JP4607316B2 - スピン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は回転させた基板に処理液を噴射して処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、半導体装置や液晶表示装置の製造過程においては、半導体ウエハや矩形状のガラス板などの基板に回路パタ−ンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板に対して薬品による薬液処理と純水による洗浄処理とが繰り返し行われる。
【0003】
上記基板に対して処理を行なう場合、スピン処理装置が用いられている。スピン処理装置は基板を保持する回転テ−ブルを有し、この回転テ−ブルを高速回転させながら、上記基板に処理液を噴射することで、この基板を処理するようになっている。
【0004】
回転テーブルに基板を保持する機構は、回転テーブルに複数の支持体を周方向に所定間隔で回転可能に支持し、各支持体には上端に支持体の回転中心から偏心した位置に保持部を設ける。
【0005】
そして、回転テーブル上に基板を供給し、周辺部を支持体の上端面に係合させたならば、各支持体を回転させてそれぞれの保持部を偏心回転させることで、これらの保持部を基板の外周面に当接させ、基板を保持するようにしている。
【0006】
従来、複数の支持体を同時に回転させるためには、歯車機構が用いられていた。つまり、回転テーブルの下面側に親歯車を設ける一方、各支持体の回転テーブルの下面側に突出した下端には上記親歯車に噛合する子歯車を設ける。そして、上記親歯車を回転させることで、子歯車とともに支持体を回転させ、各支持体の保持部で基板の外周面を保持するようにしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、歯車機構によって支持体を回転させ、この支持体に設けられた保持部を基板の外周面に当接させる構成の場合、各支持体が同じ角度だけ回転したときに、それぞれの保持部が基板の外周面に当接するようにしている。
【0008】
しかしながら、歯車機構によって複数の支持体を回転させる構成の場合、歯車の製作精度、親歯車と子歯車に生じるバックラッシュあるいは支持体の組み立て精度などによって親歯車を回転させたときに、この親歯車に噛合した子歯車を介してそれぞれの支持体の保持部を基板の外周面に同時に当接させることが難しい。
【0009】
そのため、複数の支持体のうち、一部の支持体の保持部は基板の外周面に当接するものの、他の支持体の保持部は基板の外周面に当接しない状態で基板が保持されることになるため、基板の保持状態が安定しないということがあった。
【0010】
たとえば、回転テーブルに6本の支持体が設けられている場合、基板はそのうちの3本の支持体の保持部によって保持されるが、残りの3本の支持体の保持部は基板の外周面に当接しないということがあるため、基板の保持状態が不安定になるということがあった。
【0011】
この発明は、複数の支持体の保持部を基板の外周面に確実に当接させることができるようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板を回転させながら処理液によって処理するスピン処理装置において、
回転テーブルと、
この回転テーブルを回転駆動する駆動手段と、
上記回転テーブルの周辺部に周方向に沿って所定間隔で回転可能に設けられた少なくとも3つ以上の支持体と、
各支持体の上端に回転中心から偏心して設けられ支持体の回転によって偏心回転することで上記基板の外周面に当接してこの基板を保持する保持部と、
上記回転テーブルの下面側に突出した上記支持体の下端に一端が取り付けられたレバーと、
上記回転テーブルに回転可能かつ回転テーブルと一体的に回転するよう設けられ外周面に上記レバーの他端に係合する係合アームが設けられていて、上記回転テーブルに対する回転を阻止して上記回転テーブルを所定方向に回転させることで上記係合アーム及び上記レバーを介して上記各支持体をそれぞれの保持部が基板の外周面に接近するロック方向と基板の外周面から離反する解除方向とに選択的に回転させる開閉筒体と、
