JP4588325B2 - イレウスの治療方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2002年4月15日出願の米国仮特許出願第60/372,652号(その全体が参照として本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明を、国立衛生研究所の助成金番号HL55330、HL60234、GM58241およびGM53789ならびにAI42365の政府支援を使用して行った。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本発明は、胃腸障害の治療に関する。
【背景技術】
【0004】
背景技術
一酸化炭素(CO)ガスは、高濃度で有毒である。しかし、現在、重要なシグナル伝達分子として認識されている(Vermaら、Science 259:381-384, 1993)。一酸化炭素が脳内(Id.)でのニューロンメッセンジャー分子および視床下部での神経内分泌モジュレーターとして作用することも示唆されている(Pozzoliら、Endocrinology 735:2314-2317, 1994)。一酸化窒素(NO)と同様に、一酸化炭素は、平滑筋弛緩性を示し(Utzら、Biochem Pharmacol.47:195-201, 1991;Christodoulidesら、Circulation 97:2306-9, 1995)、血小板凝集を阻害する(Mansouriら、Thromb Haemost.48:286-8, 1982)。いくつかのモデルでは、低レベルの一酸化炭素の吸入は、抗炎症効果を有することが示されている。
【0005】
イレウス(ileus)は、腸運動性の欠如によって特徴付けられる状態であり、腸閉塞(intestinal obstruction)のより一般的な形態の1つである(例えば、Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。しばしば、イレウスは腸管全体(例えば、大腸および小腸の両方)で起こるが、その1つまたは数個のセグメントのみが関与し得る。開腹手術時の腸の操作によりしばしばイレウスを発症する。
【0006】
イレウスを治療するための種々の薬学的アプローチが提案されている(例えば、米国特許第5,362,756号(フェドトジン);同第5,929,035号(神経ペプチド);同第6,214,843号(ピラゾロピラジン);および同第5,958,407号(例えば、拮抗プロテイナーゼ活性化受容体-2)を参照のこと)。
【発明の開示】
【0007】
概要
本発明は、CO投与によりイレウスを軽減することができるという発見に一部基づく。
【0008】
したがって、1つの局面では、本発明は、イレウスに罹患しているかまたはそのリスクのある患者を同定する工程と、有効量または有効濃度の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する工程とを含む、イレウス患者の治療方法を特徴とする。
【0009】
イレウスは、胃腸管の任意の部分(例えば、胃、小腸、および/または結腸)のイレウスであり得る。イレウスは、イレウスを発症する任意の因子(例えば、手術(例えば、移植手術(例えば、小腸移植(SITx))などの開腹手術または移植手術以外の開腹手術(例えば、側腹切開に関与するかまたは側腹切開に関与しない(例えば、腹腔鏡手順)開腹手術));整形外科手術(例えば、股関節部手術);分娩;腸虚血;後腹膜血腫;腹腔内敗血症;腹膜炎(例えば、急性虫垂炎、胆嚢炎、膵炎);脊椎骨折;尿管疝痛;胸郭病変;基底肺炎(basal pneumonia);肋骨骨折;心筋梗塞;代謝障害;または任意の組み合わせ)に起因し得る。
【0010】
ガス、液体、および/または固体の患者への当技術分野において公知の任意の投与方法(例えば、吸入、通気、注入、注射、および/または摂取)によって薬学的組成物を患者に投与することができる。例えば、本発明の1つの態様では、薬学的組成物を吸入によって患者に投与する。別の態様では、薬学的組成物を、経口で患者に投与する。さらに別の態様では、薬学的組成物を患者の腹腔に直接投与する。
【0011】
本方法は、COに加えて、少なくとも1つの以下の治療薬を患者に投与する工程をさらに含み得る。HO-1またはフェリチンの患者への投与;発現組換えHO-1またはフェリチンの患者への投与;およびHO-1、ビリルビン、ビリベルジン、フェリチン、デスフェロキサミン、デキストラン鉄、またはアポフェリチンを含む薬学的組成物の患者への投与。
【0012】
別の局面では、本発明は、患者の術後イレウスの治療方法を特徴とする。本方法は、術後イレウスに罹患している患者を同定する工程と、イレウス患者の治療に有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を患者に投与する工程とを含む。イレウスは、胃腸管の任意の部分(例えば、胃、小腸、および/または大腸(結腸))のイレウスであり得る。薬学的組成物を、本明細書に記載の任意の経路(例えば、(気体組成物の)吸入;経口;および/または患者の腹腔への直接投与)を介して患者に投与することができる。
【0013】
本発明はまた、開腹手術に起因しないイレウスに罹患しているかまたはそのリスクのある患者のイレウス(例えば、開腹手術以外の本明細書に記載の任意の因子に起因するイレウス)の治療方法を特徴とする。本方法は、開腹手術に起因しないイレウスに罹患しているかまたはそのリスクのある患者を同定する工程と、前記患者のイレウスの治療に有効な量の一酸化炭素を含む薬学的組成物を前記患者に投与する工程とを含む。
【0014】
別の局面では、本発明は、一酸化炭素ガスを含む加圧ガスを含む容器を準備する工程と、イレウスに罹患しているかまたはそのリスクのある患者を同定する工程と、前記加圧ガスを前記容器から放出させて、一酸化窒素ガスを含むガス体(atmosphere)を形成する工程と、前記ガス体に前記患者を曝露する工程とを含み、前記ガス体中の一酸化炭素の量が前記患者のイレウス治療に十分である、イレウス患者の治療方法を特徴とする。
【0015】
さらに別の局面では、本発明は、患者に手術を行う方法を提供する。本方法は、手術が必要な患者を同定する工程と、手術前、手術中、および/または手術後にイレウス患者の治療に十分な量の一酸化炭素を患者に吸入させる工程とを含む。
【0016】
手術は、イレウスを発症し、そして/または患者にイレウスのリスクを与える任意の手術であり得る。例えば、手術は、胃腸管(例えば、胃および/または腸(例えば、小腸または大腸(例えば、結腸)))の操作(例えば、接触(直接または間接的))を含むことができ、腹腔切除を含むか腹腔切除を含まない手術であり得る(例えば、腹腔鏡を含む手術)。一定の態様では、手術は、移植手術または非移植手術(例えば、腹部の任意の器官または組織を含む手術(例えば、泌尿生殖器系(例えば、腎臓、尿管、および/または膀胱);生殖器官(例えば、子宮、卵巣、および/または卵管);消化器系(例えば、胃、小腸、大腸(例えば、結腸)、盲腸、胆嚢、肝臓、脾臓、および/または膵臓);リンパ系;呼吸器系(例えば、肺);横隔膜の手術);腹部内の任意の器官または組織の癌を治療するための手術;子宮内膜手術;および整形外科手術(例えば、股関節部手術))であり得る。
【0017】
別の局面では、本発明は、医薬品グレードの圧縮COガスを含む容器を提供する。容器は、ガスを使用して患者(例えば、ヒト患者)のイレウス(例えば、手術(例えば、腸の操作を含む手術)に起因するイレウス)を治療することができることを示すラベルを有し得る。COガスは、窒素ガス、一酸化窒素および窒素ガス、または酸素含有ガスとの混合物であり得る。COガスは、少なくとも約0.025%(例えば、少なくとも0.05%、0.10%、0.50%、1.0%、2.0%、10%、50%、または90%)の濃度で混合物中に存在し得る。
【0018】
さらに別の局面では、本発明は、イレウスに罹患しているかまたはリスクのある患者を同定する工程と、患者中でHO-1またはフェリチンを誘導するCO治療と組み合わせた少なくとも1つの以下の治療薬を患者に投与する工程と、患者中で組換えHO-1またはフェリチンを発現させる工程と、HO-1、ビリルビン、ビリベルジン、フェリチン、またはアポフェリチンを含む薬学的組成物を患者に投与する工程とを含む、イレウス患者の治療方法を提供する。イレウスの治療または予防のための薬物の調製におけるCOおよび任意の上記薬剤の使用もまた意図される。
【0019】
本明細書に記載の状態(例えば、イレウス)の治療または予防のための薬物の製造におけるCOの使用も本発明の範囲内である。イレウス患者の治療方法および/または移植手順におけるドナー、器官、および/またはレシピエントの治療方法で薬物を使用することもできる。薬物は、本明細書に記載の任意の形態(例えば、液体または気体CO組成物)であり得る。
【0020】
他で定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般に理解される意味を有する。適切な方法および材料を以下に記載するが、本明細書に記載のものに類似するか等価な方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することができる。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引例は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。一致しない場合、定義を含む本明細書を調整する。材料、方法、および実施例は、例示でしかなく、制限を意図しない。
【0021】
本発明の1つまたは複数の態様の詳細を、添付の図面および以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から自明である。
【0022】
詳細な説明
本明細書で使用される、用語「一酸化炭素」(または「CO」)は、液体形態に圧縮されているか水溶液に溶解された気態の分子一酸化炭素を説明する。用語「一酸化炭素組成物」または「一酸化炭素を含む薬学的組成物」を、本明細書を通して、患者および/または器官(例えば、小腸)に投与することができる一酸化炭素を含む気体または液体組成物を説明するために使用する。当業者は、所与の適用のために薬学的組成物の形態(例えば、気体、液体、または気体および液体の両方)が好ましいことを認識する。
【0023】
本明細書で使用される、用語「有効量」および「治療に有効」は、意図する効果または生理学的結果を得るためのその投与の文脈内で有効な急性または慢性投与および定期的または連続的投与を含む量または濃度および期間での一酸化炭素の投与をいう。本発明で使用するためのCOの有効量には、例えば、手順(例えば、小腸移植)後にイレウスを予防または軽減させる量が含まれる。
