JP4592061B2 - 注射針、注射針の製造方法及び注射針の製造装置 - Google Patents

注射針、注射針の製造方法及び注射針の製造装置 Download PDF

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Description

この発明は、皮下注射に用いる注射針であって、皮膚に穿刺する際の痛みを和らげることが可能な極細の注射針を製造する技術に関する。
本発明の従来技術の説明に当たり、本出願人は、特許出願、実用新案登録出願を調査し、関連技術として次の技術を抽出した。
その関連技術たる下記特許文献1は、液体注入針及び液体注入装置に関するものである。
当該文献に記載された技術は、もう少し詳しく説明すると、製造が容易で十分な強度及び低い注入抵抗を有し、かつ患者に与える苦痛を低減できる極細の液体注入針に関する。具体的には、液体を注入するための中空の針部と、針部が固着される支持部とを有し、前記針部は、前記支持部の内部を延長する固定部と、前記支持部から外方へ突出し、生体内ヘ穿刺可能である穿刺部とからなる。そして、前記穿刺部の先端側外径は、0.1mm以上かつ0.25mm以下であり、前記穿刺部の基端側外径は、前記先端側外径よりも大きい、というものである。
製造方法については、ステンレス鋼を使用して、例えば塑性加工によって製造される旨の記載が、当該文献中にある。
特開2002−291884号公報(段落番号「0020」及び「0088」)
ところで一般に、中空のパイプを製造するという技術は、平板を丸め、スプリングバックにて空いてしまう透き間を溶接するという方法を採用している。
しかし、前記特許文献1に開示されている液体注入針については、基端部と中間部と先端部とでは外径が異なるため、溶接が困難であった。
一方、溶接を行わず、ボトル投影形状に予め打ち抜かれた板材に対してスプリングバックを最小限に抑え、塑性加工のみで製造する方法も研究されている。しかし、その方法では、境目に隙間が残る可能性があるため、液体を通す注射針にあっては信頼性に欠けるおそれがあった。
また、塑性加工のみで製造する方法の場合、先端部分を絞るためパイプの内径が潰れてしまわぬよう、内径を確保する必要がある。さらに、塑性加工のみで製造する方法の場合、平板を丸めてパイプ形状を形成する塑性加工に伴ってパイプ内面側に絞り皺が生じることとなる。この絞り皺の存在は、極細の注射針においては、液体注入時の抵抗として無視できない場合もある。また、その絞り皺の間に金属粉などの微細なゴミや油などが残ってしまうという場合もある。
本発明が解決すべき課題は、極細であるとともに先端部をより細めた注射針を確実に製造する製造技術を提供することにある。
具体的には、本発明は、極細であるとともに先端部をより細めた注射針において、先端部分を絞る際に内径を十分確保することを第1の目的とする。
また、本発明は、極細であるとともに先端部をより細めた注射針の製造方法において、先端部分を絞る際に内径を十分確保することを第2の目的とする。
さらに、本発明は、前記第2の発明の目的に加え、注射針の内側面をより平滑にすることを第3の目的とする。
また、本発明は、先端部分を絞る際に内径を十分確保することの可能な、極細であるとともに先端部をより細めた注射針の製造装置を提供することを第4の目的とする。
さらに、本発明は、前記第4の発明の目的に加え、注射針の内側面をより平滑にすることを第5の目的とする。
本発明は、上記した目的を達成するためのものである。
(第1の発明)
前記第1の課題に鑑み、本発明のうち第1の発明は、所定の外径及び内径を有する根元部11と、前記根元部11より先端側に位置しその外径及び内径がそれぞれ同根元部11の外径及び内径より小さく絞られている絞り部12と、前記根元部11と前記絞り部12との間に介在しその外径が同根元部11から同絞り部12へ向けて連続的に小さくなっている絞り傾斜部13とを備える注射針15であって、前記絞り部12は、前記根元部11の外径に一致する外径の金属製の針用パイプ10内に、前記絞り部12の内径に相当する外径の芯材41を挿入した状態で塑性変形により外径を絞り、同芯材41を抜去することで形成されていることを特徴とする。
この第1の発明における「先端側」とは、注射針15として使用する際の先端側を意味する。
すなわち、この発明の注射針15の絞り部12は、根元部11より先端側に位置するとともに、その絞り部12の外径及び内径はその根元部11の外径及び内径よりそれぞれ小さく絞られている。
