JP4601035B2 - 水噴射式織機の緯入れ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水噴射織機に用いられる緯入れ装置に関し、特に緯入れノズルと、該緯入れノズル及び織機フレームの間に配置された角度調整部とを含む緯入れ装置に関する。
水噴射織機に用いられる緯入れ装置は、一般に、緯入れノズルからの水の噴射方向を調整する角度調整部を緯入れノズルと織機フレームとの間に配置している。
この種の緯入れ装置の1つとして、緯糸を挿通可能の導糸穴を有するニードルを筒状のノズル本体に挿入して緯入れノズルとし、この緯入れノズルを角度調整部を介して織機フレームに取り付けたものがある(特許文献1)。
実開平6−6470号公報
この緯入れ装置において、角度調整部は、緯入れノズルが嵌合されて支持されたノズルアームと、このノズルアームがボルトにより結合されたブラケットであって織機フレームに他のボルトにより結合されたブラケットとにより構成されている。
この種の緯入れ装置においては、水垢のような異物が緯入れノズルの内部に溜まって、緯入れ不良になることがある。そのような場合、緯入れノズルを織機から外して分解し、緯入れノズルの内部及び緯入れノズルへの給水穴を清掃しなければならない。
しかし、上記従来の緯入れ装置では、緯入れノズルを分解する際に、ノズルアームとブラケットとの結合を解除して、両者を分離しなければならない。このため、清掃後に、緯入れノズルを織機に装着する際に、緯入れノズルからの水の噴射方向を調整しなければならず、その調整作業に多大な労力と費用が費やされ、その結果織布の生産性が低下する、という問題がある。
本発明の目的は、先に設定された噴射方向の設定を崩すことなく、清掃後に緯入れノズルを再度取付可能にすることにある。
本発明に係る、水噴射式織機の緯入れ装置は、いずれも、軸線が緯入れ方向と平行になるように配置される緯入ノズルであって、その軸線方向へ延びるニードルと該ニードルが挿入されたノズル本体と前記軸線方向と交差する方向に伸びて前記ノズル本体と一体的に形成された延在部を備える緯入れノズル、及び該緯入れノズルと織機フレームとの間に配置された角度調整部を含む。前記角度調整部は、前記織機フレーム側に設けられた第1の部材と、該第1の部材に取り付けられた第2の部材と、前記第1の部材に対する前記第2の部材の取付角度を調整する角度調整部材とを含む。
本発明に係る第1の緯入れ装置においては、前記延在部は前記緯入れノズルの軸線方向と直交する第1の面を有し、前記第2の部材は前記第1の面と対向する第2の面を有する。また、前記緯入れノズルは、前記第1の面を前記第2の面に当接させた状態に前記第2の部材に取り付けられている。さらに、前記第1の面と前記第2の面とは、前記緯入れノズルを前記第2の部材から取り外した後の再取付時において前記緯入れノズルの軸線方向が前記取り外し前の当該方向と一致するように前記第2の部材に対する前記延在部の取付角度を規制する取付角度規制部を形成している。
本発明に係る第2の緯入れ装置においては、前記延在部は、前記緯入れノズルの軸線方向と交差する第1の面を有すると共に、該第1の面と交差する第3の面を有し、前記第2の部材は、前記第1及び第3の面の各々に対応して形成されて、前記第1及び第3の面と同じ角度で互いに交差する第2及び第4の面を有する。また前記緯入れノズルは前記第1及び第3の面を対応する第2及び第4の面に当接させた状態で前記第2の部材に取り付けられている。さらに、前記第1及び第3の面と前記第2及び第4の面とは、前記緯入れノズルが前記第2の部材から取り外した後の再取付時において前記緯入れノズルの軸線方向を前記取り外し前の当該方向と一致するように前記第2の部材に対する前記延在部の取付角度を規制する取付角度規制部を形成している。
本発明に係る第3の緯入れ装置においては、前記延在部は前記緯入れノズルの軸線方向へ伸びる円形の穴及び軸の一方を備えていてもよく。また前記第2の部材は前記穴及び軸の前記一方と嵌り合う穴及び軸の他方を備えていてもよい。さらに、前記緯入れノズルが延在部において前記穴と前記軸とを嵌め合せることによって前記第2の部材に支持されることにより、前記穴の内周面と前記軸の外周面とは、前記緯入れノズルを前記第2の部材から取り外した後の再取付時において前記緯入れノズルの軸線方向を前記取り外し前の当該方向と一致させるように前記第2の部材に対する前記延在部の取付角度を規制する取付角度規制部を形成している。
