JP2007294545A - エピタキシャル成長装置 - Google Patents

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順博 蛇川
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Abstract

【課題】通路の上壁面に堆積する副生成物を抑制する。
【解決手段】シリコンウェーハWが収容される反応室12と、通路11を介して反応室12に連通された移載室13Aとを備え、反応室12に設けられた供給口16から、供給口16と対向して設けられた排出口17に向かって反応ガスを流すエピタキシャル成長装置において、通路11の下壁面11bには、反応ガスの通路11への流入を防止するための流入防止ガスを噴出する流入防止ノズル40が設けられ、流入防止ノズル40が、流入防止ガスを通路11上壁面11aの反応室12出口12a付近に向けて噴出するよう角度設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンウェーハの表面にエピタキシャル膜を成膜するエピタキシャル成長装置に係り、エピタキシャル成長装置の反応室内付近の浄化に用いて好適な技術に関する。
半導体基板の製造分野において、シリコンウェーハの表面にエピタキシャル膜を成長させたエピタキシャルウェーハが知られている。エピタキシャルウェーハとは、シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)の表面に、エピタキシャル成長により、エピタキシャル膜を成膜させたものである。
近年、MOSメモリデバイスの高集積化に伴い、α粒子によるメモリの誤動作(ソフトエラー)およびCMOS・ICにおけるラッチアップが無視できなくなっている。これらの解決策として、デバイス製作の障害となるgrow−in欠陥を解消可能なエピタキシャル膜を有したエピタキシャルウェーハが注目され、最近ではCMOS・ICの製造にエピタキシャルウェーハが積極的に用いられており、その使用範囲はさらに拡大しつつある。
シリコンウェーハのエピタキシャル成長法としては、気相成長法が一般的である。反応ガス(原料ガス)には、シラン系(SiH、SiHCl、SiHCl、SiClなど)のガスが汎用され、キャリアガスにはH ガスなどが使用されている。
エピタキシャル膜の成長装置の一種として、枚葉式のエピタキシャル成長装置が知られている。この枚葉式の成長装置は、コンパクトな反応室を有し、ハロゲンランプによる輻射加熱方式が採られている。枚葉処理を行うことから、均熱条件、ガス流分布の設計が容易で、エピタキシャル膜の特性を高めることができる。したがって、大口径のシリコンウェーハの処理に適している。
以下、図11、図12を参照し、従来の枚葉式のエピタキシャル成長装置を具体的に説明する。
図11、図12に示すように、従来の枚葉式のエピタキシャル成長装置は、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜する反応室12と、反応室12内にシリコンウェーハWを移載する移載手段を有したトランスファチャンバ13(移載室)と、反応室12とトランスファチャンバ13とを連通する通路11とを備えている。
トランスファチャンバ13内のシリコンウェーハWは、通路11を介して、上記移載手段により反応室12のサセプタ18に移載される。その後、反応室12に反応ガスを供給し、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜させる。
成膜時には、シリコンウェーハWの表面にパーティクルが付着していないことが重要である。パーティクルを除去せずにエピタキシャル膜を成膜させると、エピタキシャル膜にマウンドおよび積層欠陥などが発生するおそれがある。そして、これらの欠陥は、後にLPD(Light Point Defects)として発見されることになる。
そこで、ウェーハ表面のパーティクルを除去するため、例えば特許文献1のエピタキシャル成長装置が開発されている。特許文献1においては、同じく図11、図12に示すように、通路11の上方に、反応室12から通路11への反応ガスの流入を阻止するため、通路11にパージガスを供給するノズル14が複数配設されている。成膜時には、各ノズル14からパージガス(水素ガス)を吹き出す。これにより、通路11の上壁面に、反応ガスの成分に起因した副生成物50が堆積される現象を抑えることができる。
特開2003−109993号公報
ところで、パーティクルの発生原因としては多々知られている。そのうち、通路11の上壁面に堆積した副生成物50が剥離し、これが反応室12の炉内ガスの対流によりシリコンウェーハWの表面へと運ばれ、パーティクルとして検出されることがある。
