JP4595258B2 - 自動操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動操舵装置に関し、特に車両が車線内保持走行を行うための自動操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動操舵装置は、自車が走行する車線を検出する車線検出部、自動操舵に必要な情報を算出する演算部、この演算部の情報に基づいて操舵輪を制御する操舵アクチュエータによって構成され、操舵アクチュエータからステアリングを制御することにより車両の自動操舵を実現している。
【0003】
車線検出部としては、▲1▼区分車線をカメラ等を用いて視覚的に検出する車線区分線検出部、▲2▼車線内に磁石や電波発信機から成るマーカー列を敷設し、このマーカー列を磁気センサや電波アンテナで検出するマーカー列検出部、などが一般的に知られている。
【0004】
動作において、演算部は、車線検出部によって検出された車線区分線と車両との相対位置(例えば、車線幅中央位置、区分車線位置又は車両基準位置)を求めると共に目標車線内位置を決定する。操舵アクチュエータは、この目標車線内位置に基づき、運転者に代わって操舵輪を操舵する。
【0005】
通常は、車線内の中央を走行することが望ましいと考えられるので、上記の車線区分線検出部▲1▼の場合には車線幅の中央を自動操舵の目標車線内位置として制御を行い、また、上記のマーカー列検出部▲2▼の場合には、目標車線内位置としてマーカー列が車線幅の中央に敷設されており、自動操舵装置は該マーカーを目標車線内位置として制御を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
車線区分線検出部▲1▼により検出する場合には、検出対象となる車線区分線はすでに整備されているため、自動操舵のために道路に対する新たな開発や整備を行わなくて済む反面、車両にカメラなどを設置する際に光軸を調整する必要があり、設計上想定した光軸にカメラ光軸を合致させないと左右方向の位置検出などに誤差を生じてしまうという問題点がある。
【0007】
一方、マーカー列検出部▲2▼の場合には、磁石や電波発信機という視覚的でない方法でマーカー列を検出しているため積雪など気象条件に関わらず高い精度でマーカー列を検出ができる反面、マーカー列のインフラは現状では少ないため新たに設置が必要とされ、実用性に乏しいという欠点がある。
【0008】
すなわち、車両の車線内位置を検出する上ではマーカー列を検出する方が精度が高いが、現状ではそのインフラが整っていないためマーカー列検出部のみによる自動操舵装置は実用性が低い。
その一方で、車線区分線検出部を利用する場合には検出精度は落ちるが既存の車線区分線を利用することができるため検出精度を上げることができれば高い実用性を発揮することができる。
【0009】
そこで本発明に係る自動操舵装置は、マーカー列が検出できない状態が発生しても、車線区分線を利用して高い精度で車線内保持走行が実現できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決する手段】
上記の目的を解決するため、本発明に係る自動操舵装置は、図1に原理的に示すように、車線区分線を検出する車線区分線検出部1と、走行路上のマーカー列を検出するマーカー列検出部2と、該車線区分線または該マーカー列から目標車線内位置を求める演算部3と、該目標車線内位置に基づいて操舵制御を行うアクチュエータ4と、を備えた自動操舵装置において、該演算部3は、該マーカー列及び車線区分線が検出されているときには、該マーカー列に基づいて算出される第2車線内位置を該目標車線内位置とすると共に、該車線区分線から算出される第1車線内位置と前記第2車線内位置との偏差から補正値を算出し、該車線区分線が検出されており該マーカー列が検出されていないときには、該車線区分線から算出された該第1車線内位置と前記補正値とから該目標車線内位置を求めることを特徴としている。
【0011】
すなわち本発明においては、車線区分線検出部1が車線区分線を検出し、マーカー列検出部2が走行路上のマーカー列を検出する。そして演算部3は、該車線区分線から第1車線内位置を算出し該マーカー列から第2車線内位置を算出して目標車線内位置とする。
【0012】