前記第2の緯入れ装置において、前記延在部及び前記第2の部材の一方は該一方に螺合されたボルトを含み、前記延在部及び前記第2の部材の他方は該他方に前記ボルトが挿通された穴を含むことができる。また、前記取付角度規制部は、前記ボルトの基部の外周面が前記第3の面及び前記第4の面の一方として機能し、前記穴の内周面が前記第3の面及び前記第4の面の他方として機能するように、形成されている。
上記の代わりに、前記第2の緯入れ装置において、前記延在部は前記第1の面に形成された凸部及び凹部の一方を有していてもよく、また前記第2の部材は前記第2の面に形成されて前記第1の面に形成された前記凸部及び凹部の前記一方と嵌合する凸部及び凹部の他方を有していてもよい。さらに、前記取付角度規制部は、嵌合する前記凸部及び前記凹部の各々の当接面が前記第3の面及び第4の面として機能するように形成されている。


緯入れノズルの内部を清掃する必要が生じたとき、延在部を角度調整部の第2の部材から分離すればよいから、角度調整部を分解する必要がない。その結果、角度調整部により決定される水の噴射方向の設定を崩すことなく、緯入れノズルを角度調整部から外すことができる。
また、緯入れノズルの再取付時、第2の部材に対する延在部の取付角度が取付角度規制部により再現された状態で、緯入れノズルが角度調整部に取り付けられる。その結果、緯入れノズルからの水の噴射方向が取り外し前の設定状態にされる。
したがって、従来緯入れノズルの取り外しの後に、必要不可欠とされていた水の噴射方向の再設定作業が不要になり、織機の運転を直ちに開始することができるから、織布の生産性を高めることができる。
前記延在部及び前記第2の部材は、それぞれ、互いに当接する第1及び第2の面であって前記緯入れノズルの軸線と直交する方向へ伸びる第1及び第2の面を備えていてもよい。そのようにすれば、緯入れノズルの軸線方向が延在部に形成される第1の面に対して直交する関係にある。このため、角度調整部を形成している第2の部材に形成された第2の面に対して前記第1の面が面接触した状態に前記延在部及び前記第2の部材を規制して取り付けることにより、第1の面に対するノズル軸線方向を緯入れノズルの取り外し前と同じ状態に再現された状態に、緯入れノズルを角度調整部に取り付けることができる。また、緯入れノズルを製作するに際し、ノズル部分の加工方向と、延在部の加工面とが同じ方向であることから、同じチャッキング状態で、緯入れノズルの内周面と第1の面を同一加工方向により加工することできるから、緯入れノズルの内周面と第1の面とを高い直角精度で加工することができる。その結果、異なるサイズの緯入れノズルに変更したとしても、サイズの異なる緯入れノズルを製作する段階で、延在部に形成される第1の面に対するノズル軸線の角度のバラツキを抑えられて高い精度に維持することが可能になり、仮に緯入れノズルを交換するようなことがあったとしても、水の噴射方向の変化を最小に抑えることができる。
前記延在部と前記第2の部材とは、前記延在部を前記緯入れノズルの軸線方向に貫通して前記第2の部材に螺合されたボルトにより結合されていてもよい。そのようにすれば、緯入れノズルの着脱が容易になる。
前記延在部は互いに交差する2つの第1の面を備え、前記第2の部材は、前記2つの第1の面に個々に対応されて前記2つの第1の面と同じ角度で互いに交差する2つの第2の面を有していてもよい。そのようにすれば、水の噴射方向の変化を最小に抑えることができる。
前記取付角度規制部は、前記延在部及び前記第2の部材のいずれか一方に形成されたボルト挿入用貫通穴であって該ボルト挿入用貫通穴に挿入されたリーマボルトのテーパ径に対応して縮径形成された前記挿入用貫通穴の内周面が前記2つの第1及び第2の面のいずれか一方の1つとされることにより、形成されていてもよい。そのようにすれば、2つの第1及び第2の面が当接することにより、緯入れノズルの軸線方向が、緯入れノズルを取り外し前の状態に再現することができ、水の噴射方向の変化を最小に抑えることができる。
上記のような延在部と第2の部材は、延在部を緯入れノズルの軸線方向に貫通して第2の部材に螺合されたボルトにより結合することにより、2つの部材の結合を容易にかつ確実に行うことができる。
前記延在部は前記緯入れノズルの軸線方向へ伸びる円形の穴又は軸を備え、前記第2の部材は前記穴又は軸に嵌り合う軸又は穴を備えていてもよい。この場合、前記穴は前記延在部又は前記第2の部材に形成された二股部により形成されており、前記延在部及び前記第2の部材は前記二股部を貫通するボルトにより結合されていてもよいし、前記延在部及び前記第2の部材は、さらに、それらの間に配置されたキーにより結合されていてもよい。
