JP4604519B2 - 流れ計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波流量計や熱式流量計等のように流速を検出する方法を用いて、流体の流量を間欠的にサンプリングして流体の使用量を計測する流れ計測装置に関するものである。
従来、この種の流量計として、熱式フローセンサや、超音波センサを用いたものが多数提案されており、これらは、微小な流れを検出できる高感度な流速計,流量計等の流れ計測装置としての特徴を備えている。しかしながら、微小な流れを検出できる反面、高感度であるがゆえの欠点として、流体の流れがないのにもかかわらず、局所的な流れに反応して流量を検出してしまうケースがあった。特に、供給配管に大きな圧力変動が発生した場合に、この現象が顕著に現れる。そのため、検出した値をそのまま積算していくことにより、流体使用を停止しているにもかかわらず、積算流量の値が増加してしまうことがあった。この現象を防ぐため、センサが検出した流量値を一旦、相殺バッファと呼ばれる補助の積算手段に加算する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された流れ計測装置は、家庭用のガスメータのように広い計測範囲(数[L/h]〜数千[L/h])をカバーするために、大流量は、フルイディック素子の流体発振現象を圧電膜センサにより計測し、流体発振の起こりにくい小流量域は、熱式フローセンサを用いて計測する方式のものである。
図6は、特許文献1に記載された従来の流れ計測装置の、小流量域、すなわち、フローセンサの計測領域の計測処理内容を示すブロック図である。図6に示すように、フローセンサ21、換算手段22、相殺バッファ23、タイマー24、積算手段25、表示手段26で構成されている。フローセンサ21は、6秒毎に駆動されて、装置内で発生している流速に応じた電気信号を出力する。換算手段22は、フローセンサの出力を元に、センサ駆動間隔である6秒間に装置内を通過した流量を求めて、相殺バッファ23に出力する。相殺バッファに加算された値は、1[L]に達する毎に信号を出力し、積算手段25は信号出力を受けて積算値に1[L]を加算する。そして、積算手段25の値が表示手段26で表示される。
上記構成の流れ計測装置において、例えば、ガスを使用していない条件下において、大きな圧力変動が発生しているケースでは、換算手段22の出力は、大きなばらつきを持ち、瞬間的には、正の大きな値となることもあるが、逆に、負の大きな値を出力することもあり、長い時間平均すれば、0[L]に落ち着く。しかし、一時的には、正の値に偏って出力されることもある。そのまま、放置しておけば、相殺バッファ23の内容が1[L]に達して、表示手段26の値が増加する危険性がある。そこで、タイマー24が定期的に相殺バッファ23が保持している積算値をクリアする。この時間は例えば、次のように決定される。ガス漏れの判定基準を3[L/h]とすれば、この値を装置の検出下限流量と考える。3[L/h]の流量が発生している場合には、相殺バッファの値は20分で1[L]に達する。したがって、タイマー24の定めるクリア時間を20分より大きな値に定めれば、3[L/h]の検出も可能であると共に、ガス不使用時の積算値の増加も防ぐことができる。
特開2002−62179号公報
しかしながら、前記従来の構成では、所定時間が経過すると、相殺バッファ23の内容がクリアされてしまうので、ガス器具の使用を停止した時点で相殺バッファ23に残された値が、捨てられることになり、積算誤差が発生するという課題があった。
この現象について、図7を用いて説明する。図7は、ガス器具の瞬時流量値、相殺バッファ23の値、表示手段26の表示値の動きを示したものである。図7において、15[L/h]のガス器具を14分間使用したものとし、簡単のため、ガス器具の使用を開始した時点、時刻T0における相殺バッファ23の値、積算手段25の値が共に0Lとする。時刻T1、T2、T3において相殺バッファ23の値は1[L]を超えるため、その都度、積算手段25に1[L]が加算されると同時に、相殺バッファ23はクリアされる。また、これと同時に、タイマー24は再スタートする。そして、時刻T4で、ガス器具の使用を停止したため、T4以降、相殺バッファ23の値は0.5[L]のまま、ほとんど変化しない。そして、最後に積算流量値が増加した時点T3からクリア時間20分が経過した時刻T5において相殺バッファ23はクリアされる。T0〜T4において使用されたガスの総使用量は3.5[L]であるが、実際、積算手段25に出力された値は3[L]であり、残りの0.5[L]は捨てられてしまう。
