JP4595062B2 - スピーカ用振動板のエッジとその製造方法 - Google Patents

スピーカ用振動板のエッジとその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な構成によるスピーカ用振動板のエッジとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1、図2、図3により、スピーカの構造を説明すると、1はスピーカを示し、2は、マグネット2aによって通常9000〜12000ガウスの磁束密度の円環状磁気空隙2bを形成した磁気回路であり、その外側をフレーム7で保持固定している。3はボイスコイルで、前記円環状磁気空隙2b内に、磁壁に触れないように懸垂され、ボイスコイルボビン3aはダンパ4を介して前記フレーム7に取り付けられている。前記ボイスコイルボビン3aの先端に、截頭円錐状振動板5の先端中心部が接着固定されている。エッジ6の内周と外周は、それぞれ振動板5の外周と接着される内側貼付糊代6aと、フレーム7の外縁部に接着される外側貼付糊代6cが形成され、それらの中間に、ダンパ4とともに振動板5の振動コンプライアンスを持たせる畝状突起6bが形成されている。
【0003】
しかして、前記ボイスコイル3に外部から音声電力を入力すると、ボイスコイル3の周囲に生ずる磁界が、円環状磁気空隙2b内の磁束と誘導してボイスコイル3が軸方向に振動駆動される。そして、そのボイスコイル3の振動が振動板5に伝導されて音声を発生するのである。
【0004】
次に従来のスピーカ用振動板5のエッジ6’の製造工程を、図6〜7に基づいて説明する。図6はその製造過程のエッジ型取り態様を示す図、図7は基布10からエッジ6を打ち抜く加工工程によってその工程を示す図である。而して、1.5m幅の長尺布素材(基布10)を巻枠から延伸して、支持台19の上でコーティングナイフ18によってコーティング樹脂17をスクィーズ方式によりコーティングして、加熱用電熱線25を装備した熱処理装置27等によって熱処理等して、型付けプレス装置24’により型付け成形をした後、外形切断機26の打ち抜き金型によって樹脂17をコーティングした基布10を円環状に打ち抜いて、エッジ6’を成形したものが多く使用されている。図4はスピーカ用振動板のエッジ6,6’の外観構造を、図5は本発明のスピーカ用振動板のエッジ6の断面拡大構造(図4の一点鎖線の円)の断面図をそれぞれ示す。
【0005】
そして、前記熱処理後、型付けプレス装置24’により型付け成形時、円環の半径方向の中心に、外周と同心的の円環状にコンプライアンス用の畝状突起6bを形成して、その内周と外周に所要幅の貼付用の糊代6a,6cが形成してあり、それぞれの下面又は上面に接着剤が塗着されている。それらの貼付用の糊代6a,6cは、エッジ6の内周に振動板5の外周が、エッジ6’の外周6cにフレーム7の外縁部が接着される。このようにして、エッジ6’は振動板5をフレーム7に懸垂して保持し、ダンパ4とともに振動板5の振動に前記畝状突起6bによってコンプライアンスを持たせて、振動板5を軸方向には自由に振動させるが、横方向には振動を抑止する機能をするのであり、前記ボイスコイルボビン3aの先端に、截頭円錐状振動板5の先端中心部が接着固定されてボイスコイル3の振動を振動板に伝導する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、従来のこの種スピーカ用振動板5のエッジ6にあっては、前記した製造工程において、基布本体10全体表面にコーティング樹脂17をコーティングした素材を、外形切断機26で円環状に外形を打ち抜いて成形してエッジ6として仕上げて、外形を円環状に打ち抜く際、材料の不要部分の大きな打ち抜き滓16が発生して、製品の歩留まり率が25%程度しかないという不経済性があるので、コストの軽減が焦眉の問題となっているのみならず、打ち抜き滓16の不使用部分を産業廃棄物として処理する以外処理方法がないので、環境的にも解決が急がれている現状である。また、このような従来のエッジ6’は、スピーカ1に装着した時、エッジ6’としての性能的に、含浸樹脂の含浸状態の不均一、及びコーティング樹脂17の付着状態の不均一に基づく品質ムラが多いので、スピーカの振動板5及びエッジ6からなる振動系の部分的共振による歪音の発生を促し、基本周波数(f)のバラツキが大きくなるという欠点があった。
