この発明の第1の局面による画像形成装置は、用紙を給紙方向に搬送する給紙ローラと、用紙を押し上げて給紙ローラに当接させるための押上げ部材とを備えた画像形成装置において、押上げ部材は、印刷動作時に用紙を押し上げて給紙ローラに当接させるとともに、係合部と、第1バネ取付部とを一体的に有するとともに、用紙側に配置される第1押上げ部材と、第1押上げ部材の係合部が回動可能に係合する係合穴と、第2バネ取付部とを一体的に有する第2押上げ部材と、第1押上げ部材の第1バネ取付部に取り付けられる一方端部と第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられる他方端部とを有するバネ部材とを含み、第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられたバネ部材の他方端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さは、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成され、第2押上げ部材の第2バネ取付部は、第2押上げ部材の主表面に対して所定の角度で傾斜するように設けられており、第2バネ取付部の先端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さは、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成され、第1押上げ部材の係合部は、第1押上げ部材の主表面に対して実質的に垂直方向に突出する軸部と、軸部から第1押上げ部材の主表面に対して実質的に平行な方向に突出する板部とを含む。
第1の局面による画像形成装置では、上記のように、印刷動作時に、用紙を押し上げて給紙ローラに当接させるための押上げ部材を備えることによって、印刷動作時のみに用紙を持ち上げて給紙ローラに当接させることができる。これによって、非印刷動作時においては、用紙は持ち上げられないので、湾曲することがない。このため、用紙がセットされた状態で長期間印刷を行わない場合にも、用紙が湾曲した状態で長期間保存されることがないので、用紙が湾曲した状態で塑性変形することを抑制することができる。
また、第1の局面による画像形成装置では、押上げ部材を、係合部と第1バネ取付部とを有する第1押上げ部材と、第1押上げ部材の係合部が回動可能に係合する係合穴と第2バネ取付部とを有する第2押上げ部材と、第1押上げ部材の第1バネ取付部と第2押上げ部材の第2バネ取付部とに取り付けられるバネ部材とを含むように構成するとともに、第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられたバネ部材の他方端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さが、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成することによって、押上げ部材の組立時に、第1押上げ部材の第1バネ取付部および第2押上げ部材の第2バネ取付部にバネ部材の一方端部および他方端部をそれぞれ取り付けた状態で、第2押上げ部材の係合穴と第1押上げ部材の係合部とを係合させる際に、第1押上げ部材の係合部を、バネ部材の他方端部に接触させることなく、第2押上げ部材の係合穴に挿入することができる。これにより、容易に、第1押上げ部材の係合部を第2押上げ部材の係合穴に係合させることができるので、第1押上げ部材と第2押上げ部材とを容易に組み立てることができる。
また、第1の局面による画像形成装置では、第2押上げ部材の第2バネ取付部を、第2押上げ部材の主表面に対して所定の角度で傾斜するように設け、第2バネ取付部の先端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さを、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成することによって、第2押上げ部材の係合穴と、第1押上げ部材の係合部とを係合させる際に、第1押上げ部材の係合部を、バネ部材の他方端部のみならず、第2押上げ部材の第2バネ取付部の先端にも接触させることなく、第2押上げ部材の係合穴に挿入することができる。これにより、より容易に、第1押上げ部材の係合部を第2押上げ部材の係合穴に係合させることができる。また、第1押上げ部材の係合部を、第1押上げ部材の主表面に対して実質的に垂直方向に突出する軸部と、軸部から第1押上げ部材の主表面に対して実質的に平行な方向に突出する板部とを含むように構成することによって、板部により第2押上げ部材の係合穴と第1押上げ部材の係合部とが外れることを抑制することができるとともに、軸部を支点にして第2押上げ部材の係合穴と第1押上げ部材の係合部とを回動可能に係合させることができる。
