を達成するためには、前記培養回
路は、前記加圧手段による前記培養チャンバ内の前記培
養液の圧力上昇を緩衝する圧力緩衝手段(圧力緩衝装置
18)を備えた構成としてもよい。即ち、培養回路の圧
力調整を圧力緩衝手段で行えば、生体環境に近い物理的
刺激を実現することができ、細胞又は組織の培養の促進
を図ることができる。
【0038】上記目的を達成するためには、前記培養チ
ャンバに受圧膜(64)を介在させて圧力チャンバ(6
0)を取り付け、この圧力チャンバに水圧、油圧又は空
気圧を作用させ、前記培養チャンバ内の前記細胞又は前
記組織に圧力を加える構成としてもよい。即ち、受圧膜
を設置したことにより、培養チャンバに収容されている
細胞又は組織に対し、外気と遮断した状態で加圧刺激を
与えることができるとともに、生体環境を模倣した刺激
等、所望の加圧刺激を実現できる。
【0039】上記目的を達成するためには、前記圧力緩
衝手段は圧力逃し弁(26)で構成され、この圧力逃し
弁は、前記培養チャンバ内の前記培養液の圧力が所定圧
力を越えるとき、開くことにより、前記培養チャンバ内
の前記培養液を前記培養回路に流して前記培養液の圧力
を降下させる構成としてもよい。即ち、培養液に加えら
れる圧力を緩衝することは、理想的な加圧刺激を細胞又
は組織に付与するために極めて重要であり、その一手段
として、圧力逃し弁を用いて培養液の圧力が圧力逃し弁
に任意に設定される一定圧力を越えるとき、圧力逃し弁
を開いて培養液の圧力を降下させれば、培養液を汚染さ
せることなく、理想的な圧力状態に制御することができ
る。
【0040】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の細胞又は組織の
培養装置の第1の実施形態を示している。
【0041】細胞又は組織の培養装置1はその培養空間
として密閉空間2を備えており、この密閉空間2には、
培養すべき細胞又は組織に培養液3を供給する培養回路
として培養回路ユニット4が設置されている。この培養
回路ユニット4は、装置本体側と分離、着脱可能に設定
することができる。この培養回路ユニット4は、培養液
槽9、培養液供給装置6、培養加圧装置8、気体吸収装
置10及び弁11を備えているとともに分岐路13を備
えており、この分岐路13には弁15が設けられてい
る。培養液3は、培養しようとする細胞や組織に養分を
与えるキャリアであって、必須アミノ酸や各種アミノ酸
とグルコース(糖類)を含んだ液体であり、培養しよう
とする細胞や組織に応じてNa+ 、Ca++等の無機質が
追加されたり、血清等のタンパク質を含む場合もある。
また、これらの装置は、フッ素樹脂、PEEK、高耐熱
グレードポリプロピレン、シリコーン、ステンレススチ
ール等の十分な耐熱性を持ち、生体に影響を与えるよう
な物質の溶出のない樹脂材料を用いて構成することによ
り、構成部品での汚染を防止することができる。
【0042】弁11、15は、ピンチバルブ等で構成す
ることができ、培養回路ユニット4は、弁15を閉じ弁
11を開くことで閉ループ回路、弁15を開き弁11を
閉じることで全開ループ回路、弁11、15を共に開く
ことで一部開ループ回路となる。また、培養回路ユニッ
ト4は、部分的に設置した気体吸収装置10に代えて、
二点鎖線で示す気体吸収部41と、実線で示す耐圧部4
3とを備えても良く、気体吸収部41は密閉空間2に充
満させたガスを培養液3に吸収させる部分、耐圧部43
は培養液3の加圧部分に対応して信頼性のある送液を確
保して液漏れを防止する部分である。気体吸収部41に
は、例えば、CO2 、O2 ガス等のガスを透過し易いエ
ラストマ材料等で形成されたチューブを用いることがで
きる。
【0043】培養液槽9は、密閉空間2に収容されて細
胞又は組織の培養に必要な培養液3を溜める手段であ
る。また、培養液供給装置6は培養回路ユニット4に培
養液3を供給する手段であって、培養回路ユニット4に
挿入された送液装置12を駆動装置14によって駆動
し、所定量の培養液3を培養回路ユニット4に供給す
る。培養加圧装置8は、培養すべき細胞5(図3)又は
組織に加圧する手段であって、圧力印加装置16及び圧
力緩衝装置18を備えている。圧力印加装置16は、培
養回路ユニット4の培養チャンバ20に圧力容器22を
取り付け、駆動装置24によって任意の圧力を培養チャ
ンバ20に作用させる。培養チャンバ20にはコラーゲ
ン等から成形された足場に培養すべき細胞又は組織が植
え付けられて収容され、外界から隔離される。
【0044】圧力緩衝装置18は、培養加圧装置8で加
圧される培養液3の圧力を緩衝する手段であって、所定
値を越える培養液3の圧力に対し、培養回路ユニット4
に挿入された圧力逃し弁26を駆動装置28で駆動して
最大圧を設定し、その最大圧を越える培養液3の圧力が
作用したとき、培養液3を逃がすことにより圧力を緩衝
する。また、圧力容器22には、培養加圧装置8に併設
された加圧用液体注入装置30から加圧用液体が注入さ
れる。
【0045】また、この培養装置1には湿度調節装置3
2、温度調節装置34及びガス混合・濃度調節装置36
が設置されており、雰囲気の湿度、温度及びガス混合・
濃度が調節される。また、操作装置38は管理者によっ
て所望の調整操作を行うためのものであって、制御装置
40は培養液供給装置6、培養加圧装置8、加圧用液体
注入装置30、湿度調節装置32、温度調節装置34及
びガス混合・濃度調節装置36等の各種装置を操作装置
38からの操作入力や制御プログラムによって制御する
手段である。
【0046】次に、この装置を用いた細胞又は組織の培
養について説明すると、培養準備として、制御装置40
に対して操作装置38等の操作によって培養条件等の必
要事項を入力する。この場合、必要事項は、培養液3に
どのような圧力を設定するかであり、その設定形態は、
最大圧力、最小圧力、その昇圧又は減圧等の圧力傾斜、
加圧周期、培養液3の流量、培養温度、培養時間等であ
る。また、培養回路ユニット4は、弁11、15の開閉
を切り換えることにより、閉ループとするか、開ループ
とするかを選択する。
【0047】次に、培養チャンバ20の中にコラーゲン
のスポンジ等の足場7(図3)を設置し、この足場に培
養すべき細胞5(図3)又は組織を植え付ける。コラー
ゲンのスポンジは、培養チャンバ20内でコラーゲン液
を凍結乾燥することによって形成しても良い。
【0048】次に、培養液槽9に規定量の培養液3を入
れ、密閉空間2を閉鎖した後、運転スイッチを投入し、
培養運転の準備(自動運転)により、加圧用液体注入装
置30から圧力容器22側に加圧用液体が供給される。
【0049】培養液供給装置6が駆動されると、送液装
置12を通じて培養液3が培養チャンバ20側に流れ、
培養すべき細胞又は組織に培養液3が供給される。この
培養液3の供給形態は、連続、間欠的、周期的又はこれ
らの組合せの何れかが選択される。
【0050】また、培養液3で満たされた培養チャンバ
20には、足場によって保持された細胞又は組織が収容
されており、この細胞又は組織には圧力容器22から圧
力が加えられる。この圧力は、培養準備で設定された圧
力パターンによる。
【0051】そして、培養液3に加えられる圧力が設定
圧力を越えた場合には、圧力逃し弁26を通して培養液
3が耐圧部43から流出し、圧力調整が行われる。
【0052】このような動作を所定の培養時間中繰り返
すことにより、細胞又は組織が培養チャンバ20内で所
望の大きさに成長する。足場にコラーゲンのスポンジを
用いている場合には、培養される細胞又は組織がそのコ
ラーゲンを吸収し、足場は自然に消失する。
【0053】また、ハイドロジェルを保持手段に用いた
場合には、そのハイドロジェル内に細胞又は組織が浮遊
状態で収容されて保持されている。
【0054】また、弁15を閉じ、弁11を開いて培養
回路ユニット4を閉ループ化した場合には、培養液3
は、培養回路ユニット4内を循環し、培養すべき細胞又
は組織側には培養液3が供給される。また、弁11を閉
じ、弁15を開いて培養回路ユニット4を開ループ化し
た場合には、培養液3は、分岐路13側に流れ、加圧用
液体注入装置30側、即ち、加圧水槽68(図2)側に
流れ、培養すべき細胞又は組織側には常に新鮮な培養液
3を供給することができる。
【0055】そして、培養中、培養回路ユニット4の気
体吸収装置10又は気体吸収部41には、通流する培養
液3に密閉空間2内から窒素、酸素、二酸化炭素等のガ
スが吸収され、生体と同様のガス交換に必要なガスが細
胞又は組織に培養液3を通じて供給される。
【0056】このように、細胞又は組織には、生体を模
倣した培養環境が設定されて体外培養を、菌体等に汚染
されることなく、効率的に行うことができる。即ち、細
胞又は組織は、培養チャンバ20内で培養液3の静水圧
と流れによる物理的刺激が加えられるので、代謝機能、
分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影響を受