サセプタ18は回転モータにより回転自在に構成され、成膜時にはサセプタ18を介してシリコンウェーハWを周方向に所定の回転速度で回転させる。サセプタ18の外周には、環状のプレヒートリングRが配置されている。プレヒートリングRは、反応室12を区画するドーム取付体25の内周壁に固定され、反応ガスをウェーハ表面に接触する直前に加熱する環状のヒータである。よって、回転自在なサセプタ18と、固定されたプレヒートリングRとの間には隙間が存在することになる。
図11、図12に示すように、副生成物50が堆積する通路11は、成膜時のサセプタ位置より低い位置に配されている。そのため、成膜中、プレヒートリングRとサセプタ18とが、反応室12を上下に区画する仕切り板となり、反応ガスは通路11に流れ込み難くなる。
しかしながら、反応ガスの一部は、サセプタ18とプリヒートリングRとの隙間を通過して通路11に侵入し、副生成物50を堆積させている。特に、通路11の反応室12側の部分が高濃度となるため、堆積量も増大する。しかも、通路11の反応室12側の部分のうちでも、とりわけ反応ガスの供給口16側(風上側)は排出口17側(風下側)に比べて副生成物50が多量に発生し易い。そのため、反応室12における炉内対流により、剥離後の副生成物50が、シリコンウェーハWの表面に運ばれる可能性はさらに高まることになる。
ところで、エピタキシャル成長装置にあっては、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜する反応ガスが、ドーム取付体25の内周壁の上部に形成された供給口16から供給されている。反応ガスは、図12に矢印Gaで示すように、ドーム取付体25の内周壁のうち、供給口16に対向した排出口17に向かって水平に流される。一方、反応ガスの流れと水平面内で略直交する方向を長さ方向とした通路11の内部に、各ノズル14を介して、パージガスが噴出される。
このパージガスは、上述した副生成物50の堆積を防止するため、通路11に流しているのである。しかしながら、このような効果を十分に発揮していないのが現状である。
このような問題を解決するために、本願発明者らは、図13に矢印Gbで示すように、供給口16側におけるパージガスの流量を排出口17側に比べて多くするという技術に想到した。
しかし、図13に矢印Gbで示すように、供給口16側におけるパージガスの流量を排出口17側に比べて多くすることで、通路に流すパージガスの流れをコントロールした場合、通路11に堆積する副生成物を抑制することができないことが判明した。
それは、供給口16側におけるパージガスの流量を排出口17側に比べて多くした場合、反応室12でサセプタ18より下側において、パージガスの流量分布が原因で、図14に矢印Gcで示すように、反応室12内で、供給口16側から排出口17側へ大きく回転するガス流が生成してしまう。
このため、反応ガス排出口17側のパージガスの流量が、供給口16側のそれに比べて少なくなってしまう。また、反応ガス排出口17側のパージガスの水素置換効率が、供給口16側のそれよりも低くなる。その結果、反応ガス排出口17側のノズル付近に反応ガスが回り込み、このノズル付近に反応ガスの副生成物50が形成され易くなる。そして、付着した副生成物50は剥がれ、シリコンウェーハ表面に付着する。これにより、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜したとき、LPDが発生し易いという問題が生じていた。
そこで、本願発明者らは、図15に矢印Gbで示すように、排出口17側におけるパージガスの流量を排出口17側と同程度に制御した。すると、図16に示すように、通路11における供給口16側と排出口17との中間側で副生成物50が形成されやすくなった。これにより、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜したとき、LPDが発生し易いという問題が生じていた。
つまり、パージガスの制御によって、副生成物50形成を抑制することはできないことがわかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.通路の上壁面に堆積する副生成物を抑制すること。
2.半導体ウェーハ上のパーティクルの発生量を低減させること。
3.LPDの少ないエピタキシャルウェーハを得ることができるエピタキシャル成長装置を提供すること。
本発明のエピタキシャル成長装置は、シリコンウェーハが収容される反応室と、
通路を介して反応室に連通された移載室とを備え、
上記反応室に設けられた供給口から、この供給口と対向して上記反応室に設けられた排出口に向かって反応ガスを流すことで、半導体ウェーハの表面にエピタキシャル膜を成膜するエピタキシャル成長装置において、
前記通路の下壁面には、前記反応ガスの前記通路への流入を防止するための流入防止ガスを噴出する流入防止ノズルが設けられ、
この流入防止ノズルが、前記流入防止ガスを通路の上壁面の反応室出口付近に向けて噴出するよう角度設定されてなることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記流入防止ノズルが、噴出する前記流入防止ガスの流量を前記通路の幅方向に均一にするよう設定されてなることがより好ましい。
