JP2016150315A - 液体処理装置および液体処理方法 - Google Patents

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和茂 川村
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Abstract

【課題】多量のマイクロバブルを容易かつ確実に導入することで、効率的に被処理液中の油分や浮遊物等の含油物の処理(除去)ができ、また、一旦生成した含有物の凝集体の解砕や一旦浮上した含有物の沈降を防止できる液体処理装置および液体処理方法を提供する。
【解決手段】オゾンを含むマイクロナノバブルを導入することで油分を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて油分を被処理液から分離して処理液を得る第1領域S1と、第1領域S1と区分けされて、第1領域から処理液を受け入れる第2領域S2とを有する処理槽1と、第2領域S2から処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環水中にマイクロナノバブルを発生させ、このマイクロナノバブルを循環液とともに第1領域S1に供給するマイクロバブル供給手段7とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも油分等の含有物を含む被処理水液を処理する液体処理装置および液体処理方法に関する。
油、浮遊物(SS)は排出規制物質であり、これらを被処理水から除去するために、数多く除去設備が設置されており、現在でも排水処理としてのコスト削減に向けた研究開発が行われている。
また、水資源の確保の観点から排水の再利用に向けた検討が進むなか、脱塩を含む処理システム全体の中で油、SSの除去は前段処理として後段への影響が大きいことから注目されている。
特に、海洋海底や陸上において原油やメタンガス等を採取する際に同伴して取り出される多量の「随伴水」は、「規制物質の投棄・排出の禁止、通報義務、その手続き等について規定するための国際条約とその議定書(正式名称は1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(海洋汚染防止条約もしくはマルポール73/78条約と呼ばれる))」に規定されている、油分などの物質が含まれているため、簡便で安価に処理することが求められている。
また、油分で汚染された土壌などの浄化の際に排出される排水の処理も簡便に処理できる技術が求められている。
さらに近年では再利用、高度処理が注目されている。
随伴水の処理では、一般的に随伴水に含まれる油分の含有状態に応じて異なる方法で処理することが行われている。具体的に説明すると、随伴水に含まれる油分は、目視確認できる程度に大きいサイズで液中や液上層に分散したり浮上したりしている状態(フリーオイル)、容易には目視確認できないサイズで液中に分散している状態(乳化オイル又はエマルジョンオイル)、水に溶解している状態(溶解オイル)の3つの含有状態に分類することができる。
これらのうち、フリーオイルは、比重差や相溶性の差を利用して物理的に分離する層分離法で概ね除去することができる。層分離法には、例えばAPI(American Petroleum Institute)オイルセパレータや、シェル社の技術で波型平行坂の採用によりオイルを効率よく重力分離できるCPI(Corrugated Plate Interceptor)セパレータ、静置分離槽などを挙げることができる。しかしながら、乳化オイルと溶解オイルは、層分離法で除去することができない。
溶解オイルの場合は、酸化剤を添加することで分解除去することができるが、添加する酸化剤量が多くなる上、反応時間も長くなる。そのため、吸着法を単独あるいは他の処理法と併用して使用することが提案されている。この方法は、活性炭や無機素材を使って随伴水中の溶存有機物を吸着して脱着するものである。
また、乳化オイルの場合は、溶解オイルと同様に酸化剤の添加で分解除去することができるが、不溶状態で分離していることから、分解に要する酸化剤の量は溶解オイルより大幅に多くなる上、反応に長時間を必要とし、完全に分解できないこともある。そこで、凝集法や乳化オイル破壊法が提案されている。
凝集法は、凝固剤や凝集剤を被処理水に添加して、遠心分離機等で油分と水分とを分離する方法であり、乳化オイル破壊法は油性の被処理水に乳化破壊剤を添加して油分を分離する方法である。さらに、これら凝集法や乳化オイル破壊法に加えて、上記した吸着法が併用されることもある。
しかしながら、上述したような酸化剤や凝集剤を使用する従来の方法は、随伴水等の被処理水の処理量が膨大になると薬剤の使用量やそれに伴う廃棄物の発生量が多くなって処理費用が嵩むことが問題になっていた。
また、随伴水には、上述した油分の他、硫化物、浮遊物(SS)、有害金属類、菌体微生物類が含まれている場合が考えられる。これら複数の処理対象物質を含む膨大な水量の随伴水を処理するためには、従来は複雑な処理システムが必要となる上、複数の薬剤の準備と大量の廃棄物の取り扱いが必要となり、設備費用や運転費用の増加が避けられなかった。
また、脱塩して灌水利用、河川放流などを目的とした排水処理方法がある。この方法では、油分、SSの除去に続いて逆浸透膜(RO)による脱塩を行うが、この逆浸透膜のファウリングが課題であり、膜洗浄、膜交換の頻度が高まり安定的な運転が継続できず、高価な薬剤を使用せざるを得ないという課題がある。さらに、膜以外でも、吸着材、イオン交換樹脂、膜フィルター、ファイバーフィルターを油分、SSの除去に続いて行う場合にはファウリングによる運転弊害が起こることが知られている。
このような問題を解消すべく、特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は大量に取り出される随伴水を、薬剤の使用やそれに伴う廃棄物の発生によるコスト増を抑えながら簡便に処理する方法である。
この処理方法は、原油または天然ガスの産出に伴って取り出され、処理対象物質として少なくとも油分を含む随伴水の処理方法であり、オゾン含有ガスからなるマイクロナノバブルを随伴水に導入して乳化オイルを凝集させる凝集工程と、凝集した乳化オイルをスカムとして浮上分離させて浄化水を得る浮上分離工程とからなる処理方法であり、薬剤の使用やそれに伴う廃棄物の発生を抑えながら大量の随伴水を簡便に処理することが可能となる。
また、オゾン処理することによって、乳化オイルの処理だけでなく、随伴水に油分に加えて含まれ得る硫化物、浮遊物(SS)、有害金属類、菌体微生物類等を処理することができる。