【0007】
さらにまた、このような従来のスピーカ用振動板のエッジ6’に、あっては一旦コーティング樹脂17を付着すると、その素材は工程途中において振動の弾性(コンプライアンス)の変更、補正や修正はできないという問題もあった。さらにまた、エッジ6の円周方向の硬さ(ステイフネス)を部分的に、意識的に変化させて、振動板5の共振を抑止し、あるいはまた、逆に振動板5の共振を強調する等の加工を施して、スピーカ1の周波数特性を変更するというようなことも不可能であった。
【0008】
本発明は、基布となる織布に、樹脂をスクリーン印刷手段により円環形状にコーティングして裏面層を成層し、その外側表面に他の樹脂を同様の手段で円環状にコーティングして積層し、その上に、別の合成樹脂を前記と同様の手段で円環状にコーテイングして積層して、その後、外形を打ち抜き整形して、成形することによって、必要最小限度量の樹脂量によつて、必要部分だけに弾性(コンプライアンス)を保持させることができ、その弾性の全体的また部分的調整も必要に応じて個々に行うことが出来るとともに、製品の歩留まり率が向上してコスト節減の向上を図るとともに、原材料の廃棄分も基布布地本体10の打ち抜き滓16のみであるので、産業廃棄物としても微小な量で、環境を害することをなくすることを目的とするスピーカ用振動板5のエッジ6の構造を提供するものである。
【0009】
該目的を達成するための本発明のスピーカ用振動板のエッジ構造の構成を、実施例に対応する図面を用いて説明する。図中、図1はスピーカの構造を示す断面図、図2は図1のスピーカの半截断面図、図3は図1のスピーカの4半截断面図、図4はエッジの外観図であり、そして、図4の一点鎖線の円形で囲んだ一部断面の拡大部分に相当する本発明のスピーカ用振動板5のエッジ6の断面を図5に示す。図8は本発明のエッジの基布の加工工程の態様を示す模式図、図9は本発明エッジの製造工程を示す模式図と、その各段階における断面を示す模式図である。図10はスピーカの振動板の節円振動を示す平面図、図11は図10のスピーカの振動板の節円振動の断面を示す図、図12はスピーカの振動板の分割節振動を示す平面図、図13は図12のスピーカの振動板の分割節振動の断面を示す図である。図14は制振層をエッジの畝状突起の内側に円環状に転写成形してコーティング材を成層形成したエッジを装着したスピーカを示す平面図、図15は図14のスピーカの面図、図16は制振層をエッジの畝状突起の表面全面、又は、畝状突起の全面に、円周方向に斑模様風に放射状にコーティング制振材層を転写形成したエッジを装着したスピーカを示す平面図、図17は図16のスピーカの面図である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような従来のスピーカ用振動板5のエッジ6が有していた課題を解決するために、第1発明は、基布として30〜460メッシュのテトロン(登録商標)からなる織布10の外側裏面に、防水性のフッソを配合したオレフィン系樹脂をスクリーン印刷手段により円環形状にコーティングして織布10の繊維の内部に一定の深さに包埋して充填することにより裏面層13として成層し、前記布10の外側表面に他の異質の耐候性のアクリル系樹脂を同様の手段円環状にコーティングして表面第一層11を積層し、その上に、また別の制振性のSBR樹脂を前記と同様の手段で円環状にかつ表面的に、さらに部分的に厚さを変化して成層し、部分的に制振性能を変化させたコーティングを施して表面第二層12を積層したこと特徴とするスピーカ用振動板のエッジである
【0011】