この発明の第2の局面による画像形成装置は、用紙を給紙方向に搬送する給紙ローラと、印刷動作時に、用紙を押し上げて給紙ローラに当接させるための押上げ部材とを備え、押上げ部材は、係合部と、第1バネ取付部とを一体的に有するとともに、用紙側に配置される第1押上げ部材と、第1押上げ部材の係合部が回動可能に係合する係合穴と、第2バネ取付部とを一体的に有する第2押上げ部材と、第1押上げ部材の第1バネ取付部に取り付けられる一方端部と第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられる他方端部とを有するバネ部材とを含み、第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられたバネ部材の他方端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さは、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成されている。
第2の局面による画像形成装置では、上記のように、印刷動作時に、用紙を押し上げて給紙ローラに当接させるための押上げ部材を備えることによって、印刷動作時のみに用紙を持ち上げて給紙ローラに当接させることができる。これによって、非印刷動作時においては、用紙は持ち上げられないので、湾曲することがない。このため、用紙がセットされた状態で長期間印刷を行わない場合にも、用紙が湾曲した状態で長期間保存されることがないので、用紙が湾曲した状態で塑性変形することを抑制することができる。
また、第2の局面による画像形成装置では、押上げ部材を、係合部と第1バネ取付部とを有する第1押上げ部材と、第1押上げ部材の係合部が回動可能に係合する係合穴と第2バネ取付部とを有する第2押上げ部材と、第1押上げ部材の第1バネ取付部と第2押上げ部材の第2バネ取付部とに取り付けられるバネ部材とを含むように構成するとともに、第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられたバネ部材の他方端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さが、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成することによって、押上げ部材の組立時に、第1押上げ部材の第1バネ取付部および第2押上げ部材の第2バネ取付部にバネ部材の一方端部および他方端部をそれぞれ取り付けた状態で、第2押上げ部材の係合穴と第1押上げ部材の係合部とを係合させる際に、第1押上げ部材の係合部を、バネ部材の他方端部に接触させることなく、第2押上げ部材の係合穴に挿入することができる。これにより、容易に、第1押上げ部材の係合部を第2押上げ部材の係合穴に係合させることができるので、第1押上げ部材と第2押上げ部材とを容易に組み立てることができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、第2押上げ部材の第2バネ取付部は、第2押上げ部材の主表面に対して所定の角度で傾斜するように設けられており、第2バネ取付部の先端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さは、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さよりも大きくなるように形成されている。このように構成すれば、第2押上げ部材の係合穴と、第1押上げ部材の係合部とを係合させる際に、第1押上げ部材の係合部を、バネ部材の他方端部のみならず、第2押上げ部材の第2バネ取付部の先端にも接触させることなく、第2押上げ部材の係合穴に挿入することができる。これにより、より容易に、第1押上げ部材の係合部と第2押上げ部材の係合穴に係合させることができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、第1押上げ部材の係合部は、第1押上げ部材の主表面に対して実質的に垂直方向に突出する軸部と、軸部から第1押上げ部材の主表面に対して実質的に平行な方向に突出する板部とを含む。このように構成すれば、板部により第2押上げ部材の係合穴と第1押上げ部材の係合部とが外れることを抑制することができるとともに、軸部を支点にして第2押上げ部材の係合穴と第1押上げ部材の係合部とを回動可能に係合させることができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、第2押上げ部材の第2バネ取付部は、第2押上げ部材の主表面に対して所定の角度で傾斜するように設けられており、第2バネ取付部の第2押上げ部材の主表面に対する傾斜角度は、45度よりも大きくなるように形成されている。このように構成すれば、第2バネ取付部および第2バネ取付部に取り付けられるバネ部材の他方端部は、第2バネ取付部の傾斜角度が45度の場合に比べて、係合穴の対向する内面部から離れる。これにより、第2押上げ部材の第2バネ取付部に取り付けられたバネ部材の他方端部から第2押上げ部材の係合穴の対向する内面部までの給紙方向の長さが、傾斜角度が45度の場合よりも大きくなる。このため、傾斜角度が45度の場合よりも、より容易に、第1押上げ部材の係合部を第2押上げ部材の係合穴に挿入することができるので、第1押上げ部材と第2押上げ部材とをより容易に組み立てることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの構成を示す図である。図5〜図13は、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの押上げ部材の詳細を説明するための図である。まず、図1〜図13を参照して、本発明の第1実施形態による熱転写プリンタの構造について説明する。なお、第1実施形態では、画像形成装置の一例である熱転写プリンタに本発明を適用した例について説明する。