け、培養が促進される。また、細胞又は組織は、圧力印
加装置16による加圧及びその加圧形態に応じて物理的
刺激を受ける。この結果、細胞又は組織の培養が促進さ
れ、体内の組織に近い、また、体内組織と融合し易い組
織を培養することができる。また、耐圧部43を部分的
に設定することにより、耐圧構造に要するコストを低減
することができる。
【0057】次に、図2は培養装置1の具体的な実施形
態を示し、図3は培養装置1の培養回路ユニット4の一
部、培養液供給装置6、培養加圧装置8の圧力印加装置
16及び圧力緩衝装置18を拡大して示している。培養
装置1は、図4に示すように、培養回路ユニット4が着
脱される構成である。
【0058】この培養装置1は、密閉可能な培養庫42
を備えており、ドア270(図14)の開閉がドアスイ
ッチ44によって検出される。この培養庫42には、培
養液3を供給する培養回路ユニット4が収容される。こ
の培養回路ユニット4は、培養チャンバ20、送液装置
12、圧力逃し弁26を介して培養液3を溜める培養液
槽としての培養液バッグ48をチューブ50A、50
B、50C、50D、50Eで連結した着脱可能なチュ
ーブユニットである。チューブ50A、50D、50E
は、気体吸収部41(図1)であって、培養庫42内の
ガスを吸収可能なエラストマ材料等で構成された通気チ
ューブで構成され、また、チューブ50B、50Cは耐
圧部43(図1)であって、培養液3の圧力に耐える耐
圧チューブで構成される。そして、チューブ50Eに
は、チューブ50Eを屈曲させて培養回路ユニット4内
のガスを吸収するガス吸収部52が形成されている。
【0059】培養液バッグ48は培養庫42の壁面に重
量検知手段としての検知スイッチ54を備えるフック5
6を以て支持されており、培養液バッグ48内の培養液
3の容量がその重量により検知スイッチ54によって検
知される。この検知スイッチ54が培養液バッグ48の
所定重量の減少を検知したとき、制御装置40を通して
表示手段(表示装置232)や電話等を通じてその異常
を告知する。ガス吸収部52と送液装置12との間のチ
ューブ50A、50Eには培養液排出部58が分岐して
設けられ、チェック用バルブ59によって開閉される。
このチェック用バルブ59は、培養回路ユニット4内の
培養液3を採取するための手段であって、培養液排出部
58から採取された培養液3は、その変性状態、即ち菌
体等の物質によって汚染されているか否か、pH、濃
度、生成物、酸素濃度、二酸化炭素濃度等の検査に供す
ることができる。
【0060】培養すべき細胞5はコラーゲン等で形成さ
れた足場7に着床させ、足場7とともに培養チャンバ2
0に収容される。この培養チャンバ20は培養容器61
によって構成され、培養容器61は、圧力チャンバ60
に複数のボルト62等の固定手段によって取外し可能に
取り付けられており、インジェクションポート63が設
けられている。このインジェクションポート63は、培
養チャンバ20内に設置した足場7に培養すべき細胞5
を外部から注射器等によって着床させるために用いる。
培養チャンバ20の固定には例えばクランパのような他
の固定手段を用いても良い。圧力チャンバ60及び培養
容器61はOリング等のシール材によって封止される。
培養チャンバ20の圧力チャンバ60側の面部が受圧膜
64で閉塞されて密閉空間を形成しており、この受圧膜
64を介して培養チャンバ20に圧力チャンバ60内の
加圧水65が接している。
【0061】圧力チャンバ60には給水管路66を通し
て加圧水(液)槽68が連結されており、給水管路66
には流水センサ70、ポンプ80、バイパス弁82及び
封止弁84が設けられ、バイパス弁82には中間にオリ
フィス86を持つバイパス管路88が設けられている。
即ち、バイパス弁82及び封止弁84を開いてポンプ8
0を駆動することにより、加圧水65を加圧水槽68か
ら圧力チャンバ60内に充填することができる。加圧水
槽68の加圧水位は水位センサ96によって検出される
ので、その水位に応じて給水バルブ92を開閉すること
により、加圧水槽68に加圧水65を給水管路94を通
じて補充するので、加圧水槽68の水位を常に最適水位
に保持することができる。また、加圧水槽68の給水管
路66には排水管路98が分岐されており、細胞5の培
養終了時、排水バルブ100を開いて加圧水65が排水
される。
【0062】また、圧力チャンバ60には加圧水槽68
側に向かう回収管路102が設けられ、この回収管路1
02には封止弁104及び循環ポンプ106が設けられ
ている。回収管路102の先端部は加圧水槽68内の加
圧水65中に浸漬している。即ち、封止弁84を開きか
つバイパス弁82を閉じて循環ポンプ106を駆動する
と、圧力チャンバ60内が減圧されて、圧力チャンバ6
0や各管路66、102等の内壁に付着している気泡等
を加圧水槽68側に排出することができる。また、この
圧力チャンバ60の加圧水65は、ポンプ80、106
の同時駆動により加圧水槽68から給水管路66を通し
て圧力チャンバ60に供給しつつ回収管路102を通し
て加圧水槽68に戻し、加圧水槽68との間で循環させ
ることも可能である。
【0063】圧力チャンバ60の壁面部にはヒータ10
8、温度センサ110、圧力センサ112及び音波発生
装置114が設けられており、収容されている加圧水6
5の加熱と、その温度又は圧力が検出されるとともに、
圧力チャンバ60には、必要に応じて音波発生装置11
4から超音波等の音波を加えることができる。
【0064】そして、圧力チャンバ60には加圧手段と
して加圧ピストン116が進退自在に設けられ、加圧ピ
ストン116は圧力チャンバ60の壁面部に突出させた
支持筒部117によって支持され、支持筒部117と加
圧ピストン116との間には封止手段であるOリング1
19によって封止されている。この加圧ピストン116
には加圧用スプリング118を介して加圧駆動手段とし
てアクチュエータ120及びモータ122が取り付けら
れている。モータ122は例えば、ステッピングモータ
で構成され、このモータ122の回転がアクチュエータ
120によって進退動に変換されて加圧用スプリング1
18に加えられ、加圧ピストン116の進退に応じて圧
力チャンバ60内の圧力を増減させることができ、加圧
ピストン116の進入時、高圧、加圧ピストン116の
後退時、低圧を生じさせ、その圧力変化が受圧膜64を
通して足場7上の細胞5に加圧刺激を与える。また、加
圧ピストン116の位置は位置センサ123によって検
出されており、その検出データは加圧ピストン116の
進退の制御、即ち、加圧刺激の制御に用いられる。
【0065】この場合、圧力チャンバ60には加圧水6
5が充填されており、加圧ピストン116から加えられ
る圧力は、加圧水65を通じて受圧膜64に全面的に作
用し、その圧力が受圧膜64から培養液3を通して細胞
5や組織に均等に静水圧を作用させることができ、スト
レイン(変位)も同様に均等に作用させることができ
る。しかも、加圧ピストン116の移動量の制御で圧力
変化量のダイナミックレンジを大きくでき、小さい値か
ら大きな値まできめ細かい制御が可能である。そして、
加圧ピストン116の移動は位置センサ123によって
検出されて制御装置40によって監視され、その移動量
が限界位置に到達した場合には、培養装置1の異常とし
て制御装置40から警報出力が発せられ、制御装置40
に接続されている表示手段(図5の表示装置232等)
に警告表示を行い、又は、電話等の通信回線を通じて管
理者に告知することができる。
【0066】また、培養チャンバ20に連続的又は間欠
的に培養液3を送る送液装置12は、出入側に送出側逆
流防止弁124、吸引側逆流防止弁126を有する送液
チャンバ128を備え、培養庫42にネジ130によっ
て取外し可能に取り付けられている。送液チャンバ12
8には送液ピストン132が進退自在に取り付けられ、
この送液ピストン132の中途部には殺菌液溜134が
設けられるとともに、加圧用スプリング136が取り付
けられている。送液ピストン132と送液チャンバ12
8の本体部との間には封止手段であるOリング133、
135が設けられている。殺菌液溜134には、殺菌
剤、消毒液又はペニシリン等の抗生物質が充填され、外
部からの菌体や異物の侵入を阻止している。加圧用スプ
リング136は、防護筒137内に収容されている。
【0067】送液ピストン132の後端部には駆動手段
としてアクチュエータ138及びモータ140が取り付
けられている。モータ140は例えば、ステッピングモ
ータで構成され、このモータ140の回転がアクチュエ
ータ138によって進退動に変換されて加圧用スプリン
グ136に加えられ、送液ピストン132の進退に応じ
て送液チャンバ128内の圧力が増減し、その圧力変化
が各逆流防止弁124、126の弁体142、144に