上記のケースを含めて、ガス器具の使用を停止した時点で、相殺バッファ23に保持されている流量は0〜1[L/h]の間の任意の値となるため、平均すると0.5[L]と考えることができる。よって、ガス器具の使用をバッファクリア時間より長い時間停止する度に、平均0.5[L]の流量が捨てられることになる。したがって、小口のガス器具を、比較的短い時間ずつ小刻みに使用するケースにおいては、相対的な誤差は無視できなくなってしまう。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ガス不使用時に積算値が増えることを防ぐと同時に、ガス使用時の積算誤差をも小さくすることを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の流れ計測装置は、通過流量演算手段の出力をタイマー手段の計時時間が所定値に達する毎にクリアされる補助積算手段に補助積算値として加算し、判定手段において補助積算値とタイマー手段の計時値と共に大となる判定閾値を比較し、補助積算値が大きい時のみ補助積算値を積算値として主積算手段に加算される構成としたものである。
これによって、流体不使用時に検出された流量はクリアされ、流体使用時に検出された流量はクリアされずに積算値として加算されていくことになる。
本発明の流れ計測装置は、流体不使用時に積算値が増えることを防ぐと同時に、流体使用時の積算誤差をも小さくすることができる。
第1の発明は、流体の流量と相関のある物理量を間欠的に計測する計測手段と、前記計測手段の出力から流体流量または流速を算出する演算手段と、前記演算手段の出力から通過流量を算出する通過流量演算手段と、前記通過流量演算手段の出力を加算する積算手段とを備え、前記積算手段は、前記通過流量演算手段の出力が補助積算値として加算される補助積算手段と、前記補助積算手段の積算開始からの経過時間を計時するタイマー手段と、前記タイマー手段が所定時間に達する毎に前記補助積算値をクリアするクリア手段と、前記補助積算値と判定閾値の大小判定を行う判定手段と、前記判定手段において前記補助積算値が大と判断された時に前記補助積算値が積算値として加算される主積算手段とを備え、前記判定手段の判定閾値が前記タイマー手段の計時する経過時間に伴って大となるように定めたことにより、流体不使用時に検出された流量はクリアされ、流体使用時に検出された流量はクリアされずに積算値として加算されていくことになるので、流体不使用時に積算値が増えることを防ぐと同時に、流体使用時の積算誤差をも小さくすることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明のタイマー手段の計時する時間が所定値に達するまでの期間を判定禁止時間と定めて、判定手段による大小判定を禁止する構成とすることにより、流体の使用・不使用の判別を的確に判断できるようになるので、積算値の精度を向上することができる。
第3の発明は、特に、第2の発明の判定禁止時間を想定される最小の流体使用量に応じて可変とすることにより、計測範囲に応じて、流体の使用・不使用の判定条件をより的確に定めることができるようになるので、積算値の精度を更に、向上することができる。
第4の発明は、特に、第3の発明の判定禁止時間を想定される計測ばらつきに応じて可変とすることにより、流れの安定度合いに応じて、流体の使用・不使用の判定条件をより的確に定めることができるようになるので、積算値の精度を向上することができる。
第5の発明は、特に、第1の発明の判定手段における判定閾値を想定される計測ばらつきに応じて可変とすることにより、流れの安定度合いに応じて、流体の使用・不使用の判定条件をより的確に定めることができるようになるので、積算値の精度を向上することができる。
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明における演算手段の出力または通過流量演算手段の出力が所定値より大きければ、判定手段の判定閾値とは無関係に補助積算値を主積算手段に加算する構成とすることにより、大流量を検出した時には、確実に積算値に反映されるので、流体使用時の積算誤差を小さくすることができる。
第7の発明は、特に、第2〜4のいずれか1つの発明において、判定禁止時間であっても、補助積算手段の値が所定値に達すれば、補助積算値を主積算手段に加算する構成とすることにより、大流量を検出した時には、確実に積算値に反映されるので、流体使用時の積算誤差を小さくすることができる。
