JP4597778B2 - ホワイトボード - Google Patents

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Description

本発明は、ホワイトボードに関し、さらに具体的には、映写スクリーンとしての機能を併せ持つホワイトボードに関する。
従来から、いわゆるホワイトボードは、講義や会議等の場で、文字や図形を容易に書き込んだり、消したりすることができる道具として、かつての黒板に代わって多用されていた。一方で、講義や会議等の場では、近年、パーソナルコンピュータの普及により、これを用いて予め準備された画像等を用いて説明などをすることが多く、これに伴い講義室や会議室には、前記ホワイトボードとは別に映写スクリーンも必要となることが多い。
しかしながら、両者とも頻繁に用いられているにも関わらず、これらは別個のものであるため、いつでも使えるように両者を常備しておくことは部屋のスペースの関係上で問題があった。
そこで、現在では、上記問題を解決するためにホワイトボードに映写スクリーンとしての機能を持たせる開発が進められている(特許文献1)。
特開平11−15078号公報
しかしながら、ホワイトボードは元来、フェルトペンなどで書いた文字を消しやすいように作られているため、その表面は平滑で光沢を有しており、そこに画像を映写しようとすると、反射が強くて見えづらいといった問題があった。
この問題を解決するための方法としては、ホワイトボードの表面にいわゆるマット材を含有する層を設けることでホワイトボード表面を粗くし、これにより反射を抑えることが考えられるが、当該方法を採用すると、本来の使用態様であるホワイトボードとして使用する際に、フェルトペン等で書いた文字のインクがホワイトボード表面のマット材の細部に入り込んでしまい、文字が消えにくいといった問題が生じてしまう。
本発明は、このような状況においてなされたものであり、ホワイトボードでありながら、画像を映写することが可能なスクリーンとしての機能をも併せ持つ新規なホワイトボードを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第一の発明は、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを有するホワイトボードであって、前記着色層上には透明粒子を含有する光拡散層が設けられていることを特徴とする。
上記発明にあっては、前記光拡散層に含有される透明粒子が、平均粒径の異なる2種以上の透明粒子であってもよい。
またこの場合に、透明粒子の平均粒径は2種類であり、一方の透明粒子の平均粒径が5〜10μmであり、他方の平均粒径が15〜25μmであってもよく、さらに、前記光拡散層全体に対する、前記2種類の透明粒子の合計の含有率が5〜20%であり、前記2種類の透明粒子の比率が、平均粒径5〜10μmの透明粒子:平均粒径15〜25μmの透明粒子=3:7〜7:3であってもよい。
また、上記発明にあっては、前記光拡散層の厚さが、3〜8μmであってもよい。
さらにまた、上記発明にあっては、前記着色層と前記光拡散層の間にはパール顔料を含有する光反射層が所定のパターンで形成されていてもよい。
また、上記発明にあっては、前記パール顔料の粒径が、2〜25μmであり、前記光反射層の厚さが、1〜2μmであり、さらに、前記着色層の厚さが、20〜40μmであってもよい。
本発明のホワイトボードによれば、基板および着色層に加えて、透明粒子を含有する光拡散層が設けられているので、映写スクリーンとしてこれを用いた場合であっても、その表面の透明粒子それ自体によって適度に光を拡散せしめることができ、その結果、蛍光灯などの写り込みを防止することができるとともに、防眩性をも向上することができる。また、本発明のホワイトボードは、マット材を用いて単純にその表面に凹凸を付けることで光の反射を防止するのではなく、適度なカーブを有する透明粒子を用い、当該透明粒子自体によって光を拡散することにより反射を抑えているので、当該ホワイトボードの表面に記載された文字も容易に消去することができる。そして、その結果、映写スクリーンとホワイトボードを別個に準備する必要がなくなる。
以下に、本発明のホワイトボードについて、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明のホワイトボードの層構成を説明するための概略断面図である。
本発明のホワイトボード1は、基板2と、着色層3と、透明粒子4a、4bを含有する光拡散層4とをこの順で積層することにより構成されている。
以下に、本発明のホワイトボードを構成する各層毎に説明する。
基板