前記延在部は、前記緯入れノズルの軸線と交差する方向に伸びる第1の面と、該第1の面に形成された凸部又は凹部とを備え、前記第2の部材は、前記第1の面に対応された第2の面と、該第2の面に形成されて前記凸部又は前記凹部に嵌合された凹部又は凸部とを備えていてもよい。
前記緯入れノズルは、さらに、これの軸線方向へ伸びる導糸穴を備えるニードルと、該ニードルが挿入された収納穴を備えるノズル本体とを含み、前記ニードルと前記ノズル本体とは、前記ニードルの周りを伸びる環状溝と、該環状溝に続きかつ前記ニードルの周りを伸びる環状室とを共同して形成しており、前記ノズル本体は、前記環状溝に給水する給水路と前記延在部とを一体的に備えていてもよい。そのようにすれば、給水路を別途設ける場合に比べ、緯入れノズルの外形をより小さくできる。
前記緯入れノズルは、さらに、これの軸線方向へ伸びる導糸穴を備えるニードルと、該ニードルが挿入された収納穴を備えるノズル本体とを含み、前記ニードルと前記ノズル本体とは、前記ニードルの周りを伸びる環状溝及び該環状溝に続きかつ前記ニードルの周りを伸びる環状室とこれより先端側の噴射孔に連なる加速流路とを共同して形成しており、前記環状溝に給水する給水路と、前記環状溝と、前記環状室と、前記加速流路とを構成する部材と前記延在部とは、一体の部材により形成されていてもよい。そのようにすれば、環状室から加速流路に至るまで流路が緯入れノズルの軸線方向に対して平行に設けられることになるから、緯入れノズルの軸径方向の寸法をより小さくすることができ、ノズルの配置スペースの制約を受ける多色緯入れ織機に対し有利であると共に、前記したノズル再取付時における取付角度の再現性が保たれるのでより有利である。
前記緯入れノズルは、さらに、前記環状室において水流を整流すべく前記環状室に配置された整流子を含むことができる。
前記延在部はこれの長手方向へ伸びる第1の給水穴を備え、前記第2の部材は前記第1の給水穴の軸穴と同軸的に伸びて前記第1の給水穴に連通された第2の給水穴を備えていてもよい。そのようにすれば、延在部のほかに、環状溝に流体を供給する流路を形成するための部材を備える必要がなく、ノズル本体をより小型化することができる。
図1〜図4を参照するに、緯入れ装置10は、水噴射式織機において、緯糸Aを経糸Bの開口Cに緯入れするための緯入れ装置として用いられている。
緯入れ装置10は、緯入れノズル12と、各緯入れノズル12及び織機フレーム14の間に配置された角度調整部16とを含む。図示の例では、そのような緯入れノズル12が多色緯入れに対応して前後方向に複数並び備えられている。緯入れ装置10は、緯入れノズル12が筬18より経糸の移動方向下流側となるように、配置されている。緯入れノズル12の軸線は、緯入れ方向へ平行に水平に伸びている。
各緯入ノズル12は、円筒状のノズル本体20と、ノズル本体20に同軸的に挿入されたニードル22と、ノズル本体20内にノズル本体20及びニードル22と同軸的に配置された整流子24と、ノズル本体20に一体的に形成された延在部26とを含む。
ノズル本体20は、一端(緯入れ方向上流側端=後端)側に開口された収納穴28と、収納穴28に連通しかつ他端(緯入れ方向下流側端=先端)側に開口されたカバー穴30とを同軸的に備えている。収納穴28及びカバー穴30は、前者の直径寸法が後者のそれより大きい円形の断面形状を有している。
ニードル22は、後端側に位置するベース部32と、ベース部32から先端側へ同軸的及び一体的に伸びる中央部34と、中央部34から前端側へ同軸的及び一体的に伸びるニードル部36と、ニードル22の軸心部を貫通する導糸孔38とを同軸的に有しており、ニードル部36が先端側となる状態に収納穴28に挿入されている。
ベース部32は、収納穴28とほぼ同じ直径寸法を有する円形の断面形状を有する先端部において収納穴28に嵌合されており、また先端部より大きい直径寸法を有する後端部においてノズル本体20に螺合されている。
中央部34は、収納穴28より小さい直径寸法を有する。ニードル部36は、中央部34よりさらに小さい直径寸法を有しており、また外周面の直径寸法が先端に向かって漸次減少する細い円筒状に形成されている。
導糸穴38は、緯糸Aの通過を許すように、ニードル22の軸心部を緯糸Aの移動方向(導糸方向)に貫通されている。
ノズル本体20とニードル22とは、ニードル22の中央部34の周りを伸びる環状溝42と、環状溝42より前方に位置する環状室44と、環状溝42及び環状室44を相互に連通する複数の給水穴46とを共同して形成している。
