JP4594343B2 - 低温液化ガス気化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、低温液化ガス気化装置の改善に関し、より詳しくは、空気を熱源として液化天然ガス(LNG)等の低温液化ガスを効果的に気化する低温液化ガス気化装置の技術分野に属するものである。
この種の低温液化ガス気化装置の典型的な先行技術としては、例えば下記の3例を挙げることができる。先ず、従来例1に係る典型的な構成になる低温液化ガス気化装置を、その概略構成説明図の図3を参照しながら説明すると、この従来例1に係る低温液化ガス気化装置51は、LNGサテライト基地に設置されているLNG気化器に代表される如き小容量の、空気を熱源とする対空気形のフィンチューブ式の気化器であって、熱源としての空気は殆どが自然通風によって供給される形式の装置である。
より詳しくは、水平配設された上部ヘッダー52aと下部ヘッダー52bとの間に、垂直、かつ平行に複数本のフィン付伝熱管52cが配設されてなる蒸発部52を備えており、前記下部ヘッダー52bから供給されたLNGがフィン付伝熱管52cを上昇して上部ヘッダー52aに到達する間に、空気と熱交換して蒸発するようになっている。前記蒸発部52で蒸発して上部ヘッダー52aから排出される気化ガスであるNGは、上部ヘッダー52aから、前記蒸発部52のフィン付伝熱管52cと同構成になる、垂直な複数本の並列配設されたフィン付伝熱管53aと、これら複数本のフィン付伝熱管53aの上開口部同士、および下開口部同士を接続するU字状のベント管53bとからなる加温部53に導かれ、この加温部53において下降と上昇とを繰り返す間に、空気との熱交換によって次第に加温され、所定温度のNGとして出口から供給先側に送出されるように構成されている。
なお、前記蒸発部52のフィン付伝熱管52cと、加温部53のフィン付伝熱管53aとのフィンは、図3においては、何れもこれらフィン付伝熱管52c,53aの上下方向の約上部半分しか示されていないが、実際には図3において破線で示すように、何れもこれらフィン付伝熱管52c,53aのほぼ全長にわたって設けられている。
また、従来例2に係る低温液化ガス気化装置は強制通風方式にして、熱交換効率の向上による設置台数の削減を図ると共に、拡散排出による霧の消霧を図るようにしたものである。より詳しくは、その概略構成説明図の図4に示すように、上記従来例1に係る低温液化ガス気化装置のフィンチューブ式の気化器と同構成、つまり蒸発部62と加温部63とを有する熱交換機61を備えている。この熱交換機61の外周は、上部に通風ダクト65が連設されてなる通風パネル64により囲まれている。そして、前記熱交換機61の上方、かつ前記通風ダクト65内に吸込みファン66が設けられると共に、前記熱交換機61の上方、かつ前記吸込みファン66の下方に、前記熱交換機61の蒸発部62と加温部63とに温水を噴射する水平なノズル管を有する解氷手段67が設けられている。
前記通風パネル64の下部に、複数の通風口64aが開口しており、吸込みファン66の回転により通風口64aから流入した空気は、蒸発部62の複数本のフィン付伝熱管62c、複数本のフィン付伝熱管63aと、これら複数本のフィン付伝熱管63aの上開口部同士、および下開口部同士を接続するU字状のベント管63bとからなる加温部63に沿って、LNGや低温のNGと熱交換しながら上昇し、前記通風ダクト65から上向き方向に拡散排出されるように構成されている。なお、前記通風ダクト65の外周部に設けられてなるものは、ダクト加温手段65aで、必要に応じて、前記通風ダクト65内を通過する空気を加温するものである(例えば、特許文献1参照。)。
また、従来例3に係る低温液化ガス気化装置(液化ガス蒸発器)の白煙防止装置)は、その概略を示す垂直断面図の図5に示すように、上記従来例1に係る低温液化ガス気化装置のフィンチューブ式の気化器に相当する構成になる熱交換器(液化ガス蒸発器)71が支持支柱を介して配設されると共に、この熱交換機71の上下方向の中間よりも若干下部部分がコンクリート製等の囲い72により囲まれている。そして、この囲い72の内側の前記熱交換機71から外れた位置に、霧を消霧する後述する構成になる白煙防止装置73が設けられている。
