JP4605953B2 - 防水コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線を後部に接続した複数の接続端子を収容すると共に、相手側のハウジングとシール部材を介して結合するハウジングを備えた防水コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すように従来の防水コネクタは、電線1とシール部材2を後部に圧着した複数の接続端子3をハウジング4の収容孔5に収容し、ハウジング4に一体に設けた係止アーム6により係止している。そして、ハウジング4の内部には相手側のハウジングとの嵌合部を防水するためのシール部材7を備えている。
【0003】
この従来の防水コネクタにおいて、ハウジング4の後部から接続端子3を収容孔5に挿入すると、接続端子3は係止アーム6を撓ませながら前進し、接続端子3が所定の位置まで前進した時点で係止アーム6が復元し、その係止突起6aが接続端子3の端子接続部3aの後部を係止する。
【0004】
これに対し、ハウジング4に収容した接続端子3を抜き取る場合には、係止解除具Tの先端部Taを接続端子3と係止アーム6の間に押し込み、係止アーム6を撓ませてその係止突起6aと接続端子3の端子接続部3aとの係合を解除し、電線1を後方に引いて接続端子3をハウジング4から抜き取っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、係止解除具Tの先端部Taを接続端子3と係止アーム6の間に押し込む際に、不慣れな作業者によっては、図7に示すように係止解除具Tの先端部Taが係止アーム6と接続端子3の間から外れた場合には、先端部Taが係止アーム6の外側を通ってシール部材7に直接突き刺さり、シール部材7を損傷してその防水力を低下させることがある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、係止解除具によるシール部材の損傷を防止し得る防水コネクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る防水コネクタは、電線を後部に接続した複数の接続端子を収容しこれらの接続端子のそれぞれに係止して後抜けを防止する複数の係止アームを備えたハウジングと、該ハウジングの内部に位置して相手側のハウジングとの嵌合部を防水する環状のシール部材と、該シール部材の前方において前記ハウジングの前部に係合するフロントホルダとから成る防水コネクタであって、前記フロントホルダと前記ハウジングとは、前記フロントホルダを前記ハウジングに対して略中間まで押し込んで前記接続端子を前記ハウジング内に後方から挿入可能とする仮係合状態と、前記フロントホルダを前記ハウジングに対して十分に押し込み前記係止アームと前記接続端子との係止状態を保持する本係合状態とで係合可能とし、前記フロントホルダは、前記係止アームの外側に進入する進入端の一部前記シール部材の前端面に当接する筒部を有し、前記仮係合状態において係止解除具を前記フロントホルダと前記ハウジングとの隙間から挿入し、前記係止アームを動かして前記接続端子との係止状態を解除する際に、前記係止解除具が、前記シール部材に接触することを防止する挿入防止壁を前記筒部の一部に設けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明を図1〜5に図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は防水コネクタの仮係合状態の断面側面図、図2は接続端子を除いた仮係合状態の断面斜視図である。この実施の形態の防水コネクタは、電線11の外周面に嵌着した例えば合成ゴム製の筒状のシール部材12と、これらの電線11とシール部材12を後部に圧着した導電金属製の複数の接続端子13とを備えている。
【0009】
また、接続端子13の略後半部を例えば2段復列に収容する合成樹脂製のハウジング14と、このハウジング14の内部に位置して相手側のハウジングとの嵌合部を防水する例えば合成ゴム製の環状のシール部材15と、ハウジング14の前部に係合して接続端子13と後述の係止アームとの係止状態を保持する合成樹脂製のフロントホルダ16とを備えている。
【0010】
