JP4596530B2 - 医療用処置具 - Google Patents
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特許文献1の電極カテーテルでは、超弾性線材を用いて先端部を曲がり部として一定形状に形状記憶処理した芯材の外装に、中空状の曲がり規制体を介装し、かつ、これらを可撓性中空チューブ体内に挿入し、先端部のチューブ体の曲がりを調整している。
特許文献3の偏向型カテーテルでは、先端部にワイヤロープを接続させて手元部を操作することにより、先端部の形状を可変して片手で操作できるようにしている。
また、特許文献2では、内視鏡用処置具の記載例が示されているだけで、単条密着巻きコイルスプリング体からなるシース構造の欠点を解消する施策はなく、生体組織採取システム構成については何らの記載もない。
さらに、特許文献4では、体腔内組織や体液の採取時、超音波観察画像上に針管画像を明瞭に描出するようにしているものの、単条密着巻きコイルスプリング体の欠点を解消する構成がないのは特許文献1〜3と同様である。
ロングシースの先端部の曲率半径が処置具シースの先端部の曲率半径よりも大になるように設定しているので、処置具シースを内部に納めたロングシースは、心臓心室内部の形状に沿うように曲成変形し、心室壁等を傷つけることがなく心臓心室内部で医療用処置具の進退操作を容易にすることができる。
回転・位置保持機構がセットロック手段として機能し、処置具シースの先端部を生体組織の採取に都合のよい箇所で回転・位置保持することが可能になり、正確で迅速な生体組織採取を行うことができる。
この場合、中空コイル体の屈曲時、単条密着巻きコイルスプリング体と異なり、隣接するコイル素線間で微少相対滑り移動が生じ、中空コイル体の外周側においても隣接するコイル素線間に隙間が生じることがない。このため、中空コイル体の屈曲度合いが大きくなっても、手元操作部によるストロークが不足することなく、必要なストローク量が先端処置具に伝わり先端処置具の安定した開閉動作を維持することができる。
この処置具シースでも、その屈曲時に隣接するコイル素線間で微少相対滑り移動が起きて、請求項5および請求項6と同様に隣接するコイル素線間に隙間が生じないので、ストロークが不足することなく先端処置具の安定した開閉動作を維持することができる。
このため、採取カップが開口する際、例えば心臓心室中隔に押し当りながら上下に開口移動することがない。これにより、採取カップの開口位置が変動することがなく、かつ心臓心室中隔等の正常組織を傷つけることなく所望の生体組織を正確に採取することができる。
生体組織の採取部位が曲面形状をなしている場合、その曲面に沿って処置具シースの先端部側を優しい接触状態で移動させて所望の生体組織を採取することができる。
このため、ロングシースと処置具シースとが合体した場合、合体後のロングシースと処置具シースは、心臓心室内等の生体組織採取部位の曲成形状に沿って移動する。これにより、ロングシースや処置具シースが心臓心室壁等を傷つけることなく、かつ医療用処置具の進退操作を容易にすることができる。
医療用処置具を示す図1において、手元操作部1は、収納細管2に直交する操作片3を軸方向に摺動可能に嵌合した構造を有する。収納細管2の後端部は、指貫穴4aを有する固定片4を連結し、操作片3の両端部は操作穴3aを作動部として形成している。収納細管2には、軸方向に沿って所定のストローク長さを有するスリット5が形成されている。
なお、管状ソケット10の外周部には、回動リングナット16における径大部16bの雌ねじ部に螺合する微小突起10aが一体に形成されており、径小部16aには、中間リングナット15における径大部15bの雌ねじ部に螺合する微小突起16cが一体に形成されている。
(イ)先ず、ロングシース11内に処置具シース8を挿入し、処置具シース8の先端部8aをロングシース11の先端部11aから露出しないようにしておく。
(ロ)この状態で、ロックリングナット13を中間リングナット15に締め付け、処置具シース8をロングシース11に仮固定する。この時、管状ソケット10に回動リングナット16を固定し、さらに中間リングナット15を回動リングナット16に固定している。(ハ)ついで、ロングシース11を処置具シース8と一体的に進退・回転させて、ロングシース11における先端部11aの曲成形状部を心臓心室中隔Jの方向に向ける。