また、絞り部12と根元部11との間には、絞り傾斜部13が位置している。その絞り傾斜部13の外径は、根元部11から絞り部12へ向けて連続的に小さくなっている。
本第1の発明に係る注射針15は、金属製の針用パイプ10を材料として製造される。その材質としては、一般的に注射針として適した材質、たとえばステンレス鋼、が用いられる。また、この針用パイプ10は、金属製の平板を丸めてその境目を溶接したものであっても、また、無垢円柱材を切削して内孔を形成してパイプとしたものであっても、いずれでもよい。この針用パイプ10のうち、後端側、すなわち、注射針15として使用する際の後端側は、そのまま根元部11となるので、針用パイプ10の外径は、根元部11の外径と一致する。
そして、この針用パイプ10に、芯材41が挿入され、その状態で先端側の外径が塑性変形により絞られ、その後芯材41が抜去されることで、絞り部12が形成される。ここで、この芯材41は、針用パイプ10の塑性変形力によっては変形しない程度の強度を備えていることが要求される。具体的には、たとえばピアノ線のような超硬合金製の線材が望ましい。
ここで、芯材41の外径が絞り部12の内径に相当するというのは、以下のことを意味する。すなわち、塑性変形力を解いた際に絞り部12にスプリングバックが生じるため、絞り部12の内径は、芯材41の外径とは一致せず、よりやや大きいこととなるが、芯材41の外径により規定されることとなる。
本第1の発明に係る注射針15は、根元部11、絞り傾斜部13及び絞り部12に向かうにつれ、その外径及び内径が細くなっている。したがって、実際に皮膚に穿刺される先端の部分である絞り部12だけを極細に形成し、そうでない部分はより太い径を保持することができ、全体を極細に形成した場合に比べ、穿刺の際の座屈が発生しにくくなっている。また、絞り部12形成の際に、内孔に芯材41を挿入しているので、この芯材41により絞り部12の内径が潰れず確保されることとなっている。
本第1の発明に係る注射針15においては、前記芯材41の外径は0.04mm以上0.18mm以下であるとともに、前記絞り部12の外径は0.1mm以上0.25mm以下であり、内径は0.05mm以上0.2mm以下であることが望ましい。
すなわち、前記芯材41の外径を0.04mm以上0.18mm以下とすれば、前記絞り部12の内径を0.05mm以上0.2mm以下とすることができ、それに伴ってその外径を0.1mm以上0.25mm以下とすることが可能となる。
(第2の発明)
前記第2の課題に鑑み、本発明のうち第2発明に係る注射針の製造方法は、金属製の針用パイプ10内に芯材41を挿入する芯材挿入工程と、その芯材41を挿入された針用パイプ10の先端側を塑性変形させて外径を絞って絞り部12を形成する絞り加工工程と、芯材41を外す芯材取り出し工程と、前記絞り部12の先端を斜めに切断して尖端部14を形成する尖端加工工程とを備えたことを特徴とする。
針用パイプ10の素材は、注射針に適した材質、例えばステンレス鋼である。ここで、この針用パイプ10は、金属製の平板を丸めてその境目を溶接したものであっても、また、無垢円柱材を切削して内孔を形成してパイプとしたものであっても、いずれでもよい。
絞り加工工程は、例えば、スウェージング加工を採用することができる。このスウェージング加工とは、針用パイプ10を打撃しながら、その針用パイプ10の径方向に逐次圧縮を行うものである。
本第2の発明に係る注射針の製造方法では、針用パイプ10内に芯材挿入工程によって芯材41が挿入され、その後その芯材41が挿入されたまま、絞り加工工程によって先端の外径が絞られ、それによって内径も絞られる。さらに、その芯材取り出し工程によって芯材41が取り出された後は芯材41の跡によって内径が確保されている。
なお、前記芯材41の外径は0.04mm以上0.18mm以下であるとともに、前記絞り部12の外径は、0.1mm以上0.25mm以下であり、内径は0.05mm以上0.2mm以下であることが望ましい。
絞り加工を施した部位の外径及び内径を上記のような寸法とするために、絞り加工の程度を適宜選択する。
また、前記針用パイプ10は、金属製の平板を丸めてパイプを製造するパイプ製造工程と、
製造されたパイプの境目を溶接する溶接工程と、溶接後のパイプを所定長さに切断する切断工程とにより製造されることとしてもよい。こうすることで、溶接の工程を備えているので、金属製の平版を丸めるのみで溶接はせずに、塑性加工のみで製造する方法に比べて、液体を通す注射針15に対する信頼性を格段に向上させる。
(第3の発明)
