JP4602288B2 - 電力系統の過渡安定度判別方法およびその装置 - Google Patents

電力系統の過渡安定度判別方法およびその装置 Download PDF

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Description

本発明は、想定事故に対する電力系統の過渡安定度を判別する電力系統の過渡安定度判別方法およびその装置に関する。
一般に、電力系統には、多くの発電機が接続されており、各発電機は、互いに同期運転を行い、それぞれ発電した電力を電力系統に供給している。このような電力系統において、系統事故が発生した場合、保護リレーの動作により事故区間を判定して遮断器を開放し事故区間を除去する。一般的にはこのとき、系統事故継続中に発電機の電力が送れなくなり余ったエネルギーが発電機の加速エネルギーとなり、発電機が加速する。事故除去直後には、電力が送れる状態となり、加速していた発電機が減速する。しかし、加速エネルギーが大きい発電機は、同期運転に戻れずに脱調を起こすものが現れる。その結果、電力系統の安定を維持して運転することができなくなる。
そこで、系統事故が発生した場合、速やかに電力系統の安定度を判定し、必要に応じて電力系統に接続されている一部の発電機を遮断し、電力系統に残された発電機の脱調を防止し、電力系統の安定化を図る必要がある。ここに、電力系統の系統事故発生時、電力系統の過渡安定度を迅速に判定することが必要不可欠となる。
従来、電力系統の過渡安定度判別には、幾つかの判別方法が挙げられる。
その一つの電力系統の過渡安定度判別方法は、安定度シミュレーションを実施し、このシミュレーション結果に基づく発電機の振る舞いを把握することにより、安定度を判別する方法である。つまり、この安定度シミュレーションは、計算の高速化や膨大な計算量の縮小化を図るために、発電機群の加速エネルギーと減速エネルギーとに着目した,いわゆる拡張等面積法に基づく安定度の判別方法である。
しかし、この安定度判別方法は、拡張等面積法に関する問題の定式化に際し、実際に稼動中の発電機や発電機制御系の動特性を考慮したP−δの関係を表す定式化が難しいため、発電機内部電圧や発電機の機械入力等のパラメータを一定値と仮定した簡略モデルによる定式化を用いていることから、安定度判定の精度に問題があった。
また、他のもう一つの電力系統の安定度判別方法としては、電力系統の想定事故安定度評価方法が提案されている(特許文献1)。
この想定事故安定度評価方法は、図16に示すように、想定事故毎に、発電機の動特性を考慮に入れた事故除去後の発電機の動揺を求める時間領域シミュレーションを実施し、このシミュレーションによって得られる発電機の状態データを読み取る(101)。そして、事故除去後の各発電機の位相角の大きさに応じて、電力系統に接続された複数の発電機を2つのグループに分けた後、所定の演算式のもとに2つの等価発電機(2機系統)に縮約する(102)。つまり、事故除去後の発電機位相角の大きさに基づいて2つのグループに分ける1次元分類法をとっている。
さらに、以上のように2機系統に分けた発電機群を一機無限大系統に等価的に置き換えた後(103)、前述した事故除去後のシミュレーション結果を用いて、事故除去後の修正運動エネルギーを計算する(104)。また、等価一機無限大系統の事故除去後の発電機有効電力出力Pと発電機位相角δとの曲線,すなわちP−δ曲線を推定する(105)。
ところで、等価一機無限大系統のP−δ曲線は、サイン曲線となることから、当該P−δ曲線に表われる発電機の有効電力出力を求めるための系統パラメータは、三角関数を含む非線形の定式化に基づき、事故除去後のシミュレーション結果と発電機位相角とを用いて、最小二乗法を用いて推定し、得られた各系統パラメータを用いることにより、最終的に発電機の有効電力出力を求める。
さらに、推定された事故除去後のP−δ曲線を用いて、事故除去後の不安定平衡点を求めた後(106)、当該不安定平衡点から減速面積を計算し、この減速面積と前述した修正運動エネルギーとから安定判別を行うものである(107)。
特開平11−243644号公報
しかしながら、以上のような電力系統の安定度判別方法は、何れも発電機内部電圧を一定と仮定した簡略モデルにより定式化を行っている。その理由は、拡張等面積法が発電機内部電圧を一定とした定式化となっている為である。ここで、発電機内部電圧を一定とした場合、発電機界磁電圧のAVR等の制御系モデルを考慮することができない問題がある。
また、後者の想定事故安定度評価方法は、想定事故の事故直後の発電機内部位相角によって発電機群をグループ分けしているので、事故中の蓄積エネルギーは考慮されているものの、事故除去後の系統状態を考慮していない。その結果、対象電力系統に接続される発電機群を不安定傾向の発電機グループ及び安定傾向の発電機グループに適切に分けることが難しい。
また、想定事故安定度評価方法は、2機系統に等価する発電機モデルを作成する際、平均値や最小二乗法等を用いて、等価発電機モデルの系統パラメータを推定しているが、発電機内部電圧を含む未知変数が増える結果、適正な推定が困難となる。
さらに、拡張等面積法の適用に当たり、電力系統に接続される多数の発電機群を不安定傾向の発電機グループと安定傾向の発電機グループとに分ける必要があるが、後者の想定事故安定度評価方法では、1機無限大系統や長距離送電線で接続される電源系統を想定し、予め分類が容易な系統への適用に限定する方法や事故除去直後の発電機内部位相角の大きさに着目したグループ分け方法に限られている。本来、多数の発電機が接続される多機系統では、過渡安定度の過酷度が事故中の蓄積エネルギーと事故除去後の電力系統の系統状態の影響を受けるものであるが、事故除去直後の発電機内部位相角だけでは、正確にグループ分けできない可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、多機系統における想定事故発生時、事故中の蓄積エネルギーと事故除去後の電力系統の系統状態とを考慮し、不安定傾向の発電機グループと安定傾向の発電機グループとに正確に分類分けできる電力系統の過渡安定度判別方法およびその装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電力系統の過渡安定度判別方法の発明は、過渡安定度の判別対象となる電力系統の最も確からしい初期状態を推定計算する初期状態推定入力ステップと、前記電力系統の初期状態に対して想定事故を設定する想定事故設定ステップと、この想定事故設定ステップで設定された想定事故ごとに前記初期状態推定入力ステップから入力される初期状態を用いて前記電力系統の詳細安定度を計算する安定度シミュレーション処理ステップと、この安定度シミュレーション処理ステップにより得られる安定度計算結果の一部である発電機内部電圧ベクトル及び発電機有効電力出力と、予め設定された発電機分類情報とに基づいて等価な2機系モデルを作成する2機系モデル作成ステップと、この作成ステップで作成された2機系モデルを構成する2つの縮約発電機を結ぶ間の等価な系統アドミッタンスを推定する系統アドミッタンス推定ステップと、この推定ステップで推定された系統アドミッタンスと前記安定度計算結果とに基づき、拡張等面積法によって安定判別や安定度の定量評価などの安定判別結果を取得する安定判別評価ステップとを有することを特徴とする。
また、請求項2に係る電力系統の過渡安定度判別方法の発明は、前述した構成要素の一部である2機系モデル作成ステップに代えて、前記安定度シミュレーション処理ステップで得られた安定度計算結果の一部である発電機内部電圧ベクトルを所定の方法で簡略化した計算値及び発電機有効電力出力と、予め設定された発電機分類情報とに基づいて等価な2機系モデルを作成する2機系簡易モデル作成ステップを用い、また、前記系統アドミッタンス推定ステップに代えて、前記2機系簡易モデル作成ステップで作成される2機系モデルを構成する2つの縮約発電機を結ぶ間の等価な系統アドミッタンスと発電機内部電圧との積から系統パラメータを推定する系統パラメータ推定ステップを用いたことを特徴とする。
また、請求項3に係る電力系統の過渡安定度判別方法の発明は、前述した発電機分類情報の設定処理として、前記想定事故設定ステップで設定された想定事故ごとに、安定度計算を行って各発電機の想定事故除去後系統の内部位相角を演算する事故除去後発電機内部位相角演算ステップと、前記想定事故除去後系統の内部位相角と前記安定度シミュレーション処理ステップにより求めた各発電機の事故除去直後の内部位相角とに対する前記電力系統の初期状態の発電機内部位相角の各位相角偏差をそれぞれX軸及びY軸とし、かつ各位相角偏差に属するそれぞれ発電機単位慣性定数を考慮した平均値をX軸のしきい値及びY軸のしきい値とすることにより、各発電機のグルーピングを行う2次元位相角グルーピング処理ステップとを有することを特徴とする。
また、請求項4に係る電力系統の過渡安定度判別方法の発明は、前述した発電機分類情報の設定処理として、前記安定度シミュレーション処理ステップにより求めた角発電機の事故除去直後の内部位相角角速度から得られる事故時の加速エネルギー及び減速エネルギーをそれぞれX軸及びY軸とし、各発電機のグルーピングを行う2次元エネルギー指標グルーピング処理ステップとを有することを特徴とする。
また、請求項5に係る過渡安定度判別方法の発明は、請求項1または請求項2の構成要素に新たに、複数の想定事故ケースに対する前記安定判別評価ステップによる安定判別結果に基づき不安定事故ケースを抽出する安定度スクリーニングステップと、このステップで抽出される不安定事故ケースに対して前記安定度シミュレーション処理ステップを用いて所定の解析対象時間の範囲で安定度シミュレーションを実施し、現在系統における安定、不安定を検証する詳細安定度検証ステップとを追加することを特徴とする。
