JP4598322B2 - ラッチ装置の伝達機構及びラッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のドアをラッチするドアロック装置等のラッチ装置の伝達機構及びラッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のようなドアロック装置としては、例えば本出願人によって提案され、特開平11−2054号公報に開示されたものがある。このドアロック装置では、図14に示すように、ドアハンドルのオープン操作によって押圧操作されるオープンロッド90と、回動動作するオープンレバー91と、図示しないラッチ機構のポールをラッチから係脱させるオープンリンク92とが、ブッシュ93によって連結されている。そして、ドアハンドルをオープン操作するとオープンロッド90によってオープンレバー91が回動動作し、オープンリンク92が動作してポールをラッチから係脱する。なお、オープンレバー91は、図示しないスプリングによって復帰動作するように付勢されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ラッチ装置にも製造原価の低減が要求され、その部品点数及び組立工数の削減が要求されている。ところが、特開平11−002054号公報のドアロック装置では、これ以上部品点数を削減することができなかった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、より少ない部品点数で構成することができるラッチ装置の伝達機構及びラッチ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、基台に対し回動可能に支持された第1リンクと、前記第1リンクが一方向へ回動したときに復帰させるように該第1リンクを付勢する付勢部材と、前記第1リンクに対し回動可能に連結されるとともに、該第1リンクの回動に伴って運動動作するように設けられた第2リンクとからなり、前記基台、第1リンク及び第2リンクを構成要素とし、該第1リンクと第2リンクとの間で運動を伝達するリンク装置が形成されているラッチ装置の伝達機構において、前記第1リンクは、ストライカをラッチするラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えるために操作されるラッチ解除手段によって回動されるオープンレバーであり、前記第2リンクは、前記ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えるための運動動作を行うオープンリンクであり、前記オープンレバーとオープンリンクとは、その一方に設けられた連結孔にその他方に設けられた係止部が挿入され、該係止部が前記連結孔の挿通先側で前記付勢部材の可動部分に係止されることで連結されていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ラッチ機構において運動を伝達するリンク機構の構成要素であって、互いに連結されて揺動動作する第1リンクと第2リンクとが、第1リンクを復帰動作させる付勢部材の可動部分によって連結されているので、ブッシュ等の専用の連結部材が不用となる。従って、連結部材の分だけ部品点数が少なくなる。
【0008】
また、ラッチ解除手段によってオープンレバーが回動され、オープンリンクが運動動作することでラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えられる。また、オープンレバー及びオープンリンクのいずれか一方に設けられた連結孔に対し、他方に設けられた係止部が付勢部材の可動部分によって係止されることで連結されるので、連結部の構成が簡単となる。従って、加工工数及び組立工数をできるだけ少なくすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記オープンリンクは、前記基台に設けた係合部が係合する案内路を備え、その運動動作に伴って前記案内路を前記係合部が移動するように前記基台に連結されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、オープンレバーの回動に伴ってオープンリンクと係合部との連結位置が変化してオープンリンクが直線的に移動動作するので、オープンレバーから離れた位置に設けた回動部材をオープンリンクの移動動作によって回動動作させることができる。従って、ラッチ機構をラッチ状態とアンラッチ状態とで切り換えるために設ける回動部材と、オープンレバーとを、伝達機構の大型化を招くことなく離れた位置で連動させることができる。このため、大型化を招くことなくラッチ装置の設計自由度を向上することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記係合部は、前記オープンレバーの回動軸線に平行で、該オープンレバーと前記オープンリンクとの連結部を回動中心とする回動軸線回りに該オープンリンクを回動させるように設けられたものであって、該オープンリンクの運動動作によって前記ラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切り換わらないようにするロック機構の構成要素に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加えて、オープンリンクが、ラッチ機構をラッチ状態で保持するためのロック機構によってオープンレバーとの連結部を回動中心として回動動作するので、直線的な移動動作を行うオープンリンクが、ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えるために設ける回動部材を回動させないようにすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記オープンレバーには、その回転軸方向において前記係止部が前記連結孔に挿通する向きと反対向きに延出する連結部が設けられ、該連結部には、開操作されるドアハンドルに連動してオープンレバーを開動作させるオープンロッドが連結されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、車両の車種に応じてラッチ装置とドアハンドルの位置関係が異なり、オープンレバーに連結されたオープンロッドの姿勢が異なっても、ドア開放に伴う伝達機構の動作時に、オープンロッドの連結側端部が付勢部材の可動部分に干渉することがない。