JP4103595B2 - 掘削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木建設における基礎工事、或いは建柱工事、或いはさく井工事等において、地盤を掘削する際に用いる拡径ビットを備えた掘削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、土木建設に用いられる掘削工具として、図7、8に示されるものがある。この掘削工具1は、拡径ビット2が拡径ビット支持体3に回動自在に固定される構成とされ、拡径ビット2に径方向へ突出している突出部4を有するビット頭部5が設けられており、拡径ビット支持体3の中心から所要寸法だけ偏心させた位置を中心に拡径ビット2が回動することにより、拡径ビット支持体3に対し突出部4が拡縮可能となるように構成されている。図示されている拡径状態において、突出部4が拡径ビット支持体3の外径よりも径方向外側に突出しており、拡径ビット2が軸部5を中心に180°回転することによって縮径状態、つまり、突出部4が拡径ビット支持体3の外径よりも内側に格納される状態となる。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
このような拡縮径可能に構成された掘削工具1を使用して鋼管杭6を施工する場合には、拡径ビット2を拡径させた状態で鋼管杭6を連行しながら地盤を掘削する。掘削時において、掘削工具1は図8に示した回転方向Tに回転し、掘削によって生じた地盤の切り屑は、掘削箇所からビット頭部5の両側面に設けられた切欠き部7を通過し、拡径ビット支持体3の側面に設けられた排出溝8と鋼管杭6との間に送り込まれ、地表に排出される。そして、掘削後においては、回転方向Tの逆方向に回転させることで拡径ビット2を縮径させて、鋼管杭6の内側より掘削工具1を引き上げ、鋼管杭6を地盤内に残留させる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−184260号公報(第1−4項、第9,10図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記掘削工具1において、ビット頭部5の両側面に切欠き部7が設けられおり、掘削時において回転方向Tの前方側に位置する切欠き部7の突起部7aが地盤に引っ掛かってしまうことがあり、掘削抵抗が増加するという問題があった。また、このような引っ掛かりが不連続に生じた場合、掘削工具1の回転が円滑に行われずに振動が生じてしまうことにより掘削工具1の寿命が短くなるおそれがあり、掘削工具1を駆動する駆動装置にピーク的な負荷が加えられることにより駆動装置が過負荷状態となってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたものであって、円滑に掘削作業を行うことができ、掘削抵抗を低減させ、駆動装置に加えられる負荷を低減させることのできる掘削工具を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る掘削工具は、軸線回りに回転される拡径ビット支持体と、径方向に突出し先端面に掘削刃を備える突出部が設けられたビット頭部を有する拡径ビットとを備えて構成され、前記拡径ビット支持体の前記軸線から偏心した位置を中心軸線として前記拡径ビットが回動自在に取り付けられることで拡縮径機能を有する掘削工具において、前記ビット頭部の外周面の形状が、前記突出部の頂点から掘削回転方向側に向けて前記中心軸線を基準に90°の範囲で凸曲面により形成されており、前記凸曲面が、前記軸線を中心とした掘削径にほぼ等しい第1仮想円と、前記中心軸線を中心に該軸線を180°回転させた仮想軸線を中心とした前記拡径ビット支持体の外径にほぼ等しい第2仮想円との、互いに内側となる2つの円弧に沿って形成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明の掘削工具において、掘削回転方向の前方側のビット頭部の外周面の形状が、突出部の頂点から掘削回転方向側に向けて中心軸線を基準に90°の範囲において凸曲面により形成されているので、掘削回転方向の前方側でビット頭部に引っ掛かりが生じることがなく、円滑に掘削が行われる。これにより、掘削工具に生じる振動を抑制することができるとともに、掘削抵抗を低減させることができるので、掘削工具を長寿命とすることができる。さらに、この掘削工具を使用することで、駆動装置が過負荷状態となることを回避することができる。
