JP5698655B2 - コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法 - Google Patents

コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5698655B2
JP5698655B2 JP2011507169A JP2011507169A JP5698655B2 JP 5698655 B2 JP5698655 B2 JP 5698655B2 JP 2011507169 A JP2011507169 A JP 2011507169A JP 2011507169 A JP2011507169 A JP 2011507169A JP 5698655 B2 JP5698655 B2 JP 5698655B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
dna
seq
corynebacterium glutamicum
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011507169A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010113832A1 (ja
Inventor
湯川 英明
英明 湯川
乾 将行
将行 乾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Research Institute of Innovative Technology for Earth
Original Assignee
Research Institute of Innovative Technology for Earth
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Research Institute of Innovative Technology for Earth filed Critical Research Institute of Innovative Technology for Earth
Priority to JP2011507169A priority Critical patent/JP5698655B2/ja
Publication of JPWO2010113832A1 publication Critical patent/JPWO2010113832A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5698655B2 publication Critical patent/JP5698655B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
    • C12P7/04Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group acyclic
    • C12P7/16Butanols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)
    • C12N9/0006Oxidoreductases (1.) acting on CH-OH groups as donors (1.1)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/88Lyases (4.)
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Description

本発明は、イソブタノール生産技術に関する。さらに詳しくは、イソブタノール生産機能を付与するために特定の遺伝子操作が施されたコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)の形質転換体及びそれによる効率的なイソブタノールの製造方法に関する。
地球温暖化、及び化石資源枯渇問題を背景に、再生可能資源を原料とした“バイオ燃料”が注目されている。イソブタノールやn-ブタノールは、バイオエタノールに続く次世代バイオ燃料として、高熱含量、低腐食性、低含水性、ガソリンへ高混合可能、及びディーゼル油燃料への易混合性などの多くの利点を有している。
イソブタノールは、酵母によるアルコール発酵時のフーゼルアルコール(fusel alcohol)と呼ばれる副生物の一つとして見出される。このフーゼルアルコールとは、イソブタノールの他、イソアミルアルコール、活性アミルアルコール等の高級アルコールの呼称であり、ドイツ語の“悪い酒”を意味する“fusel”から名づけられた。フーゼルアルコールは、アミノ酸代謝系に由来することが1世紀前Enrlichにより初めて提唱された。この代謝系はEnrlich経路と呼ばれ、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニールアラニンなどの生合成代謝中間体である2−ケト酸から、広い基質特異性を有する2-ケト酸 デカルボキシラーゼによりアルデヒドに変換し、アルコール デヒドロゲナーゼによりアルコールに変換される。イソブタノールは、バリンへの生合成代謝中間体である2−ケトイソバリレート(2-ketoisovalerate)に由来する(非特許文献1)。
非特許文献2によれば、酵母類によるアルコール発酵において、副生するイソブタノール(フーゼルアルコール)量は酵母の増殖に依存することが示されている。
遺伝子組換え菌によるイソブタノールの生産技術としては以下のような技術が知られている。例えば、特許文献1は、クレブジーラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)又はバチルス サブチリス(Bacillus subtilis)由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼ遺伝子、バチルス サブチリス、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)又はサッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のアセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ遺伝子、エシェリヒア コリ又はサッカロマイセス セレビシエ由来のジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ遺伝子、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)由来の2-ケト酸 デカルボキシラーゼ遺伝子、エシェリヒア コリ又はクロストリジウム アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)由来のアルコール デヒドロゲナーゼ遺伝子を、宿主としてエシェリヒア コリ、サッカロマイセス セレビシエ、バチルス サブチリス、ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus plantarum)又はエンテロコッカス フェカリス(Enterococcus faecalis)等を使用して発現させイソブタノールを生産する技術を開示している。
しかしながら、同文献開示技術には、コリネ型細菌に属する特定の種であるコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)を宿主としたブタノール生産技術は示されておらず、そして、前記の各種導入遺伝子群の内に、本発明の宿主であるコリネバクテリウム グルタミカム由来は遺伝子が含まれておらず、そして、それら内在性の遺伝子を高発現させるとイソブタノール生産性の優れた形質転換体を獲得することが出きることは示されていない。また、上記の開示技術は、いずれも使用する微生物の増殖を伴うイソブタノールの生産技術であることに対して、本発明では、還元条件下、実質的な増殖を伴わない生産方法が、増殖を伴う生産方法よりも優れた方法になることを提案している(後記の比較例参照)。
また、特許文献2及び非特許文献3は、エシェリヒア コリ又はバチルス サブチリス由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼ遺伝子、エシェリヒア コリ由来のアセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ遺伝子、エシェリヒア コリ由来のジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ遺伝子、ラクトコッカス ラクティス、サッカロマイセス セレビシエ又はクロストリジウム アセトブチリカム由来の2-ケト酸 デカルボキシラーゼ遺伝子、サッカロマイセス セレビシエ由来のアルコール デヒドロゲナーゼ遺伝子を、宿主としてエシェリヒア コリ内で発現させイソブタノールを生産する技術を開示している。
しかしながら、これらの文献にも、使用微生物種としてコリネバクテリウム グルタミカムを宿主とするブタノール生産技術は示されていない。また、これらの文献が開示するイソブタノールの生産技術は、イソブタノール生産効率が悪い。
発明者らはこれまでに、遺伝子組換え型コリネバクテリウム グルタミカムを還元条件下の反応液中で反応させ、実質的に増殖を伴わない状態で高効率に乳酸、コハク酸又はエタノールを生産する技術を開示してきたが(特許文献3)、特許文献3記載の有機化合物とは生成代謝経路が異なるイソブタノールに関しては、何ら言及されておらず、イソブタノールが増殖を伴わない状態でも高効率に生産でき、さらには、増殖を伴う方法よりも優れた生産方法になることも何ら教示されていない。
国際公開公報WO2007/050671 国際公開公報WO2008/098227 特許第3869788号
Journal of Biological Chemistry, Vol.273, 1998, p25751-25756. Process Biochemistry, Vol.29, 1994, p303-309. Nature, Vol.451, 2008, p86-90.
本発明は、効率よくイソブタノールを生産することができる微生物、及び微生物を用いて効率よくイソブタノールを製造することができる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者等は鋭意研究を重ね、以下の知見を得た。
コリネバクテリウム グルタミカム中で機能する(1)アセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、(2)アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、(3) ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、(4) 2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び(5)アルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を有するコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)であって、(1)〜(5)の1以上がコリネバクテリウム グルタミカムの内在性の遺伝子であり、(1)〜(5)の1以上が外来性の遺伝子である形質転換体は、イソブタノールを効率よく生産する。
本発明は、上記知見に基づき、さらに研究を重ねて完成されたものであり、以下の微生物、及びイソブタノールの製造方法を提供する。
項1. 下記の(1)〜(5)の遺伝子を有するコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)であって、(1)〜(5)の1以上がコリネバクテリウム グルタミカムの内在性の遺伝子であり、(1)〜(5)の1以上が外来性の遺伝子であることを特徴とする、イソブタノール生産能を有する形質転換体。
(1)アセトヒドロキシ酸 シンターゼ(acetohydroxy acid synthase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
(2)アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ(acetohydroxy acid isomeroreductase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
(3)ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ(dihydroxy acid dehydratase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
(4)2-ケト酸 デカルボキシラーゼ(2-keto acid decarboxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
(5)アルコール デヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
項2. 内在性の遺伝子が高発現されていることを特徴とする項1に記載の形質転換体。
項3. 内在性の遺伝子が(1)アセトヒドロキシ酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、(2)アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、および(3)ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子から選ばれる遺伝子を含むことを特徴とする項1又は2に記載の形質転換体。
項4. アルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)由来の遺伝子、または、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida) 由来の遺伝子であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の形質転換体。
項5. アセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号34の塩基配列からなるDNA、配列番号58の塩基配列からなるDNA、あるいは、配列番号34又は58の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつアセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号61の塩基配列からなるDNA、又は配列番号61の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつアセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号62の塩基配列からなるDNA、又は配列番号62の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号43の塩基配列からなるDNA、配列番号52の塩基配列からなるDNA、あるいは、配列番号43又は52の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
アルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号40の塩基配列からなるDNA、配列番号46の塩基配列からなるDNA、あるいは、配列番号40、又は46の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとスコリネバクテリウム グルタミカムトリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつアルコール デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAから選ばれる遺伝子であることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の形質転換体。
項6. 宿主として用いられるコリネバクテリウム グルタミカムが、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM BP−18976)、ATCC13032、又はATCC13869である項1〜5のいずれかに記載の形質転換体。
項7. Corynebacterium glutamicumIBU1(受託番号 NITE BP−718)、Corynebacterium glutamicumIBU2(受託番号 NITE BP−719)、Corynebacterium glutamicumIBU3(受託番号 NITE BP−720)、又は、Corynebacterium glutamicumIBU4(受託番号 NITE BP−721)である形質転換体。
項8. 項1〜7のいずれかに記載の形質転換体、又はその処理物を、還元条件下の、糖類を含有する反応培地で反応させる工程と、生産されたイソブタノールを回収する工程とを含むことを特徴とするイソブタノールの製造方法。
項9. 反応工程において、形質転換体が実質的に増殖しない項8に記載のイソブタノールの製造方法。
項10. 還元条件下の反応培地の酸化還元電位が−100〜−500ミリボルトであることを特徴とする項8又は9に記載のイソブタノールの製造方法。
本発明により、糖類等から極めて効率よくイソブタノールを生産する組換えイソブタノール生産形質転換体が提供された。具体的には、本発明の形質転換体は、還元状態下で、実質的に増殖せずに糖質などからイソブタノールを生産することができる。このため、物質生産に使用される炭素質が専ら目的物であるイソブタノールの生産に消費され、増殖には消費されないため、高効率でイソブタノールを生産することができる。また、微生物の増殖に伴う分泌物の生成が抑制されるため、目的物質であるイソブタノールを容易に回収、精製することができる。
本発明により、再生可能資源を原料とした効率的なイソブタノール生産が可能となり、工業生産における合理的プロセスを実現することが出来る。
図1は、実施例1(4)項において作製したpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG、pCRB207-alsS/BS、pCRB207-ilvD/CG、pCRB207-kivD/LL、pCRB207-ipd/SE、pCRB207-adh2/SC、pCRB207-adhP/EC、及びpCRB207-adh/PPを示す模式図である。 図2は、実施例3(2)項において作製したpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL、pCRB15-adh2/SC、pCRB15-adhP/EC、pCRB15-adh/PP、pCRB205-alsS/BS-ilvC/CG、pCRB207-kivD/LL、pCRB15-adhP/EC-ilvD/CGを示す模式図である。 図3は、比較例3に記載したコリネバクテリウム グルタミカムIBU2の好気増殖曲線を示している。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)イソブタノール生産能を有する形質転換体
本発明のイソブタノール生産能を有する形質転換体は、コリネバクテリウム グルタミカム中で機能する、前述した(1)〜(5)の遺伝子を有するコリネバクテリウム グルタミカムであって、(1)〜(5)の少なくとも1が内在性の遺伝子であり、かつ、(1)〜(5)の少なくとも1が外来性の遺伝子である、イソブタノール生産能を有する形質転換体である。内在性の遺伝子は高発現していることが好ましい。即ち、宿主であるコリネバクテリウム グルタミカムが本来有する内在性の遺伝子は、さらにプラスミド等として導入されていることにより高発現していることが好ましい。
「コリネバクテリウム グルタミカム中で機能する」とは、DNAがコードする酵素がコリネバクテリウム グルタミカム中で発現し、触媒作用を呈することを意味する。
宿主
本発明において形質転換の対象となる宿主は、イソブタノール生産関連遺伝子群を含む組換えベクターにより形質転換され、これらの遺伝子がコードするイソブタノール生産に関与する酵素が発現し、結果としてイソブタノールを生産することができるコリネバクテリウム グルタミカムであれば特に限定されない。
宿主として用いられるコリネバクテリウム グルタミカムとは、バージーズ・マニュアル・デターミネイティブ・バクテリオロジー〔Bergey’s Manual of Determinative Bacteriology、Vol. 8、599(1974)〕に定義されている一群の微生物である。
具体的には、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R(FERM P-18976)、ATCC13032、ATCC13869、ATCC13058、ATCC13059、ATCC13060、ATCC13232、ATCC13286、ATCC13287、ATCC13655、ATCC13745、ATCC13746、ATCC13761、ATCC14020、ATCC31831、 MJ-233(FERM BP-1497)又はMJ-233AB-41(FERM BP-1498)等が挙げられる。
尚、分子生物学的分類により、ブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、ブレビバクテリウム ディバリカタム(Brevibacterium divaricatum)、コリネバクテリウム リリウム(Corynebacterium lilium)等のコリネ型細菌もコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に菌名が統一されている〔Liebl, W. et al., Transfer of Brevibacterium divaricatum DSM 20297T, "Brevibacterium flavum" DSM 20411, "Brevibacterium lactofermentum" DSM 20412 and DSM 1412, and Corynebacterium glutamicum and their distinction by rRNA gene restriction patterns. Int J Syst Bacteriol. 41:255-260. (1991)、駒形和男ら, コリネフォルム細菌の分類, 発酵と工業, 45:944-963 (1987)〕ため、本発明に含まれる。
特に好ましい宿主として、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R(FERM P-18976)、ATCC13032、及びATCC13869等が挙げられる。
また、これらコリネバクテリウム グルタミカムは、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。例えば、ラクテートデヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)、マレートデヒドロゲナーゼ(malate dehydrogenase)などの遺伝子の1又は2以上を破壊した遺伝子破壊株が挙げられる。このような遺伝子破壊株を宿主として用いることにより、イソブタノールの生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
とりわけ好ましいのは、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM P-18976)やそのラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase:LDH)遺伝子の破壊株である。コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM P-18976)の乳酸デヒドロゲナーゼ破壊株とは、遺伝子工学的手法により、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊されて、ピルビン酸から乳酸への代謝経路が遮断されるべく組換えられたコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)Rである。このような乳酸デヒドロゲナーゼ破壊株やその作製方法については、WO2005/010182A1に記載されている。
イソブタノール生産関連酵素遺伝子
本明細書中、下記の(1)〜(5)の遺伝子をイソブタノール生産関連遺伝子ともいう。
(1)アセトヒドロキシ酸 シンターゼ(AHAS)活性を有する酵素をコードする遺伝子
本遺伝子として、好ましいのは、配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNA及び配列番号58で表わされる塩基配列からなるDNA、並びに、配列番号34又は58で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有する酵素をコードするDNAからなる群より選択される少なくとも1種のDNAである。
(2) アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ(AHAIR)活性を有する酵素をコードする遺伝子
本遺伝子として、好ましいのは、配列番号61で表わされる塩基配列からなるDNA、並びに、配列番号61で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードするDNAからなる群より選択される少なくとも1種のDNAである。
(3) ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ(DHAD)活性を有する酵素をコードする遺伝子
本遺伝子として、好ましいのは、配列番号62で表わされる塩基配列からなるDNA、並びに、配列番号62で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードするDNAからなる群より選択される少なくとも1種のDNAである。
(4) 2-ケト酸 デカルボキシラーゼ(KDC)活性を有する酵素をコードする遺伝子
本遺伝子として、好ましいのは、配列番号43で表わされる塩基配列からなるDNA及び配列番号52で表わされる塩基配列からなるDNA、並びに、配列番号43又は52で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードするDNAからなる群より選択される少なくとも1種のDNAである。
(5) アルコール デヒドロゲナーゼ(ADH)活性を有する酵素をコードする遺伝子
本遺伝子として、好ましいのは、配列番号40で表わされる塩基配列からなるDNA、配列番号46で表わされる塩基配列からなるDNA、及び配列番号49で表わされる塩基配列からなるDNA、並びに、配列番号40、46又は49で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードするDNAからなる群より選択される少なくとも1種のDNAである。
本発明における(1)の遺伝子は、アセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子である。(2)の遺伝子は、アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子である。(3)の遺伝子は、ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子である。(4) の遺伝子は、2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子である。(5)の遺伝子は、アルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子である。
上記(1)〜(5)のイソブタノール生産関連遺伝子としては、これらの遺伝子を含むDNA断片を、その配列に従って合成したDNA断片を使用することが出来る。また、イソブタノール生産関連酵素タンパク質間で保存されているアミノ酸配列をもとにハイブリダイゼーション法、PCR法により断片を取得することが可能である。さらに他の既知のイソブタノール生産関連遺伝子配列を基に設計したミックスプライマーを用い、ディジェネレートPCRによって断片を取得することが可能である。
上記(1)〜(5)のイソブタノール生産関連遺伝子はコリネバクテリウム グルタミカム内におけるイソブタノール生産活性が保持されているコリネバクテリウム グルタミカム中で機能する限り、天然の塩基配列の一部が他の塩基(ヌクレオチド)と置換されていてもよく、削除されていてもよく、また新たに塩基(ヌクレオチド)が挿入されていてもよく、さらには塩基配列の一部が転位されていてもよい。これらの遺伝子誘導体のいずれも本発明に用いることができる。上記の一部とは、例えばアミノ酸残基換算で1乃至数個(1〜5個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個)であってよい。
上記(1)〜(5)の遺伝子の起源は、イソブタノールを生産する菌であってもイソブタノール生産能を有さない菌であってもかまわない。
イソブタノールは、酵母によるアルコール発酵時のfusel alcoholと呼ばれる副生物の一つとして見出される〔Hazelwood, L.A. et al., The Ehrlich pathway for fusel alcohol production: a century of research on Saccharomyces cerevisiae metabolism. Appl. Environ. Microbiol. 74:2259-2266 (2008)〕。このfusel alcoholとは、イソブタノールの他、イソアミルアルコール、活性アミルアルコール等の高級アルコールの呼称であり、アミノ酸代謝系に由来することが1世紀前Enrlichにより初めて見出された。この代謝系はEnrlich経路と呼ばれ、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニールアラニンなどの生合成代謝中間体である2−ケト酸から、広い基質特異性を有する2-ケト酸 デカルボキシラーゼによりアルデヒドに変換し、さらにアルコール デヒドロゲナーゼによりアルコールに変換される。イソブタノールは、バリンへの生合成代謝中間体である2-ketoisovalerateに由来する〔Dickinson, J.R. et al., An investigation of the metabolism of valine to isobutyl alcohol in Saccharomyces cerevisiae. J. Biol. Chem. 273:25751-25756 (1998)〕。
