JP4588693B2 - 水素生成能力に関する遺伝子が改良された微生物およびその微生物を用いた水素の製造方法 - Google Patents

水素生成能力に関する遺伝子が改良された微生物およびその微生物を用いた水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物であって、該微生物が有する嫌気代謝経路における乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が、不活性化されている微生物を用いて水素を製造する方法に関する。本発明の方法により生成する水素は、燃料電池用燃料源として使用することができる。
水素は、化石燃料と異なり、燃焼しても炭酸ガスや硫黄酸化物等の環境問題が懸念される物質を発生しない究極のクリーンエネルギー源として注目されている。水素は、単位質量当たりの熱量が石油の3倍以上あり、燃料電池に供給すれば電気エネルギーおよび熱エネルギーに高い効率で変換できる。
水素生成のために従来化学的製法として、例えば天然ガスやナフサの熱分解水蒸気改質法等の技術が提案されている。これらの方法は高温高圧の反応条件を必要とし、そしてこの方法により製造される合成ガスにはCO(一酸化炭素)が含まれるため燃料電池用燃料として使用する場合には、燃料電池電極触媒劣化の問題を回避するためCOを除去する必要がある。しかしながら、CO除去は、技術的に困難であり容易ではない。
一方、微生物による生物的水素生成は常温常圧の反応条件で行え、そして発生するガスにはCOが含まれないためその除去も不要である。
このような観点から、微生物による生物的水素製造方法は燃料電池用燃料供給のより好ましい方法として、注目されている。
生物的水素製造方法は大別して光合成微生物を使用する方法と非光合成微生物(主に嫌気性微生物)を使用する方法に分けられる。
前者の方法は水素生成に光エネルギーが用いられるが、低い光エネルギー利用効率のため、広大な集光面積を要し、水素生成装置の価格問題や維持管理の難しさ等、解決しなければならない課題が多く未だ実用的なレベルには至っていない。
後者の方法では、嫌気性微生物における水素生成に関する代謝経路が種々知られている。該代謝経路としては、例えば、グルコースのピルビン酸への分解経路において水素が発生する経路;ピルビン酸からアセチルCoAを経て酢酸が生成する過程において水素が発生する経路;又はピルビン酸由来の蟻酸より直接水素が発生する経路等が挙げられる。グルコースからピルビン酸への分解経路による、もしくはピルビン酸からアセチルCoAを経て酢酸が生成する過程における、NADH等の再酸化と共役した水素生成は、絶対嫌気性微生物に多く見られる。また、ピルビン酸由来の蟻酸より直接水素を発生する経路は、蟻酸ヒドロゲンリアーゼシステム(以下、FHLシステムという)として、通性嫌気性微生物をはじめ多くの微生物が有しており、FHLシステムに関してはエシェリキア・コリにおいて数多くの研究がなされている。エシェリキア・コリに代表される通性嫌気性細菌でのグルコースからの水素生成は、グルコース1分子からピルビン酸が2分子生成し、ピルビン酸がアセチルCoAと蟻酸に開裂することにより、アセチルCoAと蟻酸がグルコースからはそれぞれ2分子生成し、その内の蟻酸が水素と二酸化炭素に分解される、という経路を取ると考えられている。従って、通性嫌気性細菌によるグルコース1モルからの水素理論収率は2モルとされている。
現在まで、グルコースを基質とし、FHLシステムを介して水素生産を行う方法がいくつか知られている。おり、エシェリキア・コリの乳酸経路を不活性化することによる水素製造方法が報告されている。
“早出広司ら、Biohydrogen II、2001年、p.195−204”は、乳酸生成経路を不活性化した微生物を用いてグルコースから水素を製造する方法を開示している。しかし、乳酸生成経路を不活性化しても水素収率は殆ど向上しておらず、グルコースからの水素収率は理論収率を100%とした場合に22%〜24%程度である。また水素生成速度も向上していない。
また、国際公開第2004/074495号公報は、水素生成能力を有する微生物を得るために、微生物を好気条件で培養し、その得られた菌体を嫌気条件で培養して、微生物に水素生成能力を付与する方法を開示している。しかし、同公報には、遺伝子の改変による水素生成速度および水素収率の向上には何ら言及していない。
“K.Y.ALAMら、J.Bacteriol.,1989年、第171巻、p.6213−6217”は、酸化還元レベルの異なる様々な基質による有機酸等の生成バランスについて報告している。同文献は、乳酸脱水素酵素遺伝子(以下、ldhAともいう)およびフマル酸還元酵素遺伝子(以下、frdABCDともいう)を不活性化することにより、それぞれ乳酸及びコハク酸の生成が抑えられた微生物を得たことを報告している。同文献には、生成物の酸化還元バランスについて記載されているが、水素生成、及び水素収率に関する記載は全くない。フマル酸還元酵素は4つの遺伝子frdA、frdB、frdC、及びfrdDによりコードされた4種のタンパクがそれぞれサブユニットとなり複合酵素として活性を持つとされているが、同文献には、如何なる方法によりフマル酸還元酵素(FRD)が不活性化されているのか、又いずれのサブユニットが不活性化されているかが記載されていない。
同文献の表3(6215頁)には、各種糖類を使用した場合に生成する各有機酸等の組成が示されている。また、野生株を用いた場合に比較して、乳酸脱水素酵素遺伝子及びフマル酸還元酵素遺伝子frdが不活性化されている変異株は、水素生成に関連すると思われる蟻酸の生成量がほとんど変化していないデータが示されている。同文献は、糖類からの水素生成の収率や速度が向上する技術やそのような現象を示唆していない。
“Biotechnol Lett.2001,23,p537−541”は、嫌気性代謝経路を変異原物質を用いて不活性化することにより、水素収率が大幅に向上したことを開示している。しかし、同文献は不活性化された遺伝子を特定していない。また、コハク酸についての記載はない。
