JP4598644B2 - 多層離型フィルム及び多層離型フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
また、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルムは、シリコーンに含まれる低分子量体の移行によってプリント配線基板、とりわけ銅回路の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがあった。また、ポリプロピレンフィルムは、耐熱性に劣り、離型性が不充分であるという問題があった。
しかしながら、3層タイプの離型フィルムは製造コストがかかるという問題点や、プレス時に流れるクッション層の逃げ場がないため、染み出しが発生し、基板等を汚染してしまうという問題があった。
しかしながら、従来の2層タイプの離型フィルムでは、製造過程や熱プレス成形時にカールが起こりやすいという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
上記離型層にこのような融点の高い樹脂を用いることにより、上記離型層は、熱プレス成形工程においても、溶融することなく離型性を有するとともに、上記離型層が破壊されることを防止することができる。
また、このような樹脂を用いることにより、使用後に焼却しても有毒ガスを発生しないことから、本発明の多層離型フィルムの廃棄焼却処理が容易となる。
なお、上記示差走査熱量計としては特に限定されず、例えば、DSC 2920(TAインスツルメント社製)等を用いることができる。
上記安定剤としては特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。
上記繊維としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等の無機繊維;アラミド繊維等の有機繊維等が挙げられる。
上記難燃剤としては特に限定されず、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
上記高級脂肪酸塩としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。
上記ゴム成分としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記アスペクト比の大きい無機化合物としては特に限定されず、例えば、層状珪酸塩;ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。
上記処理の方法としては特に限定されず、例えば、エンボス模様が施された金属ロール等やガーゼ等の布やブラシ等を用いて上記離型層の表面を摩擦する方法が挙げられる。
上記熱処理の方法としては特に限定されないが、例えば、一定の処理温度に加熱したロールの間を通過させる方法やヒーターによる加熱等が好ましい。
上記熱処理の温度としては、離型層を構成する樹脂のガラス転移温度以上かつ融点以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は120℃、好ましい上限は200℃である。120℃未満であると、熱処理による離型性の向上効果がほとんど得られないことがあり、200℃を超えると、熱処理時に離型層が変形しやすくなり、製造できないことがある。より好ましい下限は170℃、より好ましい上限は190℃である。
上記クッション層に、融点が上記範囲内の樹脂を用いることで、接着剤が溶融を開始する温度付近で軟化を開始し、フレキシブルプリント基板表面の凹凸に対する追従性を向上させたり、カバーレイの接着剤の流れ出し等を防止したりすることが可能となる。
また、クッション層の樹脂が粘着性を持つと、成形中の金属ロール等に粘着し、巻きついてしまうことがあるため、従来、この巻きつきを防止するために、金属ロール表面をフッ素系樹脂やシリコーン等で処理し、金属ロールに離型性を持たせる等の処理が必要であったが、本発明においては、上記クッション層に粘着性を持たない樹脂を用いることで、自ずと巻きつきが防止されるため、高価な金属ロール表面処理を必要としない。
上記クッション層が、層状珪酸塩を含有する表面層を有することにより、クッション層表面の線膨張係数と、上記離型層の線膨張係数との差を小さくすることができることから、多層離型フィルムの製造時及び熱プレス成形時等の加熱によっても該多層離型フィルムがカールすることがない。
以下、上記クッション層のうち、表面層以外の部分をクッション層本体ともいう。
また、市販のものとしては、例えば、ソマシフMEA(コープケミカル社製)等が挙げられる。
上記表面層にこのような層状珪酸塩を含有させることにより、上記クッション層表面の線膨張係数を低下させることができる。この結果、上記離型層と上記クッション層表面との線膨張係数が近似し、多層離型フィルムの製造時及び熱プレス成形時等の加熱によっても該多層離型フィルムがカールすることがない。
具体的には、例えば、少なくとも、結晶性芳香族ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂と層状珪酸塩とを有する樹脂組成物とをそれぞれ溶融状態にして金型内で合流させて共押出法によりフィルム状とする工程1と、前記フィルム状のものに延伸処理を施すことなく巻き取る工程2とを経ることにより本発明の多層離型フィルムを製造することができる。
このような多層離型フィルムの製造方法もまた、本発明の1つである。
(1)多層離型フィルムの作製
