JP4601129B2 - 半導体受光素子製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信、特に1μm帯波長領域の光を高速で光電変換する半導体受光素子、特にアバランシェ受光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
受光素子とは、光信号を電気信号に変換する半導体素子であり、なかでもアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode:以下、APDと称する)は、好感度および高速応答の受光素子として用いられる。APDは、受光部のPN接合部分に逆方向電圧を印加し高電界を形成すると、光の照射により発生したキャリアがこの高電界により衝突イオン化を起こしアバランシェ増倍を発生することが知られている。
【0003】
つまり、APDは、PN接合による光起電力効果およびアバランシェ増倍による内部増幅作用を備えていることを特長とする受光素子である。しかし、プレナー型のダイオードにおいて、アバランシェ増倍によって引き起こされるブレークダウンは、中央の平坦なPN接合でよりも早期に、拡散周辺部においてエッジブレークダウンとして発生する。
【0004】
このとき、中央受光部におけるPN接合の逆方向電圧はほとんど増加しないために、受光面全体においてAPDの本来の機能であるアバランシェ増倍を発揮できないという問題があった。そこで、拡散周辺部の不純物濃度勾配を小さくし、電界強度を弱めるためのガードリングが設けられた。このガードリングにより、拡散周辺部のブレークダウン電圧を中央平坦部よりも高くすることができるため、受光部以外のPN接合における早期ブレークダウンを防止しかつ素子受光面全体で均一なアバランシェ増倍の発生が可能になった。
【0005】
例えば、文献(1)(光通信素子工学−発光・受光素子−工学図書、米津 宏雄著pp.419-420)によれば、ガードリングを形成する領域は、拡散領域にBeのイオン注入および熱処理を行うことにより拡散領域内においてキャリア濃度の低い傾斜型PN接合として形成される。逆に受光領域は拡散領域にZn、Cd等の熱拡散を行うことにより、拡散領域内においてキャリア濃度の高い階段型PN接合として形成される。このことにより、ガードリング領域は、拡散領域においてキャリア濃度の分布が形成されることにより、接合周辺部の電界強度が弱くなるような電界強度分布を形成することで設けられるという方法が提案されている。
【0006】
また、文献(2)(H.ANDO,Y .Yamauchi and N.Susa, "Reach-Through Type Planar InGaAs/InP Avalanche Photodiode Fabricated by Continuous Vapor Epitaxy," IEEE Journal of Quantum Electronics,Vol.QE-20,No.3,pp.256-264)によれば、ガードリング領域および受光領域が、Zn、Cd等による熱拡散で形成される拡散深さをそれぞれの領域で異なるように制御することで形成される。
【0007】
すなわち、拡散により形成されるガードリング領域の拡散深さが、拡散により形成される受光領域の拡散深さよりも浅くなるように制御することにより、文献(1)と同様に、ガードリング領域は、拡散領域においてキャリア濃度の分布が形成されることにより、接合周辺部の電界強度が弱くなるような電界強度分布を形成することで設けられるという方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、文献(1)で構成される半導体受光素子において、キャリア濃度の低いガードリング領域の表面上に電極を形成することにより、空乏層の拡がりはやがて電極に到達する。したがって、早期のブレークダウンが発生するために、PN接合のブレークダウン電圧の低下が生じる。すなわち、電極は表面キャリア濃度の低いガードリング領域の表面上に形成することができない。またこのとき、電極のコンタクト面積の減少や、オーミックコンタクト抵抗や素子のシリーズ抵抗の増加による、高速光応答特性の劣化という問題が発生する。
【0009】
そこで、逆にP側電極のコンタクト面積を増加し、オーミックコンタクト抵抗や素子のシリーズ抵抗の減少を図ると、接合面積や素子容量の増加を引き起こし、やはり高速光応答特性の劣化という問題が発生する。そこで、Beの二重イオン注入によるガードリング領域の表面キャリア濃度の向上を図ることにより上記の問題を回避する方法もあるが、このような方法は、高濃度イオン注入による結晶性の劣化やイオン活性化率の低下を伴う。
【0010】
また、表面キャリア濃度の増加には限界があるため、このような方法では素子信頼性の低下を招くという問題が発生する恐れもある。また、文献(2) で構成される半導体受光素子においては、拡散により形成される拡散深さが異なる領域を形成するにあたり、拡散処理を二度に分けて行うため、拡散深さの制御の複雑さや、歩まりの低下という問題を引き起こす。