PCT/JP2004/002092号公報は、高効率水素製造方法を開示しているが、同文献の方法では蟻酸存在下での菌体の培養条件が限定されており、また微生物の遺伝子組み換えにより水素収率を向上させることは教えていない。
嫌気条件下において、有機性基質からの水素収率、例えば1モルのグルコースからの水素理論収率は2モルである。しかし、実際には、嫌気性微生物による水素生成の基本原理である還元力の排出は、水素生成以外の形でも行われているため、理論収率で水素を得ることは困難である。また、微生物を用いて水素を製造する方法は、水素生成速度が遅い。
本発明の第1の目的は、微生物を用いて、高収率かつ高速度で、有機性基質から水素を製造する方法を提供することである。そのようにして得られる水素は燃料電池用の燃料源として使用することができる。
本発明の第2の目的は、有機性基質から高収率かつ高速度で水素を生産することができる微生物を提供することである。
本発明者等は上記の課題を解決することを目的として、鋭意検討を行った結果、ヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物であって、微生物の持つ嫌気代謝経路のうち乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が不活性化されている微生物を用いて、嫌気条件下で有機性基質による水素生成反応を行うことにより、有機性基質からの水素収率が格段に向上し、微生物重量あたりの水素発生速度が一段と向上できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の水素製造方法及び微生物を提供する。
項1. ヒドロゲナーゼ遺伝子を有し、かつ嫌気代謝経路における乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が不活性化されている微生物を、有機性基質の存在下嫌気条件で培養することを特徴とする水素製造方法。
項2. 微生物が、さらに蟻酸脱水素酵素遺伝子を有するものである項1に記載の水素製造方法。
項3. 微生物が、通性嫌気性細菌である項1に記載の水素製造方法。
項4. 通性嫌気性細菌が、エシェリキア・コリの形質転換体である項3に記載の水素製造方法。
項5. 微生物が、乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子を有し、かつその乳酸脱水素酵素遺伝子、およびフマル酸還元酵素を構成するサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも一つが不活性化されているものである項1に記載の水素製造方法。
項6. 微生物が、Escherichia coli W3110 ΔldhA ΔfrdBC株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 受託番号FERM P−20737,国際受託番号FERM BP−10726)である項4に記載の水素製造方法。
項7. 微生物が、好気条件下にて培養された後、さらに嫌気条件で培養されたものである項1に記載の水素製造方法。
項8. 有機性基質が糖類である項1に記載の水素製造方法。
項9. 糖類が、グルコース、ガラクトース、キシロース、スクロース、及びフルクトースからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8に記載の水素製造方法。
項10. ヒドロゲナーゼ遺伝子を有し、かつ嫌気代謝経路における乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が不活性化されている水素製造用微生物。
項11. Escherichia coli W3110 ΔldhA ΔfrdBC株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 受託番号FERM P−20737,国際受託番号FERM BP−10726)。
本発明により、糖類等の有機性基質から効率的な水素生成が可能となる。さらには、有機性基質からの微生物重量あたりの水素生成速度が向上し、水素生成反応器の容量を小さくすることが可能となる。また水素生成時の各種有機酸等の副生物の生成を抑えることが可能となる。
本発明に係る水素製造方法は、ヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物であって、該微生物が有する嫌気代謝経路における乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が、不活性化されている微生物を用いることにより実現される。このような微生物を水素生成用の液体に懸濁し、それに嫌気条件下にて有機性基質を供給することにより、工業的に有利に水素生成を行うことができる。以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明に係る微生物の構築に用いられる微生物は、ヒドロゲナーゼ遺伝子を有する微生物である。ヒドロゲナーゼとしては、代表的には蟻酸水素リアーゼ(Formate Hydrogen Lyase)複合体に含まれるヒドロゲナーゼ(R.Boehmら、Molecular Microbiology、1990年、4巻、p.231−243)や、細胞内にモノマーで存在する可溶性ヒドロゲナーゼ(J.Mishraら、Biochemical and Biophysical Research Communications,2004年,324巻,679−685頁)が挙げられる。このヒドロゲナーゼは、2つのプロトンと電子から1分子の水素への変換を触媒する。ヒドロゲナーゼとしては、蟻酸、NAD(P)H、フェレドキシン、シトクロム、メナキノンなどを基質とするヒドロゲナーゼが挙げられる。
この微生物は、さらに蟻酸脱水素酵素遺伝子(F.Zioniら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1986年、83巻、p.4630−4654)を有することが好ましい。蟻酸水素リアーゼ複合体には、蟻酸脱水素酵素遺伝子が含まれる。