加えられる。送液ピストン132が送液チャンバ128
から引き出されると、送液ピストン132の引出し分だ
け送液チャンバ128内が負圧になって弁体142はス
プリング143の復元力によって引き下げられて送出側
逆流防止弁124が閉じるとともに、弁体144がスプ
リング145の加圧力に逆らって引き上げられて吸引側
逆流防止弁126が開くことにより、送液チャンバ12
8内に培養液3が吸い込まれる。また、送液ピストン1
32が送液チャンバ128内に進入すると、送液チャン
バ128内が加圧されて弁体144が下降して吸引側逆
流防止弁126が閉じ、弁体142が上昇して送出側逆
流防止弁124が開くので、送液チャンバ128内の培
養液3が培養チャンバ20側に送り出される。
【0068】また、培養液3の圧力緩衝装置18は圧力
逃し弁26を備えており、圧力逃し弁26は培養庫42
にネジ146によって取外し可能に取り付けられてい
る。この圧力逃し弁26は、弁室148に進退して開閉
可能な弁体150が取り付けられ、この弁体150のプ
ランジャ152の中途部には殺菌液溜153が設けられ
ている。プランジャ152と弁室148の本体部との間
には封止手段であるOリング155、157が設けられ
ている。殺菌液溜153には、殺菌剤、消毒液又はペニ
シリン等の抗生物質が充填され、外部からの菌体や異物
の侵入を阻止している。また、弁体150のプランジャ
152の後端部には緩衝スプリング154を介して駆動
手段としてのアクチュエータ156及びモータ158が
取り付けられている。モータ158は例えば、ステッピ
ングモータで構成され、このモータ158の回転がアク
チュエータ156によって進退動に変換されて緩衝スプ
リング154に加えられ、弁体150を開く動作圧は緩
衝スプリング154の圧縮度に応じて調整される。即
ち、緩衝スプリング154の圧縮度が高いとき、弁体1
50を開くために必要な培養液3からの圧力が高くな
り、また、緩衝スプリング154の圧縮度が低いとき、
弁体150を開くために必要な培養液3からの圧力が低
くなる。このような圧力緩衝装置18を設けるのは、培
養チャンバ20の培養液3に加えられる加圧力を培養回
路ユニット4側で緩衝するためである。
【0069】この圧力逃し弁26の弁室148と培養液
バッグ48とを連結するチューブ50Dにはピンチバル
ブ162とともに吸引チューブ164が分岐して設けら
れ、この吸引チューブ164にはピンチバルブ166、
逆流防止弁168及び培養液溜170が設けられてお
り、培養液溜170は吸引チューブ165を通じて回収
管路102に連結されている。ピンチバルブ162はチ
ューブ50Dを開閉し、また、ピンチバルブ166は吸
引チューブ164の開閉に用いられる。逆流防止弁16
8は、弁体169をスプリング171の加圧力によって
閉止させており、培養液3の圧力がスプリング171の
加圧力を越えるとき、培養液3が吸引チューブ164を
通して培養液溜170側に流れる。ピンチバルブ166
は逆流防止弁168とは無関係にその操作によって吸引
チューブ164を閉止でき、その閉止によって培養液3
の通流を阻止することができる。また、ピンチバルブ1
66が開いているとき、培養液溜170は密閉容器であ
るから、封止弁104を閉じ、循環ポンプ106を駆動
すると、培養液溜170内が減圧されるので、スプリン
グ171の加圧力に対抗して弁体169を移動させ、逆
流防止弁168を開くことができ、このとき、培養液3
を培養液溜170側に引き込むことができる。
【0070】また、培養庫42にはガス混合・濃度調節
装置36としてN2 ガスボンベ172、O2 ガスボンベ
174、CO2 ガスボンベ176がそれぞれ管路17
8、180、182を通して連結され、各管路178、
180、182にはガス開閉バルブ184、186、1
88、流量調節弁190、192、194、フローメー
タ196、198、200、圧力調整器202、20
4、206及びバルブ208、210、212が設置さ
れている。即ち、ガス開閉バルブ184〜188を選択
的に開閉することにより、N2 、O2 又はCO2 の1又
は2以上が供給されて混合される。
【0071】また、培養庫42には加湿手段である湿度
調節装置32として加湿用水214を溜める加湿用水受
皿216及び攪拌用ファン218が設置されるととも
に、加熱手段である温度調節装置34として気体加熱用
ヒータ220、庫内温度センサ222及び攪拌用ファン
218が設置されている。攪拌用ファン218は、ファ
ンモータ224によって駆動される。
【0072】なお、培養装置1の異常発生時、警告を発
することを言及しているが、管理者が必要な処置を行う
まで、異常の種別に関係なく培養中の細胞5や組織を保
存するため、制御装置40は、培養庫42内の保温制
御、ガス濃度の制御、送液運転を継続する。このような
継続運転は、所定の培養時間が到来しても、また、正常
に運転が終了した場合にも、培養庫42内の保温制御、
ガス濃度の制御、送液運転を同様に継続させる。
【0073】次に、図5は、操作装置38及び制御装置
40の構成例を示している。操作装置38及び制御装置
40は、パーソナルコンピュータ等で構成された主制御
装置230を備えている。主制御装置230にはディス
プレイ、液晶等の表示装置232、ハードディスク、光
ディスク、フロッピィディスク、ICカード等の外部記
憶装置234、キーボードの入力装置236が接続され
ている。入力装置236は、操作装置38の一部又は全
部を構成する。
【0074】主制御装置230には、温度検出回路23
8を通じて温度センサ110の検出出力、温度検出回路
240を通じて庫内温度センサ222の検出出力、圧力
検出回路242を通じて圧力センサ112の検出出力、
位置センサ123の検出出力及び検知スイッチ54の検
知出力が加えられ、モータ122の駆動出力が駆動回路
244、モータ140の駆動出力が駆動回路246、モ
ータ158の駆動出力が駆動回路248、ヒータ108
の駆動出力が駆動回路250、バルブ184、186及
びバルブ188の駆動出力が駆動回路252、ファンモ
ータ224の駆動出力が駆動回路254、ヒータ220
の駆動出力が駆動回路256から得られるとともに、音
波発生装置114の駆動出力が得られる。
【0075】次に、本発明に係る細胞又は組織の培養に
ついて、図6に示す動作フローチャートを参照して説明
する。
【0076】ステップS1は初期設定モードである。こ
の初期設定モードは、培養回路ユニット4の装着後に、
圧力チャンバ60内に加圧水65を満たし、培養回路ユ
ニット4内に培養液3を満たす工程と、設定入力された
圧力値に相当する培養加圧装置8の圧力印加装置16、
圧力緩衝装置18の動作量をサンプリングして記憶保持
する工程を含む。培養回路ユニット4及び受圧膜64を
構成する材質の伸び率が異なり、かつ圧力チャンバ60
内に残留する気泡等によって設定圧力を得るための動作
量が異なる。そこで、初期設定モードでは、これらの設
定値を修正する。
【0077】培養回路ユニット4が装着されると、ガス
混合・濃度調節装置36、湿度調節装置32及び温度調
節装置34を動作させ、培養庫42の内部にガスを充填
するとともに適湿及び適温に制御する。そして、給水バ
ルブ92を開いて加圧水槽68に上水等からなる加圧水
65を設定水位まで補充し、バイパス弁82、封止弁8
4、104を開き、ポンプ80を動作させて圧力チャン
バ60内に加圧水65を供給する。圧力チャンバ60へ
の加圧水65の供給量は流水センサ70で検出され、所
定量の加圧水65が検出されたとき、ポンプ80を停止
し、循環ポンプ106による循環動作に切り換える。
【0078】循環動作では、バイパス弁82を閉じてバ
イパス管路88への流路に切り換える。このとき、オリ
フィス86によって加圧水65の通流量が制限され、循
環ポンプ106の吸引力によって圧力チャンバ60内が
負圧となり、圧力チャンバ60内に残留する気泡が加圧
水槽68側に排出される。このとき、ピンチバルブ16
2を閉じ、ピンチバルブ166を開いて、循環ポンプ1
06によって生じる負圧により培養液バッグ48内の培
養液3をチューブ50E、50A、50Bを通して培養
チャンバ20に充填する。循環ポンプ106を所定時間
動作させて培養液3を培養チャンバ20に充填させた
後、ピンチバルブ166を閉じ、ピンチバルブ162と
バイパス弁82を開き、循環流による負圧を解除し、か
つ循環ポンプ106を停止させる。続いて封止弁84、
104を閉じた後、ヒータ108により圧力チャンバ6
0内の加圧水65を加熱し、その温度を温度センサ11
0で検出することにより、温度制御を開始する。
【0079】次に、圧力緩衝装置18のモータ158を
動作させ、圧力逃し弁26を閉じ、チューブ50Cを一
定圧で閉塞させる。モータ122を動作させて予め設定
した最大圧力Pmaxが検出されるまで圧力印加装置1
6を動作させる。最大圧力Pmaxが検出されたとき、
