本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びそれに用いられる現像装置に関し、特に、現像剤量を規制する規制部において、現像剤が受ける機械的ストレスを緩和する機構に関するものである。
コピー機、プリンタ、FAX等の電子写真方式を用いる画像形成装置においては、主に粉末の現像剤(以下、トナーという)が使用され、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって可視化し、そのトナー像を記録媒体上に転写した後、定着処理を行うプロセスが一般的である。
図6は、現像装置21を用いた従来の画像形成装置(例えばプリンタ)100である。この画像形成装置100は、感光体ドラム41、帯電部42、画像書込部(レーザスキャンユニット)43、現像装置21、トナー貯留部44、転写部45、クリーニング部46、シート収容部51、搬送部52、定着部53、および排紙部54から構成されている。
感光体ドラム41は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電部42により、表面を帯電させるようになっている。そして、後述する画像書込部43からのレーザビームを受けた表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定するものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン(a−Si)等が好ましい。
帯電部(帯電チャージャー)42は、放電(例えばコロナ放電)することで感光体ドラム41の表面を帯電させるものである。例えば帯電部42は、細いワイヤー等を有しており、これを電極として、高電圧を印加されることで放電するようになっている。画像書込部(LSU)43は、画像データに基づいて、光ビーム(例えばレーザビーム)を感光体ドラム41に照射させ、その感光体ドラム41に静電潜像を形成させるものである。なお、画像データは不図示のパーソナルコンピューター(PC)から送信されたものである。
現像装置21は、感光体ドラム41の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成させるものである。なお、現像装置21に収容されているトナーとしては、例えばトナー成分とキャリヤとから構成される2成分現像剤や、トナー成分のみから構成される1成分現像剤が挙げられる。また、現像装置21の詳細については後述する。
トナー貯留部(ホッパー)44は、現像装置21内部のトナーが不足するようになれば、その現像装置21にトナーを供給するとともに、トナーを貯留しておくものである。転写部45は、感光体ドラム41表面に形成されたトナー像を乱さずに搬送部52を搬送されてくるシートに移行させるものである。
クリーニング部46は、トナー像がシートに移行(転写)された後に、感光体ドラム41の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去するものである。例えば、感光体ドラム41の長手方向に線接触するブレード材等が挙げられる。シート収容部51は、最終的に画像(トナー像)が印刷されるシート(用紙やOHP等)を収容するとともに、搬送部52にシートを送り出すものである。
搬送部52は、シート収容部51から排紙部54までのシートの通路であり、定着部53は、シートに転写されたトナー像を安定な永久像とするものであり、例えば熱や圧力等のエネルギーを付与することにより、粉体状態のトナー像を溶融させるものである。排紙部54は、定着部53を経たシート、すなわち永久像が印刷されたシートを収容するものである。
そして、予め入力された画像データに基づいて、LSU43が感光体ドラム41上にレーザビーム(光線)を発することで、その画像データに基づく静電潜像をその感光体ドラム41表面に形成させる。その後、現像装置21が、静電潜像にトナーを付着させるとともに(トナー像を形成させるとともに)、転写部45が、シートにそのトナー像を転写させる。次に、定着部53が、そのトナー像の転写されたシートに熱等を加え、永久像とさせるようになっている。
図7は、2成分現像剤を用いる現像装置21の概略斜視図であり、図8(a)は側面断面図、図8(b)は上方からの概略平面図である。なお、図7及び図8(b)は、便宜上、蓋部分(カバー部分)を除外して表現し、図8(b)では第1攪拌スクリュー7(後述)を重点的に表現している。図7、図8に示すように、現像装置21は、ケーシング(筐体)5、カバー(筐体)6、第1攪拌スクリュー(回転搬送部)7、第2攪拌スクリュー(回転搬送部)8、現像ローラ(現像剤担持体)11、規制ブレード(規制部材)12、及びトナー量を検知するTセンサ(検知手段)13を含む構成である。