(ホ)手元操作部1を押して、ワイヤ7を介して採取カップ9を開き、心臓心室中隔Jの生体組織採取を行う。
(ヘ)生体組織を採取する位置を変更する場合、ロックリングナット13を一時的に緩めて処置具シース8を進退させたり、または回転させたりして心臓心室中隔Jに対する採取位置を所望にセットする。セット後は、(ホ)で述べたものと同様な手順を繰り返す。
すなわち、先端部11aを付形したロングシース11内に、先端部8aを熱処理で付形した処置具シース8を挿入により合体させ、合体後の曲成形状が概ね心臓心室H内の形状に沿う形態としている。これにより、心臓心室壁などを傷つけることなく迅速かつ容易にロングシース11の進退操作を行うことができる。
なお、補足すれば、回転・位置保持機構12は、従来品における処置具シースの末端部と着脱自在の構造になっており、従来品に装着して使用できる便宜がある。
この状態で、図7(b)に示すようにワイヤ51を手元側からプッシュ操作すると、その操作力はパンタグラフ式リンク機構53から採取カップ52に伝えられる。この際、プッシュ操作力に基づく反力を受けた処置具シース50は、コイル素線間に隙間Gが生じているため、隙間Gにより反力が吸収されて操作ストローク不足が起こる。この操作ストローク不足は、処置具シース50の屈曲度合に比例して増大するため、とりわけ屈曲度合を大きくした場合、採取カップ52の開閉動作に支障を来すものと思われる。
本発明の処置具シース8において、ワイヤ7の露出長(L)が軽微ながら長くなる理由は、処置具シース8を屈曲させると、中空コイル体18のコイル素線18a、18b間に、微少相対滑り移動が生じるため、隙間が生じず全長が殆ど変化することがなくなって、ワイヤ7が処置具シース8内に最短距離で配置されると考えられる。なお、比較のため、従来の芯線71および本発明のワイヤ7の露出長は、直線状態では同一の記号Lを用いて表した。
図7に示すように単条密着巻きコイルスプリング体からなる従来の処置具シース50を用いると、生体組織採取時、採取カップ52のワイヤ51にプッシュ操作力を加えるのみで、処置具シース50の先端部50aが、図9に示すように心臓心室中隔J側(採取方向)に約6mm移動する。また、逆にワイヤ51にプル操作力を加えると、処置具シース50の先端部50aは逆方向に約13mm移動するといった挙動を示す。
このプッシュ・プル操作力のみにより、処置具シース50の先端部50aに変動・揺動が生じる理由は、処置具シース50の単条密着巻きコイルスプリング体におけるコイル素線間に隙間Gが生じているためと考えられる{図7(a)参照}。
処置具シース8における先端部8aの屈曲時、中空コイル体18のコイル素線18a、18b間には外周側で隙間を生じず、曲率半径の小さな内周側では、図10(a)、(b)に示すように、微少相対滑り移動により奥方が広く外周部が狭いテーパ状の深さを有する凹部20を形成する。
この理由として、凹部20は生体組織と比較して超音波を反射させ易く、生体組織と反射エアー層との間で相互の音響インピーダンス(生体組織密度ρと音速cとの積ρc)の差を非常に大きくさせることが挙げられる。このため、生体組織と反射エアー層との境界面で殆どの超音波を反射させることができる上に、凹部20は連続した螺旋溝を形成し、連続した処置具シース8における先端部8aの屈曲形態を明瞭な超音波観察画像として認識することができる。
すなわち、生体組織採取位置を変更するため、処置具シース8を回転操作する際、その回転操作に基づく処置具シース8における先端部8aの回転追従性が向上し、かつ回転・位置保持機構12による先端部8aの安定した保持機能を維持することができる。
これに対して、処置具シース8の中空撚線コイル体17では、図12(c)、(d)に示す単条密着巻きコイルスプリング体54の場合と比較して、図12(e)、(f)に示す如く、多条線を用いることにより、回転方向に対するコイル素線の傾斜角(ω)が大となり、回転力を先端部8aへ伝達させ易い構造のため、処置具シース8における先端部8aの円滑な回転を実現させることができる。
なお、上記で述べたコイル素線18aとコイル素線18bとからなる中空コイル体18についての作用効果は、コイル素線19aとコイル素線19bとからなる中空コイル体19についても同様である。
実施例2が実施例1と異なるところは、進退操作により処置具シース8の先端部8aにおける付形形状を可変とするストレート状の中空パイプ22を設けたことである{図15(a)、(b)参照}。中空パイプ22は、ワイヤ7に外装されて処置具シース8内に摺動変位可能に挿入されている。