前記第3の課題に鑑み、本発明のうち第3の発明は、前記第2の発明の特徴に加え、前記芯材取り出し工程の後に、前記絞り部12の内孔を先端側からドリル60にて切削するドリル加工工程を備えたことを特徴とする。
すなわち、ドリル加工工程を備えているので、平板を丸めてパイプ形状を形成する塑性加工に伴ってパイプ内面側にできる絞り皺が切削されるので、内孔の表面粗さを軽減できる。
また、尖端部14付近はドリル加工工程によって他の部位よりも薄肉となっている。
なお、前記ドリル加工によって切削された内孔の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上0.2μm以下であって、最大高さ(Ry)が0.6μm以下であることが望ましい。このようにすることで、注射針15内面を平滑にして液体注入時の抵抗を減じさせるとともに、絞り皺の間に金属粉などの微細なゴミや油などが残ってしまうことが防止できる。
内孔の表面粗さを上記のような範囲とするために、針用パイプ10の材質、寸法などとの関係において、ドリル60の外径、回転数や切削油の使用やその種類などを適宜選択する。
(第4の発明)
前記第4の課題に鑑み、本発明のうち第4の発明に係る注射針の製造装置は、金属製の針用パイプ10を固定する針固定用部材20と、前記針用パイプ10に対して芯材41の挿入及び抜き取りを行う芯材挿入装置40と、前記芯材41が挿入された針用パイプ10の中央付近から先端方面を絞り加工する絞り加工装置30とを備えたことを特徴とする。
ここで、芯材41とは、たとえばピアノ線のような超硬合金製の線材である。
本第4の発明に係る注射針の製造装置は、以下のように作用する。
針用パイプ10は、あらかじめ金属製の平板を丸めてパイプを製造し、境目を溶接し、所定長さにカットすることによって製造することもでき、また、金属製の無垢円柱材を切削して内孔を形成して製造することもできる。
その針用パイプ10を針固定用部材20が固定する。次に、固定された針用パイプ10に対して芯材挿入装置40が、前記針用パイプ10内へ芯材41を挿入する。続いて、芯材41が挿入されたままの針用パイプ10の中央付近から先端方面を、絞り加工装置30が絞り加工する。絞り加工がなされても、芯材41が挿入されているので、パイプ孔が閉塞することはない。
続いて、針用パイプ10内に挿入されていた芯材41を芯材挿入装置40が抜き取る。
以上によって、根元よりも先端側を細めた注射針15を製造することができる。
なお、前記芯材41の外径は0.04mm以上かつ0.18mm以下とすることが望ましい。
すなわち、絞り加工がなされてもパイプ孔が閉塞しないように芯材41を挿入するが、絞り加工装置30による絞り加工を終えると、その針用パイプ10にはスプリングバックが生じる。また、絞り加工後にドリル60による切削を行う。これらの工程に対して影響を及ぼす芯材41について、適切な寸法範囲となる。
(第5の発明)
前記第5の課題に鑑み、本発明のうち第5の発明は、前記第4の発明の特徴に加え、前記絞り加工された針用パイプ10の先端側から絞り加工部分の内側切削加工をするドリル60を備えたことを特徴とする。
なお、前記ドリル60は、その外径を0.2mm以下とすることが望ましい。
より適切な寸法としては、0.15mm以下である。ただし、細いドリル60ほど高価であり、破損なども起きやすいので、0.10〜0.13mm程度であることがより好ましい。
絞り加工後の針用パイプ10の内孔を切削加工することにおいて、加工を容易に行ったり、内孔の算術平均粗さ(Ra)や最大高さ(Ry)を所望範囲におさめたりするために最も適切な寸法範囲となる。また、得られた注射針15の内側面を平滑にすることも可能となる。
本発明のうち、第1の発明の構成によれば、極細であるとともに先端部をより細めた注射針において、先端部分を絞る際に内径を十分確保することが可能となる。
また、第2の発明の構成によれば、先端部分を絞る際に内径を十分確保することが可能な、極細であるとともに先端部をより細めた注射針の製造方法を提供することができる。
さらに、第3の発明の構成によれば、第2の発明の構成による効果に加え、注射針の内側面をより平滑にすることが可能な注射針の製造方法を提供することができる。
また、第4の発明の構成によれば、先端部分を絞る際に内径を十分確保することの可能な、極細であるとともに先端部をより細めた注射針の製造装置を提供することができる。
さらに、第5の発明の構成によれば、第4の発明の構成による効果に加え、注射針の内側面をより平滑にすることが可能な注射針の製造装置を提供することができる。