また、請求項6に係る電力系統の過渡安定度判別装置の発明は、請求項1に記載される安定判別評価ステップに代えて、前記想定事故が不平衡事故により開閉器の再閉路を行うとき、当該再閉路を境に再閉路前P−δ曲線から別の再閉路後P−δ曲線に切り替わる場合に、当該再閉路後P−δ曲線を推定する再閉路後曲線近似ステップと、前記P−δ曲線の切替わり前後に分けて前記系統アドミッタンス推定ステップで推定された系統アドミッタンスと前記安定度計算結果とに基づいて減速エネルギーを算出し、前記安定判別及び安定度の定量評価を行う再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップとを設けたことを特徴とする。
さらに、請求項7に係る電力系統の過渡安定度判別装置の発明は、請求項3に記載される事故除去後発電機内部位相角演算ステップに代えて、前記想定事故に応じて潮流計算が未収束となる場合、前記想定事故の対象送電線のインピーダンスを仮想的に収束可能な大きさに設定して潮流計算を行い、想定事故後系統の発電機内部位相角を求める簡易インピーダンス潮流計算ステップを設けたことを特徴とする。
さらに、請求項8に係る電力系統の過渡安定度判別装置の発明は、請求項3に記載される事故除去後発電機内部位相角演算ステップに代えて、前記安定度計算結果のうち、詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時における各発電機の内部位相角を想定事故後系統の発電機内部位相角として代用する発電機内部位相角取り出しステップを設けたことを特徴とする。
さらに、請求項9に係る電力系統の過渡安定度判別装置の発明は、複数台の発電機が接続された電力系統の過渡安定度を判別する電力系統の過渡安定度判別装置において、前記過渡安定度の判別対象となる電力系統の最も確からしい初期状態を推定計算する初期状態推定入力手段と、前記電力系統の初期状態に対して想定事故を設定する想定事故設定手段と、この想定事故設定手段から設定される想定事故ごとに前記初期状態推定入力手段から入力される初期状態を用いて前記電力系統の詳細安定度を計算する安定度シミュレーション処理手段と、この安定度シミュレーション処理手段で得られる安定度計算結果の一部である発電機内部電圧ベクトル及び発電機有効電力出力と、予め設定された発電機分類情報とに基づいて等価な2機系モデルを作成する2機系モデル作成手段と、この作成手段で作成された2機系モデルを構成する2つの縮約発電機を結ぶ間の等価な系統アドミッタンスを推定する系統アドミッタンス推定手段と、この推定手段で推定された系統アドミッタンスと前記安定度計算結果とに基づき、拡張等面積法によって安定判別や安定度の定量評価などの安定判別結果を取得する安定判別評価手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、多機系統における想定事故の発生時、事故中の蓄積エネルギーと事故除去後の電力系統の系統状態とを考慮し、不安定傾向の発電機グループと安定傾向の発電機グループとに正確に分類分けできる電力系統の過渡安定度判別方法および装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る電力系統の過渡安定度判別方法の第1の実施の形態を説明する処理の流れを示す図である。
この電力系統の過渡安定度判別方法は、CPUで構成される安定度判別処理装置2が設けられ、所定の処理手順に従って判別対象となる電力系統(電力系統モデルを含む)1の過渡安定度の判別処理を行うものである。
安定度判別対象となる電力系統1は、例えば基幹系統を構成する多数の連係母線の各所にそれぞれ変圧器及び電源線を通して多数の発電機や負荷が接続された,いわゆる多機系統を構成している。その結果、電源線や連係母線の何れかで短絡、地絡、断線等の事故が発生した場合、その事故点によっては、事故点近傍の比較的発電容量の小さい発電機の位相差が90度を越える場合がある。この場合、発電機の同期運転が難しくなり、当該発電機は脱調する。脱調する発電機が存在すると、過渡安定度が不安定となり、安定傾向の発電機グループと不安定傾向の発電機グループとに分かれてくる。
そこで、安定度判別処理装置2において、系統事故の発生時、電力系統の過渡安定度を正確に判定し、安定傾向の発電機グループと不安定傾向の発電機グループとに分類分けすることにより、発電機遮断の制御に有効に活用することが可能となる。
この安定度判別処理装置2による過渡安定度判別方法は、過渡安定度判別対象となる電力系統1の初期状態を推定計算する初期状態推定入力ステップ11と、電力系統1の想定事故を設定する想定事故設定ステップ12と、予め想定される想定事故ごとに対象電力系統1の初期状態を用いて安定度計算を実施する安定度シミュレーション処理ステップ13と、2機系モデル作成ステップ14と、系統アドミッタンス推定ステップ15と、安定判別評価ステップ16とから成る。
初期状態推定入力ステップ11は、対象電力系統1から予め所要とするテレメータ情報や電力系統1に設置される各種開閉器の入り切り情報を取り込み、状態推定計算等を用いて、電力系統1の初期状態を推定計算し、安定度シミュレーション処理ステップ13に入力する。ここで、電力系統1の初期状態とは、想定事故前の運転状態における現在系統の各ノード(例えば各母線、発電機接続母線、系統の各分岐点などが相当する)の電圧、位相角、有効電力、無効電力、その他必要な初期状態量を総称する。また、電力系統1の初期状態としては、現在系統だけでなく、将来の運用計画(夏季消費電力ピーク時等)に基づく将来系統に基づく初期状態を含むものである。なお、将来系統に基づく初期状態の場合には潮流計算によって求める。
想定事故設定ステップ12は、予め複数の想定事故データD1がデータベース3に記憶され、当該データベース3から想定事故ごとに想定事故データD1を読み出して安定度シミュレーション処理ステップ13に入力する。ここで、想定事故とは、電力系統1を構成する各送電線の数ごと、各送電線の事故個所ごと及び事故パターンごとに想定される事故データを意味する。事故パターンとしては、例えば落雷による系統の1線地絡、2線地絡事故等が挙げられる。
安定度シミュレーション処理ステップ13は、想定事故設定ステップ12から設定される想定事故ごとに、前記初期状態推定入力ステップ11から入力される初期状態量を用いて、電力系統1の振る舞い(過渡安定度),つまり電力系統1の詳細安定度を計算し、安定度計算結果D2として出力する。具体的には、想定事故発生時の発電機の動特性を非線形常微分方程式で表し、数値積分手法(例えば4次のルンゲ・クッタ法)により、時々刻々変化する各変数の動きを計算する。この実施の形態においては、事故除去時点を基点として例えば0.01秒刻み幅で0.3秒程度経過するまで詳細安定度シミュレーションを繰り返し実施する。従って、事故発生時点を基点としてから0.3秒ないし0.5秒程度までの動特性を計算するだけであり、通常実施されている安定度計算には5.0秒程度かかることを考えると、10分の1程度の速さで動特性の計算を実施できる。
2機系モデル作成ステップ14は、安定度シミュレーション処理ステップ13で得られた安定度計算結果D2である初期過渡内部電圧ベクトル(大きさ,位相角)及び発電機有効電力出力と、予めデータベース3に記憶されている発電機分類情報D3とに基づいて等価な2機系モデルを作成する。ここで、発電機分類情報D3は、図2に示すように想定事故ごとに例えば不安定傾向の発電機情報と安定傾向の発電機情報とに分けて記憶されている。例えば不安定傾向の発電機情報だけを規定し、それ以外の発電機を安定傾向の発電機として取り扱ってもよく、また安定傾向の発電機情報だけを規定し、それ以外の発電機を不安定傾向の発電機として取り扱ってもよい。
系統アドミッタンス推定ステップ15は、2機系モデル作成ステップ14で作成された2機系モデルでは2つの等価発電機を結ぶ等価な系統アドミッタンスが未知数となっているので、最小二乗法を用いて、等価な2機モデルにおける系統パラメータ(アドミッタンス)D4を推定する。
安定判別評価ステップ16は、系統アドミッタンス推定ステップ15で推定された系統アドミッタンスD4と前述した詳細安定度計算結果D2とに基づき、拡張等面積法を用いて安定判別と安定度の定量評価を行い、安定度判別結果D5を出力するものである。
次に、以上のような電力系統の過渡安定度判別方法の作用について詳細に説明する。
先ず、データベース3の所定領域内に、電力系統1で想定されるあらゆる想定事故データD1と、各想定事故ごとに不安定傾向の発電機情報及び安定傾向の発電機報からなる発電機分類情報D3が予め記憶されている。
以上のような状態において、外部から図示しない過渡安定度判別指令が入力されると、初期状態推定入力ステップ11が起動し、想定事故前の運転状態における現在電力系統1の各ノードの初期状態を状態推定計算し、安定度シミュレーション処理ステップ13に入力する。また、想定事故設定ステップ12では、データベース3から予め定められた順序に従って1つの想定事故データを取り出し、安定度シミュレーション処理ステップ13に設定する。
安定度シミュレーション処理ステップ13では、想定事故設定ステップ12から設定される想定事故データに対し、対象電力系統1の初期状態を用いて、詳細安定度計算を実施し、想定事故発生時の電力系統1の振る舞い、特に発電機の振る舞いを計算する。すなわち、安定度シミュレーション処理ステップ13は、各発電機ごとに下記する微分方程式(1)〜(5)を用いて、発電機の振る舞いとなる動特性を計算し、安定度計算結果D2として出力する。