イソブタノール生成経路、すなわちピルビン酸からイソブタノールへの5ステップの代謝経路(最初の3ステップはバリン生合成経路と同一)は、具体的には、 (1) ピルビン酸からアセトラクテートへの反応を触媒するアセトヒドロキシ酸 シンターゼ(Acetohydroxy acid synthase)(以下、酵素を「AHAS」と記す)、(2) アセトラクテートから2,3-ジヒドロキシイソバレレートへの反応を触媒するアセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ(Acetohydroxy acid isomeroreductase)(以下、酵素を「AHAIR」と記す)、(3) 2,3-ジヒドロキシイソバレレートから2-ケトイソバレレートへの反応を触媒するジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ(Dihydroxy acid dehydratase)(以下、酵素を「DHAD」と記す)、(4) 2-ケトイソバレレートからイソブチリルアルデヒドへの反応を触媒する2-ケト酸 デカルボキシラーゼ(2-Keto-acid decarboxylase)(以下、酵素を「KDC」と記す)、及び(5) イソブチリルアルデヒドからイソブタノールへの反応を触媒するアルコール デヒドロゲナーゼ(Alcohol dehydrogenase)(以下、酵素を「ADH」と記す)から構成されている。
さらに、これらの遺伝子は、イソブタノール生産能を有さない菌から取得してもよい。
特に、最初の3ステップ(1)-(3)は、必須アミノ酸であるバリン生合成経路と同一であるため、広くバクテリア、古細菌(Archaea)、真核生物のゲノム上にコードされている。従って、いずれの生物から取得してもコリネバクテリウム グルタミカム細菌内で発現、機能する遺伝子であれば用いることができる。一方、最初のステップ(1)に関しては、バチルス サブチリスなどのバクテリアで、バリン生合成経路ではなく、菌体内に過剰に蓄積したピルビン酸を排出し、酸性化を防止するとために機能していると考えられているアセトヒドロキシ酸 シンターゼ(遺伝子名は「alsS」)〔Cruz Ramos, H. et al., Fermentative metabolism of Bacillus subtilis: physiology and regulation of gene expression. J. Bacteriol. 182, 3072-3080 (2000)〕が存在するが、この遺伝子を用いてもよい。
中でも、(1)〜(3)のステップに関する遺伝子としては、宿主であるコリネバクテリウム グルタミカム由来の遺伝子を用いると好ましい場合もある。
その他の代謝ステップ(4)、 (5)に関する具体的例として、以下があげられる。
第1の例として、イソブタノールの生産は報告されていないが、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)が、KDCをコードするkivD遺伝子〔de la Plaza, M. et al., Biochemical and molecular characterization of alpha-ketoisovalerate decarboxylase, an enzyme involved in the formation of aldehydes from amino acids by Lactococcus lactis. FEMS Microbiol. Lett. 238, 367-374 (2004)〕を、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)がKDCをコードするipd遺伝子〔Zhang, Y.Q. et al., Genome-based analysis of virulence genes in a non-biofilm-forming Staphylococcus epidermidis strain (ATCC 12228). Mol. Microbiol. 49, 1577-1593 (2003)〕を有していることが報告されている。従って、(4) 2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子として、上述のラクトコッカス ラクティス由来のkivD遺伝子、又はスタフィロコッカス エピデルミディス由来のipd遺伝子を用いてもよい。本発明では、宿主であるコリネバクテリウム グルタミカムにおいて、ラクトコッカス ラクティス由来のkivD遺伝子、又はスタフィロコッカス エピデルミディス由来のipd遺伝子を導入した場合、高いKDC活性を示すことを明らかにした(後記する実施例参照)。
第2の例として、代謝ステップ(5)のADHは、一般的に緩和な基質特異性であり、イソブチリルアルデヒドの他に、アセトアルデヒドやブチルアルデヒドなどのアルデヒドにも反応することが知られている。従って、イソブタノール生産が報告されていないエシェリヒア コリ由来のADHをコードする遺伝子(adhP)〔Blattner, F.R. et al., The complete genome sequence of Escherichia coli K-12. Science 277, 1453-1474 (1997)〕又は、シュードモナス プチダ由来のADHをコードする遺伝子(adh)〔Accession number; YP_001267259〕を用いることができる。本発明では、宿主であるコリネバクテリウム グルタミカムにおいて、サッカロマイセス セレビシエ由来のadh2遺伝子を導入した株よりも、エシェリヒア コリ由来のadhP遺伝子を導入した株又はシュードモナス プチダ由来のadh遺伝子を導入した株の方が、イソブチリルアルデヒドを基質とした場合、高いADH活性が検出された(後記する実施例参照)。
従って、上記(1)〜(5)の遺伝子の由来微生物の種類、組み合わせ、及び導入の順番等に関しては、これらの各種の遺伝子の内、少なくとも一つが宿主であるコリネバクテリウム グルタミカム由来のものを含む点を除いては、特段の限定があるものではない。
(1)〜(5)のうち、内在性遺伝子が1個で外来性遺伝子が4個、内在性遺伝子が2個で外来性遺伝子が3個、内在性遺伝子が3個で外来性遺伝子が2個、内在性遺伝子が4個で外来性遺伝子が1個の何れであってもよい。特に、内在性遺伝子が3個で外来性遺伝子が2個であるのが好ましい。また、内在性遺伝子が(1)〜(3)を含む遺伝子であることが好ましく、外来性遺伝子が(4)及び(5)を含む遺伝子であることが好ましい。
本発明における(1)〜(5)のイソブタノール生産関連遺伝子の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。上記(1)において、配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNAが、コリネバクテリウム グルタミカム由来の遺伝子(ilvBN)であり、配列番号58で表わされる塩基配列からなるDNAが、バチルス サブチリス由来の遺伝子(alsS)であることが好ましい。
上記(2)においては、配列番号61で表わされる塩基配列からなるDNAが、コリネバクテリウム グルタミカム由来の遺伝子(ilvC)であることが好ましい。
上記(3)においては、配列番号62で表わされる塩基配列からなるDNAが、コリネバクテリウム グルタミカム由来の遺伝子(ilvD)であることが好ましい。
上記(4)においては、配列番号43で表わされる塩基配列からなるDNAが、ラクトコッカス ラクティス由来の遺伝子(kivD)であり、配列番号52で表わされる塩基配列からなるDNAが、スタフィロコッカス エピデルミディス由来の遺伝子(ipd)であることが好ましい。
上記(5)においては、配列番号40で表わされる塩基配列からなるDNAが、エシェリヒア コリ由来の遺伝子(adhP)であり、配列番号46で表わされる塩基配列からなるDNAが、シュードモナス プチダ由来の遺伝子(adh)であり、配列番号49で表わされる塩基配列からなるDNAが、サッカロマイセス セレビシエ由来の遺伝子(adh2)であることが好ましい。
本発明ではまた、上記記載の遺伝子(1)〜(5)について、それぞれが相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしたものであっても良い。
好ましくは、(1)が、コリネバクテリウム グルタミカム由来の配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNA又はバチルス サブチリス由来の配列番号58で表わされる塩基配列からなるDNAであり、(2)が、コリネバクテリウム グルタミカム由来の配列番号61で表わされる塩基配列からなるDNAであり、(3)が、コリネバクテリウム グルタミカム由来の配列番号62で表わされる塩基配列からなるDNAであり、(4)が、ラクトコッカス ラクティス由来の配列番号43で表わされる塩基配列からなるDNA又はスタフィロコッカス エピデルミディス由来の配列番号52で表わされる塩基配列からなるDNAであり、(5)が、エシェリヒア コリ由来の配列番号40、シュードモナス プチダ由来の配列番号46又はサッカロマイセス セレビシエ由来の配列番号49で表わされる塩基配列からなるDNAで構成される導入遺伝子である。
ここで、例えば、「配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列」とは、配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法又はプラーク・ハブリダイゼーション法等により得られるDNAを意味する。
本発明において「ストリンジェントな条件下」は、一般的な条件、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition,1989,Vol2,p11.45等に記載された条件を指す。具体的には、完全ハイブリッドの融解温度(Tm)より5〜10℃低い温度でハイブリダイゼーションが起こる場合を指す。
また、本発明においては、例えば、配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、配列番号34で表わされる塩基配列からなるDNAと約90%以上の配列相同性を有するものであることが好ましい。より好ましくは、約92%以上、さらに好ましくは約95%以上、特に好ましくは約98%以上の配列相同性を有するものである。相同性は、GENETYX (登録商標)Ver.8(ゼネティックス社製)を用いて計算した値である。
本発明のイソブタノール生産能を有する形質転換体は、コリネバクテリウム グルタミカム中で機能する上記(1)〜(5)のDNAのうち、少なくとも1個以上の外来性遺伝子をコリネバクテリウム グルタミカムに導入し、生産能を付与することにより得られる。また、上記(1)〜(5)のDNAのうち、少なくとも1個以上の内在性遺伝子を高発現させるときは、コリネバクテリウム グルタミカムに由来する当該内在性遺伝子を導入する。
種々の生物由来のAHAS、AHAIR、DHAD、KDC、ADHをコードする遺伝子の配列をPCR(polymerase chain reaction)法により増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーとしては以下のものが挙げられる。このようなプライマーとしては、AHASをコードする遺伝子を増幅するための配列番号36、37の各塩基配列で表されるプライマー;AHAIRをコードする遺伝子を増幅するための配列番号63、64の各塩基配列で表されるプライマー;DHADをコードする遺伝子を増幅するための配列番号65、66の各塩基配列で表されるプライマー;KDCをコードする遺伝子を増幅するための配列番号44、45の各塩基配列で表されるプライマー;及びADHをコードする遺伝子を増幅するための配列番号41、42の各塩基配列で表されるプライマーなどが挙げられる。
PCR法は、公知のPCR装置、例えばサーマルサイクラーなどを利用することができる。PCRのサイクルは、公知の技術にしたがって定めればよく、例えば、変性、アニーリング、伸張を1サイクルとし、通常10〜100サイクル、好ましくは、約20〜50サイクルの条件とすればよい。PCRの鋳型としては、上述のブタノール生成経路の酵素活性を示す微生物から単離したDNAを用いて、PCR法によりAHAS、AHAIR、DHAD、KDC、ADHをコードする遺伝子のcDNAを増幅することができる。
PCR法によって得られた遺伝子は、適当なクローニングベクターに導入することができる。クローニング法としては、pGEM-T easy vector system(Promega社製)、TOPO TA-cloning system(Invitrogen社製)、Mighty Cloning Kit(Takara社製)などの商業的に入手可能なPCRクローニングシステムなどを使用することもできる。また、方法の1つの例を実施例で詳記するが、該領域を含むDNA断片を、既知のAHAS、AHAIR、DHAD、KDC、ADHをコードする遺伝子の塩基配列に基づいて適切に設計された合成プライマーを鋳型として用いたハイブリダイゼーション法により取得することもできる。
ベクターの構築
次いで、PCR法で得られた遺伝子を含むクローニングベクターを、微生物、例えばエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109菌株などに導入し、該菌株を形質転換する。この形質転換された菌株を、ベクター中のマーカー遺伝子に対応した適当な抗生物質(例えばアンピシリン、クロラムフェニコールなど)を含む培地で培養し、培養物から菌体を回収する。回収された菌体からプラスミドDNAを抽出する。プラスミドDNAの抽出は、公知の技術によって行なうことができ、また市販のプラスミド抽出キットを用いて簡便に抽出することもできる。市販のプラスミド抽出キットとしては、キアクイックプラスミド精製キット(商品名:Qiaquick plasmid purification kit、キアゲン社製)などが挙げられる。この抽出されたプラスミドDNAの塩基配列を決定することにより、AHAS、AHAIR、DHAD、KDC、ADHをコードする遺伝子配列を確認することができる。DNAの塩基配列の決定は、公知の方法、例えばジオキシヌクレオチド酵素法などにより決定することができる。また、キャピラリー電気泳動システムを用いて、検出には多蛍光技術を使用して塩基配列を決定することもできる。また、DNAシーケンサー、例えばABI PRISM 3730xl DNA Analyzer(アプライドバイオシステム社製)などを使用して決定することもできる。
上記の方法は、遺伝子工学実験の常法に基づいて行なうことができる。種々の微生物のベクターや外来遺伝子の導入法及び発現法は、多くの実験書に記載されているので〔例えば、Sambrook, J. & Russel, D. W. Molecular Cloning: A Laboratory Manual(3rd Edition)CSHL Press(2001)、又はAusubel, F. et al. Current protocols in molecular biology. Green Publishing and Wiley Interscience, New York(1987)等〕、それらに従ってベクターの選択、遺伝子の導入、発現を行なうことができる。
広範囲の種類のプロモーターが本発明に使用するのに適している。そのようなプロモーターは、酵母、細菌及び他の細胞供給源を含む多くの公知の供給源から得られ、コリネ型細菌において目的遺伝子の転写を開始させる機能を有する塩基配列であればいかなるものであってもよい。例えば、コリネ型細菌においてはlac、trc、tacプロモーター等を用いることができる。本発明に使用されるプロモーターは、必要に応じて、修飾して、その調節機構を変更することができる。また、目的遺伝子の下流に配置される制御配列下のターミネーターについても、コリネ型細菌においてその遺伝子の転写を終了させる機能を有する塩基配列であれば、いかなるものであってもよい。
AHAS、AHAIR、DHAD、KDC、ADHをコードする各遺伝子を、宿主となるコリネバクテリウムグルタミカムにおいて、プラスミド上又は染色体上で発現させる。例えば、プラスミドを用いて、これらの遺伝子は発現可能な制御配列下に導入される。ここで「制御配列下」とはこれらの遺伝子が、例えば、プロモーター、インデューサー、オペレーター、リボソーム結合部位及び転写ターミネーター等との共同作業により転写翻訳できることを意味する。このような目的で使用されるプラスミドベクターとしては、コリネ型細菌内で自律複製機能を司る遺伝子を含むものであれば良い。その具体例としては、例えば、ブレブバクテリウム ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)2256由来のpAM330〔特開昭58-67699〕、〔Miwa, K. et al., Cryptic plasmids in glutamic acid-producing bacteria. Agric. Biol. Chem. 48:2901-2903(1984)〕 及び 〔Yamaguchi, R. et al., Determination of the complete nucleotide sequence of the Brevibacterium lactofermentum plasmid pAM330 and the analysis of its genetic information. Nucleic Acids Symp. Ser. 16:265-267(1985)〕、コリネバクテリウム グルタミカム ATCC13058由来のpHM1519 〔Miwa, K. et al., Cryptic plasmids in glutamic acid-producing bacteria. Agric. Biol. Chem. 48:2901-2903(1984)〕及びpCRY30 〔Kurusu, Y. et al., Identification of plasmid partition function in coryneform bacteria. Appl. Environ. Microbiol. 57:759-764 (1991)〕、コリネバクテリウム グルタミカム T250由来のpCG4〔特開昭57-183799〕、〔Katsumata, R. et al., Protoplast transformation of glutamate-producing bacteria with plasmid DNA. J. Bacteriol.、159:306-311 (1984)〕、pAG1、pAG3、pAG14、pAG50〔特開昭62-166890〕pEK0、pEC5、pEKEx1 〔Eikmanns, B.J. et al., A family of Corynebacterium glutamicum/Escherichia coli shuttle vectors for cloning, controlled gene expression, and promoter probing. Gene, 102:93-98 (1991)〕 とその誘導体などが挙げられる。更にはファージDNAなどが挙げられ、宿主において複製可能である限り、他のいかなるベクターも用いることができる。また、ベクターは、種々の制限酵素部位をその内部にもつマルチクローニングサイトを含んでいる、又は単一の制限酵素部位を含んでいることが好ましい。
形質転換に使用するプラスミドベクターの構築は、例えば、コリネバクテリウム グルタミカム由来のilvBN、ilvC及びilvD、ラクトコッカス ラクティス由来のkivD並びにシュードモナス プチダ由来のadhの各遺伝子を用いる場合は、塩基配列が確認された該遺伝子に、適当なプロモーター、ターミネーター等の制御配列を連結後、これを上記例示されているいずれかのプラスミドベクターの適当な制限酵素部位に挿入することにより、構築することが出来る。詳細は、実施例に記載する。
形質転換
目的遺伝子を含むプラスミドベクターのコリネバクテリウム グルタミカムへの導入方法としては、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法として、例えば電気穿孔法、コンジュゲーション法などの公知の方法で行うことができる。具体的には、電気パルス法を、公知の方法 〔Kurusu, Y. et al., Electroporation-transformation system for Coryneform bacteria by auxotrophic complementation. Agric. Biol. Chem. 54:443-447 (1990)〕 及び 〔Vertes A.A. et al., Presence of mrr- and mcr-like restriction systems in Coryneform bacteria. Res. Microbiol. 144:181-185 (1993)〕により行うことができる。
上記方法は、遺伝子工学実験の常法に基づいて行うことができる。大腸菌や放線菌等の種々の微生物のベクターの情報や外来遺伝子の導入法及び発現法は、多くの実験書に記載されているので(例えば、Sambrook、J.、Russel、D.W.、Molecular Cloning A Laboratory Manual、3rd Edition、CSHL Press、2001;HopwoodにD.A.、Bibb、M.J.、Chater、K.F.、Bruton、C.J.、Kieser、H.M.、Lydiate、D.J.、Smith、C.P.、Ward、J.M.、Schrempf、 H.Genetic manipulation of Streptomyces:A laboratory manual、The John lnnes institute、Norwich、UK、1985等)、このような方法を適宜応用してベクターの選択、遺伝子の導入及び発現を行うことができる。
上記の方法により創製されるコリネバクテリウム グルタミカムの形質転換体としては、具体的には、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU1(受託番号:NITE BP−718)、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU2(受託番号:NITE BP−719)、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU3(受託番号:NITE BP−720)、及びコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU4(受託番号:NITE BP−721)(いずれも、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)に寄託済み。寄託日:2009年3月17日、受託の通知日:2009年3月26日)が挙げられる。
本発明の形質転換体は、イソブタノール生産性を向上させるために、解糖系の流量の増加、イソブタノール、浸透圧又は有機酸に対する耐性の増加、及び副生物(目的とする生成産物以外の炭素含有分子を意味する)生産の減少、からなる群から選択された特徴の一つ以上を生じる遺伝子修飾をさらに含むことができる。そのような遺伝子修飾は、具体的には、外来性遺伝子の過剰発現及び/又は内在性遺伝子の不活化、古典的突然変異誘起、スクリーニング及び/あるいは目的変異体の選別により導入することができる。
また、形質転換体は、紫外線、エックス線又は薬品等を用いる人工的な変異導入方法により変異しうるが、このように得られるどのような変異株であっても本発明の目的とするイソブタノール生産能を有するかぎり、本発明の形質転換された微生物として使用することができる。
かくして創製された本発明のコリネバクテリウム グルタミカムの形質転換体(以下、単に「形質転換体」という)は、微生物の培養に通常使用される培地を用いて培養すればよい。この培地としては、通常、炭素源、窒素源、無機塩類及びその他の栄養物質等を含有する天然培地又は合成培地等を用いることができる。
炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトール又はグリセリン等の糖質又は糖アルコール、酢酸、クエン酵、乳酸、フマル酸、マレイン酸又はグルコン酸等の有機酸、エタノール又はプロパノール等のアルコール等が挙げられる。また、所望によりノルマルパラフィン等の炭化水素等も用いることができる。炭素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これら炭素源の培地における濃度は通常約0.1〜10%(wt)程度である。
窒素源としては、窒素化合物、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機もしくは有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ベプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物又はアミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用可能である。窒素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。窒素源の培地濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常約0.1〜10%(wt)程度である。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト又は炭酸カルシウム等が挙げられる。これら無機塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。無機塩類の培地濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常約0.01〜1.0%(wt)程度である。
栄養物質としては、例えば肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物又は動植物若しくは微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。栄養物質の培地濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10%(wt)程度である。さらに、必要に応じて、ビタミン類を添加することもできる。ビタミン類としては、例えば、ビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が挙げられる。
培地のpHは約5〜8が好ましい。
好ましい微生物培養培地としては、A培地〔Inui, M. et al., Metabolic analysis of Corynebacterium glutamicum during lactate and succinate productions under oxygen deprivation conditions. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 7:182-196 (2004)〕、BT培地〔Omumasaba, C.A. et al., Corynebacterium glutamicum glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase isoforms with opposite, ATP-dependent regulation. J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 8:91-103 (2004)〕等が挙げられる。
培養温度は約15〜45℃とすればよく、培養時間は約1〜7日間とすればよい。
ついで、形質転換体の培養菌体を回収する。上記の如くして得られる培養物から培養菌体を回収分離する方法としては、特に限定されず、例えば遠心分離や膜分離等の公知の方法を用いることができる。
回収された培養菌体に対して処理を加え、得られる菌体処理物を次工程に用いてもよい。前記菌体処理物としては、培養菌体に何らかの処理が加えられたものであればよく、例えば、菌体をアクリルアミド又はカラギーナン等で固定化した固定化菌体等が挙げられる。
(II)イソブタノールの製造方法
上記の如くして得られる培養物から回収分離された形質転換体の培養菌体又はその菌体処理物は、還元条件下の反応培地でのイソブタノール生成反応に供せられる。菌体処理物としては、菌体を例えばアクリルアミド、カラギーナン等で固定化した固定化菌体などが挙げられる。上記形質転換体、又は菌体処理物により、還元条件下で、糖類を含有する培地(反応培地)中でイソブタノール生成を行なわせる工程と、生成したイソブタノールを回収する工程とを含むイソブタノールの製造方法も本発明の1つである。
イソブタノール生成方式は、回分式、流加式、連続式のいずれの生成方式も可能である。
反応培地には、イソブタノールの原料となる有機炭素源(例えば、糖類等)が含まれていればよい。有機炭素源としては、本発明の形質転換体が生化学反応に利用できる物質であればよい。具体的には、糖類としては、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、フルクトースもしくはマンノースなどの単糖類、セロビオース、ショ糖もしくはラクトース、マルトースなどの二糖類、又はデキストリンもしくは可溶性澱粉などの多糖類などが挙げられる。特に、単糖類、及び二糖類が好ましく、単糖類がより好ましく、中でもグルコースがさらにより好ましい。なお、本発明においては、2種以上の糖の混合糖を用いることもできる。炭素源の濃度は、約0.1〜10重量%が好ましく、約0.5〜10重量%がより好ましい。
反応培地には、その他、形質転換体又はその処理物がその代謝機能を維持するために必要な成分、即ち、各種糖類等の炭素源;蛋白質合成に必要な窒素源;リン、カリウム又はナトリウム等の塩類;さらに鉄、マンガン又はカルシウム等の微量金属塩を含むことができる。これらの添加量は所要反応時間、目的有機化合物生産物の種類又は用いられる形質転換体の種類等により適宜定めることが出来る。用いる形質転換体によっては特定のビタミン類の添加が好ましい場合もある。炭素源、窒素源、無機塩類、ビタミン、微量金属塩は、公知のもの、例えば形質転換体の増殖培養工程につき例示したものを用いることができる。
反応培地のpHは、約6〜8が好ましい。
形質転換体又はその菌体処理物と糖類との反応は、本発明の形質転換体又はその菌体処理物が活動できる温度条件下で行なわれることが好ましく、形質転換体又はその菌体処理物の種類などにより適宜選択することができる。通常、約25〜35℃とすればよい。
本発明によるイソブタノールの製造は、還元条件下で実施される。本発明における還元条件は反応培地の酸化還元電位で規定される条件である。反応培地の酸化還元電位は、好ましくは約−100mV(ミリボルト)〜−500mV、より好ましくは約−200mV〜−500mVである。これらは、酸化還元電位差計(例えば、BROADLEY JAMES社製、ORP Electrodes)を用いて測定することができる。
反応培地の酸素濃度、温度、及びpHを適宜設定することにより上記還元条件にすることができる。酸素濃度については、反応培地を密封状態にするか、もしくは、窒素ガスの封入等の方法で嫌気的条件にすればよい。
本発明のイソブタノール製造方法の特徴の一つは、還元条件下の糖類を含有する反応培地で使用される形質転換体の増殖を実質的に伴わないことである。反応培地中の形質転換体の増殖を伴わないでイソブタノールが生成されることは、経時的に適宜反応液を採取し、そのイソブタノール濃度と菌体濃度(例えば、菌体の光学濃度)を測定することにより知ることができる。
