JP4601586B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、遊技球を発射装置から発射し、この発射球を発射領域から遊技領域へ案内するパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
従来の遊技機(例えば、パチンコ機)は、遊技盤における遊技領域の側方に、発射装置から発射された発射球を遊技領域に誘導する発射領域が同一平面上に並べて設けられていた。また、遊技盤には、識別情報の変動表示を行う変動表示装置が設けられ、始動条件の成立により変動表示装置を変動表示して該変動表示の停止結果が特定態様となると、特別遊技状態を発生することにより遊技の興趣を高めている。そして、近時は、変動表示装置が大型化しており、遊技領域として充分な面積を確保することが困難になりつつある。そこで、遊技領域の面積を確保するために、特許文献1に開示された遊技機では、発射領域と遊技領域とを前後に重層させ、発射領域の先端に前後方向(遊技領域側)に傾斜する連絡通路を設け、発射領域を通過した遊技球を連絡通路の前後内壁部に沿わせながら遊技領域へ導くように構成している。
特開2004−208815号公報
しかし、上記特許文献に記載の遊技機においては、発射球を連絡通路の前後内壁部に沿わせて遊技領域に導いているため、発射球が連絡通路の前後内壁部に衝突してしまい、この衝突により遊技球の滑らかな誘導が阻害されて所謂ムラ飛び(遊技球が一定の強さで遊技領域に到達しない現象)を生じ、遊技の興趣を減殺することになる。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発射領域と遊技領域とを前後に重層させて遊技領域の拡大化を図り、発射領域の先端に連絡通路を設けて発射球を遊技領域へ導くようにしても、ムラ飛び現象が発生し難い遊技機を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、発射位置から発射された発射球が上昇して通過する発射領域と、遊技盤の表面に区画形成され、発射領域を通過した発射球が到達してから流下する途中で遊技を行う遊技領域と、該遊技領域の前方を覆う平板状の透明部材と、を備え、
前記発射領域を前記遊技領域の側部寄りの前方に重層させ、前記発射領域の先端に、上昇するにつれて遊技領域側に近づく方向に傾斜した前後傾斜面を有する傾斜流路を接続し、該傾斜流路の終端を遊技領域に接続させた遊技機において、
少なくとも前記発射領域および傾斜流路のうち、当該発射領域および当該傾斜流路を挟んで前記遊技領域の中央部分とは反対側に位置する一側部に、発射球を沿わせて前記遊技領域へ誘導するバンド状の誘導部材を設け、
該誘導部材は、当該誘導部材のうち前記遊技盤の表面側に位置する縁を後端縁とするとともに、当該誘導部材を挟んで前記遊技盤の表面とは反対側に位置する縁を前端縁とし、
発射球の上昇方向を遊技領域側へ向かう方向へ変化させるように当該誘導部材の後端縁側よりも前端縁側が前記遊技領域の中央寄りに位置する方向に傾斜する第1傾斜部と、
該第1傾斜部よりも上方に配置され、第1傾斜部により変化した発射球の上昇方向を遊技領域に沿う方向へ変化させるように当該誘導部材の端縁側よりも端縁側が前記遊技領域の中央寄りに位置する方向に傾斜する第2傾斜部と、
を備えたことを特徴とする遊技機である。
請求項2に記載のものは、前記誘導部材は、当該誘導部材の前端縁側を後端縁側の正面に配置して誘導維持部とし、この誘導維持部を第2傾斜部の上方に備え、発射領域内を上昇する発射球の前後移動方向を維持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
請求項3に記載のものは、前記発射領域内を上昇する発射球が誘導部材に当たる当接位置を傾斜流路の傾斜面よりも発射位置側に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機である。
請求項4に記載のものは、前記透明部材は、平板を前記遊技領域の前方に向かって凹ませた凹部を有し、該凹部によって発射領域および傾斜流路を覆うように構成するとともに、凹部の側壁に沿わせて誘導部材を設け、
前記凹部の側壁は、誘導部材の当接位置と対向する部分を外方に凹ませることにより、誘導部材との間に空隙部を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技機である。