【0011】
このため、いずれの方法においても、種々の問題点における技術的な解決方法の出現が望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明の半導体受光素子製造方法によれば、受光素子のガードリング領域被形成層にガードリング領域を形成するにあたり、ガードリング領域被形成層上に、受光面画成用の絶縁膜を設け、絶縁膜上から受光面の一部分上にわたり、ガードリング領域被形成層中に形成されるべき受光領域を画成するためのマスクを固相拡散源として設け、マスクが形成された側からガードリング領域被形成層に対し、マスクおよびマスクとは別の不純物拡散源を用いて、不純物元素の固相拡散および気相拡散を同時に行って、ガードリング領域被形成層に、受光領域と、受光領域の周辺に少なくとも被ガードリング領域形成層の表面側におけるキャリア濃度が、受光領域のキャリア濃度よりも低いキャリア濃度を有するガードリング領域とを形成し、マスクとして (SiO 2 ) y (ZnO) 1-y 膜を用い、(SiO 2 ) y (ZnO) 1-y 膜中のZn濃度を制御する組成比yの値は、10〜50%であることを特徴とする。
【0013】
このようにすると、ガードリング領域被形成層中に形成される受光領域およびガードリング領域を備える拡散領域において、受光領域側のキャリア濃度が高くガードリング領域側のキャリア濃度が低いキャリア濃度分布が形成される。したがって、このようなキャリア濃度の分布の形成に伴い形成される電界強度分布は、空乏層が電極へ到達することを防止させることができるために、ブレークダウン電圧の低下を抑制することができる。
【0015】
また、この発明の半導体受光素子の製造方法において、好ましくは、上述のガードリング領域被形成層は、上述の受光領域の形成予定領域の周囲にイオン注入領域を備えているのがよい。
【0016】
このようにすると、拡散領域内においてキャリア濃度の低い傾斜型接合を形成することができる。
【0017】
また、この発明の半導体受光素子の製造方法において、好ましくは、上述のガードリング領域被形成層は、上述の受光領域の形成予定領域の周囲にイオン注入領域を備えており、イオン注入領域は、上述のマスクの内側のへりの下側から横方向の外側に設けられているのが良い。
【0019】
このようにすると、組成比を制御することで、ガードリング領域被形成層において、拡散により形成される拡散深さの浅いガードリング領域と、拡散により形成される拡散深さの深い受光領域の形成を制御することができるために、工数の減少や歩留まりの向上が期待できる。
【0020】
また、この発明の半導体受光素子の製造方法において、好ましくは、上述のガードリング領域の拡散により形成される拡散深さが、上述の受光領域の拡散により形成される拡散深さに対して、1〜0.5μmの範囲において浅くなるように、前記拡散を制御するのが良い。
【0021】
また、この発明の半導体受光素子の製造方法において、好ましくは、上述の受光素子をアバランシェフォトダイオードとするのが良い。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この出願の各発明の実施例について説明する。各図は、発明が理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、および配置関係を概略的に示してある。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件等は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されるものではない。
【0031】
この発明の半導体受光素子製造方法の実施の形態例の説明に先立ち、この発明の方法で作成される半導体受光素子の構造の一例につき簡単に説明する。この発明が適用される受光素子とは、ガードリング領域被形成層を具える受光素子で良いが、以下の説明では、プレーナ型APDにつき説明する。
【0032】
図1および図3は、それぞれこの発明の半導体受光素子であるガードリングを具えるプレーナ型APDの一構成例を示す、一部を断面とする斜視図である。
【0033】
図1および図3に示すAPDは、InGaAs 系化合物半導体を用いたものであり、n-InP 基板28上にn-InP バッファ層26、n-InGaAs光吸収層24、n-InP増倍層22、ガードリング領域被形成層であるn-InPキャップ20層が、順次結晶成長法により形成されている。また、ガードリング領域被形成層であるn-InPキャップ層20には、n-InP増倍層22との境界に至るリング状のガードリング領域36と、円形状のp拡散領域38とが形成されている。
【0034】