特開2013−180213号公報
ところで、微細化ガス(マイクロバブル)を用いて排水中の含有物を分解や凝集体の生成による浮上分離によって浄化させる排水処理方法においては、必要とするガスの量が多量となることが多いため、従来の加圧式浮上分離槽では種々の課題がある。
すなわち、通常の加圧浮上分離装置では、ガス液比が2〜10%と低い操作条件で運転されるためガスを加圧溶解させて脱圧させて微細気泡をバッチ操作で生成させる方法が採用されている。液に対するガス溶解度は小さく、高度に清澄な水を必要とするが、運転に必要なガス量が少ないために重要な課題と認識されていない。しかし、多量のガスの微細化が必要な場合には通常の加圧水による方法ではその実現が難しく、特に1個の槽内で多量のガスの微細化を行おうとすると、さらに課題が発生する。
例えば、オゾン含有微細ガス(マイクロバブル)を用いて油分含有排水を処理すると、凝集浮上分離槽では、凝集剤不要、廃棄物量削減を達成できる利点があるとともに、1槽で行うことでコンパクト化、装置コストの低減が図られる反面、以下のような不具合がある。
すなわち、反応凝集に必要な十分なオゾン量を導入するためには多量のガスを微細化して導入する必要となる。加圧水を用いる以外にも、散気管手法では詰まりが起こり、発生気泡の安定性の課題があり、工業利用の観点で現実的ではない。特にオゾンでは、一般的な放電によるオゾン発生器から得られるオゾン含有濃度は通常150〜200g/mNが最大であって多量のオゾンガスを必要とする。
そこで、より多くのガス(マイクロバブル)を供給する手段として、マイクロバブル製造手段(ポンプサクションへのガス導入、液旋回流域へのガス導入、エジェクター等)を用いることが可能である。マイクロバブル製造手段は、通常採用されている加圧水を用いる方法とは異なり、大型化、連続操作が可能で気液比は2〜30%と高く、かつ操作範囲が広く、さらにコンパクトであって機器設置プランが容易であるからである。
しかし、マイクロバブル製造手段では、多量のガスを取り扱えるが、多くの中程度以上の清澄液を多量に確保してマイクロバブル化した後、処理槽に供給することになる。このため、液の確保・循環のためのポンプによって油分凝集体の解砕等が起こる。
また、マイクロバブル製造手段を用いると、マイクロバブル発生ノズル等による脱圧、旋回等によって、一旦生成した油分凝集体の解砕が起こる。
特に、マイクロバブルを用いて排水中の含有物を凝集させる場合、凝集剤、ポリマー等の薬剤を用いないことから、強固な凝集体を生成するのが難しいため、ポンプや旋回撹拌作用による力が凝集体に加わらないように処理することが必要である。
また、多量の液を循環することで、液流動によって一旦浮上した油分が沈降したり、浮上し難くなることが起こる。このため、一旦浮上した油分凝集体は早く系外に除去する必要がある。
さらに、マイクロバブル化に用いる液は、清浄液として処理水を用いることもできるが、処理水の一部が循環されて上流側へ移送されるため処理対象液量が実質的には大幅に増大することから槽容量が大幅に増大するか、処理性能の低下を招く。
このような理由により、1個の処理槽でオゾン含有マイクロバブルを用いて被処理水中の油分を凝集浮上分離する処理では、処理初期において、水中の油分がポンプによって微細化して、除去し難く乳化オイルが増加する、さらには液流動による性能低下が起こるため、処理水中の油分濃度を30mg/L以下になるまで処理するのが困難であった。
また、流通系処理での油分の除去効率の低下は、常に原水(被処理水)が供給されるため継続的にポンプによって一部の油分および凝集体の解砕が継続的に起こるため高除去率を得難い。
また、上述したようなマイクロバブル発生手段では必要な液量はガス量の1〜20倍程度と多量である一方、処理に必要なガス量は、オゾン含有ガス中のオゾン濃度は7〜10vol%(150〜200g/mN)程度と低いため、多量のガス、さらに多量の液を取り扱う必要がある。そのため、被処理水に含まれる油分量が多くなればその量は顕著に増大する。
さらに、マイクロバブル生成のため液供給用ポンプ(大流量)による凝集体の解砕が起こるばかりか、液流動により浮上阻害が、浮上層の撹乱により浮上油の沈降、液供給用ポンプによる凝集体の解砕が起こる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、多量のマイクロバブルを容易かつ確実に導入することで、効率的に被処理液中の油分や浮遊物等の含油物の処理(除去)ができ、また、一旦生成した含有物の凝集体の解砕や一旦浮上した含有物の沈降を防止できる液体処理装置および液体処理方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明に係る液体処理装置は、被処理液にマイクロバブルを導入することによって、被処理液中の含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上分離する液体処理装置であって、
前記含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて前記含有物を前記被処理液から分離して処理液を得る第1領域と、この第1領域と区分けされて、前記第1領域から前記処理液を受け入れる第2領域とを有する処理槽と、
前記第2領域から前記処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを前記循環液とともに前記第1領域に供給するマイクロバブル供給手段とを備えていることを特徴とする。
なお、本発明は、導入されるマイクロバブルの容量が被処理液の容量に対して100%以上である場合に好適である。
本発明においては、処理槽の第1領域で含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて含有物を被処理液から分離して処理液を得、処理液を第1領域から前記第2領域に流入させたうえで、マイクロバブル供給手段によって、第2領域から前記処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを循環液とともに第1領域に供給する。
したがって、第2領域に流入した処理液には第1領域での浮上分離に使用されなかったマイクロバブルの一部が含有されているので、このマイクロバブルを循環液とともに第1領域に供給することによって、マイクロバブルを有効に利用することができる。したがって、効率的に被処理液中の含油物の処理(除去)ができる。
