JP4601812B2 - 多孔質架橋重合体の製造方法 - Google Patents

多孔質架橋重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油中水滴型高分散相エマルション(Water in Oil type High Internal Phase Emulsion;以下、単にHIPEとも略す)を水平連続重合して多孔質架橋重合体、好ましくは表面も内部も連通孔の形成されている連続気泡(open cell;以下、オープンセルとも称す)を有する多孔質架橋重合体を製造する際に、HIPEの漏洩防止、両端部を含めた厚み出しと厚み保持、酸素量低減による未硬化防止、上部フィルム等のシートの保持のためにHIPEの非ニュートニアンでチキソトロピックな粘性を利用した堰の方式、形状・構造、材質に関する技術である。
【0002】
【従来の技術】
低粘度でニュートニアン流体であるメタクリル酸メチル(単に、MMAともいう)を中心とする重合性シラップの連続キャスト重合によるMMA系樹脂板の製造用ガスケットとして、特公昭47−49823号公報、特公昭60−31643号公報などでは圧縮して使用されるガスケットとしてガスケットのチューブ外径の25〜50%程度の板厚のものを作る方法が開示されているが、軟質樹脂からなるガスケットを使用しているため締め付けの力や熱などでガスケットが変形し製造される樹脂板の板厚が所望の板厚にならないという問題や板厚のバラツキが大きくなるという問題があった。セルキャスト重合と連続キャスト重合を含むキャスト重合用に適用できるガスケットとして、特開平5−253951号公報、特開平5−329847号公報などでは、上記のようなガスケットに対する形状・構造、材質の改良提案がされているが、圧縮して使用される状態は同じであり、使用されるガスケットのチューブ外径の30〜90%程度の板厚のものを作る方法が開示されている。また、非ニュートニアン流体でチキソトロピックな粘性のHIPEの重合に関してはキャスト重合の提案がなく、当然キャスト重合用のガスケットを含む堰についての提案もなされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明のさらなる目的は、非ニュートニアンでチキソトロピックな粘性のHIPEの水平連続重合で堰(ガスケットを含む)を使用して、HIPEの漏洩防止、両端部を含めた厚み出しと厚み保持、酸素低減による未重合防止、上部フィルム等のシートの保持をしながら、HIPE重合物を製造する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記目的を達成すべく、非ニュートニアン流体でチキソトロピックな粘性のHIPEの重合法に関してにつき、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0005】
すなわち、本発明の目的は、(1) HIPEを水平連続重合することによる多孔質架橋重合体の製造方法であって、
該HIPEを水平連続重合するのに用いるHIPE支持体の幅方向の両端部に堰を使用することを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法により達成される。
【0006】
また、本発明の目的は、(2) 前記堰の高さが、0.5〜100mmの範囲である上記(1)に記載の製造方法によっても達成される。
さらに、本発明の目的は、(3) 前記油中水型高分散相エマルションが、(a)分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および(b)分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体からなる単量体組成物、(c)界面活性剤、(d)水並びに(e)重合開始剤を必須成分として含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の多孔質架橋重合体の製造方法によっても達成される。
また、本発明の目的は、(4) 前記油中水型高分散相エマルションが、さらに(f)塩類を含有することを特徴とする上記(3)に記載の多孔質架橋重合体の製造方法によっても達成される。
また、本発明の目的は、(5) 前記油中水型高分散相エマルションは、水相/油相の比率(質量比)が、10/1〜100/1の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法によっても達成される。
また、本発明の目的は、(6) 多孔質架橋重合体が、液体吸収材、エネルギー吸収材、薬剤含浸基材である上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法によっても達成される。
また、本発明の目的は、(7) 前記油中水型高分散相エマルションの温度は、20〜100℃で、剪断速度1[s −1 ]と100[s −1 ]の粘度比(η /η 100 )が5以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法によっても達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、HIPEを水平連続重合することによる多孔質架橋重合体の製造方法であって、
該HIPEを水平連続重合するのに用いるHIPE支持体(以下、単に支持体ともいう)、好ましくはHIPE可動支持体(以下、単に可動支持体ともいう)の幅方向の両端部に堰を使用することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の多孔質架橋重合体の製造方法について、以下にその工程順に詳細に説明する。
【0009】
[I]原料(HIPE)について
(1)HIPEの組成
まず、本発明の多孔質架橋重合体の製造方法に用いることのできるHIPEとしては、特に制限されるものではなく、従来既知のものを適宜利用することができる。HIPEの組成としては、具体的には、(a)分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および(b)分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体からなる単量体組成物、(c)界面活性剤、(d)水並びに(e)重合開始剤を必須成分として含むものであればよく、さらに、必要に応じて(f)塩類、(g)その他の添加剤を任意成分として含むものであってもよい。
【0010】
(a)分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体
上記HIPEを構成する必須の単量体組成物の1種は、分子内に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体であり、分散または油中水滴型高分散相エマルション中で重合可能であってエマルションを形成できれば特に制限されるものではないが、好ましくは少なくとも1部は(メタ)アクリル酸エステルを含むものであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを20質量%以上を含むものであり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを35質量%以上を含むものである。分子内に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体として、(メタ)アクリル酸エステルを含有することにより、柔軟性や強靭性に富む多孔質架橋重合体を得ることができるため望ましい。
【0011】
具体的には、スチレン等のアリレン単量体;エチルスチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼンなどのモノアルキレンアリレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロメチルスチレン等の塩素含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル化合物;その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−オクタデシルアクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブテン等が例示できる。これらは、単量体組成物中に1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0012】
上記重合性単量体の含有量は、該重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体組成物全体の質量に対し、10〜99.9質量%の範囲であることが好ましい。この範囲で、微細な孔径の多孔質架橋重合体が得られるからである。より好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは30〜70質量%の範囲である。重合性単量体の含有量が10質量%未満の場合には、得られる多孔質架橋重合体が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。一方、重合性単量体の含有量が99.9質量%を超える場合には、得られる多孔質架橋重合体の強度、弾性回復力などが不足したり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないことがある。
【0013】
(b)分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体
上記HIPEを構成する必須の単量体組成物の他の1種は、分子内に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体であり、上記重合性単量体と同様に、分散または油中水滴型高分散相エマルション中で重合可能であってエマルションを形成できれば特に制限されるものではない。
【0014】
具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、p−エチル−ビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルフェナンスレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド等の芳香族系単量体;ジビニルフラン等の酸素含有単量体;ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の硫黄含有単量体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の脂肪族単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、並びにヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ソルビトールなどの多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物などが例示できる。これらは、単量体組成物中に1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記架橋性単量体の含有量は、上記重合性単量体と該架橋性単量体からなる単量体組成物全体の質量に対し、0.1〜90質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜70質量%、特に好ましは30〜70質量%の範囲である。上記架橋性単量体の含有量が0.1質量%未満では、得られる多孔質架橋重合体の強度、弾性回復力などが不足したり、単位体積当たりまたは単位質量当たりの吸収量が不十分となり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないことがある一方、上記架橋性単量体の含有量が90質量%を越えると、多孔質架橋重合体が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。
