JP2017055602A - 判定装置、判定方法、プログラム、及び臨界故障除去時間算出装置 - Google Patents

判定装置、判定方法、プログラム、及び臨界故障除去時間算出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電力系統と連系する分散型電源に対する事故時運転継続要件(FRT要件:Fault Ride Through)を考慮して電力系統の安定度を判別する。【解決手段】 電力系統に故障が生じたときに前記電力系統内の分散型電源が脱落するかどうかを判定する判定装置であって、前記電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを表すエネルギー関数Vの増加率を、前記分散型電源が運転を継続するとした第1条件、及び、前記分散型電源が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する算出部と、前記第1条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率よりも、前記第2条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率が大きいと、前記分散型電源が脱落すると判定する判定部と、を備える。【選択図】 図5

Description

本発明は、判定装置、判定方法、プログラム、及び臨界故障除去時間算出装置に関する。
電力系統において一部の送電線に地絡等の故障が発生すると、発電機が加速して不安定となる。このとき、十分に短い時間内にリレー等により故障が除去されると電力系統は安定となるが、故障の除去に長時間を要すると電力系統は不安定になる。このような安定と不安定の境界を臨界と呼び、臨界となる故障除去時間を臨界故障除去時間(Critical Clearing Time: CCT)と呼ぶ。
図1、図2を参照して、臨界故障除去時間及びその算出手法の概要を説明する。図1は、制動無しの1機無限大母線系統の状態を発電機の位相角δ及び角速度ωの軌跡で表わした模式図である。図2は、離散化された多次元状態変数をユークリッド距離εで表示する模式図である。
図1において、電力系統の状態は、故障の発生により、安定平衡点PAから故障軌跡1に沿って時間変化している。このとき、安定平衡点PAから点PCまでの時間より短い時間(点PB)で故障が除去されると、電力系統の状態は、軌跡2に沿って変化し、ある安定状態に回復可能となる。他方、安定平衡点PAから点PCまでの時間より長い時間(点PD)で故障が除去されると、電力系統の状態は、軌跡3に沿って発散し、安定状態に回復することができない。そして、故障が故障軌跡1上の点PCで除去されると、電力系統の状態は、臨界軌跡3に沿って数理論上無限大の時間をかけて支配的不安定平衡点PE(Controlling Unstable Equilibrium Point: CUEP)に到達するとされる。このような安定平衡点PAから点PCまでの時間が、臨界故障除去時間である。
このような臨界故障除去時間の算出方法の一例が、特許文献1、2に開示されている。図2に示されるように、故障軌跡1上の点であり且つ故障除去時の電力系統の状態(図1に示す点PC)を多次元状態変数xと定義する。多次元状態変数xは、故障軌跡1上の点であるから、次式で示される故障除去時間τの関数として表すことができる。
また、故障除去後の電力系統の状態を、離散的な時刻t(1≦k≦m+1)の順に多次元状態変数x,x,・・x,xm+1と定義する。多次元状態変数x(0≦k≦m+1)は、それぞれ複数の成分から成る多次元変数(ベクトル)である。
そうすると、多次元状態変数x(k=0)は臨界故障除去時間に対応するベクトルであり、多次元状態変数xm+1(k=m+1)は支配的不安定平衡点CUEPにおけるベクトルである。そして、多次元状態変数x(0≦k≦m+1)は、電力系統の状態が故障除去時の状態(x)から支配的不安定平衡の状態(xm+1)に至るまでの臨界軌跡3を構成する。このような多次元状態変数xは、電力系統の非線形状態を表現する次の多次元非線形方程式(電力系統方程式)の解として捉えることができる。
この(式1.2)に対して台形公式を適用することで、相互に隣接する多次元状態変数x及びxk+1は、次式で関係付けられる。ここに、εは、多次元状態変数x及びxk+1の間のユークリッド距離を表している。
ところで、臨界軌跡3の終点である多次元状態変数xm+1は、一般的に支配的不安定平衡点CUEPであると考えられる。そこで、(式1.3)に関する制約条件は、臨界軌跡3の終点xm+1を支配的不安定平衡点CUEPの所定値を表したxとして指定する場合には、次の(式1.4)となり、あるいは、臨界軌跡3の終点xm+1を支配的不安定平衡点CUEPの状態を表した平衡条件として指定する場合には、(式1.5)となる。
従って、上述した(式1.1)−(式1.3)、及び、臨界軌跡3の終点xm+1の制約条件である(式1.4)又は(式1.5)による多元連立方程式を解くことによって、臨界軌跡3の始点x、ひいては臨界となる故障除去時間τを求めることができる。
もっとも、(式1.3)の多元連立方程式を直接的に解くと、台形公式に起因する数値誤差が累積して臨界軌跡3の終点xm+1で最大化する虞がある。このため、(式1.3)の左辺を誤差ベクトルとして扱い、次の(式1.6)のように、誤差ベクトル(ノルム)の総和を最小にする未知変数τ,ε,x,x,・・x,xm+1を一括して求めている。