また、SixN1-x等からなる受光面画成用の絶縁膜12は、ガードリング領域被形成層であるn-InPキャップ層20、ガードリング領域36、p拡散領域38上に形成されている。また、受光領域32は、この絶縁膜12の膜厚を制御することで反射率を小さくしたARコート膜14で覆われている。そしてP側電極16は、p拡散領域38周辺部の上面の絶縁膜12が露出している上部に形成され、N側電極18は、n-InP 基板の下面に形成されている。
【0035】
また、図1において、イオン注入領域30、表面側のキャリア濃度が受光領域よりは低くガードリング領域よりは高い領域34および受光面44が形成されているが、これらについては後述することとする。また同様に、図3において、表面側のキャリア濃度が受光領域よりは低くガードリング領域よりは高い領域34および受光面44が形成されているが、これらについても同様に後述することとする。
【0036】
以下、図2、図4および図5を参照して、半導体受光素子の製造方法について説明する。図2、図4および図5は、一例として上述した半導体受光素子であるガードリングを備えるプレーナ構造APDの製造方法の一構成例を示す断面図である。
【0037】
<実施の形態例1>
第1の実施の形態例によれば、図2(A)に示すように、n-InP 基板28上にn-InP バッファ層26、n-InGaAs光吸収層24、n-InP増倍層22、ガードリング領域被形成層であるn-InPキャップ層20が、順次結晶成長法により形成されている。
【0038】
次に、図2(B)に示すように、ガードリング領域被形成層であるキャップ層20における受光領域32の形成予定領域の周辺に従来と同様な方法でイオン注入領域30を設ける。この構成例では、イオン注入領域30はリング状に形成する。
【0039】
次に、ガードリング領域36は、Beイオンをイオン注入領域30に選択的に注入しかつ熱処理を行い、キャリア濃度を低くすることで傾斜型PN接合として形成する。そのため、先ず、図2(C)に示すように、ガードリング領域被形成層であるキャップ層20上に受光面44画成用の絶縁膜12としてSixN1-x膜を設ける。
【0040】
この構成例では、この絶縁膜12の内側の縁は円形状とする。この絶縁膜12は、イオン注入領域30の表面領域のうち外側周辺領域を覆いかつ中心側領域を露出させるように設ける。この絶縁膜12上から受光面44の一部分上にわたって受光領域32を画成するためのマスク40として(SiO2)y(ZnO)1-y膜をガードリング領域被形成層であるキャップ層20上に設ける。このマスク40の内側の縁を円形状とする。この構成例では、このマスク40を絶縁膜12上からイオン注入領域の露出面上にまで設ける。
【0041】
そして、絶縁膜12のSixN1-x膜上およびイオン注入領域30の外側表面領域上に(SiO2)y(ZnO)1-y膜が覆われている2層構造部分と、イオン注入領域30の内側表面領域のみ(SiO2)y(ZnO)1-y膜で覆われている1層構造部分を形成する。そして、Zn3As2、Zn3P2、Cd3P2等の不純物拡散源のうちいずれか一つを石英アンプル管に封入し、封管法を用いZn3AS2又はZn3P2であればZnによる熱拡散を、またCd3P2であればCdによる熱拡散を行い、マスク40が形成された側からガードリング領域被形成層であるキャップ層20に対し、不純物元素の固相拡散および気相拡散を同時に行う。
【0042】
この同時拡散により、不純物イオンは絶縁膜12の下側には拡散されないで、絶縁膜12から外れたマスク40の部分と受光面44を介して、その下側のキャップ層20中に不純物が拡散される。イオン注入領域30上のマスク40の部分は段差を有しているので、この段差に対応して、イオン注入領域30中に形成される不純物注入領域であるガードリング領域34も階段状の外側境界を有する。
【0043】
上述した同時拡散により、図2(D)に示すように、ガードリング領域被形成層であるキャップ層20に、受光領域32と、受光領域の周辺に少なくともガードリング領域被形成層であるキャップ層20の表面側におけるキャリア濃度が受光領域32のキャリア濃度よりも低いキャリア濃度を有するガードリング領域34とが形成される。また、組成比yの値が10〜50%である(SiO2)y(ZnO)1-y膜をマスク40として用いることにより、拡散により形成されるガードリング領域34の拡散深さが、拡散により形成される受光領域32の拡散深さに対して、1〜0.5μmの範囲において浅くなるような形状を有する拡散領域が、組成比yによって制御されることになる。尚、図2(D)に示す断面は、図1に示す断面に対応している。
【0044】
<実施の形態例2>
第2の実施の形態例によれば、図4(A)に示すように、n-InP 基板28上にn-InP バッファ層26、n-InGaAs光吸収層24、n-InP増倍層22、ガードリング領域被形成層であるn-InPキャップ層20が、順次結晶成長法により形成されている。