従って、ラッチ装置とドアハンドルとの位置関係が異なるより多種類の車種に対して、動作上の不具合を招くことなく使用することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記連結部には、前記オープンロッドの一端が組み付けられるときに弾性変形によってオープンロッドの一端を係止する連結部材が設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の作用に加えて、車両の製造時に、ドアに組み付けたラッチ装置に対し、オープンロッドを容易に連結することができる。また、車両の使用中には、ドアの開閉に伴って大きな衝撃が加わっても、オープンロッドがオープンレバーから外れ難い。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記付勢部材は、ねじりコイルばねであって、該ねじりコイルばねは、前記オープンレバーの回動軸線がそのコイル部の内側に位置するように前記基台に支持され、前記可動部分はコイルばねの自由端であって、該自由端は前記係止部に係止されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、オープンレバーの回動軸線がコイル部の内側に位置するように基台に支持されたねじりコイルばねがオープンレバーを復帰動作させるとともにオープンレバーにオープンリンクを連結する。このため、ねじりコイルばね及びオープンレバーが回動軸線方向視で重なるように配置される。従って、伝達機構をより小さい空間内に設けることができ、ラッチ装置の小型化を図ることができる。また、金属ばね鋼で形成されたねじりコイルばねを用いた場合には、合成樹脂製の連結部材によってオープンレバーとオープンリンクとを連結する構成に比較して耐久性が向上するので、長期間に渡って使用される場合であっても、オープンレバーからオープンリンクが外れ難い。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記ねじりコイルばねは、前記自由端が前記オープンレバーの回動軸線方向にも前記オープンリンクを付勢してオープンレバーに押圧させるように設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明の作用に加えて、ねじりコイルばねの回転軸方向の付勢力によってオープンリンクの一端がオープンレバーに対してより強固に支持されるので、ラッチ解除のための動作時、あるいは、伝達機構に衝撃が加わったときにオープンリンクががたつき難く、異音が発生し難い。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のラッチ装置の伝達機構と、前記ラッチ機構とを備え、前記ラッチ機構は、ラッチ部材及びポールを備え、前記ラッチ部材は、前記基台に回動可能に支持され、ラッチ位置で前記ストライカを係止するとともにアンラッチ位置で解放するものであり、前記ポールは、前記基台に回動可能に支持され、係合位置で前記ラッチ部材を前記ラッチ位置に保持するとともに非係合位置で解放するものであって、前記オープンリンクは、前記ポールと同一回動軸線に支持されたオープンリフトレバーを回動動作させることで該ポールを前記係合位置から非係合位置に回動動作させることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、ラッチ解除手段によってオープンレバーが回動され、オープンリンクが運動動作することでラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える伝達機構を備えたラッチ装置において、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明の作用を得ることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のラッチ装置の伝達機構と、前記ラッチ機構とを備え、前記ラッチ機構は、ラッチ部材及びポールを備え、前記ラッチ部材は、前記基台に回動可能に支持され、ラッチ位置で前記ストライカを係止するとともにアンラッチ位置で解放するものであり、前記ポールは、前記基台に回動可能に支持され、係合位置で前記ラッチ部材を前記ラッチ位置に保持するとともに非係合位置で解放するものであって、前記オープンリンクは、前記ポールと同一回動軸線に支持されたオープンリフトレバーを回動動作させることで該ポールを前記係合位置から非係合位置に回動動作させるラッチ装置であって、前記連結孔は前記オープンリンクに設けられ、前記係止部は前記オープンレバーに設けられたものであって、前記連結孔に対し、前記係止部が前記基台側から外向きに挿入されるようにオープンレバー及びオープンリンクが設けられ、該係止部に対し、前記自由端が前記オープンリンクの外側で係合されるようにねじりコイルばねが設けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、ラッチ解除手段によってオープンレバーが回動され、オープンリンクが運動動作することでラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える伝達機構を備えたラッチ装置において、請求項6又は請求項7に記載の発明の作用効果を得ることができる。また、ラッチ装置の製造時に、基台を所定の作業台の上に固定した状態で、オープンリンク及び付勢部材を基台に組み付けることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両用のドアロック装置に具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0028】
図2,3に示すラッチ装置としてのドアロック装置10は車両のドア内に設置され、車体側に設けられた図示しないストライカをラッチすることでドアを閉鎖状態に保持する。ドアロック装置10は、ドアに固定される基台としてのハウジング11を備え、図3に示すハウジング11の表側にはストライカを収容する収容溝12を備えている。なお、ハウジング11は合成樹脂で一体成形されたベースハウジング11aと、金属板材からプレス成形されたベースプレート11bとが一体化されたものである。
【0029】
ハウジング11には、図2に示すように、収容溝12の近傍にラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、ラッチ部材13、ねじりコイルばね14、ポール15及びねじりコイルばね16とを備えている。
【0030】