【0016】
(c)界面活性剤
上記HIPEを構成する必須の界面活性剤としては、HIPEを構成する油相中で水相を乳化し得るものであれば特に制限はなく、上記に例示したものに限定されるものではなく、従来公知のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。
【0017】
このうち、ノニオン性界面活性剤としては、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリスチレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ジグリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル; ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等があり、特にHLBが10以下、好ましくは2〜6のものが好ましい。これらのうち2種以上のノニオン性界面活性剤を併用してもよく、併用によりHIPEが安定化する場合がある。
【0018】
カチオン性界面活性剤としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジタウロジメチルアンモニウムメチルサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドがある。カチオン性界面活性剤を用いることにより、得られる多孔質架橋重合体を吸水材等に利用する場合に優れた抗菌性等を付与することもできる。
【0019】
なお、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用するとHIPEの安定性が改良される場合がある。
【0020】
上記界面活性剤の含有量は、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体組成物全体の質量100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量部である。界面活性剤の含有量が1質量部未満の場合には、HIPEの高分散性が不安定化することがあったり、界面活性剤本来の作用効果が充分に発現できないことがある。一方、上記界面活性剤の含有量が30質量部を超える場合には、得られる多孔質架橋重合体が脆くなり過ぎることがあり、これを超える添加に見合うさらなる効果が期待できず、不経済である。
【0021】
(d)水
上記HIPEを構成する必須成分の水は、純水、イオン交換水の他、廃水の再利用を図るべく、多孔質架橋重合体を製造して得た廃水をそのまままたは所定の処理を行ったものを使用することができる。
【0022】
上記水の含有量は、目的とする連続気泡を有する多孔質架橋重合体の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルターなど)等によって適宜選択することができる。例えば、HIPEが、後述する所望の水相/油相(W/O)の比となるように決めればよい。
【0023】
(e)重合開始剤
上記HIPEを構成する必須成分の重合開始剤は、逆相乳化重合で使用できる重合開始剤であればよく、水溶性、油溶性の何れも使用することができる。例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素、過酢酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド等の過酸化物;上記過酸化物と、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、L−アスコルビン酸、第1鉄塩、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、グルコース、デキストロース、ジエタノールアミン等の還元剤とを組み合わせてなるレドックス開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
上記重合開始剤の含有量は、上記単量体組成物および重合開始剤の組み合わせにもよるが、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体組成物全体の質量100質量部に対し、0.05〜15質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜10質量部である。重合開始剤の含有量が0.05質量部未満の場合には、未反応の単量体成分が多くなり、従って、得られる多孔質架橋重合体中の残存単量体量が増加するので好ましくない。一方、重合開始剤の含有量が15質量部を超える場合には、重合の制御が困難となったり、得られる多孔質架橋重合体中の機械的性質が劣化するので好ましくない。
【0025】
(f)塩類
上記HIPEを構成する任意成分の1種である塩類は、HIPEの安定性を改良するために必要であれば使用してもよい。
【0026】
かかる塩類としては、具体的には、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩などの水溶性塩が挙げられる。これらの塩類は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。これらの塩類は、水相中に添加することが好ましい。なかでも、重合時のHIPEの安定性の観点から多価金属塩が好ましい。
【0027】
この様な塩類の含有量は、水100質量部に対し、0.1〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。塩類の含有量が20質量部を超える場合には、HIPEから搾り出された廃水中に多量の塩類を含むことになり、廃水を処理するコストがかさみ、これを超える添加に見合うさらなる効果も期待できず不経済である。0.1質量部未満の場合には、塩類の添加による作用効果が十分に発現できないおそれがある。
【0028】
(g)その他添加剤
さらに、他の各種添加剤をこれらが有する性能・機能を付加することにより、製造条件や得られるHIPE特性や多孔質架橋重合体の性能の向上につながるものであれば適当に使用しても良く、例えば、pH調整のために、塩基および/または緩衝剤を加えても良い。これらの他の添加剤の含有量については、それぞれの添加の目的に見合うだけの性能・機能、さらには経済性を十分に発揮できる範囲内で添加すればよい。
【0029】
(2)水相/油相の比率(質量比)
上記HIPEの水相/油相の比率(質量比)(以下、単に「W/O」とも略記する)は、目的とする連続気泡を有する多孔質架橋重合体の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルターなど)等によって適宜選択することができるものであり、特に制限されるものではなく、例えば、W/Oが10/1〜100/1の範囲であれば、オムツや衛生材料等その他各種吸収材として使うのに適する多孔質架橋重合体が得られる。但し、W/Oによって空孔比率が決定されるために、3/1以上であることが好ましく、より好ましくは10/1〜250/1、特には10/1〜100/1である。W/Oが3/1未満の場合には、多孔質架橋重合体の水やエネルギーを吸収する能力が不充分で、開口度も低くなり、得られる多孔質架橋重合体の表面の開口度が低くなり、十分な通液性能等が得られないおそれがある。
【0030】
(3)HIPEの調製法
本発明に用いることのできるHIPEの製法については、特に制限されるものではなく、従来既知のHIPEの製法を適宜利用することができる。以下にその代表的な製法につき、具体的に説明する。
【0031】
まず、それぞれ上記に規定する含有量にて、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体組成物、油溶性の重合開始剤(水溶性の重合開始剤を用いる場合には、併用しても良いし、使用しなくとも良い)からなる油相を構成する成分を所定温度で撹拌し均一の油相を調製する。
【0032】
一方、それぞれ上記に規定する含有量にて、水に水溶性の重合開始剤(油溶性の重合開始剤を用いる場合には、併用しても良いし、使用しなくとも良い)、さらに必要に応じて塩類からなる水相側の構成成分を加えながら撹拌し、30〜95℃の所定温度に加温して均一の水相を調製する。
【0033】
次に、水相と油相を効率良く混合し、適度のせん断力をかけることによってHIPEを安定に調製することができる。なお、水相と油相との撹拌により得られるHIPEは、通常、白色、高粘度のエマルションとなる。
【0034】
(4)HIPEの製造装置
上記HIPEの製造装置としては、特に制限されるものではなく従来公知の製造装置を利用することができる。例えば、水相と油相とを混合撹拌するために使用する撹拌機(乳化器)としては、公知の撹拌機、混練機が使用できる。例えば、プロペラ型、櫂型、タービン型などの羽根の撹拌機、ホモミキサー類、ラインミキサー、ピンミルなどが例示でき、これらの何れでもよい。
【0035】
これら水相および油相の至適温度は、20〜100℃の範囲であり、HIPEの安定性の点からは、好ましくは40〜95℃の範囲である。なお、油相及び/又は水相の温度を予め所定に調整しておいて混合する。HIPEの製造では、水相の量が多いため水相の温度を所定の温度に調整することが好ましい。
【0036】
(5)HIPEの形成温度(乳化温度)
HIPEの形成温度(乳化温度)は、通常20〜100℃の範囲であり、HIPEの安定性の点からは、好ましくは30〜95℃の範囲、より好ましくは40〜95℃、特に好ましくは45〜90℃、最も好ましくは50〜85℃の範囲である。HIPEの形成温度が20℃未満の場合には、乳化物の粘度が高くなるため乳化し難くなったり、またハンドリングしにくくなったりするので好ましくなく、一方、HIPEの形成温度が100℃を超える場合には、常圧での乳化ができなくなり、また高圧で乳化しても乳化物が不安定になるので好ましくない。なお、油相および/または水相の温度を予め所定の形成温度(乳化温度)に調整しておいて撹拌・混合して乳化し、所望のHIPEを形成することが望ましい。ただし、HIPEの調製(形成)では、水相の分量が多いため、少なくとも水相の温度を所定の形成温度(乳化温度)に調整することが好ましいといえる。また、乳化中に重合性単量体や架橋性単量体の重合が開始され、重合体が生成するとHIPEが不安定になることがあるので、重合開始剤(レドックス重合開始剤系を含む)を予め含むHIPEを調製する場合は、HIPEの形成温度(乳化温度)は、重合開始剤(酸化剤)が実質的に熱分解を起こさない温度とするのが良く、重合開始剤(酸化剤)の半減期が10時間である温度(10時間半減期温度)より低温で乳化するのが好ましい。
【0037】
(6)HIPEの性状
水相と油相との撹拌により得られるHIPEは、通常、白色、高粘度のエマルションとなる。かかるHIPEの性状は、上述したように、非ニュートニアンで、チキソトロピックな流体である。
【0038】