基板2は、ホワイトボード1を形成するためのいわば土台として機能するものであり、この機能を果たすことができればよく、特に限定されることはない。基板2の材質としては、各種鋼板(亜鉛メッキ鋼板やステンレス鋼板など)や木板、さらには各種樹脂板などを挙げることができ、また、これらの厚さについても特に限定されることはなく、例えば、0.2〜3.0mm程度とすればよい。
着色層
着色層3は、前記基板2上に形成される薄層であり、前記基板2を所定の色に着色することでホワイトボートとしての最低限の機能、つまりフォルトペンなどで文字等を記入し、かつその文字を認識することができる機能を付与するためのものである。
ここで、「ホワイトボード」なる普通名称からも明らかなように、通常の場合、ホワイトボード1は白色を呈しているが、これは、前記何らかの基板2表面に着色層3としての白色層が形成されていることに起因している。
本発明においては、着色層3の色を特に限定することはなく、フェルトペンの色(つまり記入する文字等の色)との関係で、白色以外の色を選択してもよい。しかしながら、映写スクリーンとして用いることを考慮すると、暗色(黒や青色)は好ましくなく、白や薄い灰色などの明色が好適である。
当該着色層3を基板2上に形成する方法についても、本発明は特に限定することはなく、従来公知の方法、例えば、着色塗料を塗布するなどして任意に形成すればよい。また、着色層3の厚さについても特に限定されることはなく、例えば、20〜40μm程度としてもよい。
またさらに、当該着色層3は、必ずしも単一層である必要はなく、白色に深みを出すために異なる色に着色された層を幾層かに重ねてもよく、また、その表面に電子線硬化型(EB)樹脂や紫外線硬化型(UV)樹脂を塗布することで、強度を持たせるようにしてもよい。EB樹脂としては、例えば、オリゴポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。なお、着色層3が複数層からなるものについては図示しない。
光拡散層
光拡散層4は、前記着色層3上に設けられる層であり、ホワイトボード1の表面における光の反射を調整し、ホワイトボード1を映写スクリーンとしても機能させるために設けられる層である。
図1に示すように、この光拡散層4は、樹脂4c中に透明粒子(4a、4b)を含有(分散)せしめることにより構成されている。このように透明粒子を用いることで、ホワイトボード1の表面に滑らかな幾何学的凹凸を与えることができ、当該凹凸によって光の反射を調整することができる。
光拡散層4を構成する樹脂4cは、透明粒子(4a、4b)を保持・固定しておく役割を有しており、従って当該役割を果たすことができる樹脂であれば、特に限定されることはなく、適宜選択して用いることができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂等を挙げることができる。また、ホワイトボード本来の機能を考慮すると、前述した着色層3の色が当該光拡散層4によって変化してしまうことは好ましくなく、従って当該光拡散層4を構成する樹脂4cは無色透明であることが好ましい。
次に、透明粒子について説明する。
光拡散層4を構成する透明粒子(4a、4b)は、前述のようにホワイトボード1の表面に滑らかな幾何学的凹凸を与え、当該透明粒子自体の光拡散性によりホワイトボード1に防眩性を付与することを目的として含有されるものである。従来からのマット材(不透明な微粒子)ではなく、透明粒子(4a、4b)を用いた点に本発明の特徴があり、透明粒子を用いたからこそ、本発明の作用効果を奏することができる。
このような透明粒子(4a、4b)にあっては、ガラスビーズや樹脂ビーズなどを適宜選択して用いることができる。より具体的には、ガラスビーズとしては、ソーダ石灰ガラスないし低アルカリガラスを挙げることができ、一方、樹脂ビーズとしては、メラミン、スチレン、アクリル、テフロン(登録商標)、ポリアクリロニトリル、等の比較的高硬度のビーズや、ナイロン、ウレタン等の比較的低硬度のビーズを挙げることができる。
このような各種透明粒子の中でも、本発明のホワイトボードにあっては、アクリルビーズを用いることが特に好ましい。後述するように、光拡散層4の表面には、電子線硬化型樹脂(EB樹脂)を塗布し、これを硬化させてEB樹脂層を形成する場合があり、この場合に比較的低硬度の樹脂ビーズを用いると、当該EB樹脂層と樹脂ビーズとの硬さの差が大きくなってしまい好適ではなく、また、EB樹脂を硬化する際に用いられる電子線によってビーズが変形したり割れたりすることを防ぐことが必要であり、これらを考慮した結果である。