モータ122のパルスカウントを主制御装置230のメ
モリに記憶する。次に、圧力緩衝装置18のモータ15
8を現在の圧力値が低下するまで回転させ、この圧力値
を最大圧力Pmaxの位置としてモータ158のパルス
カウントを主制御装置230のメモリに記憶する。
【0080】次に、圧力印加装置16のモータ122を
予め設定した最小圧力Pminが検出されるまで回転さ
せる。最小圧力Pminが検出されたとき、モータ12
2のパルスカウントを主制御装置230のメモリに記憶
する。次に、圧力緩衝装置18のモータ158を回転さ
せ、最小圧力Pminより減少を開始する位置にてモー
タ158を停止し、そのとき、このモータ158のパル
スカウント値を主制御装置230のメモリに記憶する。
【0081】次に、この初期設定モードの後、ステップ
S2に移行し、圧力可変培養モードか否かを判定する。
即ち、圧力を周期的に変更して培養を行うか否かが判定
され、圧力可変を行うときはステップS3の圧力可変培
養モードに移行し、また、一定圧力で培養するときはス
テップS7の固定圧力培養モードに移行する。
【0082】ステップS3の圧力可変培養モードでは、
周期T毎に加圧、圧力保持、減圧、圧力保持を繰り返し
て培養チャンバ20の細胞5を加圧刺激し、かつ培養液
3の送液を行う。
【0083】ステップS4では、圧力印加装置16、圧
力緩衝装置18の動作による圧力とPmax、Pmin
との誤差が所定値以上か否かが判定される。所定値以上
の誤差が生じたとき、ステップS5に移行して最大圧力
Pmax、最小圧力Pminの各値と一致する圧力印加
装置16、圧力緩衝装置18の移動量をサンプリングし
て主制御装置230のメモリの記憶値を修正する。
【0084】次に、ステップS6では、所定の培養時間
tが経過するまでステップS3〜ステップS6を繰り返
し、所定の培養時間tが経過したとき、培養終了とし、
ステップS11に移行する。
【0085】また、ステップS7の固定圧力培養モード
では一定の圧力によって細胞5又は組織を刺激し、かつ
培養液3の送液を行う。即ち、ステップS8では圧力印
加装置16、圧力緩衝装置18の動作による圧力と設定
圧力Psとの誤差が所定値以上か否かが判定される。所
定値以上の誤差が生じたとき、ステップS9に移行して
設定圧力Psと一致する圧力印加装置16、圧力緩衝装
置18の移動量をサンプリングして主制御装置230の
メモリの記憶値を修正する。そして、ステップS10で
は、所定の培養時間tが経過したとき、培養終了とし、
ステップS11に移行する。
【0086】次に、ステップS11では生体細胞保存運
転モードを実行する。細胞5又は組織の培養が完了、即
ち、組織が生成されても、移植のための移送を開始する
までの間、その細胞5ないし組織を健全に保存する必要
がある。生体細胞保存運転モードでは、細胞5を所定温
度に維持しつつ、培養液3を供給して生体細胞を健全な
状態に保持する。
【0087】次に、ステップS12では生体細胞を移植
か否か、即ち、細胞5からなる組織の移植のために運転
停止命令が入力されたか否かを判定し、運転停止命令に
より培養液3の循環と温度制御を停止する。培養回路ユ
ニット4を脱離させ、細胞5ないし組織は培養回路ユニ
ット4とともに移送される。
【0088】次に、図7、図8及び図9は、初期設定モ
ードにおける設定入力動作を示し、符号a、b、c、d
及びeは、分割して記載したフローチャートの結合子で
あって、符号a〜eの一致は結合部である。
【0089】ステップS21では培養チャンバ20を周
期的な加圧下での培養か、又は一定圧力下での培養かを
入力する。ステップS22において、圧力を周期的に可
変させるとき、ステップS24に移行して「圧力可変」
を表示する。また、一定圧力下で培養を行うとき、ステ
ップS23に移行して「圧力一定」を表示する。
【0090】ステップS25では、圧力を可変させる周
期Tを入力する。ステップS26では入力された周期T
が実行可能な範囲内であるか否かを判定し、実行範囲外
のときはステップS27に移行して「周期Tの再入力」
を表示して告知し、ステップS25に移行して再入力を
行う。実行範囲内であれば、ステップS28に移行して
設定した「周期T」の表示と、主制御装置230のメモ
リへの記憶が行われる。
【0091】ステップS29では最大圧力Pmaxの保
持時間t1 を入力する。ステップS30では入力された
時間t1 が周期Tの動作範囲内にあるか否かを判定す
る。動作範囲外であればステップS31に移行して「t
1 の再入力」の表示により告知し、ステップS29に移
行して再入力を行う。動作範囲内であればステップS3
2に移行して「最大圧保持時間t1 」の表示と主制御装
置230のメモリへの記憶が行われる。
【0092】ステップS33では最小圧力Pminの保
持時間t2 を入力する。ステップS34では入力された
時間t2 が周期Tの動作範囲内にあるか否かを判定す
る。動作範囲外であればステップS35に移行し「t2
の再入力」を表示し、ステップS33に移行して再入力
を行う。動作範囲内であればステップS36に移行して
「最小圧保持時間t2 」の表示と、主制御装置230の
メモリへの記憶を行う。
【0093】ステップS37では入力された周期Tと時
間(t1 +t2 )の差時間を2分して加圧、減圧時間t
3 を演算する。ステップS38では時間t3 が動作範囲
内にあるか否かを判定する。動作範囲外にあるとき、周
期T、時間t1 、t2 の値が適切なものでないと判断
し、ステップS25に戻る。時間t3 が動作範囲内にあ
るとき、演算された時間t3 を主制御装置230のメモ
リに格納し、ステップS39において「加圧、減圧時間
3 」を表示する。ステップS40では加圧、減圧時に
緩急の変化を付けるか否かの入力を行う。ステップS4
1において緩急を付けるときにはステップS42に移行
し、緩急を付けないときはステップS46に移行する。
ステップS42では加圧、減圧時に緩急を付けるための
変化量の入力が行われる。ステップS43では入力され
た変化量が動作可能か否かを判定する。動作不能のとき
はステップS44に移行し「加圧、減圧変化量の再入
力」を表示してステップS42に移行して再入力を行
う。また、動作可能であればステップS45に移行して
「加圧、減圧量」の表示と、主制御装置230のメモリ
への記憶とを行う。このとき、圧力変位のシュミレーシ
ョン画面を表示させても良い。
【0094】ステップS46では最小圧力Pminを入
力する。ステップS47では圧力印加装置16が実行可
能な範囲内にあるか否かを判定する。実行範囲外であれ
ばステップS48に移行し「最小圧力Pminの再入
力」を表示し、ステップS46で再入力が行われる。ま
た、実行範囲内であればステップS49に移行し「最小
圧力Pmin」の表示と、主制御装置230のメモリへ
の記憶を行う。
【0095】ステップS50では最大圧力Pmaxを入
力し、ステップS51では圧力印加装置16が実行可能
な範囲内にあるか否かを判定する。実行範囲外であれば
ステップS52に移行し「最大圧力Pmaxの再入力」
を表示し、ステップS50で再入力が行われる。また、
実行範囲内であればステップS53に移行し「最大圧力
Pmax」の表示と、主制御装置230のメモリへの記
憶を行う。
【0096】ステップS54では圧力チャンバ60の制
御温度ctが入力される。ステップS55では実行可能
な範囲内にあるか否かが判定される。実行範囲外であれ
ばステップS56に移行し「温度ctの再入力」を表示
し、ステップS54で再入力を行う。また、実行範囲内
であればステップS57に移行し「温度ct」の表示と
主制御装置230のメモリへの記憶を行う。
【0097】ステップS58では培養回路ユニット4の
培養液3の循環流量fを入力する。ステップS59では
実行可能な範囲内にあるか否かが判定される。実行範囲
外であればステップS60に移行し、「循環流量fの再
入力」を表示して告知し、ステップS58で再入力を行
う。また、実行範囲内であればステップS61に移行し
「循環流量f」の表示と、主制御装置230のメモリへ
の記憶を行う。
【0098】ステップS62では運転時間の入力を行
う。ステップS63では「運転時間」の表示と、主制御
装置230のメモリへの記憶を行う。
【0099】ここで、圧力印加装置16における加圧ピ
ストン116と細胞5或いは組織に加えられる圧力との
関係を説明すると、加圧ピストン116の断面積をA
(cm2 )、圧力をP(kg/cm2 )、力をF(kgf )とす
ると、力Fは、F=P×Aとなり、加圧用スプリング1
18のバネ定数をK( kgf/mm)、そのバネ収縮量をL
2 (mm)とすると、力Fは、F=K×L2 であるから、 K×L2 =P×A L2 =(P×A)/K ・・・(1) となる。即ち、加圧ピストン116が移動するとき、加
圧用スプリング118の弾性力が加圧ピストン116に
作用し、加圧ピストン116は圧力チャンバ60内の加
