JP4600597B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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本発明は、自動変速機の変速制御装置に関し、特に、変速段間で2つずつの異なる係合要素の解放と係合(2要素同時つかみ替え)を必要とする変速を迅速化する技術に関する。
自動変速機は、周知のようにプラネタリギヤで構成される変速要素を介する動力伝達経路を摩擦係合要素の係合・解放で切り換えて、ギヤ比の変更により複数の変速段を達成するものであるが、変速時の係合要素の係合・解放をできるだけ簡素な油圧制御で、変速ショックの発生を抑えながら行う意味から、一般にはシフトアップ・ダウンのための係合要素の操作は、特定の変速段を達成するために係合状態にある複数又は単数の係合要素に対して、他の1つの係合要素を追加係合するか、又は係合中の1つの係合要素を解放するかの操作を基本とし、ギヤトレイン構成により止むを得ない場合に、係合中の係合要素を解放しながら、他の係合要素を係合させる、いわゆる係合要素のつかみ替え操作が行われる。
ところで、近時、ドライバビリティの向上や燃費の削減による省エネルギの要請から、自動変速機は多段化の傾向にある。こうした自動変速機の多段化は、一般には、多段のプラネタリギヤセットからなる変速機構にオーバドライブ又はアンダドライブギヤによる増速又は減速段を付加する形態で実現されるが、別の形態として、ラビニョタイプのプラネタリギヤセットへの入力を高低2系統として多段を達成する特開平4−219553号公報に開示の技術もある。
特開平4−219553号公報
上記のような多段化されたギヤトレインでは、車両の走行状態に適合する変速段の選択幅が広がるため、係合要素のつかみ替え操作も、単純な2要素のつかみ替えに止まらず、複雑な4要素のつかみ替えの必要性も生じてくる。こうした4要素のつかみ替えが必要となる例として、多数の変速段の中から特定の変速段へ一気に変速するいわゆる跳び変速がある。いずれにしても、こうした4要素の多重つかみ替えを行う場合、各係合要素の係合・解放の順序やタイミングをどのように制御するかが重要な問題であり、その制御如何では、変速機構内部で生じる変速の円滑な進行が損なわれ、変速の連続性が失われることで、変速中に段階的なショックが生じたり、変速終了時のショックが非常に大きくなったり、あるいは変速時間が必要以上に長くなる等の問題点が生じる。
そこで、本発明は、4つの係合要素の係合及び解放を必要とする変速のときに、変速の進行を迅速化することで、変速の間延びを防ぐことができる自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。次に、本発明は、上記変速を中間変速段を介する変速とするときに、中間段経由後の後半の変速の進行を迅速化することを更なる目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、第1の変速段から第2の変速段への変速のときに、4つの係合要素の作動を必要とし、第1の変速段が第1及び第2係合要素(B−1,C−2)の係合で達成され、過渡的変速段が第2及び第3係合要素(C−2,C−1)の係合で達成され、第2の変速段が第3及び第4係合要素(C−1,C−3)の係合で達成される自動変速機の制御装置において、前記制御装置は、第3係合要素(C−1)の油圧サーボへ油圧を供給してピストンをストロークさせるファーストフィル操作を行った後であって、前記油圧サーボの油圧を上昇させて前記第3係合要素の係合を開始させる前に、第4係合要素(C−3)の油圧サーボへ油圧を供給してピストンをストロークさせるファーストフィル操作を行う変速制御手段を有することを特徴とする。
更に具体的には、前記変速制御手段は、入力回転の変化を指標とする変速の進行度合(Shift R)の判断手段を有し、前記第3及び第4係合要素の係合制御は、判断手段による変速の進行度の判断に基づいて成される構成とするのが有効である。
更に、第2係合要素(C−2)は、その油圧サーボの油圧により制御され、前記変速制御手段は、第2係合要素の解放制御開始後に、第4係合要素の前記ファーストフィル操作を行う構成とすることもできる。
また、前記変速制御手段は、第4係合要素の前記ファーストフィル操作を行った後、その油圧サーボの油圧を、少なくとも第3係合要素が係合を開始するまでの期間、第4係合要素の係合の開始を防ぐ基圧に保持する起動制御手段を有する構成を採ることもできる。
4つの係合要素が関与する変速においては、各係合要素の解放と係合を同時に行おうとすると、変速機構の変速状態が秩序なく進行することになり、変速の進行状況を予測した制御が困難となる。そこで、こうした変速においては、2つの係合要素の一方の解放と他方の係合の入れ替わり、いわゆる掴み替えが達成された後に、他の2つの係合要素の掴み替えが達成されるような2段階の制御を行うことが望ましい。しかしながら、この場合、両方の掴み替えの間の経過時間を短くしないと、そこで変速の進行が一旦止まってから第2段階の変速状態に移行することになるため、変速が2段階となり、運転者に違和感を与えることとなる。ところで、一般に、2つの係合要素の掴み替え変速では、解放側の係合要素は、エンジン吹きを生じないように係合側の係合要素の係合が開始するタイミングに合わせて解放を開始するように適宜の速度で制御可能であるが、係合側の係合要素は、急激な係合により変速ショックが生じないように所定の時間をかけて係合が進行するように制御する必要がある。こうした解放側と係合側の制御の違いから、上記4つの係合要素が関与する変速では、第2段階の掴み替えを遅らせる要因として、変速時に係合側となる係合要素の起動に要する時間がある。すなわち、第1段階において係合させる係合要素については、変速の指令により起動を開始させることが必然であるため、変速指令成立時から起動させるとして、第2段階で係合させる係合要素については、第1段階の変速が達成された後に起動させたのでは、係合開始までの時間が遅れることになる。この点について、本発明の請求項1記載の構成では、先行する第3係合要素の起動に対して、後続の第4係合要素の起動を早めることができるため、第4係合要素の係合開始時期を第1段階の掴み替えの達成時期側にずらすことができ、第1段階の掴み替えから第2段階の掴み替えへの移行を早めることができる。これにより2段階の変速操作を行わせながら、段階変化を感じさせない変速を達成することができる。