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明において、補助積算値が負から正に変わった場合には、タイマー手段の計時時間をクリアすることにより、流体の流れ始めに検出した流量が誤ってクリアされることがなくなるので、流体使用時の積算誤差を小さくすることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における流れ計測装置の動作を示すブロック図、図2、図3は同装置の積算手段の動作を説明する特性図、図4、図5は同装置の積算手段の動作を説明するタイムチャートである。
なお、本実施の形態は、家庭用のガスメータへの適用を想定したものである。
図1において、計測手段であるフローセンサ2が、流体流路1に配置されており、流体流路内の流速を検知して、流速に対応した電気信号を出力する。演算手段3は、フローセンサ2の出力から流体の瞬時流量を算出し、通過流量演算手段4は、演算手段3の出力から流体の通過流量を算出して、結果を積算手段5に出力する。
そして、表示手段6が積算手段5で求められた流体の積算流量を表示する。更に、積算手段5は、以下のような構成となっている。
補助積算手段7は、通過流量演算手段4の出力を加算することにより積算値を求める。以後、補助積算手段7で求めた積算値を補助積算値と呼ぶ。また、タイマー手段8は補助積算手段7の積算開始からの経過時間を計時しており、判定手段9は、タイマー手段8の計時時間毎に定められた判定閾値と補助積算値との大小比較を行う。なお、判定手段9の判定閾値は、後述するように設定手段10により設定変更が可能となっている。
この、大小比較の結果、補助積算値が判定閾値を超えれば、補助積算値が主積算手段11に出力され、この値が積算値として加算されて行く。なお、主積算手段11に加算される値を、補助積算値と区別するため、単に積算値と呼ぶことにする。また、タイマー手段8の計時値が所定時間(例えば20分)に達した後、補助積算値が判定閾値を超えない場合には、クリア手段12が補助積算値をクリアするので、一定水準に達しない小さな値は積算されない。このような手順に従って、主積算手段11で求められた積算値が、表示手段6により表示される。
以上のように構成された流れ計測装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、フローセンサ2の出力が通過流量に変換されるまでの動作について説明する。フローセンサ2は一定時間(例えば2秒)毎に駆動され、その時点で、流体流路内に発生している流速vをAD変換して電圧信号Eとして出力する。流速vとフローセンサ2の出力は比例関係にあり、Eがわかれば(式1)を用いて流速vを求めることができる。
v=K・E (式1)
なお、(式1)において、Kは比例定数である。流路内の流速分布が一様であるとすれば、流速と断面積Sの積を求めることにより、流体の流量を求めることができるが、実際は、流体の粘性の影響などにより、流速分布は一様ではない。したがって、流速vを瞬時流量Qsに変換するには、流速vに依存する補正係数Mを用いて(式2)で求めることができる。
Qs=M・S・v=M・S・K・E (式2)
なお、(式2)を用いて流体流量を求めているのが、演算手段3である。更に、(式2)で求めた流量にフローセンサ2の駆動間隔tを乗じることにより、t秒間の、装置内の通過流量Qiを求めることができる。
Qi=Qs・t (式3)
例えば、Qが180[L/h]であったとすれば、(式3)に値を代入し、(式4)を用いて求められる。
Qi=180[L/h]×2[s]×(1[h]/3600[s])
=0.1[L] (式4)
なお、(式3)を用いて通過流量を求めているのが、通過流量演算手段4である。
次に、積算手段5の動作・作用について説明する。タイマー手段8は、補助積算手段7により補助積算が開始されてからの経過時間を計時している。なお、タイマー手段8の計時値は、補助積算値がクリアされるのと同期してクリアされるものとする。すなわち、通常は背景技術で述べたのと同様に定期的(20分毎)にクリアされるが、後述するように、補助積算値が所定条件に達して、この値を主積算手段11に加算する場合にもクリアされる。判定手段9では、設定手段10により設定された、流量大小判定の閾値Qthと補助積算値Qaとを比較し、Qaの方が大きければ、「流量大」、Qthの方が大きければ、「流量小」と判断する。