本発明は、前記流入防止ノズルが、噴出する前記流入防止ガスを前記反応室側出口から所定の距離範囲の前記通路上壁面に向けて噴出するよう設定されてなることが可能である。
また、本発明において、前記流入防止ノズルが通路幅方向に複数設けられ、これら複数の流入防止ノズルが前記通路の前記反応室側出口形状に沿って一定距離を有する位置に配されてなる手段を採用することもできる。
また、前記流入防止ノズルが、
前記流入防止ノズルと前記通路の前記反応室側出口との距離をL1、
前記通路の前記反応室側出口の高さ寸法をL2、
前記流入防止ガスを噴出する通路上壁面位置と前記反応室側出口との距離をL3とした場合に、
0≦L3≦2・L2
とするように、設定されることができる。
本発明においては、前記流入防止ノズルが通路幅方向に複数設けられ、これら複数の流入防止ノズルが前記通路の幅方向で直線に沿った位置に設けられることが望ましい。
さらに、前記流入防止ガスの流量が5〜30SLMの範囲とされることが可能である。
本発明のエピタキシャル成長装置は、シリコンウェーハが収容される反応室と、
通路を介して反応室に連通された移載室とを備え、
上記反応室に設けられた供給口から、この供給口と対向して上記反応室に設けられた排出口に向かって反応ガスを流すことで、半導体ウェーハの表面にエピタキシャル膜を成膜するエピタキシャル成長装置において、
前記通路の下壁面には、前記反応ガスの前記通路への流入を防止するための流入防止ガスを噴出する流入防止ノズルが設けられ、
この流入防止ノズルが、前記流入防止ガスを通路の上壁面の反応室出口付近に向けて噴出するよう角度設定されてなることで、パージガスの噴出によっては防止できなかったが、流入防止ガスの噴出により通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入して通路上壁面に接触することを防止して、通路上壁面において副生成物が形成することを防止できる。これにより、反応ガスとパージガスとの水素置換効率が改善され、この通路出口付近では副生成物が付着し難くなる。結果的に、ウェーハのロード・アンロード中にウェーハ上に副生成物が落下・付着して、半導体ウェーハ上でのパーティクル発生を抑制させることができ、LPDの少ないエピタキシャルウェーハを得ることができる。
なお、通路下壁面に副生成物が付着した場合でも、ウェーハ上に落下することがないため、パーティクル発生は抑制できるものである。
さらに、半導体ウェーハとしては、例えばシリコンウェーハ、ガリウム・ヒ素ウェーハなどを採用することができる。
エピタキシャル膜を成膜する装置としては、例えば枚葉式のエピタキシャル成長装置を採用することができる。
流入防止ノズルは所定長さの筒形状を有している。例えば円筒形状でもよいし、角筒形状でもよい。
流入防止ガスとしては、例えば水素ガスを採用することができる。水素ガスは、通路の下壁面の流入防止ノズルから噴出される。流入防止ノズルの形成数は限定されない。1本でもよいし、2本以上でもよい。また、従来のパージガス噴出用のノズルを通路上壁面に併設することも可能であるし、下壁面の流入防止ノズルのみで、パージガス用のノズルを設けないことも可能である。
本発明において、前記流入防止ノズルが、噴出する前記流入防止ガスの流量を前記通路の幅方向に均一にするよう設定されてなることにより、流入防止ガスの流量が少ない部分で成長ガスが通路内に流入することを防止できるとともに、流入防止ガス流量の不均一によりサセプタ下側の反応室内でガス流が発生することを防止でき、濃度の濃い成長ガスがサセプタ下側の反応室内で対流することを防止できる。これにより、予測しない場所での副生成物形成を抑制することが可能となるとともに、エピタキシャル成長装置のクリーニング回数を原書させ、装置のランニングコストを低減することが可能となる。
本発明は、前記流入防止ノズルが、前記流入防止ガスを前記反応室側出口から所定の距離範囲の前記通路上壁面に向けて噴出するよう設定されてなることにより、流入防止ガスの噴出により通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入することを確実に防止でき、この成長ガスが接触して通路上壁面に副生成物が形成することを防止可能とできる。
また、本発明において、前記流入防止ノズルが通路幅方向に複数設けられ、これら複数の流入防止ノズルが前記通路の前記反応室側出口形状に沿って一定距離を有する位置に配されてなることにより、すべての流入防止ノズルにおいて流入防止ガスを同一角度に噴出するように設定でき、これにより、通路幅方向にわたって均等に流入防止ガスを噴出することが可能となる。これにより、流入防止ガス流量の不均一によりサセプタ下側の反応室内でガス流が発生することを防止でき、通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入することを確実に防止でき、この成長ガスが接触して通路上壁面に副生成物が形成することを防止できる。
