JP4600820B2 - エピタキシャル成長装置 - Google Patents
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Description
近年、MOSメモリデバイスの高集積化に伴い、α粒子によるメモリの誤動作(ソフトエラー)およびCMOS・ICにおけるラッチアップが無視できなくなっている。これらの解決策として、デバイス製作の障害となるgrow−in欠陥を解消可能なエピタキシャル膜を有したエピタキシャルウェーハが注目され、最近ではCMOS・ICの製造にエピタキシャルウェーハが積極的に用いられており、その使用範囲はさらに拡大しつつある。
エピタキシャル膜の成膜装置の一種として、枚葉式のエピタキシャル成長装置が知られている。この枚葉式の成長装置は、コンパクトな反応室を有し、ハロゲンランプによる輻射加熱方式が採られている。枚葉処理を行うことから、均熱条件、ガス流分布の設計が容易で、エピタキシャル膜の特性を高めることができる。したがって、大口径のシリコンウェーハの処理に適している。
図16に示すように、従来の枚葉式のエピタキシャル成長装置は、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜する反応室12と、反応室12内にシリコンウェーハWを移載する移載手段を有したトランスファチャンバ13(移載室)と、反応室12とトランスファチャンバ13とを連通する連通路11とを備えている。
トランスファチャンバ13内のシリコンウェーハWは、連通路11を介して、上記移載手段により反応室12のサセプタ18に移載される。その後、反応室12に反応ガスを供給し、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜させる。
成膜時には、シリコンウェーハWの表面にパーティクルが付着していないことが重要である。パーティクルを除去せずにエピタキシャル膜を成膜させると、エピタキシャル膜にマウンドおよび積層欠陥などが発生するおそれがある。そして、これらの欠陥は、後にLPD(Light Point Defects)として発見されることになる。
サセプタ18は回転モータにより回転自在に構成され、成膜時にはサセプタ18を介してシリコンウェーハWを周方向に所定の回転速度で回転させる。サセプタ18の外周には、環状のプレヒートリングRが配置されている。プレヒートリングRは、反応室12を区画するドーム取付体25の内周壁に固定され、反応ガスをウェーハ表面に接触する直前に加熱する環状のヒータである。よって、回転自在なサセプタ18と、固定されたプレヒートリングRとの間には隙間が存在することになる。
しかしながら、反応ガスの一部は、サセプタ18とプリヒートリングRとの隙間を通過して連通路11に侵入し、副生成物50を堆積させている。特に、連通路11の反応室12側の部分が高濃度となるため、堆積量も増大する。しかも、連通路11の反応室12側の部分のうちでも、とりわけ反応ガスの供給側(風上側)は副生成物50が多量に発生し易い。そのため、反応室12における炉内対流により、剥離後の副生成物50が、シリコンウェーハWの表面に運ばれる可能性はさらに高まることになる。
上記パージガスは、このような副生成物50の堆積を防止するため、連通路11に流しているのである。しかしながら、このような効果を十分に発揮していないのが現状である。
エピタキシャル膜を成膜する装置としては、例えば枚葉式のエピタキシャル成長装置を採用することができる。
パージガスとしては、例えば水素ガスを採用することができる。水素ガスは、連通路の上壁のノズルから噴出される。ノズルの形成数は限定されない。1本でもよいし、2本以上でもよい。また、噴出する水素ガスの流量も限定されない。
ガイド部材の形状は、板状であれば限定されない。また、ガイド部材の素材は限定されない。
ノズルは所定長さの筒形状を有している。例えば円筒形状でもよいし、角筒形状でもよい。
これにより、ノズルから噴出されたパージガスは、ガイド部材に当接した後、連通路の上壁面に沿って流される。その結果、連通路の上壁面に副生成物が付着し難くなる。よって、半導体ウェーハ上のパーティクルの発生量を低減させることができ、LPDの少ないエピタキシャルウェーハを得ることができる。
ノズルは、通路の幅方向に直線的に並んで配置された複数の開口部で形成されている。この開口部は、円形状の孔または細くて長いスリットである。孔の径、スリットの幅および長さは限定されない。
以上の結果、LPDが少ないエピタキシャルウェーハを得ることができる。
図1〜図3において、10はこの発明の実施例1に係るエピタキシャル成長装置で、このエピタキシャル成長装置10は、シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)Wの表面に、エピタキシャル膜を成膜する2台のプロセスチャンバ20と、プロセスチャンバ20にシリコンウェーハWを移送する搬送手段を有したトランスファチャンバ13と、シリコンウェーハWをトランスファチャンバ13に投入するローダ部31と、ローダ部31と連通し、シリコンウェーハWを減圧した雰囲気で保持するロードロック室33とを備えている。ロードロック室33は、内部に移載室13Aが形成されたトランスファチャンバ13と連通されている。
