JP4605818B2 - 浮上油回収装置および浮上油回収方法 - Google Patents

浮上油回収装置および浮上油回収方法 Download PDF

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本発明は油を含む液体から浮上油を回収するための浮上油回収装置およびその回収方法に関する。詳しくは、油で被覆された気泡により油を回収する装置と方法に関する。
油を含む液体を油とその他の液体(典型的には水)とに分離する方法として、比重差を利用して、液面に油を浮上させて分離する方法(浮上油分離法)が広く用いられている。この種の分離法を効率よく行う装置としては、浮上油を回収する装置を液面に浮上(フロート)させて吸引するフロート式を始めとし、浮上油のみを選択的に吸着剤(例えば、ベルト状の吸着材)に吸着させて除去するベルト式、グリーストラップによる濾過式、排液中に気泡を供給して油分を気泡とともに再浮上させるバブル式、等が知られている。
かかる装置の先行技術文献として特許文献1および2が挙げられる。特許文献1に記載の技術では、液面にフロートさせた浮上油吸引装置を上下方向に摺動させ、液面の高低にかかわらず常に一定に浮上油を吸引する技術が開示されている。また、特許文献2に記載の技術では、マイクロバブルによって気泡に油を付着させ、浮上した油を含む気泡をベルトで吸着除去する技術が開示されている。
特開平10−5758号公報 特開2005−219037号公報
ところで、金属を切断、切削、研削等をする際に用いる金属加工機械は、加工の際に発生する摩擦熱を抑えるために、冷却水(クーラント液、水溶性切削油ともいう。)を使用する。冷却水は、循環させて再使用することができるが、金属の加工の際に、機械の防錆や潤滑等を目的とした機械油又は作動油、或いは加工による金属屑等の異物が冷却水に混入することが避けられない。混入した機械油等は貯留槽内で液面に浮上して冷却水を覆い、嫌気性菌(硫酸塩還元菌)が増殖するのに好適な環境を形成するため、悪臭発生の原因ともなっている。さらに、該浮上油(機械油又は作動油、金属屑等を含む)は冷却水の劣化を引き起こし、機械のべとつきなど作業環境にも悪影響を及ぼす。そのため、貯留槽内の浮上油は、冷却水から効率良く回収することが好ましい。
しかしながら、吸着や濾過を利用した装置では、排液中の油の含量が少ないときは分離能に優れているものの、油の含量が多くなると吸着又は濾過できる許容を超えるため、吸着剤や濾過材の交換等のメンテナンスが必要となり、連続して装置を稼働させることができない。また、その他の装置でも、ある程度の量の排液が貯留槽内に貯留されるまで作動に適さない構造であるために装置を稼働させることができず、嫌気性菌を増殖させ悪臭を発生させる原因となっている。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、油を含む液体から浮上油を効率良く分離し回収する装置を提供することである。また、このような装置を用いて浮上油を回収する方法の提供を他の目的とする。さらに、付加的な目的として、悪臭の発生を防止し得る回収手段の提供が挙げられる。
上記目的を実現するべく本発明によって提供される装置は、油を含む液体から浮上油を回収するための浮上油回収装置である。かかる浮上油回収装置は、上記液体を貯留する貯留槽の液面付近の油を含む被処理液を液面下に吸込む油吸入部と、少なくとも一部が上記液面下に配置される気液供給管であって、該液面よりも上方に配置される上端部と該液面下に配置される下端部とを有し、該上端部と下端部との間であって液面下の所定の位置で前記油吸入部と連通する気液供給管と、上記気液供給管の下端部側から該供給管内に気泡を供給する気泡供給手段と、を備える。そして、上記気液供給管内に供給された気泡の該供給管内の上記上端部方向への上昇に伴って上記油吸入部から上記被処理液を該供給管内に供給し、該供給された被処理液中の油を該供給管内の気泡の表面に付着させるとともに、該油の付着した気泡を上記上端部から排出することによって、上記気泡と共に上記油の回収が実現されるように構成されている。
本発明によって提供される浮上油回収装置は、油を含む液体から浮上油を分離して回収する。本発明の浮上油回収装置では、液面付近に浮上する油を被処理液とするが、金属屑などを含む液体であっても被処理液とすることが可能であり、かかる被処理液から油を回収することができる。