具体的には、エピタキシャル成長させる被処理ウェーハの平面形状に即してほぼ円形とされる反応室の形状にしたがって、円弧状に形成されている通路出口付近において、流入防止ノズルの配置も、平面視してほぼ円弧状とすることができる。この場合、流入防止ノズルの噴出方向はメインガス(反応ガス)の流れ方向と直交する方向とすることが好ましい。特に、通路幅方向がメインガス流れ方向と平行な場合にはこれらと直交する状態に噴出するように設定できる。
また、前記流入防止ノズルが、
前記流入防止ノズルと前記通路の前記反応室側出口との距離をL1、
前記通路の前記反応室側出口の高さ寸法をL2、
前記流入防止ガスを噴出する通路上壁面位置と前記反応室側出口との距離をL3とした場合に、
0≦L3≦2・L2
とするように、設定されることにより、通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入することを確実に防止でき、この成長ガスが接触して通路上壁面に副生成物が形成することを防止できる。
ここで、L3が0より小さく設定された場合には、エピタキシャル成長における温度管理対象であるリング・サセプタ等の高温部分に流入防止ガスが直接当たってししまい、これらの温度を低下させて、エピタキシャル膜の成膜均一性などの成膜状態・特性に影響を与える可能性があるため好ましくない。
また、L3が2・L2よりも大きく設定された場合には、通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入する可能性があるため、好ましくない。
また、L1,L2の具体的な寸法にかかわらず、L3を0mm〜30mmの範囲に設定することも可能である。
ここで、L3が0mmより小さく設定された場合には、エピタキシャル成長における温度管理対象であるリング・サセプタ等の高温部分に流入防止ガスが直接当たってししまい、これらの温度を低下させて、エピタキシャル膜の成膜均一性などの成膜状態・特性に影響を与える可能性があるため好ましくない。
また、L3が30mmよりも大きく設定された場合には、通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入する可能性があるため、好ましくない。
本発明においては、前記流入防止ノズルが通路幅方向に複数設けられ、これら複数の流入防止ノズルが前記通路の幅方向で直線に沿った位置に設けられることにより、通路の幅方向に沿って、配置位置にしたがい流入防止ノズルの噴射角度を変化させることで、通路幅方向にわたって均等に流入防止ガスを噴出し、かつ、前記流入防止ガスを前記反応室側出口から所定の距離範囲の前記通路上壁面に向けて噴出することが可能となる。これにより、流入防止ガス流量の不均一によりサセプタ下側の反応室内でガス流が発生することを防止でき、通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入することを確実に防止でき、この成長ガスが接触して通路上壁面に副生成物が形成することを防止できる。
さらに、前記流入防止ガスの流量が5〜30SLMの範囲とされることにより、確実に通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入することを防止できる。
ここで、流入防止ガスの流量とは、流入防止ノズルから噴出する流入防止ガス全体の流量を意味する。
本発明によれば、パージガスの噴出によっては防止できなかったが、流入防止ガスの噴出により通路上壁面において副生成物の形成原因となる成長ガスが通路に進入して通路上壁面に接触することを防止して、通路上壁面において副生成物が形成することを防止できる。結果的に、ウェーハのロード・アンロード中にウェーハ上に副生成物が落下・付着して、半導体ウェーハ上でのパーティクル発生を抑制させることができ、LPDの少ないエピタキシャルウェーハを得ることができるという効果を奏することができる。
以下、本発明に係るエピタキシャル成長装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す側断面図であり、図2は、本実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す模式平面図であり、図3は、本実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す模式平面図であり、図1〜図3において、符号10はこの発明の実施例1に係るエピタキシャル成長装置である。
