JP4602000B2 - 水素ガス検知素子、水素ガスセンサおよび水素ガス検知方法 - Google Patents
水素ガス検知素子、水素ガスセンサおよび水素ガス検知方法 Download PDFInfo
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R1000/R0 ≦ 0.9 ・・・(1)
(式(1)中、R0は、素子温度100℃および水素ガス濃度0ppmにおける酸化チタ
ンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示し、R1000は、素子温度100℃および水素ガス濃度1000ppmにおける酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示す。)
前記酸化チタンを主成分とする薄膜は、酸化チタンを主成分とする粒子径5〜500nmの粒子によって形成されていることが好ましく、このような酸化チタンを主成分とする薄膜は、たとえば、CM−GFS装置を用いた反応性スパッタ法によって形成することができる。そして、上記酸化チタンを主成分とする薄膜の内部もしくは表面に、貴金属が0.01〜10重量%の量で均一に分布していることが望ましい。前記貴金属としては、白金またはパラジウムが好ましい。
いて、設備からのガス漏れを早期に検知してガス爆発等の事故を防止するための水素ガス漏れ検知装置などに特に好適に用いることができる。
(水素ガス検知素子)
本発明に係る水素ガス検知素子は、表面を平坦化した基板上に、下記式(1)の条件を満たす酸化チタンを主成分とする薄膜を有している。
式(1)中、R0は、素子温度100℃および水素ガス濃度0ppmにおける酸化チタ
ンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示し、R1000は、素子温度100℃および水素ガス濃度1000ppmにおける酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示す。なお、水素ガス濃度0ppmの状態から、水素ガス濃度1000ppmの状態とした時の応答速度の時定数、すなわち、R0からR1000までの抵抗値の変化量を100%とした場合にお
いて、抵抗値の変化量が63%に達するまでの時間は、35秒以内、好ましくは30秒以内であることが望ましい。
を示しており、本発明においては、上記のように0.9以下、好ましくは0.2〜0.9、特に好ましくは0.4〜0.85である。R1000/R0 が上記範囲にあることにより、素子温度が100℃といった低温においても、1000ppm程度の低濃度の水素ガスを高感度で検知することができる。
本発明の水素ガス検知素子における上記薄膜の主成分である酸化チタンは、n型半導体であり、このような酸化チタンを主成分とする薄膜を有する水素ガス検知素子が空気中に置かれると、上記薄膜表面に酸素が負電荷吸着する。そのため、薄膜表面の伝導帯の電子が減少し、薄膜表面の抵抗が高くなる。このような状態で水素ガスが薄膜に近づくと、薄膜表面に負電荷吸着していた酸素が水素と反応して離脱し、薄膜表面から酸素に捕捉されていた電子が開放されて伝導帯に戻るため、薄膜表面の抵抗が低くなる。
る。
置)を用いて、アルゴンガスと同時に酸素ガスを導入しながら金属チタンをスパッタして、基板上に酸化チタンを主成分とする薄膜を形成することが好ましい。
大幅に低減される。そのため、プラズマ発生部に基板を置いて酸化チタンを主成分とする薄膜を形成した場合と比較して、酸化チタンを主成分とする薄膜を良好に形成することができる。
図3に示すように、本発明に係る水素ガスセンサ20は、上記水素ガス検知素子10を有し、通常、周囲の風の流れや周囲の温度変化によって素子温度が変化することを避けるため、ケース21に収められている。ケース21には、測定するガスをケース内に導入するためのガス吸入口22を有し、この吸入口22には、通常、金網23などを設けて、ケース内に異物が侵入することを防止している。水素ガス検知素子の素子電極12には電極用リード線24が接続されてケースの外部に引き出されており、酸化チタンを主成分とする薄膜の抵抗値の信号を外部電子回路によって検出している。そして、水素ガスが検知素子に接触することにより抵抗値が変化し、外部電子回路によって水素ガス濃度に変換される。
(水素ガス検知方法)
本発明の水素ガスセンサを用いることにより、低い素子温度で、低濃度の水素ガスを感度よく検知することができる。上述したように、ガス吸入口から導入したガス中に含まれている水素ガスが水素ガス検知素子に接触すると、水素ガス検知素子の電気抵抗値が変化するため、この変化量に基づいて水素ガス濃度を算出することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されることはない。
<水素ガス検知素子の作製>
石英基板(25×25mm、板厚1mm)上に、図10に示すようなCM−GFS装置を用いた反応性スパッタ法により、基板上に酸化チタンを主成分とする薄膜(膜厚2000Å)を形成した。
上記のようにして得られた水素ガス検知素子の基板の裏面に板状ヒータを取り付け、ヒータにリード線を接続して、素子を加熱できるように外部電源に接続した。また、素子電極にもリード線を接続して、酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を測定できるようにした。このようにリード線などを接続した水素ガス検知素子をケース内に収めて、水素ガスセンサとした。
上記のようにして作製した水素ガスセンサを用いて、水素ガス検知素子を100℃に加熱して、水素ガス濃度が0ppmの時の酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値R0
と、水素ガス濃度が1,000ppmの時の酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値R1000を測定し、感度の指標となる電気抵抗値の比R1000/R0を求めた。なお、測定は
