JP4605423B2 - V溝外観検査装置及び検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、V溝外観検査装置及び検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のパソコンやインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大している。このため、伝送速度の速い光伝送を、パソコン等の末端の情報処理装置まで普及させることが望まれている。これを実現するには、光インターコネクション用に、高性能な光導波路や光合分波器を、安価かつ大量に製造する必要がある。
【0003】
光導波路の材料としては、ガラスや半導体材料等の無機材料と、樹脂が知られている。無機材料により光導波路を製造する場合には、真空蒸着装置やスパッタ装置等の成膜装置により無機材料膜を成膜し、これを所望の光導波路形状にエッチングすることにより製造する方法が用いられる。しかしながら、真空蒸着装置やスパッタ装置は、真空排気設備が必要であるため、装置が大型で高価である。また、真空排気工程が必要であるため工程が複雑になる。これに対し、樹脂によって光導波路を製造する場合には、成膜工程を、塗布と加熱により大気圧中で行うことができるため、装置及び工程が簡単であるという利点がある。
【0004】
また、光導波路のコア層及びクラッド層を構成する樹脂としては、種々のものが知られているが、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れるポリイミドが特に期待されている。ポリイミドにより光導波路のコア層及びクラッド層を形成した場合、長期信頼性が期待でき、半田付けにも耐えることができる。
このようなポリマー光導波路は、例えば、シリコン等の基板上に、下部クラッド層を形成し、この下部クラッド層上に、コア層を形成し、このコア層上にレジスト層を設け、コア形状にパターニングしてコアを形成し、レジスト層除去後、下部クラッド層及びコア表面に、上部クラッド層を形成することにより製造される。これらの層の形成はいずれもスピンコート法を用いて行なうのが一般的である。このように、樹脂によりコア及びクラッド層を形成することにより、簡単な製造工程で樹脂製光導波路を製造することができる。
【0005】
樹脂製光導波路は、一般的には、基板上に、光ファイバ搭載用のV溝を設け、さらに樹脂製の下部クラッド層、光導波路層及び上部クラッド層を積層することにより構成される。このとき、光ファイバ搭載用のV溝と光導波路の位置ずれが予め定められた範囲内に入っているかどうかは、V溝に搭載するファイバと光導波路とのアライメントを精度よく行うために重要である。
V溝の表面に異物や不正な凹凸が存在すると、搭載された光ファイバの位置ずれを生じる。このため、金属顕微鏡下CCDカメラ等でV溝表面の検査領域を撮影し、画像をパソコンに取り込み、パソコンで画像処理を行って、V溝表面の異物や不正な凹凸を自動的に検出し、不良品を排除している。
【0006】
顕微鏡観察の際のサンプルの照明方法には、図2に示すように、顕微鏡の対物レンズを通過する光線を利用した同軸落射照明により、明視野においてサンプル表面を照明する方法がある。しかしこの方法では、V溝で反射された光がレンズに戻らないため、V溝部分が真っ暗になってしまい、V溝表面の異物等の検出が困難である。また、図3に示すように、顕微鏡の対物レンズの外側に設けられた光路5を通過する光線を利用した拡散照明により、暗視野においてサンプル表面を照明する方法がある。しかしこの方法では、拡散光によりV溝部分は明るくなるが、小異物や薄膜も顕著にとらえてしまうため、画像処理の際に、誤った情報が増え、異物等の検出を正確に行うことが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、シリコン基板上に形成された光ファイバ搭載用のV溝の外観、特にV溝表面に凸部として存在する異物の検出を正確に行うことができる検査装置を提供することである。さらに好ましくは、本発明は、V溝表面に存在する高さが1μm以上、特に3μm以上の凸部を検出し、1μm未満の凸部は検出しない検査装置を提供することである。
本発明の他の目的は、上記装置を用いて、シリコン基板上に形成された光ファイバ搭載用のV溝の外観、特にV溝表面に凸部として存在する異物の検出を正確に行うことができる検査方法、好ましくは、V溝表面に存在する高さが1μm以上、特に3μm以上の凸部を検出し、1μm未満の凸部は検出しない検査方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコン基板上に形成された光ファイバ搭載用のV溝の外観を顕微鏡下で検査する装置において、同軸落射照明手段と外部取り付け拡散照明手段を設けたことを特徴とするV溝外観検査装置を提供するものである。
本発明はまた、上記検査装置を使用することを特徴とするV溝外観の検査方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照しながら本発明を詳細に説明する。
本発明は、従来の顕微鏡観察において使用されている同軸落射照明手段に外部取り付け拡散照明手段を併用したことを特徴とするものである。
すなわち、本発明の装置は、通常の顕微鏡に備えられている同軸落射照明手段1の他に、外部取り付け拡散照明手段2を備えている。
外部取り付け拡散照明手段2は、同軸落射照明手段1からの照射光線の光路の周囲に取り付けられている。拡散照明手段2の具体例としては、発光ダイオード(LED)、蛍光灯、リングガイド(ハロゲン光)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
