JPH10230248A - 海水中の混入乳化重質油の回収除去方法 - Google Patents

海水中の混入乳化重質油の回収除去方法

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JPH10230248A
JPH10230248A JP9078784A JP7878497A JPH10230248A JP H10230248 A JPH10230248 A JP H10230248A JP 9078784 A JP9078784 A JP 9078784A JP 7878497 A JP7878497 A JP 7878497A JP H10230248 A JPH10230248 A JP H10230248A
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emulsified heavy
seawater
emulsified
bubbles
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JP9078784A
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Shiyunya Iso
舜也 磯
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Tokyo Kyuei Co Ltd
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Tokyo Kyuei Co Ltd
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    • Y02A20/204Keeping clear the surface of open water from oil spills

Abstract

(57)【要約】 【課題】乳化重質油は、石油とは異なり、重質油が水に
分散したエマルジョンであるので、海水中に分散し易
く、また、海水と一緒に取り込んで、静置したり遠心分
離機にかけたりしても、石油のようには分離することが
できない。 【解決手段】乳化重質油の混入した海水層に、下方から
平均直径10〜3000μmの気泡を送り込み、気泡に
乳化重質油を吸着させ上方に浮上される工程(以下「浮
上処理工程」)を実施し、得られた高濃度の乳化重質油
を含む浮遊層を回収除去する。この浮上処理工程は、港
湾等の海域でも、陸上のプラントでも実施することがで
きる。また、この浮上処理工程は、残った海水の乳化重
質油濃度が1ppm以下になるまで繰り返し実施するこ
とができる。1ppm以下になったら、微量の乳化重質
油を吸着剤に吸着させて、海等の自然水系に排出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、タンカ
ーから乳化重質油を陸上のタンクに陸揚げする際の事故
によって、海面に漏出した乳化重質油を回収するための
方法に関するものである。近年、原油生産量の伸び悩み
から、タール等の重質油の有効利用を計るため種々の研
究がなされてきた。その結果、地下の砂中のタールを、
界面活性剤を含んだ水を圧入して乳化し、乳化物として
採取する方法が開発された。一方、このようにして得ら
れた乳化重質油は、粘性の高い元のタールとは異なり、
ほぼ通常の液体として取り扱うことができることから、
そのまま船積みされ、運搬され、陸揚げされ、発電所等
の燃料として使用されている。しかしながら、このよう
な乳化重質油が、輸送中の事故によって海上に流失した
場合の対策については全く検討されていない。近年に起
こった何回かのタンカー事故の経験から、新造のタンカ
ーは二重底になっているので、事故でタンカーが多少損
傷しても石油等の流失は減少するものと考えられる。し
かしながら、陸揚げの際の事故による漏出については、
未だ改善されていない。本発明は、このような状況にお
いて、主として、陸揚げする際の事故によって、海面に
漏出した乳化重質油を回収するための方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、石油の流失事故の際は、先ず、オ
イルフェンスを巡らせて石油が海面上を拡がって行くの