前記白煙防止装置73は、L字状に形成されてなる吸気用ダクト73aを備えている。この吸気用ダクト73aの垂直部材の上部側に、空気を吸込む吸込み口73bが設けられると共に、前記熱交換機71の下まで延びる水平部材の先端に、加温された空気を吹き出す吹出し口73eが設けられている。そして、前記吸気用ダクト73aの垂直部材の内部には、前記吸込み口73bから空気を吸引するファン73cが設けられると共に、このファン73cの下方位置には、このファン73cの駆動により吸引されて下向きに送気される空気流を、温水により加温する熱交換器(空気加熱器)73dが設けられており、前記吹出し口73eから吹き出す温風の上昇流によって、液化ガスとの熱交換により生じる霧(白煙)を消霧するように構成されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平9−303696号公報 特開平9−165588号公報
上記従来例1に係る低温液化ガス気化装置は、低温液化ガスの気化に、自然対流する空気を熱源として活用する方式であって、場合によっては熱交換後の低温空気が熱交換されるための空気に巻き込まれたり、滞留したりするために熱交換効率が低いという問題の他に、低温液化ガスとの熱交換の過程で冷却された空気中の水分が水滴化して霧となってしまうために、周囲環境に白煙公害が発生するという解決すべき課題がある。
また、上記従来例2に係る低温液化ガス気化装置は、通風ダクトから排出される熱交換後の低温空気は、大量の空気取入れによる希釈および拡散効果により加温されて消霧されるので、白煙の発生防止に対して顕著な効果があり、周囲環境に白煙問題が発生するようなことがない。しかしながら、熱交換器の全体を囲む通風パネル、蒸発部用や加温部用の吸引ファンを必要とする等、その構造上の点で高価にならざるを得ず、大規模の低温液化ガス気化器用としては優れているものの、台数削減を伴わない小規模低温液化ガス気化器用(小規模低温液化ガス気化器に殆ど使用されていない。)としては、設備コストに関して経済的に不利になるという解決すべき課題がある。
また、上記従来例3に係る低温液化ガス気化装置は、吸気用ダクトの吹出し口から熱交換器に向かって温風を吹き上げることにより、低温の空気を加温して霧を消霧する構成で、コンクリート製等の囲い壁、空気を加温する熱交換器および前記熱交換器に温水を供給する温水供給設備が必要であるから設備コストに関して不利であり、温水を使用する必要があるためにランニングコストが嵩むのに加えて、温風の吹込み方向が熱交換器に沿って下降するという空気の自然対流に逆らう向きであるために、ファンの消費電力に関しても不利になる。
従って、本発明の目的は、上記従来例2や3と同様に周囲環境の整容維持を図ることができ、しかも伝熱特性の改善に基づく運転経済性の向上、および装置コストの低減を可能ならしめる低温液化ガス気化装置を提供することである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る低温液化ガス気化装置が採用した手段は、
上下向きに配設され、空気との熱交換により低温液化ガスを蒸発させ、かつ蒸発により生じた気化ガスを加温する複数本のフィン付伝熱管を有する熱交換器を備えた低温液化ガス気化装置において、
前記熱交換器の下端部およびこの下端部の下方部分を覆い、その内側に霧を滞留させて、空気中への霧の流出を防止する覆い壁と、
この覆い壁の外側に配設された吸引ファン装置とが備えられ、
前記覆い壁は、着脱自在な壁板と、所定の間隔で立設され前記壁板を保持する壁板保持止支柱とで構成されてなり、さらに、
この吸引ファン装置は、前記覆い壁の内側に滞留している霧を前記覆い壁の内側と前記吸引ファン装置を連通する吸引ダクトを介して前記覆い壁の外側へ吸引する吸引ファンと、前記吸引ファンの駆動により吸引した霧を前記熱交換器から離れた方向に排気すると同時に大量の空気を取り入れるための、前記吸引ファン装置の直上に開口した排気口を有する排気ダクトとを備えてな
前記吸引ファンは、前記排気ダクトからの前記吸引した霧の排気とともに大量の空気を取り入れつつこの空気と共に前記霧を吸引することで大量の空気により前記霧を希釈することに加えて、前記排気ダクトの排気口から前記希釈した霧を拡散排気する際においても空気により希釈することで消霧用ヒートパイプ式熱交換器を用いることなく消霧させてなることを特徴とする。
本発明の請求項に係る低温液化ガス気化装置が採用した手段は、請求項1に記載の低温液化ガス気化装置において、前記吸引ファンは、前記覆い壁の近傍、または直結し得る位置に配設されてなることを特徴とする。
以上詳述したように、本発明の請求項1または2に係る低温液化ガス気化装置では、