本発明に用いることのできるHIPEは、チキソトロピックな性質であることから、剪断速度1[s-1]と100[s-1]の粘度比(η1 /η100 )が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは100以上である。粘度比(η1 /η100 )が5未満である場合には、賦形や厚みの規制が困難になる。また、HIPEは、剪断速度100[s-1]の粘度が、10Pa・s以下、好ましくは5Pa・s以下、より好ましくは3〜0.01Pa・s以下の範囲である。上記粘度が100を超える場合には、粘度が高すぎて、本方法では賦形が困難である。
【0039】
[II] 多孔質架橋重合体の製造
(1)HIPEの重合法(一部、重合装置を含む)
本発明では、HIPEの重合法として、上記HIPEの水平連続重合により多孔質架橋重合体を製造することを構成要件とするものである。
【0040】
本発明の製造方法において、該HIPEの水平連続重合を行う方式としては、特に制限されるものではなく、例えば、▲1▼ベルトコンベア等の駆動搬送装置を用い、該装置の水平方向に走行する可動支持体{エンドレスベルト(さらに加熱機能を合わせ持つ加熱コンベアであってもよい。)や該ベルト上をこれと同期して走行するフィルムなどのシート材}にHIPEを連続的に供給し、コーターなどにより均一な厚みに成形し、適当な加熱手段を有する重合炉内を通過させることでHIPEの重合を行う方式、▲2▼固定支持体の帯状プレート(さらに加熱機能を合わせ持つ固定熱板等でもよい)上をフィルムなどのシート材を走行させる駆動搬送装置を用い、該装置の水平方向に走行する可動支持体(フィルムなどのシート材)にHIPEを連続的に供給し、コーターなどにより均一な厚みに成形し、適当な加熱手段を有する重合炉内を通過させることでHIPEの重合を行う方式などが例示できるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、HIPEを所望の形状に成形し、これをほぼ水平方向(完全に水平でなくてもよく、多少走行方向に対して垂直な幅方向や平行な流れ方向が傾斜していてもよい)に搬送しながら連続的に重合することができるものであれば、何ら制限されるものではない。したがって、支持体が水平に保持されている必要はなく、HIPEの粘性、粘度、濃度や温度の影響はあるが、HIPEの厚みが幅方向及び流れ方向で不均一にならない範囲で、左右:前後に傾きがあるような場合も本発明の水平連続重合の実施態様に含まれるものとする。
【0041】
ここで、水平連続重合とは、駆動搬送装置のほぼ水平(横型)搬送される支持体上に原料のHIPEを供給し層状に成形し、適当な加熱手段を有する重合炉内を通過させて重合する(詳しくは、重合炉にて所定の硬化温度で所定時間加熱処理する)までの一連の操作・工程を連続して行うことをいう。原料のHIPEを層状に成形するには、供給時に層状になるように供給と同時に成形を行っても良いし、供給後に適当な成形部材(例えば、コーターなど)を使って層状に成形するようにしてもよい。また、駆動搬送装置の水平(横型)搬送される支持体上に原料のHIPEを供給する場合、当該支持体上に直接供給しても良いし、間接的に供給しても良い。間接的とは、支持体であるエンドレスベルトおよび/または帯状プレートに酸素濃度抑制手段としてシート材を使用し、該シート材上に原料のHIPEを供給する場合をも含む意味である。これは、HIPEが接する材質を変えることにより、得られる多孔質架橋重合体の当該接触面の表層部の多孔質架橋構造を用途に応じて適当に変えることができる利点を有するほか、連続使用するエンドレスベルトに直接HIPEを乗せる場合には、重合後に多孔質架橋重合体をはがす際に、ベルト側に多孔質架橋重合体が付着することがあり、こうした付着物を1回転して再びHIPEを乗せるまでに洗浄し綺麗にする必要があるのに対し、該シート材を用いる場合には、より簡単にこうした付着物を除去(剥離)できたり、エンドレスベルトに比して極めて低コストなため使い捨て方式にもできる利点をも有するものである。
【0042】
次に、本発明では、HIPEを水平連続重合する上で、該HIPEの下面に支持体を用いるが、さらに上面にフィルム、不織布および織物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のシート材を用いてもよい。これは、後述するように該シート材がHIPEの酸素量低減手段として有効に機能するからである。
【0043】
このうち、HIPEの下面に用いることのできる支持体は、いったん成形したHIPEの形状を保持し、かつ下面側から漏れ出さないようにHIPEを支持する機能を有し、さらに重合温度に晒されても劣化しないものであれば、特に制限されるものではない。したがって、成形後に支持を失うことで折れたり、曲がったり、撓んだりするのを防止することができる程度の強度を有するものを単独で、若しくは組み合わせて使用する必要がある。よって、かかる支持体としては、例えば、上述したように駆動搬送装置を構成する可動支持体の1種である金属製、ないし樹脂製のエンドレスベルトであっても、固定支持体である金属製、樹脂製の帯状プレートであっても、これらの上に使用する可動支持体の他の1種であるフィルムなどのシート材であってもよい。また、HIPEの「下面」とし、「下部」としなかったが、例えば、波板状の支持体、湾曲した支持体、凹型形状などの支持体を利用するような場合も本発明の技術範囲内に含まれるものとする。なお、かかる支持体に関しては、後述する酸素量低減手段の項で説明する。
【0044】
また、HIPEの上面に用いることのできるシート材としては、後述するように、一定の張力をかけても破損されないものであり、かつ重合温度に晒されても劣化しないものであれば、特に制限されるものではなく、フィルム、不織布および織物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のものが好適に利用できる。また、HIPEの「上面」とし、「上部」としなかったが、これは、HIPEを中央部を厚くしたり、逆に両端部を厚くしたり、エンボス形状にしたりできるほか、台形、半円形などに成形するような場合も本発明の技術範囲内に含まれるからである。こうした形状にうまくフィットする柔軟性を有する上面シート材が望ましい。なお、かかるシート材に関しては、後述する酸素量低減手段の項で説明する。
【0045】
さらに、本発明のHIPEの水平連続重合により多孔質架橋重合体を製造する方法では、該HIPEの外表面部を、酸素量低減手段により、周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態として、該HIPEの水平連続重合を行うのが好ましい。これにより、従来のWO97/27240号公報の連続とバッチの併用重合方法の種々の技術的課題(即ち、▲1▼HIPEの充填時より下部が厚くなり巻取りによって若干厚みの均一性がアップすると考えられるが、HIPEの自重により下部が厚くなる傾向があり、さらに悪いことには油相と液相とが上下に偏向分離する傾向にあるため、高さ(幅)及び厚さに制限がありかつ厚さ及び性能・品質の均一性が保たれにくく、幅と厚さが自由にコントロールできないという問題;▲2▼HIPE充填から重合までを連続的に行うことができないため、HIPEの連続充填工程からバッチ式の重合工程の間の移行段階が律速となるため、連続充填工程の有利性を最大限に活かすことができないという問題;▲3▼フィルム製の袋を使用しているため、同一な性状面の多孔質架橋重合体が得られるだけで、両面の性状を変化させた多孔質架橋重合体を得ることができないという問題)を全て解決し得るものであり、得られる多孔質架橋重合体の外表面部の表層部分に未硬化の部分ができたり、ピンホールやボイドができたり、オープンセル構造化できなかったり、硬化させた場合に遊離水が観察されるなどの、多くの問題を解決することができるものである。
【0046】
上記酸素量低減手段によって、HIPEの外表面部は、周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態になればよいが、好ましくは酸素含有量が2.0体積%以下、より好ましくは0.2体積%以下、特に好ましくは酸素のない雰囲気下ないし状態にすることが望ましい。酸素含有量が2.0体積%を超える場合には、HIPEの外表面部の表層部分が未重合になるため好ましくない。
【0047】
上記酸素量低減手段としては、HIPEを水平連続重合して多孔質架橋重合体を得るまでの間、該HIPEを周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態におくことができるものであればよく、(A)周囲空気よりも酸素含有量の低い気体、好ましくは酸素を含まない不活性ガス、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガスおよびこれら2種以上の混合ガスなどで、HIPEの外表面部と接触する周囲空気の一部または全部、好ましくは全部をガス置換することで、周囲空気(酸素ガス)のHIPEへの接触を抑制ないし遮断、好ましくは遮断する気体を使った酸素量低減手段、(B)重合に影響しない液体、例えば、水や電解質水溶液などで、前記HIPEの外表面部に液体層ないし液状膜、好ましくは水により水層を形成することで、周囲空気の前記HIPEへの接触を抑制ないし遮断する液体を使った酸素量低減手段、(C)接触酸素量を低減ないしカットする固体材料(例えば、フィルム等のシート材、エンドレスベルト、帯状プレートなどの支持体や堰を含む)を、前記HIPEの外表面部に適用することで、周囲空気(酸素ガス)の前記HIPEへの接触を抑制ないし遮断する固体を使った酸素量低減手段、のいずれをも必要に応じて適宜組み合わせて利用することができる。
【0048】
特に、本発明では、後述するように、HIPEを水平連続重合するのに用いる支持体の幅方向の両端部に、▲1▼連続して供給されるHIPEの外表面部からの漏出を防止し、▲2▼HIPEの成形後の形態を一定に保持し、▲3▼HIPEの未重合を防止し、▲4▼外表面部のシート材を保持することができるなど、多目的な手段である、固体材料に含まれる堰(ガスケット等を含む)を使用することを主要な構成要件とするものである。なお、本明細書において、「固体材料」、「シート材」及び「フィルム」の関係は、「固体材料」が最も広く、HIPEの外表面部(上面、下面、両端部)のいずれにも適用し得るものであり、上記した支持体、シート材、堰などを含むものとする。次に「シート材」が広く、上記固体材料の1種であり、フィルム、不織布および織物などを含むものとする。最後に「フィルム」が最も狭く、上記シート材の1種である。
【0049】
なお、本明細書において、「HIPEの外表面部を、酸素量低減手段により、周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態とする」のは、図1及び図2に示すように、(1)少なくとも重合部分に(供給部分から重合が開始される場合は、下記(2)または(3)に該当するためここでは除く)、(2)好ましくは少なくとも供給した後の部分から、(3)より好ましくは供給部分から、周囲空気のHIPEへの接触を抑制ないし遮断するものであればよいのであって、狭く解釈されるべきものではない。すなわち、上記液体と固体材料の場合は、HIPEの供給部分については、外表面部は必ずしも必要でない。すなわち、ガスの場合は、置換しながらHIPEを供給できるが、液体と固体材料の場合はHIPEを供給した後に液体および/または固体材料で周囲空気を抑制ないし遮断すれば足りるのであり(図1、2参照のこと)、厳密に、供給部分から液体や固体材料(さらに、ガスの場合でも同様である)で周囲空気のHIPEへの接触を抑制ないし遮断する必要はない。これは、供給部分から供給し、酸素量低減手段が設けられる部分までに、周囲空気に晒される時間は短く(5秒程度)、よって周囲温度に晒される時間も短く、得られる多孔質架橋重合体の特性に与える影響は小さく、従来法に比して十分な作用効果を発揮し得るためである(後述する各実施例を参照のこと)。