微生物がヒドロゲナーゼ活性を有することは、菌体から粗酵素液を抽出し、水素を基質とする酵素反応により、NAD、ベンジルビオロジェン、又はメチルビオロジェンなどを還元する反応を行い、吸光度の変化の有無を検出することにより確認できる。また、微生物が、蟻酸脱水素酵素遺伝子を有することは、菌体から粗酵素液を抽出し、粗酵素液に蟻酸ナトリウムを添加し、ベンジルビオロジェンなどを還元する反応を行い、吸光度の変化の有無を検出することにより確認できる。また、微生物がこれらの酵素を有することは、マウスやラットを用いて作製したヒドロゲナーゼ抗体を用いて、微生物から調製したタンパク質に対するウェスタンブロッティングを行うことによっても確認することができる。また、ヒドロゲナーゼ間又は蟻酸脱水素酵素間で保存されている塩基配列に基づき設計したプローブを用いて、微生物から抽出したDNAに対してサザンハイブリダイゼーションを行うことによっても確認することができる。
また、本発明において使用される微生物の構築に用いられる微生物は、嫌気性微生物であることが好ましい。嫌気性微生物としては、偏性嫌気性微生物または通性嫌気性微生物が挙げられるが、偏性嫌気性微生物よりも通性嫌気性微生物が好ましい。通性嫌気性微生物としては、例えばエシェリキア(Escherichia)属微生物―例えばエシェリキア・コリ[(Escherichia coli) ATCC9637、ATCC11775、ATCC4157、ATCC27325等]、クレブシェラ(Klebsiella)属微生物―例えばクレブシェラ・ニューモニエ[(Klebsiella pneumoniae)ATCC13883、ATCC8044等]またはエンテロバクター(Enterobacter)属微生物―例えばエンテロバクター・アエロギネス[(Enterobacter aerogenes) ATCC13048、ATCC29007等]若しくはエンテロバクター・クロアセ(Enterobacter cloacae)等が挙げられ、また、偏性嫌気性微生物としては、例えばクロストリジウム(Clostridium)属微生物―例えばクロストリジウム・ベイエリンキイ[(Clostridium beijerinckii) ATCC25752、ATCC17795等]、クロストリジウム・ブチルクム(Clostridium Butylicum)またはクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)等が挙げられる。
これらの嫌気性微生物は、嫌気条件による分裂増殖は好気条件によるそれと比較して極めて遅いことより好気条件による培養が好ましい。この意味で嫌気性微生物の内、偏性嫌気性微生物より通性嫌気性微生物が、本発明に係る水素製造方法に好適に使用される。上記微生物の内ではエシェリキア・コリ(Escherichia coli)またはエンテロバクター・アエロギネス(Enterobacter aerogenes)等が、本発明に係る水素製造方法に好適に使用される。
本発明方法で使用する微生物は、嫌気代謝経路における乳酸生成経路及びコハク酸生成経路が不活性化されている。本発明において、「不活性化」には、実質的に全く活性を示さない場合、及び天然型微生物に比べて活性が低下している場合の双方が含まれる。
乳酸生成経路およびコハク酸生成経路を不活性化する方法としては、最終的に、該微生物が有する嫌気代謝経路において乳酸およびコハク酸の生成を抑制するように、該微生物の遺伝子を組み換える方法等が挙げられる。該方法としては、より詳細には、例えば、変異原を用いた突然変異による非遺伝子工学的手法や、制限酵素またはリガーゼなどを用い、任意に遺伝子配列の操作を行う遺伝子工学的手法等が挙げられる。このうち、目的とする遺伝子を確実に不活性化するためには、遺伝子工学的手法が好ましい。
本発明に係る微生物が有する嫌気代謝経路における乳酸生成経路を不活性化して、乳酸の生成を抑制するためには、乳酸生成経路に関与する遺伝子、たとえば乳酸脱水素酵素遺伝子を不活性化することが好ましい。また、コハク酸生成経路は、ホスホエノールピルビン酸からオキザロ酢酸、リンゴ酸、フマル酸を経てコハク酸に変化する経路である。本発明の微生物は、嫌気性代謝経路におけるコハク酸生成経路のいずれのステップが不活性化されていてもよいが、フマル酸からコハク酸を生成するステップが不活性化されていることが好ましい。このため、コハク酸生成経路に関与する遺伝子、例えばフマル酸還元酵素遺伝子を不活性化することが好ましい。
フマル酸還元酵素遺伝子については、フマル酸還元酵素サブユニットをコードする遺伝子の少なくとも一つが不活性化されていればよい。
遺伝子工学的手法により乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子を不活性化する方法としては、乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子をあらかじめクローニングしておき、該遺伝子の特定部位に非遺伝子工学的手法もしくは遺伝子工学的手法により突然変異を起こす、該遺伝子の特定部位に遺伝子工学的手法により特定の長さの欠損部位を設ける、または該遺伝子の特定部位に薬剤(カナマイシンまたはハイグロマイシンなどの抗生物質等)耐性マーカーなどの外来性遺伝子を導入すること等により、不活性化のための変異遺伝子を含むDNAを準備し、このDNAを細胞へ戻す方法が好ましく用いられる。