圧水65を圧縮する。圧縮されることにより圧力チャン
バ60内は圧力が上昇し、圧力センサ112でその圧力
が検出される。この加圧ピストン116の変位、即ち、
移動量(mm)と圧力P(kg/cm2 )との関係は、例え
ば、図10のようになる。図10において、L1 はモー
タ122による移動量、L2 は加圧用スプリング118
の収縮量、L3 は加圧用スプリング118を用いない場
合の加圧ピストン116の移動量、L4 は混入している
空気の収縮による加圧ピストン116の移動量、L5
水の収縮による加圧ピストン116の移動量、L6 は培
養チャンバ20及び圧力チャンバ60の容器の変形によ
る加圧ピストン116の移動量を示している。L3 はL
4 、L5 、L6 の総和であり、L1 はL2 、L3 の総和
を表している。この圧力印加装置16による加圧ピスト
ン116の移動量と、圧力センサ112の圧力値の関係
を主制御装置230のメモリに格納する。
【0100】空気の収縮による加圧ピストン116の移
動量を説明すると、空気の容積(1気圧時)をV(c
m3 )、空気の容積(加圧時)をVa (cm3 )とし、1
×V=(Pa +1)×Va =一定とすると、空気の容積
Va は、Va =V/(Pa +1)となり、空気の収縮に
よる加圧ピストン116の移動量L4 (mm)は、 L4 =10×{(V−Va )/A} =[{V−V/(Pa +1)}/A]×10 ・・・(2) となる。
【0101】また、水及び培養液3の圧縮による加圧ピ
ストン116の移動量は以下のようになる。即ち、水及
び培養液3の体積をW(cm3 )、水の圧縮率(40°
C)を0.44×10-5( cm2/kg)とすると、水及び
培養液3の圧縮量ΔW(cm3 )は、ΔW=0.44×1
-5×P×Wとなり、水及び培養液3の圧縮による加圧
ピストン116の移動量L5 (mm)は、 L5 =ΔW/A×10 =10×{(0.44×10-5×P×W)/A} ・・・(3) となる。ここで、圧力容器22及び培養容器61の変形
によるみかけの収縮率をCt とすると、収縮量ΔWt
は、ΔWt =W×Ct であるから、容器の変形による加
圧ピストン116の移動量L6 は、 L6 =(ΔWt /A)×10=10×{(W×Ct )/A} ・・・(4) となる。したがって、加圧ピストン116の総移動量は
式(1)、(2)、(3)及び(4)を加算した値L1
となる。
【0102】また、圧力緩衝装置18側では、緩衝スプ
リング154に加える圧力を減らしていくと、培養チャ
ンバ20内の圧力が、圧力逃し弁26にかかる圧力に打
ち勝ち、圧力逃し弁26が開き、培養液3が圧力逃し弁
26を通過し、培養チャンバ20側の圧力が低下する。
緩衝スプリング154の加圧力と培養液3側の圧力が釣
り合ったところで落ち着く。圧力緩衝装置18の圧力逃
し弁26に加えられる力を説明すると、圧力逃し弁26
による閉塞面積をB(cm2 )、圧力をP(kg/cm2 )、
圧力Pと釣り合う力をF(kgf )とすると、F=P×B
となり、緩衝スプリング154のバネ定数をK( kgf/
mm)、緩衝スプリング154の縮み量をm(mm)とする
と、釣り合う力FはF=K×mとなり、緩衝スプリング
154の縮み量mはm=P×B/Kによって表される。
図11は、圧力逃し弁26側に加える圧力、即ち、アク
チュエータ156側の移動量(緩衝スプリング154の
縮み量)と圧力逃し弁26に作用する圧力、即ち、調整
圧力との関係を示す。図11において、m1 は単一の緩
衝スプリング154を用いた場合、m2 は緩衝スプリン
グ154に異なる2つのスプリングを用いた場合を示し
ている。
【0103】送液装置12の容積が小さいため、培養液
3の収縮や容器の変形、気体の収縮等はほとんど無視す
ることができる。そのため、送液ピストン132の送液
量V(ml)は送液ピストン132の断面積C(cm2 )、
移動量l(cm)とすると、V=C×lであるので、移動
量lはl=V/Cとなり、送液量に応じて移動量が決定
する。送液装置12の送液ピストン132の移動量が多
い場合は、送液ピストン132の移動後すぐに元の位置
に戻すが、培養液3の移動量が少ない場合は戻さず、次
の送液動作のときはその位置からさらに送液ピストン1
32を移動させ、移動不可能な位置まで移動したら元の
位置に戻す。このとき、設定の降下圧力の許容値より高
くなった場合は運転前に記憶した圧力逃し弁26のアク
チュエータ156の移動量と圧力の関係のデータをこの
値を元に補正する必要がある。
【0104】次に、図12は、図6のステップS3で実
行される圧力可変培養モードの実行形態を表している。
即ち、図12は、培養チャンバ20に印加される圧力状
態と加圧タイミングを表すタイミングチャートであっ
て、(a)は培養チャンバ20の圧力推移、(b)は圧
力緩衝装置18の動作タイミング、(c)は圧力印加装
置16の加圧タイミング、(d)は培養液供給装置6の
送液タイミングを示している。
【0105】培養チャンバ20は周期Tで最大圧力Pm
axと最小圧力Pminの間で加圧、減圧が繰り返され
る。t1 は最大圧力Pmaxを保持する時間であり、t
2 は最小圧力Pminを保持する時間である。また、t
3 は加圧、減圧時の動作時間である。これら最大圧力P
max、最小圧力Pmin、時間t1 、t2 、t3 は生
体内の外部培養させる部位に応じて任意に変更すること
ができる。また、培養すべき細胞5における生体の年
齢、性別、身長、体重、生体内の部位等のデータによっ
て適切な数値を選択して加圧、減圧を行うこともでき
る。
【0106】圧力緩衝装置18は加圧を開始する前に時
間t5 で最大速力にて最大圧力Pmaxを得られる位置
まで動作させてチューブ50Cを閉塞する。その後、t
4 の遅延時間を経て圧力印加装置16の動作を開始し、
時間t3 に相当する速度で最小圧力Pminから最大圧
力Pmaxまで加圧を行う。
【0107】最大圧力Pmaxの時間t1 で保持した
後、圧力印加装置16が再び動作し、時間t3 に相当す
る速度で最大圧力Pmaxから最小圧力Pminまで減
圧を開始する。圧力印加装置16が動作してから時間t
6 だけ遅延して圧力緩衝装置18が時間t7 だけ動作し
て、チューブ50Cの閉塞力を解除する。
【0108】また、圧力制御を開始したとき、圧力0付
近から最大圧力Pmaxまで増加させる。このとき、圧
力緩衝装置18は最大速度で閉塞位置まで移動し、時間
9 経過後に圧力印加装置16を動作させ、時間t3
相当する速度で最大圧力Pmaxに到達するまでの時間
8 の間加圧を行う。
【0109】最小圧力Pminに保持されてから時間t
11の経過後に培養液供給装置6が時間t12だけ動作して
培養液3を培養チャンバ20に送出する。時間t12を変
更することにより送液量を任意に設定することができ
る。送液後、時間t13だけ経過後に時間t12とほぼ等し
い時間t14の間、送液ピストン132を後退させる。な
お、この例では最小圧力Pminの保持時間t2 で送液
を行ったが、最大圧力Pmaxの保持時間t1 又は加
圧、減圧時間t3 で送液を行っても良い。
【0110】次に、図13は、図6のステップS3で実
行される圧力可変培養モードの他の実行形態を表してい
る。即ち、図13は、培養チャンバ20に印加される圧
力状態と加圧タイミングを表すタイミングチャートであ
って、(a)は培養チャンバ20の圧力推移、(b)は
圧力緩衝装置18の動作タイミング、(c)は圧力印加
装置16の加圧タイミング、(d)は培養液供給装置6
の送液タイミング、即ち、培養チャンバ20に印加する
圧力パターンの変形例を示す。
【0111】この例では、加圧、減圧時間t3 に、加圧
速度、減圧速度を2次関数的に変動させて緩急を付けた
圧力印加パターンを送出させたものであり、圧力変動に
緩急を付けることにより、例えば歩行時の膝の軟骨にか
かる圧力パターンを再現することができる。この場合、
圧力印加装置16は時間t15、t16、t17に示されるよ
うに動作速度が変更され、時間t3 において加圧力に緩
急が加えられる。その他の動作は、図12の動作と同様
であるので、その説明を省略する。
【0112】次に、図14ないし図21は、本発明の細
胞又は組織の培養装置の第2の実施形態を示し、図14
は培養装置の正面側配置、図15は培養装置の側面側配
置、図16は培養装置の要部、図17は培養回路ユニッ
ト4、図18は培養回路ユニット4を除いた培養装置の
要部、図19は圧力印加装置16、図20は培養液供給
装置6、図21は圧力緩衝装置18を示している。第1
の実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0113】この培養装置は単一のハウジング260を
以て構成され、ハウジング260は培養室262、機械
室264及び制御・電源室266に区画されている。培
養室262の内部には培養庫42が収容されており、培