を防止し、次に、海面上に溜まった石油を陸上又は船上
から吸い取って回収する方法がとられている。そして、
大部分の石油が回収されると、更に、海面の石油と海水
を一緒に陸上又は船上に取り込み静置槽や遠心分離機等
で分離する方法がとられている。その他、石油ゲル化剤
を投入し石油を凝固させて回収する方法がとられ、ま
た、外洋では、乳化剤を投入し、石油を乳化分散させ海
中の微生物による分解を期待する方法も採用されてい
る。
【0003】一方、廃水を処理する際に気泡を利用し
て、廃水中に浮遊している油脂や懸濁している有機物を
浮上させ分離することはよく知られている。その一つの
方法として、加圧浮上分離法がある。これは、加圧下で
廃水に空気を溶解させ、常圧に戻した時、溶解していた
空気が気化し微細気泡となることを利用するもので、こ
の方法を利用した装置には上向流式装置と水平流式装置
とがある。もう一つの方法として、分散空気法がある。
これは、気泡を機械的に微細化して廃水中の粒子に付着
させるもので、通常、気泡を微細化するため起泡剤を添
加し、気泡表面の荷電を汚濁粒子と反対にするため高分
子凝集剤を添加することが多い。この気泡を機械的に微
細化する方法及び装置として、例えば、特公昭52−1
4546号には、浮上分離槽の底部に、上部を閉塞した
円筒体を垂直にして液中に完全に浸漬し、高速で回転さ
せながら、その円筒体中に下方から空気を圧入し、円筒
体の下端の縁からでる気泡を切断し微細化する装置が開
示されている。なお、この装置で廃水を処理する場合
は、廃水中の汚濁物質をフロック化するため凝集剤を添
加することが必要であり、気泡捕集剤としてアミルアル
コール等を添加することが必要である。
【0004】また、金魚鉢、養魚池、廃水処理槽等にお
いて、水中への空気中の酸素の溶解を促進するため、水
中に微細な気泡を発生させる装置も開発されている。そ
の一つは、多数の微細孔を有する散気管や散気板から空
気を噴出させて微細な気泡を発生させる装置であり、微
細孔を有する素材として、セラミックス等の無機材料だ
けでなく、合成樹脂やゴム等の有機材料まで使用されて
おり、更に、ゴムの弾性を利用して逆止弁機能を持たせ
たものもある。他の一つは、水中で高速回転する翼車等
で噴出する空気を細断し微細な気泡を発生する装置で、
屋外の養魚池等で多用させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】乳化重質油は、石油と
は特性が異なるので、石油の流失事故の際と同じような
方法をとることができない。例えば、乳化重質油の比重
は、海水の比重に非常に近接しているので、比重差のあ
る石油のように簡単に分離せず、また、乳化重質油は、
界面活性剤によって重質油が水の中に分散したエマルジ
ョンであるので、石油とは異なり、極めて容易に、海水
中に横方向だけでなく、垂直方法にも拡散して行く。従
って、海面上数十センチ、海面下数十センチ程度しかな
い従来のオイルフェンスでは、乳化重質油の拡散を防止
することはできない。また、乳化重質油は、石油のよう
に海面上に層になって浮遊しないので、石油の回収装置
によって乳化重質油だけを吸い取ることも困難であり、
また、乳化重質油を海水と一緒に取り込んで、静置槽や
遠心分離機等で分離しようとしても、石油と海水の混合
物のように簡単には分離できない。また、乳化重質油だ
けを凝固しようとしても、未だ生態系に安全な凝固剤も
開発されていないし、また、既にエマルジョン化してい
る乳化重質油に、更に乳化剤を加えて分散されるのも生
態系に好ましいことではない。また、廃水処理のよう
に、分散空気法を利用しようとして、乳化重質油をフロ
ック化するため凝集剤を使用したり、気泡捕集剤を使用
すれば、生態系に悪影響を与えるおそれがある。本発明
が解決しようとする課題は、このような状況下で、生態
系に悪影響を与えることなく、乳化重質油を効率的に回
収し除去することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題を解決するため、乳化重質油の混入した海水層に、下
方から平均直径10〜3000μmの気泡を送り込み、
気泡に乳化重質油を吸着させ上方に浮上させる工程(以
下「浮上処理工程」という)を実施し、得られた高濃度
の乳化重質油を含む浮遊層を回収除去することを特徴と