薬剤耐性マーカーを乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子に導入し不活性化する場合、薬剤耐性マーカーを含む培地にて目的とする株をスクリーニングすることにより、薬剤耐性マーカーを導入した株を得ることができる。この方法では、薬剤耐性マーカーなどの外来遺伝子が周辺の遺伝子に影響を及ぼす場合がある。このような事態を避けることができる方法として、乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子に特定の長さの欠損部位を設けることが望ましい。特定の長さのDNAを欠損させるだけでは不活性化された株を取得することができないため、不活性化されるべき遺伝子と致死遺伝子とを同時に細胞内に導入し、相同組み換えを行う方法により遺伝子に特定の長さの欠損部位を設けることができる。致死遺伝子としては、例えば、エシェリキア・コリ内ではバチルス・サブチリス由来のsacB遺伝子が挙げられる。形質転換のためのベクター内に、特定長の欠損領域のある遺伝子と、sacB遺伝子を挿入する。このベクターを用いて組み換えを行う宿主に導入し、相同組み換えを行う。相同組み換えを効率よく行うためには、温度感受性のベクターを用いることがより好ましい。温度感受性ベクターとしては、温度感受性レプリコンpSC101tsを持つ、pMA2、pLOI2226、pTH18ks1またはpTH18ks5などが挙げられる。一度相同組み換えを行った宿主内には、不活性化された遺伝子と元来より存在する不活性化されていない遺伝子が存在する。一度相同組み換えを行った宿主細胞を致死遺伝子が誘発される条件下で培養することにより、致死遺伝子領域と不活性されていない遺伝子領域との二度目の相同組み換えが起こり、乳酸脱水素酵素遺伝子またはフマル酸還元酵素遺伝子は完全に不活性化され、目的とする組み換え株を得ることが可能となる
組み換えを起こす遺伝子のベクター(プラスミド)への挿入は、公知の方法で行うことが出来るが、市販のライゲーションキット等を用いるのが簡便で好ましい。ライゲーションキットとしては、例えばDNA ligation Kit ver 1、DNA ligation Kit ver 2.1(タカラバイオ社製)、Fast−Link(登録商標); DNA Ligation Kit(AR BROWN CO.,LTD製)、Ligation−Convenience Kit(ニッポンジーン社製)又はラピッドDNAライゲーションキット(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)等が挙げられる。
上記のようにして得られるベクターを宿主に導入する方法は公知の方法を用いることができる。該方法としては、例えば、コンピテント細胞を塩化カルシウムで処理する方法(Mandel,M.and Higa,A.,J.Mol.、Biol.,53,159(1970))や、細胞をプロトプラスト又はスフェロプラストの状態にして導入する方法(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec.Gen.,Genet.,168.111(1979);Bibb,M.J.,Ward,J.M. and Hopwood,O.A.,Nature,274,398(1978);Hinnen,A.,Hicks,J.B. and Fink,G.R.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75 1929(1978))、エレクトロポレーション法(Canadian Journal of Microbiology,43197(1997))等が挙げられる。
また、微生物が有する乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が不活性化された遺伝子は、乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子などを、文献調査、もしくは公知の分子生物学的実験もしくはそれから派生する相同性検索等により特定した後、その配列を用いて遺伝子を選択して、上述の操作により遺伝子を組み換えることにより得られる。より詳しくは、例えばエシェリキア・コリ K−12 W3110株は既に全ゲノムDNA配列が解読されており、W3110株内に存在する乳酸脱水素酵素遺伝子ldhA、フマル酸還元酵素遺伝子frdABCDの配列は、以下URLに記載のデータベース
http://gib.genes.nig.ac.jp/
http://ecoli.aist-nara.ac.jp/GB5/search.jsp
より検索を行うことにより、見出すことができる。そして、ここで得られるDNA配列に基づき、ldhA遺伝子、frdABCD遺伝子を有した配列を増幅することが可能であるので、このようにして得られる遺伝子を前述した操作により組み換えることで不活性化することができる。ここで、乳酸脱水素酵素は遺伝子ldhAによりコードされる単一酵素であり、フマル酸還元酵素は遺伝子frdABCDによりコードされ、4つのサブユニットで構成される酵素である。
あるいは、ldhAおよびfrdABCDとそれぞれ相同性の高い配列を、以下URLに記載のデータベース
http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/blast-j.html
より検索し、この配列を用いて該当遺伝子を探索することができる。本発明に係る乳酸脱水素酵素遺伝子およびフマル酸還元酵素遺伝子の不活性化は前述のいずれかの方法によっても行うことができる。
このようにして、乳酸生成経路およびコハク酸生成経路が不活性化されている微生物を創製できる。
以下、上記の方法により得られる微生物に水素生成能力を獲得させるための培養方法、およびその微生物を用いた水素製造方法を示す。
本発明による水素製造方法としては、微生物の嫌気増殖とともに水素生成を行う方法と、微生物培養段階と嫌気条件下の水素生成段階とを分けて行う方法とが挙げられる。水素の生産性向上の観点から、微生物培養段階と水素生成段階とを分ける方法が好ましい。
以下に微生物培養段階と水素生成段階とを分ける方法について具体的に記す。まず微生物培養段階において、水素生成能力を有していない微生物を好気条件で培養する。次に水素生成段階において、培養段階で得られた水素生成能力を有していない微生物に嫌気条件下にて水素生成能力を誘導し、ついでこの微生物を用いて水素を生成させる。
