JP4588589B2 - 回路基板の設計方法および設計支援装置 - Google Patents

回路基板の設計方法および設計支援装置 Download PDF

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本発明は、電源ラインとグランドラインの間に接続されるバイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定するための回路基板の設計方法および設計支援装置に関する。また本発明は、この回路基板の設計方法をコンピュータで実行するためのプログラムおよび該プログラムを記録した記録媒体に関する。
携帯電話、通信端末などの電子機器が高い実装密度で小型化され、高速動作や高機能化に伴って、機器内部の信号干渉により、特性劣化や誤動作の可能性が増大する。こうした信号干渉対策を実現するために、電子機器の開発期間が長期化する傾向があり、最終的に製品コストの上昇をもたらす。
特に、能動デバイス間の電源分離を図る目的で電源ラインとグランドラインの間にバイパスコンデンサを接続する場合、バイパスコンデンサは能動デバイスの電源端子に極力接近させて配置することが望ましい。しかしながら、電子機器の小型化に伴って配線の引き回しや物理的なスペースに制約が生じ、能動デバイスから比較的離れた位置にバイパスコンデンサを配置せざるを得ないことがある。
下記の特許文献1では、実装ICの電源端子間にバイパスコンデンサを接続する場合、IC内部にノイズ電流源を配置し、ICの内部インピーダンスおよびICの外部における電流経路インピーダンスを考慮して、ICから外部回路に向けて流れるノイズ電流を数値計算することによって、バイパスコンデンサの容量値および配置位置を決定している。
下記の特許文献2は、ICの電源端子間に接続されるバイパスコンデンサの容量および配置場所を予め設定した後、バイパスコンデンサを含む電流経路におけるインピーダンス−周波数特性に基づいて評価する回路設計方法が開示されている。しかし、IC内部のインピーダンスについては何ら考慮していない。
特開2004−258869号公報 特開2001−175702号公報
最近の携帯電話や通信端末などで使用される周波数領域は、800MHzから数GHzにまで到達しており、将来は10GHz程度のより高い高周波領域も視野に入れる必要がある。使用周波数が高くなると、電源ラインや信号ラインに沿って流れるノイズだけでなく、ライン間の電磁界的な結合を介して相互干渉するノイズも考慮しなければならない。
特許文献1,2ともに、特定のICに関するバイパスコンデンサを最適化する手法を提案している。しかしながら、これらの手法はライン間の電磁界的な結合を介して相互干渉するノイズは考慮されていない。
本発明の目的は、GHzオーダーまたはそれ以上の高周波領域において、バイパスコンデンサの容量値および実装位置を最適化できる回路基板の設計方法および設計支援装置を提供することである。
また本発明の目的は、この回路基板の設計方法をコンピュータで実行するためのプログラムおよび該プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
本発明に係る回路基板の設計方法は、電源ライン、グランドライン、信号ライン、デバイスが配置される回路基板において、電源ラインとグランドラインの間に接続されるバイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定するための回路基板の設計方法であって、
予め指定されたバイパスコンデンサが接続される第1配線をコンピュータにより特定するステップと、
ノイズ源となるデバイスの端子が接続される第2配線をコンピュータにより特定するステップと、
第1配線の配線形状、配線位置、基板の層数、厚み、配線を形成する導体の物性値、基板の絶縁体を形成する絶縁体の物性値に関する情報および第1配線に接続されるデバイスのインピーダンスをそれぞれコンピュータにより取得するステップと、
第2配線の配線形状、配線位置、基板の層数、厚み、配線を形成する導体の物性値、基板の絶縁体を形成する絶縁体の物性値に関する情報および第2配線に接続されるデバイスのインピーダンスをそれぞれコンピュータにより取得するステップと、
取得した情報および各インピーダンスを用いて、第1配線と第2の配線の結合を介した、ノイズ源デバイスの端子と第1配線に接続されるデバイスの端子との間の結合量をコンピュータにより計算するステップと、
予め指定された前記バイパスコンデンサの候補容量値および候補位置を選択し、前記結合量を用いてノイズ源から第1配線に接続されるデバイスへの干渉信号量をコンピュータにより計算することによって、前記バイパスコンデンサの容量値および実装位置をコンピュータにより決定するステップとを含むことを特徴とする。
本発明において、前記干渉信号量計算ステップは、ノイズ源が発生する信号の周波数スペクトルと、第1および第2配線に接続されるデバイス端子間の結合量の周波数依存性とを用いて、干渉信号量の周波数スペクトルを計算することが好ましい。
また本発明において、前記容量値および実装位置決定ステップは、第1配線について予め指定されたM個(Mは1以上の整数)の候補位置をコンピュータにより設定するステップと、
バイパスコンデンサについて予め指定されたN個(Nは1以上の整数)の候補容量値をコンピュータにより設定するステップと、
M個の候補位置およびN個の候補容量値の複数の組合せ(M,Nの少なくとも一方は2以上の整数)について、M×N個の干渉信号量をコンピュータにより計算するステップと、
M×N個の干渉信号量の中から、予め第1配線に接続されるデバイスの端子に設定した閾値以下の干渉信号量となる候補位置および候補容量値の組合せをコンピュータにより取得するステップとを含むことが好ましい。
また本発明において、前記容量値および実装位置決定ステップは、第1配線について予め指定されたM個(Mは1以上の整数)の候補位置を設定するステップと、
バイパスコンデンサについて予め指定されたN個(Nは1以上の整数)の候補容量値をコンピュータにより設定するステップと、
各候補位置および各候補容量値の複数の組合せ(M,Nの少なくとも一方は2以上の整数)の中から1つの組合せについて干渉信号量をコンピュータにより計算するステップと、
計算した干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とをコンピュータにより比較するステップと、