また、培養時間は、例えば約2〜72時間とすればよい。
上述のようにして反応培地で生成したイソブタノールを回収する。イソブタノールの回収は、バイオプロセスで用いられる公知の方法で実施できる。そのような公知の方法として、蒸留法、膜透過法、有機溶媒抽出法等があり、反応液組成や副生物の種類や量等に応じてその分離精製採取法は適宜定めることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 イソブタノール生産遺伝子のクローニングと発現
(1) 微生物からの染色体DNAの抽出
バチルス サブチリス168 NBRC14144からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [Polypepton 10g、Yeast extract 2g、MnSO4.7H2O 1gを蒸留水1Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
コリネバクテリウム グルタミカム R (FERM P-18976) からの染色体DNA抽出及びコリネバクテリウム カゼイ(Corynebacterium casei)JCM12072からのトータルDNA抽出は、A培地 [(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 gを蒸留水1Lに溶解] に、炭素源として、最終濃度4%になるように50% (w/v)グルコース溶液を添加し、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで33℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
エシェリヒア コリ K12 MG1655からの染色体DNA抽出は、LB培地 [tryptone 10 g、yeast extract 5 g、NaCl 5 gを蒸留水1 Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで37℃で振盪培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
ラクトコッカス ラクティスNBRC100933からの染色体DNA抽出は、MRS培地(DIFCO社製)に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で浸透培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
シュードモナス プチダ F1 ATCC700007からの染色体DNA抽出は、Nutrient Broth培地(DIFCO社製)に白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で浸透培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
サッカロマイセス セレビシエ NBRC2376からの染色体DNA抽出は、YM培地 [Glucose 10g、Peptone 5g、Yeast extract 3g、Malt extract 3gを蒸留水1Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで28℃で浸透培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
スタフィロコッカス エピデルミディス NBRC12993からの染色体DNA抽出は、NBRC Medium No.802培地 [Polypepton 10g、Yeast extract 2g、MnSO4.7H2O 1gを蒸留水1Lに溶解] に、白金耳を用いて植菌後、対数増殖期まで30℃で浸透培養し、菌体を集菌後、DNAゲノム抽出キット(商品名:GenomicPrep Cells and Tissue DNA Isolation Kit、アマシャム社製)を用いて、取扱説明書に従い、集めた菌体から染色体DNAを回収した。
(2) クローニングベクターの構築
クローニングベクターpCRB22の構築
コリネバクテリウム カゼイ JCM12072由来のプラスミドpCASE1のDNA複製起点(以降、pCASE1-oriと記す)配列、及びクローニングベクターpHSG298(タカラバイオ株式会社製)をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、pCASE1-ori配列、クローニングベクターpHSG298をそれぞれクローン化するべく、配列番号1(pCASE1-ori配列)、配列番号2(クローニングベクター−pHSG298)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
pCASE1-ori配列増幅用プライマー
(a-1); 5’- AT AGATCT AGAACGTCCGTAGGAGC -3’ (配列番号3)
(b-1); 5’- AT AGATCT GACTTGGTTACGATGGAC -3’ (配列番号4)
尚、プライマー(a-1)及び(b-1)には、BglII制限酵素部位が付加されている。
クローニングベクターpHSG298増幅用プライマー
(a-2); 5’- AT AGATCT AGGTTTCCCGACTGGAAAG -3 (配列番号5)
(b-2); 5’- AT AGATCT CGTGCCAGCTGCATTAATGA -3’ (配列番号6)
尚、プライマー(a-2)及び(b-2)には、BglII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、Japan. Collection of Microorganisms (JCM)より入手したコリネバクテリウム カゼイ JCM12072から抽出したトータルDNA及びクローニングベクターpHSG298(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) pCASE1-ori配列を増幅する場合はプライマー(a-1)と(b-1)の組み合わせ、クローニングベクターpHSG298を増幅する場合はプライマー(a-2)と(b-2)の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃
pCASE1-ori配列:150秒
クローニングベクターpHSG298:180秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、pCASE1-ori配列の場合約1.4-kb、クローニングベクターpHSG298の場合、約2.7-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム カゼイ株由来のプラスミドpCASE1-ori配列含む約1.4-kb DNA断片10μl及びクローニングベクターpHSG298を含む約2.7-kb DNA断片10μlを各々制限酵素BglIIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製)1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションA液とした。
得られたライゲーションA液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素BglIIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpHSG298約2.7-kbのDNA断片に加え、pCASE-ori配列の約1.4-kb DNA断片が認められた。
pCASE1-ori配列を含むクローニングベクターをpCRB22と命名した。
クローニングベクターpCRB11の構築
コリネバクテリウム グルタミカム内で複製可能なプラスミドpCG1 [(特開昭57−134500)] 由来のDNA複製起点(以降、pCG1-oriと記す)配列、及びクローニングベクターpHSG398(タカラバイオ株式会社製)をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、pCG1-ori配列、クローニングベクターpHSG398をそれぞれクローン化するべく、配列番号7(pCG1-ori配列)、配列番号8(クローニングベクターpHSG398)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
pCG1-ori配列増幅用プライマー
(a-3); 5’- AT AGATCT AGCATGGTCGTCACAGAG -3’ (配列番号9)
(b-3); 5’- AT AGATCT GGAACCGTTATCTGCCTATG -3’ (配列番号10)
尚、プライマー(a-3)及び(b-3)には、BglII制限酵素部位が付加されている。
クローニングベクターpHSG398増幅用プライマー
(a-4); 5’- AT AGATCT GTCGAACGGAAGATCACTTC -3’ (配列番号11)
(b-4); 5’- AT AGATCT AGTTCCACTGAGCGTCAG -3’ (配列番号12)
尚、プライマー(a-4)及び(b-4)には、BglII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、pCG1 [(特開昭57−134500)] 及びクローニングベクターpHSG398(タカラバイオ株式会社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) pCG1-ori配列を増幅する場合はプライマー(a-3)と(b-3)の組み合わせ、クローニングベクターpHSG398を増幅する場合はプライマー(a-4) と (b-4) の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃
pCG1-ori配列:120秒
クローニングベクターpHSG398:150秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、pCG1-ori配列の場合約1.9-kb、クローニングベクターpHSG398の場合、約2.2-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したプラスミドpCG1由来pCG1-ori遺伝子含む約1.9-kb DNA断片10μl及びクローニングベクターpHSG398を含む約2.2-kb DNA断片10μlを各々制限酵素BglIIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションB液とした。
得られたライゲーションB液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素BglIIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpHSG398約2.2-kbのDNA断片に加え、pCG1-ori配列の約1.9-kb DNA断片が認められた。
pCG1-ori配列を含むクローニングベクターをpCRB11と命名した。
クローニングベクターpCRB15の構築
クローニングベクターpCRB11を含むDNA断片及びpSELECT-zeo-mcs(インビトロジェン株式会社製)由来のゼオシン耐性遺伝子をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、クローニングベクターpCRB11及びゼオシン耐性遺伝子をそれぞれクローン化するべく、配列番号13(pCRB11)及び配列番号14(ゼオシン耐性遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
クローニングベクターpCRB11配列増幅用プライマー
(a-5); 5’- AT GATATC CGAAGTGATCTTCCGTTCGA -3’ (配列番号15)
(b-5); 5’- AT GATATC AAGGCAGTTATTGGTGCCCT -3’ (配列番号16)
尚、プライマー(a-5)及び(b-5)には、EcoRV制限酵素部位が付加されている。
ゼオシン耐性遺伝子増幅用プライマー
(a-6); 5’- AT GATATC TAGCTTATCCTCAGTCCTGC -3’ (配列番号17)
(b-6); 5’- AT GATATC CCATCCACGCTGTTTTGACA -3’ (配列番号18)
尚、プライマー(a-6)及び(b-6)には、EcoRV制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、クローニングベクターpCRB11及びpSELECT-zeo-mcs(インビトロジェン株式会社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) クローニングベクターpCRB11配列を増幅する場合はプライマー(a-5)と(b-5)の組み合わせ、ゼオシン耐性遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-6) と (b-6) の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃
pCRB11配列:200秒
ゼオシン耐性遺伝子:45秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、クローニングベクターpCRB11配列の場合約3.3-kb、ゼオシン耐性遺伝子の場合約0.5-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したクローニングベクターpCRB11を含む約3.3-kb DNA断片10μl及びpSELECT-zeo-mcsプラスミド由来ゼオシン耐性遺伝子を含む約0.5-kb DNA断片10μlを各々制限酵素EcoRVで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションC液とした。
得られたライゲーションC液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、ゼオシン25μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素EcoRVでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB11由来約3.3-kbのDNA断片に加え、ゼオシン耐性遺伝子の場合、約0.5-kb DNA断片が認められた。
ゼオシン耐性遺伝子を含むクローニングベクターをpCRB15と命名した。
クローニングベクターpCRB205の構築
クローニングベクターpCRC200〔Yasuda, K. et al., Analyses of the acetate-producing pathways in Corynebacterium glutamicum under oxygen-deprived conditions. Applied Microbiology and Biotechnology. 77:853-860 (2007)〕を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、pCRC200をクローン化するべく、配列番号19(pCRC200)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
pCRC200増幅用プライマー
(a-7); 5’- CTCT ACTAGT GTCGAC GGATCC TTGTGTGGAATTGTGAGCGG -3’
(配列番号20)
(b-7); 5’- CTCT ACTAGT CATACGAGCCGGAAGCATAA -3’
(配列番号21)
尚、プライマー(a-7)には、SpeI、SalI及びBamHI制限酵素部位が、プライマー(b-7)には、SpeI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、tacプロモーターを含有するクローニングベクターpCRC200を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) pCRC200遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-7)と(b-7)の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃、300秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、クローニングベクターpCRC200約5.0-kb DNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したpCRC200由来遺伝子を含む約5.0-kb DNA断片10μlを制限酵素SpeIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製)1unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションD液とした。
得られたライゲーションD液を、塩化カルシウム法 〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SpeIで切断し、挿入制限酵素部位を確認した。
クローニングベクターpCRC200に制限酵素部位SpeI、SalI及びBamHIサイトを付加したクローニングベクターをpCRB205と命名した。
クローニングベクターpCRB207の構築
コリネバクテリウム グルタミカムR由来のグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)をコードするgapA遺伝子のプロモーター配列(以降、PgapAと記す)を含むDNA断片、及びクローニングベクターpKK223-3(ファルマシア社製)由来rrnBT1T2双方向ターミネーター配列(以降、ターミネーター配列と記す)を含むDNA断片をを以下の方法により増幅した。
PCRに際して、PgapA配列及びターミネーター配列をそれぞれクローン化するべく、配列番号22(PgapA配列)、配列番号23(ターミネーター配列)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
PgapA配列増幅用プライマー
Figure 0005698655
尚、プライマー(a-8)には、SalI制限酵素部位が、プライマー(b-8)には、SalI、BamHI及びNcoI制限酵素部位が付加されている。
ターミネーター配列増幅用プライマー
(a-9); 5’- CTCT GCATGC CCATGG CTGTTTTGGCGGATGAGAGA -3’
(配列番号26)
(b-9); 5’- CTCT GCATGC TCATGA AAGAGTTTGTAGAAACGCAAAAAGG -3
(配列番号27)
尚、プライマー(a-9)には、SphI及びNcoI制限酵素部位が、プライマー(b-9)には、SphI及びBspHI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、コリネバクテリウム グルタミカム R (FERM P-18976)から抽出した染色体DNA及びpKK223-3プラスミド(ファルマシア社製)を用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) PgapA配列を増幅する場合はプライマー(a-8)と(b-8)の組み合わせ、ターミネーター配列を増幅する場合はプライマー(a-9) と (b-9) の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃
PgapA配列:45秒
ターミネーター配列:30秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、PgapA配列の場合約0.6-kb、ターミネーター配列の場合、約0.4-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム R由来PgapA配列を含む約0.6-kb DNA断片10μlとクローニングベクターpCRB22約4.1-kbを各々制限酵素SalIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションE液とした。
得られたライゲーションE液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SalIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB22約4.1-kbのDNA断片に加え、PgapA配列)の約0.6-kb DNA断片が認められた。
PgapA配列を含むクローニングベクターをpCRB206と命名した。
上記PCRにより増幅したpKK223-3プラスミド由来ターミネーター配列を含む約0.4-kb DNA断片10μlを制限酵素NcoI及びBspHIで、上述のクローニングベクターpCRB206 2μlを制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションF液とした。
得られたライゲーションF液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB206約4.7-kbのDNA断片に加え、ターミネーター配列の約0.4-kb DNA断片が認められた。
rrnBT1T2ターミネーター配列を含むクローニングベクターをpCRB207と命名した。
クローニングベクターpCRB208の構築
コリネバクテリウム グルタミカムR由来のL-乳酸デヒドロゲナーゼ(L-lactate dehydrogenase)をコードするldhA遺伝子のプロモーター配列(以降、PldhAと記す)を含むDNA断片を以下の方法により増幅した。
PCRに際して、PldhA配列をクローン化するべく、配列番号28(PldhA配列)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
PldhA配列増幅用プライマー
(a-10); 5’- CTCT GTCGAC CGGAACTAGCTCTGCAATGA -3’
(配列番号29)
(b-10); 5’- CTCT GTCGAC GGATCC CATATG CGATCCCACTTCCTGATTTC -3’
(配列番号30)
尚、プライマー(a-10)には、SalI制限酵素部位が、プライマー(b-10)には、SalI、BamHI及びNcoI制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、コリネバクテリウム グルタミカムR (FERM P-18976)から抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) PldhA配列を増幅する場合はプライマー(a-10)と(b-10)の組み合わせ行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃、30秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、PldhA配列約0.4-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカムR由来PldhA配列を含む約0.4-kb DNA断片10μlとクローニングベクターpCRB22 2μl約4.1-kbを各々制限酵素SalIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションG液とした。
得られたライゲーションG液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SalIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB22約4.1-kbのDNA断片に加え、PldhA配列の約0.4-kb DNA断片が認められた。
PldhA配列を含むクローニングベクターをpCRB208と命名した。
(3) イソブタノール生産遺伝子のクローニング
バチルス サブチリス由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
バチルス サブチリス由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼをコードするalsS遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、alsS遺伝子をクローン化するべく、配列番号31(バチルス サブチリスalsS遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
alsS遺伝子増幅用プライマー
(a-11); 5’- CTCT CCATGG TGACAAAAGCAACAAAAGAACAAAAATCC -3’
(配列番号32)
(b-11); 5’- CTCT CCATGG AGATCT CTAGAGAGCTTTCGTTTTCATGAG -3’
(配列番号33)
尚、プライマー(a-11)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-11)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
コリネバクテリウム グルタミカム由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
コリネバクテリウム グルタミカム由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼをコードするilvB-ilvN遺伝子、アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼをコードするilvC遺伝子、ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼをコードするilvD遺伝子をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ilvB-ilvN-ilvC遺伝子及びilvD遺伝子をそれぞれクローン化するべく、配列番号34(コリネバクテリウム グルタミカムilvB-ilvN-ilvC遺伝子)及び配列番号35(コリネバクテリウム グルタミカムilvD遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ilvB-ilvN-ilvC遺伝子増幅用プライマー
(a-12); 5’- GA CCCGGG AGTAAAGGAGCCAGAAAGTCGTGAA -3’
(配列番号36)
(b-12); 5’- GA CCCGGG CCTGCAGG TGCCTTATGTACAAAGTGCACAGCA -3’
(配列番号37)
尚、プライマー(a-12)には、SmaI制限酵素部位が、プライマー(b-12)には、SmaI及びSse8387I制限酵素部位が付加されている。
ilvD遺伝子増幅用プライマー
(a-13); 5’- CTCT TCATGA TCCCACTTCGTTCAAAAGTC -3’
(配列番号38)
(b-13); 5’- CTCT TCATGA TTAGTCGACCTGACGGAC -3’
(配列番号39)
尚、プライマー(a-13)及び(b-13)には、BspHI制限酵素部位が付加されている。
エシェリヒア コリ由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
エシェリヒア コリ由来のアルコール デヒドロゲナーゼをコードするadhP遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、adhP遺伝子をクローン化するべく、配列番号40(エシェリヒア コリadhP遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
adhP遺伝子増幅用プライマー
(a-14); 5’- CTCT CCATGG AGGCTGCAGTTGTTACGAAG -3’
(配列番号41)
(b-14); 5’- CTCT CCATGG AGATCT TTAGTGACGGAAATCAATCACCAT -3’
(配列番号42)
尚、プライマー(a-14)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-14)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
ラクトコッカス ラクティス由来のイソブタノール生産遺伝子群のクローニング
ラクトコッカス ラクティス由来の2-ケト酸 デカルボキシラーゼをコードするkivD遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、kivD遺伝子をクローン化するべく、配列番号43(ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
kivD遺伝子増幅用プライマー
Figure 0005698655
尚、プライマー(a-15)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-15)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
シュードモナス プチダ由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
シュードモナス プチダ由来のアルコール デヒドロゲナーゼをコードするadh遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してadh遺伝子をクローン化するべく、配列番号46(シュードモナス プチダadh遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーをアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems) 社製「394 DNA/RNA シンセサイザー (synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
adh遺伝子増幅用プライマー
(a-16); 5’- CTCT TCATGA AAGCTGCTGTCGTTGC -3’ (配列番号47)
(b-16); 5’- CTCT TCATGA CTCGAG TCAGCCTTCGAACTGTATCAC -3’
(配列番号48)
尚、プライマー(a-16)には、BspHI制限酵素部位が、プライマー(b-16)には、BspHI及びXhoI制限酵素部位が付加されている。
サッカロマイセス セレビシエ由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
サッカロマイセス セレビシエ由来のアルコール デヒドロゲナーゼをコードするadh2遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してadh2遺伝子をクローン化するべく、配列番号49(サッカロマイセス セレビシエadh2遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
adh2遺伝子増幅用プライマー
Figure 0005698655
