JP4043148B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光層として酸化亜鉛薄膜を用いた電子写真感光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛は樹脂結着剤との分散系の塗工法により普通紙電子写真感光体やエレクトロファックス紙等の安価で、かつ、無毒な電子写真感光体用光導電体として、かつては広く用いられた。しかしながら、該電子写真感光体は本質的に酸化亜鉛と樹脂からなる2元系物質であるためプロセス中の劣化が激しく、また環境雰囲気に影響されるという欠点があった。しかし、酸化亜鉛は優れた光導電体であり、酸化亜鉛を単独で薄膜化させることにより上記の欠点を補った薄膜型感光体として応用できる可能性がある。
酸化亜鉛は導電性支持体に対して結晶のC軸が平行な配向性を増すことにより光感度を増加させ帯電性を減少させることができる。また、導電性支持体に対して結晶のC軸が垂直な配向性を増すことにより光感度を減少させ帯電性を増加させることができる。このことを利用して電子写真感光体に求められる機能を分離し、積層した構造の電子写真感光体とすることができる。すなわち特開昭59−194479号公報および特開昭60−111253号公報には、スパッタリング法により酸化亜鉛薄膜を作製し電子写真特性が得られたことが記載されている。
しかしながら、これらはアルゴンと酸素による成膜では十分な光感度を得ることができないとして、酸素ガスと水素または水素化物ガスによって結晶配向性をコントロールしている。しかし、製造上、可燃性ガスと不燃性ガスを導入することは、これらのガスを爆発限界にコントロールする必要があり、取り扱いに注意しなければならない問題がある。また、これらにはどの程度結晶の配向性を制御すれば良いか規定されていなかった。
【0003】
一方、 酸化亜鉛薄膜は波長380nmを中心とした短波長側に光感度を有している。従来、長波長側に感度を持たせる場合、物理増感、化学増感、色素増感などを施して長波長側に分光感度を持たせることが行われてきた。中でも特開昭59−136741号公報に示すように電荷発生層に優れた光導電材料であるアモルファスシリコンを用いたアモルファスシリコン/酸化亜鉛積層構造の電子写真感光体が得られている。
しかし、この電子写真感光体に使われている酸化亜鉛は帯電性を得るため基板に対してC軸が垂直に配向している。そのため十分な感度が得られていない。
酸化亜鉛薄膜の作製方法としてはスパッタリング法以外にAppl.Phys.Lett.,68,2439に記載されているような水溶液電解法よる作製方法がある。この方法は、溶液の硝酸亜鉛の濃度と印加する電位によって析出速度、結晶配向性が制御できる注目すべき方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は酸化亜鉛薄膜からなる電子写真感光体において、上記特開昭59−194479号公報や特開昭60−111253号公報により得られる感光体のように、形成するとき爆発限界で処理する必要がなく、また、結晶の配向性を明瞭にして十分な感度と帯電特性を得ること、さらにまた、アモルファスシリコン/酸化亜鉛積層型の電子写真感光体において、特開昭59−136741号公報に記載されている感光体のように帯電性のみに偏らず感度にも十分に配慮された酸化亜鉛薄膜を有する電子写真感光体を得ること、そしてこれらにより、耐久性があり、かつ公害および衛生問題のない電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、導電性支持体上に感光層を有し、該感光層が酸化亜鉛薄膜からなり、該酸化亜鉛薄膜の結晶面に対応するX線回折強度のピークが(100)面/(002)面の比で1から400までの範囲で配向している電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、前記電子写真感光体を構成する酸化亜鉛薄膜を、亜鉛を含む溶液をスプレー熱分解することにより形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。第二に、上記第に記載した電子写真感光体の製造方法において、Cu、Li、Mnのいずれかを添加して形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