ケーシング5は、トナーを貯留するものであり、第1貯留室15と第2貯留室16とが、ケーシング5と一体形成された仕切り板9によって分けられることで形成される。そして、この第1貯留室15には第1攪拌スクリュー7、第2貯留室16には第2攪拌スクリュー8が配設されている。カバー6は、ケーシング5に収容されたトナー等が外部に漏れないように封止するものである。
第1攪拌スクリュー7は、第1貯留室15に貯留されているトナー等を攪拌させながらP方向へと搬送して、第2貯留室16に導くものであり、第2攪拌スクリュー8は、第2貯留室16に搬送されてきたトナー等を攪拌させながらQ方向へと搬送して、現像ローラ11に供給するものである。図8(b)に示すように、ケーシング5の長手方向の両端部においては仕切り板9は存在せず、第1攪拌スクリュー7、第2攪拌スクリュー8間でのトナーの受け渡しが可能となっている。なお、第1攪拌スクリュー7、第2攪拌スクリュー8は、それぞれ支軸(軸)7a、8aを中心とし、その周囲に螺旋羽7b、8bを設けた構成になっており、互いに平行な状態でケーシング5に回転可能に軸支されている。
現像ローラ11は、感光体ドラム41(図6参照)の回転に応じて回転することで、その感光体ドラム41の感光層にトナーを供給するものである。現像ローラ11の内部には複数の磁極を有する永久磁石から成る第1の磁界発生部材14が固定されている。この第1の磁界発生部材14の磁力により現像ローラ11の表面にトナーを付着(担持)させてトナー薄層を形成する。現像ローラ11は、第1攪拌スクリュー7、第2攪拌スクリュー8と平行な状態で、ケーシング5に回転可能に軸支されている。第1攪拌スクリュー7、第2攪拌スクリュー8、及び現像ローラ11は、図示しない駆動手段により回転駆動される。
規制ブレード12は、現像ローラ11と所定の間隔を隔てて配置され、感光体ドラム41に供給するトナー量を規制する規制部17を形成する。規制ブレード12の材質としては、磁性体或いは非磁性体のSUS(ステンレス)等が用いられる。なお、非磁性体の規制ブレード12に永久磁石を装着して磁性を付与しても良い。
Tセンサ13は、ケーシング5内に貯留されるトナー量(またはトナー濃度等)を検知するものであり、例えば圧電センサや磁気センサ等が用いられる。圧電センサは、外部から衝撃や振動等が加わると、その大きさに比例した電圧が発生するという圧電素子の性質を利用し、衝撃や振動を電気信号として取り出すもので、小型、軽量、高感度という特長を有する。Tセンサ13は、第2攪拌スクリュー8に対面する第2貯留室16の底面に設けられている。
このTセンサ13の検知面は、第1貯留室15及び第2貯留室16に充分にトナーが貯留されているとき、そのトナー等によって一定の圧をかけられることで、トナー等が充分に貯留されているものと検知する。一方、充分なトナー量が第1貯留室15、第2貯留室16に貯留されていないとき、検知面13aは、トナー等によって一定以上の圧をかけられることはない。このとき、Tセンサ13は、トナー量が充分に足りていないと検知するようになっている。
図9を用いて現像ローラ11上のトナー量の規制方法を詳細に説明する。図9に示すように、第1の磁界発生部材14は、N極14a、14cと、S極14b、14d、14eから成る5つの磁極14a〜14eを有している。規制ブレード12には磁界発生部材14のN極14aが対向するため、規制ブレード12として非磁性体或いはS極の磁性体を用いることにより、規制部17に引き合う方向(矢印B方向)の磁界が発生する。
この磁界により、規制ブレード12と現像ローラ11との間にトナーがブラシ状に起立する、いわゆる磁気ブラシが形成される。そして、現像ローラ11が矢印A方向に回転して磁気ブラシが感光体ドラム41に対向する位置に移動すると、S極14bにより磁界が付与されるため、磁気ブラシは感光体ドラム41表面に接触してトナー像を形成する。
さらに現像ローラ11が矢印A方向に回転すると、今度はN極14cにより引き合う磁界が付与されて、トナー像の形成に使われなかったトナーが現像装置21内に回収され、さらにS極14d、14eにより反発する磁界が付与されるため、トナーは現像装置21内で現像ローラ11から離脱する。そして、第2攪拌スクリュー8により攪拌、搬送された後、S極14eの磁界により再び現像ローラ11上に付着する。即ち、規制部17の間隔だけでなく、規制部17に発生する磁界によって現像ローラ11へのトナー付着を厳密に制御している。