目的の大きさの異物のみを正確に検出し、検出すべきでない小異物は検出しないようにするためには、照明手段2の位置、すなわち、垂直方向の位置及び水平方向の位置が重要である。照明手段2の垂直方向の位置は、顕微鏡の対物レンズ3とV溝が形成されたシリコン基板4の表面との間とすることが好ましく、シリコン基板表面から1〜8mm、好ましくは2〜4mmの位置が適当である。照明手段2は、垂直方向に移動可能とし、その位置を調整できるようにしておくことが好ましい。照明手段2の水平方向の位置は、対物レンズの中心軸を中心とする直径5〜40mmの円、好ましくは15〜30mmの円の円周上であることが好ましく、この円周上に連続的に又は等間隔で配置されていることが好ましい。照明手段2が点光源である場合はその点光源の個数は5個以上、好ましくは10個以上、最も好ましくは20〜40個である。
【0011】
また、目的の大きさの異物のみを正確に検出し、検出すべきでない小異物は検出しないようにするためには、照明手段2からの光線がV溝を照射する角度が重要である。この照射角は、シリコン基板の法線に対して20〜70度、好ましくは40〜50度が適当である。
なお、対物レンズ3とシリコン基板4の表面との間隔は通常は15〜20mm程度である。
照明手段2の明るさは、CCDカメラで受光する異物の輝度が150〜200(グレースケール)となるように調整するのが適当である。
【0012】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
シリコン基板上にV溝を設け、さらにポリマー光導波路を設けた光導波路デバイスのV溝表面を顕微鏡により観察し、CCDカメラから画像をパソコンに取り込み、パソコンで画像処理を行って、異物等の存在を検出した。
▲1▼顕微鏡の対物レンズ3を通過する光線を利用した同軸落射照明1により、明視野において倍率5倍で観察したところ、V溝表面は真っ暗で何も検出されなかった。
▲2▼顕微鏡の対物レンズ3の外側に設けられた光路を通過する光線を利用した拡散照明により、暗視野において倍率10倍で観察したところ、V溝表面に2個の異物が検出された。
▲3▼顕微鏡の対物レンズ3とシリコン基板4の表面との間で基板表面から20mmの位置に、LED(照明手段2)(出力0.5WのLED10個を直径15mmの円の円周上に等間隔で配置したもの)を配置し、この照明手段2と同軸落射照明手段1の両者を点灯して、倍率5倍で観察したところ、V溝表面に1個の異物が検出された。
【0013】
▲1▼の同軸落射照明手段1のみを用いた観察では異物が全く検出されず、▲2▼の通常の拡散照明のみを用いた観察では、V溝表面に2個の異物が検出された。
これに対して、▲3▼の外部取り付け拡散照明手段2と、同軸落射照明手段1の両者を用いた観察では、V溝表面に1個の異物のみが検出された。
▲2▼で検出された2個の異物の一方は、接触式膜厚計を用いて高さを測定したところ、1μm以下の膜状異物であり、異物として検出されるべきものではないことがわかった。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、V溝表面に存在し、搭載する光ファイバの位置ずれを生じ得るような比較的大きな異物のみが選択的に検出され、小異物や薄膜など搭載する光ファイバの位置ずれを生じ得ないような異物は検出されないため、良品を誤って不良品と判断する危険性が顕著に低下し、製品歩留りが向上する。
また本発明の装置は、従来の顕微鏡を用いた装置に環状の照明手段を追加するだけですみ、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同軸落射照明手段と外部取り付け拡散照明手段を有するV溝検査装置による検査の概略を示す図面である。
【図2】従来の同軸落射照明手段を有するV溝検査装置による検査の概略を示す図面である。
【図3】従来の拡散照明手段を有するV溝検査装置による検査の概略を示す図面である。
【符号の説明】
1:同軸落射照明手段、2:外部取り付け拡散照明手段、3:対物レンズ、4:シリコン基板、5:光路
Claims (7)
- シリコン基板上に形成された光ファイバ搭載用のV溝の表面に存在する異物を顕微鏡下で検査し、高さが1μm以上の凸部を検出し、高さが1μm未満の凸部は検出しない検査方法であって、
顕微鏡の対物レンズを通過する光線を利用した同軸落射照明手段と、外部取り付け拡散照明手段とを具備し、前記外部取り付け拡散照明手段が、前記顕微鏡の対物レンズと前記シリコン基板の表面との間に配置されている検査装置を使用すること、
前記外部取り付け拡散照明手段の水平方向の位置を、前記対物レンズの中心軸を中心とする直径5〜40mmの円の円周上とすること、
前記外部取り付け拡散照明手段の垂直方向の位置を、シリコン基板表面から1〜8mmとすること、
前記外部取り付け拡散照明手段からの照射角を、前記シリコン基板の法線に対して20〜70度とすること、
前記同軸落射照明手段と前記外部取り付け拡散照明手段の両者を点灯して前記V溝の表面に存在する異物を検出すること
を特徴とする検査方法。 - 前記外部取り付け拡散照明手段が、同軸落射照明手段からの照射光線の光路の周囲に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記外部取り付け拡散照明手段の垂直方向の位置が調整可能である請求項1又は2記載の検査方法。
- 前記外部取り付け拡散照明手段が環状拡散照明手段である請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査方法。
- 前記対物レンズと前記シリコン基板表面との間隔を15〜20mmとする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査方法。
- 表面に存在する異物を顕微鏡下グレースケールで検査することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査方法。
- 前記外部取り付け拡散照明手段の明るさを、CCDカメラで受光する異物の輝度が150〜200(グレースケール)となるように調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の検査方法。
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