また、第2領域に流入した処理液には第1領域で浮上分離されなかった微細な油分の一部が含有されているので、この処理液の一部を抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルと微細な油分を接触させて循環液とともに第1領域に供給することによって、効率的に被処理液中の含油物の処理(除去)ができる。
第1領域で得られ、第2領域に流入した処理液には、当該第1領域で浮上分離した凝集体が殆ど含まれないので、この処理液を循環水として抜き出しても、一旦生成した含有物の凝集体の解砕や一旦浮上した凝集体の沈降を防止できる。
さらに、第2領域の処理液を抜き出した循環液とマイクロバブルとの接触回数が増加するので、この引き抜いた循環水中の微細な含油物も除去できるとともに、含油物が微細であるが故に、ポンプでの解砕が殆ど起こらない。
また、本発明の前記構成において、前記処理槽の前記第2領域から前記処理液の他の一部を浄化液として取得する浄化液取得手段を備えていてもよい。
なお、浄化液取得手段は、第2領域S2において滞留する処理液のうち、最も長い滞留時間を経た箇所から静置ゾーンを経て処理液を抜き出せるように構成するのが好ましい。
このような構成によれば、浄化液取得手段によって第2領域から処理液の一部を浄化液として取得するので、この浄化液を排出したり、再利用することができる。
また、本発明の前記構成において、前記処理槽に前記第1領域と前記第2領域とを区分けする境界壁がその上端部を前記処理槽の液面から突出させて設けられ、
前記境界壁に、前記第1領域から前記処理液を前記第2領域に流入させる開口部が設けられていてもよい。
このような構成によれば、第1領域と第2領域とを区分けする境界壁がその上端部を処理槽の液面から突出させて設けられているので、第1領域において浮上させた凝集体が第2領域に移動することがない。したがって、この凝集体を第1領域から容易に除去することができるので、大容量循環に伴う、液流動による浮上阻害や、浮上層の撹乱による浮上物の沈降、液供給ポンプによる凝集体の解砕を防止できる。
また、境界壁に、前記第1領域から前記処理液を前記第2領域に流入させる開口部が設けられているので、処理液が第1領域に滞留することがない。したがって、第1領域と第2領域との間で、処理液の一部を抜き出した循環液を確実に循環させることができる。
また、本発明の前記構成において、前記処理槽に両端開口を上下に向けた筒状の境界壁が設けられ、
この境界壁の内側が前記第1領域となっており、前記境界壁の外側が前記第2領域となっていてもよい。
このような構成によれば、筒状の境界壁の内側が第1領域となっているので、境界壁の大きさを調整することによって、第1領域の体積を容易に変更でき、また、境界壁の処理槽における位置を調整することによって、第1領域の位置を容易に調整できる。
また、本発明の前記構成において、前記被処理液が少なくとも油分を含む被処理水であり、
前記マイクロバブルがオゾンを含むマイクロナノバブルであり、
前記含油物が油分および/または浮遊物であってもよい。
このような構成によれば、オゾン含有ガスからなるマイクロナノバブルを油分や浮遊物を含有する随伴水等の被処理液に導入して、乳化オイルや浮遊物を凝集させ、この凝集した乳化オイルや浮遊物をスカムとして浮上分離させて浄化水を得ることができ、薬剤の使用やそれに伴う廃棄物の発生を抑えながら大量の随伴水等の被処理水を簡便に処理することが可能となる。
本発明の液体処理方法は、被処理液にマイクロバブルを導入することによって、被処理液中の含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上分離する液体処理方法であって
区分けされた第1領域と第2領域とを有する処理槽を備え、
前記第1領域で前記含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて前記含有物を前記被処理液から分離して処理液を得る第1工程と、
前記第1領域から前記処理液を前記第2領域に流入させたうえで、この第2領域から前記処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを前記循環液とともに前記第1領域に供給する第2工程とを備えていることを特徴とする。
本発明においては、第1工程において、処理槽の第1領域で含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて含有物を被処理液から分離して処理液を得、第2工程においてこの処理液を第1領域から前記第2領域に流入させたうえで、マイクロバブル供給手段によって、第2領域から前記処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを循環液とともに第1領域に供給する。
したがって、第2領域に流入した処理液には第1領域での浮上分離に使用されなかったマイクロバブルの一部が含有されているので、この処理液の一部を抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを循環液とともに第1領域に供給することによって、多量のマイクロバブルを容易かつ確実に導入することができ、オゾンの有効利用効率を高められる。したがって、効率的に被処理液中の含油物の処理(除去)ができる。
また第1領域で得られ、第2領域に流入した処理液には、当該第1領域で浮上分離した凝集体が殆ど含まれないので、この処理水を循環水として抜き出しても、一旦生成した含有物の凝集体の解砕や一旦浮上した含有物の沈降を防止できる。
さらに、第2領域の処理水を抜き出した循環液とマイクロバブルとの接触回数が増加するので、この引き抜いた循環水中の微細な含油物も除去できるとともに、含油物が微細であるが故に、ポンプでの解砕が殆ど起こらない。
また、本発明の前記構成において、前記処理槽の前記第2領域から前記処理液の他の一部を浄化液として取得する浄化液取得工程を備えていてもよい。
このような構成によれば、浄化液取得工程によって第2領域から処理液の一部を浄化液として取得するので、この浄化液を排出したり、再利用することができる。
また、本発明の前記構成において、前記被処理液が少なくとも油分を含む被処理水であり、
前記マイクロバブルがオゾンを含むマイクロナノバブルであり、
前記含油物が油分および/または浮遊物であってもよい。
このような構成によれば、オゾン含有ガスからなるマイクロナノバブルを油分や浮遊物を含有する随伴水等の被処理液に導入して、乳化オイルや浮遊物を凝集させ、この凝集した乳化オイルや浮遊物をスカムとして浮上分離させて浄化水を得ることができ、薬剤の使用やそれに伴う廃棄物の発生を抑えながら大量の随伴水等の被処理水を簡便に処理することが可能となる。