【0050】
酸素量低減手段の好ましい実施形態としては、前記(A)の気体を使った酸素量低減手段が、窒素ガスで、HIPEの外表面部と接触する周囲空気の全部をガス置換することで、周囲空気のHIPEへの接触を遮断する手段であり、前記(B)の液体を使った酸素量低減手段が、重合に影響しない水溶液で、HIPEの外表面部に水層を形成することで、周囲空気のHIPEへの接触を遮断する手段であり、前記(C)の固体を使った酸素量低減手段が、固体材料の支持体、シート材、堰などをHIPEの外表面部の適当な箇所に適用することで、周囲空気のHIPEへの接触を抑制ないし遮断する手段である。
【0051】
よって、上記HIPEの外表面部の酸素量低減手段としては、上記好適な各酸素量低減手段の組み合わせが好ましく、(a)窒素ガスでHIPEの外表面部と接触する周囲空気の全部をガス置換することで、周囲空気のHIPEへの接触を遮断する手段と、固体材料の支持体、シート材、堰などをHIPEの外表面部の適当な箇所に適用することで、周囲空気のHIPEへの接触を抑制ないし遮断する手段との組み合わせにより構成されているもの、(b)重合に影響しない水溶液で、HIPEの外表面部に水層を形成することで、周囲空気のHIPEへの接触を遮断する手段と固体材料の支持体、シート材、堰などをHIPEの外表面部の適当な箇所に適用することで、周囲空気(酸素ガス)のHIPEへの接触を抑制ないし遮断する手段との組み合わせにより構成されているもの、(c)固体材料の支持体、シート材、堰などをHIPEの外表面部全体に適用することで、周囲空気のHIPEへの接触を抑制ないし遮断する手段を複数組み合わせることにより構成されているものが挙げられる。これにより、HIPEを水平連続重合することによって、HIPEの成形後の形態を一定に保持する上での保持精度及び多孔質架橋重合体の収率が良好で、HIPEの成形後の形態(例えば、幅や厚さなど)を自由にコントロールすることができかつ多孔質架橋重合体の外表面部の表面の性状を変化させることができる。
【0052】
このうち、上記気体を使った酸素量低減手段および液体を使った酸素量低減手段については、モノマーの飛散性に若干の問題はあり、得られる多孔質架橋重合体の表面物性では、オープンセル構造性と表面平滑性は良好とまではいかない(良好なものより少し低下する)が、加えて耐ピンホール・ボイド性も比較的良好であることから多くの用途に適用可能であり、固体を使った酸素量低減手段との組み合わせで表面性状を変化させた多孔質架橋重合体を製造する手法として好ましいものの1つといえる。
【0053】
また、上記固体を使った酸素量低減手段については、モノマーの飛散性の問題はなく、また得られる多孔質架橋重合体の表面物性、例えば、外表面部のオープンセル構造性や表面平滑性も良好であり、加えて耐ピンホール・ボイド性も良好であることから多くの用途に適用可能である。また、上記固体を使った酸素量低減手段としてHIPEの外表面部に設ける固体材料(支持体、シート材、堰など)の形態を適当に選択することで表面性状を変化させた多孔質架橋重合体を製造することができる。
【0054】
さらに、HIPEの上面に適用するシート材は、所望の酸素量低減効果が得られるように一定レベル以上のシール性を有するものであればよい。すなわち、一定レベル以上の通気性(酸素透過性)を有するシール性の低いものは酸素量低減手段として使用するのは困難である。かかる観点から、該シート材の通気性は、100cm3 /cm2・s以下、好ましくは5cm3 /cm2・s以下である。上記シート材の通気性が100cm3 /cm2・sを超える場合には、酸素量低減能が低下するため、W/Oなどの条件によっては得られる多孔質架橋重合体に未硬化部分が生じるなどの問題が起こるおそれがあるため好ましくない。ここでいう、「通気性」は、JIS L1096(1990)の6.27通気性で規定するいずれかの試験方法により測定して求めたものをいう。
【0055】
また、上記通気性の上限値は、あくまで外部が周囲空気である場合であり、外部を窒素雰囲気下にするなど、他の酸素量低減手段(特に上記(A)の周囲空気よりも酸素含有量の低い気体を使った酸素量低減手段)と併用する場合には、上記範囲を超えても問題はない。なお通気性が5cm3 /cm2・sを超えて100cm3 /cm2・s以下の範囲でも、他の酸素量低減手段を併用するほうが、ピンホール・ボイド等の欠陥を低減させることができる場合もある。一方、HIPEの硬化温度が高くなると、重合中に内部の水の一部が蒸気化する場合がある。こうした場合には、上記シート材は、シール性の高いもの(ガスバリア性フィルムや通常のフィルムなど)よりも、通気性とシール性のバランスをとることができるように若干の通気性を有するシール性の若干低いシート材(ガス透過性フィルム、多孔質フィルム、不織布、織物など)を用いる方が、多孔質架橋重合体の表面のピンホール・ボイド等の欠陥を低減させるのに有利である場合もあり得る。したがって、上記シート材のシール性(通気性)の決定に際しては、重合条件などを十分に勘案し、必要に応じて予備実験を行うなどして、最適なものを選択するのが望ましい。
【0056】
また、本発明に使用できるシート材の材質としては、重合条件下で使用可能であれば特に制限されるものではなく、従来公知の高分子材料の中から適当に選択して使用するこができるが、連続重合に適した耐久性(耐熱性、耐候性、耐磨耗性、リサイクル性、引っ張り強度等の機械的強度などの諸特性)や離型性が良好で、多孔質架橋重合体の表面特性をコントロールできるものが好ましく、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(以下、単にPTFEともいう)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、単にPFAともいう)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、単にFEPともいう)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(以下、単にETFE)などのフッ素樹脂;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体などのシリコン樹脂;ポリイミド(以下、単にPIともいう)、ポリフェニレンサルファイド(以下、単にPPSともいう)、ポリサルフォン(以下、単にPSFともいう)、ポリエーテルサルフォン(以下、単にPESともいう)、ポリエーテルイミド(以下、単にPEIともいう)、ポリエーテルエーテルケトン(以下、単にPEEKともいう)、パラ系アラミド樹脂などの耐熱性樹脂;ポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETともいう)、ポリブチレンテレフタレート(以下、単にPBTともいう)、ポリエチレンナフタレート(以下、単にPENともいう)、ポリブチレンナフタレート(以下、単にPBNともいう)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(以下、単にPCTともいう)等の熱可塑性ポリエステル樹脂、PBTとポリテトラメチレンオキサイドグリコールから構成されるブロック共重合体(ポリエーテル系)、PBTとポリカプロラクトンから構成されるブロック共重合体(ポリエステル系)などの熱可塑性ポリエステル系エラストマー樹脂(以下、単にTPEEエラストマーともいう)等が好ましいものとして挙げられる。また、目的に応じてこれらの材質を単独で使用してもあるいは2種以上を併用してもよい。さらに、1つのシート材を2種以上の材質の異なるものでラミネート化してもよいし、2種以上の材質の異なるシート材を単に重ね合わせて使用しても良い。
【0057】
また、前記シート材の厚さは、特に制限されるものではない。通常0.01〜3.0mmであれば、連続重合に適した耐久性(耐熱性、耐候性、耐磨耗性、リサイクル性、引っ張り強度等の機械的強度などの諸特性)を得ることができるし、エンドレスベルトにしてリサイクルすることもできる。
【0058】
さらに、前記シート材の形状としては、フィルム、不織布および織物、ならびにこれらの組み合わせのいずれであってもよい。1例を示せば、▲1▼非通気性フィルム(通気性0〜0.0001cm3 /cm2・s程度)としては、アラミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン(以下、単にPVDCともいう)コートPETフィルムなどのガスバリヤー性フィルム;PENフィルム、PETフィルム、PBTフィルム、PPSフィルム、PIフィルム、ETFEフィルム、ポリプロピレン(以下、単にPPともいう)フィルム、PTFEフィルムなどの通常のフィルムなどが挙げられ、▲2▼通気性フィルム(通気性0.0001〜35cm3 /cm2・s程度)としては、ジメチルポリシロキサンフィルムなどのガス透過性フィルム;PTFE系多孔質フィルム、ポリオレフィン系多孔質フィルムなどの多孔質フィルムなどが挙げられ、▲3▼織物(通気性0.1〜8cm3 /cm2・s程度)としては、PETマルチフィラメントタイプの織物などが挙げられ、▲4▼不織布(通気性10〜100cm3 /cm2・s程度)としては、PETスパンボンドタイプなどの不織布が挙げられる。
【0059】
なお、前記シート材の耐熱性の判断基準の一つとしては、機械的連続使用温度(UL746B)があり、PET(105℃)、PEN(160℃)、PI(200℃)、PPS(160℃)、PEEK(240℃)、PSF(150℃)、PES(180℃)、PEI(170℃)、アラミドフィルム(180℃)であることが知られており、硬化温度により使用するシート材を適宜選択することができる。
【0060】
また、上記支持体に用いることのできる金属製や樹脂製のエンドレスベルトないし帯状プレートも、連続重合に適した上記耐久性のほか、HIPEの構成成分である塩化カルシウム等の電解質による腐食対応のため、耐蝕性の良好なタイプを選択することが望ましいことから、これらの材質には、ステンレス鋼などの金属や上記シート材として選択された樹脂を利用するのがよい。
【0061】
さらに、上記支持体では、前記シート材を可動支持体として、HIPEに接する側に使用したエンドレスベルトや帯状プレートが望ましい。
【0062】
ここで、エンドレスベルトや帯状プレートの上にシート材を「使用する」としたのは、(1)可動のエンドレスベルトの場合、耐久性の良好なフィルム等のシート材を、少なくともHIPEの供給から重合完了までの間は、貼付(接着や融着を含む)や塗布(コーティング)することなく該ベルトに接するようにして同一速度で同一方向に(同期して)走行させるだけでも良いし、エンドレスベルトに、耐久性の良好なフィルム等のシート材を適当な接着剤や粘着剤などにより粘接着加工あるいは熱などで融着することにより貼ってもよいし、エンドレスベルトや帯状プレートに、耐久性の良好な樹脂原料を樹脂コーティングしてシート材を形成してもよいが、これらに制限されるものではない。一方、(2)固定の帯状プレートの場合、耐久性の良好なフィルム等のシート材を、少なくともHIPEの供給から重合完了までの間は、貼付(接着や融着を含む)や塗布(コーティング)することなく該プレートに接するようにして走行させてもよいが、これらに制限されるものではない。
【0063】
本発明の製造方法では、該HIPEの成形後の形態を保持しながら、水平連続重合することが望ましい。これにより、成形後のHIPEを所望の形態に作製でき、さらに全体に均質な性状の多孔質架橋重合体を非常に高い生産性で製造できるとする利点を有する。そのため、工業的にも非常に優れたものである。
【0064】