養庫42内の構成は第1の実施形態と同様であるが、異
なる点は、培養液供給装置6、圧力印加装置16及び圧
力緩衝装置18等が単一の処理部268で構成されてい
る。
【0114】培養室262及び機械室264には独立し
て開閉されるドア270、272が設けられ、機械室2
64には培養液供給装置6、圧力印加装置16及び圧力
緩衝装置18の機構部分とともに加圧水槽68等が収容
されており、各アクチュエータ120、138、156
は、図15に示すように、共通の取付板269で機械室
264の背面側に支持されている。機械室264の壁面
には、給水口274、排水口276が設けられている。
制御・電源室266には制御装置40及び電源装置が収
容されており、その前面パネル側に表示装置232とと
もに電源スイッチ278が設置されている。
【0115】次に、図16に示すように、培養室262
には培養庫42が収容されており、培養庫42には培養
回路ユニット4及び処理部268が収容されている。処
理部268には、図17及び図18に示すように、培養
回路ユニット4側の処理ユニット280が着脱可能に構
成されている。
【0116】次に、図19は、培養チャンバ20を構成
する培養容器61、圧力容器22を含む圧力印加装置1
6を示している。この場合、圧力印加装置16のアクチ
ュエータ120は、ハウジング282にボールスクリュ
284を取り付け、このボールスクリュ284の後端部
にモータ122をカップリングジョイント286で結合
したものである。ボールスクリュ284には回転によっ
て前後動する移動ベッド288が設けられ、この移動ベ
ッド288とボールスクリュ284の前端部側に設けら
れた支持フランジ290との間に重合させた2つの加圧
用スプリング118A、118Bが設置されている。即
ち、加圧用スプリング118A、118Bは、ボールス
クリュ284の回転に応じて移動する移動べッド288
により圧縮状態が変化し、各加圧用スプリング118
A、118Bの弾性特性が加圧ピストン116側に作用
する。ボールスクリュ284に代えてベルトやカム等で
アクチュエータ120を構成しても良い。
【0117】次に、図20は、培養液供給装置6を示し
ている。アクチュエータ138は、ハウジング291に
ボールスクリュ292を取り付け、このボールスクリュ
292の後端部にモータ140をカップリングジョイン
ト294で結合したものである。ボールスクリュ292
には回転によって前後動する移動ベッド296が設けら
れ、この移動ベッド296に取り付けられたピストン押
板298の前面部には送液ピストン132の後端部が接
触している。即ち、モータ140によるボールスクリュ
292の回転に応じて移動する移動べッド296が前進
することにより、加圧用スプリング136が圧縮される
と、送液ピストン132が前進し、移動べッド296が
後進することにより、加圧用スプリング136の圧縮が
解かれ、加圧用スプリング136の復帰力によって送液
ピストン132が後退する。送液ピストン132の進退
によって培養液3を送り出すことができる。
【0118】次に、図21は、圧力緩衝装置18を示し
ている。アクチュエータ156は、ハウジング300に
ボールスクリュ302を取り付け、このボールスクリュ
302の後端部にモータ158をカップリングジョイン
ト304で結合したものである。ボールスクリュ302
には回転によって前後動する移動ベッド306が設けら
れ、この移動ベッド306には重合させた緩衝スプリン
グ154A、154Bを介してプランジャ押板308が
取り付けられ、このプランジャ押板308の前面部には
圧力逃し弁26のプランジャ152の後端部が接触して
いる。即ち、モータ158によるボールスクリュ302
の回転に応じて移動する移動べッド306が前進するこ
とにより、緩衝スプリング154A、154Bとともに
プランジャ押板308を前進させ、緩衝スプリング15
4A、154Bの圧縮状態が変化する。即ち、弁体15
0が圧縮状態にある緩衝スプリング154A、154B
を介して押し付けられ、圧力逃し弁26が閉塞状態に保
持される。この保持状態は、ボールスクリュ302の回
転と、それに伴う緩衝スプリング154A、154Bの
圧縮状態によって変化する。
【0119】次に、図22は、培養液供給装置6の変形
例を示している。図2、図3及び図14に示す培養液供
給装置6では、送液ピストン132に加圧用スプリング
136を設置したが、加圧用スプリング136を除き、
アクチュエータ138のボールスクリュ292で移動す
る移動ベッド296に連結シャフト310を取り付け、
この連結シャフト310の先端に送液ピストン132の
後端部を固定ピン312等の固定手段を以て連結するよ
うにしても良い。このように構成しても、ボールスクリ
ュ292の正逆転によって送液ピストン132を進退さ
せることができる。
【0120】次に、図23は、本発明の細胞又は組織の
培養装置の第3の実施形態を示している。この実施形態
では、圧力印加装置16の圧力容器22で形成される圧
力チャンバ60の内部に図示しないコンプレッサから矢
印Prで示すように、加圧空気を圧力調整器314、昇
圧バルブ316及びニードルバルブ318を備えた管路
67を通して作用させ、圧力チャンバ60内の加圧空気
をニードルバルブ320及び降圧バルブ322を備えた
回収管路102を通して排出させ、チューブ50D側に
弁11(図1)又はピンチバルブ162(図2)に代え
て、アクチュエータ321の回転によって開閉されるバ
ルブ323を設けても良い。バルブ323を間欠的に閉
塞させる動作と、加圧空気を作用させて受圧膜64を加
圧する動作とを併用することにより、細胞5に加圧刺激
を加えることができる。この場合、加圧刺激に変化を付
与するには、昇圧バルブ316及び降圧バルブ322の
開閉制御によって行うことができる。このような空気を
用いた場合には、低圧では単位移動量あたりの圧力変化
量を小さく、また、高圧では単位移動量あたりの圧力変
化量を大きくできるとともに、細胞又は組織に圧力を印
加する際、モータやアクチュエータ等から発生する不要
な振動の吸収が可能となり、細胞又は組織に対する加圧
刺激の精度を高めることができる。
【0121】次に、図24及び図25は、本発明の細胞
又は組織の培養装置の第4の実施形態を示している。培
養すべき細胞5はコラーゲン等から成形された足場7に
移植されており、足場7毎に培養チャンバ20に格納さ
れる。培養チャンバ20には培養液3が培養液槽49か
ら培養回路ユニット4を通して供給される。培養回路ユ
ニット4は、閉回路を構成しており、この培養回路ユニ
ット4には、送液装置12としてのポンプ324、圧力
センサ326及び圧力緩衝装置18が設けられている。
圧力センサ326の検出圧力は圧力制御器328に加え
られ、その検出圧力に応じた制御出力が圧力制御器32
8からポンプ324に加えられている。即ち、培養液3
の圧力Pが一定に制御されている。
【0122】また、圧力緩衝装置18は、培養回路ユニ
ット4の一部に挿入された圧力逃し弁26の弁体150
のプランジャ152に緩衝スプリング154を介在して
アクチュエータ156を取り付け、このアクチュエータ
156にモータ158を連結したものである。モータ1
58の回転、即ち、正転、逆転、停止及び回転速度が制
御装置40によって制御される。即ち、モータ158の
回転がボールスクリュ302に伝達され、ボールスクリ
ュ302の回転によって移動ベッド306がその回転方
向に応じて前後に移動する。この移動は、緩衝スプリン
グ154を介して弁体150のプランジャ152に伝達
されるので、弁体150の閉止力が移動ベッド306の
位置及び緩衝スプリング154の圧縮力によって設定さ
れる。ポンプ324による培養液3の圧力が弁体150
の閉止力に打ち勝つとき、弁体150が開かれ、圧力逃
し弁26を培養液3が通過する。
【0123】そして、培養液槽49には、酸素又は二酸
化炭素等のガスを取り入れる空気管路330が設けら
れ、空気管路330には雑菌、異物等の侵入を防止する
フィルタ332が設けられている。即ち、空気管路33
0から取り入れられた酸素又は二酸化炭素は培養液3と
ともに培養チャンバ20の細胞5に伝達される。
【0124】このような構成によれば、ポンプ324を
駆動することにより、培養液3が培養回路ユニット4に
供給されて培養チャンバ20に通流し、細胞5に必要な
養分と酸素又は二酸化炭素等のガスを供給する。圧力緩
衝装置18を駆動することにより培養回路ユニット4が
閉塞され、ポンプ324から培養液3に加えられる圧力
によって培養チャンバ20内の圧力が上昇する。圧力緩
衝装置18の緩衝力、即ち、弁体150の閉止力の調整
によって、ポンプ324から加えられた圧力と平衡する
任意の圧力値を得ることができる。
【0125】図25はこの加圧動作を示している。圧力
緩衝装置18を周期的に動作させることにより、最大圧
力Pmaxと最小圧力Pminを交互に細胞5に付与す