この開閉筒体によって上記支持体を上記ロック方向に回転させたときにこの支持体を別々にロック方向に付勢してそれぞれの保持部を上記基板の外周面に弾性的に当接させる付勢手段を具備し、
上記付勢手段は、一端を上記レバーに連結し、他端を上記回転テーブルに連結して設けられ上記支持体を所定角度以上回転させたときに上記保持部が上記基板の外周面に弾性的に当接したロック状態から上記外周面から離れる開放状態になるよう上記支持体に対する付勢方向を反転させる捩りばねであることを特徴とするスピン処理装置にある。
【0014】
請求項2の発明は、上記支持体は、回転中心を各支持体の保持部に保持される基板の外周面に一致させて設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0016】
請求項3の発明は、複数の支持体のうちの、回転テーブルの周方向において隣り合う2つの支持体は、これらの保持部が基板の外周面に接触する位置で上記レバーが上記回転テーブルに設けられたロック側ストッパによってロック方向の回転が阻止されるようになっていて、この2つの支持体をロック方向に付勢した付勢手段の付勢力は、他の支持体をロック方向に付勢した付勢手段の付勢力よりも強く設定されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0017】
請求項4の発明は、上記支持体のロック方向への回動は、反転した上記捩りばねの上記支持体に対する付勢力が零とならない位置でストッパによって阻止されることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置にある。
【0018】
この発明によれば、支持体をそれぞれの保持部が基板の外周面に当接するロック方向に回転させたときに、各支持体を付勢手段によってロック方向に付勢し、それぞれの保持部を基板の外周面に弾性的に当接させるようにした。
【0019】
つまり、各支持体が付勢手段によって別々にロック方向へ付勢されるため、各支持体の保持部を確実に基板の外周面に当接させることが可能となる。
【0020】
また、支持体の回転中心を、この支持体の保持部によって保持される基板の外周面に一致させることで、付勢手段の付勢力によって基板の外周面に当接した保持部の保持力は基板の中心方向に向かう法線方向になるから、保持部に生じる保持力が無駄なく基板を保持する力として作用することになる。
【0021】
また、2つの支持体の保持部によって基板が位置決めされ、しかも他の支持体の保持部は上記2つの支持体の保持部に対して基板を押し付けることになるから、各支持体の保持部を付勢手段の付勢力で基板の外周面に当接させる構成であっても、基板を所定の位置に精度よく位置決め保持することが可能となる。
【0022】
また、付勢手段にねじりばねを用いてトグル機構を構成し、支持体をロック方向と解除方向へ弾性的に回転させるとともに、支持体のロック方向への回動を、ストッパによって上記ねじりばねの支持体に対する付勢力が零にならない位置で阻止するようにしたので、支持体の保持部を基板の外周面に緩やかに当接させることが可能となり、捩りばねのトグル作用によって保持部を基板の外周面に勢いよく当たるのを防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1はこの発明のスピン処理装置を示す縦断面図であって、このスピン処理装置は回転テーブル1を備えている。この回転テーブル1は耐薬品性を有する、たとえばステンレスなどの金属や塩化ビニルなどの合成樹脂によって形成されている。つまり、回転テーブル1は、平面形状が円形で、下面が開放した中空状となっていて、径方向中心部には中央孔2が形成され、周辺部には周方向に所定間隔で複数、この実施の形態では6つの支持孔3が形成されている。
【0025】
回転テーブル1の下面には下板4が接合されている。この下板4は中心部の上記中央孔2と対応する部分に第1の通孔5が形成され、支持孔3に対応する部分には、この支持孔3よりも小径な第2の通孔6が形成されている。
【0026】
