JP4601224B2 - 鋼管杭のネジ継手構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方の鋼管杭の端部に設けられた雌ネジと、他方の鋼管杭の端部に設けられた雄ネジとを螺合させて鋼管杭相互を連結する鋼管杭のネジ継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図5に示すように、先端部に切削刃、掘削爪、螺旋状の羽根1aを取り付けた鋼管杭1を回転駆動装置3により回転推進することによって鋼管杭1を地盤2にねじり込み推進させて鋼管杭1本体の体積分の土砂を自動的に杭側面方向に押圧し、無振動、無排土で所定の地盤2に基礎杭を設置する工法が知られている。
【0003】
鋼管杭1相互は施工時において溶接により接合される場合もあるが、施工品質にばらつきが多く、接続作業に時間がかかるため、最近ではネジ式による接合が採用されつつある。
【0004】
鋼管杭1相互をネジ接合により連結する場合には、先に地盤2に埋設された下側の鋼管杭1を保持し、自走装置に設けられた回転駆動装置3により上側の鋼管杭1を回転しながら鋼管杭1の端部に設けられたネジ部相互を螺合して接続する。
【0005】
例えば、図6に示すように、下側の鋼管杭1の上端部には雌ネジ部材4が溶接により取り付けられており、これに接続される上側の鋼管杭1の下端部には雄ネジ部材5が溶接により取り付けられている。そして、先に地盤2に埋設された下側の鋼管杭1の上端部に設けられた雌ネジ部材4の雌ネジ4aに、接続される上側の鋼管杭1の下端部に設けられた雄ネジ部材5の雄ネジ5aを螺合締着することにより鋼管杭1相互が連結される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転駆動装置3により必要以上のトルクが付与された場合、雄ネジ5aが雌ネジ4aに螺合締着された後にも更に過大なトルクがかかる場合が有り、雌ネジ部材4が径方向外側に拡開して雄ネジ5aと雌ネジ4aとの螺合に不具合が発生した場合には鋼管杭1相互を確実に連結出来ない虞がある。
【0007】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、回転駆動装置により必要以上のトルクが付与された場合でも雌ネジの径方向外側への拡開を拘束して雄ネジと雌ネジの螺合が確実に出来、鋼管杭相互を確実に連結出来る鋼管杭のネジ継手構造を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係る鋼管杭のネジ継手構造は、一方の鋼管杭の端部に設けられた雌ネジと、他方の鋼管杭の端部に設けられた雄ネジとを螺合させて鋼管杭相互を連結する鋼管杭のネジ継手構造であって、前記雌ネジに前記雄ネジが螺合され、該雌ネジが設けられた鋼管杭の外周端部を径中心方向に押圧して拘束する拘束部材を有し、前記拘束部材は、一端部が前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部の外径よりも大きな内径を有し、他端部が前記雄ネジの外径よりも大きく、且つ前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部の外径よりも小さい内径を有するテーパ状の内壁を有するリング状で形成され、前記拘束部材の大内径側を前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周に嵌合すると共に、該拘束部材の小内径側を前記雄ネジの外周に嵌挿し、前記拘束部材の小内径側端部を前記雄ネジの終端部近傍に設けられた係止部に当接させて前記雌ネジと前記雄ネジとを螺合締着したことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、雌ネジに雄ネジが螺合された状態で拘束部材により雌ネジが設けられた鋼管杭の外周端部を径中心方向に押圧して拘束することで、回転駆動装置により必要以上のトルクが付与された場合でも雌ネジの径方向外側への拡開を拘束して雄ネジと雌ネジの螺合が確実に出来、鋼管杭相互を確実に連結出来る。
【0010】
また、雌ネジと雄ネジを螺合する過程において、同時に拘束部材のテーパ状の内壁に沿って雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面が当接摺動して雌ネジの径方向外側への拡開を拘束することが出来るので特別な拘束作業を必要とせず、作業性が良い。
【0011】