透明粒子(4a、4b)の形状は、それ自体で光拡散性能を発揮できる形状であることが必要であり、同時に、ホワイトボード1に記入された文字等が容易に消せるようにすることも必要であるため、球形状であることが好ましい。
このような透明粒子の大きさ(粒径)については、前記透明粒子の機能を発揮できる程度の大きさ(粒径)であれば特に限定されることはないが、図示するように、平均粒径の異なる2種以上の透明粒子(図1においては大小2種類の大きさの透明粒子)を用いることが好ましい。単一の粒径の透明粒子を用いることももちろん可能であるが、そうすると、光拡散層4の表面に透明粒子が規則的に並んでしまうため、全体的には表面が平坦化してしまい、反射が生じやすくなってしまう場合が考えられるからである。また、隣接する透明粒子の隙間が小さな鋭角状を呈してしまい、そうすると、ホワイトボードに文字等を記入した場合に、そのインクが当該隙間に入り込んでしまい、インクが消え難くなってしまう場合も考えられるからである。
図示するように、2種以上の異なる粒径の透明粒子4a、4bを用いることにより、小さな透明粒子4aが大きな透明粒子4b同士の間に入り込むので、光拡散層4の表面に不規則な凹凸を形成することができるとともに、単一の粒径の透明粒子を用いた場合と比べて、表面に突出する粒子同士の隙間が大きくなるので、ここに文字等を記入した場合であってもインクを除去しやすくなる(インクを消せる)。
2種類の異なる粒径の透明粒子4a、4bを用いた場合、これらそれぞれの粒径については、前述するような作用効果を発揮するように適宜設定すればよく、特に限定することはないが、例えば、小さい方の透明粒子4aの平均粒径を5〜10μmとし、大きい方の透明粒子4bの平均粒径を15〜25μmとすることが好ましく、小さい方の透明粒子4aの平均粒径を8μm、大きい方の透明粒子4bの平均粒径を20μmとすることが特に好ましい。
また、光拡散層4全体に対する、前記透明粒子(4a、4b)の合計の含有率は、5〜20%とすることが好ましく、15%程度とすることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種類の透明粒子を用いる場合、これらの比率は平均粒径5〜10μmの透明粒子:平均粒径15〜25μmの透明粒子=3:7〜7:3とすることが好ましく、1:1とすることが特に好ましい。
透明粒子の平均粒径、透明粒子の含有率、それぞれの透明粒子の比率などを前記範囲とすることにより、前述した効果つまり光拡散性とインク消去性とを良好にすることができる。
このような透明粒子(4a、4b)を含有する光拡散層の厚さについては、前記透明粒子の効果が充分に発揮できる程度の厚さ、つまり、少なくとも含有される透明粒子のうちの一部が表面に突出する程度の厚さとすればよく、特に限定することはないが、例えば、図1に示すように、平均粒径8μm程度の透明粒子4aと、平均粒径20μm程度の透明粒子4bとを用いる場合には、樹脂4cの厚さは3〜8μmであることが好ましい。この程度とすることにより、透明粒子を光拡散層4の表面に突出せしめることができ、その結果、当該表面になめらかな凹凸を形成することができ防眩性を向上することができるからである。
本発明のホワイトボード1にあっては、図1に示すように、光拡散層4の透明粒子が突出している部分以外の表面に表面保護層5を形成してもよい。当該層を設けることにより、ホワイトボード1の表面を強固にすることができ、耐食性や耐傷性を向上することができる。
表面保護層5としては、例えば、例えばオリゴポリエステル(メタ)アクリレート樹脂や多価アルコール(メタ)アクリレート樹脂等を用いた電子線硬化型樹脂層、紫外線硬化型樹脂を用いた紫外線硬化型樹脂層などを挙げることができる。
図2は、本発明のホワイトボードの別の実施形態を示す概略断面図である。
図2に示すように、本発明のホワイトボード10にあっては、前記着色層3と前記光拡散層4の間に、パール顔料6aを含有する樹脂6bからなる光反射層6が所定のパターンで形成されていてもよい。当該光反射層6を設けることにより、本発明のホワイトボード10を映写スクリーンとして用いた場合に、映写される映像の色のコントラスト・明るさを調整することができ、映像の質感を向上することができる。
当該光反射層6を構成する樹脂6bとしては、特に限定されることはなく、パール樹脂を保持・固定することができるものであれば適宜選択して用いることができるが、具体的には、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、等を挙げることができる。