図示の例では、環状溝42と環状室44とは、ニードル22にこれの周方向に形成された外向きの溝であるが、ノズル本体20に形成した内向きの溝であってもよい。給水穴46は、ニードル22の中央部34の先端外周に環状溝42と環状室44とを区画するように形成されたフランジ部35に形成された溝又は穴とすることができる。
整流子24は、環状室44の先端側に配置されている。整流子24は、ノズル本体20又はニードル22と一体に形成されていてもよい。
整流子24は、ニードル部36の先端部が同軸的に貫通する貫通穴48を軸心部に有している。貫通穴48は、高圧の水流を絞って加速するように流路断面積が下流側ほど減少する加速流路(いわゆる、オリフィス流路)をニードル部36の外周面と共同して形成している。
貫通穴48は、環状室44の側にあって内向きでかつ放射状の複数の整流壁すなわち整流フィン50が存在する有フィン区間と、有フィン区間よりカバー穴30側にあって整流フィン50が存在しない無フィン区間とを有する。
整流フィン50は、緯入れノズル12の軸線の周りに等角度間隔をおいて緯入れノズル12の軸線方向へ伸びている。周方向に隣り合う整流フィン50の間は、水流が整流されつつ通過することを許す整流溝とされている。貫通穴48を形成している内向き面のうち、整流溝の奥底面は水を誘導する内向き誘導面として作用し、無フィン区間の内周面は環状内周面として作用する。
各延在部26は、緯入れノズル20の軸線方向(緯糸Aの移動方向)に直角の方向にノズル本体20から伸びており、また環状溝42に水を供給する第1の給水路52を有している。第1の給水路52は、一端において環状溝42に開放しており、他端において第2の給水路54に連通されている。
第2の給水路54は、延在部26に下方から螺合されたカップリング56に形成されている。カップリング56は、パイプ58をノズル本体20と反端側の端部に結合させている。パイプ58は、緯入れ用流体としての圧力水をポンプのような圧力水源(図示せず)から緯入れノズル12に供給する。
角度調整部16は、スタンドブラケット60及びノズルスタンド62を介して織機フレーム14に取り付けられたノズルアジャスタ64と、ノズルアジャスタ64に取り付けられたL字状のノズルジョイント66とを含む。ノズルアジャスタ64及びノズルジョイント66は、それぞれ、第1及び第2の部材として作用する。
スタンドブラケット60は、これを緯入れノズル12の軸線と平行の方向に貫通して織機フレーム14に螺合された複数のボルト68により、織機フレーム14の緯入れ方向下流側の側面に取り外し可能に組み付けられている。
ノズルスタンド62は、これを緯入れノズル12の軸線と直角の方向に貫通してスタンドブラケット60に螺合された複数のボルト70により、スタンドブラケット60に取り外し可能に組み付けられている。
ノズルアジャスタ64は、ノズルスタンド62を緯入れノズル12の軸線と平行の方向に貫通してノズルアジャスタ64に螺合された複数のボルト72により、ノズルスタンド62の緯入れ方向下流側の側面に取り外し可能に組み付けられている。
ノズルジョイント66は、ノズルアジャスタ64を緯入れノズル12の軸線と平行の方向に貫通してノズルジョイント66に螺合された3以上のボルト74により、ノズルアジャスタ64の緯入れ方向下流側の側面に取り外し可能に組み付けられている。
ノズルアジャスタ64及びノズルジョイント66は、互いに対向されて緯入れ方向下流側及び上流側に開放する円錐形の凹部を有している。ノズルアジャスタ64及びノズルジョイント66は、両凹部に配置された球体76を間にしてボルト74により結合されている。
図示の例では、ボルト74及び球体76も、角度調整部16の一構成部材とされており、またノズルアジャスタ(第1の部材)64に対するノズルジョイント(第2の部材)66の取付角度を調整する角度調整部材として作用する。球体76は、図示の例のようにノズルアジャスタ64及びノズルジョイント66とは別個の独立した部材であってもよいし、ノズルアジャスタ64及びノズルジョイント66のいずれか一方に一体的に形成してもよい。また、球体76の形状は、完全な球状、半球状等であってもよいし、他の形状であってもよい。
各延在部26は、これを緯入れノズル12の軸線と平行の方向に貫通してノズルジョイント66に螺合された複数のボルト78により、ノズルジョイント66の緯入れ方向下流側の側面に取り外し可能に組み付けられている。
延在部26とノズルジョイント66は、それぞれ、緯入れノズル12の軸線と直交する方向へ伸びて互いに対向する位置規制面80及び82を有しており、両位置規制面80及び82を当接させている。この実施例において、位置規制面80及び82は、それぞれ、請求項1における第1及び第2の面として作用する。