計算した干渉信号量が閾値以下になるまで、候補位置および候補容量値の組合せを変化させて前記計算ステップおよび前記比較ステップを繰り返すステップとを含むことが好ましい。
また本発明において、バイパスコンデンサの候補容量値には、ゼロを含むことが好ましい。
また本発明において、前記容量値および実装位置決定ステップによって決定されたバイパスコンデンサの容量値および実装位置に関する干渉信号量と、容量値がゼロであるときの干渉信号量とをコンピュータにより比較するステップと含むことが好ましい。
また本発明は、上記回路基板の設計方法をコンピュータで実行するためのプログラムを提供する。
また本発明は、上記回路基板の設計方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
また本発明に係る回路基板の設計支援装置は、電源ライン、グランドラインおよび信号ラインの配線形状、配線位置、基板の層数、厚み、配線を形成する導体の物性値、基板の絶縁体を形成する絶縁体の物性値に関する配線情報、搭載部品の実装位置を格納した回路基板データベースと、
回路基板に搭載される受動部品および能動デバイスの特性情報および実装位置を格納した部品データベースと、
回路基板データベースおよび部品データベースを参照して、解析対象となる配線、受動部品および能動デバイスを特定するための解析対象特定手段と、
解析対象特定手段によって特定した、前記配線情報および受動部品および能動デバイスのインピーダンスをそれぞれ取得するためのインピーダンス取得手段と、
取得した各インピーダンスを用いて、端子間の結合量を計算するための結合量計算手段と、
計算した結合量を用いて、任意のノイズ源から特定の能動デバイスへの干渉信号量を計算する干渉信号量計算手段と、
計算した干渉信号量に基づいて、電源ラインとグランドラインの間に接続されるバイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定する容量値および実装位置決定手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、評価デバイスが接続される第1配線に関する各種インピーダンスおよび、ノイズ源デバイスの端子が接続される第2配線に関する各種インピーダンスをそれぞれ取得し、そして第1配線と第2の配線に接続されるデバイス端子間の結合量を計算し、計算した結合量を用いて評価デバイスへの干渉信号量を計算する。
計算した干渉信号量に基づいて、前記バイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定している。従って、GHzオーダーまたはそれ以上の高い周波領域においても、ライン間の電磁界的な結合も考慮することによって、バイパスコンデンサの容量値および実装位置を高精度に最適化することができる。
また、干渉信号量計算ステップにおいて、ノイズ源が発生する信号の周波数スペクトルと、第1および第2配線間の結合量の周波数依存性とを用いて、干渉信号量の周波数スペクトルを計算している。これにより使用周波数と干渉信号量の周波数スペクトルとの関係を正確に把握できる。さらに、干渉信号量のレベル判定を行う場合、周波数別に設定した閾値を使用することによって、より綿密なレベル判定を実施できる。
また、容量値および実装位置決定ステップにおいて、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについてM×N個の干渉信号量を計算した後、予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値以下の干渉信号量となる候補位置および候補容量値の組合せを探索している。これによりバイパスコンデンサの最適な容量値および実装位置を網羅的に把握することができる。従って、最も優れた容量値および実装位置が、別の理由(例えば、調達困難性や部品コスト、パターニングの制約)で不採用になったとしても、新たな回路設計を行うことなく、次に優れた容量値および実装位置を直ちに採用することができる。
なお、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについてM×N個の干渉信号量を計算する場合、1)N個の候補容量値の中から選択した1つの候補容量値についてM個の干渉信号量を計算し、次に、別の候補容量値についてM個の干渉信号量を計算し、以下同様に繰り返す方法と、2)M個の候補位置の中から選択した1つの候補位置についてN個の干渉信号量を計算し、次に、別の候補位置についてN個の干渉信号量を計算し、以下同様に繰り返す方法、が採用できる。
また、容量値および実装位置決定ステップにおいて、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについて、1つの組合せごとに干渉信号量の計算と閾値判定を行うことも可能である。これにより最も優れた組合せであるかは不明であるが、網羅的な計算を実行する場合と比べて、閾値判定に合格した組合せを素早く把握することができる。
また、バイパスコンデンサの候補容量値としてゼロを含むことによって、バイパスコンデンサのインピーダンスが無限大である状態、即ち、バイパスコンデンサが何ら接続されていない状態での干渉信号量を計算することができる。この干渉信号量が許容レベルであれば、バイパスコンデンサは省略可能であると判断できる。
また、最適化された容量値および実装位置に関する干渉信号量と、容量値がゼロであるときの干渉信号量とを比較して、後者の干渉信号量が前者の干渉信号量より低ければ、バイパスコンデンサは省略可能であると判断できる。
(第1実施形態)
図1は、設計対象となる回路基板の一例を示す等価回路図である。回路基板は、一般に、IC(集積回路)、トランジスタ、ダイオード等の能動デバイスと、コンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動部品と、電源ライン、グランドライン、信号ライン等の各種配線が設けられる。基板形態として、電気絶縁性の基板片面に配線パターンを設けて片面または両面に部品を実装したタイプ、基板両面に配線パターンを設けて片面または両面に部品を実装したタイプ、中間層に配線パターンを設けた多層基板の片面または両面に部品を実装したタイプ、などがあり、いずれにも本発明は適用可能である。