そして、油圧の供給容量負荷が大きくなるファーストフィル操作を、第3及び第4係合要素の油圧サーボについて、相互に重ならないようにすることができる。これにより、第3及び第4係合要素双方のファーストフィル操作を迅速に完了させ、待機状態への移行を早めることができる。
次に、請求項2に記載の構成では、入力回転の変化を指標とする変速の進行度合(Shift R)により変速の制御が可能となるため、複雑なフィードバック制御によらずに上記4つの係合要素を順序立てて制御することができる。この結果、4つの係合要素が関与する複雑な変速を簡単な制御で達成することができる。
更に、請求項3記載の構成では、第2係合要素(C−2)の油圧サーボの油圧を解放後に、第4係合要素の油圧サーボへの油圧供給が開始されるため、油圧供給負荷を軽減した状態で第4係合要素のファーストフィル操作を行うことになり、第4係合要素の起動が迅速化される。
次に、請求項4記載の構成では、第3係合要素の係合の進行中に、第4係合要素が不用意に係合を開始して、第4係合要素がそれと掴み替えされるべき第2係合要素とタイアップするのを防ぐことができる。
本発明の実施形態に係る自動変速機の制御装置の信号系のシステム構成を示すブロック図である。 自動変速機のギヤトレインのスケルトン図である。 ギヤトレインにより達成される各変速段と各係合要素の係合解放関係を示す係合図表である。 ギヤトレインの速度線図である。 制御装置の操作系の油圧回路図である。 6−3変速時B−1ブレーキ解放制御のフローチャートである。 6−3変速時C−1クラッチ係合制御のフローチャートである。 6−3変速時C−2クラッチ解放制御のフローチャートである。 6−3変速時C−3クラッチ係合制御のフローチャートである。 6−3変速時C−3クラッチ起動制御のフローチャートである。 6−3変速時C−3クラッチ起動制御時の油圧と制御時間の補正特性を示すグラフである。 6−3変速時C−3クラッチ起動制御後のベース待機油圧の補正特性を示すグラフである。 6−3変速時の各係合要素の制御関係を示すタイムチャートである。 6−4−3変速時の各係合要素の制御関係を示すタイムチャートである。
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1に自動変速機の制御装置の信号系のシステム構成をブロックで示すように、この制御装置は、その中核をなす電子制御装置(ECU)2と、それへ各種の情報を入力する入力手段としての各種センサ、すなわち、車両のエンジン回転数を検出するエンジン(E/G)回転数センサ31と、エンジン負荷を検出するスロットル開度センサ32と、変速機の入力回転を検出する変速機入力軸回転数センサ33と、変速機の出力軸回転から車速を検出する車速センサ34とを備え、制御情報に基づく駆動信号の出力で作動する出力手段としての複数のソレノイド、すなわち、図5を参照して後に詳記する油圧制御装置に配設された各ソレノイド弁41〜44のアクチュエータとしてのソレノイド1〜ソレノイド4とで構成されている。
図2は上記制御装置により制御される変速機構の一例としてのFR車用の6速ギヤトレインをスケルトンで示す。このギヤトレインは、ロックアップクラッチ付のトルクコンバータ7と、ラビニョタイプのプラネタリギヤセットGと、シンプルプラネタリタイプの減速ギヤG1との組合せからなる前進6段後進1段の変速機構とから構成されている。
変速機構の主体をなすプラネタリギヤセットGは、互いに径の異なる2つのサンギヤS2,S3と、1つのリングギヤR2と、大径サンギヤS2に外接噛合すると共にリングギヤR2に内接噛合するロングピニオンギヤP2と、小径サンギヤS3に外接噛合すると共にロングピニオンギヤP2にも外接噛合するショートピニオンギヤP3と、それら両ピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2とからなるラビニョタイプのギヤセットで構成されている。そして、プラネタリギヤセットGの小径サンギヤS3は、多板構成のクラッチ(C−1)(以下、各係合要素について、それらの略号を各係合要素の前に記す)に連結され、大径サンギヤS2は、多板構成のC−3クラッチに連結されると共に、バンドブレーキで構成されるB−1ブレーキにより自動変速機ケース10に係止可能とされ、更にこれと並列するF−1ワンウェイクラッチと多板構成のB−2ブレーキによっても自動変速機ケース10に係止可能とされている。また、キャリアC2は、多板構成の係合要素としてのC−2クラッチを介して入力軸11に連結され、かつ、多板構成のB−3ブレーキにより変速機ケース10に係止可能とされるとともに、F−2ワンウェイクラッチにより変速機ケース10に一方向回転係止可能とされている。そして、リングギヤR2が出力軸19に連結されている。
減速プラネタリギヤG1は、シンプルプラネタリギヤで構成され、その入力要素としてのリングギヤR1が入力軸11に連結され、出力要素としてのキャリアC1がC−1クラッチを介して小径サンギヤS3に連結されると共に、C−3クラッチを介して大径サンギヤS2に連結され、反力を取る固定要素としてのサンギヤS1が変速機ケース10に固定されている。