また、前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面をテーパ状に形成した場合には、雌ネジが設けられた鋼管杭の端部に拘束部材を挿通し易く、拘束部材のテーパ状の内壁に沿って雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面が当接摺動し易い。
【0012】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る鋼管杭のネジ継手構造の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る鋼管杭のネジ継手構造を示す分解断面図、図2(a),(b)は雌ネジに雄ネジを螺合する前のセット状態を示す側面図及び断面説明図、図3(a),(b)は雌ネジに雄ネジを螺合締着した状態を示す側面図及び断面説明図、図4は雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面をテーパ状に形成した一例を示す断面説明図である。
【0013】
図1〜図3において、1は鋼管杭であり、図5に示して前述したように、鋼管杭1は図示しない自走装置のリーダにより上下動する回転駆動装置3により保持されて回転し、リーダとの共同により該鋼管杭1の先端部に取り付けられた切削刃、掘削爪、螺旋状の羽根1aにより地盤2にねじり込み推進させて鋼管杭1本体の体積分の土砂を自動的に杭側面方向に押圧し、無排土で所定の地盤2に基礎杭を設置することが出来る。
【0014】
図1に示すように、先に地盤2に埋設される下側の鋼管杭1の上端部には連結用の雌ネジ部材4が溶接により固定されており、上方から接続される上側の鋼管杭1の下端部には前記雌ネジ部材4の雌ネジ4aに螺合可能な雄ネジ5aが形成された連結用の雄ネジ部材5が溶接により固定されている。また、雄ネジ部材5の雄ネジ5aの終端部近傍には係止部となるフランジ部5bが設けられている。
【0015】
6は雌ネジ部材4の外周部に嵌挿される拘束部材であり、雄ネジ5aに雌ネジ4aが螺合され、雌ネジ4aが設けられた鋼管杭1の外周端部となる雌ネジ部材4の端部外周面4bを径中心方向に押圧して拘束する。
【0016】
拘束部材6は、その一端部が雌ネジ4aが設けられた鋼管杭1の端部となる雌ネジ部材4の端部の外径Dよりも大きな内径Dを有し、他端部が雄ネジ5aの外径Dよりも大きく、且つ雌ネジ部材4の端部の外径Dよりも小さい内径Dを有するテーパ状の内壁6aを有するリング状の鋼材等で構成される。
【0017】
そして、図2に示すように、拘束部材6の大内径D側を雌ネジ部材4の端部外周に嵌合し、該拘束部材6の小内径D側から雄ネジ5aを挿通して雌ネジ4aに螺合させる。
【0018】
そして、上側の鋼管杭1を回転駆動装置3により回転させることで雄ネジ5aが雌ネジ4aに螺合する過程で雌ネジ部材4の外周端部は、拘束部材6のテーパ状の内壁6aに当接摺動しつつ拘束部材6の内部に移動し、内壁6aのテーパ面から受ける反力によって径中心方向に押圧される。
【0019】
そして、図3に示すように、拘束部材6の小内径側の端部6bが雄ネジ部材5のフランジ部5bに当接して係止され、雄ネジ5aを雌ネジ4aに螺合締着することで、雌ネジ部材4の端部外周面4bが拘束部材6により径中心方向に押圧拘束された状態で鋼管杭1相互が連結される。
【0020】
上記構成によれば、雌ネジ4aに雄ネジ5aが螺合された状態で拘束部材6により雌ネジ4aが設けられた鋼管杭1の外周端部となる雌ネジ部材4の端部外周面4bを径中心方向に押圧して拘束することで、回転駆動装置3により必要以上のトルクが付与された場合でも雌ネジ4aの径方向外側への拡開を拘束して雄ネジ5aと雌ネジ4aの螺合が確実に出来、鋼管杭1相互を確実に連結出来る。
【0021】
また、雌ネジ4aと雄ネジ5aを螺合する過程において、同時に拘束部材6のテーパ状の内壁6aに沿って雌ネジ4aが設けられた鋼管杭1の端部外周面となる雌ネジ部材4の端部外周面4bが当接摺動して雌ネジ4aの径方向外側への拡開を拘束することが出来るので特別な拘束作業を必要とせず、作業性が良い。
【0022】
図4は雌ネジ4aが設けられた鋼管杭1の端部外周面となる雌ネジ部材4の端部外周面4bにテーパ面4cを形成した場合の一例である。このテーパ面4cにより雌ネジ4aが設けられた鋼管杭1の端部となる雌ネジ部材4の端部に拘束部材6を挿通し易く、拘束部材6のテーパ状の内壁6aに沿って雌ネジ部材4の端部外周面4bが当接摺動し易い。
【0023】
尚、前記実施形態では、鋼管杭1の端部に雌ネジ部材4及び雄ネジ部材5を別部材として取り付けた場合の構成について説明したが、鋼管杭1の端部に直接、雌ネジ4aや雄ネジ5aを形成した場合でも同様に適用可能である。