本発明においては、従来用いられてきたような、貯留槽内の浮上油を直接回収する装置や、或いは貯留槽に気泡を送り込んで該気泡の表面に油を付着させて浮上した油を回収する装置とは異なる画期的な構想によるものである。本発明によって提供される浮上油回収装置では、上記気液供給管内に吸込んだ被処理液に気泡を噴出して油を付着させ、該油付着気泡(或いは、表面が油及び金属屑等で被覆されている気泡)を貯槽内の液体の液面より高い位置まで該気泡を排出する構成の装置を用いて、該油付着気泡を膨張させて破裂させ、該気泡に付着していた油を選択的に回収するものである。
本発明によって提供される浮上油回収装置の好ましい一態様では、上記気液供給管の上端部から排出された前記油付着気泡をさらに上方に送り出すために、該気液供給管の上端部を覆うようにして、逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管を備える。また、他の好ましい一態様では、上記逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管における該上端部に接続され、上記貯留槽の液面よりも高い位置に配置された消泡器を備え、上記油付着気泡を上記消泡器内で破裂させることにより、該気泡に付着していた油を選択的に回収する。
上記逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管を備える装置は、上記気液供給管内の油付着気泡を貯留槽の液面より上方に排出し、さらに高い位置まで送り出すことができる。これにより、該油付着気泡内の空気が膨張するため僅かな衝撃で破裂させることができる。また、液面より高い位置に配置された消泡器を設置することによって、該膨張した油付着気泡を容易に破裂させることができる。その結果、上記気泡に付着していた油を効率よく回収することができる。
また、本発明によって提供される浮上油回収装置の他の好ましい一態様では、上記消泡器内には上記気泡と接触して該気泡を破裂させる消泡材料が備えられている。
かかる消泡材料としては、スチールウールのような気泡を容易に破裂させ得る材料が好ましい。特にスチールウールは比較的安価で入手し易く、かつ形状を変形させ易いため、消泡材料として好適である。上記膨張した油付着気泡は、該消泡器内に備えられた消泡材料に接触することによって容易に破裂する。その結果、かかる構成を備える装置は効率良く油を回収する装置となり得る。
また、本発明によって提供される浮上油回収装置の他の好ましい一態様では、上記破裂させた気泡を回収するための分離槽をさらに備える。また、他の好ましい一態様では、上記分離槽は油を上記液体との比重差で分離して回収するように構成されている。
上記液面よりも高い位置に排出された該油付着気泡とともに、油以外の被処理液(典型的には水をいう。)が含まれる。従って、上記破裂させた気泡(典型的には表面を被覆する油)を回収するために、分離槽が設置されている。かかる分離槽によって、上記油とそれ以外の被処理液とを比重差により分離するため容易に油を回収することができる。
また、本発明によって提供される浮上油回収装置の他の好ましい一態様では、上記分離槽で分離された油を除く被処理液は、上記貯留槽に循環供給されるように構成されている。
比重差で分離した油以外の被処理液を回収して貯留槽に供給することにより、貯留槽内の液体が循環するため、嫌気性菌の生育を抑制し悪臭を発しない装置となり得る。また、被処理液に含まれる油の割合が減少するため、貯留槽内の油によるべたつきを抑えることができる。
さらに、本発明によって提供される浮上油回収装置の他の好ましい一態様では、上記気泡供給手段は前記液面下に配置された多孔質材料を備えており、該多孔質材料にエアーを送り込んで該多孔質材料の細孔から気泡を発生させるように構成されている。
焼成して製造される多孔質セラミックスなどの多孔質材料は、内部に多数の細孔を有するため、水中でエアーを多孔質材料に送り込むことによって、表面積の大きな微細な気泡を多数作り出すことができる。これにより、より多くの油を該気泡の表面に付着させることが可能となるため、処理能力の高い装置を提供することができる。