図1において、能動デバイスとして4つのデバイスQ1〜Q4が配置され、デバイスQ2の出力端子およびデバイスQ4の入力端子に接続された信号ラインから、デバイスQ1,Q3の電源端子に接続された電源ラインへのノイズ干渉を評価する場合を典型例として示している。なお実際には、デバイスQ1,Q3に接続される信号ラインおよびデバイスQ2,Q4に接続される電源ラインも存在するが、これらは評価対象としていないため、図示を省略している。
デバイスQ1〜Q4の各グランド端子は、回路基板のグランドラインに接続されている。電源ラインは、理解容易のため、3つの線路Z1a,Z1b,Z1cが縦続接続されたラインとして表現している。バイパスコンデンサ(略称:パスコン)Cpは、図1に示すように、デバイスQ1と線路Z1aの接続点とグランドラインとの間に接続する場合と、線路Z1b,Z1cの接続点とグランドラインとの間に接続する場合と、線路Z1a,Z1bの接続点とグランドラインとの間に接続する場合と、線路Z1cとデバイスQ3の接続点とグランドラインとの間に接続する場合とが考えられる。一般に、電源ラインをK個の縦続線路で表現した場合、パスコンの実装位置は(K+1)個の接続点の中から選択できる。
信号ラインも、理解容易のため、3つの線路Z2a,Z2b,Z2cが縦続接続されたラインとして表現している。ここでは、信号ラインの中間線路Z2bと電源ラインの中間線路Z1bが近接して、電磁界的な結合が生ずる場合を示している。一般に、電源ラインをK個の縦続線路で表現し、信号ラインをL個の縦続線路で表現した場合、線路間の電磁界結合は(K×L)個の組合せが考えられる。
ここでは、デバイスQ1をノイズ干渉を受ける評価デバイスとし、デバイスQ2をノイズ発生源として説明するが、任意のデバイスを評価デバイスまたはノイズ発生源として設定することが可能である。
図2は、デバイスおよび線路をインピーダンス換算した等価回路図である。デバイスQ1,Q3は、電源ライン側から見たインピーダンスZQ1,ZQ3で表現できる。デバイスQ2の出力端子はインピーダンスZQ2で表現でき、デバイスQ4の入力端子はインピーダンスZQ4で表現できる。
電源ラインは、7個の線路Z1a〜Z1gの縦続接続で表現し、信号ラインは、3個の線路Z2a〜Z2cの縦続接続で表現し、電磁界的な結合は線路Z1dと線路Z2bとの間で生じている。パスコンCpは、インピーダンスZCpで表現され、線路Z1a〜Z1gの8個の接続点のうちのいずれかに接続される。
グランドラインは、理解容易のため、インピーダンスがゼロの理想グランドとして表現しているが、必要に応じて、有限のインピーダンスを持つ複数の線路のネックワークとして表現することも可能である。
図3は、本発明に係る回路基板の設計支援装置の一例を示す説明図である。設計支援装置は、各種ソフトウエアが搭載されたパーソナルコンピュータで構成される。パーソナルコンピュータは、一般に、キーボードなどの入力デバイス、マウスなどのポインティングデバイス、液晶パネルなどの表示デバイス、ハードディスクや光ディスクなどの大容量記憶デバイス、マイクロプロセッサなどの演算デバイス、ネットワークデバイスなどで構成される。
回路設計に必要な情報、例えば、電源ライン、グランドラインおよび信号ライン等の配線情報、回路基板に搭載される受動部品および能動デバイスの電気特性情報(特に、インピーダンス等)および実装位置、向き、形状、ならびにノイズ解析条件などは、キーボードやマウスを用いて入力したり、大容量記憶デバイスに格納されたファイルから入力したり、あるいはネットワーク経由で他のコンピュータから入力することが可能である。解析結果は、表示デバイスの画面上に表示したり、大容量記憶デバイスに格納したり、ネットワーク経由で他のコンピュータやプリンタへ出力することが可能である。
結合量解析用のソフトウエアとして、回路シミュレータ(例えば、製品名:アジレントADS)や電磁界解析シミュレータ(例えば、製品名:アジレントMomentum)などが採用可能である。
図3に示すように、設計支援装置は、機能別に、部品データベースDB1と、回路基板データベースDB2と、解析エンジンENGなどを備える。部品データベースDB1は、回路基板に搭載される受動部品および能動デバイスの電気特性情報および実装位置などを格納する。回路基板データベースDB2は、電源ライン、グランドラインおよび信号ラインの配線情報などを格納する。その他に、評価デバイスおよびノイズ源の設定、電源ラインと信号ラインとの間の近接部分での相対位置情報(例えば、近接間隔、並行距離等)、ノイズ源が発生する信号レベルや信号スペクトルなど、ノイズ解析条件を格納するための解析条件データベースなどが設けられる。なお、「相対位置情報」は、図1のZ2b,Z1bを電磁界的な結合が生じる線路(他の線路は電磁界結合の無い単独線路)と扱うように、電磁界結合の有無を判断するために用いる情報である。
解析エンジンENGは、回路基板データベースDB2および部品データベースDB1を参照して、解析対象となる配線、受動部品および能動デバイスを特定するための解析対象プログラムと、解析対象プログラムによって特定した、配線の配線情報および受動部品および能動デバイスのインピーダンスをそれぞれ取得するためのインピーダンス取得プログラムと、取得した配線情報および各インピーダンスを用いて、デバイス端子間の結合量を計算するための結合量計算プログラムと、計算した結合量を用いて、任意のノイズ源から特定の能動デバイスへの干渉信号量を計算する干渉信号量計算プログラムと、計算した干渉信号量に基づいて、電源ラインとグランドラインの間に接続されるバイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定する容量値および実装位置決定プログラムなどを含む。
特に、干渉信号量計算プログラムは、好ましくは、図3に示すように、ノイズ源として設定されたデバイスQ2が発生する信号の周波数スペクトルと、結合量計算プログラムが計算した配線間の結合量の周波数依存性とを用いて、評価デバイスとして設定されたデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。
容量値および実装位置決定プログラムは、バイパスコンデンサの複数の候補位置および複数の候補容量値の中から一部または全ての組合せについて計算した各干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とを比較して、該閾値以下の干渉信号量となる候補位置および候補容量値の組合せを決定する。その際、図3に示すように、周波数に依存する閾値を用いて、最適な実装位置および容量値を選定するのが好ましい。
