JP4601880B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法と、この方法により得た共重合体のけん化物およびこれを含む成形物 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法と、この方法により得た共重合体のけん化物およびこれを含む成形物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融押出安定性、溶融成形性に優れ、着色やゲルの少ないエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)を与える、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、EVOHはエチレンと酢酸ビニルとを重合開始剤を用いて共重合してEVAとし、これをけん化することにより工業的に製造されている。しかしながら、従来の方法では、EVOHを溶融押出する際に押出機の負荷変動が生じ易く、溶融押出安定性が必ずしも充分ではない。また、EVOHを溶融押出する際にドローダウン、ネックイン変動等が生じ易く、溶融成形性においても必ずしも充分ではない。更に従来の方法では、成形したEVOHに着色やゲルが発生し易い。
【0003】
これらの課題を解決するために、例えば特開昭49−134763号公報、特開昭62−143954号公報、特開平1−135852号公報等において種々の方法が提案されている。しかし、近年の成形材料等において要求される性能水準を鑑みると更なる改善が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、特定のEVAをけん化して得られるEVOHにおいて、▲1▼溶融押出安定性を改善すること、▲2▼溶融成形性を改善すること、▲3▼着色の発生を低減すること、▲4▼ゲルの発生を低減すること、にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレンと酢酸ビニルとを重合開始剤を用いて共重合し、エチレン含有率5〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を製造するにあたり、炭素数4以下の脂肪族アルコールを重合溶媒として用い、原料の酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液における、酢酸ビニルに対するアセトアルデヒドの含有率を200ppm以下とし、酢酸ビニル中の飽和酢酸エステルの含有率を10〜1500ppmとし、且つ温度30〜150℃で重合することを特徴とする。
【0006】
本発明は、上記製造方法により得られたEVAを、けん化して得られるEVOHをも包含する。また、本発明は、このEVOHを含む成形物をも包含する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい形態を説明する。
本発明においては、EVAのエチレン含有率は5〜60モル%である。好ましいEVAのエチレン含有率は7モル%以上、更に10モル%以上、特に20モル%以上である。また、好ましくは58モル%以下、より好ましくは55モル%以下、更に好ましくは53モル%以下である。エチレン含有率が5モル%を下回ると、けん化後得られるEVOHの着色及びゲルの低減効果が少なくなり、エチレン含有率が60モル%を上回ると、けん化後得られるEVOHの溶融成形性が劣る。
【0008】
本発明においては、炭素数4以下の脂肪族アルコールを重合溶媒として用いる。炭素数5以上の脂肪族アルコール又は芳香族アルコール等を用いたのでは、発明の効果が充分に得られない。炭素数4以下の脂肪族アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられ、発明の効果を充分得るためには、炭素数3以下の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数1の脂肪族アルコール、即ちメタノールがより好ましい。
【0009】
本発明においては、原料の酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液において、酢酸ビニルに対するアセトアルデヒドの含有率を200ppm以下にする。アセトアルデヒドは、酢酸ビニルを供給する際に不純物として導入される。このため、原料の酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液におけるアセトアルデヒドの含有率を酢酸ビニルに対して200ppm以下とする。アセトアルデヒドの含有率は、好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。酢酸ビニルに対するアセトアルデヒドの含有率が200ppmを上回ると、得られるEVOHの溶融押出安定性及び溶融成形性が悪化し、またEVOHを成形物とした場合に着色及びゲルが顕在化する。なお、上記原料として、酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液を用いる場合、炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液としては、重合溶媒と同種のアルコール溶液、特にメタノール溶液が好ましい。
【0010】
アセトアルデヒドに基づく悪影響の原因については、必ずしも明らかではない。現時点では、アセトアルデヒドは重合中に連鎖移動剤として作用し、共重合により得られるEVAの重合度、重合度分布、分岐等に影響を及ぼし、その結果、EVOHの溶融押出安定性及び溶融成形性に悪影響が及んでいると考えられる。着色やゲルについては、アセトアルデヒドがエチレンと酢酸ビニルの重合中等において縮合し、着色やゲルを生起し易い縮合物に変化し、その後の重合体の精製工程においても当該縮合物を除去できないことに一因があると考えられる。
【0011】