本実施形態におけるエピタキシャル成長装置10は、図3に示すように、シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)Wの表面に、エピタキシャル膜を成膜する2台のプロセスチャンバ20と、プロセスチャンバ20にシリコンウェーハWを移送する搬送手段を有したトランスファチャンバ13と、シリコンウェーハWをトランスファチャンバ13に投入するローダ部31と、ローダ部31と連通し、シリコンウェーハWを減圧した雰囲気で保持するロードロック室33とを備えている。ロードロック室33は、内部に移載室13Aが形成されたトランスファチャンバ13と連通されている。
図4は、本実施形態におけるエピタキシャル成長装置のプロセスチャンバを示す正断面図である。
プロセスチャンバ20は、図4に示すように、石英などの透明な素材からそれぞれ構成された上側ドーム21と下側ドーム22とを、円筒体のドーム取付体25により連結したものである。これにより、プロセスチャンバ20内に、平面視して略円形状の密閉された反応室12が形成される。反応室12の上方および下方には、反応室12内を加熱する図示しないハロゲンランプが、周方向に向かって略均一な間隔で離間して複数個配設されている。ドーム取付体25の所定位置には、反応室12にガスを流入するガス供給口16が設けられている。また、ドーム取付体25の対向位置(ガス供給口16と180°離間した位置)には、反応室12内のガスを、その室外へ排出するガス排出口17が設けられている。また、この排出口17付近には、反応室12のサセプタ18下側位置において、後述ので、流入防止ガスを排出するための流入防止ガス排出口17aが設けられ、排出口17からガスを排出する排出路に連通されている。
反応室12には、シリコンウェーハWが載置されるサセプタ18が設けられている。サセプタ18は、反応室12内の高温に耐え得るように炭素基材の表面にSiC被膜をコーティングしたものが採用されている。サセプタ18の裏面側(下方)には、これを支持するサセプタ支持部材19が設けられている。また、サセプタ支持部材19は、円筒形状のカバー(本体)の軸心部下方に、軸部23が固着されている。軸部23は、図示していない駆動機構により回転自在に設けられ、その結果、円筒形状のサセプタ支持部材19およびサセプタ18も水平面内で所定速度で回転自在に設けられている。
そして、サセプタ18の外周には、反応ガスをウェーハ表面に接触する直前に加熱する環状のプレヒートリングRが配置されている。プレヒートリングRは、上記ドーム取付体25の内周壁に固定されている。よって、回転自在なサセプタ18と、固定されたプレヒートリングRとの間には隙間が存在している。
次に、流入防止ガスを噴出する機構について、図1および図2を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、トランスファチャンバ13とプロセスチャンバ20との間には、略直方体のスリット部材19が設けられている。スリット部材19には、上記トランスファチャンバ13の移載室13Aとプロセスチャンバ20の反応室12とを連通する通路11が画成されている。スリット部材19のトランスファチャンバ13側には、プロセスチャンバ20の反応室12内にシリコンウェーハWを挿入後、反応室12内を密閉するスリットバルブ34が設けられている。シリコンウェーハWは、通路11を介して、トランスファチャンバ13の移載室13Aからプロセスチャンバ20の反応室12に搬送される。
図5は、本実施形態におけるエピタキシャル成長装置の流入防止ノズルを示す模式断面図である。
この通路11は、図1、図2、図5に示すように、長さ方向が水平、すなわち、上壁面11aと下壁面11bとが水平で、垂直な断面形状が横に長い矩形状を有した通路である。通路11の幅方向とは、通路11の垂直断面において横長な方向、すなわち、反応室12側出口と平行な水平方向をいう。通路11の下壁面11bには、流入防止ガスを噴出する多数本の流入防止ノズル40が配設されている。各流入防止ノズル40は、各長さ方向を通路11の高さ方向(上下方向)から反応室12出口側に傾けた複数の開口部41と、これら開口部41に連通して図示しない流入防止ガス供給手段およびクリーンニングガス供給手段に接続されるとともに通路11の幅方向に延在するガス供給路42とをそれぞれ有している。これらの流入防止ノズル40の開口部41は後述するように、噴出角度の設定がされていれば、どのような形状でもよく、スリット形状でもよい。
これらの流入防止ノズル40は、図2に示すように、通路11の下壁面11bにおいて、平面視して反応室12出口形状に沿って、つまり、この弧状とされる通路11出口12aの形状に沿って、反応室12中心と同心状に円弧を描いて配置される。いずれも、出口12aから所定の距離L1を有するように設けられている。
これらの流入防止ノズル40においては、図5に示すように、通路11出口12aの高さ寸法L2と、この出口12aからの流入防止ノズル40までの距離L1とに対して、流入防止ガスの噴出方向が、出口12aから距離L3となるように、噴出角度が設定されている。これは、鉛直方向からの噴出方向の角度をθとした場合に、式(1)