カップリング56は、少なくとも1つのボルト84により、ノズルジョイント66に取り外し可能に取り付けられており、またボルト84を用いた割締めによりパイプ58を結合している。
延在部26及びノズルジョイント66の位置規制面80及び82は、ノズルジョイント66に対する延在部26の取付角度を規制する取付角度規制部として作用する。
緯入れ装置10において、給水路52に供給される高圧水は、環状溝42、給水穴46、環状室44及び貫通穴48を経ることにより整流されて、緯入れノズル12から緯糸Aと共に噴出される。噴出された緯糸Aは、水流により経糸B内を飛走されて開口C内に緯入れされる。
上記のように組み立てられた緯入れ装置10において、スタンドブラケット60、ノズルスタンド62及びノズルアジャスタ64の織機フレーム14に対する角度、ひいては緯入れノズル12による水噴射方向は、ボルト68,70及び72のねじ込み量により調節することはできない。
ノズルスタンド62には、ボルト72を貫通させるための貫通穴がノズルアジャスタ64に対する相対位置を上下方向に調節可能に形成されており、ボルト70を貫通させるための貫通穴がノズルスタンドブラケット60に対する相対位置を織前前後方向に調節可能に形成されている。
しかし、緯入れノズル12からの水噴射方向は、角度調整部16のボルト74のねじ込み量を調節することにより調整することができる。
すなわち、ノズルジョイント66への各ボルト74のねじ込み量を変更すると、ノズルジョイント66が球体76の周りにわずかに回転変位して、ノズルアジャスタ64に対するノズルジョイント66の姿勢が変化する。
上記の結果、緯入れノズル12の軸線の指向方向が変化する。このため、各緯入れノズル12の水噴射方向は、ノズルジョイント66への各ボルト74のねじ込み量を変更することにより、調整することができる。
緯入れノズル12の内部を清掃するときは、各ボルト78を外して、延在部26をノズルジョイント66から分離するだけで、角度調整部16を分解する必要がない。これにより、角度調整部16により決定される水噴射方向は、崩されることなく、維持される。その結果、角度調整部16により決定される水の噴射方向を崩すことなく、緯入れノズル12を角度調節部16から外すことができる。
清掃の終了した緯入れノズル12は、位置規制面80及び82が当接した状態に、延在部26においてノズルジョイント66にボルト78により再度取り付けられる。このとき、ノズルジョイント66に対する延在部26の取付角度が角度調整部16により再現された状態で、緯入れノズル12が角度調整部16に取り付けられる。その結果、緯入れノズル12からの水噴射方向が緯入れノズル12の取り外し前の設定状態にされる。
緯入れノズル12の再取付後は、角度調整部16を分解する必要のある従来の緯入れ装置のように水噴射方向の再設定作業を行うことなく、織機の運転を直ちに開始することができ、織布の生産性を高めることができる。
緯入れ装置10のように、延在部26及びノズルジョイント66が、それぞれ、緯入れノズル12の軸線と直交する方向へ伸びて互いに当接する位置規制面80及び82を備えていると、さらに以下のような効果を奏する。
すなわち、1平面の規制で最も効果的にノズル噴射水の到達位置を変化させずに済み、さらには緯入れノズルの製造段階においてワーク(加工対象物)固定を解除及び再固定することなく同じチャッキング状態で、緯入れノズルの内周面と位置規制面80とを同一加工方向に加工することできるから、緯入れノズル12の内周面と位置規制面80とを高い直角精度で加工することができる。その結果、異なるサイズの緯入れノズルに変更したときに、水噴射方向の変化を最小に抑えることができる。
また、延在部26とノズルジョイント66とが延在部26を緯入れノズル12の軸線方向に貫通してノズルジョイント66に螺合されたボルト78により結合されていると、ノズルジョイント66に対する緯入れノズル12の着脱が容易になる。
さらに、第1の給水路52を形成している延在部26と、ニードルを収容する収納穴28及びカバー穴30を形成しているノズル本体20とを単一の部材で一体的に形成すれば、環状溝42と給水穴46と環状室48とこれより先端に設けられる加速流路とからなる流路がノズル軸線に対してほぼ並行に設けられることになるから、緯入れノズルの軸径方向の寸法をより小さくすることができ、ノズルの外径寸法が縮小される。その結果、多色緯入れ装置等、複数の緯入れノズルを配置する際に、ノズルの配列ピッチを小さくすることができるし、緯入れノズル12の再取付における再取付位置の再現性が緯入れノズル12毎に高精度に維持される。