「流量大」とは、ガス器具を使用している状態に相当し、「流量小」はガス器具の使用を停止している状態に相当する。したがって、判定閾値Qthは、ガス器具の使用有無を判断するための閾値と言い換えることができる。この判定閾値Qthは可変であり、設置時に、各家庭の状況に応じて、リモコン等の外部機器を使って、設定手段10の設定値を変更することができる。
次に、判定手段11の判定方法の詳細について説明する。図2は、ガス不使用時、すなわち流量0[L/h]の時の補助積算値の時間推移の一例を示した特性図である。演算手段3で算出した瞬時流量Qsにはばらつきがあるため、補助積算値の取り得る値は、時間経過と共に徐々に広がっていく。図2において点線で示したのが、経過時間毎に補助積算値が取り得る値の上限値および下限値を示している。同様の考え方が、流量0[L/h]以外の場合に適用可能であり、流量に応じてばらつきの上限、下限の仮想曲線を引くことができるが、この曲線を利用して、流量の有無を判別し、積算流量に反映することが可能である。
図3を用いて、その具体的方法について説明する。使用が想定されるガス器具の最低流量が15[L/h]であるとする。図3では瞬時流量0[L/h]の時に、補助積算値の取り得る上限値を点線、瞬時流量15[L/h]の時に補助積算値の取り得る下限値を一点鎖線で示している。
この図において、点線より下側の領域は、ガス器具が使われていないと推定できる領域、一点鎖線より上側の領域は、ガス器具を使っていると推定できる領域を示している。両曲線は経過時間T1において交差し、それ以降は、両曲線間の距離は、徐々に広まっている。そのため、経過時間T1以降は、補助積算値によって、両者の区別、すなわち、ガス器具を使用しているかどうかの区別は可能となる。よって、経過時間60秒までを判定禁止時間とすることにより、流量大小判定をより的確に行なうことが可能となる。
そして、この判定禁止時間60秒経過時点での点線と一点鎖線の交点が0.12[L]であるから、この時点での、大小判定閾値Qthを0.12[L]とし、補助積算値Qaが0.12[L]を超えていれば、補助積算値を主積算手段11が保持している積算値に加算し、同時に、補助積算値Qaをクリアして0[L]とする。逆に、60秒経過した時点で、補助積算値Qaが0.12[L]に達していなければ、通過流量演算手段4で求めた通過流量は継続して、補助積算手段7に加算される。60秒経過以後、図3に示す様に、点線と一点鎖線の中間に閾値が来るように、時間経過と共に、判定閾値が変化するように定められている。なお、判定閾値の設定パタンは一通りではなく、設定手段10により変更が可能である。
例えば、想定されるガス器具の最低使用量が15[L/h]より小さい場合には、図3の一点鎖線は全体的に下方に移動することになるため、一点鎖線と点線の交点は右側にシフトする。したがって、想定されるガス器具の最低使用量が小さくなるに従って、判定禁止T1が長くなるように設定しておけば、ガス不使用時の誤積算を小さくすることができる。また、ガス器具の最低使用量が同じであっても、計測値のばらつきが大きければ、図3の一点鎖線は下方に、点線は上方にシフトし、両曲線の交点も右側にシフトする。したがって、例えば、ガスエンジンを使用したエアコンなどガス供給圧の変動を招く可能性のあるガス器具を設置した近隣の地域においては、判定禁止時間を長くしたり、あるいは、各時間帯における判定閾値を通常より小さく設定することによりガス不使用時の誤積算を小さくすることが可能である。
上記した積算手段5の動作を図4を用いて説明する。図4において、15[L/h]のガス器具を使用した場合の、主積算手段11の内容、すなわち積算値の動きを示すものである。また、判定手段9における判定閾値は図3に示す通りである。簡単のため、演算手段3の出力にはばらつきがなく、かつ真値が得られるものとし、時刻T0の直前まで、積算値、補助積算値ともに、0[L]で、かつ時刻T0で補助積算値がクリアされるものとする。
時刻T0においてガス器具の使用を開始し、判定禁止時間が解除される60秒後の時刻T1において、補助積算値は0.25[L]であり、判定閾値である0.12[L]を超えているので、この時点の補助積算値は主積算手段11へ加算され、積算値が0.25[L]増加する。この時、補助積算値はクリアされると同時にタイマー手段8もクリアされ、補助積算開始からの経過時間を最初から計時することになる。以後、一定流量15[L/h]が継続しているので、60秒毎に積算値が0.25[L]ずつ増加することになる。