例えば、周波数1GHz,2GHz,3GHz,4GHzにおけるノイズ源の信号レベルをそれぞれ−20dBm,0dBm,0dBm,−30dBmに設定して、ある回路基板の配線間結合量が各周波数ポイントに対応して−50dB,−30dB,−20dB,−10dBと計算された場合、評価デバイスが受ける干渉信号量は、各周波数ポイントに対応して−70dBm(=−20−50),−30dBm(=0−30),−20dBm(=0−20),−40dBm(=−30−10)のように計算できる。周波数依存の閾値を用いた場合、各周波数ポイントごとに干渉信号量と閾値とを比較することによって、干渉信号量に使用したバイパスコンデンサの実装位置および容量値をより綿密に評価することができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明に係る回路基板の設計方法の一例を示すフローチャートである。まずステップa1において、部品データベースDB1および回路基板データベースDB2を参照して、回路基板に存在する多数の配線情報の中から解析対象となる配線情報を抽出し、例えば、図1に示すように、パスコンCpが接続される電源ラインと、ノイズ源となるデバイスQ2が接続される信号ラインとを特定する。
次にステップa2において、各種データベースを参照して、解析対象内にある各種インピーダンスを抽出する。例えば、図2に示すように、電源ラインに含まれる7個の線路Z1a〜Z1gの線路インピーダンスと、電源ラインの両端にあるインピーダンスZQ1,ZQ3とを取得し、さらに信号ラインに含まれる3個の線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスと、信号ラインの両端にあるインピーダンスZQ2,ZQ4とを取得する。
次にステップa3において、電源ラインに沿ってパスコンCpが接続可能なM個(Mは1以上の整数)の候補位置を設定した後、初期値として1つの候補位置を指定する。例えば、図2に示すように、各線路Z1a〜Z1gの8個の接続点の中から全てまたは一部を候補位置として設定した場合、初期値として、例えば、デバイスQ1と線路Z1aの接続点を指定する。
次にステップa4において、パスコンCpについてN個(Nは1以上の整数)の候補容量値を設定した後、初期値として1つの候補容量値を指定する。例えば、10pF〜100pFの範囲内で10pF間隔の候補容量値を設定した場合、初期値として、例えば、10pFを指定する。候補容量値は、一般に、等差数列や等比数列の関係で指定してもよく、あるいはランダムな関係でも構わない。また、候補容量値として、ゼロを含むことによってパスコン無し状態での干渉信号量を計算できる。
次にステップa5において、ステップa3で指定した1つの候補位置およびステップa4で指定した1つの候補容量値の組合せについて、線路Z1a〜Z1gおよび線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスとデバイスインピーダンスZQ1〜ZQ4を用いて、ノイズ源として設定されたデバイスQ2から評価デバイスとして設定されたデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。
このとき、容量値CpをインピーダンスZCpに換算する場合、理想式ZCp=1/(2πf×Cp)を用いてもよく、あるいは現実に使用するパスコンの等価回路、例えばRLC直列回路のインピーダンスを用いてもよい。
次にステップa6において、パスコンCpの候補容量値について未計算のものが存在していれば、ステップa4に戻って、未計算の候補容量値の中から1つの候補容量値を指定する。そして、ステップa5において、候補位置および候補容量値の他の組合せについてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。こうして1つの候補位置とN個の候補容量値の組合せに関する干渉信号量を計算して記憶する。
次にステップa7において、パスコンCpの候補位置について未計算のものが存在していれば、ステップa3に戻って、未計算の候補位置の中から1つの候補位置を指定する。そして、ステップa4〜a6を繰り返して、別の候補位置とN個の候補容量値の組合せに関する干渉信号量を計算して記憶する。
以下同様に、ステップa3〜a7を繰り返すことによって、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについて、M×N個の干渉信号量を計算して記憶する。
次にステップa8において、M×N個の干渉信号量を記憶した干渉信号量データベースを参照して、最小の干渉信号量となる組合せおよび条件を抽出する。
次にステップa9おいて、抽出した最小干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とを比較する。最小干渉信号量が閾値以下であれば、ステップa10へ移行して、最小干渉信号量が得られた候補位置および候補容量値をパスコンCpの最適位置および最適容量値として決定する。最小干渉信号量が閾値を上回る場合は、ステップa11へ移行して、パスコンCpの最適位置および最適容量値が得られない旨の警告を表示する。
図5は、干渉信号量の計算例を示す説明図である。図5(a)に示すように、ここでは図2の等価回路図においてパスコンCpの候補位置として4個の候補位置、即ち、デバイスQ1と線路Z1aの接続点A、線路Z1cと線路Z1dの接続点B、線路Z1dと線路Z1eの接続点C、線路Z1gとデバイスQ3の接続点Dを設定している。
また、パスコンCpの候補容量値として10個の候補容量値、即ち、10pF,20pF,30pF,40pF,50pF,60pF,70pF,80pF,90pF,100pFを設定している。