tanθ = (L1−L3)/L2 ・・・(1)

となるように、噴出角度を鉛直方向から出口12a側に角度θだけ傾けたものである。(0°<θ)
この角度θ、つまり、上壁面11aにおける噴出位置L3の範囲は、式(2)に示すように、

0≦L3≦2・L2 ・・・(2)

となるように設定され、具体的には、L3を0mm〜30mmの範囲、より好ましくは0mm〜10mmに設定することも可能である。
ここで、L3が上記の範囲より小さく設定された場合には、エピタキシャル成長における温度管理対象であるリングR・サセプタ18等の高温部分に流入防止ガスが直接当たってしまい、これらの温度を低下させて、エピタキシャル膜の成膜均一性などの成膜状態・特性に影響を与える可能性があるため好ましくない。
また、L3が上記の範囲よりも大きく設定された場合には、通路11上壁面11aにおいて副生成物の形成原因となる成長ガスが通路11に進入する可能性があるため、好ましくない。
この、流入防止ノズル40の噴出角度は、出口12a側で、流入防止ガスにより、エピタキシャル成膜中に、高温に保たれているサセプタ18やリングRの温度が低下しない位置から、副生成物の形成原因となる成長ガスが通路11に進入して、通路11上壁面11aに副生成物が形成されることを防止できる範囲とされている。
次に、エピタキシャル成長装置10を用いて、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜する方法について説明する。
直径300mm、比抵抗15mΩcmのシリコンウェーハW(片面研磨ウェーハ)を準備する。そして、シリコンウェーハWを、図3に示すローダ部31に投入する。次いで、シリコンウェーハWを、ローダ部31からロードロック室33に搬送する。それから、シリコンウェーハWは、ロードロック室33でいったん減圧し、その後、復圧される。それから、シリコンウェーハWはトランスファチャンバ13を介して、プロセスチャンバ20に搬送される。
具体的には、まず、図1に示す上側の位置にサセプタ18を位置して、供給口16および流入防止ノズル40からクリーニングガス(HCl)を噴出して、反応室12内をクリーニングする。これにより、副生成物が付着していた場合でも、これをクリーニングできる。
次いで、水素ガス等とされるパージガスを供給口16および流入防止ノズル40から噴出させ、反応室12内の酸素をパージする。
その後、図1に示す下側の位置にサセプタ18を位置して、スリットバルブ34を開き、通路11を介して、シリコンウェーハWを移載室13Aから反応室12に搬送する。その後、スリットバルブ34を閉じて反応室12を密閉する。
次に、図示しない移載機構により、シリコンウェーハWをその研磨面を上方にして反応室12のサセプタ18上に載置する(図4)。それから、図1に示すサセプタ18をエピタキシャル成膜位置まで上昇させる。次いで、サセプタ支持部材19の軸部23を所定速度で回転させ、サセプタ18に搭載されたシリコンウェーハWを回転させる。
続いて、反応室12に水素ガスを供給し、ハロゲンランプにより加熱することで、シリコンウェーハWに対して1150℃で20秒間の水素ベークを行う。その後、シリコンソースガスであるSiHClおよびボロンドーパントガスであるBを水素ガスで希釈した混合ガスを、ガス供給口16から反応室12に供給する。混合ガスの流量は、30〜100L/minである。同時に、反応室12で反応などに使用された上記ガスを、ガス排出口17から排出する。
そして、反応室12の上方および下方に配設された図示しないハロゲンランプにより、熱を輻射させて反応室12の温度を1050〜1170℃に保持する。このとき、シリコンウェーハWを保持するサセプタ18は、下側のハロゲンランプによって、サセプタ支持部材19を介して均一にその輻射熱を受ける。これにより、厚さが約6μm、比抵抗が10ΩcmのP型のエピタキシャル膜を均一にシリコンウェーハWの表面に成長させることができる。
次に、流入防止ガスを噴出する方法について説明する。
図1に示すように、反応ガスの反応室導入時において、図示しない流入防止ガス供給源により流入防止ガス(水素ガス)を生成し、その後、流入防止ガスを、各流入防止ノズル40を通して通路11上壁面11aに向けて噴出させる。流入防止ガスの流量は5〜30SLMの範囲とされる
通路11の下壁面11bには、流入防止ノズル40が前述したように噴出角度を設定された状態で設けられている。そして、流入防止ノズル40は、通路11の上壁面11aにて、出口12aから距離L3の範囲にむけて噴出する状態で設けられている。これにより、各流入防止ノズル40から噴出された流入防止ガスは、すくなくとも通路11の上壁面11aにおいて、出口12aから距離L3の範囲ではこの上壁面11aに沿って流れた後、出口12aから反応室12に流される。