そしてさらに、演算部3は、両車線内位置の偏差から補正値を算出して記憶しておき、車線区分線は検出されたが該マーカー列が検出されなかったときに該補正値に基づき第1車線内位置を補正する。このようにして、精度の高いマーカー列により得られた第2車線内位置に基づいて第1車線内位置のずれを補正しておくことにより、マーカー列が敷設されていない走行路において、例えば車線区分検出部にカメラが用いられていて且つその光軸がずれているような場合でも、第1車線内位置をより正確な値にすることができるため、より精度の高い自動操舵を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2は、図1に原理的に示された本発明に係る自動操舵装置の一実施例の構成図を示したものである。この実施例において、演算部3は、車線区分線検出部1からの装置故障信号を含む車線情報、マーカー列検出部2からの装置故障信号を含む車線情報、制御ON/OFFスイッチ5からの自動操舵制御ON/OFF信号及び選択スイッチ6からの選択スイッチ信号を読み込む入力部11と、この入力部11からの出力信号を用いて自動操舵制御に関する演算処理を行うCPU12と、演算処理でCPU12が使用するRAM13と、制御プログラムや制御パラメータを格納しておくROM14と、CPU12で演算された出力データに従って操舵アクチュエータ4を駆動する出力部15と、車両電源からこれらの各部に必要な電源を供給するための電源部16とで構成されている。
【0015】
ここで、車線区分線検出部1は、車線区分線を視覚的に検出するカメラと画像処理装置との組み合わせで構成され、自車を基準として検出した車線の相対位置に関する情報と装置故障の有無に関する情報を出力するものである。
マーカー列検出部2は、道路に敷設されたマーカー列を検出するレーンマーカー・センサーと信号処理装置との組み合わせにより構成され、自車を基準として検出された車線、すなわちマーカー列の相対位置に関する情報と、装置故障の有無に関する情報を出力する。
【0016】
操舵アクチュエータ4は、出力部15からの出力によりステアリング(図示せず)を介して車両の操舵輪を自動的に作動させるものである。
制御ON/OFFスイッチ5は、運転者の操作に従い自動操舵制御の開始及び解除を切り替えるためのスイッチである。
【0017】
選択スイッチ6は、運転者の操作に従い、車線区分線検出部1とマーカー列検出部2のどちらを自動操舵制御に用いるかを選択して切り替えるスイッチである。なお、スイッチ5及び6は本発明に不可欠な構成ではない。
図3は、図2に示した演算部1におけるROM14に格納されている制御プログラムの流れを示したものであり、以下、図3を参照して図2の実施例の動作を説明する。
【0018】
なお、このフローチャートは所定時間間隔で開始されるものとし、制御装置の制御に係る部分のみを記述しているが、CPU12などのハードウェア起動時の初期処理などは省略されている。
また、本フローチャート内で使用する位置は、全て自車左右方向中心線を0として、車両右側を+、車両左側を−として表現するものとする。車線区分検出部1及びマーカー列検出部2も、自車左右方向中心線を0として車線情報を表現しているものとする。
【0019】
まずCPU12は、入力部11を介して入力信号を読み込む。読み込まれる入力信号は、制御ON/OFFスイッチ5からの自動操舵制御ON/OFF信号、車線区分線検出部1からの装置故障信号を含む車線情報、マーカー列検出部2からの装置故障信号を含む車線情報、及び選択スイッチ6からの選択スイッチ信号である(ステップS1)。
【0020】
次に、CPU12は、ステップS1で読み込んだ制御ON/OFF信号により、制御スイッチ5のON/OFFを確認する(同S2)。制御ON/OFFスイッチ5がOFFである場合、自動操舵制御を行わないため、操舵アクチュエータ4を操舵無制御(同S3)として処理を終了する。
【0021】
ステップS2において制御ON/OFFスイッチ5がONであると判定した場合、CPU12は、ステップS1で読み込んだマーカー列検出部2の故障有無信号をチェックする(同S4)。
マーカー列検出部2が故障の場合には、車線区分線検出部1の故障有無信号をチェックし(同S13)、車線区分線検出部1も故障の場合には、操舵アクチュエータ4を無制御として終了する(同S3)。
【0022】
車線区分線検出部1が正常の場合には、CPU12は、ステップS1で読み込んだ車線区分線検出部1からの出力信号により車線区分線の有無をチェックする(同S14)。車線区分線が無いと判定した場合は、操舵アクチュエータ4を無制御として終了する(同S3)。
