JP4598598B2 - カバーテープおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
このような電子部品を収納したテーピング包装体のカバーテープを剥離し、電子部品を自動的に取り出して電子回路基板に表面実装するためには、カバーテープがキャリアテープから容易に剥離できることが要求される。この剥離する剥離力(剥離強度、ヒートシール強度、ピールオフ強度ともいう)が低過ぎると、実装時以外の移動でもカバーテープが外れて電子部品が脱落することがあり、所定の剥離力を確保できる安定したヒートシール性がカバーテープに要求される。
また、カバーテープを剥離する際に発生する静電気により電子部品に短絡や静電破壊が生じるおそれがあり、カバーテープには帯電防止性が要求されている。さらに、実装に適正な電子部品であるか否かを検知するために、テーピング包装体状態でカバーテープを透かして確認するための透明性が要求されている。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、キャリアテープに対して安定したヒートシール性を有し、ジップアップが小さいとともに、高速剥離においても破断が生じ難いカバーテープと、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記中間層は、比重が0.888〜0.907の範囲であるメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンからなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ヒートシール層の表面抵抗率が105〜1012Ω/□の範囲であり、かつ電荷減衰時間が2秒以下であるような構成とした。
また、本発明の製造方法は、本発明のカバーテープを簡便な工程管理により容易に製造することができる。
図1は、本発明のカバーテープの一実施形態を示す断面図である。図1において、カバーテープ1は基材フィルム2と、この基材フィルム2上に接着層3を介して積層された中間層4、ヒートシール層5とを備えている。
このような本発明のカバーテープ1では、接着層3のヤング率が1MPa以下、好ましくは0.03〜0.5MPaの範囲である。また、中間層4は直鎖状低密度ポリエチレンからなるものである。
[基材フィルム]
本発明のカバーテープ1を構成する基材フィルム2は、保存中の外力に耐える機械的強度、製造およびテーピング包装に耐える耐熱性等を具備するものであればよく、種々の材料を使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出しフィルム等のポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル系樹脂、イミド系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂等からなるフィルムを使用することができる。
基材フィルム2の厚みは、例えば、2.5〜300μm、好ましくは6〜100μm、より好ましくは12〜25μmの範囲で設定することができる。基材フィルム2の厚みが2.5μm未満では、機械的強度が不十分であり、厚みが300μmを超えると、テーピング包装時のヒートシール温度が高くなり、コスト面でも不利である。
本発明のカバーテープ1を構成する接着層3は、剥離時に中間層4に亀裂が生じても、その亀裂が基材フィルム2に進行することを阻止するための層であり、上述のように、接着層3のヤング率は、1MPa以下、好ましくは0.04〜0.5MPaの範囲である。接着層3のヤング率が1MPaを超えると、十分な亀裂阻止機能を発現することができない。
使用する接着剤、および、接着剤(主剤)に対する接着剤(硬化剤)の添加量は、下記のヤング率測定方法により、接着層3のヤング率が1MPa以下となるように、適宜選択、設定することができる。
(ヤング率測定方法)
離型性基材上に接着剤を塗工して固化することにより成膜し、その後、離型性基
材から剥離することにより、縦12cm×横8cm×厚み1mm以上の寸法で接
着剤単体の層を作製し、25℃、50%RHの条件下で3日間乾燥させ、その後
、80℃で1時間エージングした後、縦10cm×横15mmの試験片に切断し
、この試験片を引張試験機テンシロン(オリエンテック(株)製 RTC−12
50A)を用いて引張速度200mm/分で縦方向の引張破断強度を測定してヤ
ング率を得る。
本発明のカバーテープ1を構成する中間層4としては、柔軟性があり、常温での引裂き強度が高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用する。LLDPEには、チグラー型触媒で重合されたものと、メタロセン系触媒で重合されたもの(メタロセンLLDPE)とがあるが、特にメタロセンLLDPEは分子量分布を狭く制御できるので、低結晶化に伴う粘着性の発生、融点の必要以上の低下、成形時の発煙等が抑えられ、エラストマー的性能も具備しているので好適に使用できる。
また、接着層3側に高弾性の中間層を配設し、ヒートシール層5側に低弾性の中間層を配設してもよい。この場合、上述のLLDPEの中から材料の組み合わせを選択し、これらを共押出しすることにより中間層4を形成することができる。