特開2007−53836号公報 特許第4517106号公報
電力系統に連系する分散型電源(太陽光発電装置など)が増加している。かかる分散型電源は、電力系統の故障等に伴う瞬時電圧低下などによって電力系統から脱落(解列)することがある。分散型電源の解列が一斉に生じると、電力品質に大きな影響を与えるおそれがあるため、電力系統と連系する分散型電源に対して事故時運転継続要件(FRT要件:Fault Ride Through)を適用することが検討されている。
しかし、上述した特許文献1,2手法では、電力系統の安定度の判別にあたってFRT要件は考慮されていない。
前述した課題を解決する主たる本発明は、電力系統に故障が生じたときに前記電力系統内の分散型電源が脱落するかどうかを判定する判定装置であって、前記電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを表すエネルギー関数Vの増加率を、前記分散型電源が運転を継続するとした第1条件、及び、前記分散型電源が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する算出部と、前記第1条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率よりも、前記第2条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率が大きいと、前記分散型電源が脱落すると判定する判定部と、を備える。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
本発明によれば、FRT要件を考慮して電力系統の安定度を判別することが可能になる。
制動無しの1機無限大母線系統の状態を発電機の位相角δ及び角速度ωの軌跡で表わした模式図である。 離散化された多次元状態変数をユークリッド距離εで表示する模式図である。 離散化された多次元状態変数を移動距離Δtで表示する模式図である。 FRT要件に基づく太陽光発電設備の脱落特性を示す図である。 太陽光発電装置が維持されるか脱落するかを判定する手順を示すフローチャートである。 臨界故障除去時間の算出方法を示すフローチャートである。 臨界故障除去装置の構成を示す図である。 3機9母線モデル系統(AF9)を示す概念図である。 4機9母線モデル系統(拡張版AF9)を示す概念図である。 IEEE7機57母線系統モデルを示す概念図である。
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
本実施形態における判定手法は、電力系統に連系した分散型電源の脱落の有無を判定する装置ないし方法である。そして、本判定手法による判定結果は、例えば、臨界故障除去時間の算出に用いられる。以下、本判定手法を説明し、次いで、本判定手法の判定結果を利用した臨界故障除去時間の算出手法を説明することとする。
===分散型電源の脱落の有無の判定手法===
図4、図5を参照して、分散型電源の脱落の有無の判定手法を説明する。図4は、FRT要件に基づく太陽光発電設備の脱落特性を示す図である。図5は、分散型電源の一例としての太陽光発電装置を維持させるか脱落するかを判定する手順を示すフローチャートである。
本判定手法は、FRT要件を考慮して分散型電源の脱落の有無を判定する。そこで、FRT要件について述べたうえで、分散型電源の脱落の有無を判定する手法を説明することとする。なお、ここでは、分散型電源の一例として太陽光発電(PV)装置を用いているが、燃料電池や風力発電機などを用いてもよい。
<<FRT要件>>
系統連系規程JEAC9701−2010(JESC E0019(2010))は、低圧配電線と連系する太陽光発電設備が、電圧低下時に、以下に示す事項を満たすことを要求している。
・ 残電圧が20%以上(2017年3月末までに連系するものについては30%以上としてもよい。)で継続時間が1秒以内の電圧低下に対しては運転を継続する
・ 残電圧20%未満(2017年3月末までに連系するものについては30%未満としてもよい。)で継続時間が1秒以内の電圧低下に対しては運転継続又はゲートロックにて対応する
つまり、FRT要件は、系統故障時の電圧低下に対して、PV装置を含む分散型電源を解列させずに運転継続できるように、分散型電源の解列条件を接続点での電気的条件として規定している。現在、系統故障によるPV解列を判断するパラメータとして、電圧低下の下限値LVRT(Low Voltage Ride Through)、及び、瞬低継続時間がある。ここで、LVRTは、系統故障によって電圧低下が生じた場合、一定の電圧低下の範囲内においてPVが解列せずに運転継続するための基準値のことである。すなわち、分散型電源の接続点で電圧低下が発生し、接続点の残存電圧がLVRTレベル未満になると、PV装置は停止する。また、故障の発生後から残存電圧が80%未満の状態が一定時間継続しても、PV装置は停止する。表1は、現状でのFRT要件に定められているLVRTレベルと瞬低継続時間とを示す。図4は、表1に基づくPV装置の脱落特性を示す。
<<判定手法>>