精密蒸留、イオン交換樹脂の使用等、通常採用される方法によって、酢酸ビニル中に不純物として存在するアセトアルデヒドの含有率を低減せしめてエチレンと酢酸ビニルとを重合したところ、かなり良好な効果が得られることが判明した。しかし、それだけでは必ずしも充分ではなかった。本発明者は更に検討し、従来の重合系が本質的にアセトアルデヒドを生成し易い系であることを見出した。
【0012】
酢酸ビニルは、重合溶媒として用いられる低級脂肪族アルコールとエステル交換反応を起こし、下記(1)式のようにアセトアルデヒドと酢酸エステルを生成するものと考えられる。
【0013】
【化1】
Figure 0004601880
【0014】
ただし、Rは低級アルキル基を表わす。
即ち、重合前の酢酸ビニル中のアセトアルデヒドを低減しても、酢酸ビニルと低級脂肪族アルコールの系においては、ある程度の熱が加わると、かかるエステル交換反応によって新たにアセトアルデヒドが発生するものと推定される。この反応は平衡反応であるから、酢酸エステルの添加又は低級脂肪族アルコールの除去によりアセトアルデヒドの発生をある程度防止する効果が得られる。
本発明者は両者を検討し、後者においてはむしろゲルや着色が増え易く、適当でないこと、前者においては特定の条件が好ましいこと、を見出した。
【0015】
本発明においては、飽和酢酸エステルを用いることとした。飽和酢酸エステルとは、酢酸と飽和脂肪族アルコールとからなるエステルをいう。飽和酢酸エステル以外のエステル、例えば酢酸不飽和エステルや酢酸以外の酸のエステル等を用いたのでは、発明の効果が充分奏せられず、むしろ重合に悪影響を及ぼす場合がある。飽和酢酸エステルの好ましい例としては、酢酸と炭素数4以下の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられ、より好ましい例としては酢酸メチルおよび酢酸エチルが挙げられる。更に好ましい実施態様は、重合溶媒のアルコールに対応する飽和酢酸エステルを選択することである。例えば重合溶媒にメタノールを用いた場合には、飽和酢酸エステルとしては酢酸メチルの使用が推奨される。同様に、重合溶媒にエタノールを用いた場合には、飽和酢酸エステルとしては酢酸エチルの使用が推奨される。この例示のように、重合溶媒がメタノール及び/又はエタノールを含み、飽和酢酸エステルが重合溶媒に用いたアルコールの酢酸エステル、具体的には酢酸メチル及び/又は酢酸エチル、を含む組み合わせが好ましい。この飽和酢酸エステルは、酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液とともに重合槽に導入する。
【0016】
本発明においては、原料の酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液において、酢酸ビニルに対する飽和酢酸エステルの含有率を10〜1500ppmとする。飽和酢酸エステルの含有率は、好ましくは1300ppm以下、より好ましくは1200ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下であり、また、好ましくは30ppm以上、より好ましくは50ppm以上、更に好ましくは100ppm以上である。本発明においては、複数の飽和酢酸エステルを混合して用いることもできる。この場合において、飽和酢酸エステルの含有率とは、各々の飽和酢酸エステルの含有率の合計量をいう。
【0017】
アセトアルデヒドの発生を押えるという観点からは、(1)式で示される平衡反応を踏まえると、飽和酢酸エステルの含有率は可及的に多い方が好ましい。しかし、現実には酢酸ビニルに対する飽和酢酸エステルの含有率が1500ppmを上回ると、EVOHの溶融成形性が悪化するという新たな問題を生ずる。飽和酢酸エステルの含有率が10ppmを下回ると、EVOHの溶融押出安定性及び溶融成形性の改善効果が低減し、また着色及びゲルの発生を抑える効果も少なくなる。
【0018】
本発明においては、充分な効果を奏するという観点から、酢酸ビニルに対する飽和酢酸エステルの含有率をE(ppm)とし、酢酸ビニルに対するアセトアルデヒドの含有率をA(ppm)とするとき、E>Aとすることが好ましく、E>3Aとすることがより好ましく、E>5Aとすることが更に好ましく、E>10Aとすることが最も好ましい。予め、これらの関連を満たすように調製した酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液を用いるとよい。
【0019】
本発明においては、温度30〜150℃で重合する。重合温度は、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは45℃以上である。また、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは95℃以下である。重合温度が150℃を上回ると、発明の効果が低減し、また重合温度が30℃を下回ると、溶融押出安定性、及び生産性等が低下し、且つゲルが発生し易くなる。
【0020】
本発明においては、エチレン、酢酸ビニル、重合開始剤及び重合溶媒を連続的に重合槽に導入し、EVAを連続して重合槽から導出することが好ましく、以下の各工程(A)〜(C)を含むことがより好ましい。
(A)酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液を、冷却手段を設けた熱交換器に導入し、重合槽から導出されるエチレンを上記熱交換器に導入し、上記熱交換器内で上記エチレンの少なくとも一部を上記酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液に吸収させる工程、
(B)エチレンを吸収した酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液を、重合槽に導入して重合溶液と混合する工程、及び
(C)重合槽内において、重合溶液におけるエチレンの溶解度を超えて存在するエチレンを気化させて熱交換器へと導出する工程
【0021】