熱交換器の下端部およびこの下端部の下方部分を覆い、その内側に霧を滞留させて、空気中への霧の流出を防止する覆い壁と、
この覆い壁の外側に配設された吸引ファン装置とが備えられ、
前記覆い壁は、着脱自在な壁板と、所定の間隔で立設され前記壁板を保持する壁板保持止支柱とで構成されてなり、さらに、
この吸引ファン装置は、前記覆い壁の内側に滞留している霧を前記覆い壁の内側と前記吸引ファン装置を連通する吸引ダクトを介して前記覆い壁の外側へ吸引する吸引ファンと、前記吸引ファンの駆動により吸引した霧を前記熱交換器から離れた方向に排気すると同時に大量の空気を取り入れるための、前記吸引ファン装置の直上に開口した排気口を有する排気ダクトとを備えてなり、
前記吸引ファンは、前記排気ダクトからの前記吸引した霧の排気とともに大量の空気を取り入れつつこの空気と共に前記霧を吸引することで大量の空気により前記霧を希釈することに加えて、前記排気ダクトの排気口から前記希釈した霧を拡散排気する際においても空気により希釈することで消霧用ヒートパイプ式熱交換器を用いることなく消霧させてなるように構成されている。
従って、本発明の請求項1または2に係る低温液化ガス気化装置によれば、従来例1に係る低温液化ガス気化装置と異なり、従来例2や3に係る低温液化ガス気化装置と同様に、霧を効果的に消霧することができるので、周囲環境に白煙公害が発生するような恐れがない。そして、LNGやNGとの熱交換により冷却されて流下すると共に、覆い壁の内側に滞留しようとする空気が水平方向に吸引されて排気ダクトから、熱交換器から離れる方向に排出される構成で、排出された低温の空気が対流する空気中に直接巻き込まれてLNGやNGとの熱交換に活用されることがないのに加えて、吸引ファンによる吸引により、熱交換器に沿う熱源となる流下空気量が増大するので、熱交換器の熱交換効率の大幅な向上が可能になるという効果がある。
また、従来例2に係る低温液化ガス気化装置のように熱交換器の全体を覆う通風パネルや蒸発部用や加温部用の吸引ファンを設ける必要がなく、また従来例3に係る低温液化ガス気化装置のように熱交換器の上下方向の中央部より若干下方部分の全体を囲むコンクリート製等の囲い壁を設けたり、温風を吹込む装置を設ける必要がないから、従来例2,3に係る低温液化ガス気化装置よりも、低温液化ガス気化装置の設備コストやランニングコストに関して有利になるという優れた効果がある。
さらに、上記のとおり、LNGやNGとの熱交換後により冷却されて流下して覆い壁の内側に滞留しようとする空気を水平方向に吸引して排出する構成であって、従来例3に係る低温液化ガス気化装置のように、空気の自然対流に逆らう方向に温風を吹込む構成でないから、吸引ファンの消費電力に関して、従来例3に係る低温液化ガス気化装置よりも有利になる。また、本発明の請求項1または2に係る低温液化ガス気化装置によれば、覆い壁は、設置、撤去自在な構成で、この覆い壁を撤去ることにより、霧が生じない季節において熱源である空気の自然対流が阻害されなくなり、熱交換器の熱交換効率の低下が防止される。
本発明の請求項に係る低温液化ガス気化装置によれば、吸引ファンは、前記覆い壁の近傍、または直結し得る位置に配設されていて、この低温液化ガス気化装置の構成が簡略化されるので、設備コストの低減に寄与することができ、また霧の吸引抵抗が小さくて済むので、吸引ファンの消費電力が低減されるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置を、その模式的構成説明図の図1(a)と、図1(a)のA矢視図の図1(b)とを順次参照しながら説明する。図1(a)に示す符号1は、本実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置1である。この低温液化ガス気化装置1は、空気を熱源として、供給された低温液化ガス(以下、LNGという。)を蒸発させる後述する構成になる蒸発部21と、この蒸発部21でのLNGの蒸発により発生した気化ガス(以下、NGという。)を所定の温度に加温する、後述する構成になる加温部22とを有する熱交換器2を備えている。