上述のように、本発明は導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が酸化亜鉛薄膜からなり、かつ、該酸化亜鉛薄膜は結晶のC軸が前記導電性支持体に対して垂直または平行な配向性を有し、また該酸化亜鉛薄膜の酸素に対する過剰亜鉛が20%以下であるとするものであり、このような構成によれば光導電体として機能する酸化亜鉛薄膜を感光層とする単層感光層の電子写真感光体を得ることができる。さらにまた上記酸化亜鉛薄膜の結晶面に対応するX線回折強度のピークを(100)面/(002)面の比で1から400までの範囲で配向させることにより、帯電性および電荷注入阻止性が高く、かつ、キャリアの移動も速い酸化亜鉛薄膜が得られ、この薄膜を感光層とする単層感光層の電子写真感光体を得ることができる。
本発明は、また上記電子写真感光体の製造方法として、該酸化亜鉛薄膜を従来困難とされてきたスパッタリング法を用いて、酸素とアルゴンの流量比により結晶配向性を制御して形成するものであり、この方法によれば高抵抗、かつ、光照射に伴う光感度の高い感光層を再現性よく作製できること、また、本発明は該酸化亜鉛薄膜を硝酸亜鉛など亜鉛を含む溶液の水溶液電解法によって、さらにまた硝酸亜鉛など亜鉛を含む溶液のスプレー熱分解法により製造するものであり、これらの方法によれば帯電性および光感度の良好な酸化亜鉛薄膜を上記スパッタリング法と比べて安価に製造することができる。
【0007】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
参考例1〕
温度および湿度が一定に制御され、かつ、十分に清浄化された部屋に設置された、図4に示す一般的なスパッタリング装置を用いて本発明の電子写真感光体を作製した。まず、表面が清浄化された導電性支持体を基板10として、スパッタリング蒸着槽11内に加熱ヒーター12と熱電対を内蔵した基板ホルダー13上に固定する。基板10と対向した電極上には酸化亜鉛ターゲットを基板10と平行に設置する。基板10と酸化亜鉛ターゲット14の間には高周波電源15によって高周波が印加されるようになっている。また、蒸着槽11はボンベ16、17が各々流量調整バルブ18、19、フローメーター20、21、ニードルバルブ22、23、24を介して接続され、ボンベ16、17より必要に応じて蒸着槽11内にガスが導入される。本発明において使用される導電性支持体(基板10)は少なくとも表面が導電処理されていればよい。導電処理する際に使用する材料としては、例えば、ステンレス、Al、Cr、Ni、Cu、Zn、Mo、Ag、In、Sn、Pb、Pd、Pt等の金属またはこれらの合金であってもよい。また、ガラスやセラミックス等の絶縁物の表面上にInO2、SnO2、ITO、Al、Ag、Au等の合金あるいは金属をコートした透明もしくは不透明の導電性支持体を用いてもよい。さらに、場合によっては耐熱性を有するポリイミドフィルム等の合成樹脂フィルムの表面に上記導電処理を行い、これを基板とすることもできる。図4の装置を用いて基板10上に感光層を作製するには、まず、蒸着槽11内を適当な排気装置を用いてメインバルブ25を開いて10-5Pa程度まで真空にし、併せてガス導入系も十分に制御することが必要である。次に基板ホルダーの加熱ヒーター12に通電する。基板10の加熱温度は通常50〜400℃であるが、100〜300℃が好ましい。この基板温度は酸化亜鉛感光層の物性を決定する要素であるので十分に制御することが必要である。
【0008】
次に基板10が所定の温度に加熱されたことを検知した後、メインバルブ25、ニードルバルブ24、22、23を全開にする。次いでメインバルブ25を調整しながらボンベ16より酸素ガスを蒸着槽11内に所定の真空度まで導入し、その真空度を保つ。続いてボンベ17よりアルゴンガスを蒸着槽11内に所定の真空度まで導入し、その真空度を保つ。この場合の酸素ガスおよびアルゴンガスの蒸着槽11内への流量は所望する物性の酸化亜鉛感光体が形成されるように適宜決定される。本参考例において蒸着槽11内のアルゴンと酸素の混合ガスの圧力は真空度で10-1〜102Paであった。アルゴンガスはヘリウムガスなどに変えることもできる。蒸着槽11内にボンベ16、17より所定の真空度になるまでアルゴンガスおよび酸素ガスが導入された後、高周波電源15より所定の周波数および電圧で基板10と酸化亜鉛ターゲット間に高周波を印加して放電させ、生じたアルゴン/酸素イオンで酸化亜鉛ターゲットをスパッタリングし基板10に酸化亜鉛薄膜を形成させる。以下に示す条件下で酸化亜鉛薄膜からなる電子写真感光体を作製した。
ターゲット:加圧成型された焼結酸化亜鉛ターゲット
導入ガス:高純度酸素ガス、高純度アルゴンガス
反応室の圧力:5.0×10-1Pa
全流量:10SCCM
高周波電力密度:1.5W/cm2
基板温度:200℃
膜厚:8μm