第2発明は、張力を加えて展延した基布となる織布10の上面に、スクリーン印刷手段を応用することによって、チクソ性を付与した超高分子アクリルエマルジョンの耐候性基礎コーティング材を円環状に転写して表面第一層11を成形し、その上に、スクリーン印刷法によって円環状に、SBR、NBR等のゴムラテックスの共振勢力を制動するコーティング材を転写して表面第二層12を成形し、また、前記布10の裏側下面一面に、シルクスクリーン法によって円環状に、オレフィン樹脂の防水機能を保持する目止めコーティング材の裏面層13と、さらに、前記裏面層13の下面外周部分及び内周部分に、それぞれホットメルト接着剤14と接着剤15からなる防水構造を積層形成し、熱処理加工後、内側貼付糊代6a、畝状突起6b、及び外側貼付糊代6cを型付けプレス機24によって成形し、所要の円環形状に外形切断機26によって外形を打ち抜き成形することを特徴とするスピーカ用振動板のエッジ6の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のスピーカ用振動板のエッジ6の構造を形成する製造工程を示す図8、図9によって説明する。図9の白中抜き矢印は各工程における断面を拡大した図である。▲1▼基布となる綿布10例えばポリエステルの織布等の伸縮性のある布地を張力を加えて展延しておき、▲2▼耐候性を目的とした基礎コーテイング材として、チクソ性を付与した超高分子アクリルエマルジョンの表面第一層11を、シルクスクリーン法を応用したスタンパ20によって、基布10の一面(例えば上面)上に円環状に転写して成層成形する。▲3▼その上に、SBR、NBR等のゴムラテックスを、共振勢力を制動する制振性コーティング材12を、同様のシルクスクリーン法を応用してスタンパ21を押圧することにより、前記表面第一層11の上に、円環状に転写成形して表面第二層12として成層形成する。
【0013】
▲4▼次に、基布10を裏返して、それまで成層したコーティング材層11,12の下方に相当する基布10の下面に、防水機能を保持するオレフィン樹脂の層13をスタンパ22によって、円環状に前記と同様のシルクスクリーン法を応用して成層形成して、ピンホールを目止めするコーティング材層13とする。▲5▼さらに、下面の外周部分及び内周部分にスピーカフレーム7及び振動板に熱接着するためのホットメルト接着剤14,15を、接着剤塗着スタンパ23によって塗着する。▲6▼しかる後、加熱用電熱線25を装着して、加熱した型付けプレス装置24の凹凸の金型によって押圧して、外形型付けを行うとともに、熱処理を施す。▲7▼しかして後、前記の所要の円環形状に外形切断機26によって外形を打ち抜き成形する。
【0014】
このような工程によって製造加工したエッジ6は、シルクスクリーン法を応用することによって、従来実施不可能であったテトロン等の伸縮性を有する基布10の面上にも、円環状に樹脂を転写して基礎コーティング材を成形することができ、耐候性を有する超高分子アクリルエマルジョンの第一層11とともに、その上に形成された優れた制振性を有するコーティング材12と相俟ってエッジ6に良好な環境効果を与えるとともに、裏面層13はピンホールが発生し難いため優れた防水効果を発揮できる。また、これら各成層11,12,13の全体的な厚さは自由に変化できて、さらに、部分的にも厚さを変化して、精密な共振の調節が容易に可能となるので、スピーカの基本共振周波数(f)の調整に特に有効であるとともに、振動板、エッジの着色において色分けも自由にできる。
【0015】
また、スピーカ1の振動板は、低い周波数においては、図3に示したように、振動板5全面が所謂ピストン振動をなして同位相で振動し、エッジ6も全周に亙って同位相で振動するが、図10、図11に示すように振動板5が振動によって同心円環状の節円状振動節28を発生して、振動板5の分割節振動を発生たり、また、図12、図13に示すように、直径方向の振動節28を生ずる振動をして、その中間が振動腹29となる分割節振動を発生するような高周波数において、歪音発生の原因になったりすることがあるが、本発明のスピーカ振動板用エッジ6は、その畝状突起6bを中心とする制振材料12の表面第二層の振動的柔軟さ及び重量(密度)によって、振動板5の外周に伝達される前記の不要な振動による共振勢力を吸収して、振動板5の内方に反射することを抑止するので、スピーカ1は、歪音のない優れた音響再生が可能となる。