ラッチ部材13は、図2において収容溝12の上方に設けられた回動軸17によって回動可能に支持されている。ラッチ部材13は、収容溝12内に収容されたストライカを図2に示すラッチ位置で係止するとともに、時計方向にある角度だけ回動したアンラッチ位置で解放する。そして、ラッチ部材13は、ねじりコイルばね14によって、アンラッチ位置に配置されるように付勢されている。
【0031】
また、ポール15は、図2において収容溝12の下方に設けられた回動軸18によって回動可能に支持されている。ポール15は、図2に示す係合位置において、ラッチ部材13をラッチ位置からアンラッチ位置側に回動しないように規制するとともに、時計方向にある角度だけ回動した非係合位置でラッチ部材13がラッチ位置からアンラッチ位置側への回動を許容する。そして、ポール15は、ねじりコイルばね16によって係合位置に配置されるように付勢されている。
【0032】
一方、図3に示すように、ハウジング11の裏側には、図示しない車外側ドアハンドルまたは車内側ドアハンドルが操作されることで作動し、ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換える解放機構が設けられている。解放機構には、車外側ドアハンドルが操作されることで下方に押し下げられるオープンロッド19と、車内側ドアハンドルが操作されることで上方に引き上げられるオープンワイヤ20とが接続されている。解放機構は、第1リンクとしてのオープンレバー21、付勢部材としてのねじりコイルばね22、第2リンクとしてのオープンリンク23及びオープンリフトレバー24を備える。本実施形態では、オープンロッド19及びオープンワイヤ20が、それぞれラッチ解除手段の構成要素である。
【0033】
オープンレバー21はハウジング11に回動可能に支持され、図3の左端部にはオープンロッド19が連結され、同じく右端部にはオープンワイヤ20が連結されている。オープンレバー21は、オープンロッド19が押し下げられるか、または、オープンワイヤ20が引き上げられることで図3に示す状態から反時計方向に回動動作する。
【0034】
詳述すると、オープンレバー21は金属板材から形成され、図1,4,5に示すように、ハウジング11に固定された基板25と、ハウジング11に組み付けられた軸体26とによって回動可能に支持されている。図5に示すように、基板25には、バーリング加工によって円環状の凸部27が形成され、凸部27の中央には孔27aが設けられている。一方、ハウジング11には、孔27aに対応する位置に円筒状の軸部28が一体に形成され、軸部28の中央には孔29が形成されている。なお、凸部27に設けられた孔27aと、軸部28に設けられた孔29とはほぼ同径である。そして、オープンレバー21は、その中心孔21aが凸部27に嵌合した状態で、凸部27の孔27aを挿通して軸部28の孔29に嵌合した軸体26によって固定されている。なお、軸体26は、合成樹脂で形成されている。
【0035】
また、オープンレバー21の図3における左端部には、図6に示すように、オープンリンク23を連結するための連結孔30が設けられている。連結孔30は、一対の扇状の開口部からなり、両開口部は要部を共有するとともに同要部を中心とする点対称に配置されている。
【0036】
さらに、オープンレバー21の左端部には、オープンロッド19を連結するための連結部39が設けられている。連結部39は、オープンレバー21の回動軸線方向において、後述する係止部31が連結孔30に挿通する向きと反対向きに延出するように設けられている。連結部39には、オープンロッド19のL字状の先端部が係止される連結孔39aが設けられている。
【0037】
ねじりコイルばね22は、図1〜図5に示すように、そのコイル部22aが軸部28に挿着され、その固定端22bが、ハウジング11に設けられた段差部周面に当接されている。即ち、ねじりコイルばね22は、オープンレバー21の回動軸線がコイル部22aの内側に位置するようにハウジング11に支持されている。また、その可動部分としての自由端22cは、オープンリンク23側に延出されている。そして、ねじりコイルばね22は、図3で反時計方向に回動動作したオープンレバー21を復帰動作させるように付勢している。
【0038】
オープンリンク23は、図3に示すように、その上端がオープンレバー21に連結されている。オープンリンク23は、オープンレバー21との連結部を回動中心として、オープンレバー21の回動軸線に平行な回動軸線回りに回動可能な状態で連結され、オープンレバー21の回動動作に伴って図3に示す状態から下方に直線的に移動動作する。
【0039】
詳述すると、オープンリンク23は金属板材から形成され、図6に示すように、連結部には係止部31が形成され、係止部31には切り欠き部31aが設けられている。係止部31は、図6,7に示すように、平板片状に形成され、前記連結孔30の中央部に挿入されている。係止部31は、扇状の両開口部の要部で厚さ方向に挟持されるとともに、両開口部の周面で幅方向に移動規制された状態で連結孔30に挿入されている。切り欠き部31aは、オープンレバー21の回動軸線に直交する向きに延びるように形成され、連結孔30の挿通先側に配置されている。切り欠き部31aには、ねじりコイルばね22の自由端22cの先端部が係止されている。そして、オープンリンク23は、連結孔30に挿入された係止部31が自由端22cに係止されることでオープンレバー21に連結されている。さらに、オープンリンク23は、一対の扇状の開口部からなる連結孔30内で係止部31が回動可能であることで、連結部を回動中心として相対回動可能にオープンレバー21に連結されている。
【0040】
また、図3に示すように、オープンリンク23の下部は2つの分岐部32,33に分岐され、一方の分岐部32には図3で略上下方向に延びる案内路としての長孔32aが形成され、他方の分岐部33の下端には係合部34が形成されている。
【0041】
オープンリフトレバー24は、ポール15と共に一体回動するように回動軸18に固定され、オープンリンク23の移動動作によって図3に示す状態から反時計方向にある角度だけ回動動作する。詳述すると、オープンリフトレバー24は金属板材から形成され、回動軸18の径方向に延出された係合部35を備えている。係合部35は、図3で略左向きに延出するように形成され、オープンリンク23が下方に移動動作したときに、係合部34がその先端部に係合する。そして、オープンリフトレバー24は、下方に移動動作したオープンリンク23の係合部34が係合部35を下方に押圧することで図3に示す状態から反時計方向に回動動作される。
【0042】