酸化亜鉛の配向性を制御するには、酸素とアルゴンの流量比を変化させて行った。また、結晶配向性はX線回折法を用い、場合により電子顕微鏡を用いて評価した。酸化亜鉛の結晶構造は図6に示すような六方格子の結晶構造であり、上記評価によると本発明で作製した酸化亜鉛膜は図6に示すような結晶の集合体である多結晶膜であった。さらに、X線回折ピークは鋭く、この多結晶膜は緻密で配向性の良い膜であった。図6に示すように六方格子の面指数は(hkil)で示してあるが、簡易的に(hkl)と表わすことができ、本文では(hkl)で示してある。例を挙げると(0001)は(001)、(1010)は(100)となり、さらに(100)、(200)、(400)面の関係は結晶学的に等価である。
【0009】
図7に模式的に示した酸化亜鉛の結晶の向きとそのX線回折の実験データ例を示す。図7に示すようにX線回折法において、酸化亜鉛の(002)面または(004)面に対するピーク強度の大きさは、支持体に対してC軸が垂直に配向している程度を表わしている。また、(400)、(110)、(101)面等に対応するピークの大きさは、支持体に対しC軸が平行に配向している程度を表わしている。
このX線回折法で得られた実験結果をもとに結晶配向性を示す指標として、(100)面/(002)面比(結晶配向度)を以後用いる。この値が0であれば支持体に対してC軸が垂直の配向を示し、無限大に近づけば近づくほど支持体に対してC軸が平行の配向を示す。
本発明で得られたアルゴン/酸素流量比による結晶配向性の測定結果を図1に示す。使用するスパッタガスについては、酸素のみの場合、アルゴン/酸素流量比を変化させた場合、アルゴンのみの場合と、夫々流量比を変化させ成膜した。結晶配向性は、酸素のみのとき、基板に対してC軸が垂直の配向性を示した。アルゴン流量比の増加に従いC軸が垂直に優性配向した状態から、C軸が平行に優性配向している極大値をもち、アルゴンのみになるとC軸が垂直の配向が優性となる。また、成膜時の電力を2W/cm2と条件を変えて、酸化亜鉛薄膜を作製すると結晶配向性度の極大値の位置が、アルゴン/酸素流量比のアルゴン量が小さい方に移動し幅が大きくなるが、十分に制御することが可能であった。従って図1に示したようにアルゴン/酸素流量比で酸化亜鉛の結晶配向性を制御することができる。
【0010】
次に、結晶配向性を変化させた酸化亜鉛膜の帯電電位と光感度を測定した。帯電は−6KVのコロナチャージャーによって行ない、電位は表面電位計にて測定した。また、光感度は波長400nm、10μW/cm2の光を照射し、電位の減衰dV/dtを測定した。図示しなかったが分光感度は波長380nmをピークとする一般的な酸化亜鉛の分光感度を示した。成膜時の電力を1.5W/cm2で作製した酸化亜鉛膜の1μm当たりの帯電電位および光感度と結晶配向度の関係を図2に示す。横軸はガス流量、左側の縦軸は1μm当たりの帯電電位と光感度、右側の縦軸を結晶配向度とした。本出願人は先に特願平11−029218号において、電荷発生層、電荷輸送層、ブロッキング層のそれぞれ最適な配向度を規定した機能分離型電子写真感光体を提供したが、さらに検討を続けた結果、電荷保持性(帯電性)と光感度の両方の特性を持つ、感光体として単層でも使用することができる結晶配向度の領域を見出した。検討の結果、アルゴン/酸素流量比によって結晶配向度が1以下のときは、帯電性は大きいが光感度が小さい、あるいは帯電性も光感度も小さい特性で、単層として使用するには適していないことが分かった。とりわけ、アルゴンのみによる成膜では上記特開昭59−194479号公報にも記載されているように酸素に対して亜鉛の化学量論組成比がかなり過剰な膜であり、光導電体として機能しない。本参考例においても同様で、図2のごとくアルゴンのみによる成膜では帯電電位および光感度ともにほとんど認めることはできなかった。上記のごとく酸化亜鉛薄膜中の亜鉛/酸素比が帯電性や光感度に与える影響が大きいと考えられるので、X線光電子分光法(XPS)によって酸化亜鉛膜中の酸素/亜鉛比の測定を行った。XPSから比較的簡単な構造の酸化物の場合、化学シフトの値からも定量化が可能であるが、亜鉛と酸素のピーク位置が離れていてピーク分離が容易であることから、ピーク分離後、ピーク面積から求めた値を相対比較することにした。
【0011】
酸化亜鉛膜をX線光電子分光法の装置の中にセットし、表面に不純物が付着、吸着しているのでイオンエッチングしてから分析を行った。その際、イオンエッチングによる深さ方向のXPSスペクトルの変化を観察してピークプロファイルが安定になるところまでイオンエッチングを行うことにした。XPSによる測定結果から、酸素は1sのピークを、亜鉛はLMNのピークに着目し、それぞれエネルギーのピーク面積で酸素/亜鉛比を検討した。その結果を図8に示す。