第1実施形態による熱転写プリンタは、図1〜図3に示すように、板金製のシャーシ1と、用紙50を給紙するためのゴム製の給紙ローラ2と、給紙ローラ2が取り付けられる給紙ローラ軸3と、給紙ローラ軸3を回転させるための給紙ローラギア4と、給紙ローラ軸受5と、印画時に用紙50が押圧されるプラテンローラ6(図1参照)と、プラテンローラ軸受7と、用紙50を給紙ローラ2に押圧するための金属製(板金製)の押上げ部材8と、押上げ部材8を駆動するための駆動ギア9と、駆動ギア9を駆動させるための駆動源として機能するモータ10(図3参照)と、モータ10からの駆動力を駆動ギア9に伝達するための中間ギア11(図3参照)と、給紙ローラ2を駆動させるための駆動源として機能するモータ12(図3参照)と、モータ12からの駆動力を給紙ローラギア4に伝達するための複数の中間ギア13(図3参照)と、モータ10およびモータ12が取り付けられる金属製のモータブラケット14と、サーマルヘッド15と、サーマルヘッド15をプラテンローラ6から離れる方向に付勢するねじりコイルバネ16(図1参照)とを備えている。また、熱転写プリンタには、図1および図2に示すように、用紙50が収納される給紙カセット17が脱着可能に取り付けられている。
また、シャーシ1は、図1〜図4に示すように、モータブラケット14が取り付けられる一方側面1aと、他方側面1bと、一方側面1aと他方側面1bとを連結する底面1cとを有する。また、シャーシ1の他方側面1bには、インクシートが内蔵されたインクシートカートリッジ(図示せず)を取り付けるためのインクシートカートリッジ挿入孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、図4に示すように、給紙ローラ軸受取付孔1eと、プラテンローラ軸受取付孔1fとが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの給紙ローラ軸受取付孔1eには、給紙ローラ2の両端部を回転可能に支持する給紙ローラ軸受5が取り付けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bのプラテンローラ軸受取付孔1fには、プラテンローラ6の両端部を回転可能に支持するプラテンローラ軸受7が取り付けられている。また、図3および図4に示すように、シャーシ1の底面1cには、押上げ部材8を回動可能に取り付けるための一対の孔1gが設けられている。
また、給紙ローラ2は、図1〜図2に示すように、用紙カセット17の押圧板17aの上方に配置されている。また、給紙ローラ2は、回転することによって用紙50を給紙方向(矢印A方向)に搬送するように構成されている。また、給紙ローラ2は、給紙ローラ軸3の中央部近傍に取り付けられている。この給紙ローラ軸3の両端部は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられた給紙ローラ軸受5に回転可能に支持されている。また、一方側面1a側の給紙ローラ軸3の端部には、給紙ローラギア4が空回りしないように取り付けられている。この給紙ローラギア4は、複数の中間ギア13およびモータ12のモータギア12aを介してモータ12の駆動力が伝達されることによって回転するように構成されている。
ここで、第1実施形態では、図5〜図9に示すように、金属製(板金製)の押上げ部材8は、後述する用紙カセット17の押圧板17aの下面を押し上げることにより、用紙50を給紙ローラ2に押圧させる第1押上げ部材81と、第1押上げ部材81が回動可能に取り付けられる第2押上げ部材82と、第1押上げ部材81と第2押上げ部材82とを所定の付勢力で保持する引っ張りコイルバネ83とを有する。この押上げ部材8は、印刷動作時のみにおいて用紙50を持ち上げて給紙ローラ2に用紙50を押圧する。したがって、用紙50は、非印刷時においては、持ち上げられることがない。なお、引っ張りコイルバネ83は、本発明の「バネ部材」の一例である。
また、第1押上げ部材81は、図5〜図11に示すように、第2押上げ部材82と係合する係合部81aと、バネ取付部81bと、後述する押圧板17aの下面を押圧する押圧部81cとを有する。第1押上げ部材81の係合部81aは、第1押上げ部材81の主表面に対して上方に実質的に垂直方向に突出する軸部81dと、軸部81dの上端から第1押上げ部材81の主表面に対して実質的に平行な方向に突出する板部81eとを含む。この軸部81dと第2押上げ部材82の係合穴82aとは、引っ張りコイルバネ83の付勢力によって圧接される。また、板部81eにより第2押上げ部材82の係合穴82aと第1押上げ部材81の係合部81aとが外れることが抑制されるとともに、軸部81dを支点にして第2押上げ部材82の係合穴82aと第1押上げ部材81の係合部81aとが回動可能に係合される。なお、バネ取付部81bは、本発明の「第1バネ取付部」の一例である。