その結果、流入防止ノズル40から噴出された流入防止ガスを、通路11の上壁面11a側に供給することができ、リングRとサセプタ15との隙間から反応室12内でサセプタ18下側に流れてきた反応ガス(成膜ガス)があった場合でも、すくなくとも通路11の上壁面11aにおいて、出口12aから距離L3の範囲ではこの上壁面11aに接触することを防止できる。よって、通路11の上壁面11aには副生成物が形成され難くなる。また、たとえ、通路11の上壁面11aに副生成物が形成されたとしても、流入防止ノズル40から噴出された流入防止ガスにより、この副生成物を吹き飛ばして剥離し、流入防止ガス排出口17からウェーハに接触することなく排出することができるので、ウェーハWのロード・アンロード時に、副生成物がはがれてウェーハW上に落下することを防止できる。
これにより、エピタキシャル膜表面に発生するLPDを低減することができる。
以下、本発明に係るエピタキシャル成長装置の他の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す斜視図である。
本実施形態において、で示した実施形態と異なる部分は、パージガス供給手段に関わる点、流入防止ノズル40の配置に関する点のみであり、これ以外の対応する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、通路11の上壁面11aには、パージガスを噴出する多数本のノズル(開口部)14が配設されている。各ノズル14は、各長さ方向を通路11の高さ方向(上下方向)に向けた孔形状をそれぞれ有している。これらのノズル14はスリット形状でもよい。各ノズル14からのパージガス流量は、通路11の幅方向に均一になるように設定されている。
また、流入防止ノズル40は、前出した噴出位置L3を有し、かつ、その配置が、図6にL4で示す通路11の幅方向となる直線上で配置されている。
ここで、流入防止ノズル40は、出口12aが平面視円弧状であるので、それぞれの流入防止ノズル40の出口からの距離L1が幅方向接地位置に応じて変化するが、いずれも、流入防止ガスの噴出方向は、通路11上壁面11aにおける出口からの距離がL3を維持するように、その噴出角度θが設定されている。
そして、エピタキシャル成膜時には、反応室12内に反応ガスを導入しシリコンウェーハWに供給するとともに、パージガスおよび流入防止ガスを通路11内に供給する。そして、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を成膜する。パージガスおよび流入防止ガスは、反応室12のサセプタ18下側で流入防止ガス排出口17から吸引されて排出される。
この場合、パージガスと流入防止ガスとの合計流量を、5〜30SLMの範囲とする。
ここでは、通路11の上壁面11aに形成された各ノズル14および、下壁面11bに設けられた流入防止ノズル40においては、ガス流量が通路11の幅方向に均一になるよう設定されている。
そのため、通路11に噴出されたパージガスおよび流入防止ガスは、出口12aにおいて、過不足なく反応室12から通路11に反応ガスが進入することを防止できる。したがって、図6の楕円領域E側のように、濃度の高い反応ガスが通路11に進入して副生成物を形成しやすい供給口16側から、低濃度であるが反応ガスが回り込む可能性のある排出口17側においても、また通路11の供給口16と排出口17との中間付近のいずれの位置においても、反応ガスが通路11に進入して、上壁面11aに接触し、副生成物を形成することを防止できる。さらに、パージガスを噴出したことによって、通路11下壁面11bにおいて副生成物が付着することを抑制できる。その結果、エピタキシャル成膜後、シリコンウェーハWの表面におけるLPDの発生を低減させることができる。
(実施例)
次に、この発明のエピタキシャル成長装置10において、流入防止ノズル40から流入防止ガスを噴出しながらシリコンウェーハW表面にエピタキシャル膜を成膜し、成膜後のエピタキシャル膜表面に発生するLPDを評価する実験を行った。LPDの評価は、パーティクルカウンタを使用した。そして、大きさが0.12μm以上および1.0μm以上のLPDをマップを用いて観測した。これらの結果を示すグラフを図7および図8にそれぞれ示す。
また、パージガスをノズル14から噴出するだけの従来のエピタキシャル成長装置を用いてLPDも評価した。確認の方法は上記と同条件である。その結果を図9および図10に示す。
図7〜図10から明らかなように、この発明に係るエピタキシャル成長装置10を使用することにより、LPDが低減することが確認された。これは、通路11上壁面11aの供給口16側付近に副生成物が付着し難くなったことを示す。
なお、デザインルールの微細化に伴い、LPDの大きさ・発生個数の管理は年々厳しくなっているが、図7、図8において示されるように、本願発明により、約10〜20%程度の歩留り改善効果が期待できる。
さらに、これらの実施例のうち、図7に対応するウェーハの模式図を反応室12等との位置関係を含んで図17に示すとともに、図9に対応するウェーハの模式図を反応室12等との位置関係を含んで図18に示す。これらの結果から、明らかに、供給口16側において、パーティクルの発生が低減してることがわかる。