【0016】
また、エッジ6を構成する重量に基づく共振勢力を制動する制振材12としてコーティングしたゴムラテックスは、安価で、耐候性に富み、その柔軟性によって制振効果が大きく、シルクスクリーン法を応用したコーテイング工程において、図14、15、16、17に示すように、積み厚さを加減できるので自由に共振勢力の抑制力を強弱に調節できるとともに、コーテイング場所を選択して部分的に制振状態を変化することもできる。さらに、エッジ6の円環状の表面で円周方向に例えば斑模様風に放射状に制振材層12の厚さを変えて形成して、エツジ共振し易い部分にだけコーテイングする等の制振性の変化をつけることもできる。
【0017】
スピーカの特性を示す表1〜5において、最上位のカーブは軸上の周波数特性、第2段位のカーブは、第2次高調波の周波数特性、第3段位のカーブは、第3高調波の周波数特性、最下段位のカーブは、ボイスコイルのインピーダンス特性を示す。
【0018】
表1は、フェノール樹脂5gを含浸加工した、1.5m幅の基布10を110g採り、これにコーティングナイフによってゴム60gをコーティングした従来例エッジを装着した16cmφのスピーカの特性を示し、f〜20,000Hzの軸上の周波数特性のレベル差が22dB、ボイスコイルのインピーダンスが最高12Ωを示している。また、エッジの重量を含めた振動板の重量が大きいので、最低共振周波数fが77.46Hzになっており、所謂中音の谷の周波数のアバレが6dBと小さくなっていることを示している。
【0019】
【表1】
Figure 0004595062
【0020】
表2は、SBR、NBR等のゴムラテックスの制振層12を、畝状突起6bの全面にシルクスクリーン法によって転写成形してコーティング材12を成層形成した16cmφの本発明スピーカの特性を示し、fは、70.20Hzに低くなっており、表1の従来例のスピーカに比して、f〜20,000Hzの軸上音圧周波数特性において、最大、最小のレベル差が13dBに止まっており、ボイスコイルのインピーダンスが最高9Ωに、また、中音の谷の周波数のアバレが5.5dBとなっており、中音の歪みが小さいことを示し、本発明のエッジ6を装着したスピーカの特性が、従来例のエッジを装着したスピーカに比して良くなっていることを示して、本発明のエッジ6の効果を遺憾なく示している。
【0021】
【表2】
Figure 0004595062
【0022】
表3は、図14、15にその構造を示す、SBR、NBR等のゴムラテックスの制振層を、畝状突起6bの内側にシルクスクリーン法によって円環状に転写成形してコーティング材で表面第二層12を成層形成30した16cmφの本発明スピーカの特性を示し、fは、表1と同じ77.46Hzになっているが、表1の従来例のスピーカに比して、f〜20,000Hzの軸上音圧周波数特性において、最大、最小のレベル差が16dBに止まっており、ボイスコイルのインピーダンスが最高8Ωに、また、中音の谷の周波数のアバレが5dBと小さくなっており、中音の歪みが小さいことを示し、本発明のエッジ6を装着したスピーカの特性が、従来例のエッジ6’を装着したスピーカに比して良好となっていることを示している。
【0023】
【表3】
Figure 0004595062
【0024】
表4は、図16、17にその構造を示す、SBR、NBR等のゴムラテックスの制振層を、エッジ6の円環状の表面全面、又は、畝状突起6bの全面において、シルクスクリーン法によって円周方向に斑模様風に放射状にコーティング制振材で表面第二層12を転写形成31した、16cmφの本発明スピーカの特性を示す。fは、表1と同じ74.00Hzになっているが、表1の従来例のスピーカに比して、f〜20,000Hzの軸上音圧周波数特性において、最大、最小のレベル差が14.3dBに止まっており、ボイスコイルのインピーダンスが最高9.5Ωに、また、中音の谷の周波数のアバレが5dBと小さくなっており、中音の歪みが小さいことを示し、本発明のエッジを装着したスピーカの特性が、従来例のエッジを装着したスピーカに比して良くなっていることを示している。本発明のエッジ6は、このように円環状の表面でエッジ共振し易い部分にだけコーティングする等の変化をつけて、部分的に厚さを変化することによって、制振性能を変化させることもできるスピーカ用振動板のエッジ6である。