請求項5に記載のものは、前記第2傾斜部の始端を傾斜流路の終端よりも発射位置側に設定したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機である。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも前記発射領域および傾斜流路のうち、当該発射領域および当該傾斜流路を挟んで前記遊技領域の中央部分とは反対側に位置する一側部に、発射球を沿わせて前記遊技領域へ誘導するバンド状の誘導部材を設け、該誘導部材は、当該誘導部材のうち前記遊技盤の表面側に位置する縁を後端縁とするとともに、当該誘導部材を挟んで前記遊技盤の表面とは反対側に位置する縁を前端縁とし、発射球の上昇方向を遊技領域側へ向かう方向へ変化させるように当該誘導部材の後端縁側よりも前端縁側が前記遊技領域の中央寄りに位置する方向に傾斜する第1傾斜部と、該第1傾斜部よりも上方に配置され、第1傾斜部により変化した発射球の上昇方向を遊技領域に沿う方向へ変化させるように当該誘導部材の端縁側よりも端縁側が前記遊技領域の中央寄りに位置する方向に傾斜する第2傾斜部とを備えたので、発射領域を上昇する発射球が遊技盤や透明部材に衝突する不都合を抑えることができ、発射球を遊技領域へ円滑に誘導することができる。したがって、発射球の所謂ムラ飛び現象の発生を抑制することができ、安定した飛距離と方向で発射操作できる。これにより、遊技の興趣の減殺を阻止することができる。また、発射球が衝突して遊技盤が損傷する不都合、または透明部材が損傷する不都合を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、誘導部材は、当該誘導部材の前端縁側を後端縁側の正面に配置して誘導維持部とし、この誘導維持部を第2傾斜部の上方に備え、発射領域内を上昇する発射球の前後移動方向を維持するようにしたので、第2傾斜部により遊技領域に沿う方向へ誘導された発射球がその前後移動方向へ余計な変化を加えられることがない。したがって、安定した状態で遊技領域に発射球を誘導することができる。
請求項3に記載の発明によれば、発射領域内を上昇する発射球が誘導部材に当たる当接位置を傾斜流路の傾斜面よりも発射位置側に設定したので、発射球が傾斜流路の傾斜面に衝接するよりも前に誘導部材に当り、その後は誘導部材に誘導されながら上昇方向を変えて遊技領域内に飛入することになる。したがって、発射球の所謂ムラ飛び現象の発生を抑制することができ、安定した飛距離と方向で発射操作できる。
請求項4に記載の発明によれば、透明部材は、平板を前記遊技領域の前方に向かって凹ませた凹部を有し、該凹部によって発射領域および傾斜流路を覆うように構成するとともに、凹部の側壁に沿わせて誘導部材を設け、凹部の側壁は、誘導部材の当接位置と対向する部分を外方に凹ませることにより、誘導部材との間に空隙部を形成したので、透明部材の強度を凹部によって高めることができる。また、凹部の側壁における誘導部材の当接位置と対向する部分が空部となる。したがって、側壁が直接に発射球の衝撃力を受けるのではなく、この凹部の上方または下方の壁面で衝撃力を分散して受けることができ、これにより側壁に伝わる衝撃を和らげることができる。また、両側の壁面同士が単に離れているのでなく、誘導部材との間に空隙部を形成するように凹んでいるので、透明部材に凹部を形成したことにより増した強度を損なうことなく、発射球の衝撃力を凹部全体で受けることができ、透明部材の耐久性が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、第2傾斜部の始端を傾斜流路の終端よりも発射位置側に設定したので、遊技盤に衝突する前に、発射球の上昇方向を遊技領域に沿う方向へ変化させることができる。したがって、発射球のムラ飛び現象の発生を一層抑制することができるとともに、遊技盤に発射球が衝突して損傷する不都合を抑えることができる。
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の最良の形態を図面に基づき説明する。図1は前面側を開放した状態のパチンコ遊技機の斜視図である。