尚、プライマー(a-17)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-17)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
スタフィロコッカス エピデルミディス由来のイソブタノール生産遺伝子群のクローニング
スタフィロコッカス エピデルミディス由来の2-ケト酸 デカルボキシラーゼ(別名;インドール-3-ピルベート デカルボキシラーゼ)をコードするipd遺伝子(locus tag; NP_765765)を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してipd遺伝子をクローン化するべく、配列番号52(スタフィロコッカス エピデルミディスipd遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
ipd遺伝子増幅用プライマー
Figure 0005698655
尚、プライマー(a-18)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-18)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、バチルス サブチリスは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したバチルス サブチリス168 NBRC14144から抽出した染色体DNAを用いた。コリネバクテリウム グルタミカムは、コリネバクテリウム グルタミカムRから抽出した染色体DNAを用いた。エシェリヒア コリは、エシェリヒア コリK12 MG1655から抽出した染色体DNAを用いた。ラクトコッカス ラクティスは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したラクトコッカス ラクティスNBRC100933から抽出した染色体DNAを用いた。サッカロマイセス セレビシエは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したサッカロマイセス セレビシエNBRC 2376から抽出した染色体DNAを用いた。スタフィロコッカス エピデルミディスは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したスタフィロコッカス エピデルミディスNBRC12993から抽出した染色体DNAを用いた。シュードモナス プチダは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したシュードモナス プチダF1 ATCC700007から抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) バチルス サブチリスalsS遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-11) と (b-11) の組み合わせ、コリネバクテリウム グルタミカムilvB-ilvN-ilvC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-12) と (b-12) 、ilvD遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-13) と (b-13) の組み合わせ、エシェリヒア コリadhP遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-14) と (b-14) の組み合わせ、ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-15) と (b-15) の組み合わせ、シュードモナス プチダadh遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-16) と (b-16) の組み合わせ、サッカロマイセス セレビシエadh2遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-17) と (b-17) の組み合わせ、スタフィロコッカス エピデルミディスipd遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-18) と (b-18) の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
Figure 0005698655
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、バチルス サブチリスalsS遺伝子の場合約1.8-kb、コリネバクテリウム グルタミカムilvB-ilvN-ilvC遺伝子の場合約3.7-kb、コリネバクテリウム グルタミカムilvD遺伝子の場合約2.0-kb、エシェリヒア コリadhP遺伝子の場合約1.0-kb、ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子の場合約1.7-kb、シュードモナス プチダadh遺伝子の場合約1.0-kb、サッカロマイセス セレビシエadh2遺伝子の場合約1.1-kb、スタフィロコッカス エピデルミディスipd遺伝子の場合約1.7-kbのDNA断片が検出できた。
(4) イソブタノール生産遺伝子発現プラスミドの構築
イソブタノール生産遺伝子のpKK223-3へのクローニング
上記(3)のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含む約3.7-kb DNA断片10μl及びtacプロモーターを含有するクローニングベクターpKK223-3(ファルマシア社製)2μlを各々制限酵素SmaIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションH液とした。
得られたライゲーションH液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、アンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SmaIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpKK223-3約4.6-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子(ライゲーションH液)の場合、長さ約3.7-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含むプラスミドをpKK223-3-ilvB-ilvN-ilvC/CGと命名した。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB1へのクローニング
上述のプラスミドpKK223-3-ilvB-ilvN-ilvC/CGから、tacプロモーター及びコリネバクテリウム グルタミカムR由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、tacプロモーター及びコリネバクテリウム グルタミカムR由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子(配列番号55;Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列増幅用プライマー
(a-19); 5’- AT GCAAGC TTCGGCTGTGCAGGTCGTAAAT -3’ (配列番号56)
(b-19); 5’- AC GCAAGC TTCGCTTATGTACAAAGTGCAC -3’ (配列番号57)
尚、プライマー(a-19)及び(b-19)には、HindIII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、上述のプラスミドpKK223-3-ilvB-ilvN-ilvC/CGを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列を増幅する場合はプライマー(a-19)と(b-19)の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃、240秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列約3.9-kbのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したtacプロモーター配列及びコリネバクテリウム グルタミカムR由来ilvB-ilvN-ilvC配列を含む約3.9-kb DNA断片10μlと約4.1-kbのクローニングベクターpCRB1 〔Nakata, K. et al., Vectors for the genetics engineering of corynebacteria; in Saha, B.C. (ed.):Fermentation Biotechnology, ACS Symposium Series 862. Washington, American Chemical Society: 175-191 (2003)〕2μlを各々制限酵素HindIIIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションI液とした。
得られたライゲーションI液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素HindIIIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、クローニングベクターpCRB1約4.1-kbのDNA断片に加え、Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列(ライゲーションI液)の場合、約3.9-kbのDNA断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG(図1)と命名した。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB207へのクローニング
上記項(3)に示したPCRにより増幅したバチルス サブチリス株由来alsS遺伝子を含む約1.8-kb DNA断片、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子を含む約1.0-kb DNA断片、ラクトコッカス ラクティス株由来kivD遺伝子を含む約1.7-kb DNA断片、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子を含む約1.1-kb DNA断片及びスタフィロコッカス エピデルミディス株由来ipd遺伝子を含む約1.7-kb DNA断片 10μl及びPgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB207 2μlを各々制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションJ液、K液、L液、M液及びN液とした。
同じく、上記項(3)に示したPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム株由来 ilvD遺伝子を含む約2.0-kb DNA断片及びシュードモナス プチダ株由来adh遺伝子を含む約1.0-kb DNA断片10μlを制限酵素BspHIで、PgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB207 2μlを制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションO液及びP液とした。
得られた7種のライゲーションJ液、K液、L液、M液、N液、O液及びP液それぞれを、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素でそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB207約5.1-kbのDNA断片に加え、バチルス サブチリス株由来alsS遺伝子(ライゲーションJ液)の場合、長さ約1.8-kbの挿入断片が、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子(ライゲーションK液)の場合、長さ約1.0-kbの挿入断片が、ラクトコッカス ラクティス株由来kivD遺伝子(ライゲーションL液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片が、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子(ライゲーションM液)の場合、長さ約1.1-kbの挿入断片が、スタフィロコッカス エピデルミディス株由来ipd遺伝子(ライゲーションN液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片が、コリネバクテリウム グルタミカム株由来 ilvD遺伝子(ライゲーションO液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片、シュードモナス プチダ株由来adh遺伝子(ライゲーションP液)の場合、長さ約1.0-kbの挿入断片が認められた。
バチルス サブチリス株由来alsS遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-alsS/BS、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-adhP/EC、ラクトコッカス ラクティス株由来kivD遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-kivD/LL、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-adh2/SC、スタフィロコッカス エピデルミディス株由来ipd遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-ipd/SE、コリネバクテリウム グルタミカム株由来 ilvD遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-ilvD/CG、シュードモナス プチダ株由来adh遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-adh/PPとそれぞれ命名した(図1)。
(5) ブタノール生産遺伝子活性測定株の構築
上述のプラスミド1種類pCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CGを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol.54、443-447(1990) 及び Res. Microbiol.、Vol.144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] を形質転換し、クロラムフェニコール5μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。
上述のプラスミド7種類pCRB207-alsS/BS、pCRB207-adhP/EC、pCRB207-kivD/LL、pCRB207-adh2/SC、pCRB207-ipd/SE、pCRB207-ilvD/CG、及びpCRB207-adh/PPを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol.54、443-447(1990) 及び Res. Microbiol.、Vol.144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] を形質転換し、カナマイシン 50μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG、pCRB207-alsS/BS、pCRB207-adhP/EC、pCRB207-kivD/LL、pCRB207-adh2/SC、pCRB207-ipd/SE、pCRB207-ilvD/CG、及びpCRB207-adh/PPの導入が認められた。
得られた株をコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant/ pCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG、ldhA mutant/ pCRB207-alsS/BS、ldhA mutant/ pCRB207-adhP/EC、ldhA mutant/ pCRB207-kivD/LL、ldhA mutant/ pCRB207-adh2/SC、ldhA mutant/ pCRB207-ipd/SE、ldhA mutant/ pCRB207-ilvD/CG及びldhA mutant/ pCRB207-adh/PPと命名した。
実施例2 イソイソブタノール生産遺伝子を導入したコリネバクテリウム グルタミカムにおける酵素活性測定
実施例1において構築したイソイソブタノール生産遺伝子をそれぞれ単独で導入したコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant(以降、コリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株と記す)(ただし、例外としてilvB-ilvN-ilvCは同一のプラスミド上に連結されている)におけるイソイソブタノール生産関連酵素、すなわちアセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ(AHAIR)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)、2-ケト酸デカルボキシラーゼ(KDC)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の活性を以下の方法により測定した。尚、コントロールとして、宿主として用いたコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantも同様の方法にて測定した。
(1)AHAS、AHAIR、DHAD、ADHの活性測定
コリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株を、カナマイシン50μg/mlを含むA寒天培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁] に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株を、カナマイシン50μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解] 10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株を、カナマイシン50μg/mlを含むA液体培地100mlに植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。コリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantは、A培地にカナマイシンを添加しないこと以外は同様の条件にて培養した。
このようにして培養増殖されたそれぞれの菌体を、遠心分離 (4℃、8,000×g, 10分)により回収した。得られた菌体を、破砕液1(100mMトリス−塩酸緩衝液pH 7.5、2mMジチオスレイトール)により洗浄した。再び遠心分離し、回収した菌体を1mlの破砕液1で懸濁した後、ガラスビーズ1gを加え、超音波破砕機(Biorupter、コスモバイオ社製)により30分間ホモジナイズした。その後遠心分離(4℃、15,000×g、10分)により不溶性物質を取り除き、酵素液1を得た。タンパク質量はBio-Rad protein assay(Bio-Rad社製)により測定した。このようして得られた酵素液を用い、以下に記載の方法でAHAS、AHAIR、DHADおよびADH活性を測定した。
AHAS活性は、ピルビン酸を基質とし、ピルビン酸の減少に伴う333nmの吸光度減少を指標とした(Craig M.et.al., Mutagenesis of Escherichia coli acetohydroxyacid synthase isoenzyme II and characterization of three herbicide-insensitive forms. Biochem. J., 335:653-661 (1998))。活性測定に用いた反応液は50mMリン酸カリウムpH 8.0、10mM塩化マグネシウム、0.1mMTPP、0.1mM FAD、50mM ピルビン酸ナトリウムであり、吸光度測定には分光光度計DU-800(BECKMAN社製)を用いた。30℃で反応液に酵素液1を添加し、10分間静置後50mMとなるようにピルビン酸ナトリウムを加え、反応液の吸光度減少の傾きとピルビン酸ナトリウムを含まない反応液の吸光度減少の傾きの差から、モル吸光係数17.5M-1cm-1 を利用して活性値を算出した。
実施例1で構築したAHASをコードする遺伝子の導入株であるコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant/pCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG、ldhA mutant/pCRB207-alsS/BSの2株、及びコントロールとして宿主として用いたコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantのAHAS活性測定の結果を以下の表に示す(1Uは1分間に1μmolの基質を消費する酵素量を示す)。
Figure 0005698655
AHAIR活性は、アセト乳酸とNADPHから2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸を形成する際の、NADPHの減少に伴う340nmの吸光度減少を指標とした(Ruyex., et.al., Characterization of enzymes of the branched-chain amino acid biosynthetic pathway in Methanococcus spp. J. Bacteriol., 173:2086-2092 (1991))。活性測定に用いた反応液は100mM トリス−塩酸緩衝液pH 7.6、10mM 塩化マグネシウム、0.15mM NADPH、10mM アセト乳酸であり、吸光度測定には分光光度計DU-800(BECKMAN社製)を用いた。30℃で酵素液1を反応液に添加することにより反応を開始し、反応液の吸光度減少の傾きとアセト乳酸を含まない反応液の吸光度減少の傾きの差から、モル吸光係数6.22M-1cm-1を利用して活性値を算出した。
実施例1で構築したAHAIRをコードする遺伝子の導入株であるコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant/pCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG及びコントロールとして宿主として用いたコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantのAHAIR活性測定の結果を以下の表に示す(1Uは1分間に1μmolの基質を消費する酵素量を示す)。
Figure 0005698655
DHAD活性は、2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸から2-ケトイソ吉草酸を形成する際の、2-ケトイソ吉草酸の増加に伴う340nmの吸光度上昇を指標とした(Dennis H.F., et.al., The role and properties of the iron-sulfur cluster in Escherichia coli dihydroxy-acid dehydratase. J. Biol. Chem., 268:14732-14742 (1993))。活性測定に用いた反応液は、50mM トリス−塩酸緩衝液pH 8.0、10mM塩化マグネシウム、6mM 2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸であり、吸光度測定には分光光度計DU-800(BECKMAN社製)を用いた。30℃で酵素液1を反応液に添加することにより反応を開始し、反応液の吸光度減少の傾きと2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸を含まない反応液の吸光度減少の傾きの差から、モル吸光係数190M-1cm-1を利用して活性値を算出した。
実施例1で構築したDHADをコードする遺伝子の導入株であるコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant/pCRB207-ilvD/CG、及びコントロールとして宿主として用いたコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantのDHAD活性測定の結果を以下の表に示す(1Uは1分間に1μmolの基質を消費する酵素量を示す)。
Figure 0005698655
ADH活性は、イソブチルアルデヒドからイソブタノールを形成する際の、NADHの減少を340nmの吸光度減少を指標とした(Durre, P. et al., Enzymatic investigtations on butanol dehydrogenase and butyraldehyde dehydrogenase in extracts of Clostridium acetobutylicum. Appl. Microbiol. Biotechnol. 26:268-272 (1987))。反応液の組成は50mM MES緩衝液(pH6.0)、0.15mM NADH、40mM イソブチルアルデヒドであり、吸光度測定は分光光度計Ultraspec 2100 pro(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて95% N2、5% H2で置換された嫌気チャンバー (COY社製)内にて行った。30℃で反応液に酵素液2を添加し10分間静置後、40mMとなるようにイソブチアルデヒドまたは対照試料として同体積の純水を加え、それぞれの吸光度減少の差からモル吸光係数6,220M-1cm-1を利用して活性値を算出した。
実施例1で構築したADHをコードする遺伝子の導入株であるコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant/pCRB207-adh2/SC、ldhA mutant/pCRB207-adhP/EC、ldhA mutant/pCRB207-adh/PP及びコントロールとして宿主として用いたコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantのADH活性測定の結果を以下の表に示す(1Uは1分間に1μmolの基質を消費する酵素量を示す)。
Figure 0005698655
(2)KDCの活性測定
コリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株を、カナマイシン 50μg/ml含むA寒天培地 [(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 g、寒天 15 gを蒸留水1Lに懸濁] に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株を、カナマイシン50μg/mlを含むA液体培地[(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 ml、yeast extract 2 g、vitamin assay casamino acid 7 g、glucose 40 gを蒸留水1Lに溶解] 10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカム単一遺伝子導入株を、カナマイシン50μg/ml を含有したA液体培地100mlに植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。コリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantは、A培地にカナマイシンを添加しないこと以外は同様の条件にて培養した。
このようにして培養増殖されたそれぞれの菌体を、遠心分離 (4℃、8,000×g, 10分)により回収した。得られた菌体を、BT(-グルコース)液体培地 [(NH2)2CO 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5 g、K2HPO4 0.5 g、MgSO4.7H2O 0.5 g、0.06% (w/v) Fe2 SO4.7H2O + 0.042% (w/v) MnSO4.2H2O 1 ml、0.02% (w/v) biotin solution 1 ml、0.01% (w/v) thiamin solution 2 mlを蒸留水1Lに溶解] 40mlに懸濁し50mlメディウム瓶に移した。以降の操作は95% N2、5% H2で置換された嫌気チャンバー (COY社製)内で行った。嫌気チャンバー 内でメディウム瓶を開放し2時間攪拌することで培地及び菌体を嫌気置換した。遠心分離(4℃、5,000×g、10分)により菌体を回収し、破砕液2 (50mM MOPS緩衝液 pH 7.0) により洗浄した。再び遠心分離し、回収した菌体を1mlの破砕液2で懸濁した後、ガラスビーズ2gを加え、1分間のボルテックスミキサーによるホモジナイズと1分間の氷上静置を10回繰り返して菌体を破砕した。その後遠心分離(4℃、5,000×g、10分)により不溶性物質を取り除き、酵素液2を得た。得られた酵素液2を用い、以下に記載の方法でKDC活性を測定した。
KDC活性は、酵母由来アルコール脱水素酵素 (Roche社製) を併用した2段階反応を利用して測定した。すなわち、KDCによる2-ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換と同時に、酵母由来アルコール脱水素酵素によるイソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を行う。この反応では1分子の2-ケトイソ吉草酸からイソブタノールを形成する際に、1分子のNADHを消費することから、KDC活性はNADHの減少に伴う340nmの吸光度減少を指標とした。反応液の組成は50mM MES緩衝液pH6.0、5mM 塩化マグネシウム、1.5mM TPP、0.2mM 2-ケトイソ吉草酸、0.15mM NADH、20U酵母由来アルコール脱水素酵素であり、吸光度測定は分光光度計Ultraspec 2100 pro(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて95% N2、5% H2で置換された嫌気チャンバー (COY社製)内にて行った。30℃で反応液に酵素液2を添加し10分間静置後、6mM 2-ケトイソ吉草酸または対照試料として同体積の純水を加え、それぞれの吸光度減少の差からモル吸光係数6,220M-1cm-1を利用して活性値を算出した。