図5(b)から(e)は、ノイズ源として設定したデバイスQ2の周波数スペクトルを、すべての周波数において0dBmと設定し、図5(b)は、候補位置として接続点Aを選択し、10個の候補容量値についてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算した結果を示す。図5(c)は、候補位置として接続点Bを選択し、10個の候補容量値についてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算した結果を示す。図5(d)は、候補位置として接続点Cを選択し、10個の候補容量値についてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算した結果を示す。図5(e)は、候補位置として接続点Dを選択し、10個の候補容量値についてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算した結果を示す。従って、4個の候補位置および10個の候補容量値についての40個の組合せに対応した干渉信号量の周波数スペクトルが得られている。
図5(f)は、周波数1GHzでの干渉信号量を40個の組合せについて整理した結果を示すテーブルである。図4のステップa9における判定閾値を、例えば、−30dBmに設定した場合、候補位置と候補容量値の組合せ(点A,50pF)(点B,30pF)(点B,40pF)(点B,50pF)(点B,60pF)(点B,70pF)(点B,80pF)(点B,90pF)(点B,100pF)の1GHzにおける干渉信号量が閾値以下になり、そのうち(点B,50pF)の組合せが最小干渉信号量を示すことが判る。従って、図2の等価回路図において、容量値50pFのパスコンCpを、線路Z1cと線路Z1dの接続点Bに接続すれば、最良な結果が得られると判断できる。
このように本実施形態では、M×N個の全ての組合せについて干渉信号量を計算しているため、パスコンCpの最適位置および最適容量値についての傾向や特性を把握することができる。
(第3実施形態)
図6は、本発明に係る回路基板の設計方法の他の例を示すフローチャートである。ここでは、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについてM×N個の干渉信号量を計算する際、パスコンCpの候補容量値を外側ループで計算し、パスコンCpの候補位置を内側ループで計算している。
まずステップb1において、部品データベースDB1および回路基板データベースDB2を参照して、回路基板に存在する多数の配線情報の中から解析対象となる配線情報を抽出し、例えば、図1に示すように、パスコンCpが接続される電源ラインと、ノイズ源となるデバイスQ2が接続される信号ラインとを特定する。
次にステップb2において、各種データベースを参照して、解析対象内にある各種インピーダンスを抽出する。例えば、図2に示すように、電源ラインに含まれる7個の線路Z1a〜Z1gの線路インピーダンスと、電源ラインの両端にあるインピーダンスZQ1,ZQ3とを取得し、さらに信号ラインに含まれる3個の線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスと、信号ラインの両端にあるインピーダンスZQ2,ZQ4とを取得する。
さらにステップb2では、解析条件データベースを参照して、電源ラインと信号ラインとの間の近接部分での相対位置情報を取得する。
次にステップb3において、パスコンCpについてN個(Nは1以上の整数)の候補容量値を設定した後、初期値として1つの候補容量値を指定する。例えば、10pF〜100pFの範囲内で10pF間隔の候補容量値を設定した場合、初期値として、例えば、10pFを指定する。候補容量値は、一般に、等差数列や等比数列の関係で指定してもよく、あるいはランダムな関係でも構わない。また、候補容量値として、ゼロを含むことによってパスコン無し状態での干渉信号量を計算できる。
次にステップb4において、電源ラインに沿ってパスコンCpが接続可能なM個(Mは1以上の整数)の候補位置を設定した後、初期値として1つの候補位置を指定する。例えば、図2に示すように、各線路Z1a〜Z1gの8個の接続点の中から全てまたは一部を候補位置として設定した場合、初期値として、例えば、デバイスQ1と線路Z1aの接続点を指定する。
次にステップb5において、ステップb3で指定した1つの候補容量値およびステップb4で指定した1つの候補位置の組合せについて、線路Z1a〜Z1gおよび線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスとデバイスインピーダンスZQ1〜ZQ4を用いて、ノイズ源として設定されたデバイスQ2から評価デバイスとして設定されたデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。
このとき、容量値CpをインピーダンスZCpに換算する場合、理想式ZCp=1/(2πf×Cp)を用いてもよく、あるいは現実に使用するパスコンの等価回路、例えばRLC直列回路のインピーダンスを用いてもよい。
次にステップb6において、パスコンCpの候補位置について未計算のものが存在していれば、ステップb4に戻って、未計算の候補位置の中から1つの候補位置を指定する。そして、ステップb5において、候補容量値および候補位置の他の組合せについてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。こうして1つの候補容量値とM個の候補位置の組合せに関する干渉信号量を計算して記憶する。
次にステップb7において、パスコンCpの候補容量値について未計算のものが存在していれば、ステップb3に戻って、未計算の候補容量値の中から1つの候補容量値を指定する。そして、ステップb4〜b6を繰り返して、別の候補容量値とM個の候補位置の組合せに関する干渉信号量を計算して記憶する。
以下同様に、ステップb3〜b7を繰り返すことによって、N個の候補容量値とM個の候補位置の組合せについて、N×M個の干渉信号量を計算して記憶する。
次にステップb8において、N×M個の干渉信号量を記憶した干渉信号量データベースを参照して、最小の干渉信号量となる組合せおよび条件を抽出する。
次にステップb9おいて、抽出した最小干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とを比較する。最小干渉信号量が閾値以下であれば、ステップb10へ移行して、最小干渉信号量が得られた候補位置および候補容量値をパスコンCpの最適位置および最適容量値として決定する。最小干渉信号量が閾値を上回る場合は、ステップb11へ移行して、パスコンCpの最適位置および最適容量値が得られない旨の警告を表示する。
本実施形態では、M×N個の全ての組合せについて干渉信号量を計算しているため、パスコンCpの最適位置および最適容量値についての傾向や特性を把握できる。
(第4実施形態)