Figure 0004602288
但し、δ:発電機内部位相角、ω:発電機回転子角速度、ω0:基準角速度(=2πf0、0は基本周波数)、M:発電機単位慣性定数、Pm:機械入力、Pe:電気出力、D:制動係数、e´q:q軸過渡内部電圧、T´d0:d軸開路過渡時定数、T"d0:d軸開路初期過渡時定数、T"q0:q軸開路初期過渡時定数、Efd:界磁電圧に比例する内部電圧、EI:界磁電流に比例する内部電圧、Ψkd:d軸ダンパ回路の磁束、Ψkq:q軸ダンパ回路の磁束、id:d軸電機子電流、iq:q軸電気子電流、kd:d軸ダンパ電流、ikq:q軸ダンパ電流、ra:電機子抵抗、Xd:d軸同期リアクタンス、X´d:d軸過渡リアクタンス、X"d:d軸初期過渡リアクタンス、Xq:q軸同期リアクタンス、X´q:q軸過渡リアクタンス、X"q:q軸初期過渡リアクタンス、X1:漏れリアクタンスである。
ところで、前記(1)式〜(5)式の右辺に属する諸量は下記(6)式に示す代数方程式及び下記(7)式〜(14)式から求めることができる。
Figure 0004602288
但し、EG:発電機接続ノード電圧ベクトル
L:負荷ノード電圧ベクトル
GG:発電機接続ノード間のアドミッタンス行列
GL:発電機接続ノード−負荷ノード間のアドミッタンス行列
LG:負荷ノード−発電機接続ノード間のアドミッタンス行列
LL:負荷ノード間のアドミッタンス行列
G:発電機内部電圧ベクトル
G:発電機の内部アドミッタンス
L:負荷ノード電流ベクトル
また、発電機内部電流IG、発電機有効電力出力Pe、d軸電機子電流id、q軸電機子電流iq、d軸ダンパ電流ikd、q軸ダンパ電流ikq、発電機の界磁電流に比例する内部電圧EI、界磁電圧に比例する内部電圧Efdについては、下記する各式から求める。
Figure 0004602288
なお、前記(7)式〜(14)式において、Re:実部、Im:虚部、fAVRのf:関数を表す。
さらに、本発明方法では、発電機の界磁電圧制御系(AVR)や調速機制御系(GOV)を考慮する場合は、下記式に基づいてAVR及びGOVの状態変数の動きを計算する。
dyAVR/dt=FAVR(t、yAVR) ……(15)
dyGOV/dt=FGOV(t、yGOV) ……(16)
但し、(15)式及び(16)式において、
AVR:AVRの状態変数ベクトル
AVR:AVR制御特性関数ベクトル
GOV:GOVの状態変数ベクトル
GOV:GOV制御特性関数ベクトルである。
すなわち、本発明方法においては、ベクトルで表現される(15)式及び(16)式の微分方程式の計算が新たに追加される。
よって、本発明方法における安定度シミュレーション処理ステップ13としては、前記(6)式〜(14)式を用いて、微分方程式(1)式〜(5)式、(15)式、(16)式の右辺に属する諸量を算出した後、これら諸量を(1)式〜(5)式、(15)式、(16)式に代入し、これら微分方程式を解くことにより、Δt時間後の発電機諸量を計算する。そして、これらの計算結果を踏まえ、下記(17)式を用いて、発電機内部電圧ベクトルeGを求めた後、この求めた発電機内部電圧ベクトルeGを再度前記(6)式に代入し計算を繰り返していく。
Figure 0004602288
上式において、sqrtは√を表す。
以上のように安定度シミュレーション処理ステップ13では、各発電機に関する諸量については微分方程式を用いて計算し、系統全体に関する諸量については代数方程式を用いて計算し、それぞれ得られた諸量は図示されていないが適宜な記憶装置に記憶し、例えば0.1秒単位で時刻を進めながら安定度シミュレーションを繰り返し実施していく。そして、本実施の形態では、例えば0.5秒,つまり50回繰り返し実施する。
以後、想定事故毎に、電力系統1の初期状態に基づき、安定度シミュレーションを繰り返し実施する。
そして、各想定事故に対する安定度シミュレーションの実施により安定度計算結果D2である諸量が得られたならば、2機系モデル作成ステップ14に移行し、等価発電機の状態変数を求める。
この2機系モデル作成ステップ14は、前述した安定度シミュレーション処理ステップ13で求められた例えば発電機単位関数M、発電機有効電力出力Pe、発電機内部電圧ベクトルeG、発電機内部位相角δ、発電機機械入力Pmその他の必要な諸量と、データベース3に記憶される発電機分類情報D3とを用い、かつ定式化により電力系統1の等価な2機系モデルを作成する。
なお、安定度シミュレーション処理ステップ13では、特定された想定事故のもとに安定度シミュレーションを実施しているので、当該想定事故における発電機分類情報D3から不安定傾向の発電機グループの等価発電機(縮約発電機)G1と安定傾向の発電機グループの等価発電機(縮約発電機)G2を容易に抽出できる。
そこで、2機系モデル作成ステップ14においては、等価発電機の状態変数となる発電機有効電力出力PE1,PE2、発電機内部電圧EG1、EG2、発電機内部位相角δ1´、δ2´、発電機機械入力PM1,PM2を次式の計算によって求める。また、2つの等価発電機G1と等価発電機G2は、縮小Y行列(縮小アドミッタンス)で接続されている。その結果、図3に示すような電力系統1の等価な2機系モデルを作成することができる。なお、図中の縮小Y行列中のG11,G12,G22、B11,B12、B22は系統アドミッタンス(系統パラメータ)である。
Figure 0004602288
なお、符号Mi,Mj等で表す添え字i,jは個別の発電機番号1,2,3,…を意味する。
この2機系モデル作成ステップ14は、発電機分類情報D3に基づき、等価な2機系モデルを作成した後、系統アドミッタンス推定ステップ15に移行し、2機系モデルの系統アドミッタンスを推定する。
系統アドミッタンス推定ステップ15は、2機系モデル作成ステップ14の処理段階では2つの等価発電機G1,G2を結ぶ等価な系統アドミッタンスが未知であるので、最小二乗法を用いて、等価2機系モデルの系統アドミッタンスを推定する。具体的には、図3に示す縮小Y行列のG11+jB11、G12+jB12、G22+jB22と前記(18)式〜(23)式に対し、前述した安定度シミュレーション処理ステップ13の安定度計算結果D2として出力される想定事故の事故除去後の複数時点の等価発電機の状態変数(PE1,PE2(=Peに相当する)、発電機内部位相角δ1、δ2)を代入すると、等価発電機の状態変数となる発電機有効電力出力PE1,PE2は下記式から求めることができる。なお、PE1(1),PE2(1)の(1)は例えば想定事故除去後の0.1秒における不安定傾向の等価発電機G1の発電機有効電力出力PE1と安定傾向の等価発電機G2の発電機有効電力出力PE2とを表し、1組に相当する。nは想定事故除去後の0.n秒における安定度計算のシミュレーションの時点を示し、n組目とも言える。
Figure 0004602288
以上のような計算式から求めたいパラメータは、G11、G22、G12、B12の4つである。従って、2点以上の異なる時点の等価発電機の発電機有効電力出力PE、発電機内部電圧EG、発電機内部位相角δを取得すれば、最小二乗法によって4つの系統アドミッタンス(系統パラメータ)G11、G22、G12、B12を求めることが可能となる。
前述した(28)式〜(31)式を行列で書き直すと、下式のようになる。
Figure 0004602288
を解くことにより、xすなわち、系統アドミッタンスD4(G11、G22、G12、B12)を求めることができる。
この実施の形態においては、想定事故除去直後から例えば0.01秒刻み幅で0.3秒程度の詳細安定度シミュレーション結果(すなわち、30組((28)式〜(31)式から各組2本であるので、60本)の方程式を用いて解を得ることができる。
さらに、安定判別評価ステップ16を実行する。安定判別評価ステップ16は、系統アドミッタンス推定ステップ15により推定された系統アドミッタンスD4(G11、G22、G12、B12)を用いて、2機系モデルの方程式は以下のように2回微分により表すことができる。
Figure 0004602288
すなわち、(35)式は、1機側である不安定傾向の等価発電機における(1)式および(2)式のδを2回微分し、かつMを右辺に移行させた値である。(32)式は、もう1機側の安定傾向の等価発電機における(1)式および(2)式のδを2回微分し、かつMを右辺に移行させた値である。なお、発電機内部電圧EG1、EG2には、詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時(tx)のEG1(tx)、EG2(tx)を用いる。
次に、δ=δ1−δ2、ω=ω1−ω2とすると、(35)式、(36)式は以下のように置き換えることができる。
Figure 0004602288
この(39)式は一機無限大のモデルに相当するものである。
ここで、発電機単位慣性定数をM、発電機機械入力をPM、発電機有効電力出力をPeとすると、
M=(M12)/(M1+M2) ……(40)
M/M=(PM1/M1)−(PM2/M2) ……(41)
Pe/M=Pe1/M1)−(Pe2/M2) ……(42)
で表せる。
さらに、(40)式および(41)式から、発電機機械入力PMは、
Figure 0004602288
で表せる。但し、MT=M1+M2 ……(44)
である。同様に、(40)式および(42)式から、発電機有効電力出力Peは、
Figure 0004602288
で表せる。ここで、(45)式に、前記(37)式および(38)式を代入すると、発電機有効電力出力Peは、
Pe=[M211G1 2
+M2G1G2{G12cos(δ1−δ2)+B12sin(δ1−δ2)}