本発明によれば、多量のマイクロバブルを容易かつ確実に導入することで、効率的に被処理液中の油分や浮遊物等の含油物の処理(除去)ができ、また、一旦生成した含有物の凝集体の解砕や一旦浮上した含有物の沈降を防止できる。
本発明の第1の実施の形態に係る液体処理装置の概略構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る液体処理装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る液体処理装置の概略構成を示す図である。この図に示す液体処理装置は、例えば海洋海底や陸上において原油や天然ガス等を採取する際に同伴して取り出される「随伴水」を処理する液体処理装置である。
この液体処理装置は、少なくとも油分を含む被処理水(随伴水)に、凝集剤を添加することなく、オゾンを含むマイクロナノバブルを導入することによって、被処理水中の乳化オイルをCOまで酸化分解することなく乳化オイルの油滴表面を酸化させて凝集剤を介さずに乳化オイルや浮遊物(SS)を凝集させるとともに、凝集した乳化オイルや浮遊物をスカムとして浮上分離させるものである。
図1において符号1は処理槽を示している。この処理槽1は、第1領域S1と第2領域S2とに区分けされている。また、処理槽1には第1領域S1と第2領域S2とを区分けする境界壁3がその上端部3aを処理槽1の液面から突出させ、かつ下端を処理槽1の底面から離間させて設けられている。また、境界壁3には、処理槽1の液面より若干下方位置において、開口部3bが設けられている。この開口部3bは第1領域S1から処理水を第2領域S2に流入させるものである。
第1領域S1は、随伴水(被処理水)中の含有物である油分(乳化オイル)や浮遊物を凝集させるとともに、凝集した凝集体である乳化オイルや浮遊物を浮上させて、これらを被処理水から分離して処理水を得るための領域であり、この第1領域S1には、原排水としての随伴水が供給されるようになっている。
また、第1領域S1に随伴水を供給する前に、比重差を利用した物理的分離方法等の油分分離手段により、随伴水に含まれる砂やフリーオイルなどを分離する。物理的分離方法の例としては、比重が水より小さいオイルなどは前述したAPIオイルセパレータ、CPIセパレータ、静置分離槽などの層分離法を挙げることができる。
このような油分分離工程は、オゾンを利用して処理を行う凝集工程の前に行うことが好ましい。その理由は、フリーオイルが含まれていることにより生じる後段の負荷を効果的に低減することができるからである。具体的には、フリーオイルを除去することによって、後段の凝集工程におけるオゾンの消費量を削減することができる。
第1領域S1では、随伴水にオゾン含有ガスからなるマイクロナノバブルを導入して乳化オイルや浮遊物を凝集する処理が行われる。このような凝集処理を行うには、後述するマイクロバブル供給手段7から第1領域S1にマイクロナノバブルが供給される。
乳化オイルの分離性能は、第1領域S1における随伴水の液滞留時間、第1領域S1に流入する随伴水の供給量とオゾン含有ガスの供給量との比、オゾン含有ガス中のオゾン濃度、マイクロナノバブルの気泡径の分布(ナノスケールからマイクロスケールまでの気泡径の分布)、凝集槽における液温度などによって決まるが、本実施の形態では、特に凝集槽に導入するオゾン含有ガス中のオゾン濃度(マイクロナノバブル中のオゾン濃度)を30g/mN以上とする。
これはオゾン処理実験を行ったところ、オゾン濃度が30g/mN未満と低い場合にはオゾン導入の効果が殆どなく、空気や酸素などの単なるマイクロバブルによる浮上分離特性と同じである一方、オゾン濃度が30g/mN以上ではオゾン効果が発現して、処理60分以内で油分の除去率80%以上を達成でき、かつ処理水中の油分濃度は10mg/L以下になることが分かったからである。
なお、マイクロナノバブルの気泡径の分布はマイクロバブル発生器によって概ね定まり、その径は機器によって異なるが、広い分布のなかの一般に1nm〜50μm程度である。
また、マイクロナノバブルとは、マイクロスケールのバブル径を有するいわゆるマイクロバブルおよびナノスケールのバブル径を有するいわゆるナノバブルのうちのいずれか一方、またはそれら両方を含むバブルのことを言うものとする。
処理槽1の第1領域S1では、随伴水とマイクロナノバブルとを気液接触させることにより乳化オイルの凝集および安定化が安定的に生じ、後述するようにオイリーでないドライなスカムを浮上分離することが可能となる。このような顕著な効果が得られる理由についてはよく分からないが、随伴水に含まれる乳化オイルの油滴(オイル滴とも称する)表面がオゾンにより酸化されて生じる、二重結合の開裂や、カルボニル基などの生成によるものと推測している。
凝集において、オゾン含有ガスからなるマイクロナノバブルを随伴水に気液接触させる際、接触時間は2〜60分の範囲内にあることが好ましい。この範囲内であれば、乳化オイルを構成する微細なオイル滴の表面の酸化と、それらオイル滴の凝集および安定化とを十分に進行させて、後述する浮上分離を完結させることが可能となる。
また、第1領域S1では、オゾン処理することによって、乳化オイルの処理だけでなく、随伴水に油分に加えて含まれ得る硫化物、浮遊物(SS)、有害金属類、菌体微生物類等を処理することができる。具体的には、硫化物はオゾンによる酸化によって硫化イオンに分解して無害化される。有害金属類は、オゾンによる酸化によって金属酸化物となることで不溶化し、乳化オイルの凝集固化物や浮遊物とともにドライスカムとして回収される。菌体微生物類はオゾンの殺菌滅菌効果により死滅除去される。
また、油分だけでなく、マイクロナノバブルによる浮上分離においてオゾンを導入することで浮遊物も除去性能が高くなる。除去できる理由は不明であるが、油分を含む被処理水中の浮遊物はその多くにオイルが付着していること、凝集の核になることから、オゾン導入によって除去率が大幅に向上するためであると考えられる。
第1領域S1で凝集した乳化オイルや浮遊物がマイクロナノバブルに伴って浮上し、スカムSCとなる。このスカムSCは、凝集した乳化オイルとバブルとからなるフォーミング層を形成して第1領域S1の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリや上部液の抜き取りなどによって容易に水流と分離することができる。なお、カキトリは特に方式を問わないが、例えばスクレーパー式やスクープ式を採用することができる。そして、スクレーパー等でかき取られたスカムは排出される。
第1領域S1で油分、浮遊物等が分離除去された処理水(処理液)は第2領域S2に流入する。この処理水の流入は境界壁3に設けられた開口部3bを通して行われる。