する乳化重質油の回収除去方法(以下「第1発明」とい
う)、及び、港湾等の海域の乳化重質油の混入した海水
を陸上の貯槽に汲み上げ、上層に乳化重質油の層が出現
した場合はそれを回収除去した後、浮上槽に移し浮上処
理工程にかけて、得られた高濃度の乳化重質油を含む浮
遊層を回収除去し、もし、その下層の海水中の乳化重質
油濃度が充分低くなっていない場合は、充分に低くなる
まで下層の海水について浮上処理工程を繰り返し、最後
に得られた下層の海水を、残存する微量の乳化重質油を
吸着剤に吸着させて除去した後、海等の自然水系に排出
することを特徴とする乳化重質油の回収除去方法(以下
「第2発明」という)を提案する。
【0007】第1発明は、浮上処理工程、すなわち、乳
化重質油の混入した海水層の下方の海中から平均直径1
0〜3000μmの気泡を送り込み、気泡に乳化重質油
を吸着させ上方に浮上させる工程を実施し、得られた高
濃度に乳化重質油を含む浮遊層を回収除去することを特
徴としている。一般に、食器についた油脂や衣類につい
た油汚れを、洗剤によって乳化し、多量の水の中にエマ
ルジョンとして分散させ、また、油脂や油汚れをスカム
とし泡に吸着させ表面に浮上させることによって、食器
が洗浄され衣類が洗濯されることはよく知られている。
しかしながら、少量の油脂類を多量の水の中に分散さ
せ、それを更に希釈し洗い流す洗浄洗濯の場合と異な
り、高濃度の重質油のエマルジョンが海水中に分散し希
釈化されつつあるとき、洗浄洗濯の場合とは逆に濃縮す
ることは、殆ど不可能と考えられ、更に、乳化重質油が
希薄なエマルジョンとして拡散しつつある時に、空気に
よって泡立てることは、拡散希薄化を促進するおそれが
あると考えられていた。また、真水とは異なり、通常の
浴用石鹸が使えない海水で、乳化重質油の中の界面活性
剤がどのような挙動するかもよくわかっていなかった。
このような状況下で、本発明者らは、鋭意研究の結果、
海水に混入した乳化重質油は、気泡に吸着され、その気
泡とともに上昇するが、その気泡とともに上昇する乳化
重質油の量もかなりの量に達することがわかり、残され
た海水中の乳化重質油の濃度もかなり低下することを発
見して、本発明に到達したものである。
【0008】第1発明において、乳化重質油の混入した
海水層に、下方から送り込む気泡の大きさは、平均直径
が10〜3000μmの範囲である。一般に、気泡が小
さくなるにつれて、界面の総表面積が大きくなり、気泡
の単位総容積当たりの吸着重質油量は多くなるが、気泡
の上昇速度は遅くなる。また、気泡が大きくなると、吸
着重質油量は少なくなるが、気泡の上昇速度は速くな
る。そして、気泡の平均直径が10μm未満であると、
気泡の上昇速度が非常に遅くなり、乳化重質油を浮上分
離することが困難になる。また、気泡の平均直径が30
00μmを超えると、乳化重質油を充分に吸着すること
なく気泡が急上昇するので、浮上させる乳化重質油の量
よりも、海水を攪拌して拡散される乳化重質油の量の方
が多くなるおそれがあるので好ましくない。そして、気
泡の大きさは、吸着される乳化重質油の量と、上昇速度
とのバランスによって選択される。一般に、乳化重質油
の拡散した層が薄い場合は、気泡の上昇速度より吸着量
の多い方がよいので小さい気泡の方がよい。また、乳化
重質油の拡散した層が厚い場合は、更に拡散しないよう
に急速に回収する必要があるので、上昇速度の速い大き
い気泡の方がよい。通常、使用される気泡の大きさは、
好ましくは、平均直径が50〜300μmの範囲であ
る。また、気泡の直径の分布は、必ずしも均一である必
要はなく、むしろ、小さい気泡が主として重質油の吸着
を受持ち、大きい気泡が小さい気泡を上へ運ぶ運搬を受
け持つので、多少はバラついていた方がよい。
【0009】このような気泡を発生させる方法には、幾
つかの方法がある。その一つは、前述の加圧浮上分離法
である。これは、加圧下で廃水に空気を溶解させ、常圧
に戻した時、溶解していた空気が気化し微細気泡となる
ことを利用するものである。もう一つの方法は、圧搾空
気をパイプで液層の下方に送り込み、微細孔を有する隔
壁から空気を微細な気泡として噴出させる方法である。
微細孔を有する素材には、多孔質セラミック、焼結合金
フィルター、焼結ガラスビーズ、多孔質カーボン、エア
ーストン等の無機素材、及び、多孔質ポリエチレン、多
