JP4593622B2 - トリヒドロカルビルボランの製造方法 - Google Patents

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    • C07F5/02Boron compounds
    • C07F5/027Organoboranes and organoborohydrides

Description

本発明は、オレフィン重合触媒や還元剤、アルキル化剤などの有機合成試薬として有用なトリヒドロカルビルボランの製造方法に関する。
トリヒドロカルビルボラン(以下TRBと略記する)の製造方法について、例えばトリアルキルボランの製造法を例として説明する。
TRBの製造方法としてトリアルコキシボランとトリアルキルアルミニウムとを反応させる方法は、例えば特許文献1(特開昭47-8621号公報)等に示されている。
B(OR)3 + AlR3 → BR3 + Al(OR)3 (1) R:アルキル基
本反応を工業的生産で実施する場合、副生するトリアルコキシアルミニウムを加水分解処理して水酸化アルミニウムとして分離してアルコールを回収し、次いでこれをホウ酸と反応させて再びトリアルコキシボランに戻す必要がある。それには設備並びに操作工数が多くなり、また目的物のTRBの容積に比べて副生物の容積が大きいことから反応器の容積効率も低く、更には有機性の廃液が多く出てその処理も必要となる、以上の理由から工業的生産に有利な方法ではない。
TRBの製造方法として、トリハロゲン化ホウ素とトリアルキルアルミニウムとを反応させる方法も、例えば特許文献1等に示されている。
BX3 + AlR3 → BR3 + AlX3 (2) X=F, Cl, Br, I
本反応では、原料となるトリハロゲン化ホウ素が高価でまた毒性が大きいので、この方法でのTRBの工業的生産は不可能と思われる。
特許文献2(米国特許公報第2,951,093号公報)では、酸化ホウ素とエチルアルミニウムセスキクロライドとを反応させる方法、特許文献3(米国特許第3,042,723号公報)にはほう砂とエチルアルミニウムセスキクロライドを反応させることによってTRBを製造する方法が示されているが、本発明者らの知見によればこれらは何れも反応収率が低く、工業的生産には使えないと思われた。
特許文献4(特開平3-258786号公報)では、トリアルコキシボロキシンとトリアルキルアルミニウムを反応させてTRBを得る方法が記されている。
3R3Al + (R-O-B-O-)3 → 3R3B + (R-O-Al-O-)3 (3)
本反応は、(1)の反応と同様にアルコキシ基を含むAlの化合物が副生しその処理が問題となる。また、トリアルコキシボロキシンの製造に特許文献5(特公昭41-6751号公報)の方法を挙げているが、それは四塩化炭素などの有機溶剤を含む溶液として得る方法であり、有機溶剤の分離などの工程が必要となり工業的な生産には不向きである。
トリアキルキル酸化ホウ素を反応させて、トリアルキルボロキシン(以下TRBO)を生成させ(反応(4))、次いでTRBOとトリアルキルアルミニウム(以下TRAL)を反応させることで、原料に用いた量の2倍量の新たなTRBを生成させる(反応(5))TRBの製造方法はよく知られている。
BR3 + B2O3→ R3B3O3 (4)
R3B3O3 + 2 AlR3 → 3BR3 + Al2O3 (5)
(4)+(5) BR3 + B2O3 + 2 AlR3 → 3BR3 + Al2O3
例えば、非特許文献1(Journal of the American Chemical Society, 1959, Vol.81, p.4791-4795)では、トリエチルボロキシン(以下TEBO) 0.2モルに対し、0.4モルのトリエチルアルミニウム(以下TEAL)を添加して反応させ、次いで蒸留することでトリエチルボラン(以下TEB)を収率95.6%で得ている。また、酸化アルミニウムはフラスコ中で流動性のよい白色結晶となる、と記されている。