また、第2押上げ部材82は、図5〜図9、図12および図13に示すように、第1押上げ部材81の係合部81aと係合する係合穴82aと、バネ取付部82bと、プラテンローラ軸受7が挿入される挿入孔82cと、駆動ギア9のカム溝9a(図1および図2参照)に係合するカム係合部82dと、シャーシ1に設けられた一対の孔1gと係合する一対の回動軸部82eとを含む。第2押上げ部材82の挿入孔82cは、図2に示すように、押上げ部材8が回動する際に、プラテンローラ軸受7に当接しないように、プラテンローラ軸受7の外径よりも大きな内径を有する。また、一対の回動軸部82eは、図5〜図9に示すように、一対の軸部82fと、第2押上げ部材82が上方向に抜けるのを防止するための一対の抜け止め部82gとを含む。また、軸部82fは、第2押上げ部材82の水平な表面に対して下方に直角(垂直)に折れ曲がるように形成されている。また、抜け止め部82gは、軸部82fの垂直な表面に対して直角に折れ曲がるとともに、第2押上げ部材82から突出して、第2押上げ部材82の水平な表面と平行に延びるように形成されている。なお、バネ取付部82bは、本発明の「第2バネ取付部」の一例である。
また、図5〜図9に示すように、第1押上げ部材81の係合部81aは、第2押上げ部材82の係合穴82aと回動可能に係合する。また、第1押上げ部材81の係合部81aは、第1押上げ部材81の給紙方向と直交する方向(矢印B方向)の中央部近傍の位置に設けられており、第2押上げ部材82の係合穴82aは、第1押上げ部材81の係合部81aに対応する給紙方向と直交する方向(矢印B方向)の位置に設けられている。また、図8に示すように、第1押上げ部材81の係合部81aの矢印B方向の幅W1は、第2押上げ部材82の係合穴82aの矢印B方向の幅W2とほぼ同じかまたは若干大きい幅を有する。
また、図9に示すように、第1押上げ部材81のバネ取付部81bおよび第2押上げ部材82のバネ取付部82bは、それぞれ、第1押上げ部材81および第2押上げ部材82から上方に突出している。また、バネ取付部81bおよびバネ取付部82bは、それぞれ、第1押上げ部材81および第2押上げ部材82に対して、引っ張りコイルバネ83から離れる方向にα(45度)の傾斜角度を有する。
また、図6および図8に示すように、引っ張りコイルバネ83の一方端部83aおよび他方端部83bは、輪状に形成されている。そして、引っ張りコイルバネ83の一方端部83aおよび他方端部83bは、それぞれ、第1押上げ部材81のバネ取付部81bおよび第2押上げ部材82のバネ取付部82bに挿入されて取り付けられる。上記のように、バネ取付部81bおよびバネ取付部82bを引っ張りコイルバネ83から離れる方向に傾斜させることにより、引っ張りコイルバネ83が、バネ取付部81bおよびバネ取付部82bから脱落することを抑制している。
このように、押上げ部材8は、用紙50を押し上げて給紙ローラ2に当接させる第1押上げ部材81と、一対の孔1gを軸にシャーシ1に対して回動する第2押上げ部材82とが回動可能に係合し、引っ張りコイルバネ83により第2押上げ部材82と第1押上げ部材81とが連結された構造を有する。これにより、押し上げる用紙50の枚数が少ない場合の第2押上げ部材82の回動角と、用紙50の枚数が多い場合の第2押上げ部材82の回動角とを同じにした場合にも、引っ張りコイルバネ83の伸び縮みにより、用紙50を適度な圧力で給紙ローラ2に押圧することが可能である。
ここで、第1実施形態では、図7に示すように、第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(図7の矢印A方向)の長さL1は、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向(図7の矢印A方向)の長さL2よりも大きくなるように形成されている。
また、第1実施形態では、図7に示すように、第2押上げ部材82のバネ取付部82bは、バネ取付部82bの先端部から第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(図7の矢印A方向)の長さL3は、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向(図7の矢印A方向)の長さL2よりも大きくなるように形成されている。