孔質ポリプロピレン、多孔質ポリスチレン、多孔質AB
S樹脂、ゴム等の有機素材の各種の素材が使用され、ま
た、前述のゴムの弾性を利用して逆止弁機能を持たせた
ものも使用される。もう一つの方法は、前述の水中で高
速回転する翼車等で噴出する空気を機械的に細断し微細
な気泡を発生する方法である。一般に、この機械的に微
細な気泡を発生させる装置は、モーター等の電気機器を
具備することが多いので、海中に持ち込むことが困難な
場合が多い。
【0010】第2発明は、港湾等の海域の乳化重質油の
混入した海水を陸上の貯槽に汲み上げ、上層に乳化重質
油の層が出現した場合はそれを回収除去した後、浮上槽
に移し浮上処理工程にかけて、得られた高濃度の乳化重
質油を含む浮遊層を回収除去し、もし、その下層の海水
中の乳化重質油濃度が充分低くなっていない場合は、充
分に低くなるまで下層の海水について浮上処理工程を繰
り返し、最後に得られた下層の海水を、残存する微量の
乳化重質油を吸着剤に吸着させて除去した後、海等の自
然水系に排出することを特徴としている。第2発明に係
わる発明では、先ず乳化重質油の混入した海水を陸上の
貯槽に汲み上げる。貯槽は、この海水を一時保管する
が、海水に混入した乳化重質油は、塩分等による界面活
性剤の活性の低下により、その一部が表面に浮遊するこ
とも多い。このような乳化重質油の浮遊層が出現した場
合は、これを回収除去する。このような操作により、下
層の海水の乳化重質油濃度を下げることができる。例え
ば、最初乳化重質油の濃度が80,000ppmの海水
を、24時間静置すると2層に分離し、下層の海水の乳
化重質油の濃度が4,000ppmまで低下させること
ができる。それから、浮上処理工程にかけると、多くの
場合、下層の海水中の乳化重質油の濃度は1ppm程度
になる。しかし、最初に浮上処理工程に供給された海水
の乳化重質油の濃度が非常に高い場合には、その浮上処
理工程で得られた下層の海水の乳化重質油濃度も高くな
る。この場合は、再度浮上処理工程にかけ、下層の乳化
重質油濃度を1ppm以下することができる。そして、
残存する微量の乳化重質油を吸着剤に吸着させて除去し
た後、海等の自然水系に排出する。
【0011】
【発明の実施の形態】
1.屋内実験 (1)基準海水及び濃度検定グラフの作成 海水は、黒潮と親潮、外洋と港湾内等の環境によって、
組成や浮遊物等の状況が異なるので、水道水に天然塩を
添加し、塩分換算で3.2%になるよう調整して基準海
水とした。乳化重質油として製品化されている乳化重質
油(以下、屋内実験でいう乳化重質油は、すべてこの乳
化重質油である)を使用し、この乳化重質油を、所定の
濃度になるように基準海水に混合して、それぞれの濃度
の混合物について、ハロゲンランプの白色光の吸光度を
測定して、吸光度から濃度を求める濃度検定グラフを作
成した。
【0012】(2)低濃度浮上濃縮試験 予め実験したところ、同一条件で気泡を発生させても、
海水中の気泡は真水の中の気泡より小さくなる。そし
て、海水を加圧しておいて常圧に戻し溶けていた空気を
気化させる方法(以下「加圧浮上方式」という)によっ
て形成される気泡が最も小さく、平均直径が約40μm
である。また、機械的な方法で気泡を発生させる方法
(以下「機械方式」という)では、ローター形状や回転
数等を調整することによって、細かい気泡から大きい気
泡まで発生させることができるが、この実験では、特公
昭52−14546号に記載された装置と類似の装置を
用い、平均直径が約100μmの気泡を発生させること
にした。また、微細孔から気体を噴出させて気泡を発生
する方法(以下「微細孔方式」という)では、その微細
孔の断面積、断面形状、長さ等によって、気泡の大きさ
はほぼ定まってしまうが、この実験では、多孔質セラミ
ックスのパイプを使用し平均直径が約200μmの気泡
を発生させることにした。この低濃度浮上濃縮試験で
は、各方式ごとに、内径11cm深さ100cmの円筒
容器を準備し、それぞれに、乳化重質油の濃度を35p
pmに調整した標準海水を60cmの深さに入れ、底部
から各方式で泡を発生させ、下層の乳化重質油の濃度の
経時変化を測定した。その結果を図1に示す。この図か
ら、気泡による乳化重質油の浮上による下層の海水の乳
化重質油の濃度の低下は、平均直径が約100μmの気