この自動変速機の場合の各係合要素、すなわちクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチの係合・解放と達成される変速段との関係は、図3の係合図表に示すようになる。係合図表における○印は係合、無印は解放、△印はエンジンブレーキ達成のための係合、●印は変速段の達成に直接作用しない係合を表す。また、図4は各クラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチの係合(●印でそれらの係合を示す)により達成される変速段と、そのときの各変速要素の回転数比との関係を速度線図で示す。
両図を併せ参照してわかるように、第1速段(1st)は、C−1 クラッチとB−3ブレーキの係合(本形態において、作動図表を参照してわかるように、このB−3ブレーキの係合に代えてF−2ワンウェイクラッチの自動係合が用いられているが、この係合を用いている理由及びこの係合がB−3ブレーキの係合に相当する理由については、後に詳記する1→2変速時のB−3ブレーキとB−1ブレーキのつかみ替えのための複雑な油圧制御を避け、B−3ブレーキの解放制御を単純化すべく、B−1ブレーキの係合に伴って自ずと係合力を解放するF−1ワンウェイクラッチを用いたものであり、B−3ブレーキの係合と同等のものである。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC−1クラッチ経由で小径サンギヤS3に入力され、F−2ワンウェイクラッチの係合により係止されたキャリアC2に反力を取って、リングギヤR2の最大減速比の減速回転が出力軸19に出力される。
次に、第2速段(2nd)は、C−1クラッチとB−1ブレーキの係合に相当するF−1ワンウェイクラッチの係合とそれを有効にするB−2ブレーキの係合(これらの係合がB−1ブレーキの係合に相当する理由については後に詳述する。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC−1クラッチ経由で小径サンギヤS3に入力され、B−2ブレーキ及びF−1ワンウェイクラッチの係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2の減速回転が出力軸19に出力される。このときの減速比は、図4にみるように、第1速(1st)より小さくなる。
また、第3速段(3rd)は、C−1クラッチとC−3クラッチの同時係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC−1クラッチとC−3クラッチ経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤセットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同じリングギヤR2の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、出力軸19に出力される。
更に、第4速段(4th)は、C−1クラッチとC−2クラッチの同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC−1クラッチ経由で小径サンギヤS3に入力され、他方で入力軸11からC−2クラッチ経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、2つの入力回転の中間の回転が、入力軸11の回転に対しては僅かに減速されたリングギヤR2の回転として出力軸19に出力される。
次に、第5速段(5th)は、C−2クラッチとC−3クラッチの同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC−3クラッチ経由で大径サンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からC−2クラッチ経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、リングギヤR2の入力軸11の回転より僅かに増速された回転が出力軸19に出力される。
そして、第6速段(6th)は、C−2クラッチとB−1ブレーキの係合により達成される。この場合、入力軸11からC−2クラッチ経由で非減速回転がキャリアC2にのみ入力され、B−1ブレーキの係合により係止されたサンギヤS2に反力を取り、リングギヤR2の更に増速された回転が出力軸19に出力される。
なお、後進段(R)は、C−3クラッチとB−3ブレーキの係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC−3クラッチ経由で大径サンギヤS2に入力され、B−3ブレーキの係合により係止されたキャリアC2に反力を取り、リングギヤR2の逆転が出力軸19に出力される。
ここで、先に触れたF−1ワンウェイクラッチと両B−1、B−2ブレーキとの関係について説明する。この場合は、サンギヤS2に連結したF−1ワンウェイクラッチの係合方向を大径サンギヤS2の第2速段時の反力トルク支持方向に合わせた設定とすることで、F−1ワンウェイクラッチに実質上B−1ブレーキの係合と同等の機能を発揮させることができる。ただし、この大径サンギヤS2は、キャリアC2とは異なり、第2速段時のエンジンブレーキ効果を得るために係合するだけでなく、第6速段達成のためにも係止される変速要素であるため、B−1ブレーキが必要となる。また、大径サンギヤS2は、図4の速度線図でも解かるように、第1速段(1st)達成時には入力回転方向に対して逆方向に回転するが、第3速段以上の変速段の場合は、入力回転方向と同じ方向に回転する。したがって、F−1ワンウェイクラッチは、直接固定部材に連結することができないため、B−2ブレーキとの直列配置により係合状態の有効性を制御可能な構成としている。