まず、好気条件で微生物を培養する段階について示す。この段階においては、短時間で高微生物濃度まで培養することができる。培養するための手段としては公知な手段が用いられる。培養手段としては、好気条件で、例えば、振盪培養、ジャーファーメンター(Jar Fermenter)培養もしくはタンク培養等の液体培養、又は固体培養等が挙げられる。培養温度は、微生物が生育可能な範囲で適宜変更できるが、通常約15〜40℃、好ましくは約30〜40℃である。培地のpHは約6〜8の範囲が好ましい。培養時間は、培養条件によって異なるが通常約0.5〜5日が好ましい。
次に、水素生成段階において、水素生成能力を有していない微生物に水素生成能力を誘導する工程について示す。
水素生成能力を有していない微生物へ水素生成能力を誘導する方法は、嫌気条件下で行うことが好ましい。嫌気条件下での培養は、培地中成分の拡散を促進するために撹拌培養が好ましい。嫌気条件下での攪拌培養開始時の微生物濃度は、約0.01〜80質量%(湿潤状態微生物質量基準)であることが好ましい。この際、微生物が水素生成能力を獲得するために、嫌気条件下での攪拌培養中に、微生物が分裂増殖をすることが好ましいが、分裂増殖することは必ずしも必要ではなく、分裂増殖しない場合においても、微生物の水素生成能力が誘導されれば良い。
嫌気条件下とは、培養液中の酸化還元電位が好ましくは約−100〜−500mV程度、さらに好ましくは約−200〜−500mV程度であることをいう。培地の嫌気状態を調整する方法としては、培地中の溶存酸素を除去する方法であれば、いずれも好ましく用いることが出来、例えば培地の加熱処理や減圧処理あるいは培地中への窒素ガス等のバブリング等により溶存ガスを除去する方法が挙げられる。具体的には培養液中の溶存ガス、特に溶存酸素の除去を行う方法として、好ましくは約13×10Pa以下、より好ましくは約7×10Pa以下、さらに好ましくは約4×10Pa以下の減圧下で好ましくは約1〜60分間、より好ましくは5〜60分間程度、脱気処理する方法が挙げられ、該方法により、嫌気条件の培養液を得ることができる。また、必要に応じて還元剤を培養液に添加して嫌気条件の培養液を調整することができる。培養液に用いる還元剤としては、チオグリコール酸、アスコルビン酸、システィン塩酸塩、メルカプト酢酸、チオール酢酸、グルタチオンまたは硫化ソーダ等が挙げられる。これらの一種、あるいは数種類を組み合わせて、培養液に添加することも可能である。
嫌気条件下で微生物に水素生成能力を誘導するための培養は、炭素源、窒素源、及びミネラル源等を含む通常の栄養培地を用いて行うことが出来る。炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セルロース、リボース、リビトール、アラビトール、ラムノース、フコース、廃糖蜜またはグリセロール等を挙げることができる。窒素源としては、無機態窒素源または有機態窒素源を挙げることができる。無機態窒素源としては、例えばアンモニア、アンモニウム塩または硝酸塩等を挙げることができる。有機態窒素源としては、例えば尿素、アミノ酸類またはタンパク質等を挙げることができる。これら無機態窒素源および有機態窒素源は、それぞれ単独もしくは混合して栄養培地に添加することができる。無機態、有機態ともに同様に利用することが可能である。またミネラル源として、おもにK、P、Mg、Sなどを含む、例えばリン酸一水素カリウムまたは硫酸マグネシウム等を用いることができる。この他にも必要に応じて、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カザミノ酸、ビオチンまたはチアミン等各種ビタミン等の栄養素を培地に添加することもできる。また、培地は水素生成のために、微量金属成分を含むことが好ましい。必要な微量金属成分としては、培養する微生物種により異なるが、鉄、モリブデン、セレン又はニッケル等が挙げられる。なお、これらの微量金属成分は酵母エキス等の天然栄養源には相当程度含まれている。
嫌気条件下で水素生成能力を誘導するための培養には、上記記載の炭素源が必要であるが、微生物内へ取り込む速度の遅い炭素源を用いることが好ましい。これらの炭素源としては、ラクトース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、リビトール、アラビトール、ラムノースまたはフコースなどが挙げられる。
微生物濃度に関して、高濃度の微生物濃度で嫌気条件下にて微生物を培養することが、より効果的に水素生成能力を誘導することが出来るために好ましい。
嫌気条件下での攪拌培養の条件として、温度域は、約20〜45℃、好ましくは約25〜40℃が好ましい。pH域は、約4.0〜10.0が好ましく、約5.0〜8.0がより好ましい。酸およびアルカリを用いてpHの調整を行うことができる。温度域、pH域ともに、上記の範囲内が微生物にとって最適な温度域、pH域である。通常、培養開始時の炭素源濃度は約0.1〜20%(w/v)が好ましく、さらに好ましくは1〜5%(w/v)である。
次に、上記方法にて得られた水素生成能力を有する微生物を用いた水素生成工程について示す。
上述の水素生成能力を誘導するための培養終了後、培地中にある水素生成能力が誘導された微生物をそのまま用いることもできるし、一度微生物を分離した後に、嫌気条件下、還元状態にある水素生成溶液に分離した微生物を加えて使用することもできる。いずれの場合であっても、培地又は水素生成溶液に有機性基質を供給することにより、微生物に水素を生成させることができる。水素生成反応は一定のpHで行うことにより安定的に起こるため、反応液には緩衝作用を持つ成分を添加することが好ましい。水素生成に用いる緩衝剤としては、リン酸バッファ、酢酸バッファまたは炭酸バッファなどの酸バッファや、MES、PIPES、ACES、HEPES、HEPPS、MOPS、TAPSまたはCAPSなどのGoodの緩衝試薬などが挙げられる。反応液のpHにより、緩衝剤の濃度および試薬の種類は適宜調整され得ることが可能である。pHは約5〜8に保つことが好ましい。