また、図2,3に示すように、ハウジング11の裏側には、解放機構の解放動作によってラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切り換わらないようにするロック機構の構成要素であるロックレバー36が設けられている。ロック機構は、図示しないキーシリンダ又はロックノブがロック操作されたときにロックレバー36を動作させる図示しない伝達機構を備え、伝達機構の構成要素であって押し下げ操作または引き上げ操作されるロックワイヤ37がロックレバー36に連結されている。
【0043】
ロックレバー36はハウジング11に回動可能に支持され、図3における左端部にロックワイヤ37が連結されている。また、ロックレバー36には、オープンリンク23の長孔32aに係合する係合部としてのスライダ部38が設けられている。スライダ部38は、オープンレバー21の回動動作によってオープンリンク23が下方に移動動作するときに、分岐部32の長孔32aに沿って相対移動することでオープンリンク23の移動動作を規制する。本実施形態では、ハウジング11、オープンレバー21、オープンリンク23及びスライダ部38がリンク装置(揺りスライダクランク機構)を構成する。
【0044】
また、スライダ部38は、ロックレバー36の回動動作に伴いその回動軸線を中心として円運動する。そして、スライダ部38は、オープンレバー21の回動軸線に平行で、オープンレバー21とオープンリンク23との連結部を回動中心とする回動軸線回りにオープンリンク23を図3に示す状態から反時計回りに回動させる。このとき、ロックレバー36は、オープンリンク23の係合部34がオープンリフトレバー24の係合部35を押圧しないようにし、オープンリフトレバー24を回動動作させないようにする。
【0045】
以上のように構成されたドアロック装置10は以下のように動作する。
ドアを開けているときには、ラッチ部材13はねじりコイルばね14によってアンラッチ位置に配置されている。ドアを閉めると、収容溝12に入ってくるストライカにラッチ部材13が押圧されてアンラッチ位置からラッチ位置まで回動動作する。このとき、ポール15は、ラッチ部材13に押圧されて係合位置から非係合位置まで回動してラッチ部材13の回動を許容する。そして、ラッチ位置に配置されたラッチ部材13はポール15によってアンラッチ位置側への回動が規制されラッチ位置に保持される。その結果、ストライカがラッチ部材13によって係止された状態となり、ドアが閉状態でラッチされる。
【0046】
ドアを閉めている状態で車外側ドアハンドルを操作すると、オープンロッド19が下方に押し下げられてオープンレバー21がねじりコイルばね22の付勢力に抗して回動動作し、オープンリンク23が下方に移動動作する。このとき、オープンリンク23は、長孔32aがスライダ部38に規制されることで直線的に移動動作する。そして、オープンリンク23の係合部34が、係合部35を下方に押し下げてオープンリフトレバー24を図3における反時計方向に回動させ、ポール15を係合位置から非係合位置まで回動させる。すると、ポール15がラッチ部材13の回動をラッチ位置で規制しなくなり、ねじりコイルばね14の付勢力によってラッチ部材13がアンラッチ位置まで回動する。その結果、ストライカがラッチ部材13によって係止されない状態となり、ドアが閉状態でラッチされなくなって開放可能となる。
【0047】
一方、ドアを閉めている状態でドアロックをアンロック状態からロック状態に切り換えると、ロックレバー36が図3で時計方向に回動され、スライダ部38がオープンリンク23を連結部側を回動中心として図3で反時計方向にある角度だけ回動した状態に配置される。この状態で車外側又は車内側ドアハンドルを操作すると、下方に移動動作したオープンリンク23の係合部34が係合部35に係合せず、オープンリフトレバー24が回動動作しなくなる。このため、ポール15が係合位置に保持されたままとなってラッチ部材13がラッチ位置に保持されたままとなる。その結果、ストライカがラッチ部材13に係止されたままとなり、ドアハンドルの操作によるドアの開放が禁止される。
【0048】
以上詳述した本実施形態のドアロック装置によれば、以下に記載する各効果を得ることができる。
(1) 車外側ドアハンドルからラッチ機構に運動を伝達するリンク装置の構成要素であって、互いに連結されて揺動動作するオープンレバー21とオープンリンク23とが、オープンレバー21を復帰動作させるねじりコイルばね22の自由端22cによって連結されているので、従来の連結機構のように、ブッシュ等の専用の連結部材を必要としない。従って、連結部材の分だけ部品点数及び組立工数が少なくなるので、より少ない部品点数及び組立工数で構成することができる。
【0049】
また、従来技術のように、合成樹脂製のブッシュ93を用いて連結する構成と異なり、耐久性が向上するので、長期間に渡って使用される場合であっても、オープンレバー21からオープンリンク23が外れ難い。
【0050】
(2) オープンレバー21の回動に伴ってオープンリンク23とスライダ部38との連結位置が変化してオープンリンク23が直線的に移動動作するので、オープンレバー21から離れた位置に設けたオープンリフトレバー24を回動動作させることができる。従って、ラッチ機構を切り換えるためのオープンリフトレバー24と、オープンレバー21とを、伝達機構の大型化を招くことなく離れた位置で連動させることができるので、大型化を招くことなくドアロック装置10の設計自由度を向上することができる。
【0051】
(3) オープンリンク23が、ラッチ機構をラッチ状態でロックするためのロック機構によってオープンレバー21との連結部を回動中心として回動動作するので、直線的な動作を行うオープンリンク23がオープンリフトレバー24を回動動作させないようにすることができる。
【0052】
(4) オープンレバー21の連結孔30に挿入されたオープンリンク23の係止部31が、ねじりコイルばね22の自由端22cによって係止されることで連結されるので、連結部の構成が簡単となる。従って、加工工数及び組立工数をできるだけ少なくすることができる。
【0053】
(5) ねじりコイルばね22は、オープンレバー21の回動軸線がコイル部22aの内側に位置するようにハウジング11に支持されているので、ねじりコイルばね22及びオープンレバー21が回動軸線方向視で重なるように配置される。従って、ねじりコイルばね22の代わりに引っ張りコイルばねを用いた場合や、ねじりコイルばね22をオープンレバー21の回動軸線がコイル部22aの内側に位置しないように設けた場合に比較して、伝達機構を小さい空間内に設けることができる。
【0054】