このようにして達成される各変速段は、図4の速度線図上で、リングギヤR2の速度比を示す○印の上下方向の間隔を参照して定性的にわかるように、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップとなる。このギヤトレインでは、通常の隣合う変速段間でのアップダウンシフトでは、係合要素の多重つかみ替えを要しないが、跳び変速においては、それを必要とする。ちなみに、特に跳び変速の必要性が生じるダウンシフトは、6→3跳び変速と5→2跳び変速(ただし、この変速では、B−2ブレーキが制御の簡素化のために第2速以上で常時係合とされているため、F−1ワンウェイクラッチの自動係合がB−1ブレーキの係合の役割を果たす)である。
こうした構成からなる変速機構を前記各クラッチ及びブレーキの油圧サーボの操作で制御する油圧制御装置は、上記跳び変速が容易に可能となるように、各係合要素の油圧サーボは、電子制御装置2からのソレノイド駆動信号で独自のソレノイド弁により個々に独立して直接制御される構成が採られている。図5に具体的回路構成を示すように、この油圧回路は、図において具体的構成を省略してブロックで示すライン圧(車両走行負荷に応じて各係合要素を係合状態に保ち得る回路最高圧)の供給回路に接続されたライン圧油路51に対して、各コントロール弁45〜48が並列に接続され、各コントロール弁は、それぞれのソレノイド弁41〜44により印加されるソレノイド圧に応じて調圧作動する構成とされている。
具体的には、C−1クラッチの油圧サーボ61は、C−1コントロール弁45を介してライン圧油路51に接続され、C−1コントロール弁45のスプール端は、ソレノイド弁41を介してソレノイドモジュレータ圧(ソレノイド弁による調圧ゲインを大きくするためにライン圧をモジュレータ弁を介して減圧した油圧)油路52に接続されている。C−1コントロール弁45は、両端に径差を有するランドを備えるスプール弁とされ、小径ランド端に負荷されるスプリング荷重に抗して大径ランド端にソレノイド信号圧を印加することで、大径ランドでドレンポートを閉じ、ライン圧油路51に連なるインポートと油圧サーボ61に連なるアウトポートとの間を小径ランドで絞りながらライン圧油路51と油圧サーボ61とを連通させ、ソレノイド圧の解放により小径ランドでインポートを閉じ、大径ランドでドレンポートを開放して油圧サーボ61をドレン接続とする構成が採られている。一方、ソレノド弁41は、常開形のリニアソレノイド弁とされ、同様に両端にランドを有するスプールの一端に負荷されたスプリング荷重に抗してプランジャにかかる負荷でソレノイドモジュレータ圧油路52とソレノイ圧油路53間の絞りを調整し、且つソレノイド圧油路53のドレン量を調整してソレノイド圧を調圧する構成とされている。他のC−2クラッチ、B−1ブレーキ、C−3クラッチについても全く同様の各コントロール弁46,47,48と、ソレノイド弁42,43,44と、それらの間のつなぐソレノイド圧油路54,55,56からなる並列の回路構成が採られている。
こうした構成からなる自動変速機は、例えば、第1の変速段を6速段とした場合、6速段から該6速段に対して3段離れた3速段を第2の変速段とする6−3変速のときに、4つの係合要素(C−1クラッチ、C−2クラッチ、C−3クラッチ、B−1ブレーキ)の作動を必要とする。この場合に第1の変速段(6速段)が第1及び第2係合要素(B−1ブレーキ、C−2クラッチ)の係合で達成され、第2の変速段が第3及び第4係合要素(C−1クラッチ,C−3クラッチ)の係合で達成される。また、第1の変速段を5速段とした場合、5速段から2段離れた2速段への変速のときにも、4つの係合要素(C−1クラッチ、C−2クラッチ、C−3クラッチ、F−1ワンウェイクラッチ)の作動を必要とする。この場合の第1係合要素はC−2クラッチ、第2係合要素はC−3クラッチ、第3係合要素はC−1クラッチ、第4係合要素はF−1ワンウェイクラッチ及びB−2ブレーキとなる。ただし、この自動変速機では、5−2変速時はB−2ブレーキは先に説明した理由で変速当初から係合状態にあり、F−1ワンウェイクラッチは自動係合要素であるため、4つの係合要素の作動を必要とする変速とはならない。
そこで、この形態では6−3変速のときの4要素制御の変速に備えて、本発明に従い変速制御装置には、第3係合要素としてのC−1クラッチの起動を含む係合制御開始後であって、該C−1クラッチの係合開始前に、第4係合要素としてのC−3クラッチの起動を含む係合制御を開始させる変速制御手段21(図1参照)が設けられている。
ここにいう各係合要素の起動とは、各係合要素の操作を開始することをいう。また、解放及び係合とは、完全解放及び完全係合に至る過渡的なスリップ状態を含むものとする。したがって、解放を開始させるとは、係合要素のスリップが開始されることを意味する。これを油圧により操作される係合要素についていえば、解放の開始とは、係合力の低下によりスリップが開始されることである。同様に、係合を完了させるとは、係合要素のスリップがなくなることを意味する。したがって、係合の完了とは、油圧により操作される係合要素の場合は、係合力の上昇によりスリップがなくなることである。
この形態では、更に、変速制御手段21は、第1の変速段(6速段)と第2の変速段(3速段)に対して、上記4つの係合要素のうち2つの係合要素(C−1クラッチ、B−1ブレーキ)の作動で達成され、かつ他の2つの係合要素の作動で第2の変速段(3速段)が達成される過渡的変速段(4速段)を設定し、第1の変速段(6速段)から第2の変速段(3速段)への変速を、第1の変速段(6速段)から過渡的変速段(4速段)への変速を経て、過渡的変速段(4速段)から第2の変速段(3速段)への変速に移行させるものとされている。この場合の4つの係合要素は、過渡的変速段(4速段)への変速時に係合されるC−1クラッチと、該変速時に解放されるB−1ブレーキと、第2の変速段(3速段)への変速時に係合されるC−3クラッチと、該変速時に解放されるC−2クラッチとなる。
次に、変速制御手段21の具体的構成を説明する。この形態での変速制御手段21は、制御装置内のプログラムとして構成され、該プログラムに基づき出力されるソレノイド駆動信号による前記ソレノイド弁42の作動による各係合要素の油圧サーボ61〜64の制御で変速が行われる。以下、変速制御手段21の制御フローを各係合要素ごとに説明する。