上述したように、第1領域S1には、原排水としての随伴水が供給されるとともに、後述するマイクロバブル供給手段7を構成するマイクロバブルポンプ7bにより水流が発生し、さらにマイクロナノバブルが上昇するので、これらによって上昇した処理水が開口部3bを通して第2領域S2に流入する。また、この流入に伴い、第2領域S2の処理水の一部が境界壁3の下端と浮遊分離槽1の底面との間を通って第1領域S1に流入する。
これによって、第1領域S1と第2領域S2との間で処理水の循環が生じる。
第2領域S2に流入した処理水は油分の大部分が除去されているが、浮上し難い若干の油分(乳化オイル)を含んでいる。つまり、第2領域S2の処理水は低油分濃度となっているとともに、この処理水中は、第1領域S1で浮上分離に利用されなかったオゾンを含むマイクロナノバブルを含んでいる。
したがって、この第2領域S2においても、マイクロナノバブルによって乳化オイルを凝集させるとともに、凝集した乳化オイルをスカムSCとして浮上分離させる。このスカムSCは、凝集した乳化オイルとバブルとからなるフォーミング層を形成して第2領域S2の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリ等によって除去される。
なお、第2領域S2の液面に浮上しているスカムSCは、第1領域S1の液面に浮上したスカムSCより少ない量である。
このようして得られた処理水の一部は、浄化液取得手段5によって第2領域S2から浄化水として取得される。浄化液取得手段5としては、例えば、処理槽1の第2領域S2に面する側壁のうち、境界壁3より最も離れた位置にある側壁に設けた流出口5a、この流出口5aに接続された流出管5b、流出口5aの近傍の流出管5bに設けられた開閉バルブ5c等によって構成されているが、これに限るものでない。また、流出口5aが設けられた側壁の内面側には、下方に向けて開口する壁部6が設けられている。この壁部6は流出口5aから離間し、かつ境界壁3と平行な垂直壁6aと、この垂直壁6aの上端に設けられた頂壁6bとを備えており、頂壁6bの端部が前記側壁に固定されている。
このような構成の浄化液取得手段5では、第2領域S2に滞留する処理水の一部で、かつ壁部6の内側にある処理水を浄化水として取得し、この浄化水は排出したり、再利用することができる。
また、第1領域S1から第2領域S2に流入した処理水の一部は、マイクロバブル供給手段7によって循環水として抜き出され、この抜き出された循環水中にマイクロナノバブルを発生させ、このマイクロナノバブルは前記循環水とともに第1領域S1に供給されるようになっている。
マイクロバブル供給手段7は、処理槽1の第1領域S1における底部と、処理槽1の第2領域S2における底部とに接続されて、第2領域S2の処理水を第1領域S1に移送するための配管7aと、この配管7aの途中に設けられたマイクロバブルポンプ7bと、このマイクロバブルポンプ7bの下流において配管7aの途中に設けられた旋回ノズル部7cと、マイクロバブルポンプ7bの上流において、配管7aに接続されたオゾン発生器7dとを備えている。
マイクロバブルポンプ7bは、第2領域S2の処理水の一部と、オゾン発生器7dによって発生させたオゾンガスとを配管7aを介して引き込んで、これらを旋回ノズル部7cに供給するものである。
オゾン発生器7dには必要によってPSA装置(圧力変動吸着)を経由して酸素または空気が供給され、当該オゾン発生器7dによって発生させたオゾンガスを配管7eによって配管7aに流入させるようになっている。
旋回ノズル部7cは、これに供給された前記処理水とオゾンガスとをノズル内において高速旋回させてせん断力を導入することで、処理水内に多量のマイクロナノバブルを発生させるようになっており、この多量のマイクロナノバブルを含有する処理水は、マイクロバブルポンプ7bの圧力によって配管7aを通って、処理槽1の第1領域S1に供給される(吹き込まれる)。処理槽1の第1領域S1への供給は、処理槽1の第1領域S1に供給されればよいが、供給量の全量もしくは一部が第1領域S1の下層部、具体的には底部付近、もしくは原排水が第1領域S1に供給される配管ライン中に供給することが好ましい。
第2領域S2から引き込まれた処理水には元々、オゾンを含むマイクロナノバブルが溶解もしくは含有されているので、この処理水にさらにオゾンを含むマイクロナノバブルを発生させることで、第2領域S2から第1領域S1に供給される処理水にはより多くのマイクロナノバブルが含まれていることになる。
また、第2領域S2から第1領域S1に供給される処理水にはオゾンを含まない、たとえば空気等のバブルを別途製造して浮上分離用として供給してもよい。
浮上分離工程の浮上分離槽には、排水によっては浮上させるためのバブルを新規に導入しなくてもよい。これは浮上分離槽に凝集工程から流入する被処理排水にはバブルが残留しており静置することでオイルが浮上するためである。
なお、処理水内に多量のマイクロナノバブルを発生させる場合、前記旋回ノズル部7cに代えて、高圧タンク方式やエジェクター方式により処理水に高圧、せん断力を利用導入して、マイクロナノバブルを発生させるようにしてもよい。また、他の方式を併用・組合せでもよく、微細化方式に制約は無い。
また、図1において破線の矢印で示すように、第1領域S1に吹き込まれるマイクロナノバブルを含む循環水の一部を配管7aから配管7fによって分岐させて、第2領域S2に供給する(吹き込む)ようにしてもよい。このようにすれば、第2領域S2に含まれている油分をさらに凝集浮上させることができる。
このような構成の液体処理装置では、原排水である随伴水が処理槽1に供給された後、マイクロバブル供給手段7によって、処理槽1の第1領域S1にマイクロナノバブルを吹き込むことによって、第1領域S1で油分(乳化オイル)や浮遊物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて油分や浮遊物を随伴水から分離して処理水を得る(第1工程)。
第1領域S1で凝集した乳化オイルや浮遊物はマイクロナノバブルに伴って浮上し、スカムSCとなって、第1領域S1の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリ等によって、当該水面部分から除去する。
また、第1領域S1と第2領域S2とを区分けする境界壁3の上端部3aが処理槽1の液面から突出しているので、第1領域S1において浮上させた前記凝集体が第2領域に移動することがない。したがって、この凝集体を第1領域S1の水面部分から容易に除去することができる。