ここで、HIPEの成形後の形態を保持する方法としては、例えば、駆動搬送装置の支持体と堰とで囲まれた内部空間にHIPEを供給し所望の形態に成形することで、HIPEは、ソフトクリーム状ないしヨーグルト状の流動性の少ない動粘性流体であるため表面に多少の凹凸が残る傾向があるが、堰(ガスケットなど)を設けることでHIPEの成形後の形態の保持効果、連続して供給されるHIPEの外表面部からの漏出防止効果、HIPEの未重合を防止効果、さらには外表面部のシート材の保持効果を得ることができる。例えば、前記酸素量低減手段として前記HIPEの外表面部にシート材を用いてHIPEの外表面部を上下に挟み、さらに堰を用いて左右から囲むことで、より安定的に成形後の形態を保持することができる。この場合にHIPEの成形後の形態を保持する方法としては、シート材に張力をかける方法や、HIPEをシート材上に設けた形態調整板等により、HIPEを外表面部から均等に加圧(押圧)する方法等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0065】
(2)HIPEの成形厚みおよび形状
HIPEの成形厚みに関しては、特に制限されるものではない。これは、後述するように、重合後に適当な厚さにスライスすることができるためである。
【0066】
HIPEの成形厚みは、0.5〜100mm、好ましくは0.5〜50mm、より好ましくは0.5〜30mmの範囲である。なお、HIPEの成形厚みが100mmを超えて極端に厚くなる場合には、平面性の確保、変形防止のため可動支持体の強度を上げねばならず、装置が剛直なものとなり高価になったり、重合中に離水が観察されたりするなどの問題が軽微ではあるが発生するようになるため好ましくない。ただし、HIPEの成形厚みが100mmを超えても、比較的低温で長い重合硬化時間が確保できるようにHIPEの搬送速度等を調整すれば適用可能な場合もある。また、HIPEの賦形後の成形厚みが0.5mm未満の場合には、その取り扱いが難しくなる。成形厚みが0.5mm以上あれば、得られた厚さの薄い多孔質架橋重合体を重ねて使用することで、液体吸収材、エネルギー吸収材、薬剤含浸基材などの使用用途に応じて、求められる性能・品質を十分に確保することができるものである。なお、成形厚みを0.5〜20mmの範囲に厚み規制することで、目的の硬化温度まで急速に昇温させることができ、非常に短時間で重合を完結できるとする更なる顕著な効果も得られる。
【0067】
HIPEの形状としては、特に制限されるものではなく、上記したように断面形状が、長方形、正方形、台形、平行四辺形などの四角形、多角形状、さらには楕円形、半円形などのほか、シート形状、波板形状など、任意の形状をとりえる。
【0068】
(3)硬化温度
HIPEの硬化温度は、通常、常温〜120℃の範囲であるが、HIPEの安定性、重合速度の観点から、好ましくは40〜100℃の範囲、より好ましくは80〜100℃、特に好ましくは95〜100℃の範囲であって、上記HIPEの形成温度(T0)(=加熱昇温開始時の温度)と硬化温度(T1)との間でT0≦T1の関係を満足するものである(「所定の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる」との要件から導かれるものである。)。硬化温度が常温未満では、重合に長時間を要し、新たに冷却手段を設ける必要があり不経済であり、工業的に好ましくない。他方、硬化温度が120℃を越える場合には、得られる多孔質架橋重合体の孔径が不均一となることがあり、また多孔質架橋重合体の吸収容量が低下するため好ましくない。また、T0とT1の関係については、T0≦T1を満足するものであればよいが、好ましくはT0とT1との温度差[T1−T0]が50℃以下であることが均一な多孔質架橋重合体を作る面から望ましい。温度差[T1−T0]が50℃を超える場合には、急速昇温によるHIPE表面の局部加熱により均一な多孔質架橋重合体が得られ難くなる。なお、硬化温度(重合温度)[T1]は、外部からのエネルギー量の制御により所定の温度(±数℃)範囲にするのが、得られる多孔質架橋重合体の性能・品質面および温度制御面から好ましい。ただし、上記に規定する温度範囲内であれば硬化温度は、重合中に変動してもよく、こうした重合の仕方を排除するものではない。
【0069】
なお、重合後(重合硬化時間経過後)は、所定の温度まで、冷却ないし徐冷されるが、重合法によっては、冷却することなく、後述する脱水や圧縮などの後処理工程に移行しても良い。
【0070】
(4)加熱昇温速度
次に、HIPEの形成温度よりも硬化温度が高い場合に、HIPEを重合する際の硬化温度までの加熱昇温速度は、特に制限されるものではなく、HIPEの組成や厚さ、加熱昇温手段等により異なるため一義的に規定することはできないが、好ましくは5℃/分以上である。加熱昇温速度が5℃/分未満の場合には、重合が遅く、重合中に離水が多く見られるなど好ましくない。好ましくは加熱昇温速度が5〜60℃/分の範囲である。加熱昇温速度が60℃/分を超えて速くなりすぎると、W/Oなどによっては、HIPEの乳化状態を安定に維持できずHIPEが潰れるおそれがあるため好ましくない。ここで、「加熱昇温速度」とは、HIPEの加熱昇温開始時[t0]の温度[T0]から所定の硬化温度[T1]に到達(安定化)する時間[t1]とから求められる[T1−T0/(t1−t0)]ではなく、所定の硬化温度[T1]と[T0]との温度差を100%とした場合の90%の温度差に相当する温度[T0.9]に到達する時間[t0.9]から求められる[T0.9−T0/(t0.9−t0)]とする。ここで、[T0.9]=[T0]+([T1]−[T0])×0.9となる。
【0071】
(5)加熱昇温時間
上記加熱昇温速度において、トータルの加熱昇温時間は、15秒以上、好ましくは15秒〜10分、より好ましくは30秒〜7分、特に好ましくは1〜5分である。15秒より短時間で昇温を終えた場合や、10分を超えて昇温を行った場合、HIPEが昇温中に安定に保たれず、離水が多くなったり、不均一に重合する場合がある。ここで、「加熱昇温時間」とは、HIPEの加熱昇温開始時[t0]から所定の硬化温度[T1]に到達(安定化)する時間[t1]までのトータルの時間[t1−t0]をいうものとする。
【0072】
(6)重合硬化時間
本発明の重合硬化時間に関しては、HIPEの組成や成形厚み「T」等により異なるため一義的に規定することができないが、従来の連続とバッチの併用重合方法に比して、本発明のHIPEの供給から重合までを連続して行う方法では、数十秒〜60分の範囲の短時間で重合を安定に実施するのに非常に有効である。例えば、走行する搬送装置が適当な重合炉内を通り抜ける際に重合完了するように搬送速度のみを制御すればよいからである。重合硬化時間は、好ましくは60秒〜60分の範囲である。重合硬化時間が60分を超える場合には、硬化炉を長くするか、または搬送速度を遅くする必要があるため多孔質架橋重合体の生産性が低下する。なお60秒未満の場合には、重合が完了しないため充分な物性の多孔質架橋重合体が得られない。勿論上記より長い重合硬化時間を採用することを排除するものではない。ここで、「重合硬化時間」とは、加熱昇温開始時[t0]から重合終了時[t2]までのトータルの時間[t2−t0]をいうものとする。
【0073】
(7)重合装置(HIPEを水平連続重合するために用いる支持体を含む装置)
本発明に用いることのできる重合装置としては、HIPEを水平連続重合するのに用いる支持体、好ましくはエンドレスベルトや可動式シート材などの可動支持体の幅方向の両端部に堰を設けてなるものであればよく、特に制限されるものではない。
【0074】
以下に、図面を用いて、本発明の水平連続重合に利用することができる重合装置につき説明する。
【0075】
図1および図2は、本発明の水平連続重合に使用する重合装置に利用することができるエンドレスベルトまたはプレート上を走行する可動式シート材(可動支持体かつ酸素量低減手段)を含む重合装置の概略側面図である。
【0076】
図1および図2に示すように、HIPE供給部119に対応して水平に設置され一定速度で水平方向に走行するステンレス鋼製のエンドレスベルト(可動支持体)式のコンベア(駆動搬送装置)201、または水平に設置されたジャケット付き帯状プレート(固定支持体)(202)が設置されている。HIPE供給部119からHIPEを連続的に抜き出し、シート材(可動支持体)203上に、幅約Xm、厚み約Ymm(回転ロール209の設定高さ=上記支持体であるベルトやプレート、あるいはシート材の幅方向の両端部に設けられた堰(図示せず)の設定高さで規定される)のHIPEを連続的に供給すると同時に平滑な層状に成形すべく、コンベア201のベルト上をこれと同一速度で同一方向に走行するPETフィルムまたは帯状プレート202の上を走行するPETフィルムからなる巻出・捲取式のシート材203が設けられている(支持体かつHIPE下部の酸素量低減手段である)。同様に成形されたHIPEの上部に乗せられ、コンベア201のベルトと同一速度で同一方向に走行するPETフィルムまたは帯状プレート202上を走行するPETフィルムと同一速度で同一方向に走行するPETフィルムからなる巻出・捲取式のシート材205(HIPEの上部の酸素量低減手段である)が設けられている(尚、これら上部および下部のシート材は、リサイクルの観点から、耐久性、離型性に優れる材質を用いてエンドレスベルト式にしてもよい。さらに、これらの酸素量低減手段に代えて、他の酸素量低減手段を採用しても良いことはいうまでもない。)。そしてステンレス鋼製のエンドレスベルト式の場合は、該シート材203は、コンベア201のベルトと同一速度で同一方向に走行できるように巻出・捲取ロール208、212の回転速度が制御されている。該シート材205は、このHIPEの厚さが一定になるようにテンションをかけながら走行されるように、コンベア201の前方と後方に設置された回転ロール209、211と巻出・捲取ロール207、213が適当な高さに設置されており、巻出・捲取ロールの回転速度が制御されている。これによりシート材203、205は上下に一定間隔を保って水平に維持しつつ同一方向に同一速度で走行される。ジャケット付き帯状プレートの場合は、該シート材203、205は同期して同一速度で同一方向に走行されるように巻出・捲取ロール208、212と巻出・捲取ロール207、213の回転速度が制御される、または該シート材205は、このHIPEの厚さが一定になるようにテンションをかけながら走行されるように、ジャケット付き帯状プレート202の前方と後方に設置された回転ロール209、211と巻出・捲取ロール207、213が適当な高さに設置されており、巻出・捲取ロールの回転数が制御される。また、コンベア201のベルト上の、または帯状プレート(202)上の両端部(両辺)に、あるいはこれらの上部に設けられたシート材上の両端部には、両辺(長辺側各縁)に沿ってその上を移動しうる、または固定された直径(高さ)Ymmの連続した堰(ガスケットを含む)がそれぞれ設けられている(図示せず)。
【0077】