(6) ねじりコイルばね22の自由端22cが、オープンレバー21の回動軸線に直交する向きに移動するように設けられ、この自由端22cが、同回動軸線に直交する向きに延びる切り欠き部31aに係合されている。このため、オープンレバー21が回動動作するときに自由端22c又は係止部31に無理な力が加わることがない。従って、ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えるときに伝達機構で異音が発生し難いため、品質感を向上することができる。
【0055】
(7) オープンリンク23の係止部31が、一対の扇状の開口部からなる連結孔30内で支持されているので、連結孔30及び係止部31は、その各回動中心がずれることなく円滑に回動する。従って、加工が容易な連結孔30及び係止部31によってオープンレバー21及びオープンリンク23を円滑に相対回動するように連結することができるので、加工工数の増大を招かない。
【0056】
(8) ねじりコイルばね22の自由端22cをねじれ変形させて切り欠き部31aに掛けるだけで係止部31に係止させることができるので、ねじりコイルばねの組み付けと、オープンレバー21及びオープンリンク23の連結とを容易に行うことができる。
【0057】
(9) オープンレバー21に設けられた連結部39は、その回転軸線方向においてオープンリンク23の係止部31が連結孔30に挿通する向きと反対向きに延出されている。このため、車種に応じたドアロック装置10とドアハンドルとの位置関係の違いにより、連結部39に連結されたオープンロッド19の姿勢が異なっても、ドア開放に伴う解放機構の動作時に、連結部39に連結されたオープンロッド19の先端がねじりコイルばね22の自由端22cに干渉することがない。従って、ドアロック装置10とドアハンドルとの位置関係が異なるより多種類の車種に対して、動作上の不具合を招くことなく使用することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明を車両用のドアロック装置に具体化した第2実施形態を図8〜図13に従って説明する。尚、本実施形態は、前記第1実施形態における解放機構を変更したことが第1実施形態と基本的に異なる。従って、第1実施形態と同じその他の構成については符号を同じにしてその説明を省略し、解放機構のみについて詳述する。
【0059】
図8に示すように、本実施形態のラッチ装置としてのドアロック装置40のハウジング11には、ベースプレート11bが設けられた側と反対側に、金属板材からプレス成形されたブラケット41が固定され、このブラケット41にラッチ機構の解放機構が設けられている。本実施形態の解放機構は、オープンレバー42、オープンリンク43、ねじりコイルばね44及びオープンリフトレバー45から構成されている。そして、本実施形態では、ハウジング11及びブラケット41が基台を構成する。また、ブラケット41(ハウジング11)、第1リンクとしてのオープンレバー42、第2リンクとしてのオープンリンク43、及び、スライダ部38がリンク装置を構成する。
【0060】
オープンレバー42は金属板材からプレス成形され、図9〜図12に示すように、ブラケット41に支持されたピン46に揺動可能に支持されている。ピン46は、ブラケット41に設けられた図示しない孔に嵌合された軸部46a(図10に図示)と、この軸部46aより大径の頭部46bとを備え、ブラケット41と頭部46bとの間でオープンレバー42を挟持した状態で支持する。このオープンレバー42の両端部には、図示しない車内側ドアハンドルに連結されたオープンロッドと、同じく車外側ドアハンドルに連結されたオープンロッドRとがそれぞれ連結される。そして、各ドアハンドルが開放操作されることで揺動動作する。
【0061】
図12に示すように、オープンレバー42には、その一端に第1規制部47及び操作部48が、その中央部に第2規制部49が、また、その他端に係止部50及び連結部51がそれぞれ一体形成されている。
【0062】
第1規制部47は、図11に示すように、オープンレバー42が矢印A向きに回動するときに、ブラケット41に設けられた第1当接部41aに当接する位置でオープンレバー42の回動を規制するように形成されている。この位置が、オープンレバー42の原位置となる。
【0063】
操作部48は、図8,9,11に示すように、ブラケット41に設けられた起立部41bに揺動可能に支持されたサブオープンレバー52によって操作される。サブオープンレバー52には、車内側ドアハンドルに連結されたオープンロッドが図示しない部材を介して連結される。そして、車内側ドアハンドルが開放操作されてオープンロッドが引っ張り操作されると、サブオープンレバー52が矢印B向きに回動動作する。このとき、サブオープンレバー52の操作部52aがオープンレバー42の操作部48に係合して原位置から矢印Aと逆向きに回動させる。この動作がオープンレバー42の開動作となる。本実施形態では、サブオープンレバー52が、ラッチ解除手段の構成要素である。
【0064】
第2規制部49は、図10〜図12に示すように、オープンレバー42の中央部からその回動軸線方向でハウジング11側に延出されている。第2規制部49は、オープンレバー42が原位置から開動作するときに、ブラケット41に設けられた第2当接部41c(図10に図示)に当接する位置でオープンレバー42の開動作を規制する。即ち、この位置がオープンレバー42が開動作の終了位置であって、オープンレバー42は原位置から終了位置まで回動する開動作と、反対に終了位置から原位置まで回動する復帰動作とを行う。
【0065】
また、係止部50は、オープンレバー42にオープンリンク43を揺動可能に連結するために設けられている。図12に示すように、係止部50は、オープンレバー42の回動軸線に平行に、かつ、オープンリンク43が配置される側に延出するように折り曲げ形成されている。係止部50には、同回動軸線に直交する方向に延びる切り欠き部50aが切り欠き形成されている。すなわち、図8,11に示すように、係止部50は、ハウジング11側から外向きに延出するように設けられている。
【0066】
また、連結部51は、車外側ドアハンドルに連結されたオープンロッドRをオープンレバー42に連結するために設けられている。オープンロッドRは、車外側ドアハンドルが開放操作されることによって移動動作してオープンレバー42を開動作させる。図12に示すように、連結部51は、オープンレバー42の回動軸線にほぼ平行に、かつ、係止部50が延出する向きと反対向きに延出するように折り曲げ形成されている。連結部51の先端部には、オープンロッドRを係止する連結部材としてのオープンレバークリップ53を固定するための一対の切り欠き部51aが形成されている。すなわち、図8〜図11に示すように、連結部51は、オープンレバー42からハウジング11側に延出するように設けられている。なお、オープンロッドRも、ラッチ解除手段の構成要素である。