本発明の実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す側断面図である。 本発明の実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す模式平面図である。 本発明の実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す模式平面図である。 本発明の実施形態におけるエピタキシャル成長装置のプロセスチャンバを示す正断面図である。 本発明の実施形態におけるエピタキシャル成長装置の流入防止ノズルを示す模式断面図である。 本発明の他の実施形態におけるエピタキシャル成長装置の一部を示す斜視図である。 本発明の実施例に係るエピタキシャル成長装置で成膜されたエピタキシャル膜表面の0.12μm以上のLPD分布を示すグラフである。 本発明の実施例に係るエピタキシャル成長装置で成膜されたエピタキシャル膜表面の1.0μm以上のLPD分布を示すグラフである。 従来に係るエピタキシャル成長装置で成膜されたエピタキシャル膜表面の0.12μm以上のLPD分布を示すグラフである。 従来に係るエピタキシャル成長装置で成膜されたエピタキシャル膜表面の1.0μm以上のLPD分布を示すグラフである。 従来に係るエピタキシャル成長装置のプロセスチャンバとトランスファチャンバとの間の通路およびその周辺を示す縦断面図である。 従来のエピタキシャル成長装置を示す模式平面図(a)、模式正面図(b)である。 従来のガス流等について説明するための模式平面図である。 従来のガス流等について説明するための模式平面図である。 従来のガス流等について説明するための模式平面図である。 従来のガス流等について説明するための模式平面図である。 本発明の実施例に係るエピタキシャル成長装置で成膜されたエピタキシャル膜表面の0.12μm以上のLPD分布を示す模式平面図である。 従来に係るエピタキシャル成長装置で成膜されたエピタキシャル膜表面の0.12μm以上のLPD分布を示す模式平面図である。
符号の説明
10 エピタキシャル成長装置、
11 通路、
12 反応室、
13A 移載室、
14 ノズル、
16 供給口、
17 排出口、
27 注入路、
34 スリットバルブ(開閉弁)、
40 流入防止ノズル
W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)。


Claims (7)

  1. シリコンウェーハが収容される反応室と、
    通路を介して反応室に連通された移載室とを備え、
    上記反応室に設けられた供給口から、この供給口と対向して上記反応室に設けられた排出口に向かって反応ガスを流すことで、半導体ウェーハの表面にエピタキシャル膜を成膜するエピタキシャル成長装置において、
    前記通路の下壁面には、前記反応ガスの前記通路への流入を防止するための流入防止ガスを噴出する流入防止ノズルが設けられ、
    この流入防止ノズルが、前記流入防止ガスを通路の上壁面の反応室出口付近に向けて噴出するよう角度設定されてなることを特徴とするエピタキシャル成長装置。
  2. 前記流入防止ノズルが、噴出する前記流入防止ガスの流量を前記通路の幅方向に均一にするよう設定されてなることを特徴とする請求項1記載のエピタキシャル成長装置。
  3. 前記流入防止ノズルが、噴出する前記流入防止ガスを前記反応室側出口から所定の距離範囲の前記通路上壁面に向けて噴出するよう設定されてなることを特徴とする請求項1または2記載のエピタキシャル成長装置。
  4. 前記流入防止ノズルが通路幅方向に複数設けられ、これら複数の流入防止ノズルが前記通路の前記反応室側出口形状に沿って一定距離を有する位置に配されてなることを特徴とする請求項3記載のエピタキシャル成長装置。
  5. 前記流入防止ノズルが、
    前記流入防止ノズルと前記通路の前記反応室側出口との距離をL1、
    前記通路の前記反応室側出口の高さ寸法をL2、
    前記流入防止ガスを噴出する通路上壁面位置と前記反応室側出口との距離をL3とした場合に、
    0≦L3≦2・L2
    とするように、設定されることを特徴とする請求項4記載のエピタキシャル成長装置。
  6. 前記流入防止ノズルが通路幅方向に複数設けられ、これら複数の流入防止ノズルが前記通路の幅方向で直線に沿った位置に設けられることを特徴とする請求項3記載のエピタキシャル成長装置。
  7. 前記流入防止ガスの流量が5〜30SLMの範囲とされることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載のエピタキシャル成長装置。



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