【0024】
気体について、有効量のCOは、一般に、約0.0000001重量%〜約0.3重量%、例えば、0.0001重量%〜約0.25重量%、好ましくは少なくとも約0.001重量%、例えば、少なくとも約0.005重量%、約0.010重量%、約0.02重量%、約0.025重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.08重量%、約0.10重量%、約0.15重量%、約0.20重量%、約0.22重量%、または約0.24重量%のCOの範囲内である。CO溶液について、有効量は、一般に、約0.0001〜約0.0044g CO/100g液体、例えば、少なくとも約0.0001、約0.0002、約0.0004、約0.0006、約0.0008、約0.0010、約0.0013、約0.0014、約0.0015、約0.0016、約0.0018、約0.0020、約0.0021、約0.0022、約0.0024、約0.0026、約0.0028、約0.0030、約0.0032、約0.0035、約0.0037、約0.0040、または約0.0042g CO/100g水溶液の範囲内である。好ましい範囲には、例えば、約0.0010〜約0.0030gCO/100g液体、約0.0015〜約0.0026gCO/100g液体、または約0.0018〜約0.0024gCO/100g液体が含まれる。当業者は、適用に応じてこれらの範囲外の量を使用することができると認識する。
【0025】
用語「患者」を、本明細書を通して、本発明の方法にしたがって処置される動物、ヒト、または非ヒトを説明するために使用する。獣医学的適用が、本発明で明確に意図される。この用語には、哺乳動物、例えば、ヒト、他の霊長類、ブタ、げっ歯類(マウスおよびラット、ウサギ、モルモット、ハムスター)、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジ、およびヤギが含まれるが、これらに限定されない。用語「治療」は、本明細書で、状態(例えば、イレウス)の発症の遅延、その影響の阻害、予防、または緩和を説明するために使用される。本明細書中で使用される、用語「ドナー」または「ドナー患者」は、レシピエント患者への移植のために器官または組織を得ることができる患者(ヒトまたは非ヒト)をいう。用語「レシピエント」または「レシピエント患者」は、器官または組織を導入することができる患者(ヒトまたは非ヒト)をいう。
【0026】
本明細書で使用される、用語「イレウス(ileus)」は、一般に、胃腸管の部分的もしくは完全な麻酔状態または運動障害をいう。イレウスは、胃腸管全体で発症するか、その1箇所または数箇所(例えば、胃、小腸、または結腸)のみを含み得る。当業者は、イレウスは、非常に多数の因子(例えば、手術(例えば、側腹切開に関与する任意の手術(例えば、小腸移植(SITx));または腹腔鏡検査に関与する任意の手術);腸虚血;後腹膜血腫;腹腔内敗血症;腹膜炎;急性虫垂炎;胆嚢炎;膵炎;尿管疝痛;胸郭病変;基底肺炎;心筋梗塞;代謝障害(例えば、カリウムレベルを減少させるもの);薬物(例えば、鎮静剤(opiate)の長期使用);および外傷(例えば、脊椎骨折および肋骨骨折)が含まれる)によって発症し得ることを認識する(例えば、Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。この用語には、分娩後(例えば、普通分娩(「自然分娩」)または手術によって補助された分娩)の女性に共通の問題である分娩後イレウスも含まれる。本明細書で使用される、用語「術後イレウス」は、任意の手術手順(腹部手術)後に患者が経験するイレウスをいう。用語「非手術介入」は、手術を含まない治療法をいう。用語「手術に関与しない状態に起因するイレウス」は、手術以外の因子(例えば、本明細書に記載の因子)に起因するイレウスをいう。
【0027】
主に任意のイレウスの徴候が現れる前に予防的に治療を開始することができるので、イレウスが発症するリスクがあると考慮される個体は、特に、本発明の恩恵を受けることができる。「リスクがある」個体には、例えば、開腹手術(医学的に必要であるか選択的である)が必要な患者および/または前のパラグラフに記載の任意の状態または損傷に罹患した個体が含まれる。当業者は、当技術分野において公知の任意の方法(例えば、医師の診断によって)によって患者にイレウスのリスクがあることを決定することができることを認識する。
【0028】
用語「移植」は、本明細書全体を通して、患者への器官または組織(例えば、小腸)の導入プロセスを説明するための一般用語として使用される。用語「移植」は、当技術分野において、レシピエント中の移植された組織または細胞の機能的完全性を維持する意図でのドナーからレシピエントへの生きた組織または細胞の導入と定義する(例えば、The Merck Manual, Berkow, Fletcher, and Beers, Eds., Merck Research Laboratories, Rahway, N. J., 1992を参照のこと)。この用語には、当技術分野において公知の移植の全てのカテゴリーが含まれる。移植は、部位およびドナーとレシピエントとの間の遺伝的関係によって分類される。この用語には、例えば、自家移植(患者のある位置由来の細胞または組織の同一の患者の同一または別の位置への除去および導入)、同種移植(同種のメンバー間の移植)、および異種移植(異なる種のメンバー間の移植)が含まれる。
【0029】
気体組成物の調製
CO組成物は、気体一酸化炭素組成物であり得る。本発明の方法で有用な圧縮ガスまたは加圧ガスを、任意の業者から圧縮ガスの保存に適切な任意の型の容器で得ることができる。例えば、圧縮ガスまたは加圧ガスを、酸素などの医療用圧縮ガスを供給している任意の業者から入手することができる。本明細書で使用される用語「医薬品グレード」は、本明細書に定義の患者への投与に適切なガスをいう。NOおよびO2を共に保存することができないこと以外は、所望の最終組成物の全ガス(例えば、CO、He、NO、CO2、N2)が同一の容器に存在するように本発明の方法で使用する一酸化炭素を含む加圧ガスを提供することができる。任意で、各ガスを含む複数の容器を使用して本発明の方法を実施することができる。例えば、他のガス含むか含まない一酸化炭素を含み、その内容物を任意で大気または他の容器の内容物(例えば、酸素、窒素、一酸化炭素、圧縮空気、または任意の他の適切なガスまたはその混合物を含む容器)と混合することができる、1つの容器を提供することができる。
【0030】
本発明にしたがって患者に投与される気体組成物は、典型的には、0重量%〜約79重量%の窒素、約21重量%〜約100重量%の酸素、および約0.0000001重量%〜約0.3重量%(約1ppbまたは0.001ppm〜約3,000ppmに相当する)の一酸化炭素を含む。好ましくは、気体組成物中の窒素量は約79重量%であり、酸素量は約21重量%であり、一酸化炭素量は約0.0001重量%〜約0.25重量%である。CO量は、好ましくは少なくとも約0.001重量%、例えば、少なくとも約0.005重量%、約0.010重量%、約0.02重量%、約0.025重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.08重量%、約0.10重量%、約0.15重量%、約0.20重量%、約0.22重量%、または約0.24重量%である。好ましい範囲には、約0.005重量%〜約0.24重量%、約0.01重量%〜約0.22重量%、約0.015重量%〜約0.20重量%、約0.08重量%〜約0.20重量%、および約0.025重量%〜約0.1重量%が含まれる。適用に応じて0.3重量%よりも高い一酸化炭素濃度(1重量%またはそれ以上など)を有する気体一酸化炭素を短期間使用することができる(例えば、1回または数回の呼吸)ことに留意のこと。
【0031】
気体一酸化炭素組成物を使用して、一酸化炭素ガスを含むガス体を作製することができる。適切なレベルの一酸化炭素ガスを含むガス体を、例えば、一酸化炭素ガスを含む加圧ガスを含む容器の調製および容器からチャンバーまたは空間への加圧ガスの放出による容器からチャンバーまたは空間の内側への一酸化炭素ガスを含むガス体の形成によって作製することができる。または、確実に患者が有意なレベルの一酸化炭素に曝露される室内で唯一の者であるように、ガスを端末が呼吸マスクまたは呼吸管である装置に放出させ、それにより呼吸マスクまたは呼吸管中に一酸化炭素ガスを含むガス体を作製することができる。
【0032】
ガス体中の一酸化炭素レベルを、当技術分野において公知の任意の方法を使用して測定またはモニターすることができる。このような方法には、電気化学的検出、ガスクロマトグラフィ、放射性同位体の計数、赤外線吸収、比色分析、および選択膜に基づく電気化学的方法が含まれる(例えば、Sundermanら、Clin.Chem.28:2026-2032, 1982;Ingiら、Neuron 16:835-842, 1996を参照のこと)。ppm未満の一酸化炭素レベルを、例えば、ガスクロマトグラフィおよび放射性同位体計数によって検出することができる。さらに、生体組織中のppm未満の範囲の一酸化炭素レベルを、中間赤外ガスセンサによって測定することができることが当技術分野において公知である(例えば、Morimotoら、Am. J. Physiol. Heart. Circ. Physiol 280:H482-H488, 2001を参照のこと)。一酸化炭素センサおよびガス検出デバイスは、多数の業者から広範に市販されている。
【0033】
液体組成物の調製
一酸化炭素組成物は、液体一酸化炭素組成物でもあり得る。ガスを液体に溶解させる当技術分野において公知の任意の方法によって、液体を一酸化炭素組成物にすることができる。例えば、液体を、いわゆる「CO2インキュベーター」に入れ、連続的な一酸化炭素流(好ましくは液体中の一酸化炭素が所望の濃度に達するまで二酸化炭素を使用して均衡を保つ)に曝露することができる。別の例として、液体中の一酸化炭素が所望の濃度に達するまで、一酸化炭素ガスを液体に直接「泡立てる」ことができる。所与の水溶液中に溶解することができる一酸化炭素の量は、温度の上昇につれて増加する。さらに別の例として、適切な液体を、(例えば、膜型人工肺などのデバイスを使用して)一酸化炭素を含むガス体がチュービングを通る、ガスを拡散させるチュービングに通すことができる。一酸化炭素が液体に拡散されて、液体一酸化炭素組成物が作製される。
【0034】