かかる工程は、例えば特開昭60−53513号公報に記載されている方法を参照して実施できる。(A)〜(C)の各工程を含む方法とすると、エチレンの気化に伴い、重合槽で発生する熱(重合熱)が効果的に除去されるため、重合槽中の部分的な温度上昇が抑制される。(1)式の反応は、重合温度付近では高温になるほど進行し易い。このため、重合槽内の部分的な温度上昇の防止により、アセトアルデヒドを発生する反応が抑制される。その結果、溶融成形性及び溶融押出安定性がより改善され、また着色及びゲルもより低減する。
【0022】
かかる連続的製造方法においては、酢酸ビニルの全量を熱交換器を通して重合槽へ導入することが好ましいが、重合熱の発生量に応じて、酢酸ビニルの一部を熱交換器を通過させ、残部を直接重合槽へ導入してもよい。
【0023】
本発明においては、上記の連続的重合方法において、重合槽に導入されるエチレンを吸収した酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液の温度をT1(℃)、重合槽内の重合溶液温度をT2(℃)とすると、T1<T2の関係を満足することが好ましい。T1<T2−10の関係を満足することがより好ましく、−15≦T1<T2−20の関係を満足することが更に好ましい。
【0024】
酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液を、冷却手段を設けた濡壁多管式熱交換器内を薄膜状に通過させると、エチレンの吸収効率を高めることができる。熱交換器内における、酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液とエチレンとの接触方法としては、向流接触方法及び並流接触方法のいずれを採用してもよいが、発明の効果を充分得するためには向流接触方法が好ましい。
【0025】
重合開始剤は、ジアシルパーオキサイド系開始剤、バレロニトリル系開始剤及びパーオキシジカーボネート系開始剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの重合開始剤を用いることにより、溶融押出安定性及び溶融成形性をより改善できる。また着色及びゲルの発生をより低減できる。
【0026】
ジアシルパーオキサイド系重合開始剤の例としては、アセチルパーオキサイド、ジプロピルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられ、バレロニトリル系重合開始剤の例としては、2,2′−アゾビス(2,4,4′−トリメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−エトキシ−2,4−ジエチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4,4′−ジエトキシ−2−メチルバレロニトリル)等が挙げられ、パーオキシジカーボネート系重合開始剤の例としては、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、アセチルパーオキサイド、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネートが、発明の効果を充分得る上で好ましく、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)がより好ましい。
【0027】
本発明においては、EVAの重合後の溶液に、分子量1000以下の共役二重結合を有する化合物を添加することにより、発明の効果が一層顕著となる。具体的には、特開昭61−197603号公報、特開昭61−197604号公報、特開平9−71620号公報等に記載された少なくとも2つの炭素−炭素二重結合が1つの炭素−炭素単結合を介して繋がっている構造を有する化合物を用いればよい。この化合物の例には、2つの炭素−炭素二重結合と1つの炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役ジエン、3つの炭素−炭素二重結合と2つの炭素−炭素単結合とが交互に繋がってなる構造である共役トリエン、それ以上の数の炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役ポリエン化合物が含まれる。したがって、2,4,6−オクタトリエンのような共役トリエン化合物も共役二重結合を有する化合物に含まれる。また、共役二重結合が1分子中に独立して複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエンが同一分子内に3つある化合物も、本発明でいう共役二重結合を有する化合物に含まれる。
【0028】
共役二重結合を有する化合物は、他の官能基、例えばカルボキシル基及びその塩、水酸基、エステル基、カルボニル基、エーテル基、アミノ基、イミノ基、アミド基、シアノ基、ジアゾ基、ニトロ基、スルホン基、スルホキシド基、スルフィド基、チオール基、スルホン酸基及びその塩、リン酸基及びその塩、フェニル基、ハロゲン原子、二重結合、三重結合等の各種の官能基を有していてもよい。かかる官能基は、共役二重結合中の炭素原子に直接結合されていてもよいし、共役二重結合から離れた位置に結合されていてもよい。従って、官能基中の多重結合が前記共役二重結合と共役可能な位置にあってもよい。例えば、フェニル基を有する1−フェニル−1,3−ブタジエン、カルボキシル基を有するソルビン酸、オレフィン性二重結合を有するミルセン等も、本発明でいう共役二重結合を有する化合物に含まれる。更に、本発明でいう共役二重結合は、上記のような脂肪族同士の共役二重結合のみならず、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1,3−ジフェニル−1−ブテンのような脂肪族と芳香族との共役二重結合を含む。
【0029】
これらの中でも、発明の効果を充分得る上で、脂肪族同士の共役二重結合を有する化合物、又は、カルボキシル基及びその塩、水酸基等の極性基を有し、且つ共役二重結合を有する化合物が好ましく、極性基を有し、且つ脂肪族同士の共役二重結合を有する化合物がより好ましい。