水素を生成させる方法としては、連続的にあるいは間欠的に、微生物を添加した水素生成溶液に有機性基質を供給する方法が挙げられる。本発明の方法は乳酸およびコハク酸等余分な成分を生成しない特徴を有効利用する方法であるため、水素生成溶液に供給される有機性基質としては、解糖系の中間体のうちホスホエノールピルビン酸より上流に位置する有機性基質が好ましく、微生物が取り込むことが容易な点、及びコストの観点より、糖類がより好ましい。
ここで糖類等とは、一般にC(HO)を基本単位とするものを示し、単糖・オリゴ糖・多糖を含む。具体的には、例えば、グルコース、マルトース、メリオビオース、ガラクトース、ラクトース、トレハロース、スクロース、セロビオース、フルクトース、マンノース、ソルボース、N−アセチルグルコサミン、D−グルコサミン、フコース、ラムノース、アラビノース、キシロース、リボース、リビトール、アラビトール、デオキシリボース、グルシトール、マンニトール、ガラクシトール、キシリトール、グルクロン酸、ガラクチュロン酸、グルコン酸、デンプンまたはグリコーゲンなどが挙げられる。それらの中でも、微生物が効率的に利用できるという観点からグルコース、ガラクトース、キシロース、フルクトースまたはスクロースが好ましく、グルコース、及びスクロースがより好ましい。
水素生成溶液へ添加する有機性基質の濃度は、約1%(w/w)〜飽和水溶液が好ましく、約50%(w/w)〜飽和水溶液がより好ましい。また、有機性基質は、固体状態で添加することが好ましい。水素生成溶液中の糖類の濃度が低すぎると、有機性基質の供給に伴い、水素生成溶液の体積が増加してするために、微生物濃度も変化していくことから好ましくない。また、有機性基質の供給速度としては、水素生成溶液のpHが約4.0〜9.0の範囲で制御される範囲であれば、特に制限はない。
水素の生成反応の反応温度は、約20〜50℃の条件が好ましく、さらに好ましくは約30〜45℃の範囲が微生物のライフの面からも好ましい。
水素生成溶液としては、嫌気条件(還元状態)下の水素生成溶液を用いる必要がある。この溶液の嫌気条件として、水素生成溶液の酸化還元電位が約−100〜−500mVであることが好ましく、約−200〜−500mVであることがさらに好ましい。
水素生成溶液の微生物濃度は、約0.1〜80%(w/w)(湿潤状態微生物質量基準)であることが好ましく、また、水素生成溶液の粘性が高くなるという観点から、微生物濃度は約0.1〜70%(w/w)(湿潤状態微生物質量基準)がより好ましい。
水素生成溶液には、気体の発生が激しいため、消泡剤を加えることが好ましい。消泡剤については、公知なものが用いられ、具体的には例えばシリコーン系[例えば、SI(Silicone)等]、又はポリエーテル系[例えばPE−H(Polyether−High)、PE−M(Polyether−Medium)、PE−L(Polyether−Low)等]の消泡剤が好ましく用いられる。
微生物、有機性基質および消泡剤は、公知の方法に従って水素生成溶液に供給することができる。
以下、本発明の水素製造方法を用いた燃料電池システムについて示す。
本発明の水素製造方法においては、主に水素と二酸化炭素からなるガスが生成され、一酸化炭素は生成されない。一般的に固体高分子型燃料電池の燃料として、天然ガスの改質法等通常の方法で製造される水素を用いる場合には、該方法により得られる水素等を含むガスから一酸化炭素を除去するシステム(CO変成器、CO除去器等)を用いて、COは10ppm以下に維持する必要がある。本発明の微生物を用いた水素製造方法により製造される水素ガスは、COを含有しないため、燃料電池システムにCOを除去する改質器を設置する必要がなく、装置を簡易化できる。また燃料電池の寿命の面からも、本発明に係る水素製造方法により製造されるガスを用いることは好ましい。
また、従来の都市ガスを用いた水素生成装置の改質方法では、600℃以上の改質温度が必要となり、メタノールを用いた改質方法でも数100℃の改質温度が必要となるのに対して、本発明の水素製造方法に用いる反応容器はほぼ常温で用いることが可能である。さらに、通常、従来の改質器は、立ち上げに時間がかかり、また終了時に時間がかかるものであったのに対して、本発明の水素製造方法を用いた場合には、水素の生産までの取り扱いが容易で時間を短縮でき、本発明の水素製造方法を燃料電池システムに用いることは好ましい。
また、本発明の水素製造方法を用いた燃料電池システムは、CO発生しないため燃料電池の劣化に対しても問題が少ないこと、水素の供給方法としても高温の必要な改質器のシステムを必要としないこと、有機性基質の供給と同時に水素生産可能であることなどの点で、化石燃料の化学的改質方法による水素製造方法と比べて、本発明に係る水素製造方法は優れている。
以下実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
[実施例1]エシェリキア・コリ株(W3110株;ATCC 27325)のldhAを不活性化した株(以下、ldhA不活性化株という)およびエシェリキア・コリ株のfrdBCを不活性化した株(以下、frdBC不活性化株という)の作製
(1)ゲノムDNAの抽出
エシェリキア・コリ株を、表1記載のLB培地(Luria−Bertani培地)10ml中で、37℃で一晩振盪培養行い、GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit(Amersham Bioscience社製)にてゲノムDNAを抽出した。
(2)ldhA不活性化(破壊)株作製用ベクターの作製
上記(1)にて取得したゲノムDNAから、プライマー
5’-CCTGTTTCGCTTCACCGGTCAG-3’(配列番号1)
5’-TCTTTGGTTCTGTCCAGTACCG-3’(配列番号2)
を用い、サーマルサイクラーGeneAmp PCR System 9700(ABI社製)を使用してldhA領域を増幅した。増幅したDNAおよびプラスミドpHSG398(宝酒造(株)製)を、BamHIおよびPstIで制限酵素処理した後、DNA ligation Kit ver 2.1(宝酒造(株)製)によりライゲーションを行い、ldhA-pHSG398を得た。さらに、得られたldhA-pHSG398を鋳型として、プライマー