また、図1〜図3に示すように、駆動ギア9は、シャーシ1の一方側面1aの内側に取り付けられている。また、図2に示すように、この駆動ギア9の一方側面1a側(裏面側)には、第2押上げ部材82のカム係合部82dが当接するカム溝9aが設けられている。カム溝9aは、円形状溝部9bと、凹形状溝部9cとを有する。この円形状溝部9bと、凹形状溝部9cとに第2押上げ部材82のカム係合部82dが係合した状態で駆動ギア9が回転することにより、第2押上げ部材82は一対の回動軸部82eを中心に回動する。また、図3に示すように、モータ10は、モータギア10aを有する。また、中間ギア11は、図3に示すように、シャーシ1の一方側面1aに取り付けられているとともに、大径ギア部11aと、小径ギア部11bとを有する。モータギア10aと、中間ギア11の大径ギア部11aとは係合しており、中間ギア11の小径ギア部11bは、駆動ギア9と係合している。このため、押上げ部材8には、モータ10からの駆動力が、モータギア10aと、中間ギア11と、駆動ギア9とを介して伝達される。また、サーマルヘッド15は、支持軸15aを中心に回動するとともに、用紙50に対して印画を行う機能を有する。
また、図1および図2に示すように、用紙カセット17の所定の位置には、樹脂製の押圧板17aが設けられている。この押圧板17aは、支点部17bを中心に回動可能に形成されている。また、押圧板17aは、第1押上げ部材81の押圧部81cに押し上げられることによって、押圧板17aの上に載置される用紙50を給紙ローラ2に押圧するように形成されている。
図14〜図16は、第1実施形態による熱転写プリンタの押上げ部材の組立手順を説明するための図である。次に、図9および図14〜図16を参照して、第1実施形態による熱転写プリンタの押上げ部材8の組立手順について説明する。
まず、図14に示すように、引っ張りコイルバネ83の一方端部83aおよび他方端部83bを、それぞれ、第1押上げ部材81のバネ取付部81bおよび第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付ける。そして、引っ張りコイルバネ83の付勢力に逆らうように第2押上げ部材82を第1押上げ部材81を保持した状態で矢印C方向に引っ張る。そして、第2押上げ部材82の係合穴82aの下方に第1押上げ部材81の係合部81aが位置したところで、第2押上げ部材82を図15の矢印D方向に移動する。これにより、第1押上げ部材81の係合部81aは、第2押上げ部材82の係合穴82aに挿入される。このとき、第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL1および第2押上げ部材82のバネ取付部82bの先端部から第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL3が、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向(矢印A方向)の長さL2よりも大きいので、引っ張りコイルバネ83の他方端部83bおよびバネ取付部82bの先端と第1押上げ部材81の係合部81aとを接触させずに第2押上げ部材82の係合穴82aに第1押上げ部材81の係合部81aを挿入することが可能である。その後、引っ張りコイルバネ83の付勢力により、第2押上げ部材82が図16の矢印E方向に移動する。これにより、図9に示すように、第1押上げ部材81の係合部81aと第2押上げ部材82の係合穴82aとが回動可能に係合する。このようにして、押上げ部材8が組み立てられる。
図17および図18は、第1実施形態による熱転写プリンタの給紙動作を説明するための図である。次に、図3、図17および図18を参照して、第1実施形態による熱転写プリンタの給紙動作について説明する。
まず、印刷動作開始時には、印刷開始位置への給紙動作を行うために、最初にモータ10およびモータ12が駆動される。そして、図17に示すように、モータ10(図3参照)からの駆動力により、中間ギア11の小径ギア11bが、矢印F方向に回転されると、駆動ギア9は、矢印G方向に回転される。これにより、第2押上げ部材82のカム係合部82dは、図17に示すような、駆動ギア9のカム溝9aの円形状溝部9bに係合した状態から、図18に示すような、駆動ギア9のカム溝9aの凹形状溝部9cに係合した状態になる。これにより、第2押上げ部材82は、回動軸部82eが孔1gに取り付けられているため、軸部82fを回動中心として、矢印H方向に所定の角度β回動される。このため、第1押上げ部材81の押圧部81cにより、用紙カセット17の押圧板17aが上方に持ち上げられるので、押圧板17aにより支持される用紙50が給紙ローラ2に押圧される。次に、図3に示すように、モータ12の駆動力は、モータギア12aおよび複数の中間ギア13を介して給紙ローラギア4に伝達される。これにより、図18に示すように、給紙ローラ軸3および給紙ローラ2がI方向に回転するので、用紙50が給紙方向(矢印A方向)に搬送される。