【0030】
共役二重結合を有する化合物は、その分子量が1000以下であることが好ましい。分子量が1000を超えると、溶融押出安定性、ゲルの発生防止等の点で充分な効果が得られない。
【0031】
共役二重結合を有する化合物は、重合により得られたEVAのけん化後のEVOHに対して、0.1〜3000ppmの範囲内になるように添加することが好ましい。より好ましくは1ppm以上であり、更に好ましくは3ppm以上であり、最も好ましくは5ppm以上である。また、より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1500ppm以下であり、最も好ましくは1000ppm以下である。共役二重結合を有する化合物は、2種類以上を混合して使用してもよい。この場合において、化合物の添加量とは、各々の合計量をいう。
【0032】
共役二重結合を有する化合物は、EVAを重合した後で、且つ当該EVA重合溶液から酢酸ビニルを除去する工程に至る前に添加することが、発明の効果を充分得るという観点から好ましい。この化合物はEVAの変質を防止するための、一種の安定化剤として機能していると考えられる。
【0033】
本発明においては、EVAの重合時に他の重合性単量体を同時に導入して共重合することもできる。共重合に用いられる重合性単量体の例としては、プロピレン、n−ブテン、i−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン等のオレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分又は完全エステル化物、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等を挙げることができる。これらの重合性単量体の添加量は、発明の上記目的が阻害されない範囲内であることが好ましい。
【0034】
本発明によって得られるEVAは、アルカリ、金属アルコラート等を用いる公知のけん化方法によりけん化し、EVOHとすることができる。EVOHのけん化度は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上、最も好ましくは99%以上である。けん化度が90%を下回ると、溶融成形性、溶融押出安定性が悪化し易くなり、また着色、ゲルの発生が顕著となる。
【0035】
本発明により得られるEVOHには、ホウ素化合物を含有させることが好ましい。これにより、EVOHの溶融押出安定性及び溶融成形性が更に改善される。かかるホウ素化合物の例としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としてはオルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂等が挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸が好ましい。
【0036】
ホウ素化合物の含有量はホウ素元素換算で20〜2000ppm、好ましくは50〜1000ppmである。かかる範囲に設定することにより、EVOHの溶融押出安定性及び溶融成形性が更に改善される。20ppm未満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超えるとむしろゲル化し易く、成形性不良となる場合がある。
【0037】
本発明により得られるEVOHのメルトフローレート(MFR)は、溶融押出安定性及び溶融成形性の改善という観点から、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.2〜20g/10分であり、更に好ましくは0.3〜10g/10分であり、最も好ましくは0.4〜8g/10分である。ここで、EVOHのMFRとは、JIS(Japanese Industrial Standard)K7210に基づき、190℃、2160g荷重下で測定した値をいう。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは、2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRを縦軸(対数)としてプロットし、190℃に外挿した値をいう。
【0038】
本発明により得られるEVOHには、必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、他の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
【0039】
本発明により得られるEVOHは、公知の成形方法によって各種の成形物とすることができる。本発明によれば、EVOHを単独で溶融成形するときにおいても、耐ドローダウン性、耐ネックイン変動性等の良好な溶融成形性が得られるが、特に他の熱可塑性樹脂と共押出成形するときに、一層良好な溶融成形性を示す。押出成形物の例としては、フィルム、シート、パイプ、チューブ、ボトル等を挙げることができる。
【0040】
本発明により得られるEVOHと組み合わせて共押出成形される他の熱可塑性樹脂の例としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン;酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、ブテン、へキセン、4−メチル−1−ペンテン等を共重合したポリエチレン;アイオノマー;プロピレンホモポリマー又はエチレン、ブテン、へキセン、4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン類を共重合したポリプロピレン;ポリ1−ブテン;ポリ4−メチル−1−ペンテン;更に、上記ポリオレフィンをベースとするカルボン酸変性ポリオレフィン等を挙げることができる。これらのポリオレフィンの中でも、カルボン酸変性ポリオレフィンと共押出成形すると、特に優れた溶融成形性が得られる。
【0041】