ることができる。即ち、細胞5には最大圧力Pmaxが
時間t1 、最小圧力Pminが時間t2 、また、昇圧時
間t3 及び降圧時間t3 が設定され、生体と同様に培養
液3の圧力循環が得られ、生体と同等の成長環境が実現
される。そして、圧力緩衝装置18の動作速度を制御す
ることにより、時間t1 、t2 、t3 を任意に調整で
き、培養する細胞5の特性や生体部位に応じた最適状態
を実現することができる。
【0126】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次の効果が得られる。 a 生体内環境を模倣した環境下で汚染されることなく
効率良く培養することができ、体内組織に近い、しか
も、体内組織と融合し易い細胞又は組織を培養すること
ができる。 b 生体の細胞又は組織を特定の培養位置に保持し、生
体を模倣した環境下に設定して培養液を連続的又は断続
的に供給し、連続、間欠又は周期的に変化する圧力を加
えることにより、修復すべき生体の部位に対応した理想
的かつ実用的な組織、即ち、体内組織に近く、体内組織
と融合し易い組織の培養を実現することができる。 c 培養すべき細胞又は組織を培養液中に浮遊又は非浮
遊の状態で保持し、極めて安定した状態で効率的な培養
を行うことができる。 d 細胞又は組織を培養液中に浮遊状態でハイドロジェ
ル、又は足場によって保持するので、細胞又は組織の培
養を促進することができる。 e 培養液を培養すべき細胞又は組織に応じた、例え
ば、各種アミノ酸、糖類、塩類又はタンパク質の1つ又
はこれらから選択された2以上の物質又は全てを含んで
構成したものを用いるので、効率的な培養や品質の良い
細胞又は組織を培養することができる。 f 培養環境を生体の部位の生理的条件、又はこの生理
的条件に加えて年齢、身長、体重、性別、その他の生体
毎の固有情報に応じて設定するので、体内組織と融合し
易い細胞又は組織を培養することができる。 g 窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスの供給及び制
御、温度又は湿度の設定及び制御により生体環境を設定
するので、生体に近い環境制御を実現でき、体内組織に
近い、しかも、体内組織と融合し易い細胞又は組織の培
養に寄与することができる。 h 修復すべき生体の部位に対応して圧力を加えること
により、理想的かつ実用的な細胞又は組織を形成するこ
とができる。 i 圧力のパターンを連続、間欠又は周期的に変化する
形態とし、それを選択し、又は組み合わせることによ
り、理想的な物理的刺激を実現することができ、細胞の
代謝機能や分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に
影響を与え、培養の促進を図ることができる。 j 培養回路は、培養すべき細胞又は組織を培養チャン
バに収容して外気と遮断された細胞又は組織に必要な培
養液を供給するので、外気と遮断された細胞又は組織
は、菌体等の汚染から防護され、その結果、品質の良い
組織を培養することができる。また、細胞又は組織は、
培養液による静水圧と流れによる物理的刺激に加え、加
圧手段によって所望の圧力が付与されるので、細胞の代
謝機能、分裂サイクル、生物刺激の濃度勾配や分散に影
響を受け、細胞又は組織の培養を促進することができ
る。また、細胞又は組織への培養液の供給形態は培養液
供給手段によって任意に設定され、間欠的又は連続的に
供給することができるので、バリエーションのある物理
的刺激によって培養の促進を図ることができる。 k 加圧手段又は培養液供給手段は、任意に制御するこ
とができ、コンピュータ等の制御手段を用いることによ
り、フィードバック制御やフィードフォワード制御等の
各種のプログラム制御を行うことにより、生体環境を模
倣するとともに、所望の環境を設定でき、効率の良い培
養を行うことができる。 l 圧力の加え方、即ち、圧力パターンは培養すべき細
胞又は組織に対応して設定することにより、より効率的
な培養を行うことができる。 m 圧力パターンはあらゆる形態に設定でき、その選択
及び組合せを以て効率的に細胞又は組織の培養を行うこ
とができる。 n 培養した細胞又は組織を収容する培養チャンバを備
える培養ユニットは、培養装置本体と独立して分離、着
脱可能であるので、外気と分離された培養ユニットとと
もに細胞又は組織を移動させることができ、移動中に菌
体等による汚染から細胞又は組織を防護でき、生体の修
復等の信頼性を高めることができる。 o 培養空間である密閉空間が外気と遮断されることに
より、所望のガスの供給による培養環境の設定が可能に
なるとともに、外気による汚染から細胞又は組織を防護
することができる。 p 密閉空間に収容される培養回路に窒素、酸素又は二
酸化炭素等のガスを供給するとともに、培養回路に気体
吸収部を備えることにより、ガスを細胞又は組織に付与
することができ、ガスの供給及び制御によって生体環境
を模倣することができる。 q 密閉空間によって形成される培養空間に窒素、酸素
又は二酸化炭素等のガスを充填させることにより、生体
環境を模倣し、所望の培養空間を形成することができ
る。 r 培養回路に必要な培養液を供給又は循環させるため
の培養液槽を備え、しかも、外気と遮断された密閉空間
内に培養液槽を設置するので、培養液の汚染防止を図る
ことができる。 s 受圧膜の設置により、培養チャンバに収容されてい
る細胞又は組織に対し、外気と遮断した状態で加圧刺激
を与えることができるとともに、生体環境を模倣した刺
激等、所望の加圧刺激を実現できる。 t 培養回路の一部を加圧した場合、その圧力調整を圧
力緩衝手段で行えば、生体環境に近い物理的刺激を実現
することができ、細胞又は組織の培養の促進を図ること
ができる。 u 圧力の形成手段として、水圧、油圧又は空気圧の何
れを用いても所望の加圧刺激を実現でき、生体環境を精
度良く模倣することができる。 v 培養液供給手段を送液チャンバに取り込んだ培養液
を加圧して送り出す送液装置で構成すれば、培養回路に
効率良く培養液を供給又は循環させることができ、この
加圧量を制御することで所望の送液量を設定できる。 w 培養液に加えられる圧力を緩衝するので、理想的な
加圧刺激を細胞又は組織に付与することができ、例え
ば、圧力逃し弁を用いて、培養液の圧力を圧力逃し弁の
制御により、圧力逃し弁を開いて培養液の圧力を降下さ
せれば、培養液を汚染させることなく、理想的な圧力状
態に制御することができる。 x 培養回路が収容される密閉空間の温度及び湿度を制
御し、生体環境に合致する培養空間を形成することがで
きる。 y 生体は外界からの音響的刺激を受けており、音波発
生装置を併用することにより、生体環境を音響的に模倣
することができ、しかも、培養チャンバに培養すべき細
胞又は組織を注入する際に、超音波を併用して効率的か
つ、信頼性の高い注入を行うこともできる。 z 密閉空間に供給されるガス濃度を制御手段によって
制御することにより、生体環境を模倣することができ、
細胞又は組織の培養促進に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞又は組織の培養装置の第1の実施
形態を示すブロック図である。
【図2】細胞又は組織の培養装置を示す図である。
【図3】培養装置の培養回路ユニットの一部、培養液供
給装置、圧力印加装置及び圧力緩衝装置を拡大して示し
た図である。
【図4】培養装置と培養回路ユニットとの分離状態を示
す図である。
【図5】制御装置を示すブロック図である。
【図6】細胞又は組織の培養を示すフローチャートであ
る。
【図7】細胞又は組織の培養における初期設定を示すフ
ローチャートである。
【図8】細胞又は組織の培養における初期設定を示すフ
ローチャートである。
【図9】細胞又は組織の培養における初期設定を示すフ
ローチャートである。
【図10】圧力印加装置における加圧ピストンの変位、
移動量に対する圧力チャンバ内の圧力を示す図である。
【図11】圧力逃し弁におけるアクチュエータの変位に
対する弁の調整圧力を示す図である。
【図12】圧力可変培養モードの実行形態を示すタイミ
ングチャートである。
【図13】圧力可変培養モードの他の実行形態を示すタ
イミングチャートである。
【図14】本発明の細胞又は組織の培養装置の第2の実
施形態を示す図である。
【図15】図14の培養装置の側面側を示す図である。
【図16】培養装置本体の部分及び培養回路ユニットを
示す図である。
【図17】培養装置本体から分離した培養回路ユニット
を示す図である。
【図18】培養回路ユニットを外した培養装置本体の部
分を示す部分断面図である。
【図19】培養回路ユニットにおける圧力印加装置を示
す部分断面図である。
【図20】培養回路ユニットにおける培養液供給装置を
示す部分断面図である。
【図21】培養回路ユニットにおける圧力緩衝装置を示
す部分断面図である。