泡の場合が最も大きく、平均直径が約200μmの気泡
の場合がこれに次ぎ、平均直径が約40μmの気泡の場
合がこれに続いていることが理解される。
【0013】なお、この実験における各方式の気泡の平
均直径、海水の単位表面積・単位時間当たりの気泡の総
容積、及び、海水の単位表面積・単位時間当たりの気泡
の総表面積は表1のとおりであった。
【0014】
【表1】
【0015】図1、及び、表1から、加圧浮上方式では
気泡は細かいが、減圧によって放出される空気量、すな
わち、気泡総容積が非常に少なく、従って、気泡が小さ
いにもかかわらず気泡総表面積も小さくなり、乳化重質
油の浮上濃縮効果が微弱になっている。このことをもっ
て、直ちに、気泡の平均直径が約40μmでは浮上濃縮
効果がないとはいえない。気泡の平均直径が同じであれ
ば、海水単位表面積・単位時間当たりの気泡総容積が大
きくなれば、それに比例して浮上濃縮の効果も高くなる
と予想される。実験でも、図2のように、それを裏付け
る結果がえられている。従って、加圧浮上方式のような
小さい気泡でも、気泡総容積が機械方式と同程度になっ
たら、充分浮上濃縮効果が現れると期待される。
【0016】(3)高濃度浮上濃縮試験 乳化重質油の濃度だけを、それぞれ、1,000pp
m、2,500ppm、5,000ppm、10,00
0ppmに設定した他は、前述の低濃度浮上濃縮試験と
同じ条件で、機械方式と微細孔方式について、浮上濃縮
試験を行った。その結果を、図3及び図4に示した。こ
れらの図から、両方式とも、即ち、気泡の平均直径が1
00〜200μmの範囲では、下層に残された海水中の
乳化重質油濃度の低下がみられ、気泡による重質油の浮
上濃縮効果が認められる。なお、最初の乳化重質油の濃
度が高い場合には、残存海水中の濃度が、10ppm程
度に収斂し1ppm以下にならないのは、上層の浮遊層
と下層の海水との間の濃度勾配が大きいことから、気泡
の上昇による乳化重質油の濃縮に対抗して、下方に大き
な拡散速度を有しているためと推定される。
【0017】2.野外の実施態様 (1)処理海域の特定 一般に、タンカーから乳化重質油を陸揚げする際、事故
等によって海面に漏出した乳化重質油を回収するには、
あらかじめ周囲に浮きをつけた可撓性シートを海面に浮
かせておき、その可撓性シートの中に漏出した乳化重質
油を受け、それをポンプ等で吸い取る方法が最も効率的
である。しかしながら、港湾の形状、風雨波浪の状況に
よって、いつも、あらかじめ前述のような準備ができて
いるとは限らない。一方、本発明に係わる乳化重質油の
回収除去方法は、本質的には、開放された海域でも実施
することが可能である。しかしながら、事故等により海
上に漏出した場合は、原油の流失事故と同じように、更
なる乳化重質油の拡散を防止するため、オイルフェンス
をめぐらせた上で、本発明に係わる乳化重質油の回収除
去方法を実施した方がよい。更に、乳化重質油は下方に
も拡散するのを考慮すれば、それを防止するため、オイ
ルフェンスの底部にも隔膜が設けられていることが好ま
しい。
【0018】(2)第1発明に係わる実施例 図5は、第1発明において港湾等の海域に実施される浮
上処理工程の一つの実施例の説明図であり、周囲をオイ
ルフェンスに囲まれたほぼ矩形の乳化重質油漏出海域の
中程の一部を示したものである。1は空気導入管、2は
フランジ、3は微細孔隔壁、4はオイルフェンス、5は
浮き、6は越流堰、7は誘導溝を示す。図5で、空気導
入管1に圧搾空気を送って、フランジ2に設けられた微
細孔隔壁3から微細気泡を発生させると、微細気泡の上
昇とともに乳化重質油も浮上し浮遊層を形成する。そし
て、浮遊層の一部は、越流堰6から溢れて誘導溝7に誘
導される。海水の表面に浮遊する浮遊層及び誘導溝7に
誘導された浮遊層は、ポンプで陸上の回収タンクに送ら
れる。
【0019】(3)第2発明に係わる実施例 図6は、第2発明に係わる一つの実施例の工程図であ
る。図6において、第1浮上槽、及び、第2浮上槽は、
通常、気泡の大きさが比較的容易に変えられる機械方式
を採用し、A、及び、Bは切替えコックを示す。図6
で、港湾等の海域の乳化重質油の混入した海水を陸上の
貯槽に汲み上げ、上層に乳化重質油の層が出現した場合
はそれを回収除去した後、第1浮上槽に移し浮上処理工
程にかけて、得られた高濃度の乳化重質油を含む浮遊層