第1領域S1で油分、浮遊物等が分離除去された処理水は第2領域S2に流入する。この処理水の流入は境界壁3に設けられた開口部3bを通して行われる。また、この流入に伴い、第2領域S2の処理水の一部が境界壁3の下端と浮遊分離槽1の底面との間を通って第1領域S1に流入する。これによって、第1領域S1と第2領域S2との間で処理水の循環が生じる。
このようにして第1領域S1から処理水を第2領域S2に流入させたうえで、マイクロバブル供給手段7のマイクロバブルポンプ7bによって、この第2領域S2から処理水の一部を配管7aを介して循環水として抜き出し、この抜き出した循環水中に、オゾン発生器7dおよび旋回ノズル部7cによってオゾンを含むマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを循環水とともに配管7aを介して第1領域S1に供給する(第2工程)。
また、第2領域S2においても、凝集した乳化オイルがスカムSCとして浮上分離して、第2領域S2の水面部分に浮遊するため、このスカムSCをカキトリ機4によるカキトリ等によって除去する。
また、第1領域S1、第2領域S2の底面に傾斜をつけて、沈降した砂等の物質を移動・抜き取りできる構造にしてもよい。
また、浄化液取得手段5によって、処理槽1の第2領域S2から処理水の他の一部を浄化水として取得する(浄化液取得工程)。この取得された浄化水は排出されるか再利用される。例えば、この浄化水は、必要に応じて油分を高除去率まで除去する高度除去工程で処理された後、海域に放流されるかもしくは井戸に圧入される。また、浄化水を灌漑用水等に使用したり、河川放流する場合は、逆浸透膜などによる脱塩処理が施される。
このように本実施の形態によれば、処理槽1の第1領域S1で油分や浮遊物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて油分や浮遊物を随伴水(被処理水)から分離して処理水を得、この処理水を第1領域S1から第2領域S2に流入させたうえで、マイクロバブル供給手段7によって、第2領域S2から処理水の一部を循環水として抜き出し、この抜き出した循環水中にオゾンを含むマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを循環水とともに第1領域S1に供給する。
したがって、第2領域S2に流入した処理水には第1領域S1での浮上分離に使用されなかったマイクロバブルの一部が含有されているので、マイクロバブルを有効利用することによって、より多くのマイクロバブルを導入することができる。したがって、効率的に被処理水中の含油物の処理(除去)ができる。
また、第1領域S1で得られ、第2領域S2に流入した処理水には、当該第1領域S1で浮上分離した凝集体(スカムSC)が殆ど含まれないので、この処理水を循環水として抜き出しても、一旦生成した凝集体の解砕や一旦浮上した凝集体の沈降を防止できる。
さらに、第2領域S2の処理水を抜き出した循環水とマイクロバブルとの接触回数が増加するので、この引き抜いた循環水中の微細な含油物も除去できるとともに、含油物が微細であるが故に、ポンプ(マイクロバブルポンプ7b)での解砕が殆ど起こらない。
また、第2領域S2の低油分濃度の処理水の一部を循環水として抜き出し、この抜き出した循環水中にオゾンを含むマイクロバブルを発生させるので、この処理水とオゾンとの接触回数が増加して、抜き出した処理水中の微細な油分も除去可能である。また、油分が微細であるが故に、マイクロバブルポンプ7bでの解砕が殆ど起こらない。
また、境界壁3の上端部の開口部3bと、境界壁3の下端と浮遊分離槽1の底面との間とによって、第1領域S1と第2領域S2との間で処理水の循環が生じるので、第2領域S2から抜き出す処理水の変動に対応できる。
さらに、第1領域S1および第2領域S2の双方において、水面上に非常したスカム(凝集体)SCをカキトリ機4等によって除去するようにしたので、大容量液循環に伴う、液流動による浮上阻害や、浮上層の撹乱による浮上油分の沈降やマイクロバブルポンプ7bによる凝集体の解砕を防止できる。
また、オゾン含有ガスからなるマイクロナノバブルで随伴水を処理することにより得られるスカムは、比較的ベトツキの少ないいわゆるドライなスカムであることを特徴としている。そのため、従来のAPIオイルセパレータやCPIセパレータなどの層分離法を用いて回収したオイルや、一般的な浮上分離法で得られるスカムに比べて取り扱いが容易になる上、再離散が減って捕集効率が極めて高くなる。また、このドライスカムは水分の含有率が低いので、後段の脱水コストを低減することができる上、燃料として取り扱う際の輸送や燃焼が容易となる。
また、本実施の形態では、オゾン処理することによって、乳化オイルや浮遊物の処理だけでなく、随伴水に油分や浮遊物に加えて含まれ得る硫化物、有害金属類、菌体微生物類等を処理することができる。具体的には、硫化物はオゾンによる酸化によって硫化イオンに分解して無害化される。有害金属類は、オゾンによる酸化によって金属酸化物となることで不溶化し、乳化オイルの凝集固化物や浮遊物とともにドライスカムとして回収される。菌体微生物類はオゾンの殺菌滅菌効果により死滅除去される。
また、随伴水の性状は油田やガス田の場所、産出物の種類、産出する時間帯等によって大きく異なると言われているが、本実施の形態では、随伴水の原水性状や処理状況を検出しながら、オゾンの供給量(すなわち、オゾン含有ガス中のオゾン濃度やオゾン含有ガスの供給量、マイクロナノバブル中のオゾン量と被処理水中の油分量との比率等)を適宜調整することで、効率的且つ速やかに随伴水の処理を制御することが可能になる。具体的には、例えば処理後の浄化水のCOD、TOC、および油分濃度のうちの少なくとも1つを検出(連続モニターが好適)し、この検出値に基づいてオゾン濃度を制御したり、オゾン含有ガスの供給量を調整することによって低消費電力量で効率よく処理することが可能となる。
また、油分等を浮上させて分離除去させたのち、生物処理することなく逆浸透膜(RO)、吸着材、砂濾過や、フィルター類膜もしくはファイバーフィルター、砂濾過で処理する場合、バイオフィルム等のバイオ系ファウリングによって安定処理が困難になることが多発することが知られており、通常は高価な殺菌剤、滅菌剤を用いる薬剤処理が採用されている。しかし、コスト面、薬剤搬入、導入量制御などの煩雑性があり課題となっていた。
これに対して本実施の形態では、オゾンによる殺菌、滅菌の効果があり、薬剤を不要にできることから、オゾン導入制御によって油分、SS除去を効率的に廉価に処理が可能となるだけではなく、油分、SS除去下流のRO、吸着材、砂濾過や、フィルター類(膜もしくはファイバーフィルター)、砂濾過を安定的に運転継続できる。特に、油分、SS除去の後段で連続してROやフィルター類等で処理するシステムにおいて好適である。