以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1から図11までである。図1は、製造の全行程を簡略に示した概念図である。図2から図11までは、注射針の製造装置をモデル化して製造工程順に図示したものである。
薬液を注入するための注射器の先端に固定され、皮膚に穿刺して注射器内の薬液を体内へ注入可能な注射針の製造装置について説明する。
この製造装置は、ステンレス製の平板を丸めて極細のパイプを製造し、境目を溶接し、所定長さにカットした針用パイプ10を固定する針固定用部材20と、その針用パイプ10に芯材41たるピアノ線を挿入及び抜き取りを行う芯材挿入装置40と、針用パイプ10の中央付近から先端方面を絞り加工する絞り加工装置30と、針用パイプ10の先端側から絞り加工部分の内側切削加工をするドリル60とを備えている。
上記のような製造装置により、図1に示すような製造工程を経て、注射針15を製造する。
図1[A]は、ステンレス製の平板を丸めてパイプを製造するパイプ製造工程、境目をビーム溶接する溶接工程、及び所定長さにカットする切断工程を経て得られた針用パイプ10を示す。図1[B]は、その針用パイプ10に芯材41を挿入する芯材挿入工程を示す。図1[C]は、芯材41を挿入したまま先端側を絞り加工する絞り加工工程を示す。絞り加工は、根元部11とは反対側の端部から中央付近までに施され、絞られた部位は根元部11よりも外径が小さくなった絞り部12となる。また、その絞り部12と根元部11との間は、外径が連続的に変化する絞り傾斜部13となる。
図1[D]は、挿入していた芯材41を引き抜く芯材取り出し工程を示す。スプリングバックにより、絞り加工時よりも絞り部12の内径は僅かに広がっており、簡単に引き抜くことができる。図1[E]は、絞り部12の内孔をドリル60によって切削するドリル加工工程を示す。ドリル60の切削により、絞り部12の内径が広がるとともに、絞り内壁部12aの表面は、切削前に比べて滑らかになる。図1[F]は、絞り部12の先端側を斜めに切断して尖端部14を形成する先端加工工程を示す。
図2には、針用パイプ10の断面図を示す。外径が0.6mm、内径が0.4mmであり、長さは15mm〜20mmに切断されている。この長さは皮下注射用の注射針15に適したものである。
図3には、注射針の製造装置における、針固定用部材20と、その針固定用部材20に固定された針用パイプ10とを示している。針固定用部材20は、針用パイプ10を貫通させつつ外径方向を支持する支持部材23と、針用パイプ10の長さ方向の一端を載置することによって支持する載置部材22と、図示を省略したチャックによって支持される固定部材本体21と、その固定部材本体21と支持部材23との間に挿入することによって支持部材23における針用パイプ10と接している面を内側へ移動させて針用パイプ10を固定するくさび24とを備えて形成している。
前述の載置部材22には、載置された針用パイプ10の内孔と連通する芯材用貫通孔22aが設けられている。この芯材用貫通孔22aは、載置面においては針用パイプ10の内孔よりも小さいものの、徐々に拡開されている。
芯材挿入装置40は、針用パイプ10よりもやや長い芯材41を備えており、針固定用部材20における載置部材22の芯材用貫通孔22aから芯材41を挿入する。芯材用貫通孔22aは、載置面に向かって徐々に拡開されているので、挿入しやすい。
載置部材22の芯材用貫通孔22aから挿入された芯材41の先端は、図4及び図5に示すように、芯材用貫通孔22aから針用パイプ10の内孔の先端にまで達する。かくして、芯材挿入工程が実施される。
絞り加工装置30は、回転しながら針用パイプ10を挟むダイス31を備えている。針用パイプ10を挟むダイス31は、図5に示すように、針用パイプ10の先端側から回転しつつ加工する。この加工は、冷間鍛造にて行われる。ダイス31は、図6に示すように、針用パイプ10を径方向に往復させることによって針用パイプ10を打撃しながら逐次圧縮していく。かくして、絞り加工工程が実施される。この加工法は、眼鏡のフレーム、ゴルフクラブのスチールシャフトなどの製造にも採用されるスウェージング加工と呼ばれる。
絞り加工が所定長さ、具体的には先端から約5mm〜10mm行われたら、図7に示すように、絞り加工装置30は固定用部材20から遠ざかる。また、図7に示すように、芯材挿入装置40が芯材41を針用パイプ10から抜き取る。かくして、芯材取り出し工程が実施される。絞り加工装置30を外された針用パイプ10はスプリングバックが生じるので、芯材41はすぐに抜き取れる。