上述したFRT要件を考慮して、本実施形態における判定手法では、まず、電力系統に故障が発生した際、2つの条件の下で電力系統のエネルギー関数Vの増加率を算出する。ここで、1つの条件は、PV装置が運転を継続するという条件(第1条件)であり、他の条件は、PV装置が脱落するという条件(第2条件)である。そして、第1条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率よりも、第2条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率が大きいと、PV装置は脱落すると判定する。もっとも、残存電圧が80%以上の母線に連系するPV装置は脱落しないものとする。また、一旦脱落すると判定されたPV装置は、復帰しないものとする。
このような判定は、PV装置が接続されている母線毎に行われる。また、故障の除去時にも上記と同様の判定が行われる。このような取扱いは、PVは一律に同等の影響を及ぼす訳ではなく、また、設置箇所ごとに過渡安定度への影響が異なるためである。換言すれば、安定度に悪影響を及ぼすPV装置があれば、逆に良い方向に影響するPV装置もあり、更には、故障の影響が故障中および故障後で異なる場合もあるため、ここでは設置点ごとに、故障時と故障の除去時とに、FRT要件を判定することとした。以下に、具体的な判定手法を述べる。
(エネルギー関数V)
本実施形態における判定手法では、エネルギー関数法を利用して判別を行う。エネルギー関数法は、電力系統に故障が発生した後、発電機動揺のエネルギー保存則を用いて安定性を判別する手法である。ここでは、一般のエネルギー関数法で用いられ、次式で表される発電機動揺エネルギーに着目する。
ここで、Vはポテンシャルエネルギー、Vは運動エネルギーである。また、θは内部位相角、ωは角速度であり、時刻tとともに変化する。さらに、電力系統内の可変パラメータpを考え、p=p(t)のように時刻の関数として制御するとすれば、(式2.1)は時刻tだけの関数として以下のようにも表現できる。
(式2.1)又は(式2.2)で表されるエネルギー関数は、電力系統内の発電機回転子の同期化力によるポテンシャルエネルギーと運動エネルギーとの和である。平常時には、エネルギー関数は、一定値に保たれているが、故障が発生すると、回転子の加速に伴う変位によって増大する。このようなエネルギーの増加は、故障が除去されるまで続く。故障除去時にエネルギー(エネルギー関数の値)が臨界値を越えていると、その後の電力動揺によって発電機が脱調し、電力系統が不安定となる。このことより、故障中のエネルギー増加率が大きいと、故障除去時のエネルギーが増大し、臨界値を越えて不安定となるおそれが高まる。そこで、本実施形態では、PV装置が維持されるとしたときのエネルギー関数Vの増加率と、PV装置が脱落するとしたときのエネルギー関数Vの増加率と、を比較することとした。
(エネルギー関数Vの増加率の計算)
上述したエネルギー関数Vの増加率は、次式で表される。
したがって、P(θ)・ωの値を、PV装置が維持されるという条件と、PV装置が脱落するという条件と、の下で求めればよい。
ここでは、PV装置の維持及び脱落を、例えば次のように扱う。つまり、ある母線に接続された通常負荷をPL0とし、その母線に連系したPV装置の出力をPPVとすると、この母線における正味の負荷Pは、P=PL0−PPVで与えられる。一方、PV装置を遮断する場合については、PPV=0とする。
そして、上記のような負荷を、等価アドミタンス又は等価インピーダンスで置き換えたり、定電流負荷として置き換えたり、そのまま定電力負荷として取り扱ったり、電圧特性を指定したりしたうえで、過渡安定度の計算を行い、上記の2種類の電力Pに対して発電機出力P、発電機内部位相角θおよび発電機角速度ωを求める。そして、これらの計算結果と(式2.3)とを用いて、2種類のエネルギー関数の増加率を算出する。
このようにして算出された2種類のエネルギー関数の増加率を比較し、PV装置が電力系統に接続されている場合よりも、PV装置を電力系統から遮断した場合の方がエネルギー関数の増加率が大きいと、PV装置が電力系統から遮断される(脱落する)と判定する。
<<判定手順>>
上述したPV装置の脱落に関する判定は、図5に示される手順に従って行われる。
まず、ステップST1において、PV装置が維持されるとした第1条件の下、及び、PV装置が脱落するとした第2条件の下で、それぞれエネルギー関数Vの増加率(式2.3)を算出する。そして、ステップST2においてこれら増加率同士を比較し、第1条件の下で算出された増加率が、第2条件の下で算出された増加率より小さい場合、ステップST3において、PV装置が脱落すると判定する。他方、第1条件の下で算出された増加率が、第2条件の下で算出された増加率以上である場合、ステップST4において、PV装置は維持されると判定する。
===臨界故障除去時間の算出手法===
本実施形態において、上述したPV装置の脱落に関する判定手法は、臨界故障除去時間を算出する際に用いられる。本判定手法が適用される臨界故障除去時間の算出手法に制限はない。例えば、電力系統の状態を逐次的に計算していき、その挙動から安定判別を行う周知の手法であるシミュレーション法にも、上述した判定手法は適用可能である。もっとも、上述した判定手法が適用される好適な例は、以下に述べる臨界故障除去時間の算出手法である。