次に、図4(B)に示すように、ガードリング領域被形成層であるキャップ層20上に受光面44画成用の絶縁膜12としてSixN1-x膜を設ける。この構成例では、この絶縁膜12の内側の縁を円形状とする。そして、この絶縁膜12上から受光面44の一部分上にわたって受光領域32を画成するためのマスク40として(SiO2)y(ZnO)1-y膜をガードリング領域被形成層であるキャップ層20上に設ける。この構成例では、このマスク40の内側の縁を円形状とする。このマスク40も、第1の実施の形態の場合と同様に、絶縁膜12と受光面44との間で段差を有している。
【0045】
すなわち、絶縁膜12のSixN1-x膜上に(SiO2)y(ZnO)1-y膜が覆われている2層構造部分と、ガードリング領域36の中心部領域のみ(SiO2)y(ZnO)1-y膜で覆われている1層構造部分を形成する。そして、Zn3As2、Zn3P2、Cd3P2等の不純物拡散源のうちいずれか一つを石英アンプル管に封入し、封管法を用いZn3As2又はZn3P2であればZnによる熱拡散を、またCd3P2であればCdによる熱拡散を行い、マスク40が形成された側からガードリング領域被形成層であるキャップ層20に対し、不純物元素の固相拡散および気相拡散を同時に行う。この同時拡散により、絶縁膜12の下側には不純物拡散領域は形成されないが、絶縁膜12から外れたマスク40の部分と、マスク40から露出した受光面44とを介してその下側のキャップ層20中に不純物が拡散される。
【0046】
これにより、図4(C)に示すように、拡散により形成されるガードリング領域36の拡散深さが、この拡散により受光面44を介して形成される受光領域32の拡散深さに対して浅くなるような拡散領域34がマスク40の下側に形成される。また、組成比yの値が10〜50%である(SiO2)y(ZnO)1-y膜をマスク40として用いることにより、拡散により形成されるガードリング領域36の拡散深さが、拡散により形成される受光領域32の拡散深さに対して、1〜0.5μmの範囲において浅くなるような形状を有する拡散領域が、組成比yによって制御されることになる。尚、図4(C)に示す断面図は、図3に示す断面に対応している。
【0047】
<実施の形態例3>
第3の実施の実施の形態例によれば、図5(A)に示すように、n-InP 基板28上にn-InP バッファ層26、n-InGaAs光吸収層24、n-InP増倍層22、ガードリング領域被形成層であるn-InPキャップ層20が、順次結晶成長法により形成されている。
【0048】
次に図5(B)に示すように、ガードリング領域被形成層であるキャップ層20上に受光面44画成用の絶縁膜12としてSixN1-x膜を設ける。この絶縁膜12上から、絶縁膜12から露出しているキャップ層20にわたりマスクを設ける。このマスクは、キャップ層20の上側全面に設けている点が、第2の実施の形態のマスク40とは異なっている。そして、このマスクは、ガードリング領域被形成層であるキャップ層20の受光領域32の形成予定領域上には、第1マスク40aである(SiO2)y(ZnO)1-y膜の一層構造として形成すると共に、ガードリング領域被形成層20のガードリング領域36形成予定領域上には第1マスク40aである(SiO2)y(ZnO)1-y膜および第2マスク42である(SiO2)z(ZnO)1-z膜の二層構造として形成する。従って、このマスクは、その一部分を積層マスクとした複合マスクである。
【0049】
尚、第2の実施の形態例の場合と同様に、絶縁膜12および第1マスク40aの内側の縁を円形状とする。また、第1マスク40aおよび第2マスク42は、絶縁膜12の内側縁部分で段差が形成されている。そして、Zn3As2、Zn3P2、Cd3P2等の不純物拡散源のうちいずれか一つを石英アンプル管に封入し、封管法でZn3As2又はZn3P2であればZnによる熱拡散を、またCd3P2であればCdによる熱拡散を行い、複合マスク側からガードリング領域被形成層であるキャップ層20に対し不純物元素の固相拡散を行う。この場合、絶縁膜12の下側には、不純物は拡散されない。一方、複合マスクのうち、絶縁膜12を外れた部分の下側には不純物が拡散して拡散領域を形成する。然る後、第2マスク42を除去して図5(C)に示す構造を得る。
【0050】
マスクは一層構造と二層構造の部分があるので、この固相拡散により、図5(C)に示すように、拡散により形成されるガードリング領域36の拡散深さが、拡散により形成される受光領域32の拡散深さに対して浅くなるような拡散領域が形成される。また、第1マスク40aである組成比yの値が10〜50%である(SiO2)y(ZnO)1-y膜、および第2マスク42である組成比yの値が60〜100% である(SiO2)z(ZnO)1-z膜を用いることにより、拡散により形成されるガードリング領域の拡散深さが、拡散により形成される受光領域の拡散深さに対して、1〜0.5μmの範囲において浅くなるような形状を有する拡散領域が、組成比yによって制御されることになる。尚、図5(C)に示す断面は、図3に示す断面に対応している。