【0025】
【表4】
Figure 0004595062
【0026】
表5は、フェノール樹脂の含浸濃度1%に加工した基布10を使用した場合の前記表2の実施例エッジと同一構造のエッジを使用した16cmφのスピーカの特性を示す。基布の樹脂含浸濃度が低いので、fは、64Hzと低くなり、ボイスコイルのインピーダンスは、最高11Ωとなり、f〜20,000Hzの軸上音圧周波数特性において、最大、最小のレベル差が14dBに止まっており、また、中音の谷の周波数のアバレが5.0dBとなっており、中音の歪みが小さいことを示し、従来例のエッジを装着したスピーカに比して、第1高調波歪み、第2高調波歪み特性は、極めて良好になっていることを示して、本発明のエッジの効果を遺憾なく示している。
【0027】
【表5】
Figure 0004595062
【0028】
このように、本発明スピーカの振動板のエッジは、重量が適度に大きく、大きな厚さが得られ、分割振動が発生し難く、歪みが少なく、本発明のエッジを装着したスピーカは、その特性をスピーカの用向きに応じた特性のエッジの構成を自由に選択てできるので、多品種多量生産に好適であって、従来例のエッジを装着したスピーカに期待できなかった特性の均一性、耐候性、耐水性、歪み特性等において、本発明のエッジの効果を遺憾なく示している。
【0029】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から既に明らかなように、本発明のスピーカ用振動板5のエッジ6は、前記のとおりの構造としたものであるから、基布の材質は、伸縮性のある材料でもコーテイングでき、材料の不要部分の打ち抜き代が小さく、製品の歩留まり率が60%以上となって、コストの軽減に大いなる貢献をなし、また、不使用部分を産業廃棄物として処理する部分がわずかな量であり、未処理の生地のままであるので、環境的にも問題が軽減される。すなわち、本発明のスピーカ用振動板5のエッジ6は、前記のとおりの構造としたものであるから、基布の実使用量は、少量であり、材料費が低減でき、加工に要するコーテイング材料11,12,13も、従来のベッタリ一面ではなく、必要部分のみの小面積であるので、使用量が従来の約3分の1で用が足りる。また、各種のコーティング材を各層で使い分けが可能であり、スピーカ1の用向きに応じた細かい音質の対応ができるとともに、振動板及びエッジの着色も種々の色合いの差別着色が可能である。
【0031】
コーティング材11,12,13の付着後、連続工程で直に畝状突起6bを成形できるので、振動特性が均質に安定し、スピーカ1の基本周波数(f)がバラつきが少なく安定して、スピーカ1の品質向上に資することができる。さらに、それぞれの成層コーティング材11,12,13は、分子構造が安定して、反応が完了しているので、ピンホールを発生する虞れがなく、経年的変質も無視できるので、長期間安定した品質を保持できる。
【0032】
また、本発明のスピーカ用エッジ6は、その成層コーティング材11,12,13素材は工程途中において振動の弾性(コンプライアンス)の変更、補正や修正も手軽に行い得て、また、エッジ6の円周方向の硬さ(ステイフネス)を部分的に、スピーカに用向きに応じて意識的に変化させて、振動板5の共振を抑止し、あるいはまた、逆に振動板5の共振を強調する等の加工を施して、スピーカ1の周波数特性を変更することも可能となった。さらに、本発明のスピーカ用振動板1のエッジ6の基布10は、自由に選択して採用でき、大入力(大振幅)に耐える基布、基本周波数(f)が低下しない特性の基布、または伸縮布材等、種々の用向きに対応した基布を、自由に選択して簡単に使用できるという効果を期待することが出来るに至ったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スピーカの構造を示す断面図である。