−M122G2 2
−M11G2{G12cos(δ2−δ1)+B12sin(δ2−δ1)}]MT -1
……(46)
となる。
さらに、発電機有効電力出力Peは、δ=δ1−δ2(∵δ2−δ1=−δ)として整理すると、
Pe=[(M211G1 2−M122G2 2
+(M2G1G212+M1G1G212)sinδ
+(M2G1G212−M1G1G212)cosδ]MT -1
=(M211G1 2−M122G2 2)MT -1+EG1G212sinδ
+(M2−M1)EG1G212cosδMT -1
=Pc+(Dsinδ+Ccosδ) ……(47)
但し、(47)式において、
Pc=M211G1 2−M122G2 2)MT -1 ……(48)
C=(M2−M1)EG1G212cosδMT -1 ……(49)
D=EG1G212 ……(50)
となる。
従って、前記(47)式で表す発電機有効電力出力Peは、
Pe=Pc+SQRT(C2+D2)×sin(δ+ν)
=Pc+Pmax×sin(δ+ν) ……(51)
に置き換えることができる。但し、(51)式において、
Pmax=SQRT(C2+D2) ……(52)
ν =tan-1(C+D) ……(53)
となる。SQRTは√を意味する。
そこで、前述した(51)式において、横軸に発電機内部位相角δをとり、縦軸に発電機有効電力出力Pをとると、図4に示すようなPe−δ曲線が得られる。今、通常運転時における運転点(イ)で事故が発生したとき、発電機の有効電力出力Peを電力系統1に送電できなくなって発電機の中のエネルギーが蓄積されて加速状態となり、それに伴って位相角が開いていく。その後、事故除去されると、発電機から発電機の有効電力出力Peが電力系統1に供給されるので、機械入力PMを越えてジャンプし、実線で示すPe−δ線上に沿って推移していく。このとき、機械入力PMを境とし、事故後の斜線で示すエネルギー面積(ロ)と事故除去後の斜線で示すエネルギー面積(ハ)とが等しければ機械入力PMのラインに戻って安定となるが、事故除去後のエネルギー面積(ハ)が小さい場合には不安定な状態に移行する。
なお、図4において、δaは事故発生時のδ、δcは事故除去後のδを表す。また、δu,δ0は、PM=Pc+Pmax×sin(δ+ν)の解となる。
そこで、安定判別評価ステップ16は、前記(51)式及び図4を用いて、拡張等面積法による安定判別を実施する。この安定判別に当たっては、下記(54)式及び(55)式を用いてACC、DCCを計算し、安定判別を行う。ACCは安定度シミュレーション処理ステップ13における詳細モデルによる計算を打ち切った時刻tの運動エネルギー(加速エネルギー)を表す。また、DCCは詳細モデルによる計算を打ち切った時刻tの減速エネルギーを表す。つまり、ACCはある時点における加速エネルギー(図4の(ロ)斜線部分に相当する)であり、DCCはある時点以降の減速エネルギー(図4の(ハ)斜線部分に相当する)である。
Figure 0004602288
さらに、前記(54)式及び(55)式を用いてACC、DCCを求めた後、これらACC、DCCを用いて下式により安定判別の指標となる値Kを求める。
K={DCC(t)−ACC(t)}/ACCMAX ……(56)
なお、ACCMAX=ACCδ0である。
そして、(56)式によって求めた安定判別の指標値Kを用いて、以下の判別条件のもとに安定か不安定かを判別評価する。
K>0 → 安定
K=0 → 安定限界
K<0 → 不安定
前記(56)式においては、ACC(t)はプラス値であるので、減速エネルギーDCC(t)と加速エネルギーACC(t)との面積の大きさから、安定度を判別することが可能となる。すなわち、t時点の加速エネルギーACC(t)が減速エネルギーDCC(t)を下回る場合には安定であり、上回る場合には不安定となり、いわゆる拡張等面積法に基づくものである。なお、tは事故様相毎に、事故様相のリレー動作に合わせて、事故除去後に0.1秒程度経過した時刻としてもよい。
さらに、この実施の形態では、前記(56)式から明らかなように、減速エネルギーDCCと加速エネルギーACCとの差,つまりエネルギーのアンバランス量を加速エネルギーの最大量ACCMAXで割って正規化しているので、例えば複数の地点間の想定事故による安定度を定量的に評価できる。安定判別の指標となる値Kは1より小さい値となるが、このKが大きくなるほど不安定限界(K=0)から遠ざかっていることを判定できる。
従って、以上のような実施の形態によれば、通常よりも短い時間間隔で詳細安定度シミュレーションを実施し、この安定度計算結果から想定事故に対する安定度の判別を行うことができ、かつ安定度判別に当たっても定量化された指標に基づいて安定な程度を把握することが可能となる。
また、この実施の形態では、等価発電機の背後電圧の大きさと位相角とを用いて定式化するとともに、系統アドミッタンスを分離したので、最小二乗法による収束性が良く、安定して解を求めることが可能となり、特に反復計算は不要となる。
さらに、多くの想定事故ケースの中から不安定事故ケースを抽出することにより、不安定事故ケースに特化して、詳細な解析を短時間で実施することができる。
さらに、時々刻々変化する電力系統に対して、定量化された安定度指標を用いて、定周期で計算し解析することにより、安定領域(K>0)から安定領域(K=0)に近づいて不安定領域(K<0)に移行する状態を把握できることから、安定度限界への接近を監視でき、電力系統1の安定運用に大きく貢献することが可能となる。
(第2の実施の形態)
図5は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第2の実施の形態を説明する処理の流れを示す図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13及び安定判別評価ステップ16については第1の実施の形態と同じである。
この実施の形態において、特に異なるところは、図1の2機系モデル作成ステップ14に代えて2機系簡易モデル作成ステップ21を用い、また系統アドミッタンス推定ステップ15に代えて系統パラメータ推定ステップ22を用いたことにある。
この2機系簡易モデル作成ステップ21は、安定度計算結果D2として得られる発電機内部位相角と発電機有効電力出力等を用い、予めデータベース3に記憶されている発電機分類情報D3とに基づいて等価な2機系モデルを作成する。系統パラメータ推定ステップ22は、2機系簡易モデル作成ステップ21で得られた等価な2機系モデルにおける系統アドミッタンスG11´、G22´、G12´、B12´と発電機内部電圧EGとの積を推定する機能を持っている。
次に、以上のような電力系統の安定度判別方法について具体的に説明する。
先ず、安定度シミュレーション処理ステップ13においては、前述したように想定事故設定ステップ12から設定される想定事故ごとに、前記初期状態推定入力ステップ11から入力される初期状態量を用いて、電力系統1の振る舞い(過渡安定度),つまり電力系統1の詳細安定度を計算し、安定度計算結果D2を得る。本実施の形態においては、事故除去後例えば0.01秒刻み幅で0.3秒程度経過まで詳細安定度シミュレーションを繰り返し実施する。なお、詳細は、前記(1)式〜前記(17)式で説明した通りである。
以上のようにして安定度シミュレーション処理ステップ13を実施し、安定度シミュレーション結果である安定度計算結果D2が得られたならば、2機系簡易モデル作成ステップ21が安定度シミュレーション処理ステップ13で得られた発電機有効電力出力PE1,PE2、発電機内部電圧EGi、発電機内部位相角δ1i,δ1j及び発電機機械入力Pmi,Pmjを用い、かつ発電機分類情報D3に基づき、下記式によって等価発電機の状態変数を計算し、図6に示すような電力系統1の等価な2機系モデルを作成する。
Figure 0004602288
なお、符号Mi,Mj等で表す添え字i,jは個別の発電機番号1,2,3,…を意味する。
前記の式のうち、(2−3)式の発電機内部電圧EGiには、前述した(3)式のe´qを用いる。しかし、本実施例ではEGiは後述の系統パラメータ側に含めて推定するため、明示的には表れてこない。(つまり、「1」を用いる)。また、第1の実施の形態で説明した(22)式及び(23)式には(1)式のδを用いたが、第2の実施の形態の(2−4)式及び(2−5)式で用いるδ1,δ2は代数的に計算される(17)式のδ´を用いる点で第1の実施の形態と異なる。
さらに、2機系簡易モデル作成ステップ21で等価な2機系モデルを作成した後、系統パラメータ推定ステップ22に移行し、2機系モデルの系統パラメータを推定する。ここでは、縮小Y行列はG11´+jB11´、G12´+jB12´、G22´+jB22´で表す。但し、各パラメータは次のように定義する。
11´=EG1 211
12´=EG1G212
12´=EG1G212
G22´=EG2 222
これらパラメータG11´、G12´、B12´、G22´は、系統アドミッタンスと発電機接続ノード電圧との積で定義される。その結果、以上のように定義することにより、EGiの項が消え、第1の実施の形態で説明した(28)式〜(31)式は下記する(2−9)式〜(2−12)式となる。
Figure 0004602288
ここで、求めたいパラメータは、G11´、G12´、B12´、G22´の4つである。従って、2点以上の異なる時点の等価発電機の発電機有効電力出力PE、発電機接続ノード電圧EG、発電機内部位相角δを取得すれば、最小二乗法によって4つの系統パラメータG11´、G12´、B12´、G22´,つまり図5に示す系統パラメータD21(系統アドミッタンスと電圧との積)を求めることができる。