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係る液体処理装置の概略構成を示す図である。この図に示す液体処理装置も第1の実施の形態と同様に、随伴水を処理するもので、少なくとも油分を含む被処理水(随伴水)に、凝集剤を添加することなく、オゾンを含むマイクロナノバブルを導入することによって、被処理水中の乳化オイルをCOまで酸化分解することなく乳化オイルの油滴表面を酸化させて凝集剤を介さずに乳化オイルや浮遊物(SS)を凝集させるとともに、凝集した乳化オイルや浮遊物をスカムとして浮上分離させるものである。
なお、本実施の形態の液体処理装置において、第1の実施の形態の液体処理装置と共通構成部分には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
図1において符号11は処理槽を示している。この処理槽11は、第1領域S1と第2領域S2とに区分けされている。また、処理槽11には第1領域S1と第2領域S2とを区分けする境界壁13が設けられている。
この境界壁13は筒状に形成されており、両端開口を上下に向けて、かつ処理槽11の液中に設けられている。そして、筒状の境界壁13の内側が第1領域S1となっており、外側が第2領域S2となっている。
なお、第1領域S1は第1の実施の形態と同様に、油分や浮遊物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて油分や浮遊物を随伴水(被処理水)から分離して処理水を得るものであり、第2領域S2は第1領域S1から処理水を受け入れるものである。
第1領域S1の凝集工程で凝集した乳化オイルや浮遊物がマイクロナノバブルに伴って浮上し、スカムSCとなる。このスカムSCは、凝集した乳化オイルとバブルとからなるフォーミング層を形成して第1領域S1上の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリ等よって除去される。
第1領域S1で油分、浮遊物等が分離除去された処理水(処理液)は第2領域S2に流入する。この処理水の流入は液中に埋設された筒状の境界壁3の上端側において行われる。
上述したように、第1領域S1には、原排水としての随伴水が供給されるとともに、マイクロバブル供給手段7を構成するマイクロバブルポンプ7bにより水流が発生し、さらにマイクロナノバブルが上昇するので、これらによって上昇した処理水が境界壁13の上端側から外側の第2領域S2に流入する。また、この流入に伴い、第2領域S2の処理水の一部が境界壁13の下端と浮遊分離槽1の底面との間を通って第1領域S1に流入する。
これによって、第1領域S1と第2領域S2との間で処理水の循環が生じる。
なお、原排水は処理槽11の底壁から供給管等によって、境界壁13の内側の第1領域S1に供給される。
第2領域S2に流入した処理水は第1の実施の形態と同様に低油分濃度となっているとともに、この処理水中は、第1領域S1で浮上分離に利用されなかったオゾンを含むマイクロナノバブルを含んでいる。
したがって、この第2領域S2においても、マイクロナノバブルによって乳化オイルを凝集させるとともに、凝集した乳化オイルをスカムSCとして浮上分離させる。このスカムSCは、凝集した乳化オイルとバブルとからなるフォーミング層を形成して第2領域S2の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリ等によって除去される。
また、第2領域S2の処理水の一部は、浄化液取得手段5によって第2領域S2から浄化水として取得される。浄化液取得手段5は、第1の実施の形態と同様に、流出口5a、流出管5b、開閉バルブ5c等によって構成されている。処理槽11は、本体槽部11aとこの本体槽部11aの右側部に設けられた排水槽部11bとを備えている。本体槽部11aと排水槽部11bとそれらの下端部において連通しており、この連通した部分から第2領域S2の処理水が排水槽部11bに流入し、この処理水が浄化液取得手段5によって浄化水として取得される。
また、第1領域S1から第2領域S2に流入した処理水の一部は、第1の実施の形態と同様に、マイクロバブル供給手段7によって循環水として抜き出され、この抜き出された循環水中にマイクロナノバブルを発生させ、このマイクロナノバブルは前記循環水とともに第1領域S1に供給される。
マイクロバブル供給手段7は、第1の実施の形態と同様に、配管7a、マイクロバブルポンプ7b、旋回ノズル部7cおよびオゾン発生器7d等によって構成されているが、配管7aは第1の実施の形態と異なり、処理槽11の境界壁13の外側にある第2領域S2に面する本体槽部11aの側壁と、境界壁13の下方の底壁と接続されている。
このような構成の液体処理装置では、原排水である随伴水が処理槽11に供給された後、マイクロバブル供給手段7によって、処理槽11の第1領域S1の下方から当該第1領域S1にマイクロナノバブルを吹き込むことによって、第1領域S1で油分(乳化オイル)や浮遊物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて油分や浮遊物を随伴水から分離して処理水を得る(第1工程)。
第1領域S1で凝集した乳化オイルや浮遊物はマイクロナノバブルに伴って浮上し、スカムSCとなって、第1領域S1上の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリ等によって、当該水面部分から除去する。
第1領域S1で油分、浮遊物等が分離除去された処理水は第2領域S2に流入する。この処理水の流入は境界壁13の上端側から行われる。また、この流入に伴い、第2領域S2の処理水の一部が境界壁13の下端と浮遊分離槽1の底面との間を通って第1領域S1に流入する。これによって、第1領域S1と第2領域S2との間で処理水の循環が生じる。
このようにして第1領域S1から処理水を第2領域S2に流入させたうえで、マイクロバブル供給手段7のマイクロバブルポンプ7bによって、この第2領域S2から処理水の一部を配管7aを介して循環水として抜き出し、この抜き出した循環水中に、オゾン発生器7dおよび旋回ノズル部7cによってオゾンを含むマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを循環水とともに配管7aを介して第1領域S1に供給する(第2工程)。