図2、図3を参照して、好適な臨界故障除去時間の算出手法を説明する。図2、図3では、電力系統の状態が、離散的な時刻t(0≦k≦m+1;mは整数)により離散化された多次元状態変数x(0≦k≦m+1;k,mは整数)で表現されている。かかる多次元状態変数xは、次式で示される要素を含む状態変数ベクトルである。
ただし、ω 、θ は、離散的な時刻tにおける発電機ユニットi(i=1〜n)の角周波数、位相角をそれぞれ表わす。
本実施形態における電力系統の状態は、上述した状態変数ベクトルxと多次元関数fを用いた次式の非線型方程式(電力系統方程式)によって表現される。
あるいは、上述の電力系統方程式は、状態変数xと従属変数yとを用いて、等価なシステム表現である次式で表されてもよい。
ここでは、電力系統の臨界軌跡3を、(式3.2)で表現された非線形方程式の解(つまり、状態変数ベクトルx)として求め、この解に基づいて臨界となる故障除去時間τを算出することとする。もっとも、非線形方程式は(式3.3)で表現されてもかまわない。
本実施形態においては、電力系統の臨界軌跡3を求めるべく、次の(a)−(c)に基づいて誤差ベクトルμTZ、μ、μをそれぞれ定式化し、これら式の自乗和で表される目的関数を最小化する解を算出する。
(a)臨界軌跡上の隣接する2点は台形公式を満たす。
(b)臨界軌跡の始点は、故障軌跡上にある(初期条件)。
(c)臨界軌跡の終点(終端点とも言う)は、終端条件を満たす。
<<台形公式>>
(式3.2)の非線形方程式を数値的に解くべく台形公式の近似を適用する。すると、互いに隣接する多次元状態変数x,xk+1(1≦k≦m)の間には、次の等式が成立する。
また、移動時間Δtを、多次元状態変数x,xk+1の間を移動する時間(tk+1−t)として定義する。この移動時間Δtを用いて(式3.4)を表現すると、次のようになる。
この(式3.5)から、次式で定義される第1の誤差ベクトルμTZ を得る。
あるいは、隣接する多次元状態変数x,xk+1の間のユークリッド距離εを
として定義すると、上述した(式3.5)は、次式で表される。
よって、第1の誤差ベクトルμTZ は、上述したユークリッド距離εを用いて、次式として定義されてもよい。
なお、(式3.6)、(式3.9)をまとめて表現すると、次式で表される。
なお、計算の実行にあたっては、移動距離Δt,ユークリッド距離εのいずれを用いても差し支えない。また、計算時間の短縮と計算の安定性を両立させるべく、最初の数回の反復計算ではユークリッド距離εを用い、それ以降の計算では移動距離Δtを用いてもよい。
<<初期条件>>
上述したように、臨界軌跡3の始点xは、故障軌跡1上にある。この条件は、変数ベクトルxが臨界となる故障除去時間τに基づくことを意味するので、次式で表すことができる。
<<終端条件>>
本実施形態では、臨界軌跡3の終点xm+1の満たすべき終端条件として、(i)ポテンシャルエネルギーの条件、(ii)運動エネルギーの条件、及び(iii)2点間の距離の最小化、の3つを用いる。上記(i)ポテンシャルエネルギーの条件は、解を確実に得るために有効であり、残りの2つの条件は、適宜ポテンシャルエネルギーの条件と組み合わされて用いられることで確実性を更に向上させる。以下、上記(i)−(iii)の各条件を説明する。
(i)ポテンシャルエネルギーの条件:μPEBS
先に述べたように、一般に、臨界軌跡3の終点は不安定平衡点であると考えられているが、計算を実行する際、終端条件として不安定平衡点を指定すると、解が求まらない場合がある。発明者らが検討した結果、不安定平衡点がPEBS(Potential Energy Boundary Surface)と呼ばれるポテンシャルエネルギー境界面の上に存在するように終端点を指定すると、計算が安定することが判明した。このことは、臨界軌跡の終点が、上述した不安定平衡点だけでなく、不安定平衡点に連なるPEBS上に存在する場合があることを示している。一般に、μPEBS=0は、PEBS上で成立する条件である。そこで、本実施形態では、臨界軌跡3の終点において、かかる条件を考慮することとする。つまり、臨界軌跡3の終点ではμPEBSが最小となることを終端条件の1つとする。
ここで、ポテンシャルエネルギー面を地形に例えると、安定領域は盆地のような領域であり、不安定領域は盆地の外側である。そして、安定領域と不安定領域の境界である臨界状態は、盆地を囲む山の稜線に例えられる。そうすると、上述したμPEBS=0なる条件は、電力系統のポテンシャルエネルギーが始点から終点に向かって臨界軌跡3に沿って変化する方向と、故障の除去後の安定平衡点から見た終点の方向と、が直交することと言い換えることができる。すなわち、これら2つの方向の内積がゼロとなることが終端条件である。
そこで、電力系統のポテンシャルエネルギーをVとし、また、終端点の座標、終端点における角速度、及び故障除去後の安定平衡点の座標を、それぞれ
とすると、上述した2つの方向はそれぞれ
で表される(座標θの上に付されたチルダは、座標が慣性中心座標系に変換されていることを表す。(次の(式3.12)の但し書き参照)。よって、μPEBSは次式で表される。なお、次式において、変数の右肩に付された記号Tは転置を表す。
このようなμPEBSが臨界軌跡の終点において最小になることが、ポテンシャルエネルギーの条件である。
(ii)運動エネルギーの条件:μKE
臨界軌跡3の終点においては、電力系統内の全発電機の運動エネルギーが最小となるはずである。したがって、終点において以下のμKEが最小となることが終端条件となる。