【0024】
また、下側の鋼管杭1の上端部に雄ネジ部材5を設け、上側の鋼管杭1の下端部に雌ネジ部材4を設けた場合でも拘束部材6の上下方向を逆転させて配置する他は前述と略同様な構成で同様の効果を得ることが出来るものである。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、雌ネジに雄ネジが螺合された状態で拘束部材により雌ネジが設けられた鋼管杭の外周端部を径中心方向に押圧して拘束することで、回転駆動装置により必要以上のトルクが付与された場合でも雌ネジの径方向外側への拡開を拘束して雄ネジと雌ネジの螺合が確実に出来、鋼管杭相互を確実に連結出来る。
【0026】
また、拘束部材は、一端部が雌ネジが設けられた鋼管杭の端部の外径よりも大きな内径を有し、他端部が雄ネジの外径よりも大きく、且つ雌ネジが設けられた鋼管杭の端部の外径よりも小さい内径を有するテーパ状の内壁を有するリング状で形成され、拘束部材の大内径側を雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周に嵌合すると共に、該拘束部材の小内径側を雄ネジの外周に嵌挿し、拘束部材の小内径側端部を雄ネジの終端部近傍に設けられた係止部に当接させて雌ネジと雄ネジとを螺合締着したことで、雌ネジと雄ネジを螺合する過程において、同時に拘束部材のテーパ状の内壁に沿って雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面が当接摺動して雌ネジの径方向外側への拡開を拘束することが出来るので特別な拘束作業を必要とせず、作業性が良い。
【0027】
また、雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面をテーパ状に形成した場合には、雌ネジが設けられた鋼管杭の端部に拘束部材を挿通し易く、拘束部材のテーパ状の内壁に沿って雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面が当接摺動し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る鋼管杭のネジ継手構造を示す分解断面図である。
【図2】 (a),(b)は雌ネジに雄ネジを螺合する前のセット状態を示す側面図及び断面説明図である。
【図3】 (a),(b)は雌ネジに雄ネジを螺合締着した状態を示す側面図及び断面説明図である。
【図4】 雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面をテーパ状に形成した一例を示す断面説明図である。
【図5】 鋼管杭を回転推進して地盤に埋設する様子を示す図である。
【図6】 従来の鋼管杭のネジ継手構造を説明する図である。
【符号の説明】
1…鋼管杭
1a…螺旋状の羽根
2…地盤
3…回転駆動装置
4…雌ネジ部材
4a…雌ネジ
4b…端部外周面
4c…テーパ面
5…雄ネジ部材
5a…雄ネジ
5b…フランジ部
6…拘束部材
6a…テーパ状の内壁
6b…小内径側の端部

Claims (2)

  1. 一方の鋼管杭の端部に設けられた雌ネジと、他方の鋼管杭の端部に設けられた雄ネジとを螺合させて鋼管杭相互を連結する鋼管杭のネジ継手構造であって、
    前記雌ネジに前記雄ネジが螺合され、該雌ネジが設けられた鋼管杭の外周端部を径中心方向に押圧して拘束する拘束部材を有し、
    前記拘束部材は、一端部が前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部の外径よりも大きな内径を有し、他端部が前記雄ネジの外径よりも大きく、且つ前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部の外径よりも小さい内径を有するテーパ状の内壁を有するリング状で形成され
    前記拘束部材の大内径側を前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周に嵌合すると共に、該拘束部材の小内径側を前記雄ネジの外周に嵌挿し、前記拘束部材の小内径側端部を前記雄ネジの終端部近傍に設けられた係止部に当接させて前記雌ネジと前記雄ネジとを螺合締着したことを特徴とする鋼管杭のネジ継手構造。
  2. 前記雌ネジが設けられた鋼管杭の端部外周面をテーパ状に形成したことを特徴とする請求項に記載の鋼管杭のネジ継手構造。
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