まず、この変速で解放側となる第1の係合要素としてのB−1ブレーキを解放する制御フローを図6に示す。
〔B−1解放制御〕
この制御では、当初ステップS11により変速の進行度判断のためのタイマーをスタートさせる(タイマー開始t=0)。次に、ステップS12によりサーボ油圧を一旦ライン圧より若干低い所定圧に維持する処理(PB1=PB1a)を行う。この処理は、具体的には、ソレノイド1への駆動信号電流値を制御して、図5に示すソレノイド弁41を調圧作動させ、それによるソレノイド圧でコントロール弁45により油圧サーボの油圧をPB1aとする処理を意味する(この駆動信号とサーボ圧の関係は、以下の全ての油圧制御において同様である)。この処理は各変速機ごとの個体差や経時変化による係合側のC−1クラッチ作動のばらつきによるエンジン吹き防止のためのもである。この定圧維持の時間は、次のステップS13により監視され、その判断の成立(タイマt>t_wait)まで継続される。このタイマ時間経過後に、ステップS14によりサーボ油圧を一気に所定圧まで低下させるB−1ブレーキの解放開始処理(PB1=PB1c)を行い、続けてステップS15によりサーボ油圧を徐々に低下させる処理(dPB1cの傾きでスイープダウン)を行いながら、更に次のステップS16による変速の進行を判断する指標としての進行度合(Shift R)判断を行う。この変速の進行度合(Shift R)は、入力軸回転数や油圧サーボの油圧を判断指標とすることもできるが、本形態では、入出力軸回転数を指標として、
Shift R=(変速機入力回転数−変速前ギヤ比×変速機出力回転数)×100/{変速機出力回転数×(変速後ギヤ比−変速前ギヤ比)}〔%〕
で表されるものとし、例えば70%に設定され、図1に示す変速機入力軸回転数センサ33と車速センサ34による検出値を基に算出される。当初はこの進行度合判断が不成立となるので、ステップS15に戻るループを繰り返す。こうしてステップS16による進行度合判断が成立(Shift R>S_End 2)すると、次のステップS17によりB−1ブレーキのサーボ油圧を完全に抜くための低圧処理を行う(dPB1dの傾きでスイープダウン)。この処理は、ソレノイド弁3がフル出力に達することで自ずと完了するので、特に監視判断を行わずにB−1ブレーキ解放のための6−4変速制御終了となる。
次に、この変速で係合側となる第3の係合要素としてのC−1クラッチを係合する制御フローを図7に示す。
〔C−1係合制御〕
この制御は、先のB−1ブレーキ係合制御のための6−4変速制御と同時スタートとされており、先の制御と同様に、ステップS21でタイマをスタートさせる(タイマー開始t=0)。次いで、ステップS22によりサーボ起動制御サブルーチン処理を行う。この処理は、C−1クラッチの油圧サーボシリンダ内を満たすための油圧のファーストフィルと、油圧サーボピストンと係合要素の摩擦材との間の隙間を詰めるためのその後のピストンストローク圧を維持する処理であり、クラッチ係合のために通常行われる公知の処理である。次に、ステップS23により進行度合(Shift R)を判断する(Shift R>S_End 1)。この判断は、当初不成立(No)となるので、変速が進行し成立に至るまで継続する。上記判断が成立(Yes ) したところで、ステップS24によりC−1クラッチを係合開始させるための昇圧(dPC1aの傾きでスイープアップ)を開始する。そして、この昇圧を続けながら、次のステップS25で変速の進行度合(Shift R)から、変速が4速同期前、例えば90%に達した(Shift R>S_End 2)か否かを判断する。この判断も当初は不成立となるので、変速が進行して成立に至るまでステップ24に戻るループを繰り返してスイープアップを継続する。ステップS25の判断が成立すると、次に、ステップS26により、今度はC−1クラッチの係合を確実に維持するためにライン圧まで昇圧させる処理(dPC1bの傾きでスイープアップ)を行いながら、次のステップS27でサーボ油圧がライン圧に達した(PC1>PFULL)か否かの判断を繰り返す。こうして、ステップS27の判断が成立したところでC−1クラッチ係合制御のための6−4変速制御終了となる。
次に、B−1ブレーキと併せて解放側となる第2の係合要素としてのC−2クラッチを解放する制御フローを図8に示す。
〔C−2解放制御〕
この処理の前提として、6−4変速がすでに終了しているときには、このC−2解放制御がそぐわないものとなるので、この場合を除外する意味で、当初のステップS31で6−4変速終了判断を行い、これが成立のときには、以後の処理を跳ばしてC−2解放制御を終了させる。この除外の下に、次のステップS32で更に第3速段へのシフト指令が成立しているか否かの判断(3rd判断)を行う。これにより、他の変速段へのシフトとの峻別を行う。こうして本制御の実行が適切であることが確認された後に、ステップS33によりC−2クラッチの解放開始のタイミングを決めるための変速の進行度合(Shift R)判断を開始する。そして、この判断が成立(Shift R>Shift R_S1)したところで、ステップS34によりC−2クラッチのサーボ油圧を一気に所定油圧まで低下させる(PC2=PC2_OS+PC2_to)低圧処理を実行する。この場合の所定油圧は、C−2クラッチへの入力トルクに見合った分の油圧(PC2_to)に、変速の進行に応じて比率を低下させる安全率分の油圧(PC2_OS)を含むものとれている。