実施例1で構築したKDCをコードする遺伝子の導入株であるコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutant/pCRB207-kivD/LL、ldhA mutant/pCRB207-ipd/SEの2株、及びコントロールとして宿主として用いたコリネバクテリウム グルタミカムR ldhA mutantのHBD活性測定の結果を以下の表に示す(1Uは1分間に1μmolの基質を消費する酵素量を示す)。
Figure 0005698655
実施例3 コリネバクテリウム グルタミカム IBU1、IBU2、IBU3、IBU4、IBU5の創製
(1) ブタノール生産遺伝子のクローニング
バチルス サブチリス由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
バチルス サブチリス由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼをコードするalsS遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、alsS遺伝子をクローン化するべく、バチルス サブチリスの配列(配列番号58;alsS遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
alsS遺伝子増幅用プライマー
(a-20);5’-CTCT CCCGGG AAACTTTTTAGAAAGGTGTGTTTCACCCGTGTTGACAAAAGCAACAAAAGAAC -3’
(配列番号59)
(b-20);5’-CTCT CCCGGG AGATCT CTAGAGAGCTTTCGTTTTCATGA -3’
(配列番号60)
尚、プライマー(a-20)には、SmaI制限酵素部位が、プライマー(b-20)には、SmaI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
コリネバクテリウム グルタミカム由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
コリネバクテリウム グルタミカム由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼをコードするilvB-ilvN遺伝子、アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼをコードするilvC遺伝子、ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼをコードするilvD遺伝子をそれぞれ含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ilvB-ilvN-ilvC遺伝子、ilvC遺伝子及びilvD遺伝子をそれぞれクローン化するべく、コリネバクテリウム グルタミカムの配列(配列番号34;ilvB-ilvN-ilvC遺伝子)、(配列番号61:ilvC遺伝子)及び(配列番号62:ilvD遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ilvB-ilvN-ilvC遺伝子増幅用プライマー
(a-12); 5’- GA CCCGGG AGTAAAGGAGCCAGAAAGTCGTGAA -3’
(配列番号36)
(b-12); 5’- GA CCCGGG CCTGCAGG TGCCTTATGTACAAAGTGCACAGCA -3’
(配列番号37)
尚、プライマー(a-12)には、SmaI制限酵素部位が、プライマー(b-12)には、SmaI及びSse8387I制限酵素部位が付加されている。
ilvC遺伝子増幅用プライマー
(a-21); 5’- CTCT CCATGG CTATTGAACTGCTTTATGATG -3’
(配列番号63)
(b-21); 5’- CTCT CCATGG AGATCT TTAAGCGGTTTCTGCGCGA -3’
(配列番号64)
尚、プライマー(a-21)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-21)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
ilvD遺伝子増幅用プライマー
(a-22); 5’- GA CCCGGG GAGCAGATTTGAAAAGCGCATCATG -3’
(配列番号65)
(b-22); 5’- GA CCCGGG GGTACC GTATTTGCAACGGGGAGCTCCACCA -3’
(配列番号66)
尚、プライマー(a-22)には、SmaI制限酵素部位が、プライマー(b-22)には、SmaI及びKpnI制限酵素部位が付加されている。
エシェリヒア コリ由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
エシェリヒア コリ由来のアセトヒドロキシ酸 シンターゼをコードするilvB-ilvN遺伝子、アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼをコードするilvC遺伝子、ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼをコードするilvD遺伝子及びアルコールデヒドロゲナーゼをコードするadhP遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、ilvB-ilvN遺伝子、ilvC遺伝子、ilvD遺伝子及びadhP遺伝子をクローン化するべく、エシェリヒア コリの配列(配列番号67;ilvB-ilvN遺伝子)、(配列番号68;ilvC遺伝子)、(配列番号69;ilvD遺伝子)及び(配列番号40;adhP遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
ilvB-ilvN遺伝子増幅用プライマー
(a-23); 5’- CTCT CCCGGG ATGGCAAGTTCGGGCACAA -3’
(配列番号70)
(b-23); 5’- CTCT CCCGGG AGATCT TTACTGAAAAAACACCGCGATCTT-3’
(配列番号71)
尚、プライマー(a-23)には、SmaI制限酵素部位が、プライマー(b-23)には、SmaI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
ilvC遺伝子増幅用プライマー
(a-24); 5’- CTCT CCCGGG ATGGCTAACTACTTCAATACACTG -3’
(配列番号72)
(b-24); 5’- CTCT CCCGGG AGATCT TTAACCCGCAACAGCAATACG-3’
(配列番号73)
尚、プライマー(a-24)には、SmaI制限酵素部位が、プライマー(b-24)には、SmaI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
ilvD遺伝子増幅用プライマー
(a-25); 5’- CTCT TTTAAA ATGCCTAAGTACCGTTCCG -3’
(配列番号74)
(b-25); 5’- CTCT TTTAAA AGATCT TTAACCCCCCAGTTTCGATTTAT-3’
(配列番号75)
尚、プライマー(a-25)には、DraI制限酵素部位が、プライマー(b-25)には、DraI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
adhP遺伝子増幅用プライマー
(a-14); 5’- CTCT CCATGG AGGCTGCAGTTGTTACGAAG -3’
(配列番号41)
(b-14); 5’- CTCT CCATGG AGATCT TTAGTGACGGAAATCAATCACCAT -3’
(配列番号42)
尚、プライマー(a-14)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-14)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
ラクトコッカス ラクティス由来のブタノール生産遺伝子群のクローニング
ラクトコッカス ラクティス由来の2-ケト酸 デカルボキシラーゼをコードするkivD遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、kivD遺伝子をクローン化するべく、ラクトコッカス ラクティスの配列(配列番号43;kivD遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
kivD遺伝子増幅用プライマー
Figure 0005698655
尚、プライマー(a-15)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-15)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
シュードモナス プチダ由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
シュードモナス プチダ由来のアルコール デヒドロゲナーゼをコードするadh遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してadh遺伝子をクローン化するべく、シュードモナス プチダの配列(配列番号46;adh遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーをアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems) 社製「394 DNA/RNA シンセサイザー (synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
adh遺伝子増幅用プライマー
(a-16); 5’- CTCT TCATGA AAGCTGCTGTCGTTGC -3’ (配列番号47)
(b-16); 5’- CTCT TCATGA CTCGAG TCAGCCTTCGAACTGTATCAC -3’
(配列番号48)
尚、プライマー(a-16)には、BspHI制限酵素部位が、プライマー(b-16)には、BspHI及びXhoI制限酵素部位が付加されている。
サッカロマイセス セレビシエ由来のイソブタノール生産遺伝子のクローニング
サッカロマイセス セレビシエ由来のアルコール デヒドロゲナーゼをコードするadh2遺伝子を含むDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際してadh2遺伝子をクローン化するべく、サッカロマイセス セレビシエの配列(配列番号49;adh2遺伝子)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製「394 DNA/RNAシンセサイザー(synthesizer)」を用いて合成し、使用した。
adh2遺伝子増幅用プライマー
Figure 0005698655
尚、プライマー(a-17)には、NcoI制限酵素部位が、プライマー(b-17)には、NcoI及びBglII制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、バチルス サブチリスは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したバチルス サブチリス168 NBRC14144から抽出した染色体DNAを用いた。コリネバクテリウム グルタミカムは、コリネバクテリウム グルタミカムRから抽出した染色体DNAを用いた。エシェリヒア コリは、エシェリヒア コリK12 MG1655から抽出した染色体DNAを用いた。ラクトコッカス ラクティスは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したラクトコッカス ラクティスNBRC100933から抽出した染色体DNAを用いた。シュードモナス プチダは、American Type Culture Collection (ATCC)より入手したシュードモナス プチダF1 ATCC700007から抽出した染色体DNAを用いたサッカロマイセス セレビシエは、NITE Biological Resource Center(NBRC)より入手したサッカロマイセス セレビシエNBRC 2376から抽出した染色体DNAを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) バチルス サブチリスalsS遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-20) と (b-20) の組み合わせ、コリネバクテリウム グルタミカムilvB-ilvN-ilvC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-12) と (b-12) 、ilvC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-21) と (b-21)、ilvD遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-22) と (b-22) の組み合わせ、エシェリヒア コリilvB-ilvN遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-23)と(b-23)、ilvC遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-24)と(b-24)、ilvD遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-25)と(b-25)、adhP遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-14) と (b-14) の組み合わせ、ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-15) と (b-15) の組み合わせ、シュードモナス プチダadh遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-16) と (b-16) の組み合わせ、サッカロマイセス セレビシエadh2遺伝子を増幅する場合はプライマー(a-17) と (b-17) の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
Figure 0005698655
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、バチルス サブチリスalsS遺伝子の場合約1.8-kb、コリネバクテリウム グルタミカムilvB-ilvN-ilvC遺伝子の場合約3.7-kb、コリネバクテリウム グルタミカムilvC遺伝子の場合約1.0-kb、コリネバクテリウム グルタミカムilvD遺伝子の場合約2.0-kb、エシェリヒア コリilvB-ilvN遺伝子の場合約2.0-kb、エシェリヒア コリilvC遺伝子の場合約1.5-kb、エシェリヒア コリilvD遺伝子の場合約1.9-kb、エシェリヒア コリadhP遺伝子の場合約1.0-kb、ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子の場合約1.7-kb、シュードモナス プチダadh遺伝子の場合約1.0-kb、サッカロマイセス セレビシエadh2遺伝子の場合約1.1-kbのDNA断片が検出できた。
(2) イソブタノール生産遺伝子発現プラスミドの構築
イソブタノール生産遺伝子のpKK223-3へのクローニング
上記(1)のPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含む約3.7-kb DNA断片、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子を含む約2.0-kb DNA断片、エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子を含む約2.0-kb DNA断片及びエシェリヒア コリ株由来ilvC遺伝子を含む約1.5-kb DNA断片10μl及びtacプロモーターを含有するクローニングベクターpKK223-3(ファルマシア社製)2μlを各々制限酵素SmaIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションQ液、R液、S液及びT液とした。
同じく、上記のPCRにより増幅したエシェリヒア コリ株由来ilvD遺伝子を含む約1.9-kb DNA断片10μlを制限酵素DraIで、tacプロモーターを含有するクローニングベクターpKK223-3(ファルマシア社製)2μlを制限酵素SmaIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製)1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションU液とした。
得られた5種のライゲーションQ液、R液、S液、T液及びU液それぞれを、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、アンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素でそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpKK223-3約4.6-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子(ライゲーションQ液)の場合、長さ約3.7-kbの挿入断片が、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子(ライゲーションR液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が、エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子(ライゲーションS液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が、エシェリヒア コリ株由来ilvC遺伝子(ライゲーションT液)の場合、長さ約1.5-kbの挿入断片が、エシェリヒア コリ株由来ilvD遺伝子(ライゲーションU液)の場合、長さ約1.9-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含むプラスミドをpKK223-3-ilvB-ilvN-ilvC/CG、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子を含むプラスミドをpKK223-3-ilvD/CG、エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子を含むプラスミドをpKK223-3-ilvB-ilvN/EC、エシェリヒア コリ株由来ilvC遺伝子を含むプラスミドをpKK223-3-ilvC/EC、エシェリヒア コリ株由来ilvD遺伝子を含むプラスミドをpKK223-3-ilvD/ECとそれぞれ命名した。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB1へのクローニング
上述のプラスミドpKK223-3-ilvB-ilbN-ilvC/CG及びpKK223-3-ilvD/CGから、tacプロモーターを含むコリネバクテリウム グルタミカムR由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子及びilvD遺伝子のDNA断片を以下のPCR法により増幅した。
PCRに際して、tacプロモーター及びコリネバクテリウム グルタミカムR由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子(配列番号55;Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列)、ilvD遺伝子(配列番号76;Ptac-ilvD配列)を基に、それぞれ下記の一対のプライマーを合成し、使用した。
Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列増幅用プライマー
(a-19); 5’- AT GCAAGC TTCGGCTGTGCAGGTCGTAAAT -3’(配列番号56)
(b-19); 5’- AC GCAAGC TTCGCTTATGTACAAAGTGCAC -3’(配列番号57)
尚、プライマー(a-19)及び(b-19)には、HindIII制限酵素部位が付加されている。
Ptac-ilvD配列増幅用プライマー
(a-26); 5’- ATAT CCTGCAGG CTAGCGCTGTGCAGGTCGTAAATCAACT -3’
(配列番号77)
(b-26); 5’- ATATGCTAGCT CCTGCAGG TATTTGCAACGGGGAGCTC -3’
(配列番号78)
尚、プライマー(a-26)及び(b-26)には、Sse8387I制限酵素部位が付加されている。
鋳型DNAは、上述のプラスミドpKK223-3-ilvB-ilbN-ilvC/CG及びpKK223-3-ilvD/CGを用いた。
実際のPCRは、サーマルサイクラー GeneAmp PCR System 9700(アプライド・バイオシステムズ社製)を用い、反応試薬としてTaKaRa LA Taq(タカラバイオ株式会社製)を用いて下記の条件で行った。
反応液:
Figure 0005698655
以上を混合し、この50μlの反応液をPCRにかけた。
*) Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列を増幅する場合はプライマー(a-19)と(b-19)の組み合わせ、Ptac-ilvD配列を増幅する場合はプライマー(a-26)と(b-26)の組み合わせで行った。
PCRサイクル:
デナチュレーション過程 :94℃、60秒
アニーリング過程 :52℃、60秒
エクステンション過程 :72℃
Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列:240秒
Ptac-ilvD配列:150秒
以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
上記で生成した反応液10μlを0.8%アガロースゲルにより電気泳動を行い、Ptac-ilvB-ilvN-ilvC配列約3.9-kb及びPtac-ilvD配列約2.2-kbpのDNA断片が検出できた。
上記のPCRにより増幅したtacプロモーター配列及びコリネバクテリウム グルタミカム R由来ilvB-ilvN-ilvC配列を含む約3.9-kb DNA断片10μlと約4.1-kbのクローニングベクターpCRB1 〔Nakata, K. et al., Vectors for the genetics engineering of corynebacteria; in Saha, B.C. (ed.):Fermentation Biotechnology, ACS Symposium Series 862. Washington, American Chemical Society : 175-191 (2003)〕 2μlを各々制限酵素HindIIIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションV液とした。
得られたライゲーションV液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素HindIIIでそれぞれ切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB1約4.1-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子(ライゲーションV液)の場合、長さ約3.9-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CGと命名した。
上記のPCRにより増幅したtacプロモーター配列及びコリネバクテリウム グルタミカム R由来ilvD配列を含む約2.2-kb DNA断片10μlと約8.0-kbのpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG 2μlを各々制限酵素Sse8387Iで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションW液とした。
得られたライゲーションW液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素Sse8387Iで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG約8.0-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子(ライゲーションW液)の場合、長さ約2.2-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvB-ilvN-ilvC遺伝子及びilvDを含むプラスミドをpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CGと命名した(図2)。
また、上述のプラスミドpKK223-3-ilvB-ilvN/ECを制限酵素BamHI及びBglIIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したtacプロモーターとエシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子を連結した約2.3-kbのDNA断片と、BamHIで切断したクローニングベクターpCRB1を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションX液とした。
得られたライゲーションX液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール 50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB1約4.1-kbのDNA断片に加え、エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子(ライゲーションX液)の場合、長さ約2.3-kbの挿入断片が認められた。
エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ilvB-ilvN/ECと命名した。
尚、このプラスミドは、制限酵素部位BamHIが1箇所のみ存在する。
次に、上述のプラスミドpKK223-3-ilvC/ECを制限酵素BamHI及びBglIIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したtacプロモーターとエシェリヒアコリ株由来ilvC遺伝子を連結した約1.7-kbのDNA断片と、BamHIで切断した上述のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN/ECを混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションY液とした。
得られたライゲーションY液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール 50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB1-ilvB-ilvN/EC約6.4-kbのDNA断片に加え、エシェリヒア コリ株由来ilvC遺伝子(ライゲーションY液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片が認められた。
エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子及びエシェリヒア コリ株由来ilvC遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ilvB-ilvN/EC-ilvC/ECと命名した。
尚、このプラスミドは、制限酵素部位BamHIが1箇所のみ存在する。
さらに、上述のプラスミドpKK223-3-ilvD/ECを制限酵素BamHI及びBglIIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したtacプロモーターとエシェリヒア コリ株由来ilvD遺伝子を連結した約2.1-kbのDNA断片と、BamHIで切断した上述のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN/EC-ilvC/ECを混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションZ液とした。
得られたライゲーションZ液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール 50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB1-ilvB-ilvN/EC-ilvC/EC約8.1-kbのDNA断片に加え、エシェリヒア コリ株由来ilvD遺伝子(ライゲーションZ液)の場合、長さ約2.1-kbの挿入断片が認められた。
エシェリヒア コリ株由来ilvB-ilvN遺伝子、エシェリヒア コリ株由来ilvC遺伝子及びエシェリヒア コリ株由来ilvD遺伝子を含むプラスミドをpCRB1-ilvB-ilvN/EC-ilvC/EC-ilvD/ECと命名した。
尚、このプラスミドは、制限酵素部位BamHIが1箇所のみ存在する。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB207へのクローニング
上記項(1)に示したPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvC遺伝子を含む約1.0-kb DNA断片、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子を含む約1.0-kb DNA断片、ラクトコッカス ラクティス株由来kivD遺伝子を含む約1.7-kb DNA断片、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子を含む約1.1-kb DNA断片10μl及びPgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB207 2μlを各々制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAA液、AB液、AC液及びAD液とした。