パチンコ遊技機1は、外枠(機枠あるいは本体枠)2に前面枠(内枠)3を開閉可能に軸着し、この前面枠3のベースとなる略額縁状の前面枠本体4に矩形状の遊技盤5を収納可能とし、遊技盤5の表面には、区画部材(サイドケース)7を配置して略円形状の遊技領域8を区画形成し、該遊技領域8内に表示装置や入賞口等の役物(いずれも図示せず)を配設し、遊技領域8の上部から流下してくる遊技球が入賞口等に入賞するかにより遊技を行えるように構成してある。また、前面枠3の前面側には、一側(図1中、右側)が軸着された透明部材保持枠9を開閉(回動)可能に設け、該透明部材保持枠9に透視可能な透明部材ユニット10を収納し、透明部材ユニット10の一側には、遊技球を遊技領域8内へ案内するための縦長な発射領域(発射案内路)11を形成している。そして、透明部材保持枠9を閉じると、遊技盤5が透明部材保持枠9により覆われるとともに、透明部材ユニット10に設けられた平板状の透明部材12と発射領域11とが遊技領域8の前方(詳しくは遊技領域8の側部寄りの前方)に配置(重層)され、発射領域11と遊技領域8とを透明部材12で前方から覆う状態に設定され、透明部材12を通して発射領域11の後方に重層された遊技領域8も含めてすべての遊技領域8を前方から視認できるように構成している。なお、発射領域11の後方開口は、透明部材保持枠9を閉じると、区画部材7の前面7′により下半部分が塞がれる。
さらに、透明部材保持枠9の下方には、一側(図1中、右側)が軸着された横長な貯留皿ユニット14を開閉(回動)可能に備え、該貯留皿ユニット14の側方(図1中、右側方)には、後述する発射装置15を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)16を備えている。
透明部材保持枠9は、図2に示すように、大きな開口部を開設した合成樹脂製の枠体であり、大きな開口部内に透明部材ユニット10を裏側から嵌装してある。透明部材ユニット10は、図3および図4に示すように、透明な合成樹脂板を略馬蹄形に成形するとともに一側に縦長な溝状の発射領域11を一体成形した透明部材12と、発射領域11内の一側部(詳しくは、発射領域11を挟んで遊技領域8の中央部分とは反対側に位置する一側部)に縦方向に取り付けたバンド状の誘導部材18と、該誘導部材18の裏側に設けた背当て部材20とから概略構成されている。発射領域11は、透明部材12の裏面側から前方の表側に凹ませた断面コ字状の溝(凹部)であり、溝の深さ(透明部材12の裏面から溝の底までの空間の寸法)は遊技球の直径よりも少し大きな寸法に設定され、また、左右幅は、下端が最も幅広であって、上昇するに従って次第に幅員が減少し、幅狭となった上部であって次第に円弧状に湾曲した部分(発射領域11の先端)においては溝の底面に相当する面が前後傾斜面21として形成され、上昇するにつれて遊技領域8側(言い換えると、遊技盤5の表面側)に近づく方向に傾斜しており、この部分が傾斜流路25として機能し、その終端が遊技領域8に接続している。そして、本実施形態では、発射領域11の幅員を次第に減少させるために、外側に位置する溝内面(側壁の内面)はほぼ垂直に起立した状態で形成し、この溝内面とは反対側の溝内面、すなわち遊技領域8の中央に近い側の溝内面を、上昇するに従って反対側の溝内面に近づけることで幅員が次第に狭くなるように形成している。また、発射領域11の上半部分と傾斜流路25の一側部(外側の溝内面)に、発射球を沿わせて遊技領域8に向けて誘導するバンド状の誘導部材18を設けてある。
誘導部材18は、ステンレスバンド等の金属帯板材により作製されて弾性を有しており、その上端と下端には円弧の外側にコ字状に屈曲した引っ掛け止着部18a,18bを形成し、図5および図6に示すように、上端の引っ掛け止着部18aを傾斜流路25の先方に形成したコ字状の嵌合溝部26内に嵌合し、下端の引っ掛け止着部18bをレバー状に成形された弾力調整部材27の嵌合溝部28内に嵌合してカバー27′を被せ、この弾力調整部材27を、外側の溝内面の途中に形成した切欠部29内の止着部30に回動可能に軸着した状態で発射領域11の一側に装着されている。したがって、弾力調整部材27の回動角度を調整すると、誘導部材18の張り具合を調整することができ、背後に配設した背当て部材20への押圧を調整でき、これにより誘導部材18は、弾力を調節した状態で発射領域11の一側に装着される。なお、弾力調整部材27は、自由端側の孔31内に挿通したピン(図示せず)を、切欠部29側に開設された複数の止着調整孔32のいずれに差し込んで止着するかによって誘導部材18の張り具合を段階的に調整することができる構成を採っているが、誘導部材18の弾力を調整することができればどのような構成でも良い。