図8により、酸素/アルゴン流量比のアルゴン流量比を増加させると、膜中の酸素/亜鉛比は減少し、亜鉛が増加していることが確認された。少なくとも酸素のみの成膜条件が一番酸素欠損が少ないと考えられ、酸素のみでスパッタリングしたときの酸化亜鉛膜中の酸素/亜鉛比で規格化すると、アルゴンのみの成膜ではおよそ20%ほど亜鉛が過剰な膜となっていた。従って、感光体として酸化亜鉛膜を使用する際には、少なくとも酸素/亜鉛比において過剰亜鉛が20%以下である必要がある。
また、アルゴン/酸素流量比によって結晶配向度が100を越えると帯電電位、光感度共に減少し始める。これは基板に対して酸化亜鉛の結晶面が、C軸が平行な配向が優性になりキャリアのモビリティが増加したためである。結晶配向度が400以上のときは、さらに帯電電位が減少し、それにより見かけ上、光感度も低下するため、単層として使用するには適していない。単層として電荷保持性と光感度の両方を持ちうる条件は、アルゴン/酸素流量比によって結晶配向度が1を越え400までの範囲であり、その条件で使用すると、帯電電位は1μm当たり5V〜60V程度、光感度は5V/sec〜30V/sec程度と良好な特性を示した。また、結晶配向度が100を越えると帯電電位、光感度ともに減少し始めるので、好ましくは結晶配向度が1から100までの範囲で使用することが望ましい。
【0012】
成膜時の電力条件を変えて、例えば2.0W/cm2で成膜した場合においても酸素と亜鉛の比の亜鉛過剰が20%以下であれば、上記の結晶配向度と帯電性、光感度の関係は保たれる。酸素と亜鉛の比の亜鉛過剰が20%以下のとき、異なる電力条件下での結晶配向度と帯電電位および光感度の関係を同じ図3に示す。帯電電位は結晶配向度の増加とともにC軸が垂直な配向からC軸が平行な配向へシフトしてくるのでキャリアの移動が容易になるため減少する。一方、光感度は結晶配向度が小さいときは酸化亜鉛の結晶面がC軸が垂直な配向のためキャリアの移動が容易でないために小さい。結晶配向度の増加とともに、C軸が垂直な配向から徐々にC軸が平行な配向へシフトしてくるのでキャリアが移動し易くなり、光感度は増加する。さらに100を越えるとC軸が平行な配向が優性になり、電荷を保持することができなくなってくるため、結果として光感度は減少してくる。400を越えると光感度はもっと低下する。従って電荷保持性と光感度の両方を持ち得る条件は、やはり結晶配向度が1を越え400までの範囲、好ましくは1から100までの範囲となる。
結晶配向度が20になるようアルゴン/酸素流量比を制御し、流量比を7:3の成膜条件において、10μm厚の配向性酸化亜鉛膜を導電性支持体であるAl上に作製し電子写真特性を測定した。帯電電位は374Vが得られ、その1秒後の帯電保持率はおよそ80%以上であった。そこに波長400nm、10μW/cm2の光を照射したところ、帯電電位は0.5sec以下で半減し、光感度は300V/secであった。このことにより該配向性酸化亜鉛薄膜は優れた単層の電子写真感光体として使用できることが明らかである。また、この単層配向性酸化亜鉛薄膜感光体により得られた画像は、解像度の極めて高い鮮明なものであった。さらに、Cu、Li、Mnのいずれかを添加したものは良好な光感度を得ることができた。このときも成膜時の電力条件を変えて酸化亜鉛薄膜を作製すると結晶配向度の極大値は変化するが、前述の結晶配向度と電子写真特性の関係には変化はなかった。
【0013】
参考例2〕
図5に酸化亜鉛薄膜を水溶液電解により作製する装置を示す。電解液の容器31はその外側に任意の温度制御用液体32(例えば水)を流すことで温度計33により50℃前後に制御した。電解液には硝酸亜鉛を用い、0.5mol/L以下の濃度で攪拌器34によって一様に攪拌され、濃度制御器35によって液組成後pHを常に一定に制御した。電圧計38、電流計39でモニターしながら直流電源40により電圧を印加し可変抵抗41で任意の電圧、電流を制御した。酸化亜鉛薄膜は導電性支持体36上に陰極析出によって成膜された。陽極37には亜鉛板を用いた。このようにして硝酸亜鉛溶液中に陰極に流れる電流、電位によって結晶配向性を制御して作製した酸化亜鉛薄膜は、参考例1の装置を用いて作製した膜と同等の帯電/光感度特性を示した。本参考例では硝酸亜鉛を用いたがこれに限ったものではなく、亜鉛を含む溶液を使用して酸化亜鉛薄膜を作製することができる。さらにCu、Li、Mnのいずれかを含んだ溶液を添加することによって参考例1のように良好な光感度を得ることができた。このように水溶液電解法により、スパッタリング法と比較して成膜装置が簡単で安価に電子写真感光体を製造することができた。