以下のようにして行った。
000ppmとなるように導入したところ、電気抵抗値R1000は4.0MΩで安定した。したがって、電気抵抗値の比R1000/R0は0.8であり、水素ガスセンサとして充分な
感度を有していることが確認された。その後、密閉容器内に再びエアーガスを導入してパージしたところ、電気抵抗値は初期状態(R0)に戻り、良好な応答性が確認された。電
気抵抗値の変化を表わすグラフを図11に示す。
密閉容器内に、紫外光源としてブラックライト(352nm、1.8W)を、水素ガス検知素子の酸化チタンを主成分とする薄膜表面に照射されるように取り付け、実施例1で作製した水素ガスセンサを設置した。実施例1と同様に素子温度を100℃に加熱して、水素ガス濃度が0ppmの時の酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値と、水素ガス濃度が10,000ppmの時の酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を、紫外光を照射しながら測定した場合と、紫外光を照射せずに測定した場合とで比較した(紫外光を照射していない時の電気抵抗値を、それぞれR0およびR10000とし、紫外光を照射した時の電気抵抗値を、それぞれR'0およびR'10000とする)。測定は以下のようにして行った。
た。次いで、水素ガスを密閉容器内に10,000ppmとなるように導入したところ、電気抵抗値R10000は2.2MΩで安定した。したがって、電気抵抗値の比R10000/R0
は0.44であった。電気抵抗値の変化を表わすグラフを図12に示す。
0000は2.05MΩで安定した。したがって、電気抵抗値の比R'10000/R'0は0.41であった。電気抵抗値の変化を表わすグラフを図13に示す。
11 基板
12 酸化チタンを主成分とする薄膜
13 電極
20 水素ガスセンサ
21 ケース
22 ガス吸入口
23 金網
24 電極リード線
25 ヒータリード線
26 ヒータ
27 環状ヒータ
28 紫外光源
29 紫外光源リード線
Claims (12)
- 基板上に、下記式(1)の特性を満たす酸化チタンを主成分とする薄膜を有し、
前記薄膜が、酸化チタンを主成分とする粒子径5〜500nmの粒子によって形成されており、かつ、
前記薄膜が、円筒型マグネトロン−ガスフロースパッタリング装置を用いた反応性スパッタ法により基板上に形成されたこと
を特徴とする水素ガス検知素子;
0.2 ≦ R1000/R0 ≦ 0.9 ・・・(1)
(式(1)中、R0は、素子温度100℃および水素ガス濃度0ppmにおける酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示し、R1000は、素子温度100℃および水素ガス濃度1000ppmにおける酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示す。)。 - R 0 からR 1000 までの抵抗値の変化量を100%とした場合において、抵抗値の変化量が63%に達するまでの時間が35秒以内であることを特徴とする請求項1に記載の水素ガス検知素子。
- 前記酸化チタンを主成分とする薄膜の内部もしくは表面に、白金またはパラジウムが0.01〜10重量%の量で均一に分布していることを特徴とする請求項1または2に記載の水素ガス検知素子。
- 前記酸化チタンを主成分とする薄膜が、円筒型マグネトロン−ガスフロースパッタリング装置を用いた反応性スパッタ法により基板上に形成された後、不活性ガス中において300〜600℃の温度で、0.5〜24時間アニール処理されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素ガス検知素子。
- 前記基板上または酸化チタンを主成分とする薄膜上に、耐熱性および耐食性を有する金属の膜からなる電極が形成されており、前記耐熱性および耐食性を有する金属が、金、白金またはパラジウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素ガス検知素子。
- 前記薄膜が、酸化チタンを主成分とする粒子によって形成された微細ネック構造によって構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水素ガス検知素子。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の水素ガス検知素子を有することを特徴とする水素ガスセンサ。
- 前記水素ガス検知素子の酸化チタンを主成分とする薄膜表面に紫外光を照射するための紫外光源を有することを特徴とする請求項7に記載の水素ガスセンサ。
- 請求項7または8に記載の水素ガスセンサを用いることを特徴とする水素ガスの検知方法。
- 請求項7に記載の水素ガスセンサを用いて、水素ガス検知素子を30〜150℃に加熱することを特徴とする水素ガスの検知方法。
- 請求項8に記載の水素ガスセンサを用いて、水素ガス検知素子の酸化チタンを主成分とする薄膜表面に紫外光を照射することを特徴とする水素ガスの検知方法。
- 円筒型マグネトロン−ガスフロースパッタリング装置を用いた反応性スパッタ法により、酸化チタンを主成分とする粒子径5〜500nmの粒子によって形成された下記式(1)の特性を満たす薄膜を基板上に形成することを特徴とする水素ガス検知素子の製造方法;
0.2 ≦ R 1000 /R 0 ≦ 0.9 ・・・(1)
(式(1)中、R 0 は、素子温度100℃および水素ガス濃度0ppmにおける酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示し、R 1000 は、素子温度100℃および水素ガス濃度1000ppmにおける酸化チタンを主成分とする薄膜の電気抵抗値を示す。)。
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