生きた動物に移入することを意図するこのような液体組成物は、動物への移入時点で37℃または約37℃である可能性が高い。
【0035】
液体は、患者への投与または対象となる器官の保存および/または洗浄および/または灌流に適切であることが当業者に公知の任意の液体であり得る(例えば、Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。一般に、液体は、水溶液である。適切な溶液の例には、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、Celsior(商標)、Perfadex(商標)、Collins溶液、クエン酸溶液、およびユニバーシティ・オブ・ウィスコンシン(University of Wisconsin:UW)溶液が含まれる(Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994))。本発明の1つの態様では、液体は、リンゲル液(例えば、乳酸加リンゲル液)または患者に注入することができる任意の他の液体である。別の態様では、液体には、血液(例えば、全血)が含まれる。
【0036】
ガス拡散器を介して任意の適切な液体に設定濃度の一酸化炭素を満たすことができる。または、設定レベルの一酸化炭素を含むように質を制御された予め作製された溶液を使用することができる。一酸化炭素分析器に接続したガス透過性の液体透過膜を使用した測定を介して用量を正確に制御することができる。所望の有効濃度で溶液に満たし、これらのレベルに維持することができる。
【0037】
一酸化炭素組成物での患者の治療
当技術分野において公知の任意の患者へのガスおよび/または液体の投与方法によって、一酸化炭素組成物で患者を治療することができる。イレウスと診断されたか、またはイレウスのリスクがあると決定された患者(例えば、SITxを受けた患者を含む手術患者)に一酸化炭素組成物を投与することができる。本発明は、液体または気体一酸化炭素組成物の患者への全身投与(例えば、吸入および/または摂取による)および患者の胃腸管への組成物の局所投与(例えば、摂取、通気、および/または腹腔への移入)を意図する。
【0038】
一酸化炭素の全身送達
気体一酸化炭素組成物を、患者(例えば、手術した患者)または小腸移植ドナーおよび/またはレシピエントの全身に送達させることができる。気体一酸化炭素組成物を、典型的には、一酸化炭素がその効果を直接発揮するか患者の血流に容易に吸収することができる口腔または鼻腔から肺への吸入によって投与する。治療用気体組成物で使用される活性化合物(CO)の濃度は、一酸化炭素の吸収、拡散、不活化、および排出(一般に、呼吸を介する)ならびに当業者に公知の他の因子に依存する。個体の必要性および組成物を投与する者の専門的判断または投与の監督によって任意の特定の被験体、特定の投薬計画を長期間調整し、本明細書に記載の濃度範囲は例示のみを目的とし、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲または実施の制限を意図しないことをさらに理解すべきである。例えば、患者のイレウスの重症度または持続性に依存して、本発明による一酸化炭素の急性、亜急性、および慢性投与を意図する。一酸化炭素を、状態の治療および意図する薬理学的または生物学的効果の発揮に十分な時間(無制限を含む)患者に送達することができる。
【0039】
以下は、気体一酸化炭素組成物の患者への投与に使用することができるいくつかの方法およびデバイスの例である。
【0040】
人工呼吸器
標準的な圧縮ガスタンク中で空気または酸素含有ガスと混合した(例えば、21%O2、79%N2)医薬品グレードの一酸化炭素(濃度は変化し得る)を購入することができる。非反応性で本発明の方法に必要な濃度は、可燃範囲より非常に下である(空気の10%)。病院環境では、おそらく、所望のppm(100万分の1)濃度にブレンダー中で酸素または大気と混合して枕元に送達する。患者は、患者の快適さおよび必要性に基づいた流速に設定した人工呼吸器でガス混合物を吸入する。肺内画像(すなわち、呼吸数、1回呼吸量など)によってこれを決定する。患者が所望の一酸化炭素を超える量を不必要に投与されることを防止するための二重安全機構を、送達系にデザインすることができる。患者の一酸化炭素レベルを、(1)静脈血中で測定することができるカルボキシヘモグロビン(COHb)および(2)人工呼吸器のサイドポートから回収した吸入一酸化炭素の研究によってモニターすることができる。患者の健康状態およびマーカーに基づいて一酸化炭素曝露を調整することができる。必要に応じて、100%O2吸入への切り替えによって患者から一酸化炭素を洗い出すことができる。一酸化炭素は代謝されない;したがって、CO2に変換したほんの一握りを除いて、吸入されたものは全て最終的に吐き出される。一酸化炭素は任意のレベルのO2と混合して最終的に低酸素状態になることなく一酸化炭素を治療的に送達することもできる。
【0041】
フェイスマスクおよびテント
フェイスマスクまたはテントを使用して患者によって受動的に吸入させるために、上記のように一酸化炭素含有ガス混合物を調製する。吸入濃度を変化させ、100%O2への簡単な切り替えによって洗い出すことができる。非常に高濃度の一酸化炭素の吸入を防止する二重安全機構を有するマスクまたはテントまたはこれら付近で一酸化炭素レベルをモニターする。
【0042】
携帯吸入器
圧縮一酸化炭素を、携帯吸入デバイスに封入し、例えば、病院環境にないレシピエントを継続的に治療するために定量を吸入させることができる。異なる濃度の一酸化炭素をコンテナに封入することができる。デバイスは、オン-オフ弁および標準的な投薬計画または必要に応じて患者がCOを噴出すチューブを具備する適切に希釈したCOの小タンク(例えば、5kg以下)と同様に単純である。
【0043】
静脈内人工肺
O2送達およびCO2除去のためにデザインされた人工肺(血液中のガス交換のためのカテーテルデバイス)を、一酸化炭素送達のために使用することができる。カテーテルは、移植した場合、大静脈の1つに存在して全身送達または局所部位のいずれかのために所与の濃度で一酸化炭素を送達することができる。送達は、手順を行う部位(例えば、小腸の近位)での短期間の高濃度の一酸化炭素の局所送達(この高濃度は、血流で迅速に希釈される)または低濃度の一酸化炭素の比較的長い曝露であり得る(例えば、Hattlerら、Artif. Organs 18(11):806-812(1994);およびGolobら、ASAIO J., 47(5):432-437(2001)を参照のこと)
【0044】
基準気圧チャンバー
一定の例では、患者全体を一酸化炭素に曝露することが望ましい。患者を、一酸化炭素を溢れさせた(flood)(患者を危険に曝さないレベルまたは第三者が曝露する危険性のない許容可能なリスクをもたらすレベル)密閉チャンバーに入れる。曝露完了後、チャンバーに空気(例えば、21%O2、79%N2)を勢いよく流し、サンプルを、患者が曝露系を抜け出す前に確実に一酸化炭素を残存させないために一酸化炭素分析器によって分析することができる。
【0045】
液体CO組成物の全身送達
本発明は、さらに、患者への全身投与(例えば、患者への注入による)のための液体CO組成物を作製することができることを意図する。例えば、CO飽和リンゲル液などの液体CO組成物を、手術前、手術中、および/または手術後に患者に注入することができる。あるいはまたはさらに、部分的または完全なCO飽和全血(または部分的血液)を、患者に注入することができる。本発明はまた、COガスまたは液体を送達することができる物質(例えば、CO放出ゴム、クリーム、軟膏、またはパッチ)を使用することができることを意図する。
【0046】
一酸化炭素での胃腸管の局所治療
代替的にまたはさらに、一酸化炭素組成物を、胃腸管(例えば、胃腸管全体の内部および/または外部またはその任意の一部)に直接適用することができる。気体組成物を、ガスを患者に通気するための当技術分野において公知の任意の方法によって、患者(例えば、手術患者)または小腸移植ドナーもしくはレシピエントの胃腸管に直接適用することができる。例えば、内視鏡手順および腹腔鏡手順時それぞれに試験を容易にするために、ガス(例えば、一酸化炭素)を、しばしば患者の胃腸管および腹腔に通気する(例えば、Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。当業者は、類似の手順を使用して一酸化炭素組成物を患者の胃腸管に直接投与することができることを認識する。腹腔鏡および内視鏡(例えば、結腸鏡検査法および食道胃十二指腸鏡検査法)に起因するイレウスの予防を補助するために本発明を適用することができることが意図される。
【0047】
水性一酸化炭素組成物を、患者の胃腸管に局所投与することもできる。水性形態の組成物を、患者への液体の投与のための当技術分野において公知の任意の方法によって投与することができる。気体組成物と同様に、水性組成物を、胃腸管の内部および/または外部に直接適用することができる。例えば、水性形態を、例えば、患者へのカプセル化または非カプセル化用量の水性一酸化炭素組成物の摂取によって経口投与することができる。別の例として、内視鏡および腹腔鏡手順時それぞれに、液体(例えば、溶解COを含む生理食塩水)を患者の胃腸管および腹腔に注射することができる。SITxの文脈では、当技術分野において公知の任意の方法(例えば、ドナーからの除去前の液体一酸化炭素組成物での器官のインサイチューフラッシング)によってインサイチュー曝露を行うことができる(Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。
【0048】
エクスビボでの小腸移植器官の保存
一酸化炭素組成物を使用して、胃腸管の任意の部分の移植(例えば、小腸移植(SITx))を受けた患者を治療することができる。移植手順の文脈では、一酸化炭素組成物を使用して、器官の採取、保存、および移植手順の任意の段階でドナー、レシピエント、および/または器官自体を治療することができる。胃腸管器官を、ドナーから採取し、本発明にしたがってエクスビボで一酸化炭素組成物で処置し、レシピエントに移植することができる。あるいはまたはさらに、依然としてドナー中に存在させながら器官をインサイチューで治療することができる。任意で、一酸化炭素組成物を、手術前、手術中、および/または手術後(例えば、器官を患者の血液で再灌流した後)にレシピエントに投与することができる。一酸化炭素組成物を、ドナーからの器官の採取手段の前または途中でドナーに投与することができる。
【0049】
一酸化炭素ガスを含むガス体、液体一酸化炭素組成物(例えば、一酸化炭素を溶解した灌流液、保存液、または洗浄溶液またはその両方)への小腸の曝露によって、小腸(またはその一部)を一酸化炭素にエクスビボで曝露することができる。