【0014】
〔実施例
参考例2と同じ溶液を使用し、スプレー熱分解法により酸化亜鉛薄膜を作製した。溶液の硝酸亜鉛の濃度とスプレーの流速、基板温度によって析出速度、結晶配向性が制御できることから、上記第一の電子写真感光体で規定した結晶配向性を得ることができた。作製方法は、まず、洗浄した導電性支持体、例えばアルミニウム基板をスプレー熱分解法の成膜装置の基板ホルダーに支持した。使用した溶液は硝酸亜鉛水溶液(亜鉛濃度)=0.5mol%を2流体式スプレーガンにより吐出量を15ml/min程度に設定した。酸素ガス流量を500SCCMとし、酸素雰囲気中で基板加熱を行ない、基板温度の設定を400℃とし、基板温度が安定した状態で、前述の溶液を用いてスプレー熱分解法により酸化亜鉛薄膜を形成した。ただし、スプレーによる基板温度の低下を防止するためにスプレーは間欠的に行った。このようにして溶液の硝酸亜鉛の温度とスプレーの速度、基板温度によって結晶配向性を制御して作製した酸化亜鉛薄膜は参考例1の装置を用いて作製した膜と同等の帯電/光感度特性を示した。本実施例では硝酸亜鉛を用いたが、これに限ったものではなく、亜鉛を含む溶液を使用して酸化亜鉛薄膜を作製することができる。さらにCu、Li、Mnのいずれかを含んだ溶液を添加することによって参考例1のように良好な光感度を得ることができた。このようにスプレー熱分解法により、スパッタリング法と比較して成膜装置が簡単で安価に電子写真感光体を製造することができた。
【0016】
【発明の効果】
以上のように請求項1の電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上に感光層を有し、前記感光層が酸化亜鉛薄膜からなり、該酸化亜鉛薄膜の結晶面に対応するX線回折強度のピークが(100)面/(002)面の比で1から400までの範囲で配向している電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、前記電子写真感光体を構成する酸化亜鉛薄膜を、硝酸亜鉛など亜鉛を含む溶液をスプレー熱分解することにより形成するもので、この方法によれば上記水溶液電解により形成した膜と同様、帯電性および光感度の良好な電子写真感光体をスパッタリング法より低コストで作製することができる。請求項の電子写真感光体の製造方法は、上記請求項記載の電子写真感光体の製造方法において、Cu、Li、Mnのいずれかを添加して行うもので、これによればさらに光感度の良好な電子写真感光体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタリングによる酸素/アルゴン流量比と形成される酸化亜鉛薄膜の結晶配向性との関係を示すグラフ図。
【図2】スパッタリングによる酸素/アルゴン流量比と形成される酸化亜鉛薄膜の帯電電位および光感度との関係を示すグラフ図。
【図3】帯電電位および光感度の結晶配向度依存性を示すグラフ図。
【図4】スパッタリング装置の一例を示す説明図。
【図5】水溶液電解装置の一例を示す説明図。
【図6】酸化亜鉛の結晶構造を示す図。
【図7】(a)、(b)はそれぞれ酸化亜鉛の結晶の向きを示し、(a′)、(b′)はそのX線回折の実験データ例を示す図。
【図8】酸化亜鉛膜の酸素/亜鉛比の作製条件依存性を示すグラフ図。
【符号の説明】
10 基板、11 蒸着槽、12 加熱ヒータ、13 基板ホルダー、14 ターゲット、15 高周波電源、16、17 ボンベ、18、19 流量調整バルブ、21 フローメータ、23、24 ニードルバルブ、25 メインバルブ、31 電解液の容器、32 温度制御用液体、33 温度計、34 撹伴器、35 濃度制御器

Claims (2)

  1. 導電性支持体上に感光層を有し、前記感光層が酸化亜鉛薄膜からなり、該酸化亜鉛薄膜の結晶面に対応するX線回折強度のピークが(100)面/(002)面の比で1から400までの範囲で配向している電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、前記電子写真感光体を構成する酸化亜鉛薄膜を、亜鉛を含む溶液をスプレー熱分解することにより形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 請求項1記載の電子写真感光体の製造方法において、Cu、Li、Mnのいずれかを添加して形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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