回転テーブル1の上面には、中央孔2の周辺部に段部7が形成され、この段部7には上面を回転テーブル1の上面と面一にした第1の上板8が周辺部を係合させて設けられ、この第1の上板8上には回転テーブル1とほぼ同じ大きさの第2の上板9が接合されている。第1の上板8と第2の上板9との中央部分にはそれぞれ第1の通孔8a,9aが形成され、第2の上板9の周辺部には上記支持孔3と対応する第2の通孔9bが形成されている。
【0027】
上記回転テーブル1の中央孔2の下端部内周には径方向内方に向かってフランジ部11が設けられている。このフランジ部11の下面には下板4を介して駆動筒体12の上端がねじ13によって連結固定されている。
【0028】
上記駆動筒体12の下端には駆動手段を構成するモータ14の筒状の回転子15の上端がリング部材16を介してねじ17によって連結固定されている。この回転子15は固定子18の内部に回転自在に支持されている。従って、モータ14に通電されて回転子15が回転駆動されれば、その回転によって回転テーブル1が回転するようになっている。
【0029】
上記回転子15の内部には固定軸21が挿通されている。この固定軸21の上端には上記回転テーブル1の中央孔2内に位置するノズルヘッド22が設けられている。このノズルヘッド22の上面にはすり鉢状の凹部22aが形成され、この凹部22aには、中央に気体の噴出口23が開口形成され、周壁に複数の処理液の噴出口24が開口形成されている。各噴出口23,24にはそれぞれ気体及び処理液の供給管25が接続されている。
【0030】
したがって、各噴出口23,24からは、上記第1の上板8と第2の上板9との第1の通孔8a,9aを通じて回転テーブル1上に後述するごとく保持された半導体ウエハなどの基板Wの下面に向けて気体あるいは処理液を選択的に噴射することができるようになっている。
【0031】
上記ノズルヘッド22の下面周辺部には環状溝26が形成され、上記中央孔2のフランジ11には上記環状溝26に挿入される環状壁27が設けられている。それによって、噴出口24から噴射されることで、基板Wの下面で反射してノズルヘッド22の上面から環状壁26の外側の空間部に滴下した処理液は、上記環状壁27によって中央孔2内を通って回転テーブル1の下面側に流出するのが阻止される。
【0032】
図4と図5に示すように、上記回転テーブル1の内部には周方向に沿って所定間隔で複数の補強リブ28が設けられている。この補強リブ28には上記環状壁27の外周側の空間部と回転テーブル1の外周面とを連通する第1の排液孔29が形成されている。
【0033】
したがって、ノズルヘッド22から環状壁26の外側の空間部に滴下した処理液は上記第1の排液孔29を通じて回転テーブル1の径方向外方に排出されるようになっている。
【0034】
上記回転テーブル1の各支持孔3には支持体31が回転可能に支持されている。つまり、支持体31は、図1に示すように頭部32及びこの頭部32の下面に垂設された軸部33とを有する。
【0035】
上記支持孔3内にはシール筒体34を介してハウジング35が設けられ、このハウジング35には上記軸部33の上端部と下端部とがそれぞれ軸受36によって回転可能に支持されている。
【0036】
上記シール筒体34の上端部には環状壁37が設けられ、上記支持体31の頭部32の下面には上記環状壁37が入り込む環状溝38が形成されている。上記支持孔3と回転テーブル1の外面とは第2排液孔39によって連通している。それによって、上記頭部32と支持孔3との隙間から支持孔3内に浸入した処理液は上記第2の排液孔39を通じて回転テーブル1の径方向外方に排出されるようになっている。
【0037】
上記各支持体31の頭部32には、支持体31の回転中心から所定寸法偏心した位置に、取付け孔41が上面に開口して形成されている。この偏心量を図1にeで示す。
【0038】
上記取付け孔41には支持ピン42が回転不能な状態で装着されている。この支持ピン42には、斜面43及び斜面43の上端に円形突起からなる保持部44が形成されている。
【0039】
上記保持部44が支持体31の回転中心よりも回転テーブル1の径方向外方に位置した状態で回転テーブル1上に上記基板Wが供給される。それによって、基板Wは周辺部の下面を上記支持ピン42の斜面43に係合させて保持される。
【0040】