図5及び図6を参照するに、緯入れ装置90は、環状溝42に給水する給水路52を、延在部26に形成する代わりに、ノズル本体20から延在部26の側と反対側に伸びる第2の延在部92に形成している。第2の延在部92は、ノズル本体20及び延在部26と一体的に形成されている。ノズルジョイント66は、逆L字状となるように、緯入れ装置10とは逆にノズルアジャスタ64に組み付けられている。
緯入れ装置90は、また、緯入れ装置10における位置規制面80及び82の代わりに、互いに交差する2つの第1の位置規制面94,94をノズル本体20と反対側の延在部26の端部に形成していると共に、第1の位置規制面94,94に個々に対応されて第1の位置規制面94,94と同じ角度で互いに交差する2つの第2の位置規制面96,96をノズルジョイント66に形成している。この実施例において、位置規制面94、96、94及び96は、それぞれ、請求項2における第1,第2,第3及び第4の面として作用する。
図示の例では、位置規制面94,94はノズル本体20と反対側の延在部26の端部に形成されたフランジ状の凸部により規定され、位置規制面96,96は凸部を受け入れるべくノズルジョイント66の上面に形成された上方に開放する凹部により規定されている。
緯入れ装置90においては、延在部26の凸部をノズルジョイント66の凹部に嵌合させて、位置規制面94及び94をそれぞれ位置規制面96及び96に当接させた状態に、凸部を緯入れノズル12の軸線と直交する方向へ貫通してノズルジョイント66に螺合された複数のボルト98によりノズルホルダ66に取り付けられている。
位置規制面94,94及び96,96は、互いに当接されていることにより、緯入れ装置10における位置規制面80及び82と同様に、緯入れノズル12からの水噴射方向を角度調整部16により設定された状態に維持する。このため、緯入れ装置90によっても、緯入れ装置10と同様の作用効果を得ることができる。
緯入れ装置90において、上記と逆に、下方に開放する多角形の凹部をノズル本体20と反対側の延在部26の端面に形成することにより第1の面94,94を製作し、上方に突出する多角形の凸部をノズルジョイント66の上面に形成することにより第2の面96,96を製作してもよい。凸部及び凹部は、互いに嵌合可能の形状を有していてもよいし、嵌合されない形状を有していてもよい。
図7及び図8を参照するに、緯入れ装置100は、緯入れ装置90における位置規制面94,94及び96,96の代わりに、ボルト98の基部の外周面、ボルト用穴の基部の内周面、延在部26の下端面、及びノズルジョイント66の上面をそれぞれ位置規制面102,104,106及び108としている。この実施例において、位置規制面102、104、106及び108は、それぞれ、請求項3における第1、第2,第3及び第4の面として作用し、またボルト98は、第2の部材としてのノズルジョイント66の一部として作用する。

好ましくはボルト98として、いわゆるリーマボルトを用い、ボルト98の基部の外周面を先端側に進むにつれて所定のテーパで縮径するように形成し、延在部26に設けられるボルト挿通用貫通穴の基部の内周面を、上記同じテーパで縮径するように形成することにより、ボルト98の着脱をよりスムーズに行うことができる。
位置規制面102と104、並びに、106と108は、緯入れ装置100に組み立てられた状態において、緯入れ装置10における位置規制面80及び82並びに緯入れ装置90における位置規制面94,94及び96,96と同様に機能することにより、緯入れノズル12からの水噴射方向を角度調整部16により設定された状態に維持する。このため、緯入れ装置100によっても、緯入れ装置10及び90と同様の作用効果を得ることができる。
図9及び図10を参照するに、緯入れ装置110は、緯入れ装置90における位置規制面94,94及び96,96の代わりに、緯入れノズル12の軸線方向へ伸びる軸112をノズルジョイント66の上部に形成し、緯入れノズル12の軸線方向へ伸びる円形穴114を延在部26の下端部に形成し、軸112の外周面及び円形穴114の内周面をそれぞれ位置規制面116及び118としている。しかし、軸112を延在部26の下端部に形成し、円形穴114をノズルジョイント66の上部に形成してもよい。
円形穴114は、図示の例では、延在部26下端部に形成された二股部120により形成されている。緯入れノズル12は、軸112が円形穴114に通された状態で、二股部120を貫通するボルト122により取り付けられている。