なお、上記開示された浮上油回収装置は、下記に開示されるいずれかの方法を実現する装置として好ましく用いられ得る。
また、本発明は、油を含む液体から浮上油を回収する方法を提供する。即ち、本発明によって提供される浮上油回収方法は、上記液体の液面下に吸込んだ該液面付近の油を含む被処理液に気泡を供給し、該被処理液中の油を該気泡の表面に付着させ、該油の付着した気泡を液面上に排出することによって該気泡と共に該油を回収することを特徴とする。
かかる回収方法によると、従来の同種の方法とは異なり、液面付近の被処理液中に含まれる油を気泡の表面に付着させてから、貯槽内の液体の液面より高い位置で該気泡を排出することによって油を回収するため、効率の良い浮上油回収を実現することができる。
また、本発明によって提供される浮上油回収方法の好ましい一態様では、逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管を用いることによって、上記油付着気泡を上記液体の液面から所定の位置まで上昇させて破裂させることにより、当該位置において該気泡に付着していた油を選択的に回収する。液面より高い位置まで上昇させた気泡は、気圧の低下により気泡内の空気が膨張するため破裂され易くなる。
さらに、上記気泡の破裂にはスチールウール等の物理的な手段を用いて破裂させることが好ましい。特に、スチールウールは、比表面積の大きな繊維状の金属であるため、多数の膨張した該気泡を効率よく破裂させることができる。典型的なスチールウールの断面は、三角形等の多面体でエッジを有するため、気泡が接触すると容易に破裂する。これにより、被処理液から容易に浮上油を回収することができる。
また、本発明によって提供される浮上油回収方法の他の好ましい一態様では、上記破裂させた気泡を回収し、上記液体との比重差で上記気泡に付着していた油を分離する。
破裂させた気泡(典型的には気泡に付着する油)を回収することによって、比重差で容易に油を分離することができる。また、該油を除いた被処理液を、再び処理対象の上記液体に供給し循環させることができる。これにより、上記油を含む液体中での嫌気性菌の生育を抑制し、悪臭の発生を防止することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される浮上油回収装置によって回収される浮上油としては、油を含む液体の液面付近に浮上する油一般をいう。後述する油吸入部より吸込み得る粘度のものであれば特に制限はない。例えば、工作機械を用いて金属を加工する際に用いられる水(いわゆる冷却水、クーラント液、または水溶性切削油)に機械油又は作動油等が混入して貯留槽の液面付近に浮上した状態の油(液面に浮遊する異物や一部乳化した油を含む)等を好適に回収することができる。本発明の油回収方法では、このような浮上油を含む液体を被処理液として用いることができる。
以下、本発明の好適な一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明するが、かかる説明は本発明を図面に示したものに限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る浮上油回収装置1の模式的断面図である。かかる装置1は、大まかにいって、被処理液110を液面下に吸込む油吸入部10と、一部が上記液面下に配置される気液供給管20と、上記気液供給管20の下端部側から該供給管内に気泡を供給する気泡供給手段30とを備える。また、上記気液供給管20の上端部には油付着気泡をさらに上方に送り出すための管(以下、本実施形態ではサイフォン管40という。)が連通され、さらに上方に消泡器60が設置されている。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る浮上油回収装置1には、油を含む液体を貯留するための貯留槽100が備えられている。かかる液体は金属加工で排出された排液に限らず、油吸入部10より吸込み得る粘性の油を含む液体であればいかなるものでもよい。また、貯留槽100の形状、大きさは特に限定するものではなく、用途に応じて好ましい形状、大きさの貯留槽を用いることができる。なお、貯留槽100内に貯留する液体は、かかる装置が設置されている場所とは異なる場所で排出された液体が汲み上げられて該貯留槽100に運ばれる構造であっても良く、或いは該貯留槽100内に直接液体が排出される構造にすることも可能である。