特許文献6(米国特許第3,049,407号公報)では、TRBOとTRALの反応のモル比は2が好ましく、TRBO中にTRALを添加する反応法が好ましいとされている。また、酸化アルミニウムを液状で扱うために3級アミンあるいはTEBそのものを分散媒として用いることを推奨している。更に該特許では、蒸留において縦型の薄膜蒸発器を使い、上部からTRBの蒸気を、下部から酸化アルミニウムの固体を排出させる連続蒸留法を開示している。
特開昭47-8621号公報 米国特許公報第2,951,093号公報 米国特許第3,042,723号公報 特開平3-258786号公報 特公昭41-6751号公報 米国特許第3,049,407号公報 Journal of the American Chemical Society, 1959, Vol.81, p.4791-4795
提案されているTRBの製造方法としては、(4)反応と(5)反応を組み合わせる方法が、反応収率が優れていること、副生物が無機物である酸化アルミニウムであり有機性の廃棄物の発生が少ないことから、工業的に実施するには最も優れた方法と思われる。しかしながら本発明者等の知見によると、従来の技術のようにTRBOに対し理論量である2倍モル程度のTRALを用いる方法で反応させると、合成操作の終盤近くから合成液全体にゲル化が起こり、攪拌機のトルクが小さければ攪拌機がトリップして停止し、次いで合成液全体が固結してしまう。トルクが大きく撹拌が継続できたとしてもTRBの蒸留操作の進行と共に撹拌が困難となり、ついには蒸留釜底部にゲルが固着してその排出操作が困難となる。
なお、本明細書ではトリアルキルボランを含むトリヒドロカルビルボランをTRB、トリアルキルアルミニウムを含むトリヒドロカルビルアルミニウムをTRALと略記して以下に説明する。
この対策として、米国特許第3,049,407号公報に記されているように、酸化アルミニウムを3級アミンなどを分散媒として添加し流動化させる方法は、添加した3級アミンの分離工程が必要となり、あるいは製品純度の低下などを招き、工業的実施には不利である。TRBそのものを分散媒とするのも、目的物である高価なTRBのロスを招き経済合理性に欠ける。また、この様に流動性が無いか著しく小さな混合液を、薄膜蒸発器に導入して固体である酸化アルミニウムを分離しつつTRBを留分として回収する連続蒸留操作を実施することは、不可能と判断した。
パラフィンオイルを分散媒として使う方法も考えられるが、本明細書の比較例2で示すように酸化アルミニウムのゲル化は防止できず、よい結果は得られなかった。
本発明は上記の様な問題のない新しいTRBの製造方法を提供しようとするものである。更には、品質、コストに優れた工業的生産に好適な製造方法を提供しようとするものである。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行い、原料のTRALが酸化アルミニウムの良好な分散媒となることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。即ち本発明のTRBの製造方法は、TRBOとTRALからTRBと酸化アルミニウムを合成する反応において、反応の終点において反応で生成する酸化アルミニウムに対しTRALを0.5倍モル以上存在させて反応することを特徴とするTRBの製造方法である。
また、TRBOとTRALから、TRBと酸化アルミニウムを合成し、次いでTRBを蒸留分離するに際して、酸化アルミニウムに対しTRALを0.5倍モル以上存在させて蒸留することを特徴とするTRBの製造方法である。
原料以外の物質を用いることのない合理的なトリヒドロカルビルボラン製造プロセスである本発明の方法により、品質とコストに優れるトリヒドロカルビルボランを工業的に製造することが可能となった。
本発明の内TEB製造の実施態様の一つを示す図である。図1において、下記の符号は、以下の意味を有する。
符号の説明
1.TEBO合成反応器
2.フィルター
3.TEB反応器兼蒸留釜
4.精留塔
5.ろ過器
6.TEB受器
7.TEAL受器
本発明において、TRB及びTRALのヒドロカルビル基は、炭素数が1から8の範囲である。
本発明におけるヒドロカルビル基とは炭素数1から8のものであり、脂肪族、環式脂肪族、又は芳香族炭化水素基から選ばれ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。また、同一分子内に異なるアルキル基が混在してもよい。