また、ビット頭部の外周面の凸曲面が曲率半径の異なる2つの円弧によって形成されており、軸線を中心とした掘削径にほぼ等しい第1仮想円と、中心軸線を中心に軸線を180°回転させた仮想軸線を中心とした拡径ビット支持体の外径にほぼ等しい第2仮想円との互いに内側となる円弧に沿って形成されている、すなわち、突出部の頂点近傍において第2仮想円より内側となる範囲は第1仮想円の円弧に沿って形成されて、それ以外の範囲は第2仮想円の円弧に沿って形成されるので、円滑に掘削を行うことができるとともに、縮径時に拡径ビット支持体の外径よりも内側に格納可能で、かつ拡径時に掘削孔と接する面積を広くすることができる。これにより、掘削に係る面積をより広くとることができるとともに、突出部側の掘削チップの保持力を向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係る掘削工具は、上述した掘削工具であって、前記突出部の頂点から掘削回転方向反対側に向けて前記中心軸線を基準に55°〜145°の範囲に切欠き部が形成されており、拡径状態において該切欠き部から前記軸線方向に連続する位置となる前記拡径ビット支持体の側面に排出溝が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この発明の掘削工具において、掘削回転方向の後方側のビット頭部の外周面に切欠き部が形成、つまり突出部の頂点から掘削回転方向反対側に向けて中心軸線を基準に55°〜145°の範囲に切欠き部が形成されているので、掘削時において切欠き部に引っ掛かりが生じることがなく、さらに拡径状態において切欠き部と拡径ビット支持体の側面に形成された排出溝とが軸線方向に連続する位置となるように切欠き部と排出溝とが形成されているので、掘削により生じた切り屑が順調に排出される。これにより、掘削作業を円滑に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、掘削工具10は、軸線O1回りに回転される拡径ビット支持体11と、拡径ビット支持体11の先端部に軸線O2回りに回動自在に取り付けられている拡径ビット12とを有して構成されている。図において、下方向が掘削工具10の先端方向とされ、掘削時の進行方向とされる。
【0014】
また、図2(a)および図2(b)は、掘削工具10を先端側から見た図で、図に示すように掘削工具10は、拡径ビット支持体11に対して拡径ビット12が軸線O2を中心に180°回転することによって、拡径状態(図2(a))および縮径状態(図2(b))となるような拡縮径機能を有している。図中の矢印は掘削時の回転方向Tを示しており、拡径状態から縮径状態となる場合は回転方向Tと同方向に拡径ビット12が回動し、縮径状態から拡径状態となる場合は回転方向Tと逆方向に拡径ビット12が回動する。また、拡縮径時の回転中心となる軸線O2は、掘削工具10の掘削時の回転中心となる軸線O1に対して偏芯した位置で、かつ軸線O1に対して平行となるように設けられており、軸線O1と軸線O2とを通過する直線を直線L1とし、直線L1に対して直交し軸線O1を通過する直線を直線L2、直線L1に対して直交し軸線O2を通過する直線を直線L3とする。
【0015】
図1に示すように、拡径ビット支持体11の先端部には、軸線O2を中心としてビット軸嵌合用孔13が設けられており、基端部には、駆動軸(図示せず)に連結するためのスプライン軸14が設けられている。ビット軸嵌合用孔13には、拡径ビット12の回動を規制するための係合部15が設けられており、係合部15は拡径ビット支持体11の先端面から基端側に離間した位置に配置されている。また、ビット軸嵌合用孔13の係合部15より基端側には、拡径ビット支持体11の側方から抜出防止用ピン16を挿入するためのピン孔17が設けられている。ビット軸嵌合用孔13のピン孔17より基端側に段部18が設けられており、ビット軸嵌合用孔13の基端面19に軸線O2を中心としたブロー孔20が設けられている。ブロー孔20は、軸線O1を中心として拡径ビット支持体11の基端部に開口するように設けられたブロー孔21と連通している。