また、このようにして円弧状に装着した誘導部材18は、発射球の上昇方向(移動方向)を変化させながら誘導できるように、図7に示すように、僅かに捩れた状態に設定されている。具体的に説明すると、誘導部材18のうち発射装置15側に位置する下側部分においては、誘導部材18の取付基端縁側である後端縁(遊技盤5の表面側に位置する後端縁)18r側よりも先端縁側である前端縁(誘導部材18を挟んで遊技盤5の表面とは反対側に位置する前端縁)18f側が遊技領域8の中央側、すなわち、発射領域11と傾斜流路25の他側寄りに位置する傾斜状態に設定して第1傾斜部34を形成している。したがって、第1傾斜部34では、後端縁18r側の半径Rrが前端縁18f側の半径Rfよりも大きく設定されている。また、発射領域11内を勢い良く上昇して発射球が第1傾斜部34に当って、その後、当該発射球が第1傾斜部34に沿って上昇するにつれて、その上昇方向を遠心力によって遊技領域8側(すなわち後側)へ向かう方向へ変化させるように構成されている。
さらに、誘導部材18のうち第1傾斜部34よりも上方の上側部分においては、誘導部材18の後端縁18r側よりも前端縁18f側が遊技領域8の外方、すなわち発射領域11と傾斜流路25の一側寄りに位置する傾斜状態、言い換えると、第1傾斜部34の傾斜姿勢とは反対の傾斜姿勢(詳しくは誘導部材18の前端縁18f側よりも後端縁18r側が遊技領域8の中央寄りに位置する方向に傾斜する姿勢)に設定して第2傾斜部35を形成している。したがって、第2傾斜部35では、前端縁18f側の半径Rfが後端縁18r側の半径Rrよりも大きく設定されている。また、下方の第1傾斜部34に沿って上昇したことにより変化した発射球の上昇方向を遊技領域8(具体的には、遊技領域8が区画形成される遊技盤5の表面)に沿う方向へ変化させるように構成されている。なお、第2傾斜部35は、図11に示すように、その始端(下端)sを傾斜流路25の終端eよりも下方の発射装置15側(後述の発射位置側)に設定している。
そして、第2傾斜部35よりも上方に位置する先端部、詳しくは、第2傾斜部35から上端の引っ掛け止着部18aまでの間においては、誘導部材18の前端縁18f側を後端縁18r側の正面に配置、言い換えると、前端縁18f側の半径Rfと後端縁18r側の半径Rrとを等しく設定して誘導維持部36を形成している。したがって、下方の第2傾斜部35に沿って上昇したことにより変化した発射球の移動方向(上昇方向)のうち、前後へ移動する方向(前後移動方向)を維持できるように構成されている。なお、第1傾斜部34と第2傾斜部35との境界部分においても、誘導部材18の前端縁18f側を後端縁18r側の正面に配置、言い換えると、前端縁18f側の半径Rfと後端縁18r側の半径Rrとを等しく設定している。
また、この誘導部材18を設ける範囲は、発射領域11の外側の溝内面の略垂直部分のほぼ半分から上の部分であり、図8に示すように、後述する発射装置15による発射動作によって発射された発射球が発射領域11内を垂直方向に上昇して誘導部材18に当たる当接位置Pを、第1傾斜部34で遊技領域8側への誘導を行わなかった場合における傾斜流路25の前後傾斜面21の仮想当接点Pよりも下方、すなわち後述の発射位置側に設定してある。したがって、本発明における発射球は、傾斜流路25のPで前後傾斜面21に当たるよりも先に当接位置Pで誘導部材18に当り、これにより発射球は第1傾斜部34と誘導部材18の弾力とで跳ね返されて遊技領域8側に円滑に誘導されながら上昇する。この円滑な誘導が行われるため、発射装置15により発射された発射球が遊技領域8内に飛入する位置が安定し、所謂ムラ飛び現象の発生を抑制することができる。さらに、誘導部材18は、弾性を有し、且つその弾性力を調整可能としたので、発射球が接触した時の大きすぎる跳ね返りを抑制して過不足のない跳ね返りに設定することができ、これによりムラ飛び現象の発生を一層確実に抑制することができる。
さらに、図3および図10(b)に示すように、誘導部材18を沿わせて設けた溝内面(側壁の内面)のうち、発射球が接触する誘導部材18(詳しくは第1傾斜部34)の当接位置Pの外側部分であってその下方から上方に亘る範囲、換言すると、誘導部材18の当接位置Pと対向する側壁の一部を外方に凹ませることにより、誘導部材18との間に空隙部40を形成する。このように、誘導部材18の外側に空隙部40を形成すると、凹部の側壁における誘導部材18の当接位置Pと対向する部分が空部となるので、側壁が直接に発射球の衝撃力を受けるのでなく、この凹部の上方または下方の壁面で衝撃力を分散して受けることができる。したがって、側壁に伝わる衝撃を和らげることができる。また、両側の壁面同士が単に離れているのでなく、誘導部材18との間に空隙部40を形成するように凹んでいるので、透明部材12に凹部を形成したことにより増した強度を損なうことなく、発射球の衝撃力を凹部全体で受けることができ、透明部材12の耐久性が向上する。また、誘導部材18の外側に円弧状の空隙部40を形成しておくと、誘導部材18が撓み易くなり、発射球を柔らかく受けることができる。