原料のTRBOは公知の方法で製造される。例えば、酸化ホウ素とTRBを耐圧反応器にほぼ等モル比で仕込み、不活性ガス雰囲気下で撹拌しながら反応温度200〜300℃で4〜30時間程度反応させることで、収率70〜90%で得られる。未反応の酸化ホウ素は、ろ過により分離し、ろ液であるTRBOは次のTRALとの反応工程に送られる。
なお、TRBO合成用の耐圧反応器の内部には、未反応の酸化ホウ素をろ過分離するためのフィルターを内装しておくことは、プロセス操作上合理的である。こうすることで、ろ別し反応器内に残った酸化ホウ素はそのまま次の反応に供することが出来る。未反応の酸化ホウ素のろ過特性は良好で、フィルターとしては種々のものが使用可能であるが、例えば金属メッシュ製が好適に使用可能である。
ろ液として得られたTRBO合成反応液は次工程のTRB合成反応器で、TRALと反応させ、TRBと酸化アルミニウムを生成させる。ここにおいて本発明の方法では、反応の終点において反応の進行により生成する酸化アルミニウムに対しTRALが0.5倍モル以上存在することが必須である。これにより、反応液中の酸化アルミニウムがゲル化し更には全体が固化する現象が、共存するTRALが安定な分散媒となることで抑制され、反応中並びに続くTRBの蒸留工程を通じて液はゲル化・固化することなく、取扱い容易なスラリー状態を維持できる。
当該条件を満たす反応操作としては特に限定されるものではないが、その一例として、反応器に予めTRALを所要量の全量、即ちTRBOに対し2.5倍モル以上、好ましくは3〜6倍モル仕込んでおき、撹拌および冷却をしながら、TRBO合成反応液を1〜5時間程度かけ少量づつ滴下反応させる方法が挙げられる。これにより収率95%以上でTRBが得られる。反応温度としては用いる原料のヒドロカルビル基により異なるが、常温から150℃程度が好ましい。本反応操作の他の例として、TRALをTRBOに対し2.5倍モル以上を維持しつつ両方の原料を同時に反応器にフィードしながら反応する方法もあり、この方法でも良好な結果が得られる。なお、反応により生成する酸化アルミニウムは、この原料を同時にフィードする方法の方が、得られる結晶の粒径が大きくなる傾向が認められた。
また、TRBOにTRALを添加して反応する場合でも、TRAL/TRBOモル比が約1.1以下、好ましくは1.0以下の場合はゲル化した酸化アルミニウムの析出がないので、予備的に該範囲のモル比で反応したものをTRAL中に添加して、反応の終点でTRALを2.5倍モル以上になるように反応させても良い。
かくして得られた反応液から蒸留により製品のTRBを回収するが、本発明の方法では反応液中の酸化アルミニウムに対し0.5倍モル以上のTRALを存在させて蒸留を行う。TRALが少ないと釜残液の流動性が不良となり、多いと液の沸点が上昇しTRBの回収率が低下するので、0.5倍モル以上で6倍モル以下程度が好ましく、特に好ましくは1倍モル以上3倍モル以下が取扱い性やTRBの蒸留回収率の点で優れている。かくして、良好な流動性が維持された釜残液からはろ過により容易に酸化アルミニウムが除去可能であり、ろ液であるTRALは再度TRBOとの(5)反応に使うことが出来る。
本発明のTRBを得る方法の別法としては、反応生成物から先ずろ過によって酸化アルミニウムを除去した後、ろ液を分離蒸留して製品であるTRBを回収し、TRALを主成分とする釜残を再度TRBOとの(5)反応に使うことが出来る。この場合、蒸留工程には固形物がこないので蒸留釜での酸化アルミニウムの濃縮によるトラブルも起こらないで安定的に蒸留することが可能となる。
なお、酸化アルミニウムのろ過に際して、酸化アルミニウムケーキ中に高価なTROBやTRBが付着して残ることは、プロセス経済上損であり、相対的に安いTRALで酸化アルミニウムケーキを洗浄し、その洗浄液も原料に使うことも好ましい方法である。
また、反応生成物を後処理する過程において、必要により、後処理の操作性を改良するためにTRALで希釈することも可能である。
蒸留方法としては、反応器をそのまま蒸留釜として用い、その上に精留塔を設けて、撹拌下加熱する方法が好ましい。精留塔は段塔、充填塔何れも用いることが出来るが、充填塔の方がサイズを小さくできるので好ましい。例えばTEBの場合には、TEBとTEALは沸点がそれぞれ96℃、194℃と差が大きく、分離段数としては3〜10段、還流比は1〜10、圧力は常圧〜30kPaの減圧で、温度は95〜60℃程度で操作することで、十分な分離効率と蒸留収率が得られる。