さらに、▲1▼コンベア201の途中に、該コンベア201のHIPEを乗せたベルトが内部を水平方向に走行することができ、かつ内部を走行中に該ベルトの上方および下方から加熱し得る加熱手段、または▲2▼帯状プレート202の途中に該帯状プレート202上のHIPEを乗せてPETフィルムが内部を水平方向に走行することができ、かつ内部を走行中、該ベルトの上方および下方の帯状プレートのジャケットから加熱し得る加熱手段が備えられてなる重合炉215が周設(ないし繞設)するように設置されている。該重合炉215は、加熱(昇温)手段として、ベルトまたは帯状プレートの上方には、熱風循環装置からなる加熱昇温手段217が設けられている。ベルトのまたは帯状プレートの下方には、ベルトまたは帯状プレートのおよびシート材を介してHIPEを急速に昇温加熱し得るように、熱水を直接ベルト下部に吹きつけるための温水シャワー装置(熱水吹付装置)からなる加熱昇温手段219または帯状プレートのジャケットに熱水を供給するための熱水供給装置(熱水循環装置)からなる加熱昇温手段220が設けられている。また、加熱昇温手段217は、所定の硬化温度にて所定時間安定してHIPEを重合するための加熱硬化手段として、ベルトのまたは帯状プレートの上方に、HIPE上部のシート材を介して、硬化温度まで急速に昇温加熱されたHIPEを同温度にて保持し得るためにも、設けられている。また、加熱昇温手段219は、ベルトの下方からベルトおよびシート材を介して、加熱昇温手段220は、帯状プレートおよびシート材を介して、硬化温度まで急速に昇温加熱されたHIPEを同温度にて保持し得るためにも設けられている。なお、加熱昇温手段ないし加熱硬化手段としては、上記に制限されるものではなく、放射エネルギー等を利用できるマイクロ波、遠赤外線、近赤外線などの活性熱エネルギー線を照射し得る連続出力マグネトロンなどを用いた発振器や各種赤外線ヒーター、熱水や熱風などの熱媒を吹き付けるための熱風循環装置や熱水吹付装置、熱水循環装置などの手段が利用できる。また、重合炉215の後半のゾーンは、重合後の多孔質架橋重合体をすばやく冷却するための冷却ゾーンに使用しても良く、上記熱風循環装置や熱水吹付装置、熱水循環装置の温度設定を低くすることで十分に対応できる。熱風に窒素ガスを使用すれば、シート材に代えて窒素ガスシールが可能であり、また、上部に熱水吹付装置を用いれば、シート材に代えて水層シールが可能になり、これらは、酸素量低減手段であると同時に加熱手段としても機能し得るものである。
【0078】
また、本発明では、上記HIPEを成形して水平連続重合により多孔質架橋重合体を製造する過程で、該HIPEを成形して水平連続重合するのに用いる支持体の幅方向の両端部に堰を使用することを主要な構成要件とするものである。
【0079】
すなわち、上述してなるHIPEの場合、HIPEが非ニュートニアン流体でチキソトロピックな粘性であるため、HIPEのシール性を上げるために堰(ガスケットを含む)を締め付け圧縮された状態で使用する必要性がないので、圧縮させずに使用しているためHIPEの成形厚みと堰の厚みが同等であれば所望の厚みのHIPE重合物である多孔質架橋重合体が得られる。さらに、このような堰を設けることによって、重合工程中のHIPEの側面での酸素が遮断されるので、側面にも所望のオープンセルを有する重合体が効率よく得られる。
【0080】
堰の方式については、固定方式、移動方式(一体式と駆動式がある)のいずれでも可能である。固定方式では、支持体(例えば、エンドレスベルトやエンドレスベルト上の下面シート材)の幅方向の両端部に堰を接するように固定することで、該堰に接した状態でこれに接する支持体のみが走行するようにしたもの(後述する実施例1〜2、図3〜図4を参照のこと)などが挙げられる。ここで、堰を支持体の幅方向の両端部に接するように固定するには、例えば、チューブ内にワイヤーを通した堰を用い、走行方向にワイヤーにテンションをかけて引張ったり、HIPE上面に乗せた上面シート材を支持体の幅方向の両端部に向けて引っ張るなどすればよい。これにより、該チューブである堰が蛇行することなく安定に固定化させることができる支持体を持った固定堰を使用することにより堰が蛇行することなく安定化することも可能である。また、一体式の移動方式では、支持体(例えば、エンドレスベルトやエンドレスベルト上の下面シート材)の幅方向の両端部に堰を接合させて、該支持体と一体化したものなどが挙げられる(後述する実施例3〜4、図5〜6を参照のこと)。なお、支持体と堰を一体に製造したものであってもよい。すなわち、エンドレスベルトの幅方向の断面形状が凹形状のものを用い、支持体と堰の双方の働きを持たせても良い。こうした場合、堰の高さの調整ができないことから、同じ製品を工業的に大量生産するような場合に適しているといえる。駆動式の移動方式では、支持体(例えば、エンドレスベルト上の下面シート材)の幅方向の両端部に堰を乗せて、該支持体と同一方向に同一速度で走行(駆動)させるものなどが挙げられる(後述する実施例5、図7を参照のこと)。
【0081】
堰の形状・構造については、特に制限されるものではなく、所期の目的を達成し得るものであればよく、例えば、断面形状が中空体形(図3〜4参照のこと)、円形、楕円形、四角形(図5〜6の正方形および図7の長方形参照のこと)、台形、半円形など、いずれの形状も可能である。
【0082】
堰の材質としては、弾性および可トウ性の少ないものでも使用可能であるが、HIPEに対して膨潤性の少ないもの、HIPEの重合による熱劣化の少ないもの、およびHIPE重合物である多孔質架橋重合体に対して離型性の良好なものが好ましい。
【0083】
堰の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステル樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、パラ系アラミド樹脂、アイオノマー樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、DAP樹脂などの合成樹脂;天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、多硫化ゴムのようなゴム材;ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマーのような熱可塑性エラストマー;ガラス、グラファイトのような無機質充填剤およびポリイミドのような有機充填剤で補強した前記合成樹脂およびゴム材;堰本体の材質とは異なる合成樹脂系被覆層を持つ合成樹脂;ステンレス鋼などからなる金属製中空リングのような金属類;金属と合成樹脂またはゴムとの複合体(合成樹脂をコーティングした金属も含む)などを用いることができる。HIPEに対する耐膨潤性、HIPEの重合に対する耐熱劣化性、HIPE重合物である多孔質架橋重合体に対する離型性などからすると、クロロプレンゴム、シリコンゴムのようなゴム材、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体のようなフッ素樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマーのような熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0084】
また、堰の高さは、HIPEの成形厚みと堰の厚みが同等であれば所望の厚みのHIPE重合物である多孔質架橋重合体が得られることから、HIPEの成形厚みに相当するように適宜決定されるべきものであり、好ましくはHIPEの成形厚みと同様に0.5〜100mmの範囲である。堰の高さが、0.5mm未満の場合には、成形されるHIPEの取り扱いが難しくなる。一方、100mmを超える場合、言い換えれば成形されるHIPEの厚さよりも堰の方が高くなり、両者の間に高低差が生ずる場合には、HIPE上面の酸素量低減のためのシート材などを、HIPE上面に密着させるのが困難となる場合がある。
【0085】
以上が、本発明の重合装置の一実施態様であるが、本発明の製造方法に適用可能な重合装置がこれに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0086】
また、これら重合装置等の材質(上記に説明した堰を除く)に関しては、特に限定されるものではなく、必要な強度(耐久性)や耐食性などの技術的な要求基準を満足する材料の中から、経済性、さらには環境問題やリサイクル性を考慮して最適な材料を適宜選択すればよく、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属(合金を含む)製、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂などの合成樹脂製、これらの合成樹脂をガラス繊維や炭素繊維などの繊維で補強した繊維強化樹脂製(FRP)などを使用できる。なお、加熱昇温手段にマイクロ波を利用して高周波誘電加熱する場合には、装置材料やシート材にアルミニウム等を使用した場合には、(渦電流により)発火するおそれがあるため、その材料の選定には留意する必要がある。
【0087】
(8)多孔質架橋重合体の形態
上記重合工程によって得られる多孔質架橋重合体の形態は、特に制限されるものではなく、上述したHIPEの成形後の形態をとどめたまま重合されて多孔質架橋重合体となるため、HIPEの成形後の形態と同様に任意の形態をとりえる。
【0088】
(9)多孔質架橋重合体のスライス工程
さらに、本発明では、上述したようにHIPEを水平連続重合することにより得られた多孔質架橋重合体を連続的にスライスすることもできる。
【0089】
多孔質架橋重合体の連続的なスライス方法としては、特に制限されるものではなく、従来既知のスライス手段を適当に利用することができる。具体的には、ベルトコンベア方式の横型のエンドレスバンドナイフ等がある。
【0090】
重合後の多孔質架橋重合体を連続的にスライスする場合、例えば、厚さ(n×X)mmの層状の形態に重合してから厚さXmmの板状ないしフィルム状の形態にn−1段階でスライスしてn枚の板状ないしフィルムに加工することもできる。この場合、上記横型のエンドレスバンドナイフを搬送経路上に複数直列に、スライス面(搬送装置からの高さ)を階段状に段階的に変えて配置して順次スライスしていく方法などを採用することができる。
【0091】
また、多孔質架橋重合体のスライス速度は、あまり速くすると多孔質架橋重合体が折れたり割れたりするので、100m/分以下、好ましくは1〜30m/分であることが好ましい。
【0092】
(10)多孔質架橋重合体成形後の後処理(製品化)工程
(a)脱水
重合により、さらに必要により重合後スライス加工により成形された多孔質架橋重合体は、通常、圧縮、減圧吸引およびこれらの組み合わせによって脱水する。一般に、こうした脱水により、使用した水の50〜98%の水が脱水され、残りは多孔質架橋重合体に付着して残る。
【0093】
脱水率は、多孔質架橋重合体の用途などによって、適当に設定する。通常、完全に乾燥した状態での多孔質架橋重合体1g当たり、1〜10gの含水量、あるいは1〜5gの含水量となるように設定すればよい。
【0094】
(b)圧縮
本発明の多孔質架橋重合体は、元の厚みの数分の1に圧縮した形態にすることができる。圧縮したシート状などの形態は、元の多孔質架橋重合体に比べて容積が小さく、輸送や貯蔵のコストを低減できる。圧縮形態の多孔質架橋重合体は、多量の水に接すると吸水して元の厚みに戻る性質があり、吸水速度は元の厚みのものより速くなる特徴がある。
【0095】
圧縮形態にするには、均一に多孔質架橋重合体全体に圧力が加わり、一様に圧縮し得るように、多孔質架橋重合体の形態に応じた圧縮手段を用いればよい。なお、本発明では、重合後も適当な搬送装置を用いて、その後の工程を連続的に追うなうことが望ましく、重合により得られた多孔質架橋重合体を搬送しながら連続して脱水し、その後、所定の間隔に調整したロールやベルト間を通せばよいが、上記の脱水工程での圧縮、あるいは減圧吸引操作によって、通常、幾分かのシート厚みの減少があるので、脱水工程終了後のシート厚みが所定範囲内にあれば、改めて圧縮工程を設ける必要はない。
【0096】
前工程の脱水およびこの圧縮工程で、多孔質架橋重合体を圧縮する時の温度は、多孔質架橋重合体のガラス転移温度より高い温度で行うのが好ましい。当該温度が重合体のガラス転移温度より低いと多孔質構造が破壊されたり、孔径が変化することがある。
【0097】