前記熱交換器2の蒸発部21は、水平に配設された上部ヘッダー21aと、この上部ヘッダー21aの直下に、この上部ヘッダー21aと平行に配設された水平な下部ヘッダー21bと、これら上部ヘッダー21aと下部ヘッダー21bとの間に、垂直に、かつ所定の間隔を持って並列配設され、外周部に長手方向に沿う複数のフィンを有する複数本のフィン付伝熱管21cとから構成されている。つまり、前記下部ヘッダー21bから供給されたLNGが、複数本のフィン付伝熱管21cを上昇して上部ヘッダー21aに到達する間に、これら複数本のフィン付伝熱管21cの周囲を対流する空気との熱交換により加温されて蒸発するように構成されている。
前記熱交換器2の加温部22は、前記蒸発部21のフィン付伝熱管21cと同構成になる垂直な複数本の並列配設されたフィン付伝熱管22aと、これら複数本のフィン付伝熱管22aの上開口部同士、下開口部同士を接続するU字状のベント管22bと、前記上部ヘッダー21aから流出するNGを、前記蒸発部21に最も接近した位置に配設されたフィン付伝熱管22aに導くガス導出管22cとからなっている。つまり、前記上部ヘッダー21aからガス導出管22cに導かれてフィン付伝熱管22aに流入するNGが、フィン付伝熱管22aを下降すると共に、上昇することを繰り返して、前記蒸発部21から最も離れた位置に配設されたフィン付伝熱管22aの下端部位置に到達する間に、各フィン付伝熱管22aの周囲を対流する空気との熱交換により加温されて、所定温度のNGとして供給先側に送気されるように構成されている。
以上の説明、並びに従来例1に係る図3や、従来例2に係る図4との比較において良く理解されるように、本実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置1の前記熱交換器2は、上記従来例1に係る気化器や従来例2に係る熱交換器と同構成になるものである。そして、本実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置1においては、このような構成になる熱交換器2に、後述する構成になる覆い壁3、および吸引ファン装置4を付加したものである。
即ち、前記覆い壁3は、図1(a),(b)に示すように、前記熱交換器2の下端部、より具体的には、蒸発部21の複数本のフィン付伝熱管21cのフィン、加温部22の複数本のフィン付伝熱管22aのフィンの下端から、その下方部分を囲む状態に配設されている。つまり、空気は、フィン付伝熱管21c内を上昇するLNGや、フィン付伝熱管22a内を流れるNGとの熱交換により冷却されて熱交換器2の下方側に流下する、微細な水滴を多量に含む霧を滞留させて、空気中に流出させないように構成されている。
さらに、前記覆い壁3は、低温液化ガス気化装置1の設置場面に所定の間隔で立設され、上下方向に連なる壁板嵌込み溝31aを有する壁板保持止支柱31と、隣り合う壁板保持止支柱31の壁板嵌込み溝31aに、壁方向の両端が嵌込まれる複数の壁板32とからなり、これら複数の壁板32を壁板嵌込み溝31aに嵌込むことにより前記覆い壁3を設置し、かつ前記壁板嵌込み溝31aから壁板32を取外すことにより撤去し得るように構成されている。前記壁板32は、設置、撤去を容易ならしめるために、例えばアルミニウム材、プラスチック材等の軽量素材から製造されている。前記覆い壁3を、上記のように、設置、撤去自在な構成にしたのは、熱交換器2の熱交換効率の低下を回避するためである。即ち、霧が生じない季節では吸引ファン装置4を稼動させる必要がないが、それにも拘わらず、熱交換器2の下端部分が覆い壁3で覆われていると、この覆い壁3によって熱源である空気の自然対流が阻害され、熱交換器2の熱交換効率が低下してしまうからである。
ところで、本実施の形態においては、前記壁板嵌込み溝31aは矩形状に形成されているが、三角状や台形状であっても良い。また、壁板保持止支柱に溝を設けない構成とし、そして壁板の幅方向の両側に溝を設ける構成にしても良く、またボルト等の機械的手段により壁板保持止支柱に壁板を着脱自在に締結する構成にして良く、さらに壁板保持止支柱の上部付近に突起を設けると共に、壁板の嵌め穴を設けて、前記突起に嵌め穴を嵌込むことにより、壁板を着脱自在に取付け、取り外し得るように構成しても良い。つまり、覆い壁は設置、撤去自在であれば良く、特に本実施の形態に係る上記手段に限定されるものではない。
前記吸引ファン装置4の吸引ファン41は、前記覆い壁3の外方近傍に配設されている。この吸引ファン装置4は、前記覆い壁3の内側に滞留している霧を吸引ダクト42を介して吸引すると共に、吸引した霧を熱交換器2から離れた方向に排気する、後述する構成になる排気ダクト43を備えている。このような吸引ファン41を覆い壁3の外方近傍に配設することにより、吸引ダクト42を短くすることができるので、その製造コストの低減が可能になるのに加えて、霧の吸引抵抗が小さくて済むので、吸引ファン41の消費電力が低減されるという効果が生じる。