蒸留後の釜残液は、酸化アルミニウムのTRALスラリー液である。該スラリー液は釜より抜きだし、ろ過器を通して酸化アルミニウムを分離して、ろ液であるTRALを再び(5)反応に供する。この際の酸化アルミニウム結晶は、前述したとおり原料を同時にフィードする方法で得られた結晶の方が粒径が大きく、よってそのろ過特性はより良好な傾向にある。ろ過器のフィルターにはセラミック製、布製、金属製など種々のものが使用可能である。ろ液であるTRALは、反応並びに蒸留を経たものであり、組成変化や品質劣化が懸念されたが、全く問題なく(5)反応に再利用でき、反応成績や得られるTRBの品質に全く変化はなかった。
また前記した別の実施態様においては、先ず反応液をろ過器を通して酸化アルミニウムを分離し、ろ液を蒸留し製品であるTRBを回収し、TRALを主成分とする釜残を(5)の反応に供する。蒸留条件、ろ過器等は前記したものと同じである。得られた釜残は(5)反応に再利用でき、反応成績や得られるTRBの品質に全く変化はなかった。
実施例−1
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリエチルアルミニウム3モルを仕込み、滴下ロートに入れたトリエチルボロキシン1モルを3時間で滴下反応させた。この時反応液の温度を70℃に保持するように冷媒で冷却した。次にフラスコをオイルバスで100℃に昇温して、ディクソンパッキン充填塔の塔頂から95℃のトリエチルボラン2.9モルを得た。フラスコには酸化アルミニウムを含んだスラリー液が残った。該スラリー液をガラスフィルター(25G−4:細孔直径5〜10μm)で減圧下(150Torr)30分でろ別した。フィルター上には白色粉末の酸化アルミニウムが0.98モル、無色透明の濾液はトリエチルアルミニウムが1.04モルであった。トリエチルボランの収率は97.1%であった。得られたトリエチルボランのNMR分析並びに加水分解後の金属分析の結果、純度は99%以上であった。
実施例−2
攪拌機付1Lの4つ口フラスコに、トリエチルアルミニウム3モルの入った滴下ロート及びトリエチルボロキシン1モルが入った滴下ロートから各々の内容物を同時に滴下し、3時間ほぼ等速度を維持して同時添加反応を完了させた。この時反応液の温度を70℃に保持するように冷媒で冷却した。次にフラスコをオイルバスで昇温して、ディクソンパッキン充填塔の塔頂から95℃のトリエチルボラン2.85モルを得た。フラスコには白色の酸化アルミニウムを含んだスラリー液が残った。該スラリー液をガラスフィルター(25G−3:細孔20〜30μm)で減圧下(150Torr)10分でろ別した。フィルター上には酸化アルミニウムが0.95モル、無色透明の濾液はトリエチルアルミニウムが1.08モルであった。トリエチルボランの収率は95.0%で純度は99%以上であった。
実施例−3
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリエチルアルミニウム4モルを仕込み、滴下ロートに入れたトリエチルボロキシン1モルを3時間で滴下反応させた。この時反応液の温度を70℃に保持するように冷媒で冷却した。次にフラスコをオイルバスで100℃に昇温して、ディクソンパッキン充填塔の塔頂から95℃のトリエチルボラン2.93モルを得た。フラスコには酸化アルミニウムを含んだスラリー液が残った。該スラリー液に含まれる酸化アルミニウムは0.98モル、トリエチルアルミニウムは2.04モルであった。トリエチルボランの収率は97.6%で純度は99%以上であった。
実施例−4
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリブチルアルミニウム4モルを仕込み、滴下ロートに入れたトリブチルボロキシン1モルを2時間で滴下反応させた。この時反応液の温度を100℃に保持するように冷媒で冷却した。次にフラスコをオイルバスで140℃に昇温して3時間熟成を行った後、6.5mmHgの減圧蒸留条件でディクソンパッキン充填塔の塔頂から80℃のトリブチルボラン2.9モルを得た。フラスコには酸化アルミニウムを含んだスラリー液が残った。該スラリー液に含まれる酸化アルミニウムは0.96モル、はトリブチルアルミニウム2.07モルであった。トリブチルボランの収率は96.7%で純度は98%以上であった。