その状態で、上記支持体31を回転させて支持ピン42を偏心回転させると、基板Wは外周面が保持部44の外周面に当接するまで斜面43に沿って上昇する。それによって、基板Wは回転テーブル1の径方向にずれ動くことなく保持される。
【0041】
上記支持体31の軸部33の下端部は回転テーブル1の下面側に突出している。この軸部33の下端にはレバー51の一端が取り付け固定されている。このレバー51の他端にはローラ52が回転自在に設けられている。
【0042】
一方、上記モータ14の回転子15の上端に取り付けられた駆動筒体12の外周面には、開閉筒体53が軸受54によって回転自在に取り付けられている。この開閉筒体53には、周方向に所定間隔で6本の係合アーム55が径方向外方に向かって突設されている。
【0043】
各係合アーム55の先端部にはU字状の係合溝56が形成されていて、各係合溝56には各レバー51の他端に設けられたローラ52が係合している。したがって、回転テーブル1に対して開閉筒体53を相対的に回転させることで、その回転に係合アーム55及びレバー51を介して支持体31が連動するようになっている。
【0044】
上記開閉筒体53と上記固定子18との間には一対の引張りばね57が張設されている。この引張りばね57は上記開閉筒体53を回転テーブル1に対して図2に矢印Zで示す回転方向に付勢している。上記引張りばね57による開閉筒体53の回転は、上記下板4に設けられたストッパ60に係合アーム55が係合することで規制されている。
【0045】
図2は開閉筒体53が引張りばね57の付勢力に抗して矢印Y方向へ相対的に回転させ、レバー51を係合アーム55によって矢印Z方向と逆方向へ回動させた状態を示し、この状態においてはレバー51が同図に実線で示す位置にあり、それによって支持体31の保持部44は同図に実線で示すように基板Wの外周面から離反している。この状態を解除状態とする。
【0046】
解除状態から上記開閉筒体53を回転テーブル1に対し上記引張りばね57の付勢力によって矢印Yと逆方向へ相対的に回転させると、レバー51は係合アーム55によって図中矢印Zで示す方向へ回動する。それによって、上記保持部44は図2に鎖線で示すように基板Wの外周面に当接する方向へ偏心回転する。保持部44が基板Wの外周面に当接した状態をロック状態とする。
【0047】
上記開閉筒体53を回転テーブル1に対して相対的に回転させるには、図1に示すストッパピン58が用いられる。このストッパピン58はシリンダなどの駆動源59によって上下駆動される可動部材59aに取り付けられている。ストッパピン58を、駆動源59によって同図に鎖線で示すように上昇位置に駆動すると、上記開閉筒体53に設けられた係合アーム55に係合する。
【0048】
その状態でモータ14の回転子15を所定角度回転させれば、開閉筒体53は回転せずに、上記回転子15に駆動筒体12を介して連結された回転テーブル1が回転することになるから、開閉筒体53に対して回転テーブル53が上記引張りばね57の付勢力に抗して相対的に回転することになる。
【0049】
図1に示すように、各レバー51と回転テーブル1の下板4との間には、それぞれトグル機構を構成する捩りばね62が設けられている。つまり、捩りばね62は、一端を上記下板4に形成された第1の係合孔63に挿入し、他端を上記レバー51の中途部に形成された第2の係合孔64に係合させて設けられている。
【0050】
上記捩りばね62は、支持体31をレバー51によって回転させることで、図3に実線で示す状態と鎖線で示す状態とに反転する。捩りばね62が鎖線で示す状態においては、レバー51は鎖線L1 で示す位置にあり、そのとき支持体31の保持部44は鎖線で示すように基板Wの外周面から離反した開放状態となっている。この状態では、捩りばね62は開放方向に反転しきっているため、レバー51を回転方向に付勢する力は有していない。
【0051】
ストッパピン58によって開閉筒体53の回転を阻止して回転テーブル1を回転させることで、レバー51を図3に実線で示す位置から鎖線で示すL 1 の位置まで、矢印Xと逆方向に回転させると、上記捩りばね62は復元力に抗して圧縮される。レバー51を所定角度以上回転させると、捩りばね62は同図に鎖線で示すように反転する。そのとき、支持体31の保持部44は鎖線で示すように基板Wの外周面から離れた開放状態となる。