そこで、前述した(2−9)式〜(2−12)式を行列で書き直すと、以下のように書き表すことができる。
Figure 0004602288
この行列と第1の実施の形態で説明した前記(32)式の行列とを比較したとき、(32)式は右辺行列要素の中に電圧EGを入れた行列となっているが、(2−13)式は右辺行列要素の中の電圧EGに相当する要素の部分に「1」を入れ、かつ新しい変数であるパラメータG11´、G12´、B12´、G22´を掛けた行列となっている。
そこで、前記(2−13)式を、
z=H・x ……(2−14)
とおき、最小二乗法を用いて、(2−14)式を変形すると、
x=(HTH)−1Tz(Tは転置行列を表す) ……(2−15)
を解くことにより、xすなわち、系統パラメータD21(G11´、G12´、B12´、G22´)を求める。
そして、以上のようにして系統パラメータD21(G11´、G12´、B12´、G22´)を求めた後、安定判別評価ステップ16を実行する。安定判別評価ステップ16における一連の処理については第1の実施の形態で説明した通りであり、ここでは、その説明を省略する。
従って、以上のような実施の形態によれば、系統パラメータを、系統アドミッタンスと電圧との積をパラメータとして最小二乗法を用いて推定するので、考慮区間(系統事故除去後から計算打ち切り時刻)までの電圧変化を加味した系統パラメータを推定でき、拡張等面積法の適用に対する電圧の選定の複雑さを解消できる。その他、第1の実施の形態と同様の効果を奏するものである。
(第3の実施の形態)
図7は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第3の実施の形態を説明する処理の流れを示す図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、第1の実施の形態と同様に、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13、2機系モデル作成ステップ14、系統アドミッタンス推定ステップ15及び安定判別評価ステップ16を有する他、新たに、想定事故設定ステップ12で設定される想定事故データD1を用いて、事故除去後の系統潮流を計算する事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31と、2次元位相角グルーピング処理ステップ32とを設けたものである。
この第3の実施の形態においては、電力系統の安定度判別に関する基本的な処理の流れは第1の実施の形態と同じである。特に異なるところは、人間による発電機分類情報の設定でなく、電力系統の初期状態データなどを用いて、計算式によって発電機分類情報D3´を取得することにある。
さらに、具体的に説明する。先ず、発電機のグループ分けに際し、潮流計算及び安定度計算によって電力系統1における初期状態の発電機内部位相角D31であるδ0iを求める。ここで、δ0iの「0」は初期状態を表し、iは発電機の任意の番号を表す。また、想定事故設定ステップ12から想定事故データD1を取り出し、事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31に送出する。
この事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31は、想定事故設定ステップ12から得られる想定事故データD1を用いて、安定度計算を実施し、各発電機の想定事故後系統の内部位相角D32であるδ2iを求める。「2」は想定事故後を表し、iは発電機の任意の番号を表す。また、事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31は、安定度計算結果D2のうち、各発電機の事故除去直後の内部位相角D33であるδ1iを取り出し、2次元位相角グルーピング処理ステップ32に送出する。ここで、「1」は事故除去直後を表し、iは発電機の任意の番号を表す。
この2次元位相角グルーピング処理ステップ32は、初期状態の発電機内部位相角D31(δ0i)と、想定事故後系統の発電機内部位相角D32(δ2i)と、各発電機の事故除去直後の内部位相角D33(δ1i)とを用いて、不安定傾向の発電機グループと安定傾向の発電機グループとに分類分けした発電機分類情報D3´を得るものである。
次に、2次元位相角グルーピング処理ステップ32の処理動作について説明する。
一般に、発電機の不安定現象は、事故中の発電機におけるエネルギーの蓄積と事故除去後の系統状態といった2つの要因が大きく影響する。
そこで、これらの要因を考慮したとき、前述した3つの位相角に注目する。
(1) 初期電力系統の発電機内部位相角D31(δ0):初期状態の内部位相角
(2) 事故除去直後の発電機内部位相角D33(δ1):詳細安定度計算の事故除去直後の内部位相角
(3) 想定事故後系統の発電機内部位相角D32(δ2):事故後系統の潮流計算と初期値計算で求めた内部位相角である。
そして、これら3つの位相角δ0,δ1,δ2を用いて、図8に示すような2次元座標を考える。すなわち、事故中の特性を表す(δ1−δ0)をY軸とし、事故除去後の特性を表す(δ2−δ0)をX軸とする。さらに、それぞれの発電機単位慣性定数Mを考慮した加重平均値(δ1−δ0)k及び(δ2−δ0)k(kは任意の整数)をしきい値とし、2次元座標上に示し、発電機のグループ分けを行う。なお、Y軸のしきい値(δ1−δ0)k及びX軸のしきい値(δ2−δ0)kは下記式で表せる。
Figure 0004602288
そして、以上のような2次元座標上において、X軸のしきい値より大きく、かつY軸のしきい値より大きい発電機をグループ1とし、それ以外の発電機をグループ2とし、これらグループ1,2に属する発電機群に分けることにより、発電機分類情報D3´を取り出すことができる。
また、2次元位相角グルーピング処理ステップ32においては、図9に示すようにX軸のしきい値より大きい発電機をグループ1とし、それ以外の発電機をグループ2とし、発電機分類情報D3´を作成してもよい。
ほとんどの発電機は事故中に加速することから、事故中の特性を表す(δ1−δ0)は正の値となる。なお、2次元座標上のB領域は、事故中は平均値以下となるが、事故除去後には位相角が大きくなる発電機を含むことになり、事故除去後の特性を考慮する必要がある。
従来のグルーピング法では、(δ1−δ0)が正の領域(A+C)を不安定傾向の発電機としたが、この実施の形態では、事故除去後の特性(δ2−δ0)を考慮し、不安定傾向の発電機を作成できる。
従って、この実施の形態によれば、複数の想定事故に対して安定度シミュレーションを実施する場合に、想定事故に応じた発電機のグルーピングを人間の判断ではなく、事故中の特性を表す(δ1−δ0)と事故除去後の特性を表す(δ2−δ0)とを用いて2次元座標を考え、その座標上の所定のしきい値のもとに計算式に基づいて自動的にグルーピングを決定することができる。しかも、発電機のグルーピングに際しては、発電機の不安定現象の要因となる事故中の発電機のエネルギーの蓄積と事故除去後の系統状態とを考慮して決定することから、想定事故毎に発電機の適切なグルーピングを行うことができる。
(第4の実施の形態)
図10は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第4の実施の形態を説明する処理の流れ示す図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、第1の実施の形態と同様に、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13、2機系モデル作成ステップ14、系統アドミッタンス推定ステップ15及び安定判別評価ステップ16を有する他、新たに安定度シミュレーション処理ステップ13で得られる事故除去直後の発電機内部位相角角速度を用いて、加速エネルギー指標と減速エネルギー指標とを計算し、これら2つのエネルギー指標に基づいて発電機の分類情報D3´を作成する2次元エネルギー指標グルーピング処理ステップ41を設けたものである。
この第4の実施の形態においても、電力系統の安定度判別に関する基本的な処理の流れは第1の実施の形態と同じであり、特に所定の計算式に基づいて自動的に発電機分類情報D3を作成する点が異なる。
次に、以上のような電力系統の安定度判別方法の動作について説明する。
安定度シミュレーション処理ステップ13においては、前述したように想定事故設定ステップ12から設定される想定事故ごとに、前記初期状態推定入力ステップ11から入力される初期状態量を用いて、電力系統1の振る舞い(過渡安定度),つまり電力系統1の詳細安定度を計算し、安定度計算結果D2を取得する。なお、詳細説明は、前記(1)式〜前記(17)式に基づいて説明した通りである。
そこで、この実施の形態では、安定度シミュレーション処理ステップ13により得られる安定度計算結果D2から事故除去直後の発電機内部位相角角速度ωを取り出すとともに、事故中の加速エネルギーと事故除去後の減速エネルギーとの2つの指標をX軸、Y軸として2次元上に表し、以下のような処理に従って発電機のグルーピングを行う。
先ず、事故中の各発電機に蓄えられる加速エネルギーをAE(Acceleration Energy)と呼ぶ。この加速エネルギーAEは事故除去瞬時の状態を表す指標となり、次式で表わすことができる。
Figure 0004602288
但し、Miは各発電機の慣性定数、Δωiは各発電機の各角度偏差である。
前記(4−1)式において、右辺第1項は発電機の加速エネルギー、右辺第2項は慣性中心軸(慣性定数の和を持つ仮想発電機)の加速エネルギーである。