しかし、図示の例では、軸112と二股部120とは、それらの間に配置された凸部すなわちキー124により結合されている。キー124は、軸112の軸線の周りにおける延在部26の相対的な角度を位置決める位置決め部として作用する。
位置規制面116及び118は、緯入れ装置110に組み立てられた状態において、キー124と共同して、緯入れ装置10における位置規制面80及び82並びに緯入れ装置90における位置規制面94,94及び96,96と同様に、緯入れノズル12からの水噴射方向を角度調整部16により設定された状態に維持する。このため、緯入れ装置110によっても、緯入れ装置10及び90と同様の作用効果を得ることができる。
しかも、図9〜図10に示す実施例においても、ノズル本体20の収納穴及びカバー穴の加工と、円形穴114の加工を同じチャッキングにより加工することが可能になり、前記実施例と同様、緯入れノズルを交換するようなことがあっても緯入れノズルの噴射方向のバラツキが生じない。
図11を参照するに、緯入れ装置130は、緯入れノズル12の軸線に斜めに交差する方向に伸びる位置規制面132を延在部26に形成し、位置規制面132に対向する他の位置規制面134をノズルジョイント66に前記面132に対応して同じ方向に伸びるように形成している。
緯入れ装置130においては、延在部26とノズルジョイント66とは、延在部26を貫通してノズルジョイント66に螺合された1以上のボルト136と、延在部26及びノズルジョイント66のいずれか一方に備えられた凸部138とにより、両位置規制面132,134が当接した状態に結合されている。
凸部138は、図示の例では、ピン又はキーである。このため、凸部138が嵌合する凹部が延在部26及びノズルジョイント66の他方に形成されている。しかし、凸部138は、延在部26及びノズルジョイント66のいずれか一方に一体的に形成されたものであってもよい。いずれの場合においても位置規制面32,134、延在部26又はノズルジョイント66に備えられた凸部138の面、及び凸部138が嵌合された凹部の面は、それぞれ、請求項2及び4における第1、第2,第3及び第4の面として作用する。

位置規制面132及び134は、緯入れ装置130に組み立てられた状態において、凸部138と共同して、緯入れ装置10における位置規制面80及び82並びに緯入れ装置90における位置規制面94,94及び96,96と同様に、緯入れノズル12からの水噴射方向を角度調整部16により設定された状態に維持する。このため、緯入れ装置130によっても、緯入れ装置10及び90と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
本発明に係る緯入装置の第1の実施例を示す側面図である。 図1における2−2線に沿って得た断面図である。 図1に示す緯入れ装置における緯入れノズルと角度調整部付近の拡大断面図である。 図3に示す緯入れノズルの右側面図である。 本発明に係る緯入装置の第2の実施例における緯入れノズルと角度調整部付近の拡大断面図である。 図5に示す緯入れノズルの右側面図である。 本発明に係る緯入装置の第3の実施例における緯入れノズルと角度調整部付近の拡大断面図である。 図7に示す緯入れノズルの右側面図である。 本発明に係る緯入装置の第4の実施例における緯入れノズルと角度調整部付近の拡大断面図である。 図9に示す緯入れノズルの右側面図である。 本発明に係る緯入装置の第5の実施例における緯入れノズルと角度調整部付近の拡大断面図である。
符号の説明
A 緯糸
B 経糸
C 開口
10,90,100,110,130 緯入装置
12 緯入れノズル
14 織機フレーム
16 角度調整部
17 経糸
18 筬
20 ノズル本体
22 ニードル
24 整流器
26 延在部
28 収納穴
30 カバー穴
38 導糸穴
42 環状溝
44 環状室
46 給水穴
48 貫通穴
50 整流フィン
52 給水路
60 スタンドブラケット
62 ノズルスタンド
64 ノズルアジャスタ
66 ノズルジョイント
68,70,72,74,78,84 ボルト
76 球体
80,82 位置規制面
92 第2の延在部
94,96 位置規制面
98 ボルト
102,104,106,108 位置規制面
112 軸
114 円形穴
116,118 位置規制面
120 二股部
122 ボルト
124 キー(凸部)
132,134 位置規制面
136 ボルト
138 凸部(ピン)

Claims (5)

  1. 軸線が緯入れ方向と平行になるように配置される緯入ノズルであって、その軸線方向へ延びるニードルと該ニードルが挿入されたノズル本体と前記軸線方向と交差する方向に伸びて前記ノズル本体と一体的に形成された延在部を備える緯入れノズル、及び該緯入れノズルと織機フレームとの間に配置された角度調整部を含む、水噴射式織機の緯入れ装置において、