【0052】
レバー51を鎖線L 1 で示す位置から実線で示す位置へ回転させて捩りばね62をロック方向へ反転させた場合、上記捩りばね62にはレバー51をロック方向へ回動させる付勢力がなくなるが、レバー51は、実線で示す位置、つまり捩りばね62に付勢力が残存する位置で、回転テーブル1に設けられたロック側ストッパ65によって回動が阻止されるようになっている。
【0053】
つまり、保持部44を基板Wの外周面に当接させたロック状態において、捩りばね62に残存する付勢力によってレバー51はさらにロック方向へ付勢されることになるから、保持部44は基板Wの外周面に弾性的に当接した状態で、この基板Wを保持することになる。
【0054】
しかも、捩りばね62がロック方向に反転しきらない状態で基板Wを保持するようにしたことで、保持部44を基板Wの外周面に緩やかに当接させることができる。
【0055】
つまり、捩りばね62をロック方向に反転させて保持部44を基板Wの外周面に当てるようにすると、保持部44は捩りばね62の反転力によって強く当たることになるから、基板Wの外周面に欠けが生じるようなことがある。しかしながら、捩りばね62が反転しきる前に保持部44を基板Wの外周面に当たるようにすれば、回転テーブル1と開閉筒体53との相対的な回転を制御することで、上記保持部44を基板Wの外周面に緩やかに当接させることが可能となる。
【0056】
このように、6本の支持体31の保持部44を、捩りばね62のトグル作用によって弾性的にロック方向へ偏心回転させる構成によれば、それぞれの保持部44を別々に捩りばね62の付勢力によって基板Wの外周面に当接させることができる。
【0057】
そのため、6つの保持部44は基板Wの外周面に確実に当接することになるから、基板Wは安定した状態で保持されることになる。つまり、6つの保持部44を、従来のように歯車などを用いて機械的に連動させて位置決めする場合のように、わずかな加工や組み立て精度の誤差などによって6つの保持部44のうちの一部だけによって基板Wを保持するという、保持状態の不安定化を招くことがない。
【0058】
図2に示すように6つの支持体31をA〜Fとすると、周方向において隣接する2つの支持体A,Bは、これらの保持部44がロック状態において回転テーブル1に保持される基板Wの外周面に接触する計算上の位置で、ロック側ストッパ65によって位置決めされるように設定されている。
【0059】
さらに、A,B2つの支持体31に設けられた捩りばね62は、他の支持体C〜Fに設けられた捩りばね62よりもばね力(付勢力)が強いものが用いられている。なお、C〜Fの支持体31の保持部44は、回転テーブル1に保持される基板Wの計算上の外周面に接触する位置よりも径方向内方で、しかも捩りばね62が反転しきらない位置でロック側ストッパ65によって変位が規制されるようになっている。
【0060】
それによって、基板Wは、A,B2つの支持体31の保持部44によって径方向に位置決めされ、その状態でC〜Fの4つの支持体31の保持部44が基板WをA,Bの支持体31の保持部44に押し付けることになるから、回転テーブル1上における基板Wの位置決めを精密に行なうことが可能となる。
【0061】
A,B2つの支持体31に設けられた捩りばね62の付勢力の総和は、C〜Fの4つの支持体31に設けられた捩りばね62の付勢力の総和よりも大きくなるよう設定されている。
【0062】
それによって、A、B2つの支持体31の保持部44によって位置決めされた基板Wは、C〜Fの4つの支持体31の保持部44に押圧されても、径方向に位置ずれすることがない。
【0063】
なお、図3において66は開放側ストッパである。この開放側ストッパ66はレバー51が鎖線L1 の位置にあるときに、このレバー51が開放側に回転するのを防止している。
【0064】
このように、回転テーブル1に複数の支持体31を設け、各支持体31に設けられた保持部44を基板Wの外周面に当接させて基板Wを保持するスピン処理装置において、各支持体31にトグル機構を構成する捩りばね62を設け、この捩りばね62が反転するときの付勢力で上記保持部44を基板Wの外周面に当接させるようにした。
【0065】