また、貯留槽100の下槽部付近に排出口102を設置することができる。貯留槽100は、後述するように油を除いた被処理液が供給されるような構造(具体的には、分離槽70で分離された水74を排出する排水口78)を備えるため、装置を稼働させることによって貯留槽100内の液体に含まれる浮上油112よりも水の含有量が次第に多くなる。そのため、貯留槽100内の水を再利用する場合は、下槽部付近に排出口102を設けることによって、分離された水を回収することができる。また、必要に応じて濾過フィルタを排出口102に備えることによって、沈降する異物を除去することも可能である。さらに、被処理液110を全て排出して貯留槽100内を清掃する際にも利用することができる。
まず、本発明の一実施形態に係る浮上油回収装置1のうち、油吸入部10について詳細に説明する。該油吸入部10は、上記貯留槽100内の液体の液面付近の被処理液110を液面下に吸入するための部材であって、液面に対して水平に浮上し、かつ液面の上昇または下降に追従して上下することができるように構成されている。
該吸入部10の構成要素としては、液面付近の被処理液110を液面下に吸入するため、油吸入部10の一部が液面から浮いて浮力を利用することができるような発砲体又はプラスチック素材等で形成されたフロート部材12を備える。そして、該吸入部のフロート部材12の中央部は、被処理液110を吸入することができるように液面上方に開いた形状の開口部14を有している。
さらに、該該吸入部10は、液面下で該フロート部材12と連結した移送管16を備える。該移送管16としては、開口部14から吸入された被処理液110を液面下に運ぶことができるような中空のL字状の円管により構成されている。そして、該移送管16の一方の先端部分はフロート部材12と接続され、もう一方の先端部分はさらに液面下で気液供給管20に連通されている。
なお、上記フロート部材12と移送管16との接続部18は、液面下に配置されるため、該部分はテフロン(登録商標)パッキン等を用いて耐水加工が施され、強固に密着した接続が形成されている。
次に、本発明の一実施形態に係る浮上油回収装置1のうち、気液供給管20について詳細に説明する。該気液供給管20は、上記油吸入部10の移送管16と連通された筒状の円管である。気液供給管20と該移送管16が連通されることによって、内部に被処理液110が供給される流路が形成されている。
上記移送管16と連通された該気液供給管20は、液面よりも上方に配置される上端部と、液面下に配置される下端部とを有し、液面に対して垂直に設置されている。そして、少なくとも下端部の一部は液面下になるように設置される。また、上記移送管16との連通部分22は、気液供給管20の上端部と下端部との間の所定の位置に設けられている。かかる連通部分22が設けられる位置としては、液面下であって、被処理液110のスムーズな流れが形成されるような位置に設置されている。
次に、本発明の一実施形態に係る浮上油回収装置1のうち、気泡供給手段30について詳細に説明する。
該気泡供給手段30は、気液供給管20の下端部側に設置され、以下の構成を備える。大まかにいって、気泡を供給する手段としてのエアー供給装置32と、エアーの流量を測定するための流量計34、および気泡を形成するための多孔質材料36とを備える。
該エアー供給装置32は、いわゆるエアー(典型的には圧縮空気)を気液供給管20内に噴出することができる装置をいう。かかる装置32は、該エアー供給装置32を用いて供給される気泡が、上記気液供給管20の下端部側から噴出されるように設置される。該エアー供給装置32としては特にその種類を限定するものではないが、例えば工場に設置されることの多い排気エアー(廃ガス)を使用することも可能である。或いは、かかる手段を実現するような装置として、エアーコンプレッサー、圧力ポンプ、市販される気泡発生装置等が挙げられる。
また、該気泡供給手段30には、エアー供給装置32から噴出されるエアーの流量を測定するために流量計34を備えることが好ましい。適当なエアー流量に調節することによって、気泡の供給状態を最適な条件にすることができるためである。好ましい流量としては、凡そ3〜10L/minである。例えば、4〜6L/minがより好ましく、5〜5.5L/minが特に好ましい。