同じく、上記項(1)に示したPCRにより増幅したコリネバクテリウム グルタミカム株由来 ilvD遺伝子を含む約2.0-kb DNA断片及びシュードモナス プチダ株由来adh遺伝子を含む約1.0-kb DNA断片10μlを制限酵素BspHIで、PgapAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB207 2μlを制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAE液及びAF液とした。
得られた6種のライゲーションAA液、AB液、AC液、AD液、AE液及びAF液それぞれを、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB207約5.1-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvC遺伝子(ライゲーションAA液)を含む約1.0-kb DNA断片が、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子(ライゲーションAB液)の場合、長さ約1.0-kbの挿入断片が、ラクトコッカス ラクティス株由来kivD遺伝子(ライゲーションAC液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片が、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子(ライゲーションAD液)の場合、長さ約1.1-kbの挿入断片が、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子(ライゲーションAE液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が、シュードモナス プチダ株由来adh遺伝子(ライゲーションAF液)の場合、長さ約1.0-kbの挿入断片が認められた。
コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvC遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-ilvC/CG、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-adhP/EC、ラクトコッカス ラクティス株由来kivD遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-kivD/LL、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-adh2/SC、コリネバクテリウム グルタミカム株由来 ilvD遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-ilvD/CG、シュードモナス プチダ株由来adh遺伝子を含むプラスミドをpCRB207-adh/PPとそれぞれ命名した。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB205へのクローニング
上記項(1)に示したPCRにより増幅したバチルス サブチリス株由来alsS遺伝子を含む約1.8-kb DNA断片10μl及びtacプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB205 2μlを各々制限酵素SmaIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAG液とした。
得られたライゲーションAG液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素SmaIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB205約5.0-kbのDNA断片に加え、バチルス サブチリス株由来alsS遺伝子(ライゲーションAG液)の場合、長さ約1.8-kbの挿入断片が認められた。
バチルス サブチリス株由来alsS遺伝子を含むプラスミドをpCRB205-alsS/BSと命名した。
上述のプラスミドpCRB207-ilvC/CGを制限酵素BamHIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したgapAプロモーターとコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvC遺伝子及びターミネーター配列を連結した約2.0-kbのDNA断片と、SphIで切断した上述のプラスミドpCRB205-alsS/BSをDNA Blunting Kit(タカラバイオ株式会社製)により末端平滑化反応を行った後、DNA断片を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAH液とした。
得られたライゲーションAH液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、クロラムフェニコール 50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB205-alsS/BS約6.8-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvC遺伝子(ライゲーションAH液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が認められた。
バチルス サブチリス株由来alsS遺伝子及びコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvC遺伝子を含むプラスミドをpCRB205-alsS/BS-ilvC/CGと命名した(図2)。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB208へのクローニング
上記項(1)に示したPCRにより増幅したラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子を含む約1.7-kb DNA断片10μl及びldhAプロモーターを含有するクローニングベクターpCRB208 2μlを各々制限酵素NcoIで切断し、70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させた後、両者を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ (タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAI液とした。
得られたライゲーションAI液を、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、カナマイシン50μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
各々培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素NcoIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB208約4.5-kbのDNA断片に加え、ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子(ライゲーションAI液)の場合、長さ約1.7-kbの挿入断片が認められた。
ラクトコッカス ラクティスkivD遺伝子を含むプラスミドをpCRB208-kivD/LLと命名した(図2)。
イソブタノール生産遺伝子のpCRB15へのクローニング
上述のプラスミドpCRB207-adhP/EC、pCRB207-adh/PP及びpCRB207-adh2/SCを制限酵素BamHIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したgapAプロモーターとエシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子及びターミネーター配列を連結した約2.0-kbのDNA断片と、gapAプロモーターとシュードモナス プチダ株由来adh遺伝子及びターミネーター配列を連結した約2.0-kbのDNA断片と、gapAプロモーターとサッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子及びターミネーター配列を連結した約2.1-kbのDNA断片とBamHIで切断した上述のプラスミドpCRB15約3.8-kbを70℃で10分処理させることにより制限酵素を失活させたDNA断片を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAJ液、AK液及びAL液とした。
得られた3種類のライゲーションAJ液、AK液及びAL液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、ゼオシン 25μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素BamHIで切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB15約3.8-kbのDNA断片に加え、エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子(ライゲーションAJ液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が、シュードモナス プチダ株由来adh遺伝子(ライゲーションAK液)の場合、長さ約2.0-kbの挿入断片が、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子(ライゲーションAL液)の場合、長さ約2.1-kbの挿入断片が認められた。
エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子を含むプラスミドをpCRB15-adhP/EC、シュードモナス プチダ株由来adh遺伝子を含むプラスミドをpCRB15-adh/PP、サッカロマイセス セレビシエ株由来adh2遺伝子を含むプラスミドをpCRB15-adh2/SCと命名した(図2)。
また、上述のプラスミドpCRB207-ilvD/CGを制限酵素KpnI及びPstIで切断し、アガロース電気泳動後、アガロースゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(株式会社キアゲン社製)によって回収したgapAプロモーターとコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子及びターミネーター配列を連結した約2.9-kbのDNA断片と、KpnIで切断した上述のプラスミドpCRB15-adhP/EC約5.8-kbをDNA Blunting Kit(タカラバイオ株式会社製)により末端平滑化反応を行った後、DNA断片を混合し、これにT4 DNAリガーゼ10×緩衝液 1μl 、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製) 1 unitの各成分を添加し、滅菌蒸留水で10μl にして、15℃で3時間反応させ、結合させた。これをライゲーションAM液とした。
得られたライゲーションAM液を用い、塩化カルシウム法〔Journal of Molecular Biology, 53, 159 (1970)〕によりエシェリヒア コリJM109を形質転換し、ゼオシン 25μg/mlを含むLB寒天培地〔1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム、および1.5% 寒天〕に塗布した。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、プラスミドpCRB15-adhP/EC約5.8-kbのDNA断片に加え、コリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子(ライゲーションAM液)の場合、長さ約2.9-kbの挿入断片が認められた。
エシェリヒア コリ株由来adhP遺伝子及びコリネバクテリウム グルタミカム株由来ilvD遺伝子を含むプラスミドをpCRB15-adhP/EC-ilvD/CGと命名した(図2)。
(3) イソブタノール生産株の作製
上述のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adh2/SCを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] 株を形質転換し、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml、ゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adh2/SCの導入が認められた。得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU1と命名した。尚、本株の遺伝子組換えの概要は、表6にまとめて示した。コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU1は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターに寄託した(寄託日:2009年3月17日、受託番号:BP−718)。
同様に、上述のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adhP/ECを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] 株を形質転換し、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml、ゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adhP/ECの導入が認められた。得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU2と命名した。尚、本株の遺伝子組換えの概要は、表6にまとめて示した。コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU2は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターに寄託した(寄託日:2009年3月17日、受託番号:BP−719)。
さらに、上述のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adh/PPを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] 株を形質転換し、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml、ゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adh/PPの導入が認められた。得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU3と命名した。尚、本株の遺伝子組換えの概要は、表6にまとめて示した。コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU3は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターに寄託した(寄託日:2009年3月17日、受託番号:BP−720)。
また、上述のプラスミドpCRB205-alsS/BS-ilvC/CG、pCRB207-kivD及びpCRB15-adhP/EC-ilvD/CGを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] 株を形質転換し、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml、ゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB205-alsS/BS-ilvC/CG、pCRB207-kivD/LL及びpCRB15-adhP/EC-ilvD/CGの導入が認められた。得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU4と命名した。尚、本株の遺伝子組換えの概要は、表6にまとめて示した。コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU4は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターに寄託した(寄託日:2009年3月17日、受託番号:BP−721)。
Figure 0005698655
*) 表内の表示の略語は以下の通り。
<遺伝子起源略語>
BS; バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)
CG; コリネバクテリウム グルタミカム R(Corynebacterium glutamicum)
EC; エシェリヒア コリ(Escherichia coli)
LL; ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)
PP; シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)
SC; サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
(4) イソブタノール生産比較株の作製
上述のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN/EC-ilvC/EC-ilvD/EC、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adh2/SCを用いて、電気パルス法 [Agric. Biol. Chem.、Vol. 54、443-447(1990) 及びRes. Microbiol.、Vol. 144、181-185(1993)] により、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)R ldhA mutant [J. Mol. Microbiol. Biotechnol.、Vol. 8、243-254(2004)] 株を形質転換し、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/ml、ゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布した。尚、これら3種類のプラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム内で共存可能なプラスミドである。
この培地上の生育株を常法により液体培養し、培養液よりプラスミドDNAを抽出、該プラスミドを制限酵素で切断し、挿入断片を確認した。この結果、上記で作製のプラスミドpCRB1-ilvB-ilvN/EC-ilvC/EC-ilvD/EC、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adh2/SCの導入が認められた。得られた株をコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)IBU5と命名した。
実施例4 コリネバクテリウム グルタミカム (Corynebacterium glutamicum) IBU1、IBU2及びIBU3を用いた還元条件下におけるイソブタノール生産実験
実施例3で創製したコリネバクテリウム グルタミカムIBU1、IBU2及びIBU3を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/mlおよびゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカム IBU1、IBU2及びIBU3を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/mlおよびゼオシン25μg/mlを含むA液体培地10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカムIBU1、IBU2及びIBU3を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/mlおよびゼオシン25μg/mlを含むA液体培地500mlの入った容量2Lの三角フラスコに植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
このようにして培養増殖されたそれぞれの菌体は、遠心分離 (4℃、5,000×g, 15分)により菌体を回収した。得られた菌体を、終濃度OD610=35となるようにBT(-尿素)液体培地〔0.7% 硫酸アンモニウム、0.05% リン酸二水素カリウム、0.05% リン酸水素二カリウム、0.05% 硫酸マグネシウム・7水和物、0.0006% 硫酸鉄・7水和物、0.00042% 硫酸マンガン水和物、0.00002% ビオチン、0.00002% チアミン塩酸塩〕に懸濁した。このそれぞれの菌体懸濁液60mlを容量100mlメディウム瓶に入れ、還元条件下(反応液の酸化還元電位;-420mV乃至-450 mV、BROADREY JAMES社製、ORP Electrodeで測定)、グルコースを8%となるように添加し、33℃に保った水浴中で攪拌しながらイソブタノールを生成させた。この時、反応液のpHが7.0を下回らないように2.5Nのアンモニア水を用いてpHコントローラー (エイブル株式会社製、型式:DT-1023)でコントロールしながらイソブタノール生成反応を行わせた。尚、本還元条件下では、コリネバクテリウム グルタミカム IBU1、IBU2及びIBU3いずれも増殖は観察されなかった。
イソブタノールの定量は、サンプリングした反応液を遠心分離 (4℃、15,000×g、10分) し、得られた上清液をガスクロマトグラフィーで分析することにより行った。ガスクロマトグラフィー分析は、キャピラリーカラム(Stabilwax; 60m × 0.53mmID × 1μmID; RESTEK社製)をセットした島津社製のガスクロマトグラフィー(GC-2014)を用いて行った。分析条件は、キャリアガス流速318ml/min、スプリット比1:20に設定し、GCオーブンの条件は、40℃で5分保持した後、40〜120℃までを20℃ / min、120℃〜220℃までを50℃/minで昇温させ、220℃で4分間保持した。
この結果、コリネバクテリウム グルタミカムIBU1は、還元条件下でのイソブタノール生成反応の開始から22時間後に184 mM、36時間後に251 mMのイソブタノールを、コリネバクテリウム グルタミカムIBU2は、還元条件下でのイソブタノール生成反応の開始から22時間後に252 mM、36時間後に365 mMのイソブタノールを、コリネバクテリウム グルタミカムIBU3は、還元条件下でのイソブタノール生成反応の開始から22時間後に255 mM、36時間後に370 mMのイソブタノールを反応液中にそれぞれ生産していた。コリネバクテリウム グルタミカムIBU1、IBU2、IBU3は、AHAS、AHAIR、DHAD、KDCをコードする同じ遺伝子が導入されていることは共通であり、唯一の違いは、ADHをコードする遺伝子として、IBU1はサッカロマイセス セレビシエ由来のadh2(adh2/SC)遺伝子が、IBU2はエシェリヒア コリ由来のadhP(adhP/EC)遺伝子が、IBU3はシュードモナス プチダ由来のadh(adh/PP)遺伝子が導入されており(表6参照)、コリネバクテリウム グルタミカム内でのイソブチルアルデヒドを基質とした場合のADH活性は、adh2/SC < adhP/EC < adh/PP の順に高い値を示した(表4参照)。このADH活性の違いが、イソブタノール生産性の違いに反映していると考えられる。
実施例5
コリネバクテリウム グルタミカム (Corynebacterium glutamicum) IBU4を用いた還元条件下におけるイソブタノール生産実験
コリネバクテリウム グルタミカム IBU4を用いた以外は、実施例4と同様の方法でイソブタノール生産を評価した。
この結果、コリネバクテリウム グルタミカムIBU4は、還元条件下でのイソブタノール生成反応の開始から22時間後に97 mM、36時間後に146 mMのイソブタノールを反応液中にそれぞれ生産していた。
コリネバクテリウム グルタミカムIBU4は、IBU2と比較して、AHAIR、DHAD、KDC、ADHをコードする同じ遺伝子が導入されていることは共通であり、唯一の違いは、AHASをコードする遺伝子として、IBU4がバチルス サブチリス由来のalsS遺伝子が導入されているのに対して、IBU2はコリネバクテリウム グルタミカム由来のilvBN(ilvB-ilvN)遺伝子を導入させている点である(表6参照)。
本実施例は、AHASをコードする遺伝子に関して、コリネバクテリウム グルタミカム内在性のilvBN遺伝子を導入した場合の方が、外来性(バチルス サブチリス由来)のalsS遺伝子を導入した場合よりも、高い生産性を与えることを示す実験例である。
比較例1 コリネバクテリウム グルタミカム (Corynebacterium glutamicum) IBU5を用いた還元条件下におけるイソブタノール生産実験
コリネバクテリウム グルタミカム IBU5を用いた以外は、実施例4と同様の方法でイソブタノール生産を評価した。
この結果、コリネバクテリウム グルタミカムIBU5は、還元条件下でのイソブタノール生成反応の開始から22時間後に72 mM、36時間後に97 mMのイソブタノールを反応液中にそれぞれ生産していた。
コリネバクテリウム グルタミカムIBU5は、IBU2と比較して、KDC、ADHをコードする同じ遺伝子が導入されていることは共通であり、異なる点は、AHAS、AHAIR、DHADをコードする遺伝子として、IBU5がエシェリヒア コリ由来のilvBN、ilvC、ilvD遺伝子が導入されているのに対して、IBU2はコリネバクテリウム グルタミカム由来のilvBN、ilvC、ilvD遺伝子を導入させている点である。すなわち、IBU5はすべて外来性遺伝子が導入されているのに対して、IBU2は、内在性のilvBN、ilvC、ilvD遺伝子が導入されている。従って、コリネバクテリウム グルタミカム内在性のilvBN、ilvC、ilvD遺伝子を導入したIBU2の方が、外来性エシェリヒア コリ由来のilvBN、ilvC、ilvD遺伝子を導入したIBU5に比べて高い生産性を示した。
比較例2 コリネバクテリウム グルタミカム (Corynebacterium glutamicum) IBU2を用いた好気増殖条件下におけるイソブタノール生産実験
実施例3で創製したコリネバクテリウム グルタミカムIBU2を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/mlおよびゼオシン25μg/mlを含むA寒天培地に塗布し、28℃、20時間暗所に静置した。
上記のプレートで生育したコリネバクテリウム グルタミカムIBU2を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/mlおよびゼオシン25μg/mlを含むA液体培地10mlの入った試験管に一白金耳植菌し、28℃にて15時間、好気的に振盪培養を行った。
上記の条件で生育したコリネバクテリウム グルタミカムIBU2を、クロラムフェニコール 5μg/ml、カナマイシン 50μg/mlおよびゼオシン25μg/mlを含むA(-尿素)液体培地〔350mM(5.22%)グルコース、0.7% 硫酸アンモニウム、0.05% リン酸二水素カリウム、0.05% リン酸水素二カリウム、0.05% 硫酸マグネシウム・7水和物、0.2% 酵母エキス、0.7%カザミノ酸、0.0006% 硫酸鉄・7水和物、0.00042% 硫酸マンガン水和物、0.00002% ビオチン、0.00002% チアミン塩酸塩〕500mlが入っている容量1Lのジャーファーメンターに移し、28℃、1000rpm、滅菌空気を0.5L/minで通気して、16hr好気培養増殖を行なった。この間、5Nアンモニア水溶液を使用してジャーファーメンター槽内のpHを7.0に維持した。
好気培養増殖時の反応液をサンプリングし、実施例4と同様の方法によりイソブタノールの定量を行った。また、菌体濃度の測定をOD610の吸光度測定により行った。
この結果、コリネバクテリウム グルタミカムIBU2は、図3に示すように増殖した。この時、好気培養開始から4時間後に0 mM、10時間後に0 mM、16時間後に0.3 mMのイソブタノールを生産した。そして、16時間以降では、イソブタノールの生成濃度の増大は殆ど認められなっかた。コリネバクテリウム グルタミカムIBU2は、増殖を伴う好気条件下ではほとんどイソブタノールを生産しなかったのに対して、増殖を伴わない還元条件下(実施例4参照)では、著量のイソブタノールを生産することが分かった。
比較例3 コリネバクテリウム グルタミカム以外のコリネバクテリウム属細菌を宿主として用いた場合の還元条件下におけるイソブタノール生産実験
イソブタノールを生産する宿主としてコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に代わりに、コリネバクテリウム キャピトビス(Corynebacterium capitovis)、コリネバクテリウム カゼイ(Corynebacterium casei)、コリネバクテリウム ハロトレランス(Corynebacterium halotolerans)及びコリネバクテリウム テルペノタビディウム(Corynebacterium terpenotabidum)を用いる以外は、実施例4と同様の方法でイソブタノール生産を評価した。尚、導入プラスミドは、コリネバクテリウム グルタミカム IBU2と同様のpCRB1-ilvB-ilvN-ilvC/CG-ilvD/CG、pCRB208-kivD/LL及びpCRB15-adhP/ECを用いた。
この結果、コリネバクテリウム カゼイを宿主として用いた場合に、元条件下でのイソブタノール生成反応の開始から22時間後に5 mM、36時間後に7 mMのイソブタノールを反応液中に生産していた。しかしながら、コリネバクテリウム キャピトビス、コリネバクテリウム ハロトレランス、コリネバクテリウム テルペノタビディウムを宿主として用いた場合には、有意なイソブタノールを反応液中に観察できなかった。
このイソブタノールを生産する場合の宿主として、コリネバクテリウム属の中で、コリネバクテリウム グルタミカムがもっとも優れていることが明らかになった。
本発明の形質転換体を用いると、糖類から効率よくイソブタノールを生産することができる。
Corynebacterium glutamicum IBU1 NITE BP−718
Corynebacterium glutamicum IBU2 NITE BP−719
Corynebacterium glutamicum IBU3 NITE BP−720
Corynebacterium glutamicum IBU4 NITE BP−721