もっとも、(式3.13)における発電機の回転角速度ωは慣性中心座標系に変換されているので、μKEは終端点において極小となる。この条件により終点を検出する。
(iii)2点間の距離の最小化:μdist
発明者らは、臨界軌跡3が不安定平衡点に収束するケースのほか、上記(i)のポテンシャルエネルギー条件の下で臨界軌跡3がPEBSに漸近するケースがあることを発見した。そして、両ケースにおいて、終点に至る2点x、xm+1間の距離が最小になることに着目し、このことを終端条件として用いることとした。この終端条件は次式で表される。
ここで、wdistは任意の定数であり、例えば0.1である。なお、2点間の距離が速度に比例することからすれば、(式2.14)は、(式2.13)と論理的に矛盾せず、相乗的な効果を有する。
(iv)終端条件のまとめ
上述した(i)−(iii)を成分として含む(式3.15)の第2の誤差ベクトルμの自乗(式3.16)を、最小自乗法の目的関数に加え、極小となる点を検出することで、計算の安定化を図る。
ただし、この第2の誤差ベクトルμの全ての成分を最小化問題の中に入れる必要はない。本実施形態において、ポテンシャルエネルギー条件は非常に有効であるから、必ずμに入れることとする。残りの2つの条件をμに加えると、更に計算が安定化する。
ここで、第2の誤差ベクトルμを目的関数に加える際、次式のように、正の対角要素を有する正方の対角行列Wを重み付けとして用いてもよい。
例えば、a=a=a=1のとき、(式3.17)は、(式3.16)における|μに一致する。また、a=a=0、a=1のとき、(式3.17)は、|μPEBSになる。このように、状況に応じて重み付けWの成分を変化させることで、計算を更に安定化することができる。なお、第2の誤差ベクトルμは、上記以外の条件を成分として含んでもよい。
なお、終端条件として他の条件を用いてもよい。例えば、臨界軌跡3の終点として不安定平衡点CUEPを指定してもよいし、終点を発電機の同期化力係数行列に基づく特異点に束縛させてもよい。このような終端条件は、目的関数の最小化における制約条件として用いられ得る。
<<目的関数の最小化>>
これまでの議論から、本実施形態における目的関数は以下のように書ける。
あるいは、上記(i)−(iii)以外の終端条件が制約条件として採用される場合、次の目的関数が用いられてもよい。
そして、(式3.18.1)又は(式3.18.2)で表される目的関数を最小化させる変数ベクトルx、移動時間Δt(又はユークリッド距離ε)、終端条件μの各成分、臨界となる故障除去時間τを求める。このような最適化問題を解くにあたり、上述した(式3.11)により定義される初期条件μや、PV装置の脱落の有無を考慮した制約条件を課している。PV装置の脱落の有無は、上述したとおり、故障の発生時と、故障の除去時とに、それぞれ判定される。なお、最適化問題の計算手法として、例えばニュートン・ラフソン法やルンゲクッタ法が用いられる。
===臨界故障除去時間の算出の流れ===
図6を参照して、本実施形態において臨界故障除去時間を算出する流れを説明する。図6は、臨界となる故障除去時間τを算出する流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、臨界となる故障除去時間τを求める電力系統を表したモデルを特定する。これにより、多次元関数fや、多次元状態変数x(0≦k≦m+1)が特定される。次いで、ステップS2において、臨界軌跡3の初期条件μ(式3.11)、臨界軌跡3の終端条件μ(式3.12−式3.14)、終端条件の各成分に対する重み付けW、PV装置の脱落の有無を考慮した制約条件などを設定する。これにより、(式3.18.1)又は(式3.18.2)に示される目的関数や、制約条件が決まる。
目的関数や制約条件などが決まると、ステップS3において、設定された制約条件の下で最適化問題の解探索、つまり目的関数の最小化を実行する。かかる計算の実行により、臨界軌跡3の始点x及び当該始点xに対応する故障除去時間τを算出する。
なお、ステップS3において解探索を実行する過程で、目的関数と多次元状態変数x(0≦k≦m+1)との推移を所定のメモリに記憶しておき、解探索後に当該メモリに記憶された目的関数と多次元状態変数xを時系列に表示することにより、探索経路の確認や局所最適解に陥っていないか否かの確認を行うようにしてもよい。また、PV装置の脱落の有無を所定のメモリに記憶しておき、解探索後に当該メモリに記憶されたPV装置の脱落に関する情報を表示装置に表示してもよい。
===系統モデルによる性能評価===
図8−図10を参照して、本実施形態における判定手法及び臨界故障除去時間の算出手法に基づくシミュレーション結果を示す。図8−図10は、3機9母線モデル系統(AF9)、4機9母線モデル系統(拡張版AF9)、IEEE7機57母線モデル系統をそれぞれ示す概念図である。
以下に説明する性能評価では、臨界故障除去時間の算出手法としてシミュレーション法を採用したうえで、FRT要件の詳細模擬による計算結果と、本判定手法による計算結果と、を比較している。つまり、シミュレーション法の下でFRT要件を詳細に模擬すること(詳細模擬)で得られたPV装置の脱落の有無及び臨界故障除去時間(CCT)と、シミュレーション法の下で本判定手法を適用すること(提案法)で得られたPV装置の脱落の有無及び臨界故障除去時間と、を比較している。なお、ここでは、「FRT要件(〜2016年度)」が使用されている。