カルボン酸変性ポリオレフィンとは、分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィンをいう。EVOHとカルボン酸変性ポリオレフィンとの共押出成形物における優れた効果は、EVOH層とカルボン酸変性ポリオレフィン層の界面における、EVOHの水酸基とカルボン酸変性ポリオレフィンのカルボキシル基又はその無水物との相互作用に基づくものと推定される。カルボン酸変性ポリオレフィンの例としては、ポリオレフィンをα,β−不飴和カルボン酸又はその無水物を用いてグラフト変性したものや、オレフィン単量体とα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物とをランダム共重合させたもの等を挙げることができる。α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でもマレイン酸および無水マレイン酸が好ましい。また、カルボン酸変性ポリオレフィンにおいては、アイオノマーに代表されるように、カルボキシル基の全部あるいは一部が金属塩の形で存在していてもよい。
【0042】
発明の効果を充分得るには、α,β−不飽和カルボン酸グラフト変性ポリエチレンを用いることが好ましく、特に密度0.88〜0.93g/cm3、MFR1.0〜7.0g/10分(190℃、2160g)のα,β−不飽和カルボン酸グラフト変性線状低密度ポリエチレンを用いることが特に好ましい。この場合において、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物の含有率は、発明の効果を充分奏するという観点から、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.03〜4重量%、更に好ましくは0.05〜3重量%である。また、変性されたポリオレフィンを100%使用することもできるが、高濃度に変性されたポリオレフィンと未変性のポリオレフィンとのブレンド物であって、最終的な変性量が上記範囲内にあるものを用いる方が、コスト的に有利である。
【0043】
本発明により得られるEVOHと組み合わせて共押出成形されるポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−6/12、ナイロン−6/6,6、ナイロン−11、ナイロン−12等を例示することができる。これらのポリアミドのうち、カプロアミド成分を含む共重合ポリアミド、特にナイロン−6/6,6が発明の効果を充分奏するという観点から好ましい。
【0044】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレン/シクロヘキサンジメチレン)テレフタレート等がその代表として挙げられ、更にこれらの重合体に、共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロへキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール等のジオール類、又はイソフタル酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ジエチルコハク酸等のジカルボン酸を含有せしめたものも含まれる。
【0045】
ポリスチレンとしては、スチレンホモポリマーのみならず、スチレン以外の重合性単量体を共重合したものや、スチレン以外の重合性単量体を重合してなる樹脂をブレンドしたものであってもよい。具体的には、スチレンホモポリマー、少量のゴム成分を含むいわゆるHIPS(ハイインパクトポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、スチレン−ジエン共重合体及びその水添物、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0046】
本発明により得られるEVOHは、溶融成形によりフィルム、シート、パイプ、チューブ、ボトル等の各種の成形物に成形できる。これらの成形物は粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート等を一軸又は二軸延伸して延伸フィルム又はシートとしてもよく、熱成形してトレー、カップ等の容器とすることも有用である。溶融成形法としてはTダイによる押出成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法等の公知の方法を採用することができる。溶融成形温度としては、発明の効果を充分得るという観点から、通常150〜300℃であり、好ましくは165〜280℃、より好ましくは170〜250℃であり、特にEVOHの融点をTm(℃)とするとき、Tm+10〜Tm+50(℃)の範囲から選択することが推奨される。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また、以下の説明においては、アセトアルデヒド及び飽和酢酸エステルの含有率を特定したものを除き、原料には、アセトアルデヒド及び飽和酢酸エステルを実質的に含まないものを使用した。尚、本発明における分析方法及び評価方法は以下のとおりである。
【0048】
(1)分析方法
(1−1)アセトアルデヒド及び飽和酢酸エステルの定量
JIS K6724に記載のガスクロマトグラフ法に準じて行う。
(1−2)2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(DPMP)及びソルビン酸の定量
DPMP及びソルビン酸の標品を用いて予め検量線を作成し、高速液体クロマトグラフ法にて行う。
(1−3)ホウ素化合物の定量
試料のEVOHを磁性ルツボに入れ、電気炉内で灰化させる。得られた灰分を0.01規定の硝酸水溶液200mLに溶解し、原子吸光分析によって定量し、ホウ素化合物の含有量をホウ素元素換算の値として算出する。
【0049】
(2)評価方法
(2−1)押出製膜