第1実施形態では、上記のように、印刷動作時に、用紙50を押し上げて給紙ローラ2に当接させるための押上げ部材8を備えることによって、印刷動作時のみに用紙50を持ち上げて給紙ローラ2に当接させることができる。これによって、非印刷動作時においては、用紙50は持ち上げられないので、湾曲することがない。このため、用紙50がセットされた状態で長期間印刷を行わない場合にも、用紙50が湾曲した状態で長期間保存されることがないので、用紙50が湾曲した状態で塑性変形することを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、押上げ部材8を、係合部81aとバネ取付部81bとを有する第1押上げ部材81と、第1押上げ部材81の係合部81aが回動可能に係合する係合穴82aとバネ取付部82bとを有する第2押上げ部材82と、第1押上げ部材81のバネ取付部81bと第2押上げ部材82のバネ取付部82bとに取り付けられる引っ張りコイルバネ83とを含むように構成するとともに、第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向の長さL1(図7参照)が、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向の長さL2(図7参照)よりも大きくなるように形成することによって、押上げ部材8を組み立てる際に、第1押上げ部材81のバネ取付部81bおよび第2押上げ部材82のバネ取付部82bに引っ張りコイルバネ83の一方端部83aおよび他方端部83bをそれぞれ取り付けた状態で、第2押上げ部材82の係合穴82aと第1押上げ部材81の係合部81aとを係合させる際に、第1押上げ部材81の係合部81aを、引っ張りコイルバネ83の他方端部83bに接触させることなく、第2押上げ部材82の係合穴82aに挿入することができる。これにより、容易に、第2押上げ部材82の係合穴82aに第1押上げ部材81の係合部81aを係合させることができるので、第1押上げ部材81と第2押上げ部材82と容易に組み立てることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2押上げ部材82のバネ取付部82bを、第2押上げ部材82の主表面に対してα(45度)の角度で傾斜するように設け、バネ取付部82bの先端部から第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL3(図7参照)を、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向の長さL2(図7参照)よりも大きくなるように形成することによって、第2押上げ部材82の係合穴82aと、第1押上げ部材81の係合部81aとを係合させる際に、第1押上げ部材81の係合部81aを、引っ張りコイルバネ83の他方端部83bのみならず、第2押上げ部材82のバネ取付部82bの先端にも接触させることなく、第2押上げ部材82の係合穴82aに挿入することができる。これにより、より容易に、第1押上げ部材81の係合部81aを第2押上げ部材82の係合穴82aに係合させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1押上げ部材81の係合部81aを、第1押上げ部材81の主表面に対して実質的に垂直方向に突出する軸部81dと、軸部81dから第1押上げ部材81の主表面に対して実質的に平行な方向に突出する板部81eとを含むように構成することによって、板部81eにより第2押上げ部材82の係合穴82aと第1押上げ部材81の係合部81aとが外れることを抑制することができるとともに、軸部81dを支点にして第2押上げ部材82の係合穴82aと第1押上げ部材81の係合部81aとを回動可能に係合させることができる。
(第2実施形態)
図19〜図23は、本発明の第2実施形態による熱転写プリンタの押上げ部材の詳細を説明するための図である。図19〜図23を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、第2押上げ部材92のバネ取付部92bを第2押上げ部材92の主表面に対して45度よりも大きい角度γ(60度〜80度)傾斜させた例について説明する。
第2実施形態による熱転写プリンタは、押上げ部材90を備える。また、押上げ部材90は、図19〜図23に示すように、第1押上げ部材91と、第1押上げ部材91が回動可能に取り付けられる第2押上げ部材92と、第1押上げ部材91と第2押上げ部材92とを所定の付勢力で保持する第1実施形態と同様の引っ張りコイルバネ83とを有する。
また、第1押上げ部材91は、第2押上げ部材92と係合する係合部91aと、バネ取付部91bと、押圧板17aの下面を押圧する押圧部91cとを有する。また、第1押上げ部材91の係合部91aは、第1押上げ部材91の主表面に対して上方に実質的に垂直方向に突出する軸部91dと、軸部91dの上端から第1押上げ部材91の主表面に対して実質的に平行な方向に突出する板部91eとを含む。この軸部91dと第2押上げ部材92の係合穴92aとは、引っ張りコイルバネ83の付勢力によって圧接される。なお、バネ取付部91bは、本発明の「第1バネ取付部」の一例である。
また、第2押上げ部材92は、第1押上げ部材91の係合部91aと係合する係合穴92aと、バネ取付部92bと、プラテンローラ軸受7が挿入される挿入孔92cと、駆動ギア9のカム溝9a(図1および図2参照)に係合するカム係合部92dと、シャーシ1に設けられた一対の孔1gと係合する一対の回動軸部92eとを含む。また、一対の回動軸部92eは、一対の軸部92fと、第2押上げ部材92が上方向に抜けるのを防止するための一対の抜け止め部92gとを含む。なお、バネ取付部92bは、本発明の「第2バネ取付部」の一例である。