ここで、各発電機の角速度偏差Δωiは、事故継続時間をΔT、事故前の発電機有効電力出力をP0i、事故発生時の発電機有効電力出力をPfiとすると、次の計算式により近似的に求めることができる。
Δωi={(P0i−Pfi)/Mi}ΔT ……(4−3)
よって、各発電機のAEは、前記(4−1)式〜(4−3)式をまとめることにより、以下のような式となる。
Figure 0004602288
一方、事故除去後の各発電機の減速エネルギーをDE(Deceleration Energy)と呼ぶ。この減速エネルギーDEは、事故除去後の状態を表す指標となる。加速エネルギーAEの場合と同様、発電機iの慣性定数をMi、事故発生前の発電機有効電力出力をP0i、事故除去瞬時の発電機有効電力出力をPciとすると、慣性中心を基準とした各発電機の減速力Pdiは、次式で表せる。
Figure 0004602288
さらに、以上のようにして事故中の加速エネルギーAEと事故除去後の減速エネルギーDEを求めたならば、当該事故中の加速エネルギーAEをX軸とし、事故除去後の減速エネルギーDEをY軸とし、2次元座標を持つグラフとする。そして、各エネルギーの平均値をしきい値として座標上に示すことにより、発電機のグループ分けをすることが可能である。すなわち、X軸のしきい値より大きく、かつY軸のしきい値より大きい発電機をグループ1とし、それ以外の発電機をグループ2とすることにより、発電機分類情報D3´を作成できる。
2次元エネルギー指標グルーピング処理ステップ41により所定の計算式に基づいて発電機分類情報D3´を作成した後、2機系モデル作成ステップ14では、安定度計算結果D2と発電機分類情報D3´とを用いて、等価な2機系モデルを作成する。なお、2機系モデル作成ステップ14以降の処理は第1の実施の形態と同様であり、ここではそれらの説明に譲る。
従って、以上のような実施の形態によれば、複数の想定事故に対して安定度シミュレーションを実施する場合に、想定事故に応じた発電機のグルーピングを人間の判断ではなく、事故中の加速エネルギーと事故除去後の減速エネルギーとを指標として用いることにより、発電機のグループ分けを決定することができる。しかも、発電機のグルーピングに際しては、発電機の不安定現象の要因となる事故中の発電機の加速エネルギーと事故除去後の発電機の減速エネルギーとを考慮して決定することから、想定事故毎に発電機の適切なグルーピングを行うことができる。
(第5の実施の形態)
図11は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第5の実施の形態を説明する処理手順を示す図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、第1の実施の形態と同様に、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13、2機系モデル作成ステップ14、系統アドミッタンス推定ステップ15及び安定判別評価ステップ16を有する。
さらに、この実施の形態では、安定度スクリーニングステップ51と詳細安定度検証ステップ52とを新たに追加し、現在の系統における更なる安定判別の信頼度を高める処理を実現するものである。
安定度スクリーニングステップ51は、複数の想定事故ケースにおける安定判別評価ステップ16で得られた安定判別結果D5から不安定ケースを抽出するものである。
詳細安定度検証ステップ52は、安定度スクリーニングステップ51で抽出された不安定ケースに対して、解析対象時間にわたって全ての安定度計算を実施し、その結果から安定判別結果を取り出すものである。
以下、この実施の形態において、特に新たに追加した部分の処理動作について説明する。
前述した各実施の形態における安定判別評価ステップ16では、推定された系統パラメータD4と前述した詳細安定度計算結果D2とに基づき、拡張等面積法を用いて安定判別と安定度の定量評価,つまり安定判別結果D5を取り出している。この安定判別評価処理に関する動作説明は第1の実施の形態の説明に譲る。
第1の実施の形態では、(56)式にて安定度の指標となる値Kを求めたが、本実施の形態における安定度スクリーニングステップ51では、当該安定度の指標となる値Kが負の値であれば不安定とし、該当する想定事故を計算対象とする。また、全ての想定事故が安定と判別された場合には、Kの値が小さいものから順番に予め定めたケース数分(例えば10ケース分)について該当する想定事故を計算対象として抽出し、詳細安定度検証ステップ52に送出する。
この詳細安定度検証ステップ52は、計算対象とされた想定事故に対して、予め決められた時間(例えば5秒)の間、安定度シミュレーションを実施し、系統の振る舞いや発電機の振る舞いを計算する。そして、この一連の計算結果から現在系統が安定なのか、不安定なのかを検証し、判別結果を出すものである。
この実施の形態によれば、大量の想定事故に対して高速で簡易な安定判別を行うとともに、明らかに不安定傾向の事故ケースに絞りながら詳細安定度計算を行うことにより、現在系統の状態を高速、かつ高信頼度をもって安定判別することができる。
なお、第5の実施の形態は、第1の実施の形態に適用して説明したが、前述する第2ないし第4の実施の形態にも同様に適用できることは言うまでもない。
(第6の実施の形態)
図12は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第6の実施の形態を説明する処理の流れを示す図である。なお、同図において、第1の実施形態で説明した図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13、2機系モデル作成ステップ14及び系統アドミッタンス推定ステップ15は第1の実施の形態と同じである。
この実施の形態において、特に異なるところは、図1に示す安定判別評価ステップ16に代えて、再閉路後曲線近似ステップ61と再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップ62とを用いたことにある。
前述したように第1の実施の形態における安定判別評価ステップ16は、図4に示すP−δ曲線(カーブ)を基に想定事故における各発電機の安定判別を行うが、この時、当該想定事故が不平衡事故の場合、開閉器の再閉路後にP−δ曲線が図13に示すようにP1からP2に推移する。同図13において、δtは再閉路実施時の位相角を示す。つまり、開閉器の再閉路により、P−δ曲線が別の曲線に推移する。
その結果、再閉路実施時にP−δ曲線が切り替わった場合、安定判別評価ステップ16は、前記(55)式を用いてDCC(減速エネルギー)を算出することができない。
そこで、本実施の形態では、安定判別評価ステップ16の代わりに、再閉路後曲線近似ステップ61及び再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップ62とを用いて、安定判別を実施する。再閉路後曲線近似ステップ61は、データベース3に格納される想定事故データD1を参照し、以上のようなケースにおける想定事故情報を取得する。
そして、再閉路後曲線近似ステップ61は、想定事故が平衡事故であれば、安定判別評価ステップ16と同様の手法,すなわち、前記(55)式を用いてDCCを算出し安定度判別を行うが、想定事故が不平衡事故であれば、図13に示す開閉器の再閉路後の曲線P2を推定する。今、安定度シミュレーション処理ステップ13における開閉器の再閉路時刻を0.5秒、刻み幅を0.01秒とすると、再閉路後のP−δ曲線は以下のように推定する。なお、曲線近似を推定するに際し、Pcは再閉路の前後で変化しない、νは再閉路の前後で変化しないことを前提条件とする。
再閉路前:曲線P1=Pc+P1maxsin(δ+ν) ……(61)
再閉路後:曲線P2=Pc+P2maxsin(δ+ν) ……(62)
ここで、(62)式を、P2max=(P2−Pc)/sin(δ+ν)と置き換えた後、前記(61)式を代入してsinを消去すると、
P2max=(P2−Pc)/{(P1−Pc)/P1max
=P1max(P2−Pc)/(P1−Pc)となる。
ここで、再閉路前後に着目すると、
P2max=P1max(P(0.50秒)−Pc)/(P(0.49秒)−Pc)となる。
そこで、再閉路後曲線近似ステップ61は、以上のような再閉路後のP−δ曲線を推定した後、再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップ62に移行し、ここで、下記式に基づいてDCCを算出する。
Figure 0004602288
ここで、(63−2)式において、ta:再閉路直前の時間、tb:再閉路直後の時間である。
すなわち、(63−1)式の計算式に基づき最終的に(63−2)式を導き、DCCを算出することができる。ここで、P1max,P2maxは前述した通りである。
従って、以上のような実施の形態によれば、想定事故が不平衡事故の場合、再閉路後にP−δ曲線が再閉路前と別の曲線に推移した場合であっても、精度の高いDCC(減速エネルギー)を算出できる。
なお、この第6の実施の形態は、第1の実施の形態の安定判別評価ステップ16に代えて、再閉路後曲線近似ステップ61及び再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップ62を適用した例について説明したが、前述する第2〜第5の実施の形態及び後記する第7,8の実施の形態にも同様に適用できることは言うまでもない。
(第7の実施の形態)