前記排気ダクト43の先端部分は、図1(a)から良く理解されるように、前記熱交換器2から離れた斜め上向き方向に曲げ形成されており、前記吸引ファン41により覆い壁3の内側から吸引された霧は、排気ダクト43の排気口43aから斜め上向き方向の熱交換器2から離れる方向に排気されるように構成されている。つまり、前記吸引ファン41により大量の空気を取り入れ、取り入れられた大量の空気により霧を希釈すると共に、排気口43aからの拡散排気時にも空気により希釈することにより、霧を効果的に消霧するように構成されている。
以下、上記構成になる低温液化ガス気化装置1の作用態様を説明すると、熱交換器2の蒸発部21を構成する下部ヘッダー21bの一端側からLNGが供給されると、供給されたLNGは、下部ヘッダー21bから複数本のフィン付伝熱管21cを上昇し、上部ヘッダー21aに到達するまでの間に、複数本のフィン付伝熱管21cの周囲を対流する空気との熱交換により加温されて蒸発し、低温のNGとなる。この低温のNGは、加温部22のガス導出管22cに導かれてフィン付伝熱管22aに流入する。そして、フィン付伝熱管22aを下降すると共に、上昇することを繰り返して、前記蒸発部21から最も離れた位置に配設されたフィン付伝熱管22aの下端部に到達する間に、各フィン付伝熱管22aの周囲を対流する空気との熱交換により加温されて、所定温度のNGとして供給先側に送気される。
この低温液化ガス気化装置1の上記のようなLNGのガス化運転において、空気は、蒸発部21のフィン付伝熱管21c内を上昇するLNGや、加温部22のフィン付伝熱管22a内を流れるNGとの熱交換により冷却されながら、熱交換器2の蒸発部21や加温部22に沿って霧となって流下して前記覆い壁3の内側に滞留する。しかしながら、この覆い壁3の内側に滞留する霧は、この覆い壁3の近傍に配設されてなる吸引ファン装置4の吸引ファン41により大量の空気と共に吸引され、吸引された大量の空気との希釈と拡散排気とにより効果的に消霧されて、排気ダクト43により熱交換器2から離れた斜め上向き方向に排気されることとなる。
従って、本実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置1によれば、従来1に係る低温液化ガス気化装置と異なり、従来例2や3に係る低温液化ガス気化装置と同様に、霧を効果的に消霧することができるので、周囲環境に白煙問題が発生するような恐れがない。そして、LNGやNGとの熱交換により冷却されて流下すると共に、覆い壁3の内側に滞留しようとする空気が水平方向に吸引されて排気ダクト43から、熱交換器2から離れる方向に排出される構成で、排出された低温の空気が対流する空気中に直接巻き込まれてLNGやNGとの熱交換に活用されることがないのに加えて、吸引ファン41による霧の吸引により、熱交換器2に沿う熱源となる流下空気量が増大するので、熱交換器2の熱交換効率の大幅な向上が可能になるという効果がある。
そして、従来例2に係る低温液化ガス気化装置のように熱交換器の全体を覆う通風パネル、蒸発部用や加温部用の吸引ファンを要せず、また従来例3に係る低温液化ガス気化装置のように、液化ガスを気化する熱交換器の上下方向の中央部よりも若干下部部分の全体を囲むコンクリート製等の囲い壁や温風を吹込む装置を要しないから、従来例2,3に係る低温液化ガス気化装置よりも、低温液化ガス気化装置の設備コストやランニングコストに関して有利になる。
さらに、上記のとおり、LNGやNGとの熱交換後により冷却されて流下して覆い壁3の内側に滞留しようとする空気を水平方向に吸引して排出する構成であって、従来例3に係る低温液化ガス気化装置のように、空気の自然対流に逆らう方向に温風を吹込む構成でないから、吸引ファンの消費電力に関して、従来例3に係る低温液化ガス気化装置よりも有利になる。
次に、本発明の実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置を、その吸引ファン取付状態説明図の図2を参照しながら説明する。但し、本実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置が、上記実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置と相違するところは、吸引ファン取付状態にあり、それ以外は全く同構成であるから、同一のもの並びに同一機能を有するものに同一符号を付して、主としてその相違する点について説明する。