【0067】
また、図8〜図12に示すように、オープンレバー42の中央部には、その回動軸線方向で係止部50と同じ外向きに延出するばね係止片54が折り曲げ形成されている。ばね係止片54は、前記ねじりコイルばね44を係止してブラケット41に固定する。
【0068】
オープンレバークリップ(以下、単にクリップという。)53は合成樹脂によって一体成形され、完成後のドアロック装置40に対し、車種毎に用意される多種類のオープンロッドRを連結できるように形成されている。図12に示すように、オープンロッドRの一端には、クリップ53が連結される連結環R1が設けられている。この連結環R1には、長孔状の連結孔R2が設けられている。
【0069】
クリップ53は、図13(a)〜(d)に示すように、略円盤状の基部55と、略四角体状の係合部56とが、軸部57によって連結されることで形成されている。また、クリップ53には、その中心軸線方向に貫通する孔58が設けられている。そして、図10に示すように、クリップ53は、孔58に連結部51が挿通され、この連結部51の先端部が両切り欠き部51aの部位でねじられて孔58の挿通先で係止されることでオープンレバー42に組み付け固定される。
【0070】
係合部56には、その幅方向での両側面に、オープンロッドRを係止するための係止部59が対をなすように一体形成されている。図10に示すように、両係止部59は、オープンロッドRの連結孔R2に係合部56を嵌挿させたときに共に係合部56の内部に弾性的に没入し、連結環R1が係合部56と基部55の間に保持されるようにする。この状態で、軸部57に連結環R1が係合し、オープンロッドRが回動可能にオープンレバー42に連結される。
【0071】
オープンリンク43は、その一端がオープンレバー42の係止部50に対し回動可能に連結されている。図12に示すように、オープンリンク43の一端には、係止部50が挿入される連結孔60が設けられている。連結孔60は、一対の扇状の開口部からなり、両開口部は要部を共有するとともに要部を中心とする点対称に配置されている。また、各開口部の周面は同一の円周上に配置されている。図9,11に示すように、連結孔60は、扇状の両開口部の要部で係止部50をその厚さ方向で保持するとともに、両開口部の周面で係止部50をその幅方向に移動規制することで、係止部50をある角度範囲で相対回転可能に連結する。
また、切り欠き部50aは、連結孔60の挿通先に出るように形成されている。
【0072】
また、図8に示すように、オープンリンク43の他端には、オープンレバー42の開動作及び復帰動作に伴うオープンリンク43の回動時に、オープンリンク43の他端を支持するための案内路としての長孔61が設けられている。この長孔61には、ロックレバー36のスライダ部38が係合されている。さらに、オープンリンク43の中間部には、オープンレバー42の開動作に伴うオープンリンク43の動作時にオープンリフトレバー45を回動させ、ラッチ機構をラッチ状態から解除するための係合部62が折り曲げ形成されている。
【0073】
ねじりコイルばね44は金属ばね鋼で形成され、図8〜図11に示すように、そのコイル部44aがオープンレバー42のばね係止片54に係止され、その固定端44bがブラケット41のある部位に係止されている。そして、ねじりコイルばね44は、そのコイル部44aの内側にオープンレバー42の回動中心が位置するように、ばね係止片54によってブラケット41に保持されている。また、その可動部分としての自由端44cは、オープンリンク43の連結孔60に挿通された係止部50の切り欠き部50aに係止されている。即ち、ねじりコイルばね44は、係止部50に対し自由端44cがオープンリンク43の外側で係合するように、オープンレバー42の外側に設けられている。このように設けられたねじりコイルばね44は、オープンレバー42を矢印A方向に付勢して原位置に保持する。
【0074】
さらに、ねじりコイルばね44は、その自由端44cが、オープンレバー42の回転軸方向でハウジング11側(図11に示す矢印C向き)にオープンリンク43を付勢してオープンレバー42に押圧させた状態で保持するようにばね係止片54及びブラケット41に固定されている。これは、ばね係止片54によって、コイル部44aがハウジング11寄りに保持され、自由端44cが回動軸線方向に弾性変形した状態で係止部50に係止されていることによる。
【0075】
オープンリフトレバー45は、図8に示すように、ブラケット41を貫通して延出された回動軸18の一端に固定されている。オープンリフトレバー45は金属板材からプレス成形され、円板状の基部45aからオープンリンク43側に延出された係合部45bを備えている。係合部45bには、オープンレバー42の開動作に伴ってオープンリンク43が移動動作するときにオープンリンク43の係合部56が係合し、オープンリフトレバー45を矢印D向きに回動させる。そして、ラッチ位置にあるポール15をねじりコイルばね16の付勢力に抗してアンラッチ位置まで回動させる。
【0076】
以上のように構成されたドアロック装置は、前記第1実施形態のドアロック装置と同様に動作する。
以上詳述した本実施形態のドアロック装置40によれば、前記第1実施形態において(1)〜(8)に記載した各効果に加えて、以下に記載する各効果を得ることができる。
【0077】
(1) 金属ばね鋼からなるねじりコイルばね44の自由端44cがオープンレバー42の回動軸線方向にオープンリンク43を付勢してオープンレバー42に押圧させている。このため、ねじりコイルばね44の付勢力によってオープンリンク43の一端がオープンレバー42に対しより強固に支持されるので、ドアロック装置40が設けられたドアの開閉に伴う動作時、あるいは、開閉に伴う衝撃が加わったときにオープンリンク43ががたつき難く、異音が発生し難い。
【0078】
(2) オープンリンク43の連結孔60に対し、オープンレバー42の係止部50がハウジング11側から外向きに挿入されるようにオープンレバー42及びオープンリンク43がブラケット41上に設けられている。そして、係止部50の切り欠き部50aに対し、自由端44cがオープンリンク43の外側で係合するようにねじりコイルばね44が設けられている。
【0079】
このため、ドアロック装置10の製造時に、ハウジング11を所定の作業台の上に固定した状態で、オープンリンク23及びねじりコイルばね22をブラケット41に順に組み付けることができる。このため、前記第1実施形態のドアロック装置10よりも組立性が向上する。
【0080】