図7は、本発明に係る回路基板の設計方法のさらに他の例を示すフローチャートである。ここでは、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについてM×N個の干渉信号量を計算せずに、予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値以下となる干渉信号量が見つかった時点で計算を終了して、全体の計算時間を短縮させている。
まずステップc1において、部品データベースDB1および回路基板データベースDB2を参照して、回路基板に存在する多数の配線情報の中から解析対象となる配線情報を抽出し、例えば、図1に示すように、パスコンCpが接続される電源ラインと、ノイズ源となるデバイスQ2が接続される信号ラインとを特定する。
次にステップc2において、各種データベースを参照して、解析対象内にある各種インピーダンスを抽出する。例えば、図2に示すように、電源ラインに含まれる7個の線路Z1a〜Z1gの線路インピーダンスと、電源ラインの両端にあるインピーダンスZQ1,ZQ3とを取得し、さらに信号ラインに含まれる3個の線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスと、信号ラインの両端にあるインピーダンスZQ2,ZQ4とを取得する。
さらにステップc2では、解析条件データベースを参照して、電源ラインと信号ラインとの間の近接部分での相対位置情報を取得し、各種インピーダンスを用いて電磁界解析ソフトウエアを実行して、電源ラインと信号ラインの間の結合量を計算する。
次にステップc3において、電源ラインに沿ってパスコンCpが接続可能なM個(Mは1以上の整数)の候補位置を設定した後、初期値として1つの候補位置を指定する。例えば、図2に示すように、各線路Z1a〜Z1gの8個の接続点の中から全てまたは一部を候補位置として設定した場合、初期値として、例えば、デバイスQ1と線路Z1aの接続点を指定する。
次にステップc4において、パスコンCpについてN個(Nは1以上の整数)の候補容量値を設定した後、初期値として1つの候補容量値を指定する。例えば、10pF〜100pFの範囲内で10pF間隔の候補容量値を設定した場合、初期値として、例えば、10pFを指定する。候補容量値は、一般に、等差数列や等比数列の関係で指定してもよく、あるいはランダムな関係でも構わない。また、候補容量値として、ゼロを含むことによってパスコン無し状態での干渉信号量を計算できる。
次にステップc5において、ステップc3で指定した1つの候補位置およびステップc4で指定した1つの候補容量値の組合せについて、線路Z1a〜Z1gおよび線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスとデバイスインピーダンスZQ1〜ZQ4を用いて、ノイズ源として設定されたデバイスQ2から評価デバイスとして設定されたデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。
このとき、容量値CpをインピーダンスZCpに換算する場合、理想式ZCp=1/(2πf×Cp)を用いてもよく、あるいは現実に使用するパスコンの等価回路、例えばRLC直列回路のインピーダンスを用いてもよい。
次にステップc6において、ステップc5で計算した干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とを比較する。この干渉信号量が閾値以下であれば、ステップc7へ移行して、計算に用いた候補位置および候補容量値をパスコンCpの最適位置および最適容量値として決定する。
一方、ステップc6において、計算した干渉信号量が閾値を上回る場合、ステップc8へ移行して、パスコンCpの候補容量値について未計算のものが存在していれば、ステップc4に戻って、未計算の候補容量値の中から1つの候補容量値を指定する。そして、ステップc5において、候補位置および候補容量値の他の組合せについてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。
次にステップc6において、別の組合せについて計算した干渉信号量と閾値とを比較する。この干渉信号量が閾値以下であれば、ステップc7へ移行して、パスコンCpの最適位置および最適容量値として採用する。計算した干渉信号量が閾値を上回る場合、ステップc8へ移行して、別の候補容量値について同様に計算する。ステップc8において、未計算の候補容量値が無くなれば、次にステップc9へ移行して、別の候補位置についても同様に計算する。
ステップc8,c9において未計算の組合せが無くなれば、ステップc10へ移行して、パスコンCpの最適位置および最適容量値が得られない旨の警告を表示する。
このように本実施形態では、M×N個の組合せについて網羅的に計算せずに、干渉信号量が閾値以下となる組合せが見つかった時点でパスコンCpの最適位置および最適容量値を決定しているため、回路基板設計を短時間で実行できる。
(第5実施形態)
図8は、本発明に係る回路基板の設計方法のさらに他の例を示すフローチャートである。ここでは、パスコンCpの容量値および実装位置が予め設計されている回路基板について、パスコンCpの必要性を判断するステップを追加している。
まずステップd1において、部品データベースDB1および回路基板データベースDB2を参照して、回路基板に存在する多数の配線情報の中から解析対象となる配線情報を抽出し、例えば、図1に示すように、パスコンCpが接続された電源ラインと、ノイズ源となるデバイスQ2が接続された信号ラインとを特定する。
次にステップd2において、各種データベースを参照して、解析対象内にある各種インピーダンスを抽出する。例えば、図2に示すように、電源ラインに含まれる7個の線路Z1a〜Z1gの線路インピーダンスと、電源ラインの両端にあるインピーダンスZQ1,ZQ3とを取得し、さらに信号ラインに含まれる3個の線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスと、信号ラインの両端にあるインピーダンスZQ2,ZQ4とを取得する。
次にステップd3において、解析条件データベースを参照して、電源ラインと信号ラインとの間の近接部分での相対位置情報を取得し、各種インピーダンスを用いて電磁界解析ソフトウエアを実行して、電源ラインと信号ラインの間の結合量を計算する。