プロセスチャンバ20は、石英などの透明な素材からそれぞれ構成された上側ドーム21と下側ドーム22とを、円筒体のドーム取付体25により連結したものである。これにより、プロセスチャンバ20内に、平面視して略円形状の密閉された反応室12が形成される。反応室12の上方および下方には、反応室12内を加熱する図示しないハロゲンランプが、周方向に向かって略均一な間隔で離間して複数個配設されている。ドーム取付体25の所定位置には、反応室12にガスを流入するガス供給口16が設けられている。また、ドーム取付体25の対向位置(ガス供給口16と180°離間した位置)には、反応室12内のガスを、その室外へ排出するガス排出口17が設けられている。
そして、サセプタ18の外周には、反応ガスをウェーハ表面に接触する直前に加熱する環状のプレヒートリングRが配置されている。プレヒートリングRは、上記ドーム取付体25の内周壁に固定されている。よって、回転自在なサセプタ18と、固定されたプレヒートリングRとの間には隙間が存在している。
図1に示すように、トランスファチャンバ13とプロセスチャンバ20との間には、略直方体のスリット部材19が設けられている。スリット部材19には、上記トランスファチャンバ13の移載室13Aとプロセスチャンバ20の反応室12とを連通する連通路11が画成されている。スリット部材19のトランスファチャンバ13側には、プロセスチャンバ20の反応室12内にシリコンウェーハWを挿入後、反応室12内を密閉するスリットバルブ34が設けられている。シリコンウェーハWは、連通路11を介して、トランスファチャンバ13の移載室13Aからプロセスチャンバ20の反応室12に搬送される。
また、連通路11の上壁の下面側には、ガイド部材15が設けられている。ガイド部材15は、連通路11内に垂下された板材で構成し、上記ノズル14の下方にて、その下側が反応室側に位置するように45°だけ傾斜した状態で設けられている。
直径200mm、比抵抗15mΩcmのシリコンウェーハW(片面研磨ウェーハ)を準備する。そして、シリコンウェーハWを、図3に示すローダ部31に投入する。次いで、シリコンウェーハWを、ローダ部31からロードロック室33に搬送する。それから、シリコンウェーハWは、ロードロック室33でいったん減圧し、その後、復圧される。それから、シリコンウェーハWはトランスファチャンバ13を介して、プロセスチャンバ20に搬送される。具体的には、スリットバルブ34を開き、連通路11を介して、シリコンウェーハWを移載室13Aから反応室12に搬送する。その後、スリットバルブ34を閉じて反応室12を密閉する。
そして、反応室12の上方および下方に配設された図示しないハロゲンランプにより、熱を輻射させて反応室12の温度を1050〜1170℃に保持する。このとき、シリコンウェーハWを保持するサセプタ18は、下側のハロゲンランプによって、サセプタ支持部材19を介して均一にその輻射熱を受ける。これにより、厚さが約6μm、比抵抗が10ΩcmのP型のエピタキシャル膜を均一にシリコンウェーハWの表面に成長させることができる。
図1に示すように、反応ガスの反応室導入時において、図示しないパージガス供給源によりパージガス(水素ガス)を生成し、その後、パージガスを、各ノズル14を通して反応室12に導入させる。
連通路11の上壁面には、板材で構成されたガイド部材15が、連通路11に垂下された状態で設けられている。そして、ガイド部材15は、各ノズル14の下方にて、ガイド部材15の下側が反応室側に位置するように傾斜した状態で設けられている。これにより、各ノズル14から噴出されたパージガスは、傾斜するガイド部材15に当接し、その後、連通路11の上壁面に沿って反応室側に流される。また、ガイド部材15は、その下側が反応室側に位置するように傾斜しているので、パージガスを下方に流すことができる。その結果、ノズル14から噴出されたパージガスを、連通路11の上下に均等に供給することができる。よって、連通路11の上壁面には副生成物が形成され難くなる。また、エピタキシャル膜表面に発生するLPDを低減することができる。
実施例2のエピタキシャルウェーハ装置は、実施例1に係るエピタキシャルウェーハの装置10に対して、以下の変更を加えたものである。すなわち、各ノズル14から噴出する反応ガス供給口側のパージガスの流量を、反応ガス排出口側のそれ(パージガスの流量)よりも大きくしている。
具体的には、図5aに示すように、エピタキシャル成長装置には、反応ガスがA方向からプロセスチャンバ20に導入され、そしてB方向に排出される。
プロセスチャンバ20とトランスファチャンバ13との間には、反応室12の反応ガスのガス流(A→B)と水平面内で直交した状態で、反応室12にパージガスを供給するスリット部材19Aが設けられている。スリット部材19Aには、パージガスを送流する注入路27が連通路11の上壁に埋設されている。そして、連通路11の上壁の内部には、パージガスを注入路27から反応室12に噴出する複数のノズル(開口部)14が配設されている。パージガスは、図示しないパージガス供給源により生成され、反応ガスの供給口側(C方向)から注入室27に注入される。