【図22】培養回路ユニットにおける培養液供給装置の
他の構成例を示す部分断面図である。
【図23】本発明の細胞又は組織の培養装置の第3の実
施形態を示す図である。
【図24】本発明の細胞又は組織の培養装置の第4の実
施形態を示す図である。
【図25】加圧制御を示す図である。
【図26】従来の細胞又は組織の培養を示す図である。
【図27】従来の他の細胞又は組織の培養を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 培養装置 2 密閉空間 3 培養液 4 培養回路ユニット(培養回路、培養ユニット) 5 細胞 6 培養液供給装置(培養液供給手段) 7 足場(保持手段) 8 培養加圧装置 9 培養液槽 10 気体吸収装置(気体吸収部) 12 送液装置 16 圧力印加装置(加圧手段) 18 圧力緩衝装置(圧力緩衝手段) 20 培養チャンバ(培養位置) 26 圧力逃し弁 32 湿度調節装置(加湿手段) 34 温度調節装置(加熱手段) 40 制御装置(制御手段) 42 培養庫 48 培養液バッグ(培養液槽) 49 培養液槽 50A〜50E チューブ 60 圧力チャンバ 64 受圧膜 114 音波発生装置 128 送液チャンバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 多佳雄 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木産 業株式会社内 (72)発明者 渡辺 節雄 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木産 業株式会社内 (72)発明者 高井 秀忠 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木産 業株式会社内 (72)発明者 木ノ内 伊吹 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木産 業株式会社内 (72)発明者 水野 秀一 アメリカ合衆国、マサチューセッツ州 02446 ブルックライン ロングウッドア ベニュー 60 アパートメント401 (72)発明者 ジュリー グロワッキー アメリカ合衆国、マサチューセッツ州 02130 ジャマイカプレイン パーキンス ストリート 76 Fターム(参考) 4B029 AA02 BB11 CC01 CC02 CC10 DA04 DF01 DF07

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスが供給され、かつ温度条件が設定さ
    れて生命維持に必要な環境に維持される密閉空間と、 この密閉空間に設置され、培養液が溜められる培養液槽
    と、 前記密閉空間に設置され、前記培養液が供給されて細胞
    又は組織を培養する培養チャンバと、 この培養チャンバと前記培養液槽とをチューブで連結し
    て構成され、前記培養液槽の培養液を前記培養チャンバ
    に連続的、間欠的又は周期的のうちの一つ、又はこれら
    の組合せの何れかにより循環させる培養回路と、 前記培養チャンバ内の培養液中に前記細胞又は前記組織
    を浮遊状態又は非浮遊状態で保持し、前記細胞又は前記
    組織の成長によりその細胞又は組織に吸収される保持手
    段と、 前記培養回路の前記培養チャンバの前段側に設置され、
    前記密閉空間内に供給されている前記ガスを透過させて
    前記培養チャンバの手前で前記培養液に吸収させる気体
    吸収部と、 を備えたことを特徴とする細胞又は組織の培養装置。
  2. 【請求項2】 ガスが供給され、かつ温度条件が設定さ
    れて生命維持に必要な環境に維持される密閉空間と、 この密閉空間に設置され、培養液が溜められる培養液槽
    と、 前記密閉空間に設置され、前記培養液が供給されて細胞
    又は組織を培養する培養チャンバと、 この培養チャンバと前記培養液槽とをチューブで連結し
    て構成され、前記培養液槽の培養液を前記培養チャンバ
    に連続的、間欠的又は周期的のうちの一つ、又はこれら
    の組合せの何れかにより循環させる培養回路と、 前記培養チャンバ内の培養液中に前記細胞又は前記組織
    を浮遊状態又は非浮遊状態で保持する保持手段と、 前記培養回路の前記培養チャンバの前段側に設置され、
    前記密閉空間内に供給されている前記ガスを透過させて
    前記培養液に吸収させる気体吸収部と、 前記培養チャンバ内の培養液中で培養されている前記細
    胞又は前記組織に対して加圧し、その圧力として、前記
    細胞又は前記組織に連続して変化する圧力、間欠して変
    化する圧力又は周期的に変化する圧力の何れかの圧力の
    一つ又はこれらの2以上の組合せである圧力を加える加
    圧手段と、 を備えたことを特徴とする細胞又は組織の培養装置。
  3. 【請求項3】 前記保持手段は、ハイドロジェルである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の細胞又は組織の
    培養装置。
  4. 【請求項4】 前記培養液は、各種アミノ酸、糖類、塩
    類又はタンパク質の1又は2以上を含んで構成されるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の細胞又は組織の培
    養装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも前記培養チャンバを含み前記
    密閉空間から分離可能な培養ユニットを構成したことを
    特徴とする請求項1又は2記載の細胞又は組織の培養装
    置。
  6. 【請求項6】 前記密閉空間に供給される前記ガスは、
    窒素、酸素又は二酸化炭素等のガスであることを特徴と
    する請求項1又は2記載の細胞又は組織の培養装置。
  7. 【請求項7】 前記培養回路に前記培養液を供給する培
    養液供給手段を備え、この培養液供給手段は、 前記培養回路に取り付けられた送液チャンバと、 この送液チャンバに取り込まれた前記培養液を加圧して
    送り出す送液装置と、 を備える構成としたことを特徴とする請求項1又は2記
    載の細胞又は組織の培養装置。
  8. 【請求項8】 前記密閉空間は、前記温度条件を設定す
    る加熱手段を備えて所望の温度に維持、制御されること
    を特徴とする請求項1又は2記載の細胞又は組織の培養
    装置。
  9. 【請求項9】 前記密閉空間は、湿度条件を設定する加
    湿手段を備えて所望の湿度に維持、制御されることを特
    徴とする請求項1又は2記載の細胞又は組織の培養装
    置。
  10. 【請求項10】 前記培養チャンバに超音波等の音波を
    付与する音波発生装置を備えたことを特徴とする請求項
    1又は2記載の細胞又は組織の培養装置。
  11. 【請求項11】 前記密閉空間内のガス濃度を制御する
    制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載
    の細胞又は組織の培養装置。
  12. 【請求項12】 前記細胞又は前記組織に加える前記圧
    力は、培養される前記細胞又は前記組織が対応する生体
    の部位に応じて設定されたことを特徴とする請求項2記
    載の細胞又は組織の培養装置。
  13. 【請求項13】 前記加圧手段から前記細胞又は前記組
    織に加えられる前記圧力は、断続状態、一定時間毎の連
    続した繰り返し、一定時間毎に増減させることを特徴と
    する請求項2記載の細胞又は組織の培養装置。
  14. 【請求項14】 前記培養回路は、前記加圧手段による
    前記培養チャンバ内の前記培養液の圧力上昇を緩衝する
    圧力緩衝手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の
    細胞又は組織の培養装置。
  15. 【請求項15】 前記培養チャンバに受圧膜を介在させ
    て圧力チャンバを取り付け、この圧力チャンバに水圧、
    油圧又は空気圧を作用させ、前記培養チャンバ内の前記
    細胞又は前記組織に圧力を加えるようにしたことを特徴
    とする請求項2記載の細胞又は組織の培養装置。
  16. 【請求項16】 前記圧力緩衝手段は圧力逃し弁で構成
    され、この圧力逃し弁は、前記培養チャンバ内の前記培
    養液の圧力が所定圧力を越えるとき、開くことにより、
    前記培養チャンバ内の前記培養液を前記培養回路に流し
    て前記培養液の圧力を降下させることを特徴とする請求
    項14記載の細胞又は組織の培養装置。
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