【0023】
ステップS4において、マーカー列検出部2が正常の場合には、CPU12は、走行路のマーカー列の有無をマーカー列検出部2からの出力信号によりチェックする(同S5)。ステップS5において、CPU12がマーカー列が無いと判定した場合は、ステップS13に進む。
【0024】
ステップS5において、マーカー列が有ると判定した場合は、CPU12はステップS1で読み込んだ選択スイッチ信号をチェックする。「車線区分線検出」が選択されている場合はステップS13へ進み、「マーカー列検出」が選択されている場合はステップS7の処理を行う(同S6)。
【0025】
CPU12は、マーカー列検出部2からのマーカー列位置を車線幅中央位置(第2車線内位置)としてRAM13に記憶する(同S7)。
次に、CPU12は、車線区分線検出部1の故障有無信号をチェックし、車線区分線検出部1が故障と判定された場合はステップS12へ進む(同S8)。
【0026】
車線区分線検出部1が正常であると判定された場合、CPU12は車線区分線検出部1からの出力信号により車線区分線の有無を判定する。車線区分線が無いと判定された場合は、ステップS12へ進む(同S9)。
車線区分線が有ると判定された場合は、CPU12は車線区分線検出部1からの車線情報に含まれる左側車線区分線と右側車線区分線の中央を車線幅中央位置(第1車線内位置)として算出し、RAM13に記憶する(同S10)。
【0027】
次に、CPU12は、ステップS10で求めた車線区分線による車線幅中央位置から、ステップS7で求めたマーカー列による車線幅中央位置を減算し、その偏差を補正値としてRAM13に記憶する(同S11)。
次に、CPU12は、ステップS7で求めたマーカー列による車線幅中央位置を操舵制御のための車線幅中央位置とする(同S12)。これは、マーカー列検出が可能であったため、CPU12はあえて車線区分線による車線幅中央位置を操舵制御のために使用する必要が無いからである。
【0028】
一方、ステップS13及びS14において、車線区分線検出部1が正常で車線区分線が有ると判定された場合は、ステップS4で既にマーカー列検出部2が故障していることが分かっているため、車線区分線検出部1による出力信号を用いて操舵制御を行うべく、以下の処理を行う。
【0029】
まず、CPU12は、ステップS10と同様に、車線区分線検出部1からの左側車線区分線と右側車線区分線の中央を車線幅中央位置として算出し、RAM13に記憶する(同S15)。
次に、CPU12は、ステップS11で補正値の算出が行われたか否かをRAM13を確認することにより判定し、行われていればステップS18へ進む(同S16)。補正値の算出が行われていなければCPU12は代用値として補正値に0を代入する(同S17)。
【0030】
次に、CPU12は、ステップS15で求めた車線幅中央位置に、ステップS11又はステップS17で求めた補正値(負値の場合も有る。)を加えて新たな車線幅中央位置としてRAM13に記憶する(同S18)。
以上のようにステップS12又はステップS18で求めた車線幅中央位置から目標車線内位置を決定する(ステップS19)。この場合、車線幅中央位置をそのまま目標車線内位置としてもよいが、左右方向に若干オフセットするように設定してもよい。
【0031】
ステップS19で求められる目標車線内位置は、自車左右方向中心線を基準としているので次のようになる。
(a)目標車線内位置=0:目標車線内位置が自車左右方向中心線上にある。
(b)目標車線内位置<0:目標車線内位置が自車左右方向中心線より左側にある。
(c)目標車線内位置>0:目標車線内位置が自車左右方向中心線より右側にある。
【0032】
このようにして決定した目標車線内位置を上記のいずれに該当するかを判定する(同S20)。
すなわち、目標車線内位置=0の場合(a)には、自車左右方向中心線上に目標車線内位置が存在するので、操舵アクチュエータ4を中立保持するように制御する(同S21)。
【0033】
また、目標車線内位置<0の場合(b)には、目標車線内位置が自車左右方向中心線より左側にあるので、操舵アクチュエータ4を左転舵制御する(同S22)。
さらに目標車線内位置>0の場合(c)には、目標車線内位置が自車左右方向中心線より右側にあるので、操舵アクチュエータ4を右転舵制御を行う(同S23)。
【0034】