上述のような2成分現像剤を用いる画像形成装置においては、形成される画像の安定性はトナーの劣化の程度により決定されることとなる。即ち、環境条件や経時変化でトナーの流動性が変化すると、現像ローラ11へのトナー供給が不安定となって良好なトナー像の品質を維持できなくなるという問題点があった。
トナーの劣化の原因は、主として現像装置内におけるトナーへの機械的ストレスであり、特に狭い間隔をトナーが通過する規制部17において最も大きくなることは周知である。この規制部17でのトナーに対する機械的ストレスは、磁界発生部材14及び規制ブレード12の磁力が影響しており、発生する磁界が強くなるほどトナーへの機械的ストレスも大きくなる。
また、画像密度の小さい低印字率画像の印刷が継続して行われた場合、感光体ドラム41へのトナー供給量が低下するため、現像ローラ11表面から再び現像装置21内部へ回収されるトナーが増加する。これにより、現像装置21内において機械的ストレスを受けたトナーの割合が増加して画像濃度の低下等の不具合が発生する。一方、規制部17の磁界を弱めた場合、トナーの受ける機械的ストレスは低減されるものの、現像ローラ11への現像剤供給量が不安定となる。
そこで、2成分現像剤を用いる電子写真装置において、印字率に応じて画像濃度を調整することにより、トナーの劣化に起因する画像濃度の低下を抑制する方法が提案されており、例えば特許文献1には、多色印刷の画像形成装置において、2色目画像の印字密度を計測する計測手段と、現像ローラの回転数を変化させる回転数制御手段とを設け、所定の印字密度以下の印刷頁が所定枚数を超える場合に、現像ローラの回転数を標準回転数よりも10〜40%増加させる方法が開示されている。また、特許文献2には、印字率算出手段により算出された印字率に基づいて現像装置内のトナー濃度を調整するトナー濃度制御方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2の方法では、トナーの劣化による画像濃度の低下を抑制して画質を向上させることができるものの、規制部における磁界の強さは変化しないため、トナーが受ける機械的ストレスを効果的に緩和できず、トナーの劣化が速くなるとともに、文字、線画像の画質劣化や地肌かぶりが顕著になるという問題点があった。
特開平1−206378号公報
特開2000−112218号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、低印字率の画像を連続印刷する場合に規制部における磁界の強さを変化させてトナーへのストレスを緩和することにより、トナー寿命が長く安定したトナー像を形成できる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、磁性を帯びた現像剤を貯留する筐体と、該筐体から供給された現像剤を担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置され感光体ドラム上へ供給する現像剤量を規制する磁性体若しくは非磁性体の規制部材と、前記現像剤担持体の内部に配置され複数の磁極を有する第1の磁界発生部材と、を備え、前記規制部材と前記現像剤担持体との間に形成される規制部の間隔及び前記規制部に発生する磁界の強さにより前記現像剤担持体表面に担持される現像剤量を規制し、感光体ドラム上の静電潜像に現像剤を付着させて現像する現像装置において、前記規制部に発生する磁界の強さを可変とすることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記第1の磁界発生部材は回動可能に配置されており、前記第1の磁界発生部材を所定量回転させることにより、前記規制部材に対向する前記磁極の配置をずらして前記規制部に発生する磁界の強さを変化させることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記規制部材は円筒状に形成され、内部には第2の磁界発生部材が前記第1の磁界発生部材に対向するように回動可能に配置されており、前記第2の磁界発生部材を所定量回転させることにより、前記規制部に発生する磁界の強さを変化させることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記第1の磁界発生部材若しくは前記第2の磁界発生部材の回転角度を2°乃至8°としたことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記第2の磁界発生部材は、磁力強度の異なる複数の磁極を有し、前記第1の磁界発生部材に対向する前記磁極を切り替えて前記規制部に発生する磁界の強さを変化させることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記現像剤は、トナー成分とキャリヤとから成る2成分現像剤であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置が搭載された画像形成装置であって、形成される画像の印字率を検出する印字率検出手段と、前記規制部材と前記現像剤担持体との間に発生する磁界の強さを可変させる磁力可変手段と、前記印字率検出手段の検出結果に基づいて前記磁力可変手段の駆動を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像装置が搭載された画像形成装置であって、形成される画像の印字率を検出する印字率検出手段と、前記第1又は第2の磁界発生部材を回転させる駆動手段と、該駆動手段の駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記印字率検出手段により検出された印字率に応じて前記第1の磁界発生部材又は第2の磁界発生部材を所定量回転させることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、規制部に発生する磁界の強さを可変させることにより、トナー消費量が少ない場合は磁界を弱めてトナーへの機械的ストレスを効果的に低減可能となり、現像装置により作成されるトナー像を高品質に維持することができる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、第1の磁界発生部材を所定量回転させて規制部材に対向する前記磁極の配置をずらすことにより、規制部に発生する磁界の強さを簡易な構成で変化させることができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、規制部材を円筒状に形成し、内部に配置された第2の磁界発生部材を所定量回転させて第1の磁界発生部材に対する配置をずらすことにより、第1の磁界発生部材の有する複数の磁極の配置に影響を与えることなく、規制部に発生する磁界の強さを簡易な構成で変化させることができる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2又は第3の構成の現像装置において、第1の磁界発生部材若しくは第2の磁界発生部材の回転角度を2°乃至8°としたことにより、第1磁界発生部材の他の磁極に影響を及ぼすことなく磁界の強さを調整可能となり、またトナー付着量を厳密に規制することができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第3の構成の現像装置において、磁力強度の異なる複数の磁極を有する第2の磁界発生部材を用い、第2の磁界発生部材を回転させて第1の磁界発生部材に対向する磁極を切り替えることにより、第1の磁界発生部材の有する複数の磁極の配置に影響を与えることなく、規制部に発生する磁界の強さを一層簡易な構成で確実に変化させることができる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の現像装置において、現像剤としてトナー成分とキャリヤとから成る2成分現像剤を用いることにより、現像装置内での機械的ストレスを低減してトナー成分及びキャリヤの劣化を共に抑制し、2成分現像剤の長寿命化を図ることができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1の構成の現像装置が搭載された画像形成装置において、印字率検出手段と、磁力可変手段と、印字率検出手段の検出結果に基づいて磁力可変手段の駆動を制御する制御手段とを設けたことにより、形成される画像の印字率に応じて磁界の強さを自動的に調節することができ、トナーへの機械的ストレスを低減して画像品質の向上及び現像剤の長寿命化に貢献する。