(3) オープンレバー42からハウジング11側に突出するように連結部51が設けられ、この連結部51に、車外側ドアハンドルに連結されたオープンロッドRが連結されている。このため、ハウジング11に対して解放機構が外向きにより出っ張らないので、ドアに内蔵されるガラスガイド等に干渉し難くなる。従って、ドアロック装置40を配置する位置が制約され難くなり、あるいは、搭載不能な車種が少なくなる。
【0081】
(4) オープンレバー42の一端に設けられた連結部51は、係止部50がオープンリンク43の連結孔60に挿通する向きと反対向きに延出されている。そして、この連結部51にオープンロッドRが連結されている。このため、ドアロック装置40を搭載する車両の車種に応じてドアロック装置40とドアハンドルとの位置関係が異なり、オープンレバー42に連結されるオープンロッドRの姿勢が異なっても、ドアの開放時にオープンロッドRの連結環R1が自由端44cに干渉することはない。従って、ドアロック装置40とドアハンドルとの位置関係が異なる多種類の車種に対して、動作上の不具合を招くことなく使用することができる。
【0082】
(5) 連結部51に組み付け固定された合成樹脂製のクリップ53が、オープンロッドRの組み付け時に弾性変形し、連結環R1を両係止部59が係止してオープンレバー42に連結する。このため、車両の製造時に、ドアに組み付けた完成品のドアロック装置40に対しオープンロッドRを容易に連結することができる。また、車両使用時には、ドアの開閉に伴って大きな衝撃が加わっても、オープンロッドRがオープンレバー42から外れ難い。
【0083】
次に、上記第1及び第2実施形態以外の実施形態を列挙する。
・ 上記第1実施形態で、ねじりコイルばね16の自由端22cに予め曲げくせを付け、この自由端22cがオープンリンク23の係止部31をオープンレバー21の回転軸方向にハウジング11側に引っ張る構成とする。このような構成では、オープンリンク23の一端がオープンレバー21に強固に支持されるので、ドアの開閉に伴う動作時、あるいは、開閉に伴う衝撃がドアロック装置10に加わったときにオープンリンク23ががたつき難く、異音が発生し難い。
【0084】
・ 上記第1実施形態では、スライダ部38を、ロックワイヤ37の引っ張り操作によって回動動作するロックレバー36に設けたが、直線動作するように設けたロック機構の構成要素に設けてもよい。第2実施形態についても同様である。
【0085】
・ 上記第1実施形態で、係止部31の切り欠き部31aに代えて設けた係止孔に自由端22cを係合させることで、オープンレバー21及びオープンリンク23を連結してもよい。第2実施形態についても同様である。
【0086】
・ 上記第1実施形態で、ねじりコイルばね22が、オープンレバー21の外側に設けられた構成とする。この場合にも、第1実施形態の各効果を得ることができる。
【0087】
・ 上記第1実施形態で、ねじりコイルばね22は、コイル部22aが軸部28の外側に配置された状態でハウジング11に支持されている構成とする。即ち、コイル部22aの内側にオープンレバー21の回動軸線が配置されない構成としてもよい。第2実施形態についても同様である。
【0088】
・ 上記第1実施形態では、付勢部材を、ねじりコイルばね22とし、その自由端22cでオープンレバー21及びオープンリンク23を連結したが、付勢部材を引っ張りコイルばねとし、その自由端で連結してもよい。第2実施形態についても同様である。
【0089】
・ 上記第1実施形態で、オープンリンクが、オープンリフトレバー24に対し相対回動可能に連結された構成とする。即ち、ロックレバー36を持たず、オープンレバーの開動作に伴うオープンリンクの動作が無効化されない構成であってもよい。第2実施形態についても同様である。
【0090】
・ 上記第1及び第2実施形態は、車両用のドアロック装置に具体化したが、その他例えば、車両用のフードラッチ、トランクリッドラッチ等に具体化してもよい。
【0091】
・ 車両用のラッチ装置に限らず、その他例えば、冷蔵庫、倉庫等のラッチ装置に具体化してもよい。
以下、前述した各実施形態から把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
【0092】
(1) 前記連結孔(30,60)は一対の扇状の開口部からなり、該両開口部は要部を共有するとともに要部を中心とする点対称に配置され、前記係止部(31,50)は平板片状に形成され、前記要部で厚さ方向に挟持されるとともに、前記両開口部の周面で幅方向に移動規制された状態で前記連結孔に挿入されていることを特徴とする。このような構成によれば、加工が容易な開口部及び係止部によって両リンクを円滑に相対回動するように連結することができるので、加工工数が殆ど増大しない。
【0093】
(2) 前記係止部(31,50)には、前記オープンレバー(21,42)の回動軸線にほぼ直交する向きに延びる切り欠き部(31a,50a)が形成され、前記ねじりコイルばね(22,44)の自由端(22c,44c)が該切り欠き部に係止されていることを特徴とする。このような構成によれば、ねじりコイルばねの組み付けと、両リンクの連結とを容易に行うことができる。
【0094】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、より少ない部品点数で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のドアロック装置における伝達機構の連結部を示す概略斜視図。
【図2】 ドアロック装置の概略正面図。
【図3】 同じく概略背面図。
【図4】 伝達機構の要部を示す概略斜視図。
【図5】 オープンレバーの支持部を示す概略断面図。
【図6】 オープンレバー及びリンクの連結部を示す概略分解斜視図。
【図7】 オープンレバー及びリンクの連結部を示す概略断面図。
【図8】 第2実施形態のドアロック装置の解放機構を示す概略斜視図。
【図9】 オープンレバー、オープンリンク及びねじりコイルばねを含む要部を示す概略斜視図。
【図10】 同じくラッチ機構側からみた要部を示す概略斜視図。
【図11】 同じく要部を示す概略斜視図。
【図12】 オープンレバー、オープンリンク及びオープンロッドの連結状態を示す概略分解斜視図。
【図13】 (a)オープンレバークリップを示す正面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく側面図、(d)は同じく背面図。
【図14】 従来のドアロック装置における伝達機構の連結部を示す概略分解斜視図。
【符号の説明】
10 ラッチ装置としてのドアロック装置
11 リンク装置及び基台を構成するハウジング
13 ラッチ機構を構成するラッチ部材