すなわち、摘み部24を矢印M方向に引き込む操作量の違いにより、処置具シース8の先端部8aに対する中空パイプ22の延出量Kが変わり、処置具シース8における先端部8aの付形形状を所望の曲率半径に変更させることが可能となる。
(イ)先ず、実施例1の場合と同様に、ロングシース11内に処置具シース8を挿入し、処置具シース8の先端部8aをロングシース11の先端部11aから露出しないようにしておく。
(ロ)この状態で、ロックリングナット13を中間リングナット15に締め付け、ロングシース11に処置具シース8を仮固定する。この時、管状ソケット10に回動リングナット16を固定し、さらに中間リングナット15を回動リングナット16に固定している。(ハ)ついで、ロングシース11を処置具シース8と一体的に進退・回転させて、ロングシース11における先端部11aの曲成形状部を心臓心室中隔Jの方向に向ける(図16参照)。
(ホ)手元操作部1を押して、ワイヤ7を介して採取カップ9を開き、心臓心室中隔Jの生体組織採取を行う(図16参照)。
(ヘ)生体組織を採取する位置を変更する場合、摘み部24を一時的に緩めて中空パイプ22を進退させたり、またはロングシース11を処置具シース8と一体的に回転させて心臓心室中隔Jに対する採取位置を所望にセットする。セット後は、(ホ)で述べたものと同様な手順を繰り返す。
ロングシース11の摺動変位によらず、中空パイプ22の摺動により処置具シース8の先端部8aを可変としているので、図16に示すようにロングシース11の位置に影響されることなく、処置具シース8を単独で直線状に移動させる長いストロークhにより心臓心室Hの深部に侵入させることができる。
実施例3では、図17(a)、(b)、(c)、(d)に示すように処置具シース8の先端部8aを実施例1の弓形状に代わって、捩じりピッチの比較的大きなスパイラル立体形状に付形している。
処置具シース8の先端部8aをスパイラル立体形状に付形したことにより下記の作用効果が得られる。処置具シース8の先端部8aの付形方法については、スパイラル立体形状であることを除けば、略弓状に付形した場合と同様である。
また、図18に示すように生体組織の採取部位60が曲面形状をなしている場合、その曲面に沿って処置具シース8の先端部8aを優しく滑らかな接触状態で移動させて所望の生体組織を採取することができる。
なお、処置具シース8の先端部8aは、変形例として図19に示すように複数の関節部Tにより内方に折り曲がる多関節指状に付形してもよい。
ロングシース11の先端開口部は、内径が手元側から先端側にかけて次第に狭くなるように漸減するテーパ状に形成してもよい。これにより、ロングシース11と処置具シース8との隙間に対する多量の液体流入を防ぎ、かつ反射エコー部としての凹部20のエコー効果を一層高めることができる。ロングシース11の材質としては、ポリアミド、ポリエステル及びこれらのエラストマー等を用い、寸法としては外径が3mmで肉厚が0.1〜0.2mmのものを適用しても良い。
7 ワイヤ(芯線)
8 処置具シース
8a 先端部
9 採取カップ(先端処置具)
11 ロングシース
11a ロングシースの先端部
12 回転・位置保持機構
13 ロックリングナット
14 絞り管部
15 中間リングナット
16 回動リングナット
17 中空撚線コイル体
18、19 中空コイル体
18a、18b コイル素線
19a、19b コイル素線
22 中空パイプ
22a 中空パイプの先端部
H 心臓心室
J 心臓心室中隔
Claims (15)
- 処置具シース内に芯線を貫装して、手元操作部で前記芯線を押し引き操作させることにより先端処置具を開閉動作させる医療用処置具において、
前記処置具シースにロングシースを外装するとともに、前記ロングシースの先端部及び前記処置具シースの先端部を、前記ロングシースの先端部の曲率半径が前記処置具シースの先端部の曲率半径よりも大となる関係に付形し、
前記ロングシースの進退操作により、前記処置具シースの先端部における付形形状を可変とすることを特徴とする医療用処置具。 - 処置具シース内に芯線を貫装して、手元操作部で前記芯線を押し引き操作させることにより先端処置具を開閉動作させるとともに、前記芯線と前記処置具シースとの間に中空パイプを貫装して進退可能な手元操作部となし、