そして、時刻T3において、ガス器具の使用を停止した場合に、補助積算値に残された値が0.125[L]であるものとする。そのまま、ガス器具の使用を停止した場合、補助積算値は0.125[L]のまま変わらない。そして、最後に、積算値が加算された時刻T2から判定禁止時間である60秒が経過した時刻T4において補助積算値は、判定閾値である0.12[L]を超えているので、時刻T4において補助積算値0.125[L]は、主積算手段11に出力され積算値として加算される。その後、ガス器具は使用停止されたままであるため、補助積算値は0のまま変化せず、タイマー手段8の値は増え続ける。
そして、所定のクリア時間である20分が経過した時点で、補助積算値はクリアされることになる。もし、仮に、時刻T3の時点で、補助積算値が、0.12[L]未満であったとしても、20分経過した時点で、捨てられる流量は最大でも0.12[L]ということになる。よって、背景技術のように、補助積算値が1[L]に達しないと、積算値として加算されない構成に比べてガス器具の使い終わりの積算誤差を遥かに小さくすることができる。
一方、ガス器具の使い始め時刻T0と、補助積算開始のタイミングは必ずしも、同期するとは限らない。補助積算開始してから、ガス器具の開始まで遅延がある場合もある。この場合、補助積算値は0[L]からスタートして、時間経過と共に増加する。この場合、判定閾値の上限を1[L]に定めておくことにより、補助積算値のクリア時間である20分が経過する以前に、補助積算値が1[L]に達すれば、この値が積算値として主積算手段11に加算されるのは背景技術の方式と同一であり、更に、補助積算値が1[L]に達する以前に、判定閾値を超える場合もあるので、ガス器具の立ち上がりにおける積算誤差も背景技術に比べて小さくすることができるということが言える。
ガス器具の使い始めの積算誤差を小さくする方法として例えば、図5のような構成を用いても良い。図5では、補助積算開始からの経過時間と、補助積算値との推移を示している。ガス器具は時刻T0において使用開始されていて、それ以前の時間帯においては、演算手段3の出力が大きなばらつきを示しているため、補積算値が0[L]を中心として、上下に振動している。
経過時間T0からガス器具を使用したものとすると、タイマー手段8の計時値によっては、補助積算値が閾値に達する以前に、クリア手段8が補助積算値をクリアしてしまう場合も考えられる。しかし、この場合、補助積算値が負の値から正の値に変化した時点を起点とした方が、より的確な流量判定ができることは明らかである。よって、このようなケースにおいては、補助積算値が負から正に変わった経過時間T1において、タイマー手段8の計時値をクリアする構成とすれば良い。
また以上は、ガス器具の最下限流量である15[L/h]について、述べてきたが、これより遥かに大きな流量のガス器具を使った場合には、即座に、ガス器具を使用しているということが判断できる。したがって、演算手段3から出力された瞬時流量値または、通過流量演算手段4から出力された値が所定の値より大きければ、補助積算値にかかわらず、補助積算値を積算値に加算する構成とすれば、この時検出した流量がクリアされることがなくなるので、積算誤差を小さくすることができるようになる。また、補助積算値が所定値(例えば1[L])を超えた場合には、判定禁止期間であっても、補助積算値を積算値に加算する構成であっても同様の効果が得られる。
以上のように、本発明の実施の形態においては、通過流量演算手段4の出力をタイマー手段8の計時時間が所定値に達する毎にクリアされる補助積算手段7に補助積算値として加算し、判定手段9において補助積算値とタイマー手段8の計時値と共に大となる判定閾値を比較し、補助積算値が大きい時のみ補助積算値を積算値として主積算手段11に加算される構成とすることにより、流体不使用時に検出された流量はクリアされ、流体使用時に検出された流量はクリアされずに積算値として加算されていくことになるため、流体不使用時に積算値が増えることを防ぐと同時に、流体使用時の積算誤差をも小さくすることができる。
また、タイマー手段8の計時する時間が所定値に達するまでの期間を判定禁止時間と定めて、判定手段8による大小判定を禁止する構成とすることにより、流体の使用・不使用の判別を的確に判断できるようになるので、積算値の精度を向上することができる。