5’-GGACTAGTCTGGCGTTCGATCCGTATCC-3’(配列番号3)
5’-GCTCTAGACCAAAACCTTTCAGAATGCGCA-3’(配列番号4)
を用いてインバースPCRした後、SpeIおよびXbaIで処理した。そして、得られたDNAに、pHSG398を鋳型としてプライマー
5’-GCTCTAGAACGGAAGATCACTTCGCAGAAT-3’(配列番号5)
5’-GGACTAGTTTAAGGGCACCAATAACTGCCT-3’(配列番号6)
を用いて増幅したクロラムフェニコールカセットを挿入し、ΔldhA−pHSG398を得た。
また、pMV5(Vertes、A.A. et al.Isolation and characterization of IS31831、a transposable element from Corynebacterium glutamicum.Mol.Microbiol.11、739−746(1994))から、プライマー
5’-CTCTGCATGCAACCCATCACATATACCTGC-3’(配列番号7)
5’-CTCTGCATGCATCGATCCTCTAGAGTATCG-3’(配列番号8)
を用いてPCRを行うことによりsacB領域を増幅したもの、およびプラスミドpTH18ks1(Hashimoto−Gotoh、T.et al.A set of temperature sensitive−replication/−segregation and temperature resistant plasmid vectors with different copy numbers and in an isogenic background(chloramphenicol,kanamicin、lacZ、repA、par、polA).Gene 241,185−191(2000))を、SphIで制限酵素処理した後、ライゲーションを行い、sacB−pTH18ks1を得た。
そして、得られたsacB−pTH18ks1のBamHIサイトとPstIサイトの間に、ΔldhA−pHSG398のΔldhA領域を挿入し、ΔldhA−sacB−pTH18ks1を得た。ΔldhA−sacB−pTH18ks1の構築図を図1に示す。
(3)ΔldhA−sacB−pTH18ks1の導入およびldhA不活性化株の作製
上記の方法により得られたΔldhA−sacB−pTH18ks1を、W3110株にエレクトロポレーション法により導入した。そして、下表2記載の培地(10ml)にて43℃で培養することで相同的組み換えを行い、その組み換えベクターが染色体上に挿入された組み換え株を得た。
さらに、上記の寒天培地で培養することにより得られた組み換え株を、表3で示す寒天培地(10ml)にて30℃で培養することにより、ldhA不活性化株を得た。
(4)ldhA不活性化株の分子生物学的確認
上記の方法により得られたldhA不活性化株は、シーケンサーPrism 3100 genetic analyzer(ABI社製)により、W3110株のldhA領域が削除された株であることを確認した。
(5)frdBC不活性化用ベクターの作製
上記(1)にて取得したゲノムDNAから、プライマー
5’-GCGAGCTCGTGCAAACCTTTCAAGCCGA-3’(配列番号9)
5’-CGGGATCCGACACCAATCAGCGTGACAA-3’(配列番号10)
を用い、サーマルサイクラーGeneAmp PCR System 9700(ABI社製)を使用してfrdABCD領域を増幅した。増幅したDNA、およびプラスミドpHSG398(宝酒造(株)製)を、BamHIおよびSacIで制限酵素処理した後、DNA ligation Kit ver 2.1(宝酒造(株)製)によりライゲーションを行い、frdABCD-pHSG398を得た。
さらに、得られたfrdABCD-pHSG398を鋳型として、プライマー
5’-CCGCTCGAGCTGAACCCAGAGTTCATCGG-3’(配列番号11)
5’-CCGCTCGAGAACGTACGCTTTCGCCAGTT-3’(配列番号12)
を用いてインバースPCR後、XhoIで処理した。そして、得られたDNAに、pUC4K(Amersham Bioscience社製)を鋳型として、プライマー
5’-CCGCTCGAGGAAGATGCGTGATCTGATCCT-3’(配列番号13)
5’-CCGCTCGAGGCCACGTTGTGTCTCAAAATC-3’(配列番号14)
を用いて増幅したカナマイシンカセットを挿入し、ΔfrdBC−pHSG398を得た。
そして、得られたsacB−pTH18ks1のBamHIサイトとSacIサイトの間に、ΔfrdBC−pHSG398のΔfrdBC領域を挿入し、ΔfrdBC−sacB−pTH18ks1を得た。ΔfrdBC−sacB−pTH18ks1の構築図を図2に示す。
(6)ΔfrdBC−sacB−pTH18ks1の導入およびfrdBC不活性化株の作製
上記(5)の方法により得られたΔfrdBC−sacB−pTH18ks1を、(3)で得られたldhA不活性化株にエレクトロポレーション法により導入した。下表4記載の培地(10ml)にて43℃で培養することで相同的組み換えを行い、その組み換えベクターが染色体上に挿入された組み換え株を得た。
さらに、上記で得られた組み換え株を表3で示す寒天培地(10ml)にて30℃で培養することにより、エシェリキア・コリ株のldhAおよびfrdBCを不活性化した株(以下、ldhAおよびfrdBC不活性化株という)を得た。
(7)frdBC不活性化株の分子生物学的確認
上記の方法により得られたldhAおよびfrdBC不活性化株は、シーケンサーPrism 3100 genetic analyzer(ABI社製)により、エシェリキア・コリ株のldhA領域およびfrdBC領域が削除された株であることを確認した。