輸送や在庫スペースの節約、取り扱いやすさの点から、元の厚みの1/2以下に圧縮するのが効果的である。より好ましくは元の厚みの1/4以下に圧縮するのがよい。
【0098】
(c)洗浄
多孔質架橋重合体の表面状態を改良するなどの目的で、多孔質架橋重合体を純水や任意の添加剤を含む水溶液、溶剤で洗浄してもよい。
【0099】
(d)乾燥
以上の工程で得られた多孔質架橋重合体は、必要であれば、熱風、マイクロ波などで加熱乾燥してもよく、また加湿して水分を調整してもよい。
【0100】
(e)切断
以上の工程で得られた多孔質架橋重合体は、必要であれば、所望の形状、サイズに切断して各種用途に応じた製品に加工してもよい。
【0101】
(f)含浸加工
洗浄剤、芳香剤などを含浸加工して機能性を付与することもできる。
【0102】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0103】
実施例1
2−エチルヘキシルアクリレート5.0質量部、55%ジビニルベンゼン3.0質量部の混合物にジグリセリンモノオレエート0.4質量部を添加し均一に溶解し油相を調製した。一方、塩化カルシウム8.0質量部と過硫酸カリウム0.2質量部を純水395質量部に溶解し水相を調製した後、温度55℃に加温した。水相と油相をW/O=48/1の比率で動的混合装置内に連続的に供給して混合、乳化し、HIPE(1)を作製した。
【0104】
次に、図3に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト303と該ベルト303と同期して搬送される幅1.6m、厚み50μmの下部PETフィルム305上の両端部に、外径5.0mm、内径3.0mmのフッ素樹脂PFA製チューブ307に直径2.0mmのステンレスワイヤー309を挿入したガスケット311にテンションをかけた固定方式の堰(311)を持つ幅1.5mの駆動搬送装置301の下部PETフィルム305上にコーターにより1.5m幅、5mm厚みになるように、上記HIPE(1)321を1.9kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム313を乗せた後、上部PETフィルム313への90℃の熱風循環、下部スチールベルト303への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し多孔質架橋重合体(以下、単に「重合物」ともいう)(1)を製造した。幅方向の振れがあるため堰311に接触していた重合物(1)の幅方向の両端部を3mmづつカットしたので収率は99.6%であった。上面は小さな波打ちが認められ、平滑性は若干低下していたが、厚みは5±0.3mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図3に示す。
【0105】
実施例2
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0106】
次に、図4に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト403と該ベルト403と同期して搬送される幅1.6m、厚み50μmの下部PETフィルム405上の両端部に、外径4.6mm、内径2.6mmのステンレス製パイプ407に0.2mm厚みのフッ素系樹脂PTFE409をコートしたガスケット411を固定方式の堰(411)として持つ幅1.5mの駆動搬送装置401の下部PETフィルム405上にコーターにより1.5m幅、5mm厚みになるように、上記HIPE(1)421を1.9kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム413を乗せた後、上部PETフィルム413への90℃の熱風循環、下部スチールベルト403への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し重合物(2)を製造した。幅方向の振れがあるため堰411に接触していた重合物(2)の幅方向の両端部を3mmづつカットしたので収率は99.6%であった。上面は小さな波打ちが認められ、平滑性は若干低下していたが、厚みは5±0.3mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図4に示す。
【0107】
実施例3
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0108】
次に、図5に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト503の両端部に、幅30mm、高さ20mmのクロロプレンゴム511をエポキシ樹脂(図示せず)により接着した移動方式(一体式)の堰(511)を持つ幅1.5mの駆動搬送装置501と同期して搬送される幅1.5m、厚み50μmの下部PETフィルム505上にコーターにより1.5m幅、20mm厚みになるように、上記HIPE(1)521を7.5kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム513を乗せた後、上部PETフィルム513への90℃の熱風循環、下部スチールベルト503への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し重合物(3)を製造した。幅方向の振れがなく、上部PETフィルムの保持性が良好であったので、堰511に接触していた重合物(3)の幅方向の両端部を1mmづつカットしたので収率は99.8%であった。上面は小さな波打ちが認められ、平滑性は若干低下していたが、上部PETフィルムの保持性が良好であったため、厚みは20±0.3mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図5に示す。
【0109】
実施例4
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0110】
次に、図6に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト603の両端部に、幅30mm、高さ20mmのフッ素系PTFE樹脂611をエポキシ樹脂(図示せず)により接着した移動方式(一体式)の堰(611)を持つ幅1.5mの駆動搬送装置601と同期して搬送されるHIPEのシール性も考慮した幅1.64m、厚み12μmの薄い下部PETフィルム605上にコーターにより1.5m幅、20mm厚みになるように、上記HIPE(1)621を7.5kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム613を乗せた後、上部PETフィルム613への90℃の熱風循環、下部スチールベルト603への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し重合物(4)を製造した。離型性の良好なPETフィルムと接していたのでPETフィルムを介して堰611に接触していた重合物(4)の幅方向の両端部をカットする必要性が無くなったため、収率は100%であった。また、上面は小さな波打ちが認められ、平滑性は若干低下していたが、厚みは20±0.3mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図6に示す。
【0111】
実施例5
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0112】
次に、図7に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト703の両端部に、幅5mm、高さ50mmの熱可塑性ポリエステルエラストマー製の移動方式(駆動式)のエンドレスベルト711を堰(711)として持つ幅1.5mの駆動搬送装置701と同期して搬送される幅1.5m、厚み50μmの下部PETフィルム705上にコーターにより1.5m幅、50mm厚みになるように、上記HIPE(1)721を18.8kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム713を乗せた後、上部PETフィルム713への90℃の熱風循環、下部スチールベルト703への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し重合物(5)を製造した。幅方向に振れがないため堰711に接触していた重合物(5)の幅方向の両端部を2mmづつカットしたので収率は99.7%であった。上面は小さな波打ちが認められ、平滑性は若干低下していたが、厚みは50±0.3mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図7に示す。
【0113】
比較例1
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0114】
次に、図8に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト803を駆動搬送装置801とし、該ベルト803と同期して搬送される幅1.6m、厚み50μmの下部PETフィルム805上にコーターにより1.5m幅、5mm厚みになるように、上記HIPE(1)821を1.9kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム813を乗せた後、上部PETフィルム813への90℃の熱風循環、下部スチールベルト803への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し比較重合物(1)を製造した。幅方向の両端部にガスケットのような堰を設置していなかったために、両端部に近い部分での未重合傾向が認められ、かつ両端部に近い部分での厚み精度が低下していたので、比較重合物(1)の幅方向の両端部を10mmづつカットしたので収率は93.3%であった。厚みは5±0.5mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図8に示す。
【0115】
実施例6
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0116】
次に、図9に示すように、水平に設置された幅1.6mのエンドレススチールベルト903と該ベルト903と同期して搬送される幅1.6m、厚み50μmの下部PETフィルム905の上の両端部に、幅30mm、高さ19.6mmのステンレス製角パイプ907に0.2mmの厚みのフッ素系樹脂PTFE909をコートし、外側に振れを防止するための支持棒908(支持棒は重合炉内の側壁とガスケットを接続するためのものである。接合方法は図示せず。)を取付けたガスケットを固定方式の堰911として持つ幅1.5mの駆動搬送装置901の下部PETフィルム905上にコーターにより1.5m幅、20mm厚みになるように、上記HIPE(1)921を7.5kg/分の供給速度で連続的にコートした。続いて幅1.6m、厚み50μmの上部PETフィルム913を乗せた後、上部PETフィルム913への90℃の熱風循環、下部スチールベルト903への90℃温水シャワーが設定された15m長の重合炉を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合し重合物(6)を製造した。幅方向の振れがなく上部フィルムの保持性が良好であったので、堰911に接触していた重合物(6)の幅方向の両端部を1mmづつカットしたので収率は99.8%であった。上面は小さな波打ちが認められ、平滑性は若干低下していたが、厚みは20±0.3mmであった。評価結果を下記表1に示すとともに、上記堰を備えた駆動搬送装置を使ってHIPEを搬送する状態を表す、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を図9に示す。