【0050】
適切なレベルの一酸化炭素ガスを含むガス体の作製に適切な任意のチャンバーまたは領域中で、小腸を気体一酸化炭素組成物に曝露することができる。このようなチャンバーには、例えば、保存液中に器官を適合させるために構築したインキュベーターおよびチャンバーが含まれる。適切なチャンバーは、一酸化炭素を濃縮して所与の濃度および純度を確定および維持することができるように(例えば、チャンバーが密封されている場合)チャンバーに注入したガスのみが内部ガス体中に存在するチャンバーであり得る。例えば、CO2インキュベーター(一酸化炭素ガスがガスを含む容器から連続的な流れで供給される)を使用して、器官を一酸化炭素組成物に曝露することができる。
【0051】
当技術分野において公知の任意の方法によって器官を液体一酸化炭素組成物にエクスビボで曝露することができる。例えば、一酸化炭素組成物中に器官を完全または部分的に浸漬するのに十分な体積を有する任意のチャンバーまたは空間においてエクスビボで曝露することができる。別の例では、任意の適切なコンテナ中に器官を入れ、器官が一酸化炭素組成物の連続的な流れに曝露されるように器官を一酸化炭素組成物で「洗い流す」ことによって器官を一酸化炭素組成物に曝露することができる。
【0052】
別の例として、一酸化炭素組成物で器官を灌流することができる。用語「灌流」は、当技術分野で認識された用語であり、器官の血管への液体(例えば、一酸化炭素組成物)の通過をいう。胃腸管に関して、この用語には、一酸化炭素組成物での腸管腔のフラッシングが含まれる。エクスビボおよびインサイチューでの器官の灌流方法は、当技術分野において周知である。器官を、例えば、低温持続灌流によってエクスビボで一酸化炭素組成物で灌流することができる(Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。任意で、インサイチューまたはエクスビボ灌流では、器官からドナーの血液を除去するために、一酸化炭素組成物での灌流前に洗浄液(例えば、一酸化炭素を含まないUW溶液)で器官を灌流することができる。ドナーのヘモグロビンによる一酸化炭素の競合を回避するために、このようなプロセスを行うことができる。別の選択肢として、洗浄溶液は、一酸化炭素組成物であり得る。
【0053】
さらに別の例として、器官を、一酸化炭素を含まない媒質または溶媒中に入れ(例えば、浸漬する)、媒質または溶媒が本明細書に記載の一酸化炭素含有ガス体への曝露を介して一酸化炭素組成物を作製することができるようにチャンバーに入れることができる。さらに別の例として、器官を、一酸化炭素を含まない液体に浸漬することができ、その後一酸化炭素を液体に「泡立てる」ことができる。
【0054】
ドナーから小腸を採取し、当業者に公知の任意の方法によって移植することができる(例えば、Oxford Textbook of Surgery, Morris and Malt, Eds., Oxford University Press(1994)を参照のこと)。当業者は、移植のための器官の移植および/または採取方法は、多数の状況(ドナー/レシピエントの年齢など)に応じて変化し得ることを認識する。
【0055】
本発明は、上記の任意または全ての液体一酸化炭素組成物への器官の曝露方法(例えば、洗浄、浸漬、または灌流)を、所与の手順で使用する(例えば、1つのSITx手順で使用する)ことができることを意図する。
【0056】
ヘムオキシゲナーゼ-1および他の化合物の使用
一酸化炭素の投与と組み合わせたヘムオキシゲナーゼ-1(heme oxygenase-1:HO-1)の誘導または発現も本発明で意図される。SITxの文脈では、HO-1を、一酸化炭素の投与と組み合わせて器官、器官ドナー、レシピエント、またはその3つ全てで任意で誘導することができる。例えば、HO-1を、ドナーにおいて(例えば、器官の除去前または除去時)、エクスビボで器官において、および/または移植前、移植時、または移植後にレシピエントにおいて誘導することができる。イレウスを発症する可能性が高い他の(すなわち、非移植関連)介入の文脈では、介入直前、介入時、または介入直後にHO-1を腸内で誘導する。本明細書で使用される、用語「誘導する」は、タンパク質をコードする細胞自体の内因性(例えば、非組換え)遺伝子を使用した単離細胞、組織、器官、もしくは動物の細胞でタンパク質(例えば、HO-1)の産生を増加させることを意味する。
【0057】
当技術分野で公知の任意の方法によって、患者においてHO-1を誘導することができる。例えば、ヘミン、鉄プロトポルフィリン、またはコバルトプロトポルフィリンによってHO-1の産生を誘導することができる。重金属を含む種々の非ヘム剤、サイトカイン、ホルモン、一酸化窒素、COCl2、エンドトキシン、および熱ショックもまた、HO-1発現の強力なインデューサーである(Otterbeinら、Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 279:L1029-L1037, 2000;Choiら、Am. J. Respir. Cell Mol.Biol. 15:9-19, 1996;Maines, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 37:517-554, 1997;およびTenhunenら、J. Lab. Clin. Med. 75:410-421, 1970)。HO-1はまた、酸化ストレスを生じる種々の薬剤および条件(過酸化水素、グルタチオン枯渇剤(depletor)、UV照射、および酸素過剰症が含まれる)によって高度に誘導される(Choiら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 15:9-19, 1996;Maines, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 37:517-554, 1997;およびKeyseら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:99-103, 1989)。「HO-1のインデューサーを含む薬学的組成物」は、患者のHO-1を誘導することができる任意の薬剤(例えば、上記の任意の薬剤(例えば、ヘミン、鉄プロトポルフィリン、および/またはコバルトプロトポルフィリン))を含む薬学的組成物を意味する。
【0058】
細胞中でのHO-1発現を、遺伝子導入を介して増大させることができる。本明細書で使用される、用語「発現(された)」は、外因的に投与された遺伝子(例えば、組換え遺伝子)を使用して単離細胞、組織、器官、もしくは動物の細胞でタンパク質(例えば、HO-1またはフェリチン)の産生を増大させることを意味する。HO-1またはフェリチンは、任意の免疫反応を最小にするために、レシピエントと同一の種(例えば、ヒト、マウス、ラットなど)であることが好ましい。構成性プロモーター(例えば、サイトメガロウイルスプロモーター)または組織特異的プロモーター(例えば、哺乳動物細胞のための乳ホエイプロモーターまたは肝細胞のためのアルブミンプロモーター)によって発現を駆動することができる。HO-1またはフェリチンをコードする適切な遺伝子治療ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ポックス(例えば、ワクシニア)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、マウス微小ウイルス、B型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス-1、およびレンチウイルス)を、患者に、経口、吸入、腸壁への注射、腸管腔、または腹腔にイレウス誘導手順の前、途中、および/または後の任意の時間(例えば、イレウス誘導手順の約24時間前または直前)に投与する。同様に、HO-1またはアポフェリチンをコードするプラスミドベクターを投与することができる(例えば、裸のDNAとして、リポソーム中、または微粒子中)。
【0059】
さらに、当技術分野で公知の任意の方法によって外因性HO-1タンパク質を患者に直接投与することができる。外因性HO-1を、上記のように患者のHO-1の誘導または発現に加えてまたはその代わりに直接投与することができる。HO-1タンパク質を、例えば、リポソーム中および/または融合タンパク質(例えば、TAT融合タンパク質として)として患者に送達させることができる(例えば、Becker-Hapakら、Methods 24:247-256, 2001を参照のこと)。
【0060】
あるいはまたはさらに、HO-1による任意の代謝産物(例えば、ビリルビン、ビリベルジン、鉄、および/またはフェリチン)を、イレウスを予防または治療するために一酸化炭素と組み合わせて患者に投与することができる。さらに、本発明は、フェリチン以外の鉄結合分子(例えば、デスフェロキシアミン(DFO)、デキストラン鉄、および/またはアポフェリチン)を患者に投与することができることを意図する。なおさらに、本発明は、任意のこれらの産物の破壊を触媒する酵素(例えば、ビリベルジンレダクターゼ)を阻害して所望の効果を得る/増強することができることを意図する。任意の上記を、例えば、経口、静脈内、腹腔内、または腸の内側もしくは外側に直接投与することができる。
【0061】
本発明は、カルボキシヘモグロビンまたはCO供与ヘモグロビンに置換することができるので、化合物の投与後に体内にCOを放出する化合物(例えば、CO放出化合物(例えば、光活性化CO放出化合物)(例えば、ジマンガネーゼデカカルボニル、トリカルボニルジクロロルテニウム(II)二量体、および塩化メチレン))(例えば、400mg/kg〜600mg/kgの間の用量(例えば、約500mg/kg))を本発明の方法で使用することもできることを意図する。
【0062】
上記の任意の投薬を、任意の方法で(例えば、経口、静脈内、または動脈内投与)患者に投与することができる。上記の任意の化合物を、局所および/または全身ならびに任意の組み合わせによって患者に投与することができる。
【0063】
本発明は、さらに、患者の腸管の機能的刺激(例えば、患者への便柔軟剤、下剤、および/または潤滑剤の投与および/または静脈内水和および/または経鼻胃減圧)と組み合わせた患者へのCOの投与によるイレウスの治療を意図する。イレウス治療のための任意の他の公知の方法または化合物と組み合わせて、COを投与することができる。
【0064】
本発明の一部を、以下の実施例によって例示するが、決して本発明を制限するものではない。
【0065】