図14は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第7の実施の形態を説明する処理の流れを示す図である。なお、同図において、第3の実施の形態で説明した図7と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、第3の実施の形態と同様に、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13、2機系モデル作成ステップ14、系統アドミッタンス推定ステップ15、安定判別評価ステップ16及び2次元位相角グルーピング処理ステップ32を有する他、図7に示す事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31に代わり、想定事故対象送電線のインピーダンスを大きくして潮流計算を実施する簡易インピーダンス潮流計算ステップ71を設けたものである。
この第7の実施の形態においては、電力系統の安定度判別に関する基本的な処理の流れは第3の実施の形態と同じである。特に異なるところは、第3の実施の形態を説明する図7に示す事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31に代えて、簡易インピーダンス潮流計算ステップ71を設け、この簡易インピーダンス潮流計算ステップ71における潮流計算に当たり、想定事故対象送電線のインピーダンスを大きくして潮流計算を実施する点が異なる。
さらに、具体的に説明する。第3の実施の形態では、発電機の不安定現象は、事故中の発電機におけるエネルギーの蓄積と事故除去後の系統状態の2つの要因による影響を大きく受ける。そこで、これらの要因を考慮したとき、次の3つの位相角に注目する。
(1) 初期電力系統の発電機内部位相角D31(δ0):初期状態の内部位相角
(2) 事故除去直後の発電機内部位相角D33(δ1):詳細安定度計算の事故除去直後の内部位相角
(3) 想定事故後系統の発電機内部位相角D32(δ2):事故後系統の潮流計算と初期値計算で求めた内部位相角である。
第3の実施の形態では、事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31が前記(3)によって想定事故設定ステップ12から得られる想定事故データD1を用いて、潮流計算を実施し、各発電機の想定事故後系統の内部位相角D32であるδ2iを求めている。この時、想定事故によっては潮流計算が未収束となる場合が出てくる。想定事故後の潮流計算が収束しないということは、安定度が過酷であることを意味しており、ここで、安定判別評価ステップ16を実施せずに不安定と判定することは可能と言える。しかし、その結果、安定判別指標値Kが算出できなくなり、定量的な安定度判別が不可能となる。
そこで、本実施の形態では、事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31に代わり、簡易インピーダンス潮流計算ステップ71を使用し、想定事故対象送電線のインピーダンスを大きくして潮流計算を実施する。
一般に、送電線を開放することによりインピーダンスを無限大に模擬することが可能であるが、本実施の形態では、送電線のインピーダンスとして、潮流計算で収束可能な程度の大きさ(5〜10倍程度)にし、潮流計算を実施し、δ2iを求めるものである。この場合、δ2iの精度は多少低下するが、他の想定事故との対比のために使用することから、問題なく適用できる。
なお、本実施の形態においては、第3の実施の形態における事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31が実施していた安定度計算結果D2からのδ1iの取り出しについては、同様に簡易インピーダンス潮流計算ステップ71にて行うものである。
従って、この実施の形態によれば、事故除去後の定常状態における潮流計算が未収束となるような過酷な想定事故においても潮流計算を収束させる手段を設けることにより、確実にδ2iを算出することができる。その結果、前述した安定判別指標値Kを用いて、他の想定事故との安定度判別が可能となる。
(第8の実施の形態)
図15は本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第8の実施の形態を説明する処理の流れを示す図である。なお、同図において、第3の実施形態で説明した図7と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この電力系統の安定度判別方法は、第3の実施の形態と同様に、初期状態推定入力ステップ11、想定事故設定ステップ12、安定度シミュレーション処理ステップ13、2機系モデル作成ステップ14、系統アドミッタンス推定ステップ15、安定判別評価ステップ16及び2次元位相角グルーピング処理ステップ32を有する他、図7に示す事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31に代わり、安定度計算結果D2より詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時txにおける各発電機の内部位相角D33をδ2iとして取り出す発電機内部位相角取り出しステップ81を設けたものである。
この第8の実施の形態においては、電力系統の安定度判別に関する基本的な処理の流れは第3の実施の形態と同じである。特に異なるところは、第3の実施の形態における事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31にて、潮流計算を実施して内部位相角D32であるδ2iを算出する代わりに、発電機内部位相角取り出しステップ81が安定度計算結果D2より詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時txにおける各発電機の内部位相角D33をδ2iとして取り出し、2次元位相角グルーピング処理ステップ32に送出する点が異なる。
さらに、具体的に説明する。前述した通り、発電機の不安定現象は、事故中の発電機におけるエネルギーの蓄積と事故除去後の系統状態といった2つの要因による影響を大きく受ける。そこで、これらの要因を考慮したとき、前述したように次の3つの位相角に注目する。
(1) 初期電力系統の発電機内部位相角D31(δ0):初期状態の内部位相角
(2) 事故除去直後の発電機内部位相角D33(δ1):詳細安定度計算の事故除去直後の内部位相角
(3) 想定事故後系統の発電機内部位相角D32(δ2):事故後系統の潮流計算と初期値計算で求めた内部位相角である。
第3の実施の形態では、事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31が前記(3)に基づき、想定事故設定ステップ12から得られる想定事故データD1を用いて、潮流計算を実施し、各発電機の想定事故後系統の内部位相角D32であるδ2iを求めている。この時、想定事故によっては潮流計算が未収束となる場合が出てくる。想定事故後の潮流計算が収束しないということは、安定度が過酷であることを意味しており、ここで、安定判別評価ステップ16を実施せずに不安定と判定することは可能と言える。しかし、その結果、安定判別指標値Kが算出できなくなり、定量的な安定度判別が不可能となる。
そこで、本実施の形態では、事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31に代わり、発電機内部位相角取り出しステップ81が安定度計算結果D2のうち、詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時txにおける各発電機の内部位相角D33をδ2iとして取り出し、2次元位相角グルーピング処理ステップS32に送出する。詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時txでは、事故除去後の系統状態も反映された位相角が求められているので、δ2iとして適用可能である。
なお、本実施の形態は、第3の実施の形態における事故除去後発電機内部位相角演算ステップ31が実施していた安定度計算結果D2からのδ1iの取り出しについては、同様に発電機内部位相角取り出しステップ81にて行うものである。
従って、この実施の形態によれば、事故除去後の定常状態における潮流計算が未収束となるような過酷な想定事故においても潮流計算を収束させる手段を設けることにより、δ2iを算出することが可能となる。その結果、前述した安定判別指標値Kを用いて、他の想定事故との安定度判別が可能となる。