この場合の入力トルクは、スロットル開度とエンジン回転数のマップからエンジントルクを求め、トルクコンバータの入力回転数と出力回転数から速度比を求め、こうして求めたエンジントルクと速度比を乗算することで求めることができる。そして、入力トルクの油圧への変換は、入力トルクを該当する係合要素の油圧サーボのピストン受圧面積と摩擦材枚数と有効半径と摩擦係数とを乗算したもので除し、その値にピストンストローク圧を加算することでなされる。ただし、この場合は、上記のように安全率分の油圧(PC2_OS)は変速の進行に合わせて減少させていくものとする。このように低圧処理を行いながら、次のステップS35で第4速段同期手前を判定するための変速の進行度合(Shift R)判断を行う。そしてこの同期手前判断(Shift R>S_End 2)が成立したところで、今度はステップS36によりC−1クラッチのサーボ油圧(PC1)が入力トルクに対して係合維持に必要な油圧(PC1_eg)を超えているか否かを判断する(PC1>PC1_eg)。なお、この判断における入力トルクは、上記のように算出される。この判断の成立により、4速段が完全に達成されていることになるので、続けて4−3変速制御に入る(4−3変速制御開始)。
4−3変速制御の最初のステップS37では、C−2クラッチのサーボ圧(PC2)をdPC2cの傾きでスイープダウンする処理を行いながら、ステップS38で4−3変速の進行度合(Shift R)判断を行い(Shift R>S_End 2)、この判断が成立するまでスイープダウンを継続する。そして、これが成立したところで、最後にC−2クラッチのサーボ油圧を完全に抜くために、ステップS39により低圧処理(dPC2dの傾きでスイープダウン)を行う。この処理も、ソレノイド弁2がフル出力に達することで自ずと完了するので、特に監視判断を行わずにC−2クラッチ解放のための4−3変速制御終了となる。こうしてC−2解放制御終了となる。
次に、本発明の主旨に沿い6−4変速段階で起動のために係合制御を開始される第4の係合要素としてのC−3クラッチを係合する制御フローを図9に示す。
〔C−3係合制御〕
この制御の場合も処理の前提として、6−4変速がすでに終了しているときには、このC−3係合制御がそぐわないものとなるので、この場合を除外する意味で、当初のステップS41で6−4変速終了判断を行い、これが成立のときには、以後の処理を跳ばしてC−3係合制御を終了させる。この除外の下に、次のステップS42で更に第3速段へのシフト指令が成立しているか否かの判断(3rd判断)を行う。これにより、他の変速段へのシフトとの峻別を行う。こうして本制御の実行が適切であることが確認された後に、ステップS43で6−4変速の進行度合の判断を開始する。この場合の進行度合(Shift R)判断指標としての(Shift R_S2)は、C−2クラッチの油圧サーボの当初の圧抜き 、すなわち先のステップ34の処理が成されたことに対する確認のタイミングとして設定されている。この進行度合判断が成立(Shift R>Shift R_S2)したところで、次のステップS44によりサーボ起動制御1サブルーチン処理を行う。この処理は、C−3クラッチの油圧サーボシリンダ内を満たすための油圧のファーストフィルと、油圧サーボピストンと係合要素の摩擦材との間の隙間を詰めるためのその後のピストンストローク圧を維持する処理であり、先のC−1クラッチの起動と類似するが、ピストンストローク圧の設定がC−1クラッチの起動の場合とは異なる。この油圧の設定については、後の該当するステップのところで詳記する。
このサーボ起動のタイミングについて更に説明すると、ファーストフィル時は、他の低圧保持時や昇圧時の油圧制御とは異なり、サーボシリンダ内を満たすための大量の油の供給を必要とする。したがって、C−3クラッチの係合待機状態を早期に確立すべく起動を早めるとしても、これがC−1クラッチの起動と重なる場合、2つの油圧サーボへの同時供給状態となるため、油圧供給源としてのオイルポンプの吐出容量を超える負荷を与えることになり、双方の起動を遅らせることになる。そこで、このC−3クラッチの第1の起動タイミングとしては、オイルポンプの容量負荷が軽減されるC−1クラッチの起動完了後が適切ということになる。次に、純粋なタイミングのみの面からは、変速指令が他の変速段への変速に変更される可能性が残る変速開始初期は避けるのが望ましい。したがってC−3クラッチの第2の起動タイミングとしては、6−4変速がある程度進行した後が適切ということになる。また、圧力負荷の面からは、6−4変速の進行中はB−1ブレーキの解放が進行中で、C−1クラッチが係合待機中であることから、これらの油圧サーボの圧力負荷は低いのに対してC−2クラッチは係合中のライン圧供給の圧力負荷となっているため、この油圧サーボの圧力負荷が大きい。そこで、C−3クラッチの第3の起動タイミングとしては、C−2クラッチの解放制御開始による圧抜き後が適切ということになる。こうした事情から、本形態では、C−3クラッチの起動タイミングとして、前記変速の進行度合(Shift R_S2)を設定している。
ところで、クラッチはブレーキと異なり、回転するドラム内に油圧サーボが内蔵されることから、油圧サーボ内の油には遠心油圧が発生する。こうした遠心油圧は、供給圧を変化させてクラッチの制御性を悪くすることから、遠心油圧の作用を相殺する有効な対策として、キャンセル室を設けることが行なわれる。こうしたキャンセル室の設置をC−3クラッチに想定した場合、本形態に係るギヤトレインでは、変速開始当初の6速段達成状態でC−3クラッチのドラムが停止状態にあるため、キャンセル室の油が抜けた状態にある。こうした状態でC−3クラッチの油圧サーボ起動後のピストンストローク圧を通常の係合待機状態に設定すると、C−3クラッチの係合待機状態でピストンストロークが過剰となり、係合開始のスリップ状態に入ることが懸念される。そこで、本形態では、サーボ起動制御1において、このための補正を行なっている。
図10はサーボ起動制御1の詳細をサブルーチンフローで示す。この制御は、ファーストフィル期間と、その後の待機圧値をドラムの停止時間と回転数の相関関係から設定する制御を構成している。先ず、当初のステップS44−1でタイマをスタートさせる(タイマー開始t=0)。次に、ステップS44−2でファーストフィル期間(TSA_43)を設定する処理を行う。この場合のTSA_43は、