実施例1.移植誘導性イレウスのための一酸化炭素の保護効果
動物
200〜300gの近交系雄LEW(RT1)ラットを、Hrlan Sprague Dawley, Inc.(Indianapolis, IN)から購入し、ピッツバーグ大学の層流動物施設で保持した。動物に標準的な飼料を自由に与えた。
【0066】
小腸移植
COが小腸移植に関連するイレウスに防護性を示すかどうかを決定するために、同遺伝子型Lewisラットで同所性SITxを行った。前述の手順を使用して大動脈ドレナージでのSITxを行った。門脈および一般に大動脈のセグメントを含む上腸間膜動脈からなる血管性茎上のトライツ靭帯から回盲弁までのドナー小腸全体を単離した。移植片を、大動脈セグメントを介して、5mlの冷却乳酸加リンゲル液で灌流し、腸管腔に0.5%硫酸ネオマイシンを含む20ml冷生理食塩水(Sigma, St.Louis, MO)を注いだ。大動脈移植片とレシピエント腎臓下大動脈との間および門脈移植片とレシピエント大静脈との間の末端-側面吻合を、10-0 Novafil(商標)縫合糸を使用して行った。冷虚血時間は1時間であった。レシピエントの腸全体を取り出し、近位および遠位末端-末端腸吻合によって腸の連続性を回復させた。レシピエント動物に、20mg/日のセファマンドール・ナファートを手術後3日間予防的に投与した。手術から3時間後に移植されたレシピエントに水を投与し、手術から24時間後に飼料を与えた。
【0067】
実験群
本研究で4つの動物群(2群にSITxを施した)を試験した。第1群は、手術していない正常なラットからなる。第2群の動物は、手術しないでCOに曝露した。第3群は、同遺伝子型SITxを行い、レシピエントを大気に保持した。第4群は、手術1時間前にCOチャンバーに入れ、その後屠殺直後までCOに再曝露したSITxレシピエントからなる。第3群および第4群では、ドナーとして正常なLEWラットを使用した。
【0068】
CO曝露
動物を、250ppmの濃度でCOに曝露した。簡単に述べれば、ステンレススチール製の混合シリンダー中で1%のCOを含む空気を空気(21%酸素)と混合し、その後、流速12L/分で3.70ft3ガラス曝露チャンバーに導いた。CO分析器(Interscan, Chatsworth, CA)を使用して、チャンバー中のCOレベルを継続的に測定した。CO濃度を常時250ppmに維持した。曝露中、動物に飼料および水を与えた。
【0069】
機能研究
移植された移植片における腸運動障害に対するCOの治療効果を、インビトロおよびインビボの両方で評価した。運動障害のピークが誘導される時点であることが示された術後24時間または48時間で組織を採取した。インビトロでの輪走筋の機械的活性を以前に記載のように測定した(Eskandariら、Am. J. Physiol. 273(3 Pt 1):G727-34(1997))。手術から24時間後にラットを麻酔し、放血によって屠殺した。空腸中央のセグメントを、97%O2/3%CO2で平衡化した予め酸素化したクレブス-リンゲル重炭酸緩衝液(KRB(mM):137.4Na、5.9K、2.5Ca2+、1.2Mg2+、134Cl-、15.5HCO3 -、1.2H2PO4 -、および11.5グルコース)を含むSylgaard(商標)を裏打ちした解剖皿に固定した。腸間膜境界に沿って腸を切開し、細い鉗子での剥離によって粘膜を除去した。完全な厚さの筋層のストリップ(1×6mm)を、輪走筋に並行に切断した。筋肉ストリップを、37℃で保持した予め酸素化したKRBで表面を連続的に流した標準的な水平人工臓器チャンバーに置いた。各ストリップの一方の端に、結紮糸によって固定ポスト(post)を結合させ、他方の端に等尺性筋力(isometric force)変換器(WPI, Sarasota, FL)を結合させた。ストリップを1時間平衡化し、その後これを最大自発収縮(Lo)が起こる長さに漸増的に伸長させた。30分の第2の平衡後、漸増濃度のムスカリン性アゴニストであるベタニコール(0.3〜300μM)に10分間組織を曝露し、その後10分間洗浄することによって収縮性-応答曲線を作成した。軌跡下領域の積分によって収縮活性を計算し、ストリップの重量および長さを組織の平方ミリメートル(1.03mg/mm2)に変換することによって標準化し、g/s/mm2として報告した。
【0070】
フルオレセイン標識デキストラン(Molecular Probes)の腸分布の評価によって手術から48時間後に対照および操作した動物の腸通過を測定した。イソフルレン吸入を用いて動物を少し落ち着かせ、標識デキストラン(200μlの6mg/mlを含む生理食塩水)を経口投与した。投与から2時間後、動物を屠殺し、胃から遠位結腸までの腸全体を採取した。胃、小腸(同一の長さの10セグメントに分割)、盲腸、および結腸(3セグメント;近位、中央、および塩基)の内容物を開き、2mlの生理食塩水に入れ、強くボルテックスして各セグメント中に存在するデキストランを放出させた。腸組織および糜粥のペレット化後、上清のアリコートを、各腸セグメントの蛍光シグナルの定量のためにプレートリーダー(CytoFluorII;励起波長530nmおよび発光波長590nm)で2回読み出した。次いで、蛍光シグナルのヒストグラムの中央値をプロッティングして、実験群間の標識デキストラン分布の変化を証明した。統計分析のために、幾何学的中心(GC)の計算によって腸通過を決定した。
【0071】
形態学的研究
組織病理学的研究
小腸移植片を、10%緩衝化ホルマリン中で固定し、パラフィンに包埋した。切片を、4μmの厚さに切断し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。
【0072】
ミエロペルオキシダーゼ組織化学
手術から24時間後に採取した小腸中央部から筋層のホールマウントを調製した。腸セグメントを、Sylgaad(商標)を裏打ちしたガラス皿中のKRBに浸漬し、腸間膜境界に沿って広げることなく固定した。セグメントの長さおよび幅を、カリパスで測定した。次いで、結腸を腸間膜境界に沿って切開し、長さを150%および幅を250%に広げた。細い鉗子を使用して粘膜および粘膜下組織を除去し、残存組織を100%変性エタノールで30分間固定した。PBSで数回洗浄した後、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)活性を示す多形核好中球(polymorphonuclear neutrophil:PMN)の検出のために組織をHanker-Yates試薬で処理した(Sheibaniら、Am.J. Clin. Pathol. 75(3):367-70(1981))。組織を、Gel/Mount(商標)(Biomedia Corp., Foster City, CA)を使用してスライドガラスに置き、カバーガラスで覆い、200倍の光学顕微鏡(Nikon FXA, Fryer, Huntley, IL)で検査した。筋層外部を浸潤したMPO陽性PMN数を、腸間膜境界と対腸間膜境界との間の中心の5個〜6個の隣接する光学的領域から収集した平均数から決定した。
【0073】
分子生物学的研究
RNアーゼ保護アッセイ(RNase protection assay:RPA)
粘膜および筋層中でのサイトカインmRNA発現の連続分析を調査するために、製造者のプロトコールに従ってRiboquant(商標)キット(Pharmingen)を使用してRNアーゼ保護アッセイを行った。放射性標識アンチセンスRNAの複数のプローブを、インビトロ転写キットならびにサイトカイン(インターロイキン(IL)-lα、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、TNF-α、TNF-β、およびIFN-γ)およびハウスキーピング遺伝子(L32およびGAPDH)のプローブを含むラットサイトカイン多プローブテンプレート組(rCK-1)を使用して合成した。32P標識プローブ(8.0×105cpm)およびサンプルRNA(5μg)を、56℃で12〜16時間ハイブリッド形成し、アンチセンスRNAプローブを含む一本鎖RNAを、RPAキット(Pharmingen)の使用によって消化した。保護したプローブを、40%ポリアクリルアミドゲルにロードした。PhosphoImager(商標)システム(Molecular Dynamics, Krefeld, Germany)を使用して、オートラジオグラフィを行った。GAPDHに対して標準化したNIH Imageを使用してmRNAバンドの放射能の定量を行い、サイトカイン/GAPDH比(n=3〜4)として示した。
【0074】
SYBRグリーンリアルタイムRT-PCR
筋層抽出物における移植片誘導性炎症および抗炎症遺伝子発現に対するCO吸入の効果を、RT-PCRによって評価した。正常な腸から筋層外部を回収し、手術から4時間後に移植片を移植し、液体窒素中で急速冷凍した。この時点は、腹部切開から3時間〜6時間後に起こる最大炎症メディエーター発現の範囲内である。以前に記載のグアニジウム-チオシアネートフェノール-クロロホルム抽出法を使用して総RNA抽出を行った(Eskandariら、Am. J. Clin. Pathol. 75(3):367-370(1997))。RNAペレットを、RNA固定(secure)再懸濁液(Ambion Inc., Austin, TX)に再懸濁し、DNアーゼI(DNAフリーキット、Ambion Inc., Austin, TX)での処理によって夾雑している可能性のあるDNAを除去した。等量のアリコート(5μg)の各サンプル由来の総RNAを、分光測光法(波長250nm)によって定量し、40ng/μlの濃度に等分した。SYBR Green2工程リアルタイムRT-PCRによって二連でピークmRNA発現を定量した。内部標準としてGAPDHを使用した。等分したRNAを、ランダムヘキサマー(PE applied Biosystems, Foster City, CA)およびSuper ScriptII(商標)(Life Technologies, Rockville, MD)を使用した第1の相補DNA鎖(cDNA)合成に供した。プライマー配列を文献から入手するか、公開された配列(表1)にしたがってデザインした。SYBR Green PCR Core試薬(PE Applied Biosystems)を使用してPCR反応混合物を調製した。製造者によって推奨された条件を使用して、各サンプルを二連で評価した。反応物を、ABI PRISM7700(商標)配列検出システム(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)にて50℃で2分間インキュベートしてウラシルN’-グリコシラーゼを活性化し、95℃で12分間インキュベートしてAmplitaq Gold(商標)ポリメラーゼを活性化し、その後、95℃で15秒間および60℃で1分間を40サイクルインキュベートした。リアルタイムPCRデータを、サイクル数に対するΔRn蛍光シグナルとしてプロットした。logΔRnサイクルプロットの中線部分に任意の閾値を設定した。閾値サイクル(threshold cycle)(CT)を、ΔRnがこの閾値と交差するサイクル数と定義した。mRNA発現の定量を、GAPDHに標準化し、比較CT法(Schmittgenら、J. Biochem. Biophys. Methods 46(1-2):69-8(2000))を使用して対照と比較して計算した。