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第1の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 図1に示す発電機分類情報の一例を説明する図。 安定度シミュレーション実施結果と発電機分類情報とを用いて作成された2機系等価モデルを示す図。 本発明方法で用いる拡張等面積法を説明するP−δ曲線図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第2の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 安定度シミュレーション実施結果と発電機分類情報とを用いて作成された2機系等価モデルを示す図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第3の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 図7に示す2次元位相角グルーピング処理ステップの一例を説明する図。 図7に示す2次元位相角グルーピング処理ステップの他の例を説明する図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第4の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第4の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第6の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 開閉器の再閉路後P−δ曲線の近似法及び再閉路によるP−δ曲線切替え時のDCC算出法を説明する図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第7の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 本発明に係る電力系統の安定度判別方法の第8の実施の形態を説明する処理の流れを示す図。 従来の電力系統の安定度判別方法おける処理の流れを示す図。
符号の説明
1…電力系統、2…安定度判別処理装置、11…初期状態推定入力ステップ、12…想定事故設定ステップ、13…安定度シミュレーション処理ステップ、14…2機系モデル作成ステップ、15…系統アドミッタンス推定ステップ、16…安定判別評価ステップ、21…2機系簡易モデル作成ステップ、22…系統パラメータ推定ステップ、31…事故除去後発電機内部位相角演算ステップ、32…2次元位相角グルーピング処理ステップ、41…2次元エネルギー指標グルーピング処理ステップ、51…安定度スクリーニングステップ、52…詳細安定度検証ステップ、61…再閉路後曲線近似ステップ、62…再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップ、71…簡易インピーダンス潮流計算ステップ、81…発電機内部位相角取り出しステップ、D1…想定事故データ、D2…安定度計算結果、D3,D3´…発電機分類情報、D4…系統パラメータ(アドミッタンス)、D5…安定判別結果、D21…系統パラメータ(アドミッタンスと電圧の積)、D31…初期状態の発電機内部位相角、D32…想定事故後系統の発電機内部位相角、D33…事故除去後の発電機内部位相角。

Claims (9)

  1. 複数台の発電機が接続された電力系統の過渡安定度を判別する電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記過渡安定度の判別対象となる電力系統の最も確からしい初期状態を推定計算する初期状態推定入力ステップと、
    前記電力系統の初期状態に対して想定事故を設定する想定事故設定ステップと、
    この想定事故設定ステップから設定される想定事故ごとに前記初期状態推定入力ステップから入力される初期状態を用いて前記電力系統の詳細安定度を計算する安定度シミュレーション処理ステップと、
    この安定度シミュレーション処理ステップで得られる安定度計算結果の一部である発電機内部電圧ベクトル及び発電機有効電力出力と、予め設定された発電機分類情報とに基づいて等価な2機系モデルを作成する2機系モデル作成ステップと、
    この作成ステップで作成された2機系モデルを構成する2つの縮約発電機を結ぶ間の等価な系統アドミッタンスを推定する系統アドミッタンス推定ステップと、
    この推定ステップで推定された系統アドミッタンスと前記安定度計算結果とに基づき、拡張等面積法によって安定判別や安定度の定量評価などの安定判別結果を取得する安定判別評価ステップとを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  2. 請求項1に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記2機系モデル作成ステップに代えて、前記安定度シミュレーション処理ステップで得られた安定度計算結果の一部である発電機内部電圧ベクトルを所定の方法で簡略化した計算値及び発電機有効電力出力と、予め設定された発電機分類情報とに基づいて等価な2機系モデルを作成する2機系簡易モデル作成ステップを用い、
    また、前記系統アドミッタンス推定ステップに代えて、前記2機系簡易モデル作成ステップで作成される2機系モデルを構成する2つの縮約発電機を結ぶ間の等価な系統アドミッタンスと発電機内部電圧との積から系統パラメータを推定する系統パラメータ推定ステップを用いたことを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記発電機分類情報の設定処理としては、前記想定事故設定ステップで設定された想定事故ごとに、安定度計算を行って各発電機の想定事故除去後系統の内部位相角を演算する事故除去後発電機内部位相角演算ステップと、前記想定事故除去後系統の発電機内部位相角と前記安定度シミュレーション処理ステップにより求めた各発電機の事故除去直後の内部位相角とに対する前記電力系統の初期状態の発電機内部位相角の各位相角偏差をそれぞれX軸及びY軸とし、かつ各位相角偏差に属するそれぞれ発電機単位慣性定数を考慮した平均値をX軸のしきい値及びY軸のしきい値とすることにより、各発電機のグルーピングを行う2次元位相角グルーピング処理ステップとを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記発電機分類情報の設定処理としては、前記安定度シミュレーション処理ステップにより求めた各発電機の事故除去直後の内部位相角角速度から得られる事故時の加速エネルギー及び減速エネルギーをそれぞれX軸及びY軸とし、各発電機のグルーピングを行う2次元エネルギー指標グルーピング処理ステップとを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    複数の想定事故ケースに対する前記安定判別評価ステップによる安定判別結果に基づき不安定事故ケースを抽出する安定度スクリーニングステップと、このステップで抽出される不安定事故ケースに対して前記安定度シミュレーション処理ステップを用いて所定の解析対象時間の範囲で安定度シミュレーションを実施し、現在系統における安定、不安定を検証する詳細安定度検証ステップとを追加したことを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  6. 請求項1に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記安定判別評価ステップに代えて、前記想定事故が不平衡事故により開閉器の再閉路を行うとき、当該再閉路を境に再閉路前P−δ曲線から別の再閉路後P−δ曲線に切り替わる場合に、当該再閉路後P−δ曲線を推定する再閉路後曲線近似ステップと、前記P−δ曲線の切替わり前後に分けて前記系統アドミッタンス推定ステップで推定された系統アドミッタンスと前記安定度計算結果とに基づいて減速エネルギーを算出し、前記安定判別及び安定度の定量評価を行う再閉路シーケンス付き安定判別評価ステップとを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  7. 請求項3に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記事故除去後発電機内部位相角演算ステップに代えて、想定事故に応じて潮流計算が未収束となる場合、前記想定事故の対象送電線のインピーダンスを仮想的に収束可能な大きさに設定して潮流計算を行い、想定事故後系統の発電機内部位相角を求める簡易インピーダンス潮流計算ステップを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  8. 請求項3に記載の電力系統の過渡安定度判別方法において、
    前記事故除去後発電機内部位相角演算ステップに代えて、前記安定度計算結果のうち、詳細安定度シミュレーションの計算打ち切り時における各発電機の内部位相角を想定事故後系統の発電機内部位相角として代用する発電機内部位相角取り出しステップを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別方法。
  9. 複数台の発電機が接続された電力系統の過渡安定度を判別する電力系統の過渡安定度判別装置において、
    前記過渡安定度の判別対象となる電力系統の最も確からしい初期状態を推定計算する初期状態推定入力手段と、
    前記電力系統の初期状態に対して想定事故を設定する想定事故設定手段と、
    この想定事故設定手段から設定される想定事故ごとに前記初期状態推定入力手段から入力される初期状態を用いて前記電力系統の詳細安定度を計算する安定度シミュレーション処理手段と、
    この安定度シミュレーション処理手段で得られる安定度計算結果の一部である発電機内部電圧ベクトル及び発電機有効電力出力と、予め設定された発電機分類情報とに基づいて等価な2機系モデルを作成する2機系モデル作成手段と、
    この作成手段で作成された2機系モデルを構成する2つの縮約発電機を結ぶ間の等価な系統アドミッタンスを推定する系統アドミッタンス推定手段と、
    この推定手段で推定された系統アドミッタンスと前記安定度計算結果とに基づき、拡張等面積法によって安定判別や安定度の定量評価などの安定判別結果を取得する安定判別評価手段とを有することを特徴とする電力系統の過渡安定度判別装置。
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