即ち、本実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置は、図2に示すように、吸引ファン41が、上記実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置のように吸引ダクトを介すことなく、覆い壁3の外壁に直付けされており、覆い壁3の内側に滞留する霧が、覆い壁3の外方の水平方向に拡散排出されることにより消霧されるように構成されている。
従って、本実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置によれば、前記吸引ファン41により吸込まれる大量の空気との希釈と、拡散排気とにより、吸引ファン41の排出口から排出される霧が加温されて効果的に消霧されると共に、熱交換器から離れる方向、つまり覆い壁3の外方の水平方向に排出されるから、本実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置は、上記実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置と同効である。なお、本実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置では、上記のとおり、吸引ダクトを介すことなく吸引ファン41が覆い壁3の外壁に直付けされると共に、排気ダクトも設けられておらず、構造が極めてシンプルであるから、上記実施の形態1に係る低温液化ガス気化装置よりも経済的に有利になる。
本発明の実施の形態1に係り、図1(a)は低温液化ガス気化装置の模式的構成説明図、図1(b)は図1(a)のA矢視図である。 本発明の実施の形態2に係る低温液化ガス気化装置の吸引ファン取付状態説明図である。 従来例1に係る典型的な構成になる低温液化ガス気化装置の概略構成説明図である。 従来例2に係る低温液化ガス気化装置の概略構成説明図である。 従来例3に係る低温液化ガス気化装置(液化ガス蒸発器)の白煙防止装置の概略を示す垂直断面図である。
1…低温液化ガス気化装置
2…熱交換器,21…蒸発部,21a…上部ヘッダー,21b…下部ヘッダー,21c…フィン付伝熱管,22…加温部,22a…フィン付伝熱管,22b…ベント管,22c…ガス導出管
3…覆い壁,31…壁板保持支柱,31a…壁板嵌込み溝,32…壁板
4…吸引ファン装置、41…吸引ファン,42…吸引ダクト,43…排気ダクト,43a…排気口

Claims (2)

  1. 上下向きに配設され、空気との熱交換により低温液化ガスを蒸発させ、かつ蒸発により生じた気化ガスを加温する複数本のフィン付伝熱管を有する熱交換器を備えた低温液化ガス気化装置において、
    前記熱交換器の下端部およびこの下端部の下方部分を覆い、その内側に霧を滞留させて、空気中への霧の流出を防止する覆い壁と、
    この覆い壁の外側に配設された吸引ファン装置とが備えられ、
    前記覆い壁は、着脱自在な壁板と、所定の間隔で立設され前記壁板を保持する壁板保持止支柱とで構成されてなり、さらに、
    この吸引ファン装置は、前記覆い壁の内側に滞留している霧を前記覆い壁の内側と前記吸引ファン装置を連通する吸引ダクトを介して前記覆い壁の外側へ吸引する吸引ファンと、前記吸引ファンの駆動により吸引した霧を前記熱交換器から離れた方向に排気すると同時に大量の空気を取り入れるための、前記吸引ファン装置の直上に開口した排気口を有する排気ダクトとを備えてな
    前記吸引ファンは、前記排気ダクトからの前記吸引した霧の排気とともに大量の空気を取り入れつつこの空気と共に前記霧を吸引することで大量の空気により前記霧を希釈することに加えて、前記排気ダクトの排気口から前記希釈した霧を拡散排気する際においても空気により希釈することで消霧用ヒートパイプ式熱交換器を用いることなく消霧させてなることを特徴とする低温液化ガス気化装置。
  2. 前記吸引ファンは、前記覆い壁の近傍、または直結し得る位置に配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス気化装置。
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