【0075】
夾雑しているゲノムDNAのPCR増幅物を除外するために、RTの陰性対照(逆転写されていないRNAを含むサンプル)を、各PCR反応物に含めた。特定の産物を確実に増幅させるために、各反応物について融解曲線分析を行った。さらに、非特異的バンドの非存在およびアンプリコンが正確なサイズであることを確認するためにプライマーをゲル電気泳動に供した。希釈物のコリニアリティーを測定するために標的cDNAのPCR増幅効率を試験した。cDNAの3倍連続希釈を三連で行った。相対投入コピー数に対するCT値のプロッティングによって検量線を作成した。100±10%の対応効率を有する相関係数0.99の検量線の勾配(-3.2±0.3)を許容範囲と見なした。
【0076】
(表1)プライマーの概要
Figure 0004588325
【0077】
HO-1のノーザンブロッティング
以前に記載のようにノーザンブロッティングを行った(Camhiら、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.13:387-398(1995))。簡単に述べれば、上記のように組織から抽出した10μgの総RNAを、1%アガロースゲル中で電気泳動し、毛細管現象によってナイロンメンブレンに移した。次いで、ナイロンメンブレンを、ハブリッド形成緩衝液(1%ウシ血清アルブミン(BSA)、7%SDS、0.5M PO4緩衝液(pH7.0)および1mM EDTA)にて65℃で2時間予備ハイブリッド形成させ、その後32P標識ラットHO-1cDNA、32P標識ラットL-フェリチン、または32P標識ラット H-フェリチンオリゴヌクレオチドプローブと65℃で24時間ハイブリッド形成させた。次いで、ナイロンメンブレンを、65℃の緩衝液A(0.5%BSA、5%SDS、40mM PO4緩衝液(pH7.0)、および1mM EDTA)で15分間2回洗浄し、その後65℃の緩衝液B(1%SDS、40mM PO4緩衝液(pH7.0)、および1mM EDTA)で15分間3回洗浄した。
【0078】
HO-1cDNAプローブ
全長ラットcDNA(pHO1)を、東北大学(Tohoku University)(Sendai, Japan)のS.Shibahara博士より豊富に入手した。pHO1を、pBluescriptベクターにサブクローン化し、HindIII/EcoRIで消化して、pBluescriptベクターから0.9kbのHO-1cDNAインサートを単離した。異なるサンプルまたはローディングエラーによるRNA量のばらつきを抑制するために、ブロットを18SrRNAに対応するオリゴヌクレオチドプローブとハイブリッド形成させた。18SRNAに相補的な24塩基対のオリゴヌクレオチド
Figure 0004588325
を、DNA合成機(Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して合成した。HO-1 cDNAを、Boehringer Mannheim(Mannheim, Germany)のランダムプライマーキットを使用して[32P]CTPで標識した。全てのオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を、ターミナルデオキシヌクレチジルトランスフェラーゼ(Bethesda Research Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して[32P]ATPで標識した。オートラジオグラフシグナルを、同一のブロットから得た18SrRNAと比較した。
【0079】
血清サイトカインレベルの決定
再灌流から1時間後、4時間後、および24時間後に連続して血清サンプルを採取し、評価するまで-80℃で保存した。IL-6、IL-10、およびTNFαを含む血清サイトカイン濃度を、製造者(R&D, Cambridge, MA)が記載のようにラット酵素結合免疫測定法(ELISA)キットを使用して決定した。
【0080】
血清亜硝酸塩/硝酸塩レベルの測定
NO代謝の安定な最終生成物をモニターするために、市販の試験キット(Cayman, Ann Arbor, MI)を使用して1時間後、4時間後、および24時間後の血清硝酸塩/亜硝酸塩レベルを測定し、製造者の指示にしたがって定量した。このアッセイ系では、硝酸レダクターゼを使用して硝酸塩を亜硝酸塩に還元し、その後サンプルの亜硝酸塩濃度をGriess反応を使用して測定する。
【0081】
筋細胞培養
手術から24時間後に、(滅菌条件下で)対照ラットおよび移植ラットの小腸を取り出した。結腸をインサイチューのままにした。腸を、200U/mlペニシリンGおよび200μg/mlストレプトマイシンを含むハンクス平衡塩溶液(HBSS)(Sigma, St. Louis, MO)を含む滅菌ビーカーに移した。上記のように筋層を単離し、滅菌ガーゼにブロッティングした。サンプルの湿重量を決定し、150〜200mgの組織のアリコートを作製した。組織を、HBSSで2回洗浄した。アリコートを、上記のペニシリン/ストレプトマイシンを含む3mlの無血清DMEMを含む35mlウェル培養プレートに移し、37℃の5%CO2インキュベーター中で24時間インキュベートした。インキュベーション後、1mlアリコートの上清を、液体窒素中で凍結し、-80℃で保存した。サイトカインタンパク質レベルを、ELISAで測定し、組織湿重量に対して標準化した。製造者の指示に従って、市販のELISAキットを使用した。
【0082】
データ分析
結果を、平均±平均の標準誤差(SEM)として示す。必要に応じて、スチューデントt検定または分散分析(ANOVA)を使用して、統計分析を行った。p≦0.05の確率レベルを、統計的に有意と見なした。
【0083】
COは、SITxに関連する腸機能障害の発症を抑制する
自発的およびベタニコール刺激小腸輪走筋収縮性に対するSITxおよびCO治療の効果を、インビトロでの器官槽実験で調査した。移植腸移植片の再灌流から24時間後に組織を採取した。対照腸由来の筋肉のストラップは、規則正しく収縮した(データ示さず)。24時間のCOでの治療では、非手術対照ラットの自発的収縮活性に影響を与えなかった(データ示さず)。SITx後、自発的収縮活性は喪失した(データ示さず)。CO治療により、移植ラットの自発的収縮活性が回復した(データ示さず)。
【0084】
槽洗浄物(superfusate)へのベタニコール(0.3〜300μM)の添加により、濃度依存的緊張性収縮が誘発された。漸増用量のベタニコールに反応して得られた組織領域に対して標準化した統合収縮応答を図1に示す。対照動物では、収縮力は、10〜300μMのベタニコール範囲にわたり依存する濃度であり、ピーク力は、100μMベタニコールに応答して得られた3.5±0.7g/mm2/sであった。非手術動物において、COでの治療では収縮性に影響を与えなかった(ピーク収縮力は3.2±0.5g/mm2/s)。SITxにより、10μMを超えるベタニコール濃度で統計的有意性に到達する対照と比較して、用量応答曲線全体で得られた収縮力は減少した。100μMのベタニコールでは、ピーク収縮力は1.7±0.4g/mm2/sまで49%減少した。COでの治療により、用量応答曲線全体でSITxの阻害効果が妨害され、ピーク収縮力は対照レベル(3.6±0.7g/mm2/s)まで回復した。
【0085】
経口投与したフルオレセイン標識デキストランの腸分布の評価によって、対照および手術から48時間後の移植動物の腸通過を測定した。図2A〜2Bは、経口投与から2時間後の胃腸管(胃から結腸まで)に沿った非吸収FITC標識デキストランの分布を示す通過ヒストグラムである。経口投与から2時間後の非手術対照ラットおよびCOで治療した対照ラット由来の各腸セグメント中の蛍光のヒストグラムの中央値を、図2Aにプロットする。両群では、蛍光標識のほとんどが、小腸セグメント9および10ならびに盲腸に存在していた。これは、移植ラットで認められる分布パターン(蛍光標識が主に胃で見出され、いくつかの標識が近位小腸に侵入している)と対照的である(図2B)。COで治療した移植動物では、標識の分布はより遠位であり、主に小腸セグメント6、7、および8内に蓄積していた。図2Cにまとめた幾何学的中心の計算由来の結果の統計分析は、CO吸入により小腸移植を受けたラットの腸通過が有意に改善されることを示す。
【0086】
白血球の漸増
SITxから24時間後の小腸筋層中の細胞炎症事象を特徴付けた。Hanker-Yates組織化学によって決定したミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を使用して、CO治療を使用するか使用しない対照および移植動物由来の組織の白血球浸潤を定量した。非手術対照ラットおよびCO治療対照ラットでは、MPO陽性細胞は稀であった(データ示さず)。SITxにより、腸筋層に白血球が有意に漸増した(データ示さず)。200倍視野あたりの細胞数を、図3にまとめ、これは、CO治療により平均MPO陽性細胞数が減少するが、この減少は統計的に有意ではない(p=0.08、n=6)ことを示す。
【0087】
粘膜および筋層中のサイトカインの配列分析
RNアーゼ保護分析では、SITxによりIL-6およびIL-1βmRNAの両方が有意に上方制御され、移植された移植片内で3〜6時間ピークである(図4Aおよび4B)ことが証明された。したがって、炎症メディエーターであるmRNAレベルを、再灌流から4時間後に分析した。
【0088】
分子炎症応答