【図2】 図1のスピーカの半截断面図である。
【図3】 図1のスピーカの4半截断面図である。
【図4】 エッジの外観図である。
【図5】 図4の一点鎖線の円で示す本発明のエッジの構造を示す拡大断面図である。
【図6】 従来例のエッジの基布の加工態様を示す模式図である。
【図7】 従来例のエッジの製造工程を示す模式図である。
【図8】 本発明のエッジの基布の加工態様を示す模式図である。
【図9】 本発明エッジの製造工程を示す模式図と、その各段階における断面を示す模式図である。
【図10】 スピーカの振動板の節円振動を示す平面図である。
【図11】 図10のスピーカの振動板の節円振動の断面を示す図である。
【図12】 スピーカの振動板の分割節振動を示す平面図である。
【図13】 図12のスピーカの振動板の分割節振動の断面を示す図である。
【図14】 振層をエッジの畝状突起の内側に円環状に転写成形してコーティング材を成層形成したエッジを装着したスピーカを示す平面図である。
【図15】 図14のスピーカの面図である。
【図16】 振層をエッジの畝状突起の表面全面、又は、畝状突起の全面に、円周方向に斑模様風に放射状にコーティング制振材層を転写形成したエッジを装着したスピーカを示す平面図である。
【図17】 図16のスピーカの面図である。
【符号の説明】
1 スピーカ
2 磁気回路
2a マグネット
2b 円環状磁気空隙
3 ボイスコイル
3a ボイスコイルボビン
4 ダンパ
5 振動板
6 エッジ
6’ 従来例のエッジ
6a 内側貼付糊代
6b 畝状突起
6c 外側貼付糊代
7 フレーム
8 突出部
9 凹入部
10
11 耐候性コーテイング材の表面第一層
12 制振性コーテイング材の表面第二層
13 防水性コーテイング材の裏面層
14 ホットメルト接着剤
15 接着剤
16 打ち抜き滓
17 コーティング樹脂
18 コーティングナイフ
19 支持台
20 耐候性表面第一層のスタンパ
21 制振材のスタンパ
22 防水層のスタンパ

Claims (2)

  1. 基布として30〜460メッシュのテトロン(登録商標)からなる織布(10)の外側裏面に、防水性のフッソを配合したオレフィン系樹脂をスクリーン印刷手段により円環形状にコーティングして織布(10)の繊維の内部に一定の深さに包埋して充填することにより裏面層(13)として成層し、前記布(10)の外側表面に他の異質の耐候性のアクリル系樹脂を同様の手段で円環状にコーティングして表面第一層(11)を積層し、その上に、また別の制振性のSBR樹脂を前記と同様の手段で円環状かつ表面的に、さらに部分的に厚さを変化して成層し、部分的に制振性能を変化させたコーティングを施して表面第二層(12)を積層したこと特徴とするスピーカ用振動板のエッジ。
  2. 張力を加えて展延した基布となる織布(10)の上面に、スクリーン印刷手段を応用することによって、チクソ性を付与した超高分子アクリルエマルジョンの耐候性基礎コーティング材を円環状に転写して表面第一層(11)を成形し、その上に、同様のスクリーン印刷法によって円環状に、SBR、NBR等のゴムラテックスの共振勢力を制動するコーティング材を転写して表面第二層(12)を成形し、また、前記布(10)の裏側下面一面に、シルクスクリーン法によって円環状に、オレフィン樹脂の防水機能を保持する目止めコーティング材の裏面層(13)と、さらに、前記裏面層(13)の下面外周部分及び内周部分に、それぞれホットメルト接着剤(14)と接着剤(15)からなる防水構造を積層形成し、熱処理加工後、内側貼付糊代(6a)、畝状突起(6b)、及び外側貼付糊代(6c)を型付けプレス機(24)によって成形し、所要の円環形状に外形切断機(26)によって外形を打ち抜き成形することを特徴とするスピーカ用振動板のエッジ(6)の製造方法。
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