<<3機9母線系統モデル(AF9)>>
図8に示される3機9母線系統モデル(AF9)を用いたシミュレーション結果を以下に示す。PV装置の導入箇所は、表2に示されるように、図8の母線5,6,8とし、導入量は需要の25%とする。
このような条件下におけるシミュレーション結果を表3に示す。ここで、表3における故障地点A−Iは、図8の地点A−Iに対応する。また、「PV脱落母線」欄の記号「―」は、PV装置が脱落してないことを表す。同欄に記載された数字「5」、「6」、「8」は、母線5,6,8に接続されたPV装置が脱落したことを表し、カッコ( )内は、事故発生からの脱落時間を表す。なお、表3に「手法A」欄を設け、運動エネルギーを用いた解析手法に本判定手法を適用した結果を付記している。
表3より、提案法によって算出された臨界故障除去時間は、詳細模擬によって算出された臨界故障除去時間と比較して、ほぼ等しいか、若干短い。つまり、提案法は、より危険(不安定)サイドに模擬しているといえる。なお、提案法によって算出された故障中のPV装置の脱落の判定結果及び脱落時間は、詳細模擬の結果と一致している。故障除去後のPV装置の脱落の判定は、提案法と詳細模擬とで基準時が異なるため、単純に比較することはできない。
<<4機9母線モデル系統(拡張版AF9)>>
図9に示される4機9母線モデル系統(拡張版AF9)を用いたシミュレーション結果を以下に示す。ここで、PV装置の導入箇所は、表4に示されるように、図9の母線5,6,8とし、導入量は需要の25%とする。
シミュレーション結果を表5に示す。表5における故障地点A−Iは、図9の地点A−Iに対応する。
表5においても、提案法によって算出された臨界故障除去時間は、詳細シミュレーションによる場合でも手法Aによる場合でも、詳細模擬によって算出された臨界故障除去時間と比較して、ほぼ等しいか、若干短い。提案法は、やはり、より危険(不安定)サイドに模擬しているといえる。なお、提案法によって算出された故障中のPV装置の脱落の判定結果及び脱落時間は、詳細模擬の結果と一致している。
<<IEEE7機57母線モデル系統>>
図10に示されるIEEE7機57母線モデル系統を用いたシミュレーション結果を以下に示す。PV装置の導入箇所および導入量は、表6に示されるとおりである。
シミュレーション結果を表7に示す。表5における故障地点A−Pは、図10の地点A−Pに対応する。
表7においても、提案法によって算出された臨界故障除去時間は、詳細模擬によって算出された臨界故障除去時間と比較して、ほぼ等しいか、若干短い。提案法は、このモデルでも、より危険(不安定)サイドに模擬しているといえる。なお、提案法によって算出された故障中のPV装置の脱落の判定結果及び脱落時間は、詳細模擬の結果と一致している。
このように、本判定手法は、臨界故障除去時間を危険サイドに算出する。シミュレーション法が計算に時間を要することを考慮すれば、本判定手法をスクリーニングとして用いることが好適である。つまり、本判定手法を用いて安定度を判別した結果、電力系統が安定であると判定されれば、詳細模擬でもやはり、その電力系統は安定であると評価される。したがって、本判定手法の下で不安定と判定された電力系統についてのみ、改めてシミュレーション法によって安定、不安定を判別すれば足りるから、安定、不安定の判別に要する時間を短縮することが可能となる。
===情報処理装置、プログラム===
本実施形態におけるPV装置の脱落の判定及び臨界となる故障除去時間τの算出は、情報処理装置100によって実行される。情報処理装置100は、判定装置に相当するとともに、臨界故障除去時間算出装置に相当する。情報処理装置100は、例えば、電力系統の運用に携わる作業者が操作するコンピュータやワークステーションであって、図7に示されるように、CPU101、液晶ディスプレイ等の表示装置102、キーボードやマウス等の入力装置103、メモリ104、記憶装置105を備える。
CPU101は、記憶装置105からメモリ104にプログラム及びデータを読み込んで、所定の計算を実行する。情報処理装置100が判定装置として動作する場合、上述したステップST1におけるエネルギー関数Vの増加率を算出する算出部の機能と、ステップST2−ST4におけるPV装置の脱落を判定する判定部の機能とは、CPU101によって実行される。また、情報処理装置100が臨界故障除去時間算出装置として動作する場合、ステップST1においてエネルギー関数Vの増加率を算出する第1算出部の機能と、ステップST2−ST4においてPV装置の脱落を判定する判定部の機能と、ステップS1−S3において判定部の判定結果に基づいて、臨界となる故障除去時間τを算出する第2算出部の機能とは、CPU101によって実行される。
記憶装置105には、前述した臨界故障除去時間の算出を行うためのプログラム、例えば、前述したニュートン・ラフソン法やルンゲクッタ法のプログラムや、このニュートン・ラフソン法等を用いて未知変数x〜xm+1、τ、Δt、ε等の最適化を実施するプログラムを含むプログラム群(臨界故障除去時間算出プログラム)が格納されている。記憶装置105には、関数fに関する情報や、状態変数ベクトルx〜xm+1や誤差ベクトルを含む中間データ等も記憶される。