図5は、再灌流から4時間後の腸移植片の筋層外側における一酸化窒素シンターゼ(iNOS)、IL-6、IL-1β、およびIL-10発現に対するCOの効果を示す棒グラフ組である。リアルタイムPCR分析により、腸移植片の筋層外側の炎症性サイトカインmRNA発現の有意な増加(IL-6(3400倍)およびIL-1β(38倍))が明らかとなった。TNFαもまた有意に上方制御されたが、その程度は低かった(3倍)。ICAM-1遺伝子発現(循環炎症細胞の漸増で重要な役割を果たす接着分子)は14倍増加した。COで治療したレシピエントラットでは、平均相対IL-6およびIL-1β発現は減少したが(それぞれ40%および50%)、TNFαおよびICAM-1発現は変化しなかった。移植群で標準偏差が大きいので、CO治療ラットにおけるIL-6mRNA発現の減少は統計的に有意ではなかったが(p=0.084、n=6)、IL-1β発現は有意に減少した(p=0.046、n=6)。シクロオキシゲナーゼ(COX-2)および一酸化窒素シンターゼ(iNOS)の誘導形態の遺伝子発現もまた、移植された移植片の筋層で有意に上方制御された(それぞれ、5倍および48倍)。両酵素の平均相対mRNA発現は、CO治療ラットで約50%減少した。前と同様に、iNOS発現の減少はあまり有意ではないが(p=0.060、n=6)、COX-2発現の減少は非常に有意であった(p=0.26、n=6)。COのみの吸入では、研究したいかなるメディエーターの発現にも影響を与えなかった。
【0089】
図6は、再灌流から1時間後および4時間後に腸移植を受けた動物における血清IL-6および硝酸塩/亜硝酸塩濃度に対するCOの効果を示す棒グラフ組である。これらのデータを得るために、移植後の種々の測定点で血清サンプルを採取し、評価するまで-80℃で保存した。ラット酵素結合免疫測定法(ELISA)キット(R&D, Cambridge, MA)を使用して、血清IL-6濃度を決定した。血清亜硝酸/硝酸レベル(安定なNOの最終代謝産物)を、市販の試験キット(Cayman, Ann Arbor, MI)を使用して測定した。このアッセイ系では、硝酸レダクターゼを使用して硝酸塩を亜硝酸塩に還元し、その後サンプルの亜硝酸塩濃度をGriess反応を使用して測定した。SITxに供し且つ空気で治療した動物の血清IL-6および亜硝酸塩/硝酸塩レベルは長期間増加した。SITxおよびCO処置に供した動物被験体(SITx+CO)は、IL-6および亜硝酸塩/硝酸塩の血漿レベルが共に有意に減少した。
【0090】
COが移植誘導性長機能障害から保護することを示すデータを、以下の表1にまとめる。SITxの初期(48時間未満)では、腸移植片は、腸通過が有意に遅延し、筋収縮が減少し、炎症の浸潤が巨大であった。COで治療したレシピエントではこれらの変化が減少した。血清IL-6濃度(再灌流から4時間後)は、COを使用しないSITxと比較してCOを使用したSITxで有意に低かった。COにより、炎症性サイトカインIL-6およびIL-1の下方制御によってSITxに関連する腸移植片の炎症およびI/R損傷が防止された。
【0091】
(表2)COによりSITxに関連する腸機能障害が抑制される
Figure 0004588325
【0092】
実施例2
COにより、小腸手術に関連するイレウスの発症が抑制される
動物
C57B16野生型雄マウス(20〜25g)を、Harlan(Indianapolis, IN)から入手した。マウスを無病原体施設に収容し、12時間の明暗サイクルで維持し、市販のげっ歯類用飼料を与え、水道水を自由に与えた。
【0093】
実験群および手術手順
年齢適合マウスを、以下の4つの実験群に分類した:ナイーブ対照(対照);COで治療した対照(対照+CO);小腸の手術操作に供したマウス(IM);および手術操作およびCOでの治療に供したマウス(IM+CO)。
【0094】
手術操作:マウスをイソフルレン吸入によって麻酔し、正中側腹切開によって開腹した。小腸を移転し、湿らせた滅菌綿アプリケーターを使用してその長さ全体に沿ってゆっくりと圧縮した。臨床環境での開腹手術時に一般に行われる腸の「運動(runnning)」を刺激するためにこの手順をデザインする。腸を腹腔に再度置き、連続縫合の2層によって切り込みを閉じた。手順の時間は約15分であり、動物をケージ周囲を自由に運動させ、20分以内に麻酔から回復させた。
【0095】
CO吸入治療:ケージに収容したマウスを、空気またはCO(250ppm)を含む空気で連続的に換気したプレキシガラスチャンバーに入れた。チャンバー内の一酸化炭素濃度を継続的にモニターするために、サンプリングポートを得た。動物を飼料および水にいつでも自由に利用させた。側腹切開の1時間前にマウスをCOまたは空気に曝露し、手術操作のために取り出し、24時間チャンバーに返した。手術を受けていないマウスを、類似の時間チャンバーから取り出し、その後24時間チャンバーに戻した。
【0096】
形態学的研究
MPO組織化学:手術から24時間後に採取した空腸中央部から筋層のホールマウントを調製した。腸セグメントを、Sylgardを裏打ちしたガラス皿(Midland, MI)中のKRBに浸漬し、腸間膜境界に沿って広げることなく固定した。セグメントの長さおよび幅を、カリパスで測定した。次いで、空腸セグメントを腸間膜境界に沿って切開し、長さを150%および幅を250%に広げた。細い鉗子を使用して粘膜を除去し、残存組織を100%変性エタノールで30分間固定した。PBSで数回洗浄した後、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を示す多形核好中球(PMN)の検出のために組織をHanker-Yates試薬(Polysciences, Warrington, PA)で処理した。組織を、Gel/Mount(商標)(Biomedia Corp., Foster City, CA)を使用してスライドガラスに置き、カバーガラスで覆い、200倍の光学顕微鏡(Nikon Microphot-FXA, Fryer, Huntley, IL)で検査した。腸間膜境界と対腸間膜境界との間の中心の5〜6つの隣接する光学的領域中のPMNを計数した。
【0097】
HO-1免疫組織化学:上記のように調製した筋層ホールマウントを、Zamboniの固定液で1時間固定し、DMSOで除去した。PBSでの数回の洗浄後、組織を、10%の正常なロバ血清および0.1%Triton-Xを含むPBSで処理した。次いで、ホールマウントを、ウサギ抗ラットHO-1抗体(500倍希釈、Stressgen, Vancouver, Canada)と一晩インキュベートし、洗浄し、ロバ抗ウサギIgG-Cy3抱合体(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., West Grove, PA)と2時間インキュベートした。上記のようにGel/Mount(商標)を使用して組織をマウントし、蛍光顕微鏡(Nikon Microphot-FXA, Huntley, IL)で検査する。
【0098】
機能研究
COまたは大気でのチャンバー処理から24時間後に、マウスを麻酔し、放血によって屠殺した。インビトロでの輪走筋の機械的活性を以前にEskandariら、(Am. J. Physiol. 273:G727-G734(1997))に記載のように測定した。簡単に述べれば、小腸中央のセグメントを、pH7.4を確立するために97%O2/3%CO2ガスを供給した予め酸素化下クレブス-リンゲル重炭酸緩衝液(KRB(mM):137.4Na、5.9K、2.5Ca2+、1.2Mg2+、134Cl-、15.5HCO3 -、1.2H2PO4 -、および11.5グルコース)を含むSylgard(商標)(Midland, MI)を裏打ちした解剖皿に固定した。腸間膜境界に沿って腸を切開し、細い鉗子での剥離によって粘膜を除去した。輪走筋層に並行に切断した完全な厚さの筋層のストリップ(1×6mm)を、標準的な水平人工臓器チャンバーに置き、37℃で保持した予め酸素化したKRBで表面を連続的に流した。各ストリップの一方の端に、結紮糸によって固定ポスト(post)を結合させ、他方の端に等尺性筋力(isometric force)変換器(WPI, Sarasota, FL)を結合させた。ストリップを1時間平衡化し、その後Lo(最大自発収縮が起こる長さ)に漸増的に伸長させた。30分のベースライン記録後、漸増濃度のムスカリン性アゴニストであるベタニコール(0.3〜300μM)に10分間組織を曝露し、その後10分間洗浄することによって収縮性-応答曲線を作成した。軌跡下の領域の積分によって収縮活性を計算した。ストリップの重量(1.03mg/mm2)および長さを組織の平方ミリメートルへの変換によって応答を組織量に対して標準化し、g/s/mm2として報告した。非吸収性フルオレセイン標識デキストラン(MW70,000)の腸分布の評価によって手術から24時間後に対照および操作した動物の腸通過を測定した。イソフルレンを用いて動物を少し落ち着かせ、標識デキストラン(100μlの25mg/mlストック溶液)を経口投与した。投与から90分後、動物を屠殺し、胃から遠位結腸までの腸全体を採取した。胃、小腸(同一の長さの10セグメントに分割)、盲腸、および結腸(同一の長さの3セグメント)の内容物をそれぞれ1mlの生理食塩水中で刻み、強く混合して各セグメント中に存在するデキストランを放出させた。腸組織および糜粥のペレット化後、清澄化した上清のアリコートを、各腸セグメントの蛍光シグナルの定量のためにプレートリーダー(CytoFluorII;励起波長530nmおよび発光波長590nm)で2回読み出した。実験群間での定量的統計比較のための幾何学的中心(GC=Σ(各セグメント中の総蛍光シグナルの割合%)×(セグメント数))の計算によって胃腸管に沿ったシグナルの分布を決定した。
【0099】
SYBRグリーンリアルタイムRT-PCR
炎症性および抗炎症性遺伝子発現を、リアルタイムRT-PCRによって決定した。小腸筋層外部を、手術後の4つの測定点(3、6、12、および24時間)で採取し、液体窒素中で急速冷凍した。Eskandariら(前出)に記載のグアニジウム-チオシアネートフェノール-クロロホルム抽出法を使用して総RNA抽出を行った。RNAペレットを、RNA固定(secure)再懸濁液(Ambion Inc., Austin, TX)に再懸濁し、DNアーゼI(DNAフリーキット、Ambion Inc., Austin, TX)での処理によって夾雑している可能性のあるDNAを除去した。等量のアリコート(5μg)の各サンプル由来の総RNAを、分光測光法(波長250nm)によって定量した。ピークmRNA発現を、SYBR Green2工程リアルタイムRT-PCRによって二連で定量した。内部標準としてβ-アクチンを使用した。等分したRNA(40ng)を、ランダムヘキサマー(PE applied Biosystems, Foster City, CA)およびSuper ScriptII(Life Technologies, Rockville, MD)を使用した第1の相補DNA鎖(cDNA)合成に供した。プライマーを文献から入手するか、公開された配列(表3)にしたがってデザインした。SYBR Green PCR Core試薬(PE Applied Biosystems)を使用してPCR反応混合物を調製した。製造者によって推奨された条件を使用して、各サンプルを二連で評価した。リアルタイムPCRデータを、サイクル数に対するΔRn蛍光シグナルとしてプロットした。logΔRnサイクルプロットの中線部分に任意の閾値を設定した。閾値サイクル(threshold cycle)(CT)を、ΔRnがこの閾値と交差するサイクル数と定義した。mRNA発現の定量を、β-アクチンに標準化し、比較CT法を使用して対照と比較して計算した。