そのため、6つの保持部44には、基板Wの外周面に当接するときの付勢力がそれぞれ捩りばね62によって独立して与えられるから、回転テーブル1に基板Wを保持するとき、6つの保持部44を確実に基板Wの外周面に当接させることができる。
【0066】
つまり、基板Wを6つの保持部44によって回転テーブル1に安定した状態で確実に保持することができるから、基板Wを処理液で処理する際に、回転テーブル1を高速度で回転させても、基板Wががたつくようなことがない。
【0067】
基板Wの外周面に当接してこの基板Wを保持する保持部44が設けられた支持体31の回転中心を基板Wの外周面に一致させている。そのため、上記支持体31の回転によって保持部44を偏心回転させて基板Wの外周面に当接させると、この保持部44によって基板Wを押圧する力の方向は、図3に矢印Sで示す基板Wとの接触点における法線方向、つまり、保持部44は基板Wの外周面を、この基板Wの中心方向に向かって押圧する。
【0068】
そのため、保持部44が基板Wの外周面を押圧する力は、基板Wの保持力として無駄なく作用するから、そのことによっても基板Wを確実に保持することができるばかりか、保持部44の保持力に無駄が生じないため、保持部44に保持力を生じさせる、捩りばね62の小型化を図ることが可能となる。
【0069】
複数の支持体31のうちの、回転テーブル1の周方向において隣り合う2つの支持体31の保持部44は、基板Wの外周面に接触する位置でロック方向への回転をロック側ストッパ65によって規制するようにし、さらに、A,B2つの支持体31に設けられた捩りばね62の強さを、残りのC〜Fの4つの支持体31に設けられた捩りばね62の強さよりも強くした。
【0070】
そのため、基板Wは2つの支持体31の保持部44によって位置決めされた状態で、残りの4つの支持体31の保持部44によって押圧保持されることになるから、基板Wは精密に位置決めされて確実に保持される。
【0071】
また、各支持体31は、捩りばね62が反転しきらずに、保持部44をロック方向へ付勢する付勢力が残存する位置で、ロック方向への回転をロック側ストッパ65によって規制している。
【0072】
そのため、保持部44により保持された基板Wには、捩りばね62の付勢力が作用しているから、その付勢力によって基板Wを所定の保持力で確実に保持することができる。
【0073】
さらに、捩りばね62が反転し終わる前の状態で保持部44を基板Wの外周面に当接させるため、回転テーブル1と開閉筒体53との相対的な回転速度によって保持部44を偏心回転させて基板Wの外周面に当接させることができる。つまり、保持部44を基板Wの外周面に緩やかに当接させることができるから、基板Wの外周面に保持部44が捩りばね62の反転力によって勢いよく当たるのを防止できる。
【0074】
回転テーブル1には、ノズルヘッド22が設けられる中央孔2や支持体31が設けられる支持孔3が形成され、これら中央孔2や支持孔3には処理液が入り込むことが避けられない。
【0075】
しかしながら、上記回転テーブル1には、一端を中央孔2に連通し、他端を回転テーブル1の外周面に連通した第1の排液孔29が形成され、さらには上記支持孔3と回転テーブル1の外周面とを連通する第2の排液孔39が形成されているから、中央孔2や支持孔3に流入した処理液は回転テーブル1の外部へ確実に排出されることになる。つまり、処理液が回転テーブル1の下面側に流れてモータ14などを損傷させるのを防止できる。
【0076】
上記第1の排液孔29は回転テーブル1の補強リブ28に形成した。補強リブ28は回転テーブル1の中空部内に径方向に沿って設けられている。そのため、回転テーブル1の径方向中心部分の中央孔2に流入する処理液を、上記補強リブ28を利用して回転テーブル1の径方向外方へ流出させることができる。
【0077】
上記一実施の形態では、回転テーブルに6つの支持体を設けた場合について説明したが、支持体の数は6つに限定されず、3つ以上であれば、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