前面枠本体4は、矩形状の開口部を上寄りに開設した合成樹脂製枠体であり、図1に示すように、開口部の周縁に額縁状の遊技盤収納部42を備え、遊技盤収納部42内に遊技盤5を着脱可能な状態で収納するように構成されている。また、遊技盤収納部42の下方にボード部43を備え、該ボード部43の上端に遊技盤載置部(図示せず)を設け、該遊技盤載置部上に遊技盤5の下端を載置することで、遊技盤5の上下方向の位置を規制できるように構成されている。さらに、ボード部43の一側寄り(図1中、左寄り)の上部には、前面枠本体4の裏側の球排出装置(図示せず)から供給される賞球あるいは貸球としての遊技球を貯留皿ユニット14へ排出する球排出口44を開設している。そして、ボード部43の他側寄り(図1中、右寄り)、すなわち発射操作ユニット16寄りの位置には、貯留皿ユニット14の自由端部を係止可能なロック係止受部45を設け、該ロック係止受部45に貯留皿ユニット14の自由端部を係止して貯留皿ユニット14を前面枠本体4に対して閉状態に維持できるように構成されている。
貯留皿ユニット14は、遊技球を貯留し、この貯留した遊技球を弾発して遊技盤5の遊技領域8へ発射するためのユニットであり、図1に示すように、横長なベースパネル(開閉部材)48を備え、該ベースパネル48の一端部(図1中、右端部)には、ベースパネル48を前面枠本体4に対して開閉可能な状態で軸着する軸着部(ヒンジ部)49を配置し、他側部(図1中、左側部)には、ロック係止受部45に係止可能なロック係止部50を配置している。また、ベースパネル48の前面側には、遊技球を貯留可能な皿部材52と、該皿部材52の前側部およびベースパネル48の前面側全体を覆うカバー部材53とを配置している(図9参照)。さらに、ベースパネル48の後面側には、球排出口44から排出された遊技球(賞球または貸し球)、あるいは発射装置15から発射されたが遊技領域8まで到達せずに発射領域11を逆流してきた遊技球(ファール球)を流下させる横長な球流下樋55と、該球流下樋55の下流端に接続され、球流下樋55を流下する遊技球を貯留皿ユニット14の下方へ抜き出す球抜機構56(図1参照)と、皿部材52に貯留された遊技球を遊技領域8へ向けて発射する発射装置15とを配置している。
なお、球流下樋55は、図9に示すように、その上流部(図9中、右側部)を発射装置15の上方に配置し、この上流部の前後幅を下流部の前後幅よりも広く設定して略箱状の球受部56を形成し、該球受部56の後部に球受開口57を開設して、球受開口57と球排出口44とが連通、すなわち球流下樋55と球排出口44とが連通するように構成されている。また、球受部56の上部を開放して発射領域11の下端に連通し、発射領域11を逆流してきたファール球を球受部56に受け入れるように構成されている。さらに、球受部56の底部には、発射装置15と発射領域11とを連通(接続)する発射接続路58を上下に貫通する状態で配置している。
そして、図1に示すように、ベースパネル48の上側のうち自由端寄り、すなわち軸着部49とは反対寄りの部分には、前後に貫通する流下開口(図示せず)を開設し、球流下樋55をベースパネル48の自由端側へ下り傾斜した状態、言い換えると球排出口44の前方から流下開口へ向けて下り傾斜した状態で設定し、流下開口を介して皿部材52の内側(詳しくは皿部材52の内側の上部)と球流下樋55の下流端とを連通している。また、貯留皿ユニット14は、球排出口44から排出された遊技球(賞球あるいは貸球)を球流下樋55、流下開口、皿部材52を経て発射装置15へ供給するように構成されている。
次に、発射装置15について説明する。
貯留皿ユニット14の裏側に装着された発射装置15は、図9に示すように、当該発射装置15の基部となる発射ベース62と、当該発射装置15に供給された遊技球を往復回動動作により弾発する打球発射杵63と、該打球発射杵63を駆動するロータリーソレノイド等の回動駆動源(図示せず)と、打球発射杵63の回動範囲を規制する回動規制部65と、打球発射杵63に接続されてその動きを球送り部材66に伝えて連動させるリンク機構67とを備えて構成され、後方に位置する前面枠本体4のボード部43に対向する状態で配置されている。