次にステップd4において、予め設計されていたパスコンCpの容量値をゼロに設定した状態で、線路Z1a〜Z1gおよび線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスとデバイスインピーダンスZQ1〜ZQ4を用いて、ノイズ源として設定されたデバイスQ2から評価デバイスとして設定されたデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。容量値ゼロに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。
次にステップd5において、容量値ゼロの干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とを比較する。この干渉信号量が閾値以下であれば、ステップc7へ移行して、パスコンCpの容量値はゼロ、即ち、パスコンCpは省略可能であると判断できる。
容量値ゼロの干渉信号量が閾値を上回る場合は、ステップd7へ移行して、電源ラインに沿ってパスコンCpが接続可能なM個(Mは1以上の整数)の候補位置を設定した後、初期値として1つの候補位置を指定する。例えば、図2に示すように、各線路Z1a〜Z1gの8個の接続点の中から全てまたは一部を候補位置として設定した場合、初期値として、例えば、デバイスQ1と線路Z1aの接続点を指定する。
次にステップd8において、パスコンCpについてN個(Nは1以上の整数)の候補容量値を設定した後、初期値として1つの候補容量値を指定する。例えば、10pF〜100pFの範囲内で10pF間隔の候補容量値を設定した場合、初期値として、例えば、10pFを指定する。候補容量値は、一般に、等差数列や等比数列の関係で指定してもよく、あるいはランダムな関係でも構わない。
次にステップd9において、ステップd7で指定した1つの候補位置およびステップd8で指定した1つの候補容量値の組合せについて、線路Z1a〜Z1gおよび線路Z2a〜Z2cの線路インピーダンスとデバイスインピーダンスZQ1〜ZQ4を用いて、ノイズ源として設定されたデバイスQ2から評価デバイスとして設定されたデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。
このとき、容量値CpをインピーダンスZCpに換算する場合、理想式ZCp=1/(2πf×Cp)を用いてもよく、あるいは現実に使用するパスコンの等価回路、例えばRLC直列回路のインピーダンスを用いてもよい。
次にステップd10において、パスコンCpの候補容量値について未計算のものが存在していれば、ステップd8に戻って、未計算の候補容量値の中から1つの候補容量値を指定する。そして、ステップd9において、候補位置および候補容量値の他の組合せについてデバイスQ1が受ける干渉信号量の周波数スペクトルを計算する。この組合せに関する計算結果は、干渉信号量データベースとしてメモリ等に記憶する。こうして1つの候補位置とN個の候補容量値の組合せに関する干渉信号量を計算して記憶する。
次にステップd11において、パスコンCpの候補位置について未計算のものが存在していれば、ステップd7に戻って、未計算の候補位置の中から1つの候補位置を指定する。そして、ステップd8〜d10を繰り返して、別の候補位置とN個の候補容量値の組合せに関する干渉信号量を計算して記憶する。
以下同様に、ステップd7〜d11を繰り返すことによって、M個の候補位置とN個の候補容量値の組合せについて、M×N個の干渉信号量を計算して記憶する。
次にステップd12において、M×N個の干渉信号量を記憶した干渉信号量データベースを参照して、最小の干渉信号量となる組合せおよび条件を抽出する。
次にステップd13において、抽出した最小干渉信号量と、ステップd4において計算した容量値ゼロの干渉信号量とを比較する。もし最小干渉信号量が容量値ゼロの干渉信号量と等しいか、これを上回る場合は、ステップd16へ移行して、ステップd7〜d12で最適化したパスコンCpの実装位置および容量値の組合せよりも、パスコン無し状態が干渉信号量の点で優れている旨の警告を表示する。
ステップd13において最小干渉信号量が容量値ゼロの干渉信号量を下回る場合、ステップd14へ移行して、最小干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とを比較する。最小干渉信号量が閾値以下であれば、ステップd15へ移行して、最小干渉信号量が得られた候補位置および候補容量値をパスコンCpの最適位置および最適容量値として決定する。もし最小干渉信号量が閾値を上回る場合は、ステップd16へ移行して、パスコンCpの最適位置および最適容量値が得られない旨の警告を表示する。
このように本実施形態では、パスコンCpの容量値および実装位置が予め設計されている回路基板について、パスコンの最適化計算に先立ってパスコン無し状態の干渉信号量を計算することによって、パスコンCpの必要性を判断している。もしパスコンCpを省略できれば、設計対象である回路基板の省スペース化や部品削減が図られる。
なお、上述した各実施形態では、1つのパスコンに対する容量値、実装位置を最適化する方法について示したが、この限りではなく、2つ以上のパスコンを最適設計することも可能である。
また本発明は、ノイズ源デバイスが1つの場合のみでなく、複数のノイズ源デバイスが存在する場合においても、それらが接続される第3、第4の配線を新たに考慮し、全ての回路構成要素を含んだ各端子間の干渉信号量を計算し、それらを加算することで、複数のノイズ源デバイスからの影響を考慮した、パスコンの最適設計も可能である。
なお、本発明に係る回路基板の設計方法は、例えば、C、Perl等のプログラム言語を用いてコンピュータ上で実行可能なプログラムとして実現でき、さらに磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体に格納したり、インターネット等のネットワークを経由して転送できる。
本発明によれば、GHzオーダーまたはそれ以上の高い周波領域においても、バイパスコンデンサの容量値および実装位置を最適化できる点で、産業上極めて有用である。
設計対象となる回路基板の一例を示す等価回路図である。 デバイスおよび線路をインピーダンス換算した等価回路図である。 本発明に係る回路基板の設計支援装置の一例を示す説明図である。 本発明に係る回路基板の設計方法の一例を示すフローチャートである。 干渉信号量の計算例を示す説明図である。 本発明に係る回路基板の設計方法の他の例を示すフローチャートである。 本発明に係る回路基板の設計方法のさらに他の例を示すフローチャートである。 本発明に係る回路基板の設計方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