また、本発明の第8の構成によれば、上記第2乃至第5のいずれかの構成の現像装置が搭載された画像形成装置において、印字率検出手段と、第1又は第2の磁界発生部材を回転させる駆動手段と、駆動手段の駆動を制御する制御手段とを設け、印字率検出手段により検出された印字率に応じて第1の磁界発生部材又は第2の磁界発生部材を所定量回転させることにより、簡易な構成で画像の印字率に応じた適切な磁界の強さに自動調整可能となる。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。従来例の図9と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、第1の磁界発生部材14が現像ローラ11の支軸11aを中心として回動可能に構成されている。支軸11aの先端はDカット形状に加工されており、図示しない駆動モータに連結されている。
形成される画像の印字率が高く、現像ローラ11上でのトナー消費量が多い場合は、図1(a)のようにN極14aを規制ブレード12に対向する通常の位置に配置する。印字率が低く、現像ローラ11上でのトナー消費量が少ない場合は、図1(b)のように第1の磁界発生部材14を矢印A方向に所定量回転させて、N極14aを図1(a)の状態から所定量ずらした位置に配置する。これにより、トナー消費量に応じて規制部17に発生する磁界の強さを調節することができ、トナーへの機械的ストレスを効果的に低減可能となる。
第1の磁界発生部材14を回動する駆動モータとしては、回転量(回転角度)の微調整が必要となるため、所定の周期の駆動波形を用いて駆動制御されるステッピングモータを用いることが好ましい。また、第1の磁界発生部材14の回転量が大きくなるほど規制ブレード12に対するN極14aのずれ量も大きくなり、磁界の強さをより大きく可変させることができるが、同時に他の磁極14b〜14eのずれ量も大きくなるため、例えば第1の磁界発生部材14の回転量が10°より大きい場合、S極14bが元の位置から大きくずれ、感光体ドラム41に対向する位置での磁界が弱くなって現像に不具合が生じるおそれがある。
一方、第1の磁界発生部材14の回転角度が2°より小さい場合は、磁界の変化が小さくトナーが受ける機械的ストレスの低減効果が十分に得られない。そのため、第1の磁界発生部材14の回転量は10°以下とすることが好ましく、2°乃至8°の範囲がより好ましい。なお、ここでは第1の磁界発生部材14を現像ローラ11の回転方向と同じ矢印A方向に回転させているが、第1の磁界発生部材14の回転方向は他の磁極に与える影響等を考慮して適宜設定すれば良い。
規制部17に発生する磁界の強さは、N極14aに対する規制ブレード12の配置をずらして変化させることもできる。しかし、本実施形態において規制ブレード12の配置をずらした場合、規制部17の間隔も変動してしまい、現像ローラ11上へのトナー付着量の厳密な規制が困難となる。この問題点は、規制部17の間隔は維持しながら磁界の強さのみを変化させることのできる規制部材の構成を採用することにより解決される。具体的な構成を以下の実施形態に示す。
図2は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。本実施形態においては、第1実施形態の規制ブレード12に代えて、円筒状の規制部材18が配置されており、規制部材18の内部には第2の磁界発生部材19が規制部材18の支軸18aを中心として回動可能に構成されている。支軸18aの先端はDカット形状に加工されており、図示しない駆動モータに連結されている。駆動モータとしては、第1実施形態と同様に回転量の制御が容易なステッピングモータが用いられる。他の部分の構成は図1と共通するため説明を省略する。
形成される画像の印字率が高く、現像ローラ11上でのトナー消費量が多い場合は、図2(a)のように規制部材18内の第2の磁界発生部材19をN極14aに対向する通常の位置に配置する。印字率が低く、現像ローラ11上でのトナー消費量が少ない場合は、図2(b)のように、第2の磁界発生部材19を矢印C方向に所定量回転させて、図2(a)の位置から所定量ずらした位置に配置する。これにより、第1実施形態と同様にトナー消費量に応じて規制部17に発生する磁界の強さを調節することができる。また、第1の磁界発生部材14を回転させる必要がないため、第1実施形態のように他の磁極14b〜14eの配置に影響を及ぼす心配もない。
なお、第2の磁界発生部材19を大きくずらした場合、規制部17におけるトナー付着量を厳密に規制できなくなるため、本実施形態においても第2の磁界発生部材19の回転量は10°以下とすることが好ましく、2°乃至8°の範囲がより好ましい。また、第2の磁界発生部材19の回転方向についても第1実施形態と同様に適宜設定可能である。