さらには、パージガスを噴出する各ノズル14を、以下のように設けてもよい。すなわち、図6に示すように、反応ガスの排出口側(B側)の一部のノズル14の孔(またはスリット)を塞いだスリット部材19Cを採用してもよい。
さらには、図7に示すように、反応ガスの供給口側(A側)の各ノズル14の孔の径(またはスリットの大きさ)を排出口側(B側)のそれよりも大きくしたスリット部材19Dを採用してもよい。
その結果、反応ガスの供給口側(A側)のパージガスの流量を、排出口側(B側)よりも大きくすることができる。例えば、パージガスの流量は、反応ガスの供給口側(A側)が25slmであり、反応ガスの排出口側(A側)が5slmである。
これにより、反応ガスの供給口側(A側)のノズル14付近に、パージガスの流れが改善される。また、この反応ガスの供給口側(A側)のノズル14付近にガス副生成物が生成し難くなる。
パージガスは、反応ガスのガス流ともにガス排出口17に流される。このため、反応ガスの排出口側(B側)のパージガスは、供給口側(A側)よりも流量が少なくても、ガス排出口17へ流れやすい。よって、排出口側(B側)のノズル付近に反応ガスの回り込みは無く、副生成物が付着しにくくなる。
以上の結果、LPDの少ないエピタキシャルウェーハを得ることができる。
その他の構成、作用、効果は、実施例1と略同じであるので、説明を省略する。
図8〜図10に示すように、実施例3のエピタキシャル成膜装置の特徴は、次の3点である。すなわち、(1) 各ノズル14が、それらの連通路側の部分を反応ガスの供給口側に位置するように一例として30°だけ傾斜して配置されている(図10)。(2) 連通路11の移載室側に形成された移載室側口部11aが、各ノズル14の下方にて、その下側が反応室側に位置するように45°だけ傾斜した状態で設けられている(図8)。(3) スリットバルブ(開閉弁)34には、下側が反応室側に位置するように傾斜した状態に配置されて移載室側口部11aを塞ぐ平板の弁体34aが設けられている(図8)。
一方、排出口側のパージガスは、反応ガスの供給口側より流量が少なくても、反応ガスとともに排出口に流れ易い。よって、排出口側のノズル付近でも反応ガスの回り込みは抑制され、副生成物が付着し難くなる。その結果、エピタキシャル成膜後、シリコンウェーハWの表面におけるLPDの発生を低減させることができる。
このような効果は、図11に示すように、連通路11において、各ノズル14の傾斜角度を、反応ガスの排出口側に向かうほど0〜60°徐々に大きくした場合でも、同じように得ることができる。
その他の構成、作用、効果は、実施例1と略同じであるので、説明を省略する。
また、パージガスを反応ガスの排出口側(B側)から供給する従来のエピタキシャル成長装置を用いてLPDも評価した。確認の方法は上記と同条件である。その結果を図14および図15に示す。
図14および図15から明らかなように、この発明に係るエピタキシャル成長装置10を使用することにより、LPDが低減することが確認された。これは、パージガスのノズル14付近に副生成物が付着し難くなったことを示す。
11 連通路、
11a 移載室側口部、
12 反応室、
13A 移載室、
14 ノズル、
15 ガイド部材、
16 供給口、
17 排出口、
27 注入路、
34 スリットバルブ(開閉弁)、
34a 弁体、
W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)。
Claims (2)
- 上側ドームと下側ドームとが円筒体のドーム取付体により連結された平面視して略円形状の反応室と、
長さ方向が水平で、垂直な断面形状が横に長い矩形状を有した連通路を介して上記反応室に連通された移載室とを備え、
半導体ウェーハを上記移載室から連通路を介して上記反応室に搬送して収容し、この反応室に反応ガスを導入して半導体ウェーハの表面にエピタキシャル膜を成膜するエピタキシャル成膜装置において、
上記ドーム取付体には、上記反応ガスを上記反応室内に供給する反応ガス供給口と、上記反応ガスを上記反応室内から排出する反応ガス排出口とが、上記反応室を平面視して対向する位置に設けられ、
上記反応ガスは、上記反応室内を上記反応ガス供給口から上記反応ガス排出口に向かって水平に流され、
上記連通路は、その延びる方向が上記反応ガスの流れと直交方向となるように設けられ、
上記連通路の上壁にノズルが設けられ、
このノズルから上記連通路に噴出されたパージガスを、この連通路の上壁面に沿って上記反応室に流すガイド部材がこの連通路に設けられ、
上記ガイド部材は、上記連通路内に垂下された板材で構成し、上記ノズルの下方にて、その下側が反応室内に位置するように傾斜した状態で設けられたエピタキシャル成膜装置。 - 上記ノズルは、上記連通路の幅方向に直線的に並んで配置された複数の開口部で形成された請求項1に記載のエピタキシャル成膜装置。
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