口径55mmφ(EVOH用)及び70mmφ(他の熱可塑性樹脂用)の2台の押出機を用意し、各押出機のスクリュー先端ブレーカープレート部に、ステンレス製スクリーンを50メッシュ/100メッシュ/300メッシュ/100メッシュ/50メッシュの5枚構成で装着した。セレクタープラグ付フィードブロック及びリップ開口幅750mmのTダイを有する共押出製膜装置を用いて、EVOHの単層溶融体又はEVOHと他の熱可塑性樹脂との積層溶融体を、95mmφのクロム鍍金鏡面ロール上に押出製膜した。エアーギャップ(ダイリップから溶融樹脂の第一ロールでの接触点までの距離)は25cmとした。尚、層構成を変更するときは、フィードブロックのセレクタープラグの設定を変更した。
【0050】
(2−2)溶融押出安定性
(2−1)に記載の単層押出又は積層共押出製膜において、製膜開始後30分を経過したときのEVOH用押出機のスクリュー負荷変動の状況から溶融押出安定性を評価した。尚、評価は次の基準に基づく。
A:スクリュー負荷変動幅が4アンペア程度で極めて小さく、操業上全く支障がない。
B:スクリュー負荷変動幅が6〜7アンペア程度で小さく、操業上支障がない。
C:スクリュー負荷変動幅が9〜10アンペア程度でやや大きく、操業上やや支障がある。
D:スクリュー負荷変動幅が10アンペアを超え、操業上支障がある。
【0051】
(2−3)溶融成形性
(2−3−1)耐ドローダウン性
(2−1)に記載の単層押出又は積層共押出製膜において、製膜開始後30分を経過したときのダイリップから吐出した溶融樹脂のドローダウン状況からドローダウン性を評価した。尚、評価は次の基準に基づく。
A:ドローダウンが殆ど認められず、操業上全く支障がない。
B:ドローダウンがわずかに認められるが、操業上支障がない。
C:ドローダウンが認められ、操業上やや支障がある。
D:ドローダウンが顕著であり、操業上支障がある。
【0052】
(2−3−2)耐ネックイン変動性
(2−1)に記載の単層押出又は積層共押出製膜において、製膜開始後30分を経過したときのダイリップから吐出した溶融樹脂のダイの両サイドのネックイン変動の状況から耐ネックイン変動性を評価した。尚、評価は次の基準に基づく。
A:ネックイン変動が殆ど認められず、操業上全く支障がない。
B:ネックイン変動がわずかに認められるが、操業上支障がない。
C:ネックイン変動が認められ、操業上やや支障がある。
D:ネックイン変動が顕著であり、操業上支障がある。
【0053】
(2−4)着色
(2−1)に記載の単層押出又は積層共押出製膜において、製膜開始後30分を経過した時点からフィルムを紙管にロール状に巻き取り、このロールの端面の黄色度から評価した。尚、評価は次の基準に基づく。
A:着色が殆ど認められず、充分商品価値がある。
B:着色が極くわずかに認められるが、問題のない範囲であり商品価値がある。
C:着色が認められ、商品価値が小さい。
D:着色が顕著であり、商品価値がない。
【0054】
(2−5)ゲル
(2−4)のロールからフィルムを採取し、膜面のゲルの発生状況から評価した。この場合において、積層共押出製膜の場合には、接着層として用いた無水マレイン酸グラフト変性線状低密度ポリエチレンを、接着性の小さい未変性線状低密度ポリエチレンに置き換えて製膜し、共押出フィルムからEVOH層を剥離し、EVOH層に発生したゲルを評価した。尚、評価は次の基準に基づく。
A:ゲルが殆ど認められず、充分商品価値がある。
B:ゲルが極くわずかに認められるが、問題のない範囲であり商品価値がある。
C:ゲルが認められ、商品価値が小さい。
D:ゲルが顕著であり、商品価値がない。
【0055】
(実施例1)
伝熱面積4m2、管数10本の縦型濡壁多管式熱交換器と接続した内容積750Lの重合槽を用いた。この重合槽に、アセトアルデヒド含有率10ppm及び酢酸メチル含有率500ppmの酢酸ビニルを31kg/hrの速度で全量熱交換器を通して導入した。一方、エチレンを6kg/hrの速度で、重合開始剤として2,2´−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)を酢酸ビニルの供給量の2000分の1、即ち15.5g/hrの速度で、重合溶媒としてメタノールを2.3kg/hrの速度で、それぞれ直接重合槽に導入した。なお、重合槽に導入した他の材料には、アセトアルデヒド及び酢酸メチルのいずれも実質的に含まれていない。従って、重合溶液においても、供給される酢酸ビニルに対するアセトアルデヒド及び酢酸メチルの含有率は、上記数値と同一となる。
【0056】
重合槽では、重合温度60℃(T2)、重合圧力45kg/cm2の条件下でEVAの連続重合を開始した。熱交換器の外側には、−2℃の冷媒体(30重量%のメタノール水溶液)を1.8m3/hrの速度で循環させた。酢酸ビニルは、熱交換器内を薄膜状となって流下しながら、重合槽から気化したエチレンと向流接触し、このエチレンを吸収溶解した状態で、重合槽に導入され、重合槽内液と混合された。エチレンを吸収溶解した酢酸ビニルの温度(T1)は5℃であった。このようにして、重合反応溶液を39kg/hrの速度で連続的に得た。
【0057】
重合槽下部より連続的に取り出した重合溶液に重合槽出口で2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(DPMP)のメタノール溶液を添加し、未反応のエチレンを蒸発させて除去した。得られたEVAのメタノール溶液を、ラシヒリングを充填した追い出し塔の塔上部より連続的に流下させ、塔底部よりメタノール蒸気を吹き込んで未反応の酢酸ビニルをメタノール蒸気とともに塔頂部より留去し、除去してEVAの35重量%メタノール溶液を得た。このEVAのメタノール溶液をけん化反応器に仕込み、水酸化ナトリウム(80g/Lのメタノール溶液)をEVA中の酢酸ビニル成分に対して0.55当量となるように添加し、更にメタノールを添加してEVA濃度が15重量%になるように調整した。溶液を60℃に昇温し、反応器内に窒素ガスを吹き込みながら5時間反応させた。その後、酢酸で中和して反応を停止させ、内容物を反応器より取り出し、常温に放置して固形物を粒子状に析出させた。析出後の粒子は遠心分離機で脱液し、更に大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