また、第2領域S2においても、凝集した乳化オイルがスカムSCとして浮上分離して、第2領域S2の水面部分に浮遊するため、カキトリ機4によるカキトリ等によって除去する。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、筒状の境界壁13の内側が第1領域S1となっているので、境界壁13の大きさ(直径や軸方向の長さ)を調整することによって、第1領域S1の体積を容易に変更でき、また、境界壁13の処理槽11における位置を調整することによって、第1領域S1の位置を容易に調整できる。
なお、上述の実施の形態では、本発明を、被処理水が、原油または天然ガスの産出に伴って取り出される随伴水である場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限ることなく、少なくとも油分を含む被処理水に、凝集剤を添加することなく、オゾンを含むマイクロナノバブルを導入するような排水処理方法であれば、どのようなものにも適用できる。
次に実施例について説明する。
(実施例)
第2の実施の形態に係る液体処理装置について以下のような実験を行った。
模擬水(油分30mg/Lおよび150mg/Lの水溶液2種)を処理槽(液量25L、直径200mmφ、長さ800mmH、内筒(境界壁:直径100mmφ))の液深さ30cmのところに25L/hで導入した。なお、処理槽とは、第2の実施の形態における処理槽11のことである。
ガスボンベからの酸素ガス(流量0.8L/min)をオゾン発生器を経由してオゾンを60g/mN含む酸素ガスを得て、処理槽の液槽中段下の深さから抜き出し液とともにポンプ経由でマイクロバブル製造器((株)OHR流体工学研究所製MX−E8型)に導きマイクロバブルを発生させ、そのマイクロバブルを含む液ガスを模擬水供給口付近に供給して流通試験を行った。
浮上したスカムはフォーミング層上部を液溜まり付きスクレーパーにて掻き取って分離除去した。
処理水は液槽中段下の深さから静置ゾーンを経て抜き出し、液サンプリングは3時間後の処理水をサンプルリングして分析を行った。
なお、模擬水はNaCL 1wt%水にA重油とB重油の混合油を油分濃度が所定値になるよう添加して6時間ポンプ循環撹拌して調製して保管した。さらに、試験前には1時間ポンプ循環撹拌したのち1時間静置して浮上した油を取り除いた水を模擬水として処理試験に供した。
その結果、模擬水油分30mg/Lでは8mg/Lに、150mg/Lでは23mg/Lに浄化された。
(比較例1)
処理槽として、内筒(境界壁:直径100mmφ)を設けないものを用意し、その他の条件は実施例と同様の試験を行った。
その結果、模擬水油分30mg/Lでは15mg/Lに、150mg/Lでは52mg/Lに浄化された。
(比較例2)
処理槽に供給する模擬水に、酸素ガス(流量0.13L/min)をマイクロバブル製造器((株)OHR流体工学研究所製MX−E8型)に導入してマイクロバブルを発生させた液等を処理槽に供給する以外は比較例1と同様の実験を行った。
その結果、処理後3時間後に油分30mg/Lでは21mg/Lに、150mg/Lでは94mg/Lに浄化された。
上記の結果から実施例の方が比較例1、2に比して、油分の処理能力が高いことが分かる。
S1 第1領域
S2 第2領域
1,11 処理槽
3,13 境界壁
5 浄化液取得手段
7 マイクロバブル供給手段

Claims (8)

  1. 被処理液にマイクロバブルを導入することによって、被処理液中の含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上分離する液体処理装置であって、
    前記含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて前記含有物を前記被処理液から分離して処理液を得る第1領域と、この第1領域と区分けされて、前記第1領域から前記処理液を受け入れる第2領域とを有する処理槽と、
    前記第2領域から前記処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを前記循環液とともに前記第1領域に供給するマイクロバブル供給手段とを備えていることを特徴とする液体処理装置。
  2. 前記処理槽の前記第2領域から前記処理液の他の一部を浄化液として取得する浄化液取得手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
  3. 前記処理槽に前記第1領域と前記第2領域とを区分けする境界壁がその上端部を前記処理槽の液面から突出させて設けられ、
    前記境界壁に、前記第1領域から前記処理液を前記第2領域に流入させる開口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体処理装置。
  4. 前記処理槽に両端開口を上下に向けた筒状の境界壁が設けられ、
    この境界壁の内側が前記第1領域となっており、前記境界壁の外側が前記第2領域となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体処理装置。
  5. 前記被処理液が少なくとも油分を含む被処理水であり、
    前記マイクロバブルがオゾンを含むマイクロナノバブルであり、
    前記含油物が油分および/または浮遊物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体処理装置。
  6. 被処理液にマイクロバブルを導入することによって、被処理液中の含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上分離する液体処理方法であって
    区分けされた第1領域と第2領域とを有する処理槽を備え、
    前記第1領域で前記含有物を凝集させるとともに、凝集した凝集体を浮上させて前記含有物を前記被処理液から分離して処理液を得る第1工程と、
    前記第1領域から前記処理液を前記第2領域に流入させたうえで、この第2領域から前記処理液の一部を循環液として抜き出し、この抜き出した循環液中にマイクロバブルを発生させ、このマイクロバブルを前記循環液とともに前記第1領域に供給する第2工程とを備えていることを特徴とする液体処理方法。
  7. 前記処理槽の前記第2領域から前記処理液の他の一部を浄化液として取得する浄化液取得工程を備えることを特徴とする請求項6に記載の液体処理方法。
  8. 前記被処理液が少なくとも油分を含む被処理水であり、
    前記マイクロバブルがオゾンを含むマイクロナノバブルであり、
    前記含油物が油分および/または浮遊物であることを特徴とする請求項6または7に記載の液体処理方法。
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