を回収除去し、もし、その下層の海水中の乳化重質油濃
度が充分低くなっていない場合は、更に、コックA、及
び、コックBを経由して、第2浮上槽に移し浮上処理工
程にかけて、下層の海水の乳化重質油濃度が充分に低く
なったのを確認した後、下層の海水を、吸着槽に移し残
存する微量の乳化重質油を吸着剤に吸着させて除去した
後、海等の自然水系に排出するようになっている。な
お、この実施例では、一回の浮上処理工程で済む場合
は、コックA、及び、コックBを切替えて、第1浮上槽
と第2浮上槽とを平行に使用できるようになっている。
すなわち、第1浮上槽から出た海水を、コックAを経由
して直接吸着槽に送るとともに、未処理海水を貯槽から
直接コックBを経由して第2浮上槽に送り、第2浮上槽
で処理された海水を吸着槽に送るようになっている。
【0020】(4)浮上処理の他の実施例 図7は、浮上処理装置の他の一つの実施例である連続浮
上処理装置の説明図である。この図で、8は連続処理
槽、9は未処理海水入口、10は処理海水出口、11は
仕切壁、12は円筒体、13はモータ、14は邪魔板、
15は空気導入管、16は誘導溝、17はオイルスキー
マである。この装置では、仕切壁11によって3個の部
屋に仕切られ、各部屋には、機械方式による気泡発生装
置が設けられており、この気泡発生装置は、モータ13
により高速回転する円筒体12の内側に、空気導入管1
4から空気を送り込み、円筒体12の下端周辺から微細
気泡を発生させるようになっている。未処理海水は、入
口9から入り、左端の部屋から右端の部屋に移動するに
つれて、微細気泡により、乳化重質油を除去された後、
出口10から排出される。
【0021】
【発明の効果】本発明に係わる乳化重質油の回収除去方
法は、前述のような構成であるので、港湾等の海域で漏
出した乳化重質油を、全く生態系に悪影響を与えること
なく回収除去することができ、人類を初め多種の生物体
が健全に生存できる環境を保全するために大きく寄与す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】気泡平均直径と乳化重質油除去効果との関係を
示す図である。
【図2】気泡総容積と乳化重質油除去効果との関係を示
す図である。
【図3】平均直径100μmの気泡における乳化重質油
の初期濃度と除去効果との関係を示す図である。
【図4】平均直径200μmの気泡における乳化重質油
の初期濃度と除去効果との関係を示す図である。
【図5】港湾等の海域で行われる第1発明に係わる一つ
の実施例の説明図である。
【図6】第2発明に係わる一つの実施例の工程図であ
る。
【図7】第1発明の他の一つの実施例に係わる連続浮上
処理装置の説明図である。
【符号の説明】
1 空気導入管 2 フランジ 3 微細孔隔壁 4 オイルフェンス 5 浮き 6 越流堰 7 誘導溝 8 連続処理槽 9 未処理海水入口 10 処理海水出口 11 仕切壁 12 円筒体 13 モータ 14 邪魔板 15 空気導入管 16 誘導溝 17 オイルスキーマ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳化重質油の混入した海水層に、下方か
    ら平均直径10〜3000μmの気泡を送り込み、気泡
    に乳化重質油を吸着させ上方に浮上させる工程(以下
    「浮上処理工程」という)を実施し、得られた高濃度の
    乳化重質油を含む浮遊層を回収除去することを特徴とす
    る乳化重質油の回収除去方法
  2. 【請求項2】 港湾等の海域の乳化重質油の混入した海
    水を陸上の貯槽に汲み上げ、上層に乳化重質油の層が出
    現した場合はそれを回収除去した後、浮上槽に移し浮上
    処理工程にかけて、得られた高濃度の乳化重質油を含む
    浮遊層を回収除去し、もし、その下層の海水中の乳化重
    質油濃度が充分低くなっていない場合は、充分に低くな
    るまで下層の海水について浮上処理工程を繰り返し、最
    後に得られた下層の海水を、残存する微量の乳化重質油
    を吸着剤に吸着させて除去した後、海等の自然水系に排
    出することを特徴とする乳化重質油の回収除去方法
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