【0016】
拡径ビット12は、掘削チップ25を備えたビット頭部26と、ビット頭部26から基端側に向けて設けられている軸部28とを有して構成されている。軸部28には、ビット頭部26の基端面29よりも基端側に離間した位置に溝部30が設けられており、溝部30より基端側に抜出防止用溝31が設けられている。抜出防止用溝31の基端側に一段縮径されて基端面32が設けられており、縮径部の基端側を向く面32aが段部18の先端側を向く面18aと当接し、基端面32がビット軸嵌合用孔13の基端面19と当接する構成とされ、縮径部の基端側を向く面32aと基端面32とが打撃力伝達面39とされている。そして、拡径ビット12の軸部28が拡径ビット支持体11のビット軸嵌合用孔13に嵌挿され、拡径ビット12の基端面32とビット軸嵌合用孔13の基端面19とが当接した状態において、溝部30に係合部15が収容されるとともに、抜出防止用溝31とピン孔17から挿入される抜出防止用ピン16とが係合する構成になっている。また、この状態においてブロー孔20に連通するように軸線O2に沿ってブロー孔24が設けられており、ブロー孔24は、ビット頭部26において2方向に分岐され、ビット頭部26の2箇所に開口している。
【0017】
ビット頭部26は、径方向(図1において左方向)に突出している突出部27と先端方向に突出しているパイロット部23とを有している。パイロット部23は、拡径時において軸線O1を中心とした円形となるように先端面23aが形成されており、軸線O1を中心に回転したときに掘削チップ25の描く軌跡が先端面23aの前面を覆うように、つまり掘削チップ25の描く軌跡の間に隙間が生じないように掘削チップ25が植設されている。そして、ビット頭部26の外周面27aの形状は、突出部27の頂点、つまり外周面27aと直線L1との交点から回転方向Tの前方に向けて軸線O2を基準に少なくとも90°の範囲は凸曲面により形成されている。また、突出部27の頂点から回転方向Tの後方に向かって凸曲面により形成された後に軸線O2を基準に55°〜145°の範囲内に平面部27bと平面部27cとを有する切欠き部22が形成されている。
【0018】
さらに、図6に示されているビット頭部26の外周面27aの形状を模式的に表した概略図を用い、その形状について説明する。図6において、点O1、点O2および直線L1からL3は、図2(a)に示した軸線O1、軸線O2および直線L1からL3と同一の関係にあり、点O1’は点O1を点O2中心に180°回転させた仮想点(仮想軸線と同一の関係)である。また、仮想円C1(第1仮想円)は点O1を中心とした円で、掘削工具10による掘削径とほぼ等しく、仮想円C2(第2仮想円)は点O1’を中心とした円で、拡径ビット支持体11の外径内に収容可能な円である。また、直線L4は、点O2を中心として直線L1と仮想円C1との交点Xより時計回りに角度α1となる角度に位置する仮想直線であり、交点Xより反時計回りの角度を角度β2とする。また、直線L5は、点O2を中心として交点Xより反時計回りに角度β1となる角度に位置する仮想直線である。ここで、角度α1=240°、角度β1=120°、角度β2=60°とされている。
【0019】
ビット頭部26の外周面27aは、仮想円C1および仮想円C2の互いに内側となる円弧Y1および円弧Y2と、直線L1に平行な直線Y3と、直線L2に平行な直線Y4とによって概略的に示され、円弧Y1と円弧Y2とが連続し、円弧Y2と直線Y3および直線Y4とが連続し、直線Y3と直線Y4とが曲線を介して連続している。つまり、ビット頭部26の外周面27aの形状を反時計回りに説明すると、外周面27aの頂点となる交点Xから反時計回りに円弧Y1を辿り、仮想円C1と仮想円C2との交点において円弧Y1から円弧Y2に移り、仮想円C2と直線L3との交点、仮想円C2と直線L2との交点、および仮想円C2と直線L1との交点を辿って、仮想円C2と直線L4との交点において円弧Y2から直線Y3に移って上方向に向かい、曲線を介して直線Y3から直線Y4に移り右方向に向かい、仮想円C2と直線L5との交点において直線Y4から円弧Y2に移り、そして、仮想円C1と仮想円C2との交点において円弧Y2から円弧Y1に移り1周することとなる。