【0117】
実施例7
実施例1と同様にして、HIPE(1)を作製した。
【0118】
次に、図10(A)および(B)に示すように、リップ幅500mm、リップ間隔1mmのTダイ1023で、有効幅500mmのSUS316製のエンドレススチールベルト1003と、該ベルト1003と同期して搬送される幅600mm、厚み50μmの下部PETフィルム1005の上の両端部に、幅30mm、高さ4.6mmのステンレス製角パイプ1007に0.2mmの厚みのフッ素系樹脂PTFE1009をコートし、外側に振れを防止するための支持棒1008(支持棒は重合炉内の側壁とガスケットを接続するためのものである。接合方法は図示せず。)を取付けたガスケットからなる固定方式の堰1011と、下部PETフィルム1005とからなる可動支持体1001の下部PETフィルム1005上に、HIPE(1)1021を連続的に供給した。その直後に該可動支持体1001の進行方向に対して直角に設置された1枚のナイフコーター1025を通して厚み規制しながらコートした後、上下に2本のロール(上1015/下1017)をニップ型に配置した該ニップロール1019の回転速度と該可動支持体の速度を調整・同期させ、上部PETフィルム1013を乗せた後、固定された平行平板(厚み規制板)1027を設置した。また、図11に示すように、フィルム巻取り機1029のトルクをトルク調整機(図示せず)の出力を適度に選択し、走行方向(上部PETフィルム1013の長手方向)に皺が生じないようにした。続いて、図10(B)および図11に示すように、固定堰1011を設置した状態で、重合炉入口付近より重合炉内にわたってテンションローラーを八の字状に配置し(図示せず)、テンションローラーにより幅方向(上部PETフィルムの短手方向)に張力を作用させながら90℃の熱風循環、下部SUS316製ベルトへの90℃温水シャワーが設置された15m長の重合炉1031を移動速度0.25m/分で通過させて60分で重合させた。得られた重合物(7)は上面には小さな波打ちが認められず、厚みは5±0.1mmであった。幅方向の振れがなく上部PETフィルムの保持性が良好であったので支持棒付の固定堰1011に接触していた重合物(7)の幅方向の両端部を1mmずつカットしたので収率は99.8%であった。
【0119】
【表1】
Figure 0004601812
【0120】
【発明の効果】
本発明に係るHIPEの水平連続による多孔質架橋重合体の製造方法では、HIPEの供給、賦形(成形)から重合の段階までHIPEの厚み精度を規制、制御し厚みを保持する手段として重合時に下面の支持体の両端部に堰を設けることにより、厚み精度の良好な多孔質架橋重合体を製造することができる。HIPEの非ニュートニアンでチキソトロピックな粘性を利用して下面の支持体の幅方向の両端部に堰を設けることにより、両端部含めた厚み出しと厚み保持ができる以外に、HIPEの漏出防止、酸素量低減による未硬化防止、上部フィルム等のシート材の保持性向上効果が発現し得るものである。そのため、歩留まりが良く、同じ製造ロットでの性能及び品質のバラツキが少なく、高品質で高性能な多孔質架橋重合体を安定して高収率に量産し得るものである。
【0121】
本発明に係る多孔質架橋重合体の製造方法では、製造段階での品質が安定し、かつ生産性に優れるため、高品位で高性能な多孔質架橋重合体を安価に得ることができるため、得られた多孔質架橋重合体を(1)液体吸収材;例えば、▲1▼水、尿など排泄物等の吸収材としておむつのコア材などに利用できるほか、▲2▼油、有機溶剤などの吸収材として廃油処理剤、廃溶剤処理剤などに、また(2)エネルギー吸収材;例えば、音、熱の吸収材として自動車、建築用の防音材、断熱材などに、さらに、(3)薬剤含浸基材;例えば、芳香剤、洗浄剤、つや出し剤、表面保護剤、難燃化剤などを含浸させたトイレタリー製品などに幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る水平連続重合に利用することができるエンドレスベルト上を走行するシート材(可動支持体)を含む重合装置の代表的な一実施態様を表す概略側面図である。
【図2】 本発明に係る水平連続重合に利用することができるプレート上を走行するシート材(可動支持体)を含む重合装置の代表的な一実施態様を表す概略側面図である。
【図3】 本実施例1において、HIPEを水平連続重合する際に使用する固定方式の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図4】 本実施例2において、HIPEを水平連続重合する際に使用する固定方式の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な他の一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図5】 本実施例3において、HIPEを水平連続重合する際に使用する移動方式(一体式)の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図6】 本実施例4において、HIPEを水平連続重合する際に使用する移動方式(一体式)の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な他の一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図7】 本実施例5において、HIPEを水平連続重合する際に使用する移動方式(駆動式)の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図8】 本比較例1において、HIPEを水平連続重合する際に使用する堰を備えていない可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図9】 本実施例6において、HIPEを水平連続重合する際に使用する外側に振れを防止するための支持棒を取付けた固定方式の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図であって、HIPEの走行方向に対して垂直な断面概略図を示す。
【図10】 本実施例7において、HIPEを水平連続重合する際に使用する外側に振れを防止するための支持棒を取付けた固定方式の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図を示す。図10(A)は、本実施例7で使用した重合装置、特に、Tダイとナイフコーター2枚を併用してHIPEの供給から厚み規制を行った後、連続的にニップロールで表面平滑性および走行方向の厚み精度を向上させながらシート材(フィルム)で上面をカバーした後に厚み規制板を併用して、HIPEの供給から厚み規制を行うまでの様子を表す概略側面図である。図10(B)は、図10(A)において、HIPEの厚みが規制されかつ外側に振れを防止するための支持棒を取付けた固定方式の堰に接して充満した後の可動支持体の走行方向に対して垂直な断面概略図である。
【図11】 本実施例7において、HIPEを水平連続重合する際に使用する外側に振れを防止するための支持棒を取付けた固定方式の堰を備えた可動支持体を有する駆動搬送装置の代表的な一実施態様を表す概略図であって、連続的にニップロールで表面平滑性および走行方向の厚み精度を向上させながら、HIPEの重合を行うまでの様子を表す、HIPEを搬送する可動支持体の走行方向に対して平行な断面概略図である。
【符号の説明】
119…HIPE供給装置部、
201…エンドレスベルト式のコンベア(駆動搬送装置付き)、
202…ジャケット付き帯状プレート(駆動搬送装置なし)、
203、205…シート材、 207…巻出ロール、
209、211…回転ロール、 213…捲取ロール、
215…重合炉、 217…加熱昇温手段、
219…温水シャワー装置、 220…温水循環用ジャケット、
301、401、501、601、701、801、901…駆動搬送装置、
303、403、503、603、703、803、903、1003…エンドレススチールベルト(下部スチールベルト)、
305、405、505、605、705、805、905、1005…下部PETフィルム、
307…フッ素樹脂PFA製チューブ、
309…チューブに挿入されたステンレスワイヤー、
311…チューブ製のガスケット(の堰)、
313、413、513、613、713、813、913、1013…上部PETフィルム、
321、421、521、621、721、821、921、1021…HIPE(1)、
407…ステンレス製パイプ、
409…パイプにコートされたフッ素系樹脂PTFE、
411…パイプ製のガスケット(の堰)、
511…クロロプレンゴム(の堰)、
611…フッ素系PTFE樹脂(の堰)
711…熱可塑性ポリエステルエラストマー製のエンドレスベルト(の堰)、
907、1007…ステンレス製角パイプ、
908、1008…支持棒、 909、1009…フッ素系樹脂PTFE、
911、1011…固定堰、 1001…可動支持体、
1015…上ロール、 1017…下ロール、
1019…ニップロール、 1023…Tダイ、
1025…ナイフコーター、 1027…平行平板(厚み規制板)、
1029…フィルム巻取り機、 1031…重合炉。

Claims (7)

  1. 油中水型高分散相エマルションを水平連続重合することによる多孔質架橋重合体の製造方法であって、
    駆動搬送装置のほぼ水平に走行する可動支持体上に該油中水型高分散相エマルションを供給し、
    該エマルションを水平連続重合するのに用いるエマルションの可動支持体の幅方向の両端部に堰を使用することを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。
  2. 前記堰の高さが、0.5〜100mmの範囲である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記油中水型高分散相エマルションが、(a)分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および(b)分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体からなる単量体組成物、(c)界面活性剤、(d)水並びに(e)重合開始剤を必須成分として含むことを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  4. 前記油中水型高分散相エマルションが、さらに(f)塩類を含有することを特徴とする請求項3に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  5. 前記油中水型高分散相エマルションは、水相/油相の比率(質量比)が、10/1〜100/1の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  6. 多孔質架橋重合体が、液体吸収材、エネルギー吸収材、薬剤含浸基材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  7. 前記油中水型高分散相エマルションの温度は、20〜100℃で、剪断速度1[s −1 ]と100[s −1 ]の粘度比(η /η 100 )が5以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
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