実施例−5
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリプロピルアルミニウム4モルを仕込み、滴下ロートに入れたトリプロピルボロキシン1モルを2時間で滴下反応させた。この時反応液の温度を100℃に保持するように冷媒で冷却した。次にフラスコをオイルバスで140℃に昇温して3時間熟成を行った後、36mmHgの減圧蒸留条件でディクソンパッキン充填塔の塔頂から75℃のトリプロピルボラン2.9モルを得た。フラスコには酸化アルミニウムを含んだスラリー液が残った。該スラリー液に含まれる酸化アルミニウムは0.96モル、はトリプロピルアルミニウム2.07モルであった。トリプロピルボランの収率は97.1%で純度は98.5%以上であった。
比較例−1
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリエチルアルミニウム2モルを仕込み、1モルのトリエチルボロキシンを入れた滴下ロートから、0.80モルのトリエチルボロキシンを滴下反応させた時点から合成液の粘度が上がり、0.85モルのトリエチルボロキシンを滴下反応させた時点でフラスコ内容物が固結状態となり、攪拌機が停止した。この時反応液の温度は70℃に保持していた。残りのトリエチルボロキシンを添加後、フラスコをオイルバスで120℃から140℃に昇温して、ディクソンパッキン充填塔の塔頂から95℃のトリエチルボラン1.34モルを得た。フラスコには白色の固形物及び高粘性物が残った。トリエチルボランの収率は44.7%であった。
比較例−2
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリエチルアルミニウム1モルと流動パラフィン120gを仕込み、0.5モルのトリエチルボロキシンを入れた滴下ロートから、0.43モルのトリエチルボロキシンを滴下反応させた時点で合成液がゲル状から固結状態となった。流動パラフィン120gを反応フラスコに追加し固結状態を解消しようとしたが状態は変わらなかった。この時反応液の温度は70℃に保持していた。残りのトリエチルボロキシン0.1モルを添加後、常圧下でフラスコを120℃から140℃に昇温して、ディクソンパッキン充填塔の塔頂から95℃のトリエチルボラン0.95モルを得た。フラスコには流動パラフィン層とフラスコ底部に固着した白色の固形物が残った。トリエチルボランの収率は63.3%であった。
比較例−3
攪拌機付1Lの4つ口フラスコに0.63モルのトリエチルボロキシンを仕込み、1.26モルのトリエチルアルミニウムを入れた滴下ロートから、0.7モルのトリエチルアルミニウムを滴下した時点で合成液は白濁しはじめ、0.73モル滴下した時に合成液がゲル化し固結状態となった。攪拌の継続が不可能となったので、フラスコにパラフィンオイル200mlを添加して残りのトリエチルアルミニウム0.53モルを滴下反応させた。反応後のフラスコ内容物の状態は、ゲル化固結物がフラスコ内壁下部に付着したままで分散状態にはならなかった。このフラスコを常圧下で、180℃まで加熱蒸留した結果、トリエチルボランの収率は71%であった。
比較例−4
攪拌機付1Lの4つ口フラスコにトリブチルボロキシン0.5モルを仕込み、1モルのトリブチルアルミニウムを入れた滴下ロートから、0.6モルのトリブチルアルミニウムを滴下した時点で合成液はゲル化し固結状態となった。攪拌の継続が不可能となったので、フラスコにパラフィンオイル200mlを添加して残りのトリブチルアルミニウム0.4モルを滴下反応させた。この時反応液の温度を100℃に保持するように熱媒で加熱した。次にフラスコを140℃に昇温して3時間熟成を行った後、6.5mmHgの減圧蒸留条件でディクソンパッキン充填塔の塔頂から80℃のトリブチルボラン0.95モルを得た。フラスコにはゲル化固結物と高粘性液が残った。トリブチルボランの収率は63.3%であった。
実施例−6