【0020】
このように、ビット頭部26の外周面27aは、交点Xから角度α1までの範囲が円弧Y1および円弧Y2に沿う凸曲面で形成され、角度β1から角度β2までの範囲に直線Y3および直線Y4に沿う切欠き部22が形成されている。また、仮想円C1は仮想円C2より大きな直径の円であるので、円弧Y1は円弧Y2より大きな曲率の円弧とされており、つまり、外周面27aの突出部27の頂点側が、その反対側より大きな曲率の円弧とされている。また、図2(a)に示すように、拡径時における切欠き部22の位置に連続するように、排出溝50が拡径ビット支持体11の外周側面に設けられている。排出溝50は、軸線O1に平行となるように設けられており、軸線O1に直交する断面において「コ」字状に形成されている。また、拡径ビット支持体11の外周側面には、図2(a)において左方側に断面「L」字状の排出溝51および下方側に断面「L」字状の排出溝52が設けられている。
【0021】
つぎに、掘削工具10の拡縮径における動作を規制する構成、および拡径ビット12の抜け出し防止の構成について説明する。図3から図5に、掘削工具10の各状態におけるビット軸嵌合用孔13および軸部28のA−A断面、B−B断面、およびC−C断面を示す。図3は拡径状態、図4は拡径ビット12の挿入状態、図5は縮径状態を示し、各図において(a)がA−A断面、(b)がB−B断面、および(c)がC−C断面を示している。また、図3(a)に示されている矢印は掘削時の回転方向Tを示している。
【0022】
図3(a)に示すように、係合部15はビット軸嵌合用孔13の内周面13aの一部が内側に向けて突出して形成されており、係合部15の内周面15aは溝部30の底面38の外径とほぼ同じ曲率半径の凹曲面とされている。また、係合部15は直線L3より回転方向Tの前方側に位置する当接面33から、直線L1より回転方向Tの前方側に位置する当接面35までの間に配置されている。当接面33は回転方向Tの前方を向いており、拡径時における拡径ビット12の位置決めに用いられ、ビット軸嵌合用孔13の径方向に延在する平面、つまり周方向を向く平面を有している。また、当接面33に連続してビット軸嵌合用孔13の径方向外側に凹曲面34が形成されている。また、当接面35は縮径時における拡径ビット12の位置決めに用いられ、係合部15の回転方向Tの後方を向く連続した凹曲面で形成されている。
【0023】
また、軸部28の溝部30には、回転方向Tの後方を向く面に回転力伝達面(係止面)36が設けられ、回転方向Tの前方を向く面に縮径係止面37が設けられている。回転力伝達面36は、軸部28の径方向に延在する平面を有しており、図3(a)に示すように拡径時において当接面33に当接する構成とされている。また、縮径係止面37と軸部28の外周面28aとの間には角面41が設けられている。
【0024】
また、図3(b)および図3(c)に示すように、溝部30の基端部側の面から軸部28の基端面32まで切欠き部40が設けられており、切欠き部40の深さは係合部15の突出高さよりも深く形成され、周方向の長さは係合部15の周方向の長さよりも長くなるように形成されている。また、図3(b)において、仮想線を用いて示されている係合部15と溝部30の基端側の軸部28とが重複している範囲において係合部15と溝部30とが軸線O2方向に係合し、掘削状態において軸部28がビット軸嵌合用孔13から抜け出ることを防止する構成とされている。また、図3(c)に示すように、ビット軸嵌合用孔13とピン孔17とがオーバーラップする範囲において、抜出防止用ピン16の一部がビット軸嵌合用孔13の内側に配置され、抜出防止用溝31と抜出防止用ピン16とが軸線O2方向に係合する構成となっている。
【0025】
また、図4(a)〜(c)に示すように、軸部28のビット軸嵌合用孔13への挿入は、抜出防止用ピン16を抜いた状態で行われ、切欠き部40と係合部15とが対向するように角度を合わせ、係合部15が切欠き部40を通過するように挿入する。挿入後の状態においては、係合部15と溝部30とが軸線O2方向に係合していないが、抜出防止用ピン16を挿入することで抜出防止用溝31と抜出防止用ピン16とが軸線O2方向に係合するので、拡径ビット12の抜け出しが防止される構成となっている。