接続端子13は相手側の接続端子と接続する端子接続部13aと、接続端子13の姿勢を安定させる図示しないスタビライザ部と、電線11の芯線を圧着する圧着部13bと、電線11の被覆をシール部材12と共に圧着する圧着部13cとを前方から順次に有している。
【0011】
ハウジング14は後述の錠止部を除いて上下対称とし、内筒部21の外側に外筒部22を支持壁23により支持している。内筒部21の前端面は外筒部22の前端面よりも後方に位置させ、内筒部21の後端部と外筒部22の後端部はほぼ同一平面内に位置している。そして、支持壁23の前方の空間は、シール部材15、フロントホルダ16、相手側のハウジングが嵌合する嵌合部24としている。
【0012】
ハウジング14の内筒部21の後部には、電線11に嵌着したシール部材12と接続端子13の圧着部13cとを収容する複数の断面円形の収容孔25を設けている。内筒部21の前部には、接続端子13を係止するための係止アーム26を内筒部21の内面から内筒部21の前方に突出するように設けている。外筒部22の上壁には相手側のハウジングの錠止部を導く案内窓27を設け、外筒部22の上面には相手側のハウジングの錠止部を錠止する錠止アーム28と、この錠止アーム28を保護するフード29とを設けている。
【0013】
フロントホルダ16は係止アーム26の外側に間隔をおいて進入する断面矩形状の筒部31を有し、この筒部31の進入端はシール部材15の前端面に圧接可能としている。筒部31の進入端と反対側の前端部には接続端子13の前端面が当接する端壁32を設け、この端壁32には相手側の接続端子を挿通可能とする開口33を形成している。
【0014】
そして、フロントホルダ16の筒部31の内部には、ハウジング14に収容した上下の接続端子13同士の間を仕切る隔壁34と、左右の接続端子13同士の間を仕切る隔壁35とを設けている。また、筒部31の内部には、係止アーム26に外接して係止アーム26を接続端子13に対して押さえる押さえ部36を設けている。そして、筒部31の上壁と下壁には、係止解除具Tを係止アーム26の端部26aと接続端子13の端子接続部13aとの間に挿通させ得る挿通孔37を形成し、この挿通孔37の進入側の壁は係止解除具Tの略水平方向の進行を防止する挿入防止壁38とし、係止解除具Tによるシール部材15の損傷を防止している。
【0015】
なお、ハウジング14とフロントホルダ16とは、図示しない係合手段により仮係合状態と本係合状態とで係合可能としている。仮係合状態におけるハウジング14とフロントホルダ16の位置関係は図1、図2に示すような状態であって、フロントホルダ16をハウジング14に一次的に略中間まで押し込んで接続端子13をハウジング14に後方から挿入可能とする状態としている。本係合状態におけるハウジング14とフロントホルダ16の位置関係は図3に示すような状態であって、フロントホルダ16をハウジング14に二次的に十分に押し込んで係止アーム26の背面を押さえ部36で押さえた状態としている。
【0016】
この防水コネクタを組み立てる際には、仮係合状態においてハウジング14の内筒部21の外周面にシール部材15を嵌着し、その後にハウジング14の前部にフロントホルダ16を仮係合状態で係合する。このとき、フロントホルダ16はハウジング14の前端面から突出し、フロントホルダ16の押さえ部36の進入側はハウジング14の係止アーム26の前端部26aの前方に位置する。
【0017】
この状態で、電線11とシール部材12を圧着した接続端子13をハウジング14の後部から収容孔25に挿入すると、接続端子13の端子接続部13aが係止アーム26を外方に撓ませながら前進する。そして、接続端子13の端子接続部13aが係止アーム26の係止突起26bを乗り越えると、係止アーム26が復元してその係止突起26bが端子接続部13aの後端部を係止する。このとき、電線11に嵌着したシール部材12はハウジング14の収容孔25の周壁に圧接し、フロントホルダ16の隔壁34は上下の接続端子13の底面を保持する。
【0018】