さらに、該気泡供給手段30としては、上記気液供給管20内の下端部側であって、上記エアー供給装置32に隣接して多孔質材料20が備えられている。すなわち、エアー供給装置32から噴出させるエアーを該多孔質材料36に吹きつけるようにして、エアーの噴出方向に対して下流側に配置される。用意される多孔質材料36として特に限定するものではないが、内部に多数の微細な細孔(細孔径が100μm以下)を有するものが好ましい。例えば、焼成して製造される多孔質セラミックスを好適に用いることができ、セラミックストーンまたはウッドストーン等が特に好ましい。かかる微細孔を有する多孔質材料36を配置することによって、上記流量に調節されたエアーが多孔質材料36の微細孔を通過し、表面積の大きな極めて微細な気泡38を好適に作り出すことができる。
上述のような液面下に設置された気泡供給手段30から微細な気泡38が供給されることによって、気液供給管20内の下端部から上端部に向かって上昇水流が発生する。かかる気泡の噴出と上昇水流によって、油吸入部10から液面付近に浮上する被処理液110が一気に油吸入部10の開口部14から吸入されて移送管16を通り、気液供給管20に運ばれる。そして、該気液供給管20の下端部付近で該微細気泡38と被処理液110とが混和される。これにより、被処理液110に含有する油が気泡38の表面に付着し、油膜で覆われた気泡38が形成される。特に、気泡38が微細であるほど、気泡全体の表面積が大きくなるため、気泡表面に油が多く付着される。従って、使用する上記多孔質材料36としては、細孔径100μm以下のものが微細気泡の発生にとって好ましい。
一方、油を除いた被処理液(典型的には水)は該気泡38の表面には付着されず、油膜で覆われた気泡間に分離されて上記気泡38と共に気液供給管20の上端部まで運ばれる。
さらに、上記気液供給管20の液面より上に配置された上端部は、該気液供給管20の径よりも大きい径を備えるサイフォン管40に連通している。該サイフォン管40は内部が中空の管であり、液面よりも上方に配置される上端部と、液面より下に配置される下端部とを有し、少なくとも該下端部の最下端部分は貯留槽100内の液体の液面より下に設置されている。すなわち、液面から突き出ている上記気液供給管20の上端部を覆うようにして該サイフォン管40の下端部は水面下に配置されている。
一方、液面から上の該サイフォン管40は、所定の位置から径が小さくなり、長手方向に対して逆テーパーに形成されている。そして、該逆テーパーの先端から上端部の先端部分までは、径の小さい管が連結されている。
上記形状のサイフォン管40を備える係る装置1によると、上記気液供給管20内の油付着気泡38を貯留槽100の液面より上方に排出し、さらに高い位置まで送り出すことができる。つまり、被処理液110に含有する油が付着した気泡38と、該気泡38の表面に付着されない油を除く被処理液110とを該気液供給管20から汲み上げ、さらに液面よりも上方のサイフォン管40の上端部まで運ぶことが可能となる。その高さは、液面から凡そ1000mmである。これにより、液面より高い位置まで運ばれた該油付着気泡38は、気圧の低下により気泡内の気体が膨張し、個々の該気泡が大きくなる。
上記サイフォン管40の上端部では消泡器60に接続されている。該消泡器60は、該油付着気泡38を破裂させるためのものであり、消泡器60内には上記気泡38を破裂させるための消泡材料62が配置されている。該消泡器60内に配置された消泡材料62に該気泡38が接触することによって、サイフォン管40の上端部まで運ばれて膨張した該気泡38を容易に破裂させることができる。
消泡材料28として特に限定するものではないが、該気泡38が接触して破裂させることができるような材料として、例えばスチールウールを好適に用いることができる。表面積の大きい繊維状のスチールウールは、比較的安価で入手し易く、かつ形状を変形させ易いため充填し易い。また、スチールウールの断面は、三角形等の多面体でエッジを有するため、膨張した気泡が接触すると容易に破裂する。