【0026】
また、図5(a)〜(c)に示すように、縮径時においては係合部15の当接面35と軸部28の溝部30に設けられた角面41とが当接することで拡径ビット12の回動が規制される構成となっている。また、この状態において係合部15と溝部30とが軸線O2方向に係合することで拡径ビット12の抜け出しが防止される構成となっている。
【0027】
上述したように掘削工具10は、ビット頭部26の外周面27aが、交点Xより時計回りに点O2を中心として角度α1の範囲で凸曲面により形成されているので、掘削時に引っ掛かりが生じることがなく、円滑に掘削を行うことができる。このようにビット頭部26の引っ掛かりが防止されることで、掘削工具10に生じる振動を抑制することができるとともに、掘削抵抗を低減させることができる。これにより、掘削工具10を長寿命とすることができるとともに、掘削工具10を駆動する駆動装置の過負荷状態を回避することができる。また、外周面27aの突出部27側が掘削径とほぼ等しい仮想円C1の円弧Y1に沿って形成されているので、掘削時に掘削孔と接する面積を広くすることができ、突出部27側の掘削チップ25の保持力を向上させることができる。また、突出部27の反対側が拡径ビット支持体11の外径内に収容可能な円である仮想円C2の円弧Y2に沿う円弧で形成されているので、ビット頭部26の先端側の面積、つまり掘削に係る面積をより広くとることができる。
【0028】
また、突出部27の頂点から反時計回りに点O2を中心として角度β1から角度β2までの範囲に切欠き部22が形成され、切欠き部22に連続するように、排出溝50が拡径ビット支持体11の外周側面に設けられているので、掘削時において切欠き部22による引っ掛かりが生じずに、円滑に掘削を行うことができるとともに、切り屑を順調に排出することができる。
【0029】
また、さらに掘削工具10は、上述したように軸部28に溝部30や切欠き部40が構成されており、従来のような軸部に凸部を形成する場合より軸部28の外径を太く形成することができ、軸部28の折れを防止することができる。また、軸部28の外径を太く形成することで、打撃力伝達面39を広く形成することができ、打撃力伝達面39に加えられる面圧を低減させることができるので、打撃力伝達面39に剥離が生じることを防止することができる。また、ビット頭部26の基端面29よりも基端側に離間した位置に溝部30が設けられており、回転力伝達面36から打撃力伝達面39までの寸法を短く形成することができ、捩れが抑制されるので、回転力伝達面36と打撃力伝達面39との間の軸部28の折れを防止することができる。また、溝部30を基端側に配置することで、溝部30に土砂の細かい切り屑が侵入すること防止し、拡縮径の動作が困難になってしまうおそれを回避する効果も得られる。
【0030】
また、回転力伝達面36を軸線O2方向に長く形成することで回転力伝達面36の面積を広く形成することができ、回転力伝達面36に加えられる面圧を低減させることができるので、回転力伝達面36に剥離や摩耗が生じることを防止することができる。これにより、拡径時における拡径ビット12の位置決めがずれることなく、正確な掘削径で掘削することができる。また、抜出防止用溝31と抜出防止用ピン16とが軸線O2方向に係合するとともに、係合部15と溝部30とが軸線O2方向に係合する構成とされているので、拡径ビット12が抜け出ることを確実に防止することができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、ビット頭部26の切欠き部22が設けられている範囲以外の範囲、つまり点O2中心として角度β1から角度β2までの範囲以外の範囲の外周面27aは、すべて凸曲面とされているが、突出部27の頂点から掘削時における回転方向T側に向けて点O2を中心として、少なくとも90°の範囲において凸曲面とされていればよく、それ以外の範囲に凹部や溝部などが設けられていてもよい。90°の範囲が凸曲面で形成されずに、この範囲に凹部や溝部などが設けられていた場合には、凹部や溝部などによって引っ掛かりが生じてしまい、円滑に掘削を行うことができなくなる。また、円弧Y1と円弧Y2との間は、これらの曲率よりも大きな曲率の円弧によって滑らかに連続する構成とされていてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る掘削工具によれば、掘削回転方向の前方側のビット頭部の外周面の形状が、中心軸線を基準に突出部の頂点から90°の範囲で凸曲面により形成されているので、掘削回転方向の前方側でビット頭部に引っ掛かりが生じることを防止することができ、円滑に掘削を行うことができる。