    前記角度調整部は、前記織機フレーム側に設けられた第1の部材と、該第1の部材に取り付けられた第2の部材と、前記第1の部材に対する前記第2の部材の取付角度を調整する角度調整部材とを含み、
    前記延在部は前記緯入れノズルの軸線方向と直交する第1の面を有し、前記第2の部材は前記第1の面と対向する第2の面を有し、前記緯入れノズルは、前記第1の面を前記第2の面に面接触させた状態に前記第2の部材に取り付けられており、
    前記第1の面と前記第2の面とは、前記緯入れノズルを前記第2の部材から取り外した後の再取付時において前記緯入れノズルの軸線方向が前記取り外し前の当該方向と一致するように前記第2の部材に対する前記延在部の取付角度を規制する取付角度規制部を形成している、水噴射式織機の緯入れ装置。
  2. 軸線が緯入れ方向と平行になるように配置される緯入れ装置であって、その軸線方向へ延びるニードルと該ニードルが挿入されたノズル本体と前記軸線方向と交差する方向に伸びて前記ノズル本体と一体的に形成された延在部を備える緯入れノズル、及び該緯入れノズルと織機フレームとの間に配置された角度調整部を含む、水噴射式織機の緯入れ装置において、
    前記角度調整部は、前記織機フレーム側に設けられた第1の部材と、該第1の部材に取り付けられた第2の部材と、前記第1の部材に対する前記第2の部材の取付角度を調整する角度調整部材とを含み、
    前記延在部は、前記緯入れノズルの軸線方向と交差する第1の面を有すると共に、該第1の面と交差する第3の面を有し、前記第2の部材は、前記第1及び第3の面の各々に対応して形成されて、前記第1及び第3の面の交差角度と同じ角度で交差する第2及び第4の面を有し、前記緯入れノズルは前記第1及び第3の面を対応する第2及び第4の面に面接触させた状態で前記第2の部材に取り付けられており、
    前記第1及び第3の面と前記第2及び第4の面とは、前記緯入れノズルが前記第2の部材から取り外した後の再取付時において前記緯入れノズルの軸線方向を前記取り外し前の当該方向と一致するように前記第2の部材に対する前記延在部の取付角度を規制する取付角度規制部を形成している、水噴射式織機の緯入れ装置。
  3. 前記延在部及び前記第2の部材の一方は該一方に螺合されたボルトを含み、前記延在部及び前記第2の部材の他方は該他方に前記ボルトが挿通された穴を含み、
    前記取付角度規制部は、前記ボルトの基部の外周面が前記第1の面及び前記第2の面の一方として機能し、前記穴の内周面が前記第1の面及び前記第2の面の他方として機能するように、形成されている、請求項2に記載の水噴射式織機の緯入れ装置。
  4. 前記延在部は前記第1の面に形成された凸部及び凹部の一方を有し、前記第2の部材は前記第2の面に形成されて前記第1の面に形成された前記凸部及び凹部の前記一方と嵌合する凸部及び凹部の他方を有し、
    前記取付角度規制部は、嵌合する前記凸部及び前記凹部の各々の当接面が前記第3の面及び第4の面として機能するように形成されている、請求項2に記載の水噴射式織機の緯入れ装置。
  5. 軸線が緯入れ方向と平行になるように配置される緯入れ装置であって、その軸線方向へ延びるニードルと該ニードルが挿入されたノズル本体と前記軸線方向と交差する方向に伸びて前記ノズル本体と一体的に形成された延在部を備える緯入れノズル、及び該緯入れノズルと織機フレームとの間に配置された角度調整部を含む、水噴射式織機の緯入れ装置において、
    前記角度調整部は、前記織機フレーム側に設けられた第1の部材と、該第1の部材に取り付けられた第2の部材と、前記第1の部材に対する前記第2の部材の取付角度を調整する角度調整部材とを含み、
    前記延在部は前記緯入れノズルの軸線方向へ伸びる円形の穴及び軸の一方を備え、前記第2の部材は前記穴及び軸の前記一方と嵌り合う穴及び軸の他方を備え、
    前記緯入れノズルが延在部において前記穴と前記軸とを嵌め合せることによって前記第2の部材に支持されることにより、前記穴の内周面と前記軸の外周面とは、前記緯入れノズルを前記第2の部材から取り外した後の再取付時において前記緯入れノズルの軸線方向を前記取り外し前の当該方向と一致させるように前記第2の部材に対する前記延在部の取付角度を規制する取付角度規制部を形成している、水噴射式織機の緯入れ装置。
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