以上説明したように、電力系統に故障が生じたときに電力系統内のPV装置(分散型電源の一例)が脱落するかどうかを判定する判定装置は、電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを表すエネルギー関数Vの増加率を、PV装置が運転を継続するとした第1条件、及び、PV装置が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する算出部を備える。また、第1条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率よりも、第2条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率が大きいと、PV装置が脱落すると判定する判定部を備える。
かかる実施形態によれば、分散型電源の一例としてのPV装置の脱落の有無を危険サイドに判定するので、電力系統の安定度を簡易に判別することに役立つ。
また、算出部は、各母線に接続されたPV装置ごとに、第1条件及び第2条件の下でエネルギー関数Vの増加率を算出し、判定部は、各母線に接続されたPV装置ごとにPV装置の停止の有無を判定することが好ましい。PVの設置場所によって故障及び故障除去の及ぼす影響の度合いが異なることから、かかる実施形態によって、PV装置の脱落に関する判定の精度が向上する。
また、算出部は、故障の除去時に、第1条件及び第2条件の下でエネルギー関数Vの増加率を再度算出し、判定部は、再度計算されたエネルギー関数の増加率に基づいてPV装置の停止の有無を判定することが好適である。故障時と、故障の除去時とで、PV装置に及ぼす影響の度合いが異なることから、かかる実施形態によって、PV装置の脱落に関する判定の精度が向上する。
また、判定部が、算出部の算出結果に関わらず、残存電圧が所定電圧以上である母線に接続されたPV装置の運転は維持されると判定することで、FRP要件に適合した判定結果を得ることができる。
他の実施形態では、電力系統に故障が生じたときに電力系統内のPV装置が脱落するかどうかを判定する判定方法であって、電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを記述するエネルギー関数Vの増加率を、PV装置が運転を継続するとした第1条件、及び、PV装置が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出し、第1条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率よりも、第2条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率が大きいと、PV装置が脱落すると判定する。かかる実施形態によれば、分散型電源の一例としてのPV装置の脱落の有無を危険サイドに判定するので、電力系統の安定度を簡易に判別することに役立つ。
別の実施形態では、電力系統に故障が生じたときに電力系統内のPV装置が脱落するかどうかを判定するべく、コンピュータに対して、電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを記述するエネルギー関数Vの増加率を、PV装置が運転を継続するとした第1条件、及び、PV装置が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する第1機能と、第1条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率よりも、第2条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率が大きいと、PV装置が脱落すると判定する第2機能と、を実行させるプログラムである。かかる実施形態によれば、分散型電源の一例としてのPV装置の脱落の有無を危険サイドに判定するので、電力系統の安定度を簡易に判別することに役立つ。
更に別の実施形態では、電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求める臨界故障除去時間算出装置であって、電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを記述するエネルギー関数Vの増加率を、PV装置が運転を継続するとした第1条件、及び、PV装置が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する第1算出部と、第1条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率よりも、第2条件の下で算出されたエネルギー関数Vの増加率が大きいと、PV装置が脱落すると判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて、臨界となる故障除去時間を算出する第2算出部と、を備える。過渡安定度解析においてFRT要件を簡略的に模擬することが可能となる。かかる模擬の結果を、過酷故障を簡略に検出するためのスクリーニングとして用いることができるので、過渡安定度の判別に要する時間を短縮することが可能となる。
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
