JP4595816B2 - エンジンのデコンプ装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、ロッカカバー内に回転可能に配設されたデコンプシャフトに形成されるデコンプカムと、ロッカアームのバルブ側の端部に作用するデコンプピストンと、このデコンプピストンをデコンプカム側に付勢する弾性部材とを備え、デコンプカムの回動によりデコンプピストンがロッカアームのバルブ側の端部を押し下げることでバルブを開いて筒内圧を低減するデコンプ装置が記載されている。
本発明は、このような従来の問題に着目してなされたものであり、比較的簡単な構成でデコンプ中の騒音を抑制できるエンジンのデコンプ装置を提供することを目的とする。
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るデコンプ装置の概略構成を示している。図1に示すように、本実施形態に係るデコンプ装置は、エンジンのシリンダヘッド1に形成された排気ポート2を開閉する排気バルブ3と、この排気バルブ3と略平行に配設される支点部材(ピボット)4と、この支点部材4をその軸方向に移動させるデコンプカム(偏心カム)5と、一端側が上記排気バルブ3のバルブステム3aの上端面(バルブステムエンド)に当接するとともに、他端側が上記支点部材4の上部に当接し、この支点部材4との当接部を中心に揺動するスイング式のロッカアーム6と、このロッカアーム6を揺動させる駆動カム7と、を含んで構成される。なお、本実施形態では、1気筒あたり吸気ポート(図示省略)、排気ポート3がそれぞれ2つずつ形成され、吸気バルブ(図示省略)、排気バルブ3も2つずつ設けられている。
第1当接部6cは、支点部材4の上部(球面凸部)に対応するように球面凹状に形成されており、第2当接部6dは、排気バルブ3のバルブステムエンドに対応する幅を有する曲面部として形成されている。なお、かかる曲面部の前後には壁部6eが設けられており(図では後側の壁部のみが示されている)、ロッカアーム6が排気バルブ3のバルブステムエンド3aから外れるのを防止している。
駆動カム7は、タイミングベルト等を介して、クランクシャフト(図示省略)に連動して回転する排気カムシャフト16に一体形成又は固定されており、上記ロッカアーム6のローラ6bに接触するように配設される。このため、排気カムシャフト16が回転すると駆動カム7も回転し、ローラ6bを介して、ロッカアーム6を支点部材4との当接部を中心(揺動中心として)に揺動させる。すると、このロッカアーム6は支点部材4と当接部を支点として排気バルブ3を押し下げて排気ポート2が開くことになる。
さらに、排気カムシャフト16やロッカアーム6といった、いわゆる動作部材を改造する必要がないことから、その運動性能や耐久性なども変化しないので適用が容易である。
この実施形態は、上記第1実施形態がデコンプカムシャフト14に設けたデコンプカム5を回転させることで支点部材4(ロッカアーム6の揺動中心、支点)を移動させるのに対して、平面部と傾斜(面)部とを有するデコンプシャフト(軸状部材)を用い、このデコンプシャフトをスライドさせることで支点部材4を移動させるようにした点が異なる。
このデコンプシャフト20は、図8(図7のC−C断面図であり、上記図2に対応する図である。)に示すように、支点部材4の底面が接触する部分に、該支点部材4の底面に略平行な平面部20aと、この平面部20aに軸方向に連続する傾斜(面)部20bとを有している。また、デコンプシャフト20の一端側(図では右側)には、該デコンプシャフト20を図で見て左方向に移動させるピストンアクチュエータ21が配設されており、他端側(同左側)には、該デコンプシャフト20をピストンアクチュエータ21側(図で見て右側)へと付勢する戻しスプリング22が設けられている。ここで、デコンプシャフト20の上記他端側(左側)は小径部20cとなっており、戻しスプリング22の取り付けを容易にすると共に、デコンプシャフト20の(左側への)スライドを規制するストッパとしても機能するようになっている。
なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるので省略する。
次に、第3実施形態を説明する。
この実施形態は、上記第1、第2実施形態が、デコンプカム(偏心カム)5やデコンプシャフト20によって、いわば機械的に支点部材4を移動(上下)させるのに対して、油圧を利用して(油圧駆動により)支点部材4を移動させるようにした点が異なる。
以上の構成において、通常の運転状態では、三方弁36は、図示しないコントロールユニットにより、第2油圧通路38と油圧戻し通路39とを連通させるように駆動される。この場合、油圧室30内には油圧が供給されず、また、(油圧があれば)油圧室30から排出されてオイルパンへと戻されることとなり、図10、図11に示すように、支点部材4は取付孔12内の最も下の位置となる(すなわち、突起部4bが取付孔12の底面と接触する)。このとき、アキュームレータ34には、エンジンのオイルギャラリから第1油圧通路37を介して作動油が流入し、油室34cの容積は空気室34bの圧力とバランスするまで増加することになる(すなわち、通常運転時に油圧が蓄圧される)。
この実施形態は、上記第3実施形態が、取付孔12の底部に油圧室30が設けられている(支点部材4とは別に油圧室30が設けられている)のに対して、支点部材4と油圧室30とが一体化されている点が異なる。
以下、本実施形態の構成を図14(図1、7、10に対応する図である)、図15に基づいて説明するが、上記第3実施形態と同一の構成(部品)については同一の番号を使用してその説明は省略することとし、異なる構成についてのみ説明する。