実施例−2 のフラスコのスラリー状残存物を、10ミクロンのろ過器でろ過し1.8モルのトリエチルアルミニウムを回収した。このろ過は順調にろ過することができた。回収したトリエチルアルミニウム1.8モルと新たにトリエチルアルミニウム2.2モルを合わせ、攪拌機付1Lの4つ口フラスコに仕込んだ。滴下ロートに入れたトリエチルボロキシン1モルを3時間で滴下反応させた。この時反応液の温度を70℃に保持するように冷媒で冷却した。次にフラスコをオイルバスで100℃に昇温して、ディクソンパッキン充填塔の塔頂から95℃のトリエチルボラン2.92モルを得た。フラスコには酸化アルミニウムを含んだスラリー液が残った。該スラリー液に含まれる酸化アルミニウムは0.98モル、トリエチルアルミニウムは2.04モルであった。トリエチルボランの収率は97.3%であった。得られたトリエチルボランのNMR分析並びに加水分解後の金属分析の結果、純度は99%以上であった。
実施例−7
図−1に従い、代表例としてTEB製造フローを説明する。
1のTEBO合成反応器は、10ミクロンの金属メッシュ製フィルター2を内装し、撹拌並びに冷却手段を有する100Lのステンレス鋼製である。3のTEB合成反応器兼蒸留釜は撹拌並びに加熱・冷却手段を有する250Lのステンレス鋼製である。3には、内径100mmで16mmラシヒリングを2m充填した蒸留塔4が接続されている。5は10ミクロンの金属メッシュ製フィルターを内装したろ過器である。
1に酸化ホウ素を25.6kg(0.368kmol)と、TEBを36.1kg(0.368kmol)を仕込み、窒素雰囲気下反応温度210℃、圧力1.7MPaで24時間反応させた。3にTEALを154kg(1.5kmol)を仕込み、2を通して未反応の酸化ホウ素を分離したろ液TEBO 55.5kg、TEB 2.32kgを液温70℃を維持しつつ4時間かけて3にフィードした。次いで、液温を上昇させ蒸留操作に移った。温度が100℃を超えたところからTEBの留出が始まり、以後還流比5〜10に調整して留分であるTEB99.5kg(1.02kmol)を6の受器に得た。1には、ろ別された釜残の未反応酸化ホウ素2.56kg(0.037kmol)に新たに酸化ホウ素を23.1kg(0.33kmol)を仕込み、次いで得られたTEBの内35.9kg(0.366kmol)を1に仕込んで同様に反応させTEBO55.5kgを得た。蒸留後の3の釜残液は酸化アルミニウム33.7kg(0.33kmol)、TEAL78.6kg(0.688kmol)、TEB1.01kg(0.01kmol)、TEBO1.13kg(0.007kmol)からなり、5のろ過器を通して酸化アルミニウムをろ過した。ろ液は再び3に戻しTEAL分が全量で154kg(1.5kmol)となるように新たにTEALを追加した。そこへ2を通して得られたろ液を同様にフィードし、TEBの合成反応を行い、次いで同様に蒸留を行った。このサイクルを5回繰り返したが、安定して高品質のTEBが63〜64kg得られ、消費した原料TEAL当たりの収率は約96%を維持した。

Claims (4)

  1. トリヒドロカルビルボロキシンとトリヒドロカルビルアルミニウムから,トリヒドロカルビルボランと酸化アルミニウムを合成する反応において、反応の終点において、反応で生成する酸化アルミニウムに対しトリヒドロカルビルアルミニウムを0.5倍モル以上存在させて反応することを特徴とするトリヒドロカルビルボランの製造方法。
  2. トリヒドロカルビルボロキシンとトリヒドロカルビルアルミニウムから、トリヒドロカルビルボランと酸化アルミニウムを合成し、次いでトリヒドロカルビルボランを蒸留分離するに際して、酸化アルミニウムに対しトリヒドロカルビルアルミニウムを0.5倍モル以上存在させて蒸留することを特徴とするトリヒドロカルビルボランの製造方法。
  3. トリヒドロカルビルボラン及びトリヒドロカルビルアルミニウムのヒドロカルビル基は、炭素数が1から8の範囲である請求項1または2に記載の方法。
  4. トリヒドロカルビルボランがトリエチルボラン及びトリヒドロカルビルアルミニウムがトリエチルアアルミニウムである請求項1または2に記載の方法。
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