Claims (10)

  1. 下記の(1)〜(5)の全ての遺伝子で形質転換されたコリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)形質転換体であって、(1)〜(5)の1以上がコリネバクテリウム グルタミカムの内在性の遺伝子であり、(1)〜(5)の1以上が外来性の遺伝子であり、内在性の遺伝子が導入されていることにより高発現していることを特徴とする、イソブタノール生産能を有する形質転換体。
    (1)アセトヒドロキシ酸 シンターゼ(acetohydroxy acid synthase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
    (2)アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ(acetohydroxy acid isomeroreductase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
    (3)ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ(dihydroxy acid dehydratase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
    (4)2-ケト酸 デカルボキシラーゼ(2-keto acid decarboxylase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
    (5)アルコール デヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase)活性を有する酵素をコードする遺伝子
  2. 内在性の遺伝子が(1)アセトヒドロキシ酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、(2)アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、および(3)ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子から選ばれる遺伝子を含むことを特徴とする請求項1に記載の形質転換体。
  3. アルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)由来の遺伝子、または、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)由来の遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の形質転換体。
  4. 2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)由来の遺伝子、または、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)由来の遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の形質転換体。
  5. アセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号34の塩基配列からなるDNA、配列番号58の塩基配列からなるDNA、あるいは、配列番号34又は58の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつアセトヒドロキシ酸 シンターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
    アセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号61の塩基配列からなるDNA、又は配列番号61の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつアセトヒドロキシ酸 イソメロレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
    ジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号62の塩基配列からなるDNA、又は配列番号62の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつジヒドロキシ酸 デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
    2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号43の塩基配列からなるDNA、配列番号52の塩基配列からなるDNA、あるいは、配列番号43又は52の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ2-ケト酸 デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAのいずれかの遺伝子から選ばれる遺伝子であり、そして、
    アルコール デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子が、配列番号40の塩基配列からなるDNA、配列番号46の塩基配列からなるDNA、配列番号49の塩基配列からなるDNA、あるいは、配列番号40、46、又は49の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつアルコール デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAから選ばれる遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の形質転換体。
  6. 宿主として用いられるコリネバクテリウム グルタミカムが、コリネバクテリウム グルタミカムR(FERM P−18976)、ATCC13032、又はATCC13869である請求項1に記載の形質転換体。
  7. Corynebacterium glutamicumIBU1(受託番号 NITE BP−718)、Corynebacterium glutamicumIBU2(受託番号 NITE BP−719)、Corynebacterium glutamicumIBU3(受託番号 NITE BP−720)、又は、Corynebacterium glutamicumIBU4(受託番号 NITE BP−721)である形質転換体。
  8. 請求項1又は7に記載の形質転換体、又はその処理物を、還元条件下の、糖類を含有する反応培地で反応させる工程と、生産されたイソブタノールを回収する工程とを含むことを特徴とするイソブタノールの製造方法。
  9. 反応工程において、形質転換体が実質的に増殖しない請求項8に記載のイソブタノールの製造方法。
  10. 還元条件下の反応培地の酸化還元電位が−100〜−500ミリボルトであることを特徴とする請求項8に記載のイソブタノールの製造方法。
JP2011507169A 2009-03-30 2010-03-29 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法 Active JP5698655B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011507169A JP5698655B2 (ja) 2009-03-30 2010-03-29 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009083668 2009-03-30
JP2009083668 2009-03-30
JP2011507169A JP5698655B2 (ja) 2009-03-30 2010-03-29 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法
PCT/JP2010/055504 WO2010113832A1 (ja) 2009-03-30 2010-03-29 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010113832A1 JPWO2010113832A1 (ja) 2012-10-11
JP5698655B2 true JP5698655B2 (ja) 2015-04-08