ロアケース400は、その外径寸法が支点部材4の外径寸法とほぼ同じ有底円筒形状を有しており、支点部材4の下部に圧入によって固定される。そして、このロアケース400の内側、すなわち、支点部材4の底面との間に形成される空間が油圧室30となる。
かかる実施形態としても、上記第1〜3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、支点部材4と油圧室30とを一体化しているので、第3実施形態に比べて、シリンダヘッド1側の加工やシリンダヘッド1への組立が容易となるという利点がある。また、デコンプ時のバルブリフト量(排気バルブの着座面との隙間;デコンプリフト量)を、デコンプピストン401のロッド401の長さとロアケース400の底面の肉厚との差によって管理できるので、簡単な構成で適当なデコンプリフト量を確保できる。なお、本実施形態においても、各気筒の2つの排気バルブ3の一方のみを開弁する構成、両方を開弁する構成、排気バルブ3に代えて吸気バルブを開弁する構成のいずれを採用してもよいのはもちろんである。
なお、片摩耗を防止するという観点からは、デコンプピストン401が少しでも回転すればよく、油圧供給孔の数や形状、デコンプピストン上面のリブの数や形状、デコンプピストンが回転する量の大きさ、並びにデコンプピストンの回転方向を問わない(移動中に回転方向が切り換わることも含む)ことは明らかであり、いずれの場合も本発明に含まれるものである。
本実施形態は、上記第1〜第4実施形態が支点部材4としてバルブクリアランスを自動的に0に調整するHLAを用いているのに対し、バルブクリアランスを手動(ネジ)調整する、いわゆる機械式支点部材(機械式ピボット)40を用いている点が異なる。その他の構成は上記第3、第4実施形態と同様(図10、図11等参照)であるので、相違点のみを説明する。
一方、エンジン始動時においては、三方弁36によって第1油圧通路37と第2油圧通路38とを連通させるようにする。これにより、図21(上記図13に対応する図である)に示すように、アキュームレータ34で蓄圧された油圧が油圧室30に供給されることとなり、支点部材40はロア部43に設けた凸部43cが止め輪32に突き当たるまで押し上げられる。これにより、排気バルブ3が開弁して筒内の圧縮圧力を逃がすデコンプ状態となる。なお、始動完了後の動作も上記第3、第4実施形態と同様である。
なお、以上説明した各実施形態においては、エンジン始動時に排気バルブ3を開弁することで筒内圧を低減する構成としているが、吸気バルブ側も排気バルブ3側と同様に構成し、吸気バルブを開弁することで筒内圧を低減するようにしてもよい。また、各気筒において、排気バルブ又は吸気バルブのうちの少なくとも1つを開弁するように構成すればよいことはもちろんである。
Claims (8)
- クランクシャフトに連動して回転する駆動カムによって揺動されるスイング式のロッカアームが機関バルブを開弁させるエンジンにおいて、
前記ロッカアームは、その一端側の下面が前記機関バルブのバルブステムエンドに、他端側の下面が支点部材にそれぞれ当接するとともに、前記駆動カムは前記ロッカーアームの一端側と他端側との間の上面で前記ロッカーアームと当接し、この支点部材との当接部を揺動中心とする構成であって、
前記支点部材は、シリンダヘッドに埋設され、
前記支点部材の下方に設けられた油圧室と、
前記油圧室に油圧を供給する油圧供給装置と、を備え、
エンジン始動時に、前記油圧供給装置によってエンジン本体のオイルギャラリから前記油圧室に供給される油圧に応じて、前記支点部材を上下方向に移動させて前記ロッカアームの揺動中心を移動させることで前記機関バルブを開弁させることを特徴とするエンジンのデコンプ装置。 - 前記支点部材の下部にロアケースが取り付けられ、該ロアケース内に前記油圧室が形成されることを特徴とする請求項1記載のエンジンのデコンプ装置。
- 前記ロアケースが前記支点部材に固定されるとともに、
前記油圧室内に、前記油圧供給装置から供給される油圧に応じて該油圧室内を上下方向に移動するとともに前記ロアケースの底面に形成された貫通孔を通過可能なロッド部を有するデコンプピストンを設け、
前記デコンプピストンが前記油圧室内を下降し、前記貫通孔から突出した前記ロッド部の長さに応じて前記支点部材及び前記ロアケースを上昇させることを特徴とする請求項2記載のエンジンのデコンプ装置。 - 前記デコンプピストンは、前記上下方向の移動に伴って回転することを特徴とする請求項3記載のエンジンのデコンプ装置。
- 前記油圧室の側壁に、供給した油圧を該油圧室内で所定の方向に旋回させるよう径方向に対して傾斜させた油圧供給孔を複数形成するとともに、
前記デコンプピストンの上面に、径方向に延びるリブを複数形成したことを特徴とする請求項4記載のエンジンのデコンプ装置。 - 前記ロアケースは、圧入、ねじ締結又はロールカシメ締結により前記支持部材に固定されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載のエンジンのデコンプ装置。
- 前記油圧供給装置はアキュームレータを含んで構成され、
エンジン運転中に蓄積した油圧を前記油圧室に供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のエンジンのデコンプ装置。 - 前記支点部材として、ハイドロリック・ラッシュ・アジャスタ(HLA)を用いたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のエンジンのデコンプ装置。
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