中間層4の厚みは、例えば、15〜45μm、好ましくは20〜40μmの範囲で設定することができる。中間層4の厚みが15μm未満であると、塗工時の成膜精度(厚み精度)が劣る上に、柔軟性(クッション性)が不十分で安定したヒートシール性が得られず、厚みが45μmを超えると、柔軟性(クッション性)が過剰であり、かつ熱伝導性が悪く、テーピング包装時のヒートシール温度が高くなり、カールが大きくなってテーピング時に扱い難くなり、また、コスト面でも不利である。
本発明のカバーテープ1を構成するヒートシール層5は、熱可塑性樹脂と導電性材料を含むものであり、必要に応じて、分散剤、充填剤、可塑剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系やメタクリル系等のアクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂等を、単独で、あるいは2種以上の組み合わせで使用することができる。特に、導電性材料の分散性、キャリアテープへの接着性から、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のいずれか、あるいは、これらを主成分とする樹脂が好ましい。尚、ヒートシール層5に用いる熱可塑性樹脂は、上述のように、中間層4の作用により良好なヒートシールが行えるので、キャリアテープとの兼ね合いを重視して適宜選択することができる。
上述のカバーテープ1の製造では、例えば、上述にように、基材フィルム2上の片面に接着層3を塗布形成した後、この接着層3上に中間層4を溶融押出塗工で積層し、さらに、ヒートシール層5を中間層4上に形成する方法が代表的である。その他、押出し法により中間層4としてのフィルムを成形し、このフィルムの片面に接着層3用の接着剤を塗工し、次いで、基材フィルム2用のフィルムをドライラミネーション法により積層し、その後、中間層4上にヒートシール剤を塗布してヒートシール層5を形成することもできる。
上述のヒートシール層5を形成する中間層4の面には、予めコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム(火炎)処理等の易接着処理を施すことが好ましい。
上述のカバーテープの実施形態は例示であり、本発明のカバーテープはこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
基材フィルムとして、厚さ16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製 テトロンフィルムFタイプ)を準備した。
また、下記組成の接着剤Aを調製した。
(接着剤A)
・ポリオール系主剤 … 25重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 EL−510)
・イソシアネート系硬化剤 … 2重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 CAT−RT37)
(ヤング率測定方法)
ポリプロピレン製の離型基板上に、酢酸エチル(溶剤)で希釈した接着剤Aを塗
工し、溶剤を乾燥除去して固化せしめ、縦12cm×横8cm×厚み5mmの寸
法で接着剤単体の層を成膜し、25℃、50%RHの条件下で3日間乾燥させた
。その後、80℃で1時間エージングした後、縦10cm×横15mmの試験片
に切断し、この試験片を引張試験機テンシロン(オリエンテック(株)製 RT
C−1250A)を用いて縦方向に引張速度200mm/分で引張破断強度を測
定してヤング率を得た。
次に、メタロセンLLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製 ユメリット022GS、比重:0.906)を、基材フィルムの接着層上に溶融押出法にてカーテン状で押し出して冷却固化させて、中間層(厚み35μm)を成形した。
次に、中間層上にヒートシール層用組成物(大日精化工業(株)製 Neoconcoa+ DS−6)をグラビアリバースロールコーティング法で塗布し乾燥してヒートシール層(厚み2μm)を形成した。
以上により、本発明のカバーテープを作製した。
下記組成の接着剤Bを調製し、接着剤Aの換わりに接着剤Bを使用した他は、実施例1と同様にして、本発明のカバーテープを作製した。
(接着剤B)
・ポリオール系主剤 … 25重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 EL−510)
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 CAT−RT37)
尚、上記の接着剤Bについて、実施例1と同様の方法でヤング率を測定した結果、1.0MPaであることが確認された。
下記組成の接着剤Cを調製し、接着剤Aの換わりに接着剤Cを使用した他は、実施例1と同様にして、本発明のカバーテープを作製した。
(接着剤C)
・ポリオール系主剤 … 25重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 EL−510)