また、判定禁止時間を想定される最小の流体使用量に応じて可変とすることにより、流体の使用・不使用の判定条件をより的確に定めることができるようになるので、積算値の精度を更に、向上することができる。
また、判定禁止時間を想定される計測ばらつきに応じて可変とすることにより、流れの安定度合いに応じて、流体の使用・不使用の判定条件をより的確に定めることができるようになるので、積算値の精度を向上することができる。
また、判定手段8における判定閾値を想定される計測ばらつきに応じて可変とすることにより、流れの安定度合いに応じて、流体の使用・不使用の判定条件をより的確に定めることができるようになるので、積算値の精度を向上することができる。
また、演算手段3の出力または通過流量演算手段4の出力が所定値より大きければ、判定手段9の判定閾値とは無関係に補助積算値を主積算手段11に加算する構成とすることにより、大流量を検出した時には、確実に積算値に反映されるので、流体使用時の積算誤差を小さくすることができる。
また、判定禁止時間であっても、補助積算手段7の値が所定値に達すれば、補助積算値を主積算手段11に加算する構成とすることにより、大流量を検出した時には、確実に積算値に反映されるので、流体使用時の積算誤差を小さくすることができる。
更に、補助積算値が負から正に変わった場合には、タイマー手段8の計時時間をクリアすることにより、流体の流れ始めに検出した流量が誤ってクリアされることがなくなるので、流体使用時の積算誤差を小さくすることができる。
本発明の流れ計測装置は、流体不使用時に表示手段の値が増えることを防ぐと同時に、流体使用時の積算誤差をも小さくすることができるので、各種ガスメータ、石油、ガソリンなどの液体計測用メータ等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における流れ計測装置のブロック図 本発明の実施の形態1における積算手段の動作を説明する特性図 本発明の実施の形態1における積算手段の動作を説明する別の特性図 本発明の実施の形態1における積算手段の動作を説明するタイムチャート 本発明の実施の形態1における積算手段の動作を説明する別のタイムチャート 従来の流れ計測装置のブロック図 従来の流れ計測装置の動作を説明するタイムチャート
符号の説明
2 フローセンサ
3 演算手段
4 通過流量演算手段
5 積算手段
7 補助積算手段
8 タイマー手段
9 判定手段
10 設定手段
11 主積算手段
12 クリア手段

Claims (8)

  1. 流体の流量と相関のある物理量を間欠的に計測する計測手段と、前記計測手段の出力から流量または流速を算出する演算手段と、前記演算手段の出力から通過流量を算出する通過流量演算手段と、前記通過流量演算手段の出力を加算する積算手段とを備え、前記積算手段は、前記通過流量演算手段の出力が補助積算値として加算される補助積算手段と、前記補助積算手段の積算開始からの経過時間を計時するタイマー手段と、前記タイマー手段が所定時間に達する毎に前記補助積算値をクリアするクリア手段と、前記補助積算値と判定閾値の大小判定を行う判定手段と、前記判定手段において前記補助積算値が大と判断された時に前記補助積算値が積算値として加算される主積算手段とを備え、前記判定手段の判定閾値が前記タイマー手段の計時する経過時間に伴って大となるように定められた流れ計測装置。
  2. タイマー手段の計時する時間が所定値に達するまでの期間を判定禁止時間と定めて、判定手段による大小判定を禁止する構成とした請求項1に記載の流れ計測装置。
  3. 判定禁止時間を想定される最小の流体使用量に応じて可変とした請求項2に記載の流れ計測装置。
  4. 判定禁止時間を想定される計測ばらつきに応じて可変とした請求項2に記載の流れ計測装置。
  5. 判定手段における判定閾値を想定される計測ばらつきに応じて可変とした請求項1に記載の流れ計測装置。
  6. 演算手段の出力または通過流量演算手段の出力が所定値より大きければ、判定手段の判定閾値とは無関係に補助積算値を主積算手段に加算する構成とした請求項1から5いずれか1項に記載の流れ計測装置。
  7. 補助積算手段の値が所定値に達すれば、判定禁止時間であっても補助積算値を主積算手段に加算する構成とした請求項2から4いずれか1項に記載の流れ計測装置。
  8. 補助積算値が負から正に変わった場合には、タイマー手段の計時時間をクリアする請求項1からいずれか1項に記載の流れ計測装置。
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