また、これらの樹脂6bに含有されるパール顔料6aについても、本発明は特に限定されることはなく、公知のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、雲母、塩基性炭酸鉛、ビスマスオキシクロライド、グラファイト、アルミニウム、アルミナ、シリカ、ガラス等を基質とし、この表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、チタン酸コバルトなどの金属酸化物で被覆したもの等が挙げられる。
当該パール顔料6aの形状についても、本発明は特に限定することはないが、当該パール顔料6aの作用効果を充分に発揮させるためには鱗片状とすることが好ましく、その粒径は、2〜25μmであることが好ましい。これ以上の粒径のパール顔料を用いた場合には、映写の際に光沢が多く発生し、反射がきつくまぶしい印象となってしまうからである。
光反射層6を所定のパターンで形成することにより、当光反射層6が形成されていない部分にあっては、その下に形成されている着色層3が目視できる。光反射層6の部分はパール顔料6aにより光が反射するのに対し、着色層3の部分にあっては、光はさほど反射しない。このバランスにより、ホワイトボード10を映写スクリーンとして用いた場合に映像のコントラスト・明るさ、さらには色の再現性を向上することができる。
光反射層6のパターンの形状は、特に限定されることはなく、映像のコントラストや色の再現性を考慮して任意に決定すればよい。例えば、空隙率(光反射層6が形成されていない部分の割合)を50〜80%程度とすることが好ましい。
空隙率が80%を超える場合(光反射層の柄が少ない場合)には、映像の色のコントラストが弱くなり、一方、空隙率が50%未満である場合(光反射層の柄が多い場合)には、正面反射がきつくまぶしい印象となる。
次に、本発明のホワイトボードに好適な字消し材(いわゆるホワイトボードイレーザー)について説明する。
本発明のホワイトボード、つまりその表面に透明粒子が突出しているホワイトボードに記入された文字等を消す場合にあっては、従来から用いられている各種の字消し(ホワイトボードイレーザー)を用いることができるが、特にメラミンスポンジを用いることが好ましい。
メラミンスポンジは、発泡密度が非常に高くかつ硬質であるため、本発明のように表面に凹凸があるホワイトボードに書かれた文字を好適に消去することができるからである。
なお、当該メラミンスポンジを用い、表面保護層として電子線硬化型樹脂層を形成した本発明のホワイトボードに対し、125g/cm荷重を5万回往復して擦り付ける試験をしてもホワイトボードの表面に傷がついたり、艶が変化したりすることがなかった。
本発明のホワイトボードの層構成を説明するための概略断面図である。 本発明のホワイトボードの別の一例を説明するための概略断面図である。
符号の説明
1、10 … ホワイトボード
2 … 基板
3 … 着色層
4 … 光拡散層
4a … 透明粒子(小)
4b … 透明粒子(大)
4c … 樹脂
5 … 表面保護層
6 … 光反射層
6a … パール顔料
6b … 樹脂

Claims (6)

  1. 基板と、当該基板上に設けられた着色層とを有するホワイトボードであって、
    前記着色層上には透明粒子を含有する光拡散層が設けられており、
    前記光拡散層に含有される透明粒子が、平均粒径の異なる2種以上の透明粒子であることを特徴とするホワイトボード。
  2. 請求項1に記載のホワイトボードであって、
    透明粒子の平均粒径は2種類であり、一方の透明粒子の平均粒径が5〜10μmであり、他方の平均粒径が15〜25μmであることを特徴とするホワイトボード。
  3. 請求項2に記載のホワイトボードであって、
    前記光拡散層全体に対する、前記2種類の透明粒子の合計の含有率が5〜20%であり、
    前記2種類の透明粒子の比率が、平均粒径5〜10μmの透明粒子:平均粒径15〜25μmの透明粒子=3:7〜7:3であることを特徴とするホワイトボード。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のホワイトボードであって、
    前記着色層と前記光拡散層の間にはパール顔料を含有する光反射層が所定のパターンで形成されていることを特徴とするホワイトボード。
  5. 請求項4に記載のホワイトボードであって、
    前記パール顔料の粒径が、2〜25μmであることを特徴とするホワイトボード。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のホワイトボードにおいて、
    前記着色層の厚さが、20〜40μmであることを特徴とするホワイトボード。
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