上記の如くして、本実施例により形質転換されたW3110株は、W3110 ΔldhA ΔfrdBCと命名されて、平成17年12月20日に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1−1−1つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P−20737として、受託された。また、上記株は、国際寄託当局である同センターに、平成18年11月13日に、受託番号FERM BP−10726として、受託された。
[実施例2]実施例1により得られたldhAおよびfrdBC不活性化株を用いたグルコースからの水素製造方法
(1)好気および嫌気条件下での培養
実施例1により得られたldhAおよびfrdBC不活性化株を、下表5で示される組成の培養液10mlに加え、好気条件下、37℃で一晩振盪培養した。
一晩振盪培養したldhAおよびfrdBC不活性化株を含む培養液10mlを、表5記載の培地1.0Lへ植菌し嫌気培養を行った。嫌気条件下での培養は、窒素95%および水素5%の雰囲気の嫌気チャンバーシステム(Coy社製)内で行った。この嫌気条件下での培養は、培地をpH=6.0(5N NaOHにて調整)に保ちながら、37℃で12時間行った。そして、これにより得られた培養液を遠心分離機(6500回転、20分)にかけた後、上澄み液を除去し、約4g(湿重量)の菌体を得た。
(2)水素生成反応
得られた菌体を、下記表6に記載の組成からなる水素生成用溶液100mlに、菌体密度が4%(湿潤状態菌体質量基準)になるように懸濁した。
このようにして作成した菌体を懸濁した水素生成用溶液に、3Mグルコース水溶液を嫌気条件下(窒素95%および水素5%)にて添加し、微生物の水素生成能力を測定した。このとき、菌体を懸濁した水素生成用溶液中のグルコース濃度が60mMとなるようにした。
菌体の水素生成能力の測定は、グルコースを滴下した直後に、生成するガスを水上置換法により集める方法により行い、水素生成初速度は、グルコースの添加から10分間に発生するガス量より求めた。
得られた生成ガスをガスクロマトグラフィー(島津製作所社製)により分析したところ、生成ガス中には約60容積%の水素と約40容積%のガス(炭酸ガス)を含んでいた。このときの水素収率および水素生成速度を後掲の表7に示す。
[実施例3]実施例1により得られたldhAおよびfrdBC不活性化株を用いたフルクトースからの水素製造方法
水素生成反応のための3Mグルコース水溶液を3Mフルクトース水溶液とする以外は、実施例2と同様の方法で、水素生成初速度および水素収率の測定を行った。このときの水素収率および水素生成速度を後掲の表8に示す。
[比較例1および2]ldhA遺伝子およびfrdBC遺伝子を不活性化していないエシェリキア・コリ W3110株(ATCC 27325)を用いた水素生成用菌体の培養方法および水素生成反応
ldhAおよびfrdBC不活性化株の代わりに、野生株のエシェリキア・コリ W3110株(ATCC 27325)を用いる以外は、実施例2および3と同様の方法で、好気条件下での培養、嫌気条件下での培養を行い、水素収率および水素生成初速度の測定を行った。基質としてグルコースを用いた場合を比較例1、基質としてフルクトースを用いた場合を比較例2とした。
[比較例3および4]ldhA遺伝子のみを不活性化したエシェリキア・コリ W3110 ΔldhA株を用いた水素生成用菌体の培養方法および水素生成反応
ldhAおよびfrdBC不活性化株の代わりに、ldhAが不活性化されたエシェリキア・コリ W3110 ΔldhA株を用いる以外は、実施例2および3と同様の方法で、好気条件下での培養、嫌気条件下での培養を行い、水素収率および水素生成初速度の測定を行った。基質としてグルコースを用いた場合を比較例3、基質としてフルクトースを用いた場合を比較例4とした。
表7に、実施例2、比較例1および3において、水素収率および水素生成速度を測定した結果を示す。
表8に、実施例3、比較例2および4において、水素収率および水素生成速度を測定した結果を示す。
表7および表8より、ldhAおよびfrdBC不活性化株を水素生成に用いた場合(実施例2および3)は、対照株(比較例1−4)と比較して、水素収率および水素生成速度が大幅に向上していることが明確である。
本発明方法は、微生物燃料電池等に利用できる。
ΔldhA−sacB−pTH18ks1の構築を示す図である。 ΔfrdBC−sacB−pTH18ks1の構築を示す図である。

Claims (4)

  1. フマル酸還元酵素を構成するサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも一つ、及び乳酸脱水素酵素遺伝子が不活性化されている、エシェリキア・コリW3110の形質転換体を、好気条件下にて培養し、さらに嫌気条件で培養して水素生成能力を誘導した後、グルコース、キシロース、スクロース、フルクトース、アラビトール、及びキシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の糖類の存在下嫌気条件で培養することを特徴とする水素製造方法。
  2. エシェリキア・コリW3110の形質転換体が、Escherichia coli W3110 ΔldhA ΔfrdBC株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 受託番号FERM P−20737,国際受託番号FERM BP−10726)である請求項に記載の水素製造方法。
  3. 糖類が、グルコース、及びフルクトースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水素製造方法。
  4. Escherichia coli W3110 ΔldhA ΔfrdBC株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 受託番号FERM P−20737,国際受託番号FERM BP−10726)。
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