また、第2実施形態では、図23に示すように、第1押上げ部材91のバネ取付部91bは、第1実施形態と同様の傾斜角度α(45度)を有する。その一方、第2押上げ部材92のバネ取付部92bは、第2押上げ部材92の主表面に対して45度より大きい傾斜角度γ(60度〜80度)を有する。
ここで、第2実施形態では、第2押上げ部材92のバネ取付部92bの傾斜角度γ(60度〜80度)が45度よりも大きくなるように形成されていることにより、第2実施形態における、第2押上げ部材92のバネ取付部92bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材92の係合穴92aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL4(図21参照)は、上述した第1実施形態における、第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL1(図7参照)よりも大きくなる。また、第2押上げ部材92のバネ取付部92bは、バネ取付部92bの先端部から第2押上げ部材92の係合穴92aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL6(図21参照)は、上述した第1実施形態における第2押上げ部材82の第2バネ取付部82b(傾斜角度が45度)の先端部から第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向(矢印A方向)の長さL3(図7参照)よりも大きくなる。また、第2実施形態では、第1押上げ部材91の係合部91aの給紙方向(矢印A方向)の長さL5は、上述した第1実施形態における第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向(矢印A方向)の長さL2と同じである。
上記のように、第2実施形態では、第2押上げ部材92の主表面に対するバネ取付部92bの傾斜角度を、上述した第1実施形態におけるバネ取付部82bの傾斜角度(45度)よりも大きくなるように形成することによって、バネ取付部92bおよび第2バネ取付部92bに取り付けられる引っ張りコイルバネ83の他方端部83bは、バネ取付部92bの傾斜角度が45度の場合に比べて係合穴92aの対向する内面部から離れる。これにより、第2押上げ部材92のバネ取付部92bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材92の係合穴92aの対向する内面部までの給紙方向の長さが、上述した第1実施形態の場合(バネ取付部82bの傾斜角度が45度の場合)よりも、大きくなる。このため、より容易に、第1押上げ部材91と第2押上げ部材92とを組み立てることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、第1実施形態では、画像形成装置の一例として熱転写プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、画像形成装置であれば、熱転写プリンタ以外のインクジェットプリンタやレーザプリンタなどの他の画像形成装置にも適用可能である。
また、第1実施形態では、第2押上げ部材のバネ取付部82bの傾斜角度を45度に設定した例を示したが、本発明はこれに限らず、45度以外の傾斜角度に設定してもよい。
また、第1実施形態では、第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向の長さL1およびバネ取付部82bの先端部から第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向の長さL3の両方が、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向の長さL2よりも大きくなるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、第2押上げ部材82のバネ取付部82bに取り付けられた引っ張りコイルバネ83の他方端部83bから第2押上げ部材82の係合穴82aの対向する内面部までの給紙方向の長さL1のみが、第1押上げ部材81の係合部81aの給紙方向の長さL2よりも大きくなるように形成してもよい。
また、第2実施形態では、第2押上げ部材92のバネ取付部92bの傾斜角度を大きくすることによって押し上げ部材90をより組み立て易くした例を示したが、本発明はこれに限らず、第2押上げ部材の係合穴の給紙方向の間隔を大きくしてもよいし、第1押上げ部材の係合部の給紙方向の長さを小さくしてもよい。
また、第2実施形態では、バネ取付部92bの第2押上げ部材92の主表面に対する傾斜角度を60度〜80度に設定した例を示したが、本発明はこれに限らず、第2バネ取付部の第2押上げ部材の主表面に対する傾斜角度を、60度〜80度以外の、45度より大きい傾斜角度に設定してもよい。