発射ベース62は、発射装置15を貯留皿ユニット14へ取り付けるための後方開放箱状の部材であり、その内部に打球発射杵63および回動規制部65を収容している。また、発射ベース62の前側にはロータリーソレノイドを配置し、該ロータリーソレノイドの出力軸(発射回動軸)58を当該発射ベース62の中央部分よりも上寄りの位置を貫通して後方へ突出し、発射回動軸68の先端(後端)に打球発射杵63を軸着している。
また、発射ベース62の後面側のうち発射回動軸68の突出部分よりも上方には、遊技球を1個ずつ整列した状態で流下可能な球送り流路(整列路)69を一側(図9中、右側)へ下り傾斜した姿勢で配置している。そして、球送り流路69の上流端を前方へ延設してベースパネル48を前後に貫通し、この貫通端部を皿部材52の傾斜下端に接続し、遊技球を皿部材52から球送り流路69へ導入できるように構成されている。さらに、球送り流路69の下流部(図9中、右側部)を下方へ屈曲し、この屈曲部に球送り部材66を回動自在な状態で配置している。また、球送り流路69の下流端の側方(図9中、右側方)には、球送り流路69から供給された遊技球を1個保持可能な弾発球保持部70を備え、該弾発球保持部70に保持される遊技球の配置空間部を発射位置としている。そして、該弾発球保持部70の下部を開放して後述する打球発射杵63の弾発部63′を発射位置へ下方から進入可能とし、弾発球保持部70および発射位置の上方には、発射領域11の下端と発射位置とを上下に連通可能な発射接続路58を備え、遊技球が発射位置から発射接続路58を介して透明部材保持枠9の発射領域11へ飛翔できるように構成されている。
打球発射杵63は、ロータリーソレノイドの発射回動軸68に止着される軸着部分から縦長な杵部を発射位置側へ僅かに屈曲した状態で延設し、該杵部の先端部には、遊技球を弾発する弾発部63′を発射位置側(右側)へ向けて突設している。そして、ロータリーソレノイドの駆動力により発射回動軸68を揺動中心にして、弾発部63′を発射位置へ向けて移動(回動)する第1動作と、自重により弾発部63′を発射位置から離れる方向に戻り回動する第2動作とを行って揺動するように構成されている。さらに、打球発射杵63のうち軸着部分(発射回動軸68)を挟んで杵部と反対側には、回動規制部65に衝突可能な発射ストッパー71を杵部の延設方向とは異なる方向(杵部の延設方向から「へ」字状に屈曲した方向)へ向けて突設し、発射ストッパー71および杵部を回動規制部65に交互に係合(当接)することで、打球発射杵63の回動範囲を規制するように構成されている。
回動規制部65は、該打球発射杵63と衝突して打球発射杵63の回動動作を規制するための厚肉な円筒状の部材であり、衝撃を吸収し易い材料、例えばゴム材等の弾性体で形成されている。
このような構成からなる発射装置15から遊技球が発射されると、この発射球は、発射位置から発射接続路58を介して透明部材保持枠9の発射領域11へ飛翔し、この発射領域11内を上昇する(図10(a)および図11参照)。そして、前記したように、傾斜流路25の前後傾斜面21のPよりも下方に設定した位置Pで誘導部材18の第1傾斜部34に、大きな入射角度(すなわち、誘導部材18と僅かな角度で交差する状態)で接触し、その後は誘導部材18の内面に沿って上昇する。この上昇時において、第1傾斜部34が遊技領域8側に倒れた傾斜状態で装着されているので、発射球はこの第1傾斜部34により遊技領域8側(後方)に案内される(図10(b)および図11参照)。したがって、発射領域11の上端部分に形成された前後傾斜面21に当る前に遊技領域8側へ向けて案内されることとなる。これにより、遊技領域8内に飛入する位置が発射球ごとに大きくずれることを抑制でき、円滑に飛入させることができる。このため、遊技者の発射勢の調整行為を反映させた遊技となり、ムラ飛び現象による遊技の興趣の低下を防止することができる。