TSA_43=TSA_C3−TSA_C3drum−TSA_C3cansel
として設定される。ここに、TSA_C3は、通常の4−3変速時に必要とされるピストンストローク時間、TSA_C3drumは、C−3クラッチのドラム回転数に基づき設定される補正時間、TSA_C3canselは、C−3クラッチのドラムの停止時間に基づき設定される補正時間である。C−3クラッチのドラム回転数と補正時間の間には、図11に実線で示すような相関関係が成立する。また、C−3クラッチのドラムの停止時間と補正時間の間には、図12に実線で示すような相関関係が成立する。次のステップS44−3では、C−3クラッチのサーボ圧PC3をファーストフィル用の供給圧PS1に設定する処理を行う。こうして次のステップS44−4でファーストフィル時間の経過を待つ(t>TSA_43)。そして、この判断の成立でファーストフィルの終了が確認されると、次のステップS44−5で基圧(PC3Base)の設定処理を行う。この場合の基圧(PC3Base)は、
PC3Base=PS2_C3−PC3_C3drum−PC3cansel
として設定される。ここに、PS2_C3は、通常の4−3変速時に必要とされるピストンストローク圧、PC3_C3drumは、C−3クラッチのドラム回転数に基づき設定される補正油圧、PC3canselは、C−3クラッチのドラムの停止時間に基づき設定される補正油圧である。C−3クラッチのドラム回転数と補正油圧の間には、図11に点線で示すような相関関係が成立する。また、C−3クラッチのドラムの停止時間と補正油圧の間には、図12に点線で示すような相関関係が成立する。この基圧の設定によりC3サーボ起動制御1の処理が終了する。
図9の制御フローに戻って、サーボ起動制御1の後に、ステップS45により変速の進行度合(Shift R)を判断する(Shift R>S End2)。この判断は、当初 不成立(No)となるので、変速が進行し成立に至るまでC3サーボ起動制御1による基圧の保持を継続する。上記判断が成立(Yes ) したところで、ステップS45によりC−1クラッチのサーボ圧が入力トルクに見合った油圧(PC1_eg)を超えているかどうかで、C−1クラッチの係合が達成されているか否かの判定を行なう。更に、次のステップS47でB−1ブレーキのサーボ圧(PB1)の解放が完了したかどうかの判定(PB1≦0)を行なう。こうして上記3つの判断が全て成立となるまでサーボ起動制御1による基圧(PC3Base)の保持状態が継続され、これらの判断が全て成立したところで4−3変速制御を開始する。
4−3変速制御では、当初のステップS48により、C3サーボ待機制御2の処理を実行する。この処理は、図13に内容を示すように、基圧(PC3Base)の保持状態を本来の待機圧(PS2_C3)の保持状態に変更する処理(PC3Base=PS2_C3)である。こうして正規の待機圧(PS2_C3)を保持した状態で、ステップS49により変速の進行度合(Shift R)の判断(Shift R>S_End 1)を行ない、これが成立したところで、ステップS50によりC−3クラッチの係合を開始させるための昇圧(dPC3aの傾きでスイープアップ)を開始する。そして、この昇圧を続けながら、次のステップS51で変速の進行度合(Shift R)から、3速同期に達した(Shift R>S_End 2)か否かを判断する。この判断も当初は不成立となるので、変速が進行して成立に至るまでステップ50に戻るループを繰り返してスイープアップを継続する。ステップS51の判断が成立すると、C−3クラッチの係合が完了したことになるので、次に、ステップS52により、今度はC−3クラッチの係合を確実に維持するためにライン圧まで昇圧させる処理(dPC3bの傾きでスイープアップ)を行いながら、次のステップS53でサーボ油圧がライン圧に達した(PC1>PFULL)か否かの判断を繰り返す。こうして、ステップS53の判断が成立したところでC−3クラッチ係合制御のための6−3変速制御終了となる。
前記6−3変速制御による4つの係合要素の作動を、サーボ油圧と入力軸回転数との関係で図13にタイムチャートで示す。図にみるように、B−1ブレーキの解放制御とC−1クラッチの係合制御は、6−3変速指令の成立により同時に開始され、C−1クラッチのサーボ油圧がファーストフィル圧に昇圧されると同時に、B−1ブレーキのサーボ油圧は、一旦ライン圧より若干低い低圧とされた後に、解放開始の所定圧まで更に低下させられる。これにより前段の6−4変速が開始され、入力軸回転数は上昇し始める。そして、B−1ブレーキのサーボ油圧は、解放開始に向かって一定の傾きで低下され、C−1クラッチのサーボ油圧はピストンストローク圧に保持されて、C−1クラッチは係合待機状態となる。
次いで、入力軸回転数の上昇からC−2クラッチ解放制御開始タイミングとなると、C−2クラッチのサーボ油圧は解放開始(スリップ)には至らない程度の油圧まで一気に低下され、そこから所定の傾きで低減されて行く。このC−2クラッチ解放制御開始直後に、C−3クラッチの係合制御が開始され、その当初の起動制御すなわちファーストフィル圧への昇圧がなされ、続いて基圧(PC3Base)への降圧と、その維持がなされる。一方、4速段同期への6−4変速は進行して行き、入力軸回転数から4速段同期手前70%の判断(S_End 1)が成立したところでC−1クラッチのサーボ油圧が上昇させられ、C−1クラッチ係合(スリップ)が進行する。これによりC−1クラッチが係合完了手前90%になると、入力軸回転数による4速段同期手前の判断(S_End 2)が成立するので、C−1クラッチのサーボ油圧はライン圧への昇圧状態に切換えられる。この段階でC−3クラッチのサーボ圧は、本来の待機圧まで高められ維持される。他方、降下制御中のC−2クラッチのサーボ油圧は、その低減制御により4速段同期手前の判断(S_End 2)成立時に解放開始に達するに適した油圧となるように制御されて来ているので、この時点でC−3クラッチのサーボ油圧の昇圧が開始されることでC−3クラッチの係合が開始され、C−2クラッチの解放も開始される。やがて4−3変速の進行により3速段同期となったところで、C−2クラッチのサーボ油圧は完全解放され、C−3クラッチのサーボ油圧はライン圧まで高められる。このようにして6−3変速が連続する6−4−3変速の形態で実現される。