【0058】
得られた粒子を酢酸及びオルトホウ酸(OBA)を含む水溶液(水溶液1L中酢酸0.5g、オルトホウ酸0.4g溶解)を用い、浴比20で処理し、乾燥後、215℃に設定された押出機にてペレット化した。こうして得られたEVOHペレットを、クロロホルムを用いてソックスレー抽出器で48時間処理し、EVOH中の添加剤等を抽出除去し、精製した。精製したEVOHの組成を、核磁気共鳴(NMR)法により求めたところ、エチレン含有率は31モル%、けん化度は99.5%であった。また、示差走査型熱量計(DSC)により融点を求めたところ、185℃であった。更に、190℃、2160g荷重下におけるMFRは1.5g/10分であった。
【0059】
ソックスレー抽出で得られた抽出液中のDPMPの含有量を、上記方法により定量し、EVOHペレット中の含有量に換算したところ180ppmであった。また、EVOHペレット中のオルトホウ酸の含有量を、上記方法により定量したところ、ホウ素元素換算値で230ppmであった。
【0060】
EVOHペレットを使用し、評価方法の欄に記載した方法により厚さ20μmの単層EVOHフィルムを製膜し、評価した。このときの製膜温度は220℃であった。以上の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0061】
(実施例2)
線状低密度ポリエチレン(密度0.92g/cm3、MFR1.5g/10分(190℃、2160g))を両外層とし、実施例1で得られたEVOHを中間層とし、両外層と中間層の間に無水マレイン酸をグラフト変性した線状低密度ポリエチレン(無水マレイン酸変性量0.5重量%、密度0.91g/cm3、MFR1.5g/10分(190℃、2160g))を接着層として配した3種5層の共押出フィルム(各層厚み:20μm/10μm/15μm/10μm/20μm、総厚75μm)を評価方法の欄に記載した方法により製膜し、評価した。このときの各樹脂の押出温度はすべて220℃であった。評価結果を表1に示す。
【0062】
(実施例3)
実施例1において、DPMPを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0063】
(実施例4)
実施例2において、EVOHを実施例3で得られたものに変更した以外は実施例2と同様にして共押出フィルムを製膜し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0064】
(実施例5)
実施例1において、オルトホウ酸による処理を省略した以外は実施例1と同様にしてEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0065】
(実施例6)
実施例2において、EVOHを実施例5で得られたものに変更した以外は実施例2と同様にして共押出フィルムを製膜し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0066】
(実施例7)
実施例1において、重合開始剤をジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)に変更した以外は実施例1と同様にしてEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0067】
(実施例8)
ポリプロピレン(三井石油化学工業(株)製「B200」)を内外層とし、実施例7で得られたEVOHを中間層とし、内外層と中間層の間に無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン(三井石油化学工業(株)製「アドマーQB550」)を接着層として配し、ダイレクトブロー多層中空成形機((有)鈴木鉄工所製TB−ST−6P型、スクリュー径:45mmφ、40mmφ、35mmφ、35mmφ)を用いて外径70mmφ、胴部厚み700μm、容量1000mlの円筒形の3種5層(各層厚み:外層250μm/20μm/20μm/20μm/390μm内層、総厚700μm)の中空成形容器を成形し、評価した。このときのダイの温度は220℃であり、ブロー金型には50℃の温水を循環して徐冷条件となるようにした。評価結果を表1に示す。
【0068】
(実施例9)
冷却装置及び攪拌機を有する回分式重合槽に、アセトアルデヒド含有率20ppm、酢酸エチル含有率350ppmの酢酸ビニルを20000重量部、重合溶媒としてエタノールを2000重量部、重合開始剤としてアセチルパーオキサイド(APO)を10重量部仕込み、攪拌しながら窒素置換した後、エチレンを導入して、重合温度75℃、重合圧力60kg/cm2に調節し、その温度及び圧力を保持して5時間攪拌し重合させた。
【0069】
次いで、重合溶液を重合槽下部より取り出し、重合槽出口でソルビン酸(SA;1.5重量%メタノール溶液)を酢酸ビニルに対して0.05重量%の割合(ソルビン酸として10重量部)で添加し、未反応のエチレンを蒸発させて除去した。重合率は、仕込み酢酸ビニルに対して40%であった。
未反応の酢酸ビニルの除去以後の操作を実施例1と同様にして行い、EVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0070】
(実施例10)
実施例2において、EVOHを実施例9で得られたものに変更した以外は実施例2と同様にして共押出フィルムを製膜し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0071】
(実施例11)
実施例1において、酢酸ビニルを酢酸ビニルの95重量%メタノール溶液(酢酸ビニルに対するアセトアルデヒド含有率10ppm及び酢酸メチル含有率500ppm)に変更し、重合槽内のメタノール濃度が、実施例1の場合と同一となるように重合槽に直接導入するメタノール(アセトアルデヒド及び飽和酢酸エステルを実質的に含まないもの)の供給量を変更した以外は、実施例1と同様にして、EVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0072】