これにより、掘削工具に生じる振動を抑制することができるとともに、掘削抵抗を低減させることができるので、掘削工具を長寿命とすることができる。さらに、掘削工具を駆動する駆動装置の過負荷状態を回避することができる。
また、ビット頭部の外周面の凸曲面が曲率半径の異なる2つの円弧によって形成されているので、円滑に掘削を行うことができるとともに、縮径時に拡径ビット支持体の外径よりも内側に格納可能で、かつ拡径時に掘削孔と接する面積を広くすることができる。これにより、掘削に係る面積をより広くとることができるとともに、突出部側の掘削チップの保持力を向上させることができる。
【0033】
また、掘削回転方向の後方側のビット頭部の外周面に、中心軸線を基準に突出部の頂点から55°〜145°の範囲に切欠き部が形成されているので、掘削時において切欠き部に引っ掛かりが生じることがなく、円滑に掘削を行うことができる。また、拡径状態において切欠き部と拡径ビット支持体の側面に形成された排出溝とが軸線方向に連続するような位置に設けられているので、掘削により生じた切り屑を順調に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における掘削工具の部分側断面図である。
【図2】 掘削工具の先端視図で、(a)は拡径状態、(b)は縮径状態である。
【図3】 掘削工具の拡径状態における断面図で、(a)は図1のA−A断面、(b)は図1のB−B断面、(c)は図1のC−C断面である。
【図4】 掘削工具の挿入状態における断面図で、(a)は図1のA−A断面、(b)は図1のB−B断面、(c)は図1のC−C断面である。
【図5】 掘削工具の縮径状態における断面図で、(a)は図1のA−A断面、(b)は図1のB−B断面、(c)は図1のC−C断面である。
【図6】 ビット頭部の外周面の形状を模式的に表した概略図である。
【図7】 従来の掘削工具の部分断面図である。
【図8】 従来の掘削工具の先端視図である。
【符号の説明】
10 掘削工具
11 拡径ビット支持体
12 拡径ビット
25 掘削チップ(掘削刃)
26 ビット頭部
22 切欠き部
50 溝部
O1 軸線
O2 軸線(中心軸線)
Claims (3)
- 軸線回りに回転される拡径ビット支持体と、径方向に突出し先端面に掘削刃を備える突出部が設けられたビット頭部を有する拡径ビットとを備えて構成され、前記拡径ビット支持体の前記軸線から偏心した位置を中心軸線として前記拡径ビットが回動自在に取り付けられることで拡縮径機能を有する掘削工具において、
前記ビット頭部の外周面の形状が、前記突出部の頂点から掘削回転方向側に向けて前記中心軸線を基準に90°の範囲で凸曲面により形成されており、
前記凸曲面が、前記軸線を中心とした掘削径にほぼ等しい第1仮想円と、前記中心軸線を中心に該軸線を180°回転させた仮想軸線を中心とした前記拡径ビット支持体の外径にほぼ等しい第2仮想円との、互いに内側となる2つの円弧に沿って形成されていることを特徴とする掘削工具。 - 請求項1に記載の掘削工具であって、
前記突出部の頂点から掘削回転方向反対側に向けて前記中心軸線を基準に55°〜145°の範囲に切欠き部が形成されており、拡径状態において該切欠き部から前記軸線方向に連続する位置となる前記拡径ビット支持体の側面に排出溝が形成されていることを特徴とする掘削工具。 - 請求項2に記載の掘削工具であって、
前記切欠き部が、前記拡径ビット支持体の前記軸線及び前記拡径ビットが回転する前記中心軸線を通る直線に平行な平面部と、前記直線に直交する直線に平行な平面部と、を有して形成されていることを特徴とする掘削工具。
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