1 故障軌跡
2 故障が除去された後に安定状態に戻ることが可能な電力系統の状態を示す軌跡
3 臨界軌跡
4 故障が除去された後に安定状態に戻ることが不可能な電力系統の状態を示す軌跡
100 情報処理装置
101 CPU
102 表示装置
103 入力装置
104 メモリ
105 記憶装置

Claims (7)

  1. 電力系統に故障が生じたときに前記電力系統内の分散型電源が脱落するかどうかを判定する判定装置であって、
    前記電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを表すエネルギー関数Vの増加率を、前記分散型電源が運転を継続するとした第1条件、及び、前記分散型電源が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する算出部と、
    前記第1条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率よりも、前記第2条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率が大きいと、前記分散型電源が脱落すると判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする判定装置。
  2. 前記算出部は、各母線に接続された分散型電源ごとに、前記第1条件及び前記第2条件の下で前記エネルギー関数Vの増加率を算出し、
    前記判定部は、前記各母線に接続された分散型電源ごとに分散型電源の停止の有無を判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
  3. 前記算出部は、前記故障の除去時に、前記第1条件及び前記第2条件の下で前記エネルギー関数Vの増加率を再度算出し、
    前記判定部は、再度計算された前記エネルギー関数の増加率に基づいて前記分散型電源の停止の有無を判定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の判定装置。
  4. 前記判定部は、前記算出部の算出結果に関わらず、残存電圧が所定電圧以上である母線に接続された分散型電源の運転は維持されると判定する
    ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の判定装置。
  5. 電力系統に故障が生じたときに前記電力系統内の分散型電源が脱落するかどうかを判定する判定方法であって、
    前記電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを記述するエネルギー関数Vの増加率を、前記分散型電源が運転を継続するとした第1条件、及び、前記分散型電源が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出し、
    前記第1条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率よりも、前記第2条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率が大きいと、前記分散型電源が脱落すると判定する
    ことを特徴とする判定方法。
  6. 電力系統に故障が生じたときに前記電力系統内の分散型電源が脱落するかどうかを判定するべく、コンピュータに対して
    前記電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを記述するエネルギー関数Vの増加率を、前記分散型電源が運転を継続するとした第1条件、及び、前記分散型電源が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する第1機能と、
    前記第1条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率よりも、前記第2条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率が大きいと、前記分散型電源が脱落すると判定する第2機能と、
    を実行させるプログラム。
  7. 電力系統が故障した後に回復可能となる時間と、前記電力系統が故障した後に回復不可能となる時間と、の臨界となる故障除去時間を求める臨界故障除去時間算出装置であって、
    前記電力系統に連系した発電機の動揺エネルギーを記述するエネルギー関数Vの増加率を、前記分散型電源が運転を継続するとした第1条件、及び、前記分散型電源が脱落するとした第2条件の下で、それぞれ算出する第1算出部と、
    前記第1条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率よりも、前記第2条件の下で算出された前記エネルギー関数Vの増加率が大きいと、前記分散型電源が脱落すると判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果に基づいて、前記臨界となる故障除去時間を算出する第2算出部と、
    を備えることを特徴とする臨界故障除去時間算出装置。
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