【0100】
(表3)プライマーの概要
Figure 0004588325
【0101】
夾雑しているゲノムDNAのPCR増幅物を除外するために、RTの陰性対照(逆転写されていないRNAを含むサンプル)を、各PCR反応物に含めた。特定の産物を確実に増幅させるために、各反応物について融解曲線分析を行った。さらに、非特異的バンドの非存在およびアンプリコンが正確なサイズであることを確認するためにプライマーをゲル電気泳動に供した。連続希釈物のコリニアリティーの決定によって、各標的cDNAのPCR増幅効率を測定した。cDNAの3倍連続希釈を全てのプライマーについて三連で行った。プライマーを確認するために、相対投入コピー数に対するCT値のプロッティングによって検量線を作成した。100±10%の対応効率を有する相関係数0.99の検量線の勾配(-3.2±0.3)を許容範囲と見なした。
【0102】
腸筋層からのメディエーター放出の分析
タンパク質および一酸化窒素の決定:対照マウスおよび小腸操作に供したマウスの小腸を、手術から4時間後または24時間後に滅菌条件下で取り出し、結腸をインサイチューのままにした。小腸を、200U/mlペニシリンGおよび200μg/mlストレプトマイシンを含む冷ハンクス平衡塩溶液(Sigma, St.Louis, MO)(HBSS)を含む滅菌ビーカーに移し、管腔をフラッシングし、組織をHBSSの第2のビーカーに移した。リアルタイムRT-PCRのために上記のように筋層を採取した。採取手順を通して、組織を3〜5℃の滅菌条件下で維持した。単離筋層を、滅菌ガーゼにブロッティングし、湿重量を決定して40〜60mgのアリコートを得た。組織アリコートを、HBSSで2回洗浄し、ペニシリン/ストレプトマイシンを含む3mlの無血清DMEMを含む35mmウェル培養プレートに移し、加湿した5%CO2インキュベーターにて37℃で24時間インキュベートした。培養培地に添加する医薬品を使用前に濾過滅菌した。
【0103】
インキュベーション後、筋組織をペレット化し、培養培地のアリコートを液体窒素中で凍結し、-80℃で保存した。培養培地に分泌されたIL-6、IL-1β、PGE2、およびIL-10タンパク質のレベルを、製造者の指示に従って市販のELISAキット(R&D Systems, Minneapolis, MN)を使用して決定した。培養培地に放出された一酸化窒素(NO)を、NO代謝の安定な最終生成物の測定によって評価した。硝酸塩/亜硝酸塩レベルを、製造者の指示にしたがって市販の試験キット(Oxford Biomedical Research, Oxford, MI)を使用して手術から24時間後に測定し、定量した。このアッセイ系では、顆粒状カドミウムを使用して硝酸塩を亜硝酸塩に還元し、その後、Griess反応を使用して総亜硝酸濃度を測定する。全測定値を、組織の湿重量に標準化した。
【0104】
CO吸入により術後イレウスの発症が抑制される
全体的所見:全動物を、手術から迅速に回復させた。死亡率および罹患率は、手術手順やCO曝露レジメに関連しなかった。マウスがイレウスを発症したが、術後のグルーミングおよび日常の挙動は正常であり、麻酔からの回復から数時間以内に経口での飼料および水の摂取を再開した。
【0105】
HO-1の発現
図7A〜7Eは、マウス小腸の手術操作後の腸筋層内のヘムオキシゲナーゼ(HO)-1の発現を示す棒グラフおよび写真である。内因性HO-1産物の潜在的な抗炎症保護の役割を調査するために、SYBRグリーンリアルタイムRT-PCRによって別のHO-1mRNA発現を決定した。図7Aは、非手術対照マウスならびに側腹切開から3、6、12、および24時間後に採取した操作マウスの腸筋層におけるHO-1mRNAの発現パターンを示す。HO-1mRNA発現は、側腹切開から3時間後までに対照と比較して有意に35倍増大し、ピーク発現は手術から6時間後の45倍であった。6時間後に発現レベルがいくらか減少したが、手術から24時間後に測定した終点間での全体にわたり発現は上昇したままであった(22倍)。
【0106】
HO-1mRNAの増大によって手術操作後の腸筋層内でタンパク質が発現するかどうかも調査した。非手術マウスおよび小腸の手術操作に供したマウスから手術後24時間で採取した空腸中央の筋層ホールマウントに対してHO-1免疫組織化学を行った。操作動物では、多数の浸潤多形核白血球内(図7B)およびマクロファージに形態が類似している細胞中(図7C)でHO-1免疫反応性が認められた。時折、ニューロン細胞質顆粒(顆粒球)を含む細胞もまた、強いHO-1免疫反応性を示すことが見出された(図7D)。筋層内に分散した特徴づけられていない細胞集団においてもわずかなHO-1免疫反応性が認められた。非手術対照マウス由来のホールマウントではHO-1免疫反応性は検出されなかった(図7E)。HO-1についての免疫染色の特異性を、一次抗体の省略によって確認した(示さず)。
【0107】
機能研究
経口投与したフルオレセイン標識デキストランの胃腸分布の評価によって、手術から24時間後の対照動物および操作動物における腸通過を測定した。図8A〜8Cは、経口投与から1.5時間後の非吸収性フルオレセイン標識デキストランの分布から決定した通過研究の結果を示す棒グラフである。ナイーブ対照マウスおよびCO治療マウスの各腸セグメント中に存在する蛍光の中央値のヒストグラムを、図8Aにプロットする。ナイーブ動物では、標識デキストランは、デキストラン摂取から90分後に、主に、小腸末端、盲腸、および近位結腸内に分布していた。CO(250ppm)のみでの吸入治療により、標識が主に盲腸および結腸内に分布する僅かで有意でない腸通過の変化を示した。図8Bは、CO治療を使用するか使用しないで腸操作を受けたマウスの蛍光シグナルの分布を比較する。腸操作後、蛍光シグナルは、胃および小腸の近位3セグメントに限定される。動物をCOで治療した場合、標識は胃腸管全体により遠位に分布した。統計学的比較のために、幾何学的中心(GC)の計算からの結果を図8Cにまとめる。GC値が高いほど蛍光シグナルの分布が遠位であり、より迅速な通過に相当する。この図中の値は、COにより非手術マウスの腸通過は加速されるが、GC値は統計的に有意ではないことを証明する。したがって、前に示すように、GC値は腸操作後に通過が顕著に遅延するが、この通過の遅延はCO吸入で治療したマウスで有意に改善されることを示す。
【0108】
自発的およびベタニコール刺激小腸輪走筋収縮に対するCOの効果を、イレウスが十分に確立された時点での腸手術操作から24時間後のインビトロでの器官槽実験で調査した。図9A〜9Cは、このような小腸輪走平滑筋ストリップの機械的活性を示す。図9Aは、腸輪走筋の自発的収縮性を示す代表的軌跡組である。ナイーブマウスの小腸由来の筋肉ストリップは規則正しい収縮を示し(図9A;対照)、COでの治療の効果はなかった(図9A;対照+CO)。IM後、自発的収縮活性は、有意に抑制された(図9A;IM)。しかし、COで治療したIMマウスでは、律動性は有意に改善された(図9A;IM+CO)。洗浄物(superfusate)へのムスカリンアゴニストであるベタニコール(0.3〜300μM)の添加により、収縮依存性緊張性収縮が誘発された。収縮曲線下の領域を積分し、筋肉ストリップ表面領域に対して標準化して輪走筋収縮を測定した。図9Bおよび9Cは、標準化収縮を示す線グラフである。対照マウスでは、100μMベタニコールに応答してピーク収縮力(3.5±0.7g/s/mm2)が得られた(図9B)。COのみでは対照収縮に影響を与えなかった(3.2±0.5g/s/mm2)。手術操作により、対照と比較して用量応答曲線全体にわたり収縮力が減少し、10μMを超えるベタニコール濃度で統計的に有意であった(図9C)。これらのマウスで100μMベタニコールを使用して得られたピーク収縮力が49%に減少した(1.7±0.4g/s/mm2)。CO(250ppm)の吸入で、手術操作の阻害効果が完全に阻害された(3.6±0.7g/s/mm2)。
【0109】
MPO組織化学
小腸の手術操作により、典型的には、筋層内で強い細胞炎症応答が起こる。ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性についてのHanker-Yates組織化学を使用して、CO治療を使用するか使用していない対照動物および操作動物由来の組織の白血球浸潤を定量した。図10は、本研究で使用した4つの実験群についての腸筋層に浸潤したMPO細胞に関するデータをまとめたヒストグラムである。200倍で白血球を計数した。手術を受けていない対照試料では、MPO細胞は稀であった。外科麻酔および腸操作によって、24時間後に筋層に浸潤しMPO細胞数は250倍に増加した。興味深いことに、CO吸入治療では、いずれかの群の白血球浸潤の規模に効果は無かった。
【0110】
炎症性サイトカイン発現
図11A〜11Cは、IL-6の発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。図は、小腸操作後のIL-6遺伝子発現の経時変化およびIL-6遺伝子およびタンパク質発現に対するCO吸入の効果を示す。リアルタイムRT-PCRを使用した経時変化分析により、手術から3時間後および6時間後にナイーブ対照マウスと比較してIL-6mRNAは300倍に増加することが示された(図11A)。12時間までに発現は急速に減少し、24時間後に対象と比較して50倍まで低下した。CO吸入では、3時間後および6時間後の操作誘導性遺伝子発現に影響を与えなかった(図11B)。単離筋層からのIL-6タンパク質放出を、細胞培養培地でのインキュベーション後に測定した(図11C)。IL-6タンパク質は、腸操作から24時間後に非常に増大し、PCRデータと対照的に、CO治療マウスでのタンパク質放出は70%まで有意に減少した。
【0111】
炎症性サイトカインIL-1βも調査した。IL-1β遺伝子発現の経時変化を、図12A〜12Bに示す。ナイーブ対照マウスおよびCOで治療した対照マウス由来の筋層抽出物中のmRNAレベルが配列分析器の検出能力以下であるという所見によってIL-1βの測定値をまとめた。したがって、手術から6時間後に採取した操作マウス由来のサンプルを連続希釈し、