上記破裂させた気泡38を回収するための分離槽70が上記消泡器60の下方に設置されている。消泡器60内で破裂させた気泡38の表面には油が付着(被覆)しているが、気泡間には油を除く被処理液(典型的には水)が含まれている。従って、気泡の表面に付着した油と、該気泡とともに上昇気流で運ばれてきた油を除く被処理液とを分離するための受け皿として、上記消泡器60の下方に分離槽70が備えられている。
該分離槽30としては、上記油72と油を除く被処理液74とを比重差で分離できるような、従来用いられている構造を備える分離槽70を用いることができる。例えば、液面に浮上して分離した油72を回収するための排油口76が、分離槽70の底面から一定の高さに固定された位置に設置されているものなどが好ましい。かかる構造を備える分離槽70を用いることによって、分離した油72を容易に回収槽80で回収することができる。
また、油を除く被処理液74の排水口78は、油の上記排油口76より低い位置であって、隔壁によって分離されたところから排出することができるような構造を備えるものを好ましく用いることができる。さらに、分離槽70で油から分離された被処理液74は、上記貯留槽100に供給されるような構成の装置を用いることができる。比重差で分離した油72以外の被処理液74を上記排水口78から排出して貯留槽100に供給することにより、貯留槽100内の被処理液110が循環するため、嫌気性菌の生育を抑制し悪臭を発しない装置1となり得る。また、かかる構造により被処理液110の量の増加に応じて分離槽70を大きくする必要がなく、装置1としても小型化されるなどの利点がある。
<浮上油の回収量の測定>
図1に示す浮上油回収装置を用いて浮上油を回収し、従来の装置とそれぞれの回収量を比較した。
実施例として使用した本発明に係る装置は、容量が約50Lの貯留槽を有し、液面に浮上する油吸入部と連通された気液供給管(径約25cm)に気泡が供給されるような構成を備える。そして、該気液供給管の下端部から、流量5.5L/minに流量計で調節した排気エアーを多孔質材料(セラミックストーン)に噴出されるように気泡供給手段が配置されている。また、該気液供給管の上端は高さが約1000mmのサイフォン管が連通され、その上方にスチールウールが配置された消泡器を備えている。さらに、該消泡器の下方には分離槽と、分離された油を回収するための回収槽とを備える(図1参照)。
次に、被処理液として、以下のものを調製し使用した。浮上油としては、ダフニー(登録商標)(出光興産株式会社製品、ISO粘度グレード:32)を使用し、水溶性切削油ES−20AI(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製品)2Lに、該浮上油2500mLを添加したものを被処理液とした。
また、比較例1としてチューブ式浮上油回収装置(田中インポートグループ株式会社製品、チューブスキマーTS900)、比較例2としてベルト式浮上油回収装置(株式会社ブンリ製品、スキマーCBS)をそれぞれ用いて、上記実施例と同じ条件に調製された被処理液の浮上油を回収し、その回収量を測定した。なお、ベルト式、チューブ式とも、吸着材に浮上油を吸着させて回収する装置である。
図2は、それぞれの装置を稼働して回収された浮上油の回収量の測定結果を比較したグラフである。これによると、60分間の稼働で最も浮上油の回収量が多かったのはベルト式装置(比較例2)であった。その回収量は約2200mLである。次に、回収量が多かったのは、本発明に係る装置(実施例)であり、回収量は約1200mLであった。また、最も回収量が少なかったのはチューブ式装置(比較例1)であり、その回収量は約800mLであり、ベルト式の3分の1程度を示した。
上記の浮上油の回収量の測定結果から、本発明に係る装置ではベルト式ほど回収量は得られないもののチューブ式よりも多かった。ベルト式およびチューブ式は、一般に浮上油の回収量が多い装置であるといわれているが、吸着材の交換などのメンテナンスに手間がかかり、装置の連続運転が困難である。しかしながら、本発明に係る装置は、連続運転が可能であり、十分に浮上油を回収することが確認された。
本発明の一実施形態に係る浮上油回収装置の模式的断面図である。 浮上油の回収量の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 浮上油回収装置