また、支持体の保持部をロック方向に付勢する手段として捩りばねを用い、この捩りばねのトグル作用を利用して上記保持部を基板の外周面に当接させるようにしたが、捩りばねに代わり引張りばねによって保持部をロック方向に付勢するようにしてもよい。その場合、引張りばねはトグル機構を構成しないが、複数の保持部をそれぞれ引張りばねによって独立してロック方向に付勢できるようにすれば、複数の保持部の全てを基板の外周面に確実に当接させることが可能となるから、この発明の目的を達成することができる。
【0079】
【発明の効果】
この発明によれば、支持体をそれぞれの保持部が基板の外周面に当接するロック方向に回転させたときに、各支持体を付勢手段によってそれぞれ別々にロック方向に付勢し、各支持体の保持部を基板の外周面に弾性的に当接させることができるようにした。
【0080】
そのため、各保持部は付勢手段によって別々に付勢されて基板の外周面に当接するから、複数の保持部の全てを基板の外周面に確実に当接させることができる。つまり、複数の保持部の全てによって基板を保持できるから、基板の保持状態が確実となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示すスピン処理装置の縦断面図。
【図2】同じく回転テーブルの概略的構成を説明するための図。
【図3】同じくレバーの動きと捩りばねの動きを説明するための図。
【図4】同じく回転テーブルの平面図。
【図5】同じく図4のV−V線に沿う断面図。
【符号の説明】
1…回転テーブル
14…モータ(駆動手段)
31…支持体
44…保持部
51…レバー
53…開閉筒体(開閉手段)
62…捩りばね(付勢手段)
Claims (4)
- 基板を回転させながら処理液によって処理するスピン処理装置において、
回転テーブルと、
この回転テーブルを回転駆動する駆動手段と、
上記回転テーブルの周辺部に周方向に沿って所定間隔で回転可能に設けられた少なくとも3つ以上の支持体と、
各支持体の上端に回転中心から偏心して設けられ支持体の回転によって偏心回転することで上記基板の外周面に当接してこの基板を保持する保持部と、
上記回転テーブルの下面側に突出した上記支持体の下端に一端が取り付けられたレバーと、
上記回転テーブルに回転可能かつ回転テーブルと一体的に回転するよう設けられ外周面に上記レバーの他端に係合する係合アームが設けられていて、上記回転テーブルに対する回転を阻止して上記回転テーブルを所定方向に回転させることで上記係合アーム及び上記レバーを介して上記各支持体をそれぞれの保持部が基板の外周面に接近するロック方向と基板の外周面から離反する解除方向とに選択的に回転させる開閉筒体と、
この開閉筒体によって上記支持体を上記ロック方向に回転させたときにこの支持体を別々にロック方向に付勢してそれぞれの保持部を上記基板の外周面に弾性的に当接させる付勢手段を具備し、
上記付勢手段は、一端を上記レバーに連結し、他端を上記回転テーブルに連結して設けられ上記支持体を所定角度以上回転させたときに上記保持部が上記基板の外周面に弾性的に当接したロック状態から上記外周面から離れる開放状態になるよう上記支持体に対する付勢方向を反転させる捩りばねであることを特徴とするスピン処理装置。 - 上記支持体は、回転中心を各支持体の保持部に保持される基板の外周面に一致させて設けられていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
- 複数の支持体のうちの、回転テーブルの周方向において隣り合う2つの支持体は、これらの保持部が基板の外周面に接触する位置で上記レバーが上記回転テーブルに設けられたロック側ストッパによってロック方向の回転が阻止されるようになっていて、この2つの支持体をロック方向に付勢した付勢手段の付勢力は、他の支持体をロック方向に付勢した付勢手段の付勢力よりも強く設定されていることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
- 上記支持体のロック方向への回動は、反転した上記捩りばねの上記支持体に対する付勢力が零とならない位置でストッパによって阻止されることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。
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