符号の説明
Cp バイパスコンデンサ
Q1〜Q4 デバイス
Z1a〜Z1g,Z2a〜Z2c 線路
DB1 部品データベース
DB2 回路基板データベース
ENG 解析エンジン


Claims (9)

  1. 電源ライン、グランドライン、信号ライン、デバイスが配置される回路基板において、電源ラインとグランドラインの間に接続されるバイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定するための回路基板の設計方法であって、
    予め指定されたバイパスコンデンサが接続される第1配線をコンピュータにより特定するステップと、
    ノイズ源となるデバイスの端子が接続される第2配線をコンピュータにより特定するステップと、
    第1配線の配線形状、配線位置、基板の層数、厚み、配線を形成する導体の物性値、基板の絶縁体を形成する絶縁体の物性値に関する情報および第1配線に接続されるデバイスのインピーダンスをそれぞれコンピュータにより取得するステップと、
    第2配線の配線形状、配線位置、基板の層数、厚み、配線を形成する導体の物性値、基板の絶縁体を形成する絶縁体の物性値に関する情報および第2配線に接続されるデバイスのインピーダンスをそれぞれコンピュータにより取得するステップと、
    取得した情報および各インピーダンスを用いて、第1配線と第2の配線の結合を介した、ノイズ源デバイスの端子と第1配線に接続されるデバイスの端子との間の結合量をコンピュータにより計算するステップと、
    予め指定された前記バイパスコンデンサの候補容量値および候補位置を選択し、前記結合量を用いてノイズ源から第1配線に接続されるデバイスへの干渉信号量をコンピュータにより計算することによって、前記バイパスコンデンサの容量値および実装位置をコンピュータにより決定するステップとを含むことを特徴とする回路基板の設計方法。
  2. 前記干渉信号量計算ステップは、ノイズ源が発生する信号の周波数スペクトルと、第1および第2配線に接続されるデバイス端子間の結合量の周波数依存性とを用いて、干渉信号量の周波数スペクトルを計算することを特徴とする請求項1記載の回路基板の設計方法。
  3. 前記容量値および実装位置決定ステップは、第1配線について予め指定されたM個(Mは1以上の整数)の候補位置をコンピュータにより設定するステップと、
    バイパスコンデンサについて予め指定されたN個(Nは1以上の整数)の候補容量値をコンピュータにより設定するステップと、
    M個の候補位置およびN個の候補容量値の複数の組合せ(M,Nの少なくとも一方は2以上の整数)について、M×N個の干渉信号量をコンピュータにより計算するステップと、
    M×N個の干渉信号量の中から、予め第1配線に接続されるデバイスの端子に設定した閾値以下の干渉信号量となる候補位置および候補容量値の組合せをコンピュータにより取得するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載の回路基板の設計方法。
  4. 前記容量値および実装位置決定ステップは、第1配線について予め指定されたM個(Mは1以上の整数)の候補位置を設定するステップと、
    バイパスコンデンサについて予め指定されたN個(Nは1以上の整数)の候補容量値をコンピュータにより設定するステップと、
    各候補位置および各候補容量値の複数の組合せ(M,Nの少なくとも一方は2以上の整数)の中から1つの組合せについて干渉信号量をコンピュータにより計算するステップと、
    計算した干渉信号量と予め第1配線に接続されるデバイス端子に設定した閾値とをコンピュータにより比較するステップと、
    計算した干渉信号量が閾値以下になるまで、候補位置および候補容量値の組合せを変化させて前記計算ステップおよび前記比較ステップを繰り返すステップとを含むことを特徴とする請求項1記載の回路基板の設計方法。
  5. バイパスコンデンサの候補容量値には、ゼロを含むことを特徴とする請求項3または4記載の回路基板の設計方法。
  6. 前記容量値および実装位置決定ステップによって決定されたバイパスコンデンサの容量値および実装位置に関する干渉信号量と、容量値がゼロであるときの干渉信号量とをコンピュータにより比較するステップと含むことを特徴とする請求項5記載の回路基板の設計方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された回路基板の設計方法をコンピュータで実行するためのプログラム。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載された回路基板の設計方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した記録媒体。
  9. 電源ライン、グランドラインおよび信号ラインの配線形状、配線位置、基板の層数、厚み、配線を形成する導体の物性値、基板の絶縁体を形成する絶縁体の物性値に関する配線情報、搭載部品の実装位置を格納した回路基板データベースと、
    回路基板に搭載される受動部品および能動デバイスの特性情報および実装位置を格納した部品データベースと、
    回路基板データベースおよび部品データベースを参照して、解析対象となる配線、受動部品および能動デバイスを特定するための解析対象特定手段と、
    解析対象特定手段によって特定した、前記配線情報および受動部品および能動デバイスのインピーダンスをそれぞれ取得するためのインピーダンス取得手段と、
    取得した各インピーダンスを用いて、端子間の結合量を計算するための結合量計算手段と、
    計算した結合量を用いて、任意のノイズ源から特定の能動デバイスへの干渉信号量を計算する干渉信号量計算手段と、
    計算した干渉信号量に基づいて、電源ラインとグランドラインの間に接続されるバイパスコンデンサの容量値および実装位置を決定する容量値および実装位置決定手段とを備えることを特徴とする回路基板の設計支援装置。
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