そして、発射球が前後傾斜面21に衝突することなく傾斜流路25を上昇して後方の遊技領域8へ近づき、この状態で第1傾斜部34を通過して第2傾斜部35へ移動すると、発射球は、第2傾斜部35により遊技領域8側とは反対方向、すなわち遊技領域8から離れる方向(前方)へ案内される(図10(c)参照)。したがって、第2傾斜部35との接触により、第1傾斜部34の通過時に設定された移動方向、詳しくは前後へ移動する方向(前後移動方向)を修正し、図11に示すように、遊技領域8(遊技盤5の表面)に対する入射角度を第1傾斜部34の通過時よりも大きくなるように変更する。すなわち、発射球の飛翔軌道を前方へ引き起こして、発射球の移動方向と遊技盤5の表面とのなす角度を第1傾斜部34の通過時よりも小さくする。また、第2傾斜部35においては、その始端を傾斜流路25の終端よりも発射位置側に設定しているので、遊技盤5に衝突する前に、発射球の上昇方向を遊技領域8に沿う方向へ変化させることができる。したがって、発射球のムラ飛び現象の発生を一層抑制することができるとともに、遊技盤5に発射球が衝突して損傷する不都合を抑えることができる。
この軌道修正状態で第2傾斜部35を通過して誘導維持部36へ移動すると、発射球は、修正された前後移動方向を維持しながら飛翔する(図10(d)参照)。したがって、誘導維持部36を通過する際には、第2傾斜部35により遊技領域8に沿う方向へ誘導された発射球がその前後移動方向へ余計な変化を加えられることがない。これにより、遊技領域8や透明部材12に衝突せずに安定した状態で遊技領域8に発射球を誘導することができる。
このようにして発射球は、第1傾斜部34、第2傾斜部35および誘導維持部36により前後移動方向を調整され、前方の透明部材12の前後傾斜面21や後方の遊技盤5の表面に衝突する不都合を押えながら上昇し、最終的には誘導維持部36を通過して遊技領域8内へ飛入する。したがって、発射球を遊技領域8へ円滑に誘導することができる。したがって、発射球の所謂ムラ飛び現象の発生を抑制することができ、安定した飛距離と方向で発射操作できる。これにより、遊技の興趣の減殺を阻止することができる。また、発射球が衝突して遊技盤5が損傷する不都合、または透明部材12が損傷する不都合を抑制することができる。
そして、第2傾斜部35による発射球の移動調整で遊技盤5の表面に対する入射角度を大きく設定、具体的には、発射球の移動方向を遊技盤5の表面に沿うように設定しているので、仮に、遊技領域8へ飛入した発射球が遊技盤5の表面に衝突したとしても、この発射球は前方へ弾み難い。したがって、遊技領域8の前方の透明部材12に衝突し難い。これにより、遊技盤5の損傷または透明部材12の損傷を抑制することができる。
また、透明部材12は、平板を遊技領域8の前方に向かって凹ませた凹部を有し、該凹部によって発射領域11及び傾斜流路25を覆うように構成したので、透明部材12の強度を凹部によって高めることができる。さらに、凹部の側壁に沿わせて誘導部材18を設け、凹部の側壁は、誘導部材18の当接位置P1と対向する部分を外方に凹ませることにより、誘導部材18との間に空隙部40を形成したので、凹部の側壁における誘導部材18の当接位置P1と対向する部分が空部となる。したがって、側壁が直接に発射球の衝撃力を受けるのではなく、この凹部の上方または下方の壁面で衝撃力を分散して受けることができ、これにより側壁に伝わる衝撃を和らげることができる。また、両側の壁面同士(凹部の溝内面同士)が単に離れているのでなく、誘導部材18との間に空隙部40を形成するように凹んでいるので、透明部材12に凹部を形成したことにより増した強度を損なうことなく、発射球の衝撃力を凹部全体で受けることができ、透明部材12の耐久性が向上する。
ところで、上記実施形態では、誘導部材18は、発射領域11の上半部分と傾斜流路25の一側部に設けられたが、本発明はこれに限定されず、少なくとも発射領域11と傾斜流路25の一側部に設けられれば、どのような長さに設定されてもよい。例えば、誘導部材18の上端部を円弧状に延長して、区画部材7のうち遊技領域8を挟んで発射領域11とは反対側の区画縁部(内側縁部)に沿わせてもよい。
また、上記実施形態では、遊技領域8の前方に発射領域11を配置して発射領域11と遊技領域8とを重層したが、本発明はこれに限定されない。要は、発射領域と遊技領域とが前後に重層していればよい。したがって、遊技盤の前面側に遊技領域を区画形成し、遊技盤の後方に発射領域を配置(重層)し、発射領域の上端部を遊技盤に貫通して遊技領域に連通してもよい。すなわち、発射領域の一端部(上端部)を遊技領域の前方に配置し、他端部(下端部)を遊戯旅域の後方に配置して発射領域と遊技領域とを重層してもよい。