図3は、本発明の第3実施形態に係る現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。本実施形態においては、円筒状の規制部材18の内部に配置された第2の磁界発生部材19は、強磁極19aと、強磁極19aよりも磁力の弱い弱磁極19bが所定の角度で連結された断面V字状に構成されている。他の部分の構成は第2実施形態の図2と共通するため説明を省略する。
形成される画像の印字率が高く、現像ローラ11上でのトナー消費量が多い場合は、図3(a)のように強磁極19aをN極14aに対向する位置に配置する。印字率が低く、現像ローラ11上でのトナー消費量が少ない場合は、図3(b)のように、第2の磁界発生部材19を所定量回転させて、弱磁極19bをN極14aに対向する位置に配置する。これにより、第1、第2実施形態と同様にトナー消費量に応じて規制部17に発生する磁界の強さを調節することができる。
また、強磁極19aと弱磁極19bの切り替えにより磁界の強さを調節するため、第2の磁界発生部材19の回転量を微調整する必要がなく、第2実施形態に比べてより簡易且つ確実に磁界の強さを調節可能となる。なお、ここでは強磁極19a及び弱磁極19bを有する第2の磁界発生部材19を用いて磁界の強さを2段階に切り替えることとしたが、磁力の異なる磁極を3つ以上有する構成とし、磁界の強さを3段階以上に切り替え可能としても良い。
次に、本発明の現像装置を搭載した画像形成装置の構成について説明する。図4は、本発明の画像形成装置の構成を示すブロック図である。従来例の図6と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像読取部30、AD変換部31、画像読形成部32、制御部33、記憶部34、操作パネル35、シート収容部51、定着部53及び装置各部を駆動するモータ36〜39から構成されている。
画像読取部30は、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される。画像読取部30で読み取られた画像信号はAD変換部31においてデジタル信号に変換された後、後述する記憶部34内の画像メモリ60に送出される。なお、画像読取部30及びAD変換部31は、形成される画像の印字率を検出する印字率検出手段としての機能も有する。
画像形成部32は、感光体ドラム41、帯電部42、画像書込部43、現像装置21、トナー貯留部44、転写部45を含み、AD変換部31において変換されたデジタル信号をもとに感光体ドラム41上に静電潜像を形成し、現像した後に用紙上にトナー像を転写する。
記憶部34は、画像メモリ60、RAM61、及びROM62を備えており、画像メモリ60は、画像読取部で読み取られ、AD変換部31においてデジタル変換された画像信号を記憶し、制御部33に送出する。RAM61及びROM62は、制御部33の処理プログラムや処理内容等が記憶されている。
操作パネル35は、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷条件等の設定を行う他、画像形成装置がファクシミリ機能を有する場合は記憶部34にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。
メインモータ36は、制御部33からの制御信号に応じて感光体ドラム41、転写部45、定着部53を駆動する。トナー攪拌モータ37は、制御部33からの制御信号に応じて現像装置21内の攪拌スクリュー7、8(図8参照)を駆動する。磁界調節モータ38は、制御部33からの制御信号に応じて現像装置21内の第1の磁界発生部材14若しくは第2の磁界発生部材19(いずれも図1〜3参照)を駆動するステッピングモータである。給紙モータ39は、制御部33からの制御信号に応じてシート収容部51内の給紙ローラを駆動する。なお、トナー攪拌モータ37、給紙モータ39に代えて、メインモータ36からクラッチで駆動力を伝達するようにしても良い。
制御部33は、設定されたプログラムに従って画像読取部30、画像形成部32、シート収容部51、定着部53やそれらを駆動するモータ36、37、39を全般的に制御するとともに、画像読取部30で読み取られた画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。画像書込部43は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム41上に潜像を形成する。
さらに、制御部33はAD変換部31においてデジタル変換された画像信号の印字情報に基づいて磁界調節モータ38の駆動を制御し、現像装置21の規制部17(図1〜3参照)に発生する磁界の強さの調節を行う機能も有している。