【0051】
【発明の効果】
この発明の半導体受光素子製造方法によれば、ガードリング領域被形成層に、不純物の固相拡散および気相拡散の同時拡散、もしくは固相拡散を行うことにより、受光領域と、受光領域の周辺に少なくともガードリング領域形成層の表面側におけるキャリア濃度が受光領域のキャリア濃度よりも低いキャリア濃度を有するガードリング領域とを形成することができる。これにより、ガードリング領域被形成層中に形成される受光領域およびガードリング領域を備える拡散領域にキャリア濃度分布が形成されるために、このキャリア濃度分布の形成に伴い形成される電界強度分布が空乏層の電極への到達を防止しかつブレークダウン電圧の低下を抑制することが可能である。
【0052】
また、結晶性の劣化を抑えかつガードリング領域の表面側のキャリア濃度が高くなるような制御が可能なために、ガードリング領域の表面上に形成する電極のオーミックコンタクト抵抗や素子のシリーズ抵抗や素子の暗電流などを減少させることができ、素子の信頼性や高速光応答特性の向上が期待できる。
【0053】
また、一度の拡散によりガードリング領域に形成される拡散深さが、受光領域に形成される拡散深さに比べて浅くなるような制御が可能なために、工程数の減少および歩留まりの向上が期待できる。さらに、一度の拡散で受光領域を形成することは、二度の拡散で受光領域を形成するよりも急峻な階段接合を形成することに効果的である。また、一度の拡散により形成される半導体受光素子は、二度の拡散により形成される半導体受光素子よりも低電圧駆動の提供を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のプレナー型APDの構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態のプレナー型APDの製造工程を示す図である。
【図3】第2、第3の実施の形態のプレナー型APDの構成を示す図である。
【図4】第2の実施の形態のプレナー型APDの製造工程を示す図である。
【図5】第3の実施の形態のプレナー型APDの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
12:絶縁膜
14:ARコート膜
16:P側電極
18:N側電極
20:ガードリング領域被形成層
22:n-InP増倍層
24:n-InGaAs光吸収層
26:n-InPバッファ層
28:n-InP基板
30:イオン注入領域
32:受光領域
34:表面側のキャリア濃度が受光領域よりは低く、ガードリング領域よりは高い領域
36:ガードリング領域
38:p拡散領域
40:マスク
40a:第1マスク
42:第2マスク
44:受光面

Claims (5)

  1. 受光素子のガードリング領域被形成層にガードリング領域を形成するにあたり、前記ガードリング領域被形成層上に、受光面画成用の絶縁膜を設け、該絶縁膜上から該受光面の一部分上にわたり、前記ガードリング領域被形成層中に形成されるべき受光領域を画成するためのマスクを固相拡散源として設け、該マスクが形成された側から前記ガードリング領域被形成層に対し、前記マスクおよび該マスクとは別の不純物拡散源を用いて、不純物元素の固相拡散および気相拡散を同時に行って、前記ガードリング領域被形成層に、受光領域と、該受光領域の周辺に少なくともガードリング領域被形成層の表面側におけるキャリア濃度が、前記受光領域のキャリア濃度よりも低いキャリア濃度を有するガードリング領域とを形成し、
    前記マスクとして (SiO 2 ) y (ZnO) 1-y 膜を用い、該(SiO 2 ) y (ZnO) 1-y 膜中のZn濃度を制御する組成比yの値は、10〜50%である
    ことを特徴とする半導体受光素子製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体受光素子製造方法において、前記ガードリング領域被形成層は、前記受光領域の形成予定領域の周囲にイオン注入領域を備えていることを特徴とする半導体受光素子製造方法。
  3. 請求項に記載の半導体受光素子製造方法において、前記ガードリング領域被形成層は、前記受光領域の形成予定領域の周囲にイオン注入領域を備えており、該イオン注入領域は、前記マスクの内側のへりの下側から横方向の外側に設けられていることを特徴とする半導体受光素子製造方法。
  4. 請求項に記載の半導体受光素子製造方法において、拡散により形成される前記ガードリング領域の拡散深さが、拡散により形成される前記受光領域の拡散深さに対して、1〜0.5μmの範囲において浅くなるように、前記拡散を制御することを特徴とする半導体受光素子製造方法。
  5. 請求項1に記載の半導体受光素子製造方法において、前記受光素子をアバランシェフォトダイオードとすることを特徴とする半導体受光素子製造方法。
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