10 油吸入部
12 フロート部材
14 開口部
16 移送管
18 接続部
20 気液供給管
22 連通部分
30 気泡供給手段
32 エアー供給装置
34 流量計
36 多孔質材料
38 気泡
40 サイフォン管
60 消泡器
62 消泡材料
70 分離槽
72 分離油層
74 分離水層
76 排油口
78 排水口
80 回収槽
100 貯留槽
102 排出口
110 被処理液
112 浮上油

Claims (11)

  1. 油を含む液体から浮上油を回収するための浮上油回収装置であって、
    前記液体を貯留する貯留槽の液面付近の油を含む被処理液を液面下に吸込む油吸入部と、
    少なくとも一部が前記液面下に配置される気液供給管であって、該液面よりも上方に配置される上端部と該液面下に配置される下端部とを有し、該上端部と下端部との間であって液面下の所定の位置で前記油吸入部と連通する気液供給管と、
    前記気液供給管の下端部側から該供給管内に気泡を供給する気泡供給手段と、
    を備えており、
    前記気液供給管内に供給された気泡の該供給管内の前記上端部方向への上昇に伴って前記油吸入部から前記被処理液を該供給管内に供給し、該供給された被処理液中の油を該供給管内の気泡の表面に付着させるとともに、該油の付着した気泡を前記上端部から排出することによって、前記気泡と共に前記油の回収が実現されるように構成されており、
    ここで、前記気液供給管の上端部から排出された前記油付着気泡をさらに上方に送り出すために、該気液供給管の上端部を覆うようにして、逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管が備えられていることを特徴とする、浮上油回収装置。
  2. 前記逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管における該上端部に接続され、前記貯留槽の液面よりも高い位置に配置された消泡器を備え、
    前記油付着気泡を前記消泡器内で破裂させることにより該気泡に付着していた油を選択的に回収する、請求項1に記載の装置。
  3. 前記消泡器内には前記気泡と接触して該気泡を破裂させる消泡材料が備えられている、請求項2に記載の装置。
  4. 前記破裂させた気泡を回収するための分離槽をさらに備える、請求項2又は3に記載の装置。
  5. 前記分離槽は油を前記液体との比重差で分離して回収するように構成されている、請求項4に記載の装置。
  6. 前記分離槽で分離された油を除く被処理液は、前記貯留槽に循環供給されるように構成されている、請求項5に記載の装置。
  7. 前記気泡供給手段は前記液面下に配置された多孔質材料を備えており、
    該多孔質材料にエアーを送り込んで該多孔質材料の細孔から気泡を発生させるように構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
  8. 油を含む液体から浮上油を回収する方法であって、
    前記液体の液面下に吸込んだ該液面付近の油を含む被処理液に気泡を供給し、該被処理液中の油を該気泡の表面に付着させ、該油の付着した気泡を液面上に排出し、
    逆テーパーに形成され、該逆テーパーの先端から上端部の先端まで径の小さい管が連結されている管を用いることによって、該油付着気泡を前記液体の液面から所定の位置までさらに気泡の状態のまま上昇させて破裂させることにより、当該位置において該気泡に付着していた油を選択的に回収することを特徴とする、浮上油回収方法。
  9. 前記油付着気泡を物理的な手段を用いて破裂させる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記破裂させた気泡を回収し、前記液体との比重差で前記気泡に付着していた油を分離する、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記分離した油を除いた被処理液を、前記液体に供給する、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
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