14 同じくねじりコイルばね
15 同じくポール
16 同じくねじりコイルばね
18 回動軸
19 ラッチ解除手段の構成要素としてのオープンロッド
20 同じくオープンワイヤ
21 リンク装置を構成する第1リンクとしてのオープンレバー
22 付勢部材としてのねじりコイルばね
22a コイル部
22c 可動部分としての自由端
23 リンク装置を構成する第2リンクとしてのオープンリンク
24 オープンリフトレバー
30 連結孔
31 係止部
32a 案内路としての長孔
36 ロック機構の構成要素としてのロッキングレバー
37 ロックワイヤ
38 リンク装置の構成する係合部としてのスライダ部
39 連結部
40 ドアロック装置
41 リンク装置及び基台を構成するブラケット
42 リンク装置を構成する第1リンクとしてのオープンレバー
43 同じく第2リンクとしてのオープンリンク
44 付勢部材としてのねじりコイルばね
44a コイル部
44c 可動部分としての自由端
45 オープンリフトレバー
50 係止部
50a 切り欠き部
51 連結部
52 ラッチ解除手段の構成要素としてのサブオープンレバー
53 連結部材としてのオープンレバークリップ
60 連結孔
61 案内路としての長孔
R オープンロッド
Claims (9)
- 基台に対し回動可能に支持された第1リンクと、
前記第1リンクが一方向へ回動したときに復帰させるように該第1リンクを付勢する付勢部材と、
前記第1リンクに対し回動可能に連結されるとともに、該第1リンクの回動に伴って運動動作するように設けられた第2リンクとを備え、
前記基台、第1リンク及び第2リンクを構成要素とし、該第1リンクと第2リンクとの間で運動を伝達するリンク装置が形成されているラッチ装置の伝達機構において、
前記第1リンクは、ストライカをラッチするラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えるために操作されるラッチ解除手段によって回動されるオープンレバーであり、
前記第2リンクは、前記ラッチ機構をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換えるための運動動作を行うオープンリンクであり、
前記オープンレバーとオープンリンクとは、その一方に設けられた連結孔にその他方に設けられた係止部が挿入され、該係止部が前記連結孔の挿通先側で前記付勢部材の可動部分に係止されることで連結されていることを特徴とするラッチ装置の伝達機構。 - 前記オープンリンクは、前記基台に設けた係合部が係合する案内路を備え、その運動動作に伴って前記案内路を前記係合部が移動するように前記基台に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のラッチ装置の伝達機構。
- 前記係合部は、前記オープンレバーの回動軸線に平行で、該オープンレバーと前記オープンリンクとの連結部を回動中心とする回動軸線回りに該オープンリンクを回動させるように設けられたものであって、該オープンリンクの運動動作によって前記ラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に切り換わらないようにするロック機構の構成要素に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のラッチ装置の伝達機構。
- 前記オープンレバーには、その回転軸方向において前記係止部が前記連結孔に挿通する向きと反対向きに延出する連結部が設けられ、
該連結部には、開操作されるドアハンドルに連動してオープンレバーを開動作させるオープンロッドが連結されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のラッチ装置の伝達機構。 - 前記連結部には、前記オープンロッドの一端が組み付けられるときに弾性変形によってオープンロッドの一端を係止する連結部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のラッチ装置の伝達機構。
- 前記付勢部材は、ねじりコイルばねであって、
該ねじりコイルばねは、前記オープンレバーの回動軸線がそのコイル部の内側に位置するように前記基台に支持され、
前記可動部分はコイルばねの自由端であって、該自由端は前記係止部に係止されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のラッチ装置の伝達機構。 - 前記ねじりコイルばねは、前記自由端が前記オープンレバーの回動軸線方向にも前記オープンリンクを付勢してオープンレバーに押圧させるように設けられていることを特徴とする請求項6に記載のラッチ装置の伝達機構。
- 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のラッチ装置の伝達機構と、前記ラッチ機構とを備え、
前記ラッチ機構は、ラッチ部材及びポールを備え、
前記ラッチ部材は、前記基台に回動可能に支持され、ラッチ位置で前記ストライカを係止するとともにアンラッチ位置で解放するものであり、
前記ポールは、前記基台に回動可能に支持され、係合位置で前記ラッチ部材を前記ラッチ位置に保持するとともに非係合位置で解放するものであって、
前記オープンリンクは、前記ポールと同一回動軸線に支持されたオープンリフトレバーを回動動作させることで該ポールを前記係合位置から非係合位置に回動動作させることを特徴とするラッチ装置。 - 請求項6又は請求項7に記載のラッチ装置の伝達機構と、前記ラッチ機構とを備え、
前記ラッチ機構は、ラッチ部材及びポールを備え、
前記ラッチ部材は、前記基台に回動可能に支持され、ラッチ位置で前記ストライカを係止するとともにアンラッチ位置で解放するものであり、
前記ポールは、前記基台に回動可能に支持され、係合位置で前記ラッチ部材を前記ラッチ位置に保持するとともに非係合位置で解放するものであって、
前記オープンリンクは、前記ポールと同一回動軸線に支持されたオープンリフトレバーを回動動作させることで該ポールを前記係合位置から非係合位置に回動動作させるラッチ装置であって、
前記連結孔は前記オープンリンクに設けられ、前記係止部は前記オープンレバーに設けられたものであって、
前記連結孔に対し、前記係止部が前記基台側から外向きに挿入されるようにオープンレバー及びオープンリンクが設けられ、
該係止部に対し、前記自由端が前記オープンリンクの外側で係合されるようにねじりコイルばねが設けられていることを特徴とするラッチ装置。
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