次に、本発明の現像装置を搭載した画像形成装置の動作について説明する。図5は、画像形成に伴う第1実施形態の現像装置内の磁界調整手順を示すフローチャートである。図1及び図4を参照しながら、図5のステップに従い現像装置21内の規制部17における磁界調整操作について説明する。先ず、ユーザにより画像形成が開始されると、画像読取部30により原稿画像の読み取りを行い画像信号に変換する(ステップS1)。この画像信号はAD変換部31においてデジタル信号に変換された後(ステップS2)、画像メモリ60に出力される。
次に、画像メモリ60内のデジタル信号が制御部33に読み出され、制御部33はデジタル信号に基づいて印字率Pを算出する(ステップS3)。次に、算出された印字率Pが予め設定された基準印字率Px以下であるか否かが判断される(ステップS4)。印字率Pが基準印字率Px以下である場合は現像ローラ11上でのトナー消費量が少なくなるため、制御部33から磁界調節モータ38に制御信号が送信され、磁界調節モータ38は制御信号に基づいて第1の磁界発生部材14を所定量回転させる(ステップS5)。
これにより、N極14aが規制ブレード12から所定量ずれた位置に配置され、規制部17に発生する磁界が弱められてトナーが受ける機械的ストレスが軽減される。一方、ステップS4において印字率Pが基準印字率Pxよりも大きい場合は、現像ローラ11上でのトナー消費量が一定以上となりトナーの入れ替わりが速いため、規制部17に発生する磁界を弱める必要はない。よって、第1の磁界発生部材14を回転させず、N極14aは規制ブレード12に対向する位置に配置される。その後、画像形成が開始され(ステップS6)、処理を終了する。
第1の磁界発生部材14の回転量の制御は、印字率Pが基準印字率Pxよりも大きい場合は常に一定量回転させる2段階制御としても良く、印字率Pの大きさに比例して回転量を変化させる多段階制御としても良いが、印字率Pの大きさに応じて磁界を最適な強さに調節できる多段階制御とする方がより好ましい。また、ここでは第1の磁界発生部材14を回転させる第1実施形態の現像装置を用いて制御手順を説明したが、第2及び第3実施形態の現像装置を用いた場合についても、第1の磁界発生部材14に代えて第2の磁界発生部材19を回転させる以外は図5と全く同様の制御となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば第1実施形態では、規制部材として磁性体又は非磁性体の規制ブレード12を用いているが、第2、第3実施形態のような円筒状の規制部材18を用いても良く、内部に第2の磁界発生部材19を設けても良い。また、第1の磁界発生部材14を構成する磁極14a〜14eのうち、規制ブレード12或いは規制部材18に対向する磁極14aのみを可動としておくこともできる。
また、上記各実施形態では、第1の磁界発生部材14を構成する磁極14a、14cがN極であり、磁極14b、14d、14eがS極である場合について説明したが、磁極14a、14cをS極、磁極14b、14d、14eをN極とすることもできる。その場合、S極14aに対向する規制ブレード12或いは第2の磁界発生部材19をN極とすれば良い。
また、ここではトナー成分とキャリヤとから成る2成分現像剤を用いる現像装置及び画像形成装置について説明したが、本発明は2成分現像剤を用いる現像装置或いは画像形成装置に限定されるものではなく、例えば1成分現像剤を用いる現像装置或いは画像形成装置であっても、磁性トナーを用いる場合は同様に適用可能である。
図1における現像ローラ11の直径が20mm、線速度が200mm/sec、N極14aの磁力が60mTであり、規制部15の間隔が0.5mmである第1実施形態の現像装置21を画像形成装置に搭載し、図5に示した手順により印字率に応じて第1の磁界発生部材14を2°乃至8°回転させて規制部17の磁界の強さを変化させた。その結果、磁界の強さが一定である従来例に比べて現像装置内のトナー寿命が著しく向上するとともに、濃度低下等の画像不良の発生は認められなかった。
図2における規制部材18の直径が8mm、第2の磁界発生部材19の磁力が10mTであり、他の部分の仕様は実施例1と同様である第2実施形態の現像装置21を画像形成装置に搭載し、図5に示した手順により印字率に応じて第2の磁界発生部材19を2°乃至8°回転させて規制部17の磁界の強さを変化させた。その結果、実施例1と同様に、磁界の強さが一定である従来例に比べてトナー寿命及び画像の安定性が著しく向上した。