更に、図14は上記6−4−3変速との対比の意味で、C−3クラッチの係合制御を4速段同期の確認時点で開始させた場合のタイムチャートを示す。図14に示すタイムチャートにおいては、C−3クラッチの起動のための期間が4速段同期後に必要となるため、この起動を終えてC−3クラッチのサーボ圧が待機圧に保持されて安定するまでの期間、C−2クラッチのサーボ圧の降圧によりスリップが生じないようにする必要があるため、該サーボ圧のスイープダウン勾配を変速度合(Shift R)がS_End 3になったところで緩める設定がなされている。そしてこのことが図の上段の入力軸回転数の変化に見るように、6−3変速後半の4−3変速期間が長くなり、全体の変速時間を延ばす要因となっていることが分かる。この場合の実質的な変速期間は、図に両端矢印6−4と、両端矢印4−3で示す期間の合計となる。この対比で分かるように、本発明の適用による利点は、C−2クラッチのサーボ圧の降圧をC−3クラッチの起動を待つために延ばす必要がなくなる点にある。
かくして、上記実施形態の変速制御装置によれば、先行するC−1クラッチの起動に対して、後続のC−3クラッチの起動を早めることができるため、C−3クラッチの係合開始時期を第1段階の掴み替えの達成時期側にずらすことができ、第1段階の掴み替えから第2段階の掴み替えへの移行を早めることができる。これにより2段階の変速操作を行わせながら、段階変化を感じさせない変速を達成することができる。換言すれば、6速段から4速段に至る変速の途中で、C−3クラッチの起動を済ませておくことができ、これによりC−3クラッチの係合開始時期を4速段の達成時期側にずらすことができ、4速段から3速段への移行を早めることができる。これにより4速段を経由する変速操作を行わせながら、段階変化を感じさせない変速を達成することができる。
また、こうした変速を、入力回転の変化を指標とする変速の進行度合(Shift R)により油圧サーボの油圧で制御しているため、複雑なフィードバック制御によらずに4つの係合要素を順序立てて制御することができる。この結果、4つの係合要素が関与する複雑な変速を簡単な制御で達成することができる。
また、C−2クラッチとC−3クラッチの油圧サーボについて、それらの起動すなわちファーストフィル操作が相互に重ならないタイミング設定により、油圧供給負荷が過重となるのを防いで、C−2クラッチとC−3クラッチ双方のファーストフィル操作が迅速に行なわれ、これにより待機状態への移行が早められている。
更に、C−2クラッチの油圧サーボの油圧を解放後に、C−3クラッチの油圧サーボへの油圧供給が開始されるため、油圧供給負荷を軽減した状態でC−3クラッチを起動させることになり、C−3クラッチの起動が迅速化されている。
更に、C−1クラッチの係合の進行中に、C−3クラッチが不用意に係合を開始して、C−3クラッチがそれと掴み替えされるべきC−2クラッチとタイアップするのを、変速機構の状態、すなわちC−3クラッチのドラムの回転に合わせて遠心油圧の作用及びキャンセラ内に残る残圧による遠心油圧の作用を補正した基圧の設定で回避しているため、C−3クラッチの係合を早めたことによるタイアップも確実に防ぐことができる。
以上、本発明を特定のギヤトレインにおける代表的な実施形態を挙げて詳説したが、本発明の思想は例示のギヤトレインに限定されるものではなく、4つの係合要素が関連する変速における係合要素の係合・解放関係が2要素同時掴み替えとなる全てのギヤトレインに適用可能なものである。
B−1 ブレーキ(第1係合要素)
C−2 クラッチ(第2係合要素)
C−1 クラッチ(第3係合要素)
C−3 クラッチ(第4係合要素)
21 変速制御手段
S44 C3サーボ起動制御1ステップ(起動制御手段)

Claims (4)

  1. 第1の変速段から第2の変速段への変速のときに、4つの係合要素の作動を必要とし、第1の変速段が第1及び第2係合要素(B−1,C−2)の係合で達成され、過渡的変速段が第2及び第3係合要素(C−2,C−1)の係合で達成され、第2の変速段が第3及び第4係合要素(C−1,C−3)の係合で達成される自動変速機の制御装置において、前記制御装置は、第3係合要素(C−1)の油圧サーボへ油圧を供給してピストンをストロークさせるファーストフィル操作を行った後であって、前記油圧サーボの油圧を上昇させて前記第3係合要素の係合開始させる前に、第4係合要素(C−3)の油圧サーボへ油圧を供給してピストンをストロークさせるファーストフィル操作を行う変速制御手段を有することを特徴とする自動変速機の変速制御装置
  2. 記変速制御手段は、入力回転の変化を指標とする変速の進行度合(Shift R)の判断手段を有し、前記第3及び第4係合要素の係合制御は、判断手段による変速の進行度の判断に基づいて成される、請求項1記載の自動変速機の変速制御装置
  3. 記第2係合要素(C−2)は、その油圧サーボの油圧により制御され、前記変速制御手段は、第2係合要素の解放制御開始後に、第4係合要素の前記ファーストフィル操作を行う、請求項1又は2記載の自動変速機の変速制御装置
  4. 記変速制御手段は、第4係合要素の前記ファーストフィル操作を行った後、その油圧サーボの油圧を、少なくとも第3係合要素が係合を開始するまでの期間、第4係合要素の係合の開始を防ぐ基圧に保持する起動制御手段を有する、請求項1、2又は3記載の自動変速機の変速制御装置
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