Family

ID=42828122

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011507169A Active JP5698655B2 (ja) 2009-03-30 2010-03-29 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8871478B2 (ja)
EP (1) EP2415860A4 (ja)
JP (1) JP5698655B2 (ja)
CA (1) CA2755310A1 (ja)
WO (1) WO2010113832A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012063860A1 (ja) * 2010-11-10 2012-05-18 グリーンフェノール・高機能フェノール樹脂製造技術研究組合 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるフェノールの製造方法
JP2013005764A (ja) * 2011-06-24 2013-01-10 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 大腸菌において混合糖から有機物質を生産する方法
US9290770B2 (en) 2011-08-22 2016-03-22 Research Institute Of Innovative Technology For The Earth Coryneform bacterium transformant and process for producing valine using the same
JP6450912B1 (ja) * 2018-04-27 2019-01-16 株式会社Co2資源化研究所 ヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体
US11697817B2 (en) 2018-04-27 2023-07-11 Utilization Of Carbon Dioxide Institute Co., Ltd. Genus Hydrogenophilus bacterium transformant
US11541105B2 (en) 2018-06-01 2023-01-03 The Research Foundation For The State University Of New York Compositions and methods for disrupting biofilm formation and maintenance

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007050671A2 (en) * 2005-10-26 2007-05-03 E. I. Du Pont De Nemours And Company Fermentive production of four carbon alcohols
WO2008098227A2 (en) * 2007-02-09 2008-08-14 The Regents Of The University Of California Biofuel production by recombinant microorganisms
JP2009039031A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Research Institute Of Innovative Technology For The Earth ブタノール生産能を有する形質転換体

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3003925A (en) * 1956-05-17 1961-10-10 Kyowa Hakko Kogyo Kk Method of producing l-glutamic acid by fermentation
US3136702A (en) * 1961-07-19 1964-06-09 Ajinomoto Kk Process for producing l-glutamic acid
JPS57134500A (en) 1981-02-12 1982-08-19 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd Plasmid pcg1
JPS57183799A (en) 1981-04-17 1982-11-12 Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd Novel plasmid
JPS5867699A (ja) 1981-10-16 1983-04-22 Ajinomoto Co Inc プラスミド
JPS62166890A (ja) 1986-01-20 1987-07-23 Asahi Chem Ind Co Ltd イソクエン酸デヒドロゲナ−ゼ産生遺伝子を含むdna断片
JP3869788B2 (ja) 2002-12-18 2007-01-17 財団法人地球環境産業技術研究機構 コリネ型細菌を用いる有機化合物の製造方法
JP4451393B2 (ja) 2003-07-29 2010-04-14 財団法人地球環境産業技術研究機構 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるジカルボン酸の製造方法
DE102004055508A1 (de) * 2004-11-17 2006-06-01 Basf Ag Verfahren zur Herstellung optisch aktiver Alkohole
US20080274526A1 (en) * 2007-05-02 2008-11-06 Bramucci Michael G Method for the production of isobutanol
US20090111154A1 (en) 2007-04-04 2009-04-30 The Regents Of The University Of California Butanol production by recombinant microorganisms
BRPI0922437A2 (pt) * 2008-12-11 2019-09-24 Bio Arch Lab Inc biossíntese de commodities químicas

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007050671A2 (en) * 2005-10-26 2007-05-03 E. I. Du Pont De Nemours And Company Fermentive production of four carbon alcohols
WO2008098227A2 (en) * 2007-02-09 2008-08-14 The Regents Of The University Of California Biofuel production by recombinant microorganisms
JP2009039031A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Research Institute Of Innovative Technology For The Earth ブタノール生産能を有する形質転換体

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010020343; ATSUMI, S., et al.: 'Non-fermentative pathways for synthesis of branched-chain higher alcohols as biofuels' nature VOL. 451, 20080103, pp. 86-89 *
JPN6010020344; YOSHIMOTO, H., et al.: 'Genetic and physiological analysis of branched-chain alcohols and isoamyl acetate production in Sacc' Applied Microbiology and Biotechnology Vol. 59, No. 4-5, 20020101, pp. 501-508 *
JPN6010020345; ATSUMI, S., et al.: 'Acetolactate Synthase from Bacillus subtilis Serves as a 2-Ketoisovalerate Decarboxylase for Isobuta' Applied and Environmental Microbiology Vol. 75, No. 19, 20090814, pp. 6306-6311 *
JPN6010020346; ATSUMI, S., et al.: 'Direct photosynthetic recycling of carbon dioxide to isobutyraldehyde' Nature Biotechnology Vol. 27, No. 12, 200912, pp. 1177-1180 *

Also Published As

Publication number Publication date
CA2755310A1 (en) 2010-10-07
JPWO2010113832A1 (ja) 2012-10-11
WO2010113832A1 (ja) 2010-10-07
EP2415860A1 (en) 2012-02-08
EP2415860A4 (en) 2012-09-05
US20120115196A1 (en) 2012-05-10
US8871478B2 (en) 2014-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7139478B2 (ja) 発酵経路を経由するフラックスの増大を示す組み換え微生物体
US8216820B2 (en) Transformant of coryneform bacteria capable of producing isopropanol
JP6199747B2 (ja) 組換え微生物およびそれらの使用
JP5395667B2 (ja) イソプロパノール生産能を有する形質転換体
JP5960701B2 (ja) コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるバリンの製造方法
JP5698655B2 (ja) コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるイソブタノールの製造方法
JP5252940B2 (ja) コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるブタノールの製造方法
JP5243748B2 (ja) ブタノール生産能を有する形質転換体
JP4927297B2 (ja) 組換え型コリネ型細菌を用いるエタノールの製造方法
JP6528295B1 (ja) ヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体
JP6668577B1 (ja) 1,3−プロパンジオールの製造方法
JP6450912B1 (ja) ヒドロゲノフィラス属細菌形質転換体
CN117946950A (en) Novel dehydrogenase for producing 2-hydroxyisovalerate and construction and application of 2-hydroxyisovalerate engineering bacteria
NZ614459B2 (en) Recombinant microorganisms and uses therefor

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5698655

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250