(比較例1)
実施例1において、酢酸ビニルのアセトアルデヒド含有率を250ppm、及び酢酸メチル含有率を5ppmとした以外は実施例1と同様にしてEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0073】
(比較例2)
実施例1において、酢酸ビニルのアセトアルデヒド含有率を10ppm、及び酢酸メチル含有率を5ppmとした以外は実施例1と同様にしてEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0074】
(比較例3)
実施例1において、酢酸ビニルのアセトアルデヒド含有率を10ppm、及び酢酸メチル含有率を2000ppmとした以外は実施例1と同様にしてEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0075】
(比較例4)
実施例1において、重合溶媒を使用しなかった以外は実施例1と同様にEVOHペレットを製造して分析し、またEVOH単層フィルムを製膜して評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0076】
(比較例5)
実施例1において、エチレンの供給速度を上げた以外は実施例1と同様にEVOHペレットを製造して分析した。このEVOHのエチレンユニットの含有率は65モル%であった。またEVOH単層フィルムを製膜し、評価した。分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
Figure 0004601880
【0078】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られるEVAをけん化することにより、溶融押出安定性が改善され、溶融成形性が改善され、且つ着色及びゲルの発生が少ないEVOHが提供される。

Claims (11)

  1. エチレンと酢酸ビニルとを重合開始剤を用いて共重合し、エチレン含有率5〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を製造するにあたり、炭素数4以下の脂肪族アルコールを重合溶媒として用い、原料の酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液における、酢酸ビニルに対するアセトアルデヒドの含有率を200ppm以下とし、酢酸ビニル中の飽和酢酸エステルの含有率を10〜1500ppmとし、且つ温度30〜150℃で重合することを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  2. エチレン、酢酸ビニル、重合開始剤及び重合溶媒を連続して重合槽に導入し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を連続して前記重合槽から導出する、請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  3. 以下の各工程を含む請求項2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
    (A)酢酸ビニル又は酢酸ビニルの炭素数4以下の脂肪族アルコール溶液を、冷却手段を設けた熱交換器に導入し、重合槽から導出されるエチレンを前記熱交換器に導入し、前記熱交換器内で前記エチレンの少なくとも一部を前記酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液に吸収させる工程、
    (B)エチレンを吸収した酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液を、重合槽に導入して重合溶液と混合する工程、及び
    (C)重合槽内において、重合溶液におけるエチレンの溶解度を超えて存在するエチレンを気化させて熱交換器へと導出する工程
  4. 重合槽に導入されるエチレンを吸収した酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液の温度をT1(℃)、重合槽内の重合溶液温度をT2(℃)とするとき、T1<T2の関係を満足する、請求項3記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  5. 酢酸ビニル又は酢酸ビニルの溶液を、冷却手段を設けた濡壁多管式熱交換器内を薄膜状で通過させる、請求項3又は4記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  6. 炭素数4以下の脂肪族アルコールがメタノール及びエタノールから選ばれる少なくとも1種であり、飽和酢酸エステルが酢酸メチル及び酢酸エチルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  7. 重合開始剤が、ジアシルパーオキサイド系開始剤、バレロニトリル系開始剤及びパーオキシジカーボネート系開始剤から選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  8. 重合後の溶液に、分子量1000以下の共役二重結合を有する化合物を添加する、請求項1〜7のいずれか1項記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法により得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物。
  10. ホウ素化合物を含有してなる、請求項9記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物。
  11. 請求項9又は10記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を含む成形物。
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