離型層用の結晶性芳香族ポリエステル樹脂としてポリブチレンテレフタレート(ノバデュラン5010R5、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、融点224℃)、クッション層本体用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(PF1140G、ダウ社製、融点94℃)、及び、クッション層の表面層用のポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン(PC600S、サンアロマー社製、融点130℃)100重量部に層状珪酸塩としてソマシフMEA(コープケミカル社製)5重量部を含有させたものをそれぞれ250℃、180℃、200℃の押出機により溶融状態にし、これらを250℃の多層金型より共押出成形して、離型層の厚さ20μm、クッション層の厚さ100μm(うち、表面層の厚さ20μm)の多層離型フィルムを得た。
なお、融点は、示差走査熱量計(DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
銅張り積層板、カバーレイフィルム、得られた多層離型フィルムをこの順に重ね合わせたものを1セットとして、32セットを熱プレスに載置し、更に、最表面の多層離型フィルムとプレス機との間に紙を挟み、プレス温度170℃、プレス圧300N/cm2、プレス時間60分間の条件で熱プレス成形した後、プレス圧を開放し、多層離型フィルムを引き剥がして、フレキシブルプリント基板を得た。
なお、銅張り積層板としては、厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社、カプトン)をベースフィルムとし、ベースフィルム上に厚さ35μm、幅50μmの銅箔が厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製、カプトン)上に、流動開始温度80℃のエポキシ系接着を用いた。
離型層用の結晶性芳香族ポリエステル樹脂としてポリブチレンテレフタレート(ノバデュラン5010R5、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、融点224℃)、クッション層本体用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(PF1140G、ダウ社製、融点94℃)、及び、クッション層の表面層用のポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン(PC600S、サンアロマー社製、融点130℃)100重量部に層状珪酸塩としてソマシフMEA(コープケミカル社製)5重量部を含有させたものの3種類を160℃、30分間、15kgf/cm2の圧力をかけてプレスすることにより離型層の厚さ20μm、クッション層の厚さ100μm(うち、表面層の厚さ20μm)の多層離型フィルムを得た。
得られた多層離型フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板を作製した。
層状珪酸塩を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして多層離型フィルム及びフレキシブルプリント基板を作製した。
層状珪酸塩を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして多層離型フィルム及びフレキシブルプリント基板を作製した。
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた多層離型フィルム及びフレキシブルプリント基板について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
得られた多層離型フィルムを1時間室温で放置し、カールの発生の有無を目視にて確認し、以下の基準により評価した。
○:カールが発生しなかった。
×:カールが発生した。
得られたフレキシブルプリント基板の空気の残存部分(ボイド)の有無を顕微鏡にて確認し、以下の基準により評価した。
○:ボイドが見られなかった。
×:ボイドが見られた。
剥離した多層離型フィルムの離型層の損傷の有無を目視にて確認し、以下の基準により評価した。
○:離型層に損傷は見られなかった。
×:離型層が破壊されていた。
得られたフレキシブルプリント基板の電極部分を目視(顕微鏡観察)にて確認し、以下の基準により評価した。
○:100μm未満
△:100〜120μm
×:120μm以上
フレキシブルプリント基板作製時におけるフィルム端面からの樹脂の染み出しの長さを測定し、以下の基準により評価した。
○:5mm未満
△:5〜15mm
×:15mm以上
Claims (2)
- 少なくとも、示差走査熱量計を用いて測定した融点が200℃以上である結晶性芳香族ポリエステル樹脂からなる離型層と、示差走査熱量計を用いて測定した融点が70〜130℃であるポリオレフィン系樹脂からなるクッション層とからなる多層離型フィルムであって、
前記クッション層は、前記離型層とは反対側の表面に、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、層状珪酸塩を0.1〜100重量部含有する表面層を有する
ことを特徴とする多層離型フィルム。 - 請求項1記載の多層離型フィルムの製造方法であって、
少なくとも、結晶性芳香族ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂と層状珪酸塩とを有する樹脂組成物とをそれぞれ溶融状態にして金型内で合流させて共押出法によりフィルム状とする工程1と、
前記フィルム状のものに延伸処理を施すことなく巻き取る工程2とからなる
ことを特徴とする多層離型フィルムの製造方法。
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