なお、上述の如く、同図のフローチャートは所定時間間隔で開始されるものであり、図1に示した電源部36を介して演算部3に車両電源が供給されている間は、制御スイッチ5がOFFの状態であっても処理が開始される。すなわち、制御スイッチ5がOFFである間は、ステップS1〜S3の処理が繰り返される。
【0035】
また、上述の実施例では車線内位置の一例として、車線幅中央位置を用いて説明したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば車線区分線との所定距離距離又は比率等を用いて算出することもできる。
図4は、車線区分線20とマーカー列21が併用されている走行路(同図(1))と車線区分線20のみが用いられている走行路(同図(2))の各自動操舵を比較して示した図である。車線区分線20は車線区分線検出部1により検出され、マーカー列21はマーカー列検出部2により検出される。
【0036】
同図(1)は、第1車線内位置22が車線区分線20に基づき算出され、第2車線内位置23がマーカー列21に基づき算出された例を示している。
この例では両方の車線内位置が得られているので、自動操舵には車線内位置23が用いられる。偏差24は車線内位置22と車線内位置23の偏差を示しており、この偏差24の分だけ車線区分線検出部1により誤って検出されているとしてRAM13に記憶される。
【0037】
同図(2)は車線区分線20のみが用いられ、マーカー列21が走行路上にない場合である。車線内位置22は車線区分線21に基づき算出されるが、マーカー列21が無いため、RAM13に記憶されていた偏差24により補正され、このときの車線内位置22により自動操舵を行う。
【0038】
このようにマーカー列21が無い場合でも、車線区分線20とマーカー列21が併用されている走行路で算出された偏差24に基づき車線内位置22が補正され、より正確な自動制御が実現される。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自動操舵装置によれば、精度の高いマーカー列により得られた第2車線内位置に基づいて第1車線内位置のずれを補正することが可能となる。
【0040】
よってマーカー列が敷設されていない走行路において、例えば車線区分検出部にカメラが用いられていて且つその光軸がずれているような場合でも、第1車線内位置をより正確な値にすることができるため、より精度の高い自動操舵を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動操舵装置を原理的に示した図である。
【図2】本発明に係る自動操舵装置の一実施例を示したブロック図である。
【図3】図2に示した本発明に係る自動操舵装置の実施例に用いられる制御プログラムを示したフローチャート図である。
【図4】本発明に係る自動操舵装置の実施例による動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 車線区分線検出部
2 マーカー列検出部
3 演算部
4 操舵アクチュエータ
5 制御ON/OFFスイッチ
6 選択スイッチ
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (1)
- 車線区分線を検出する車線区分線検出部と、
走行路上のマーカー列を検出するマーカー列検出部と、
該車線区分線または該マーカー列から目標車線内位置を求める演算部と、
該目標車線内位置に基づいて操舵制御を行うアクチュエータと、
を備えた自動操舵装置において、
該演算部は、該マーカー列及び車線区分線が検出されているときには、該マーカー列に基づいて算出される第2車線内位置を該目標車線内位置とすると共に、該車線区分線から算出される第1車線内位置と前記第2車線内位置との偏差から補正値を算出し、該車線区分線が検出されており該マーカー列が検出されていないときには、該車線区分線から算出された該第1車線内位置と前記補正値とから該目標車線内位置を求めることを特徴とした自動操舵装置。
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- 2001-07-03 JP JP2001202110A patent/JP4595258B2/ja not_active Expired - Fee Related
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