前記処置具シースの先端部における付形形状を前記中空パイプの進退操作により可変とすることを特徴とする医療用処置具。 - 請求項2に記載の医療用処置具において、前記処置具シースにロングシースを外装するとともに、前記ロングシースの先端部及び前記処置具シースの先端部を、前記ロングシースの先端部の曲率半径が前記処置具シースの先端部の曲率半径よりも大となる関係に付形し、
前記中空パイプの進退操作により、前記処置具シースの先端部における付形形状を可変とすることを特徴とする医療用処置具。 - 請求項1または請求項2に記載の医療用処置具において、前記処置具シースに前記ロングシースを外装して、前記ロングシースの手元端に回転・位置保持機構を設けて前記手元操作部を所望の位置にセット保持できるようにしたことを特徴とする医療用処置具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の医療用処置具において、前記処置具シースは、断面略円形のコイル素線と中心部に向かって先細り状の傾斜辺を有する断面略三角形のコイル素線とが交互に隣接する中空コイル体の構造であることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項4に記載の医療用処置具において、前記処置具シースは、断面略円形のコイル素線と中心部に向かって先細り状の傾斜辺を有する断面略三角形のコイル素線とが交互に隣接する中空コイル体の構造であることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の医療用処置具において、前記処置具シースは、断面略半円形のコイル素線と中心部に向かう二等辺部に凹みを有する略二等辺三角形状のコイル素線とが係着するように交互に組み合わされた構造であることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項4に記載の医療用処置具において、前記処置具シースは、断面略半円形のコイル素線と中心部に向かう二等辺部に凹みを有する略二等辺三角形状のコイル素線とが係着するように交互に組み合わされた構造であることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の医療用処置具において、前記処置具シースの構造は、手元側に設けた中空撚線コイル体と、先端部側に位置して断面略円形のコイル素線と中心部に向かって先細り状の傾斜辺を有する断面略三角形のコイル素線とが交互に隣接する中空コイル体との連結形態からなることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項4に記載の医療用処置具において、前記処置具シースの構造は、手元側に設けた中空撚線コイル体と、先端部側に位置して断面略円形のコイル素線と中心部に向かって先細り状の傾斜辺を有する断面略三角形のコイル素線とが交互に隣接する中空コイル体との連結形態からなることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項10に記載の医療用処置具において、前記中空撚線コイル体は、断面略半円形のコイル素線と中心部に向かう二等辺部に凹みを有する略二等辺三角形状のコイル素線とが係着するように交互に組み合わされた構造であることを特徴とする医療用処置具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の医療用処置具において、前記処置具ケースの先端に開閉可能に設けた採取カップの開口方向に対して略直交するように前記処置具ケースの先端部側を略弓形に付形したことを特徴とする医療用処置具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医療用処置具において、前記処置具シースの先端部側を略スパイラル立体形状に付形したことを特徴とする医療用処置具。
- 請求項1または請求項3に記載の医療用処置具において、先端部が付形された前記ロングシースと前記処置具シースとの合体曲成形状が生体組織採取部位の曲成形状と概ね平行する状態に設定されたことを特徴とする医療用処置具。
- 請求項13に記載の医療用処置具において、先端部が付形された前記ロングシースと前記処置具シースとの合体曲成形状が生体組織採取部位の曲成形状と概ね平行する状態に設定されたことを特徴とする医療用処置具。
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