図3における第2の磁界発生部材19が、磁力60mTの強磁極19aと、強磁極19aから15°離れた位置に配置された磁力50mTの弱磁極19bとを有しており、現像ローラ11のN極14aの磁力が40mTであり、他の部分の仕様は実施例2と同様である第3実施形態の現像装置21を画像形成装置に搭載し、図5に示した手順により印字率に応じて強磁極19aと弱磁極19bとを切り替えて規制部17の磁界の強さを変化させた。その結果、実施例1及び実施例2と同様に、トナー寿命及び画像の安定性が著しく向上した。
本発明は、磁性を帯びた現像剤を貯留する筐体と、該筐体から供給された現像剤を担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に対向配置され感光体ドラム上へ供給する現像剤量を規制する磁性体若しくは非磁性体の規制部材と、現像剤担持体の内部に配置され複数の磁極を有する第1の磁界発生部材と、を備え、規制部材と現像剤担持体との間に形成される規制部の間隔及び規制部に発生する磁界の強さにより現像剤担持体表面に担持される現像剤量を規制し、感光体ドラム上の静電潜像に現像剤を付着させて現像する現像装置において、規制部に発生する磁界の強さを可変とする。
これにより、トナー消費量に応じて磁界を変化させてトナーへの機械的ストレスを効果的に低減する、トナーの長寿命化が可能な現像装置を提供する。
また、第1の磁界発生部材を所定量回転させ、規制部材に対向する磁極の配置をずらして磁界の強さを変化させたので、簡易な構成で磁界の強さを変化させることができる。また、第1の磁界発生部材に代えて、円筒状の規制部材の内部に配置された第2の磁界発生部材を所定量回転させることにより、第1の磁界発生部材の有する複数の磁極の配置に影響を与えることなく磁界の強さを変化させることができる。さらに、磁力強度の異なる複数の磁極を有する第2の磁界発生部材を用い、第1の磁界発生部材に対向する磁極を切り替えることとすれば、規制部に発生する磁界の強さを一層簡易な構成で確実に変化させることができる。
また、本発明の現像装置を画像形成装置に搭載し、印字率検出手段と、磁力可変手段と、印字率検出手段の検出結果に基づいて磁力可変手段の駆動を制御する制御手段とを設けたので、画像の印字率に応じて磁界の強さを自動的に調節することができ、現像装置内での機械的ストレスを受けたトナーの割合を低減して現像装置により作成されるトナー像を高品質に維持して高品位な画像形成が連続して行える画像形成装置を提供する。
また、印字率検出手段と、第1又は第2の磁界発生部材を駆動させる駆動手段と、駆動手段の駆動を制御する制御手段とを備え、印字率検出手段により検出された印字率に応じて第1の磁界発生部材又は第2の磁界発生部材を所定量回転させるか、或いは第2の磁界発生部材の磁極を切り替えることにより、簡易な構成で画像の印字率に応じた適切な磁界の強さに自動調整可能となる。
は、本発明の第1実施形態に係る現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。
は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。
は、本発明の第3実施形態に係る現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。
は、本発明の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
は、第1実施形態の現像装置を備えた画像形成装置における、現像装置内の磁界調整手順を示すフローチャートである。
は、従来の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
は、従来の現像装置の概略斜視図である。
は、従来の現像装置の側面断面図(図8(a))及び上方からの概略平面図(図8(b))である。
は、従来の現像装置の現像ローラ周辺の断面拡大図である。
符号の説明
5 ケーシング(筐体)
6 カバー(筐体)
7 第1攪拌スクリュー(回転搬送部)
8 第2攪拌スクリュー(回転搬送部)
11 現像ローラ(現像剤担持体)
12 規制ブレード(規制部材)
13 Tセンサ
14 第1の磁界発生部材
14a〜14e 磁極
17 規制部
18 規制部材
19 第2の磁界発生部材
19a 強磁極
19b 弱磁極
21 現像装置
30 画像読取部(印字率検出手段)
31 AD変換部(印字率検出手段)
33 制御部(制御手段)
38 磁界調節モータ(磁力可変手段)
44 トナー貯留部
100 画像形成装置