必要な全ての接続端子13をハウジング14に挿入した後に、フロントホルダ16を図1に示す矢印方向に押し込むと、図3に示すようにフロントホルダ16はハウジング14に本係合状態で係合すると共に、ハウジング14とフロントホルダ16は図示しないロック機構によりロックされる。このとき、フロントホルダ16の筒部31の進入端がシール部材15の前端面に圧接すると共に、フロントホルダ16の端壁32に接続端子13の前端面が当接し、フロントホルダ16の押さえ部36が係止アーム26の背面を押さえ、隔壁34、35と共働して接続端子13の揺動を防止する。なお、この実施の形態においては、シール部材15の前端面を圧接する部分は、挿入防止壁38の後部が兼用されている。
【0019】
一方、接続端子13をハウジング14から抜き取る必要がある場合には、フロントホルダ16とのロック機構を外してフロントホルダ16をハウジング14から引き出し、それらを仮係合状態に戻す。このとき、上述したように押さえ部36の進入側は係止アーム26の前端部26aの前方に位置する。次に、図4に示すように係止解除具Tの先端部Taをフロントホルダ16の挿通孔37から押さえ部36の後端部と係止アーム26の前端部26aとの間を介して係止アーム26と接続端子13の間に押し込む。そして、係止アーム26を撓ませて係止突起26bと端子接続部13aの係止状態を解除し、電線11を後方に引いて接続端子13をハウジング14から抜き取る。
【0020】
なお、この場合に誤って係止解除具Tを水平方向に押し込んだ場合でも、図5に示すように係止解除具Tの先端部Taがフロントホルダ16の挿通孔37の挿入防止壁38に衝突し、シール部材15に達することはなく、シール部材15を損傷させることはない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る防水コネクタは、筒部の後端部に係止アームと接続端子の係止状態を解除するための係止解除具に対する挿入防止壁を設けたので、係止解除具を略水平方向に押し込んだ場合でも、係止解除具がシール部材を損傷させることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】防水コネクタの仮係合状態の断面側面図である。
【図2】接続端子を除いた仮係合状態の断面斜視図である。
【図3】本係合状態の断面側面図である。
【図4】接続端子をハウジングから抜き取る場合の説明図である。
【図5】係止解除具の誤操作時の説明図である。
【図6】従来例の断面側面図である。
【図7】従来例の係止解除具の誤操作時の説明図である。
【符号の説明】
11 電線
12、15 シール部材
13 接続端子
14 ハウジング
16 フロントホルダ
24 嵌合部
25 収容孔
26 係止アーム
31 筒部
32 端壁
33 開口
34、35 隔壁
36 押さえ部
37 挿通孔
38 挿入防止壁
T 係止解除具

Claims (3)

  1. 電線を後部に接続した複数の接続端子を収容しこれらの接続端子のそれぞれに係止して後抜けを防止する複数の係止アームを備えたハウジングと、該ハウジングの内部に位置して相手側のハウジングとの嵌合部を防水する環状のシール部材と、該シール部材の前方において前記ハウジングの前部に係合するフロントホルダとから成る防水コネクタであって、前記フロントホルダと前記ハウジングとは、前記フロントホルダを前記ハウジングに対して略中間まで押し込んで前記接続端子を前記ハウジング内に後方から挿入可能とする仮係合状態と、前記フロントホルダを前記ハウジングに対して十分に押し込み前記係止アームと前記接続端子との係止状態を保持する本係合状態とで係合可能とし、前記フロントホルダは、前記係止アームの外側に進入する進入端の一部前記シール部材の前端面に当接する筒部を有し、前記仮係合状態において係止解除具を前記フロントホルダと前記ハウジングとの隙間から挿入し、前記係止アームを動かして前記接続端子との係止状態を解除する際に、前記係止解除具が、前記シール部材に接触することを防止する挿入防止壁を前記筒部の一部に設けたことを特徴とする防水コネクタ。
  2. 前記挿入防止壁は前記シール部材の前端面に当接する部分を兼ねるようにした請求項1に記載の防水コネクタ。
  3. 前記フロントホルダ前記仮係合状態で前記係止アームの前方に位置し前記本係合状態で前記係止アームに外接する押さえ部を有する請求項1又は2に記載の防水コネクタ。
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