そして、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、発射位置から発射された発射球が通過する発射領域と、遊技盤の表面に区画形成された遊技領域とを前後に重層させ、発射領域と遊技領域とを平板状の透明部材で前方から覆い、発射領域の先端に傾斜流路を接続し、該傾斜流路の終端を遊技領域に接続させた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
透明部材保持枠および貯留皿ユニットを開放した状態におけるパチンコ遊技機の斜視図である。 透明部材保持枠の正面図である。 透明部材ユニットの分解斜視図である。 開状態の透明部材保持枠における発射領域の拡大斜視図である。 誘導部材の上端部を止着する部分の拡大斜視図である。 誘導部材の下端部を止着する部分の拡大斜視図である。 弾力調整部材を止着した誘導部材の正面図および部分断面図である。 図2における透明部材ユニットのA−A断面図である。 発射装置とその周囲の斜視図である。 図2における透明ユニットの部分断面図であり、(a)はB−B断面図、(b)はC−C断面図、(c)はD−D断面図、(d)はE−E断面図である。 誘導部材に誘導される遊技球の挙動を示す概略図である。
符号の説明
1 パチンコ遊技機
3 前面枠
5 遊技盤
7 区画部材
8 遊技領域
9 透明部材保持枠
10 透明部材ユニット
11 発射領域
12 透明部材
14 貯留皿ユニット
15 発射装置
16 発射操作ユニット
18 誘導部材
20 背当て部材
21 前後傾斜面
25 傾斜流路
34 第1傾斜部
35 第2傾斜部
36 誘導維持部
40 空隙部
62 発射ベース
63 打球発射杵
65 回動規制部
69 球送り流路

Claims (5)

  1. 発射位置から発射された発射球が上昇して通過する発射領域と、遊技盤の表面に区画形成され、発射領域を通過した発射球が到達してから流下する途中で遊技を行う遊技領域と、該遊技領域の前方を覆う平板状の透明部材と、を備え、
    前記発射領域を前記遊技領域の側部寄りの前方に重層させ、前記発射領域の先端に、上昇するにつれて遊技領域側に近づく方向に傾斜した前後傾斜面を有する傾斜流路を接続し、該傾斜流路の終端を遊技領域に接続させた遊技機において、
    少なくとも前記発射領域および傾斜流路のうち、当該発射領域および当該傾斜流路を挟んで前記遊技領域の中央部分とは反対側に位置する一側部に、発射球を沿わせて前記遊技領域へ誘導するバンド状の誘導部材を設け、
    該誘導部材は、当該誘導部材のうち前記遊技盤の表面側に位置する縁を後端縁とするとともに、当該誘導部材を挟んで前記遊技盤の表面とは反対側に位置する縁を前端縁とし、
    発射球の上昇方向を遊技領域側へ向かう方向へ変化させるように当該誘導部材の後端縁側よりも前端縁側が前記遊技領域の中央寄りに位置する方向に傾斜する第1傾斜部と、
    該第1傾斜部よりも上方に配置され、第1傾斜部により変化した発射球の上昇方向を遊技領域に沿う方向へ変化させるように当該誘導部材の端縁側よりも端縁側が前記遊技領域の中央寄りに位置する方向に傾斜する第2傾斜部と、
    を備えたことを特徴とする遊技機。
  2. 前記誘導部材は、当該誘導部材の前端縁側を後端縁側の正面に配置して誘導維持部とし、この誘導維持部を第2傾斜部の上方に備え、発射領域内を上昇する発射球の前後移動方向を維持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記発射領域内を上昇する発射球が誘導部材に当たる当接位置を傾斜流路の傾斜面よりも発射位置側に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
  4. 前記透明部材は、平板を前記遊技領域の前方に向かって凹ませた凹部を有し、該凹部によって発射領域および傾斜流路を覆うように構成するとともに、凹部の側壁に沿わせて誘導部材を設け、
    前記凹部の側壁は、誘導部材の当接位置と対向する部分を外方に凹ませることにより、誘導部材との間に空隙部を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技機。
  5. 前記第2傾斜部の始端を傾斜流路の終端よりも発射位置側に設定したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機。
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