次に、図8及び図9に示すように、絞り部12の内孔をドリル60によって切削する。ドリル60は、その外径を0.12mmとしている。切削は、10,000rpmにて切削油を投与しつつ行われる。ドリル60の長さは、針用パイプ10における絞り部12よりもやや長い寸法、具体的には約5mm〜10mmである。かくして、ドリル加工工程が実施される。この段階で、針用パイプ10をを軸心に沿って切断し、非接触三次元測定装置(NH−3、三鷹光器株式会社)を使用したレーザー測定により、絞り部12の内孔の表面の算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)の測定をした。その結果、算術平均粗さ(Ra)は0.067μm、最大高さ(Ry)は0.315μmであった。
針用パイプ10の内側切削加工を終了したら、図10に示すように、ドリル60は後退する。すると、根元部11よりも薄肉の絞り部12が形成されることとなる。なお、洗浄工程などの別途手段によって切削油の除去も行う。
図11は、針固定用部材20から針用パイプ10を取り外す様子を示す。まず、取り外し装置50が支持部材23及びくさび24,24に衝突し、くさび24,24を上昇させることによって、くさび24,24によるロック状態を解除する。すると、くさび24,24によって針用パイプ10を挟み込んでいた力が解かれて、針用パイプ10が外れるのである。
なお、詳細な図示を省略したが、上記のように製造された針用パイプ10は、ドリル加工が施された先端部位を斜めに切断して尖端部14を形成する先端加工工程によって、注射針15となる(図1[F]参照)。尖端部14の角度は、10〜15度である。
以上のようにして出来上がった注射針15は、根元部11の外径が0.6mm、内径が0.4mmであり、絞り部12の外径が0.22mm、内径が0.12mmである。
上記した実施形態によって製造される注射針15は、インシュリンなどの注射に用いる皮下注射用注射針である。ただし、同一の製法によって他の用途の注射針を製造することも可能である。
製造の全行程を簡略に示した概念図である。 針用パイプを示す断面図である。 針固定用部材と、その針固定用部材に固定された針用パイプとを示す断面図である。 芯材を挿入する工程を示す断面図である。 絞り加工の開始前の状態を示す断面図である。 針用パイプの一部に絞り加工を施している様子を示す断面図である。 絞り加工を終了した状態を示す断面図である。 ドリルによる切削を示す断面図である。 ドリルによる切削を示す断面図である。 ドリルによる切削を示す断面図である。 針固定用部材から針用パイプを取り外す様子を示す断面図である。
符号の説明
10 針用パイプ 11 根元部
12 絞り部 12a 絞り内壁部
13 絞り傾斜部 14 尖端部
15 注射針
20 針固定用部材 21 固定部材本体
22 載置部材 22a 芯材用貫通孔
23 支持部材 24 くさび
30 絞り加工装置 31 ダイス
40 芯材挿入装置 41 芯材
50 取り外し装置
60 ドリル

Claims (3)

  1. 金属製の針用パイプ内に芯材を挿入する芯材挿入工程と、
    その芯材を挿入された針用パイプの先端側を塑性変形させて外径を絞って絞り部を形成する絞り加工工程と、
    芯材を外す芯材取り出し工程と、
    前記芯材取り出し工程の後に、前記絞り部の内孔を先端側からドリルにて切削するドリル加工工程と、
    前記絞り部の先端を斜めに切断して尖端部を形成する尖端加工工程とを備え、
    前記ドリル加工によって切削された内孔の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上0.2μm以下であって、最大高さ(Ry)が0.6μm以下であることを特徴とする注射針の製造方法。
  2. 前記芯材の外径は0.04mm以上0.18mm以下であるとともに、
    前記絞り部の外径は、0.1mm以上0.25mm以下であり、内径は0.05mm以上0.2mm以下であることを特徴とする請求項1記載の注射針の製造方法。
  3. 前記針用パイプは、
    金属製の平板を丸めてパイプを製造するパイプ製造工程と、
    製造されたパイプの境目を溶接する溶接工程と、
    溶接後のパイプを所定長さに切断する切断工程と
    により製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の注射針の製造方法。
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