・イソシアネート系硬化剤 … 1重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 CAT−RT37)
尚、上記の接着剤Cについて、実施例1と同様の方法でヤング率を測定した結果、0.03MPaであることが確認された。
下記組成の接着剤Dを調製し、接着剤Aの換わりに接着剤Dを使用した他は、実施例1と同様にして、比較のカバーテープを作製した。
(接着剤D)
・ポリオール系主剤 … 7重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 EL−510)
・イソシアネート系硬化剤 … 2重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 CAT−RT37)
尚、上記の接着剤Dについて、実施例1と同様の方法でヤング率を測定した結果、1.5MPaであることが確認された。
下記組成の接着剤Eを調製し、接着剤Aの換わりに接着剤Eを使用した他は、実施例1と同様にして、比較のカバーテープを作製した。
(接着剤E)
・ポリオール系主剤 … 7重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 EL−510)
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部(固形分)
(東洋モートン(株)製 CAT−RT37)
尚、上記の接着剤Eについて、実施例1と同様の方法でヤング率を測定した結果、2.0MPaであることが確認された。
(耐破断性)
幅8mmのポリカーボネート樹脂製の帯電防止エンボスキャリアテープ(住友スリーエム(株)製 No.2705)を用意した。
次に、図2に示されるように、上記のキャリアテープの凹部を覆うように両端に、上述のように作製した各カバーテープ(実施例1〜3、比較例1、2)をヒートシールしてテーピング包装体を作製した。ヒートシールは、図3に示すような幅0.5mm、長さ8mmの熱圧着部材32を並列で備えた治具31を使用して行った。すなわち、下記の条件で、治具31を矢印a方向で昇降させて1ショット毎の押圧を行い、各ショット間にキャリアテープ1とカバーテープ21を矢印b方向に間欠送りして(前ショット時のヒートシール部の後半部が、後ショット時のヒートシール部の前半部と重複するようにして)ライン状に2度打ち(同一箇所が2ショットされる)となるように行った。
(ヒートシール条件)
・1ショットのヒートシール時間 : 0.8秒
・1ショット毎の間欠送り量 : 4mm
・ヒートシール温度 : 240℃
・ヒートシール圧力 : 0.29MPa
上記と同様に作製したテーピング包装体のキャリアテープとカバーテープを、23℃、50%RHの環境下で、PEEL−BACK−TESTER(バンガードシステム社製 VG−20)を用い剥離速度300mm/分にて180°剥離したときの剥離強度を測定して、結果(測定点数=2点の平均値)を下記の表1に示した。剥離強度は0.4〜0.7N/mmの範囲が実用上良好である。
上記の剥離強度の測定(測定点数=5点)の最大値と最小値との差をジップアップとし、測定結果を下記の表1に示した。ジップアップは0.2N/mm以下が実用上良好である。
2…基材フィルム
3…接着層
4…中間層
5…ヒートシール層
11…テーピング包装体
21…キャリアテープ
Claims (4)
- 基材フィルムと、該基材フィルム上に接着層を介して積層された中間層、ヒートシール層とを備え、前記接着層は2液硬化型ウレタン樹脂からなりヤング率が1MPa以下、厚みが0.15〜0.50g/cm 2 の範囲内の層であり、前記中間層は直鎖状低密度ポリエチレンからなることを特徴とするカバーテープ。
- 前記中間層は、比重が0.888〜0.907の範囲であるメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンからなることを特徴する請求項1に記載のカバーテープ。
- 前記ヒートシール層の表面抵抗率が105〜1012Ω/□の範囲であり、かつ電荷減衰時間が2秒以下であることを特徴する請求項1または請求項2に記載のカバーテープ。
- 基材フィルム上に接着層を介して中間層とヒートシール層とが積層されてなるカバーテープの製造方法において、
ポリオールからなる接着剤主剤にイソシアネートからなる硬化剤を添加した接着剤を、基材フィルム上に塗工量が0.15〜0.50g/cm 2 (固形分量)の範囲となるように塗工して接着層を形成した後、該接着層上に中間層を溶融押出塗工で積層する工程を有し、前記接着剤主剤に対する前記硬化剤の添加量は、縦12cm×横8cm×厚み1mm以上の寸法で接着剤単体の層を成膜し、25℃、50%RHの条件下で3日間乾燥させ、その後、80℃で1時間エージングを行った後、縦10cm×横15mmの試験片に切断し、該試験片をテンシロンを用いて引張速度200mm/分で引張破断強度を測定して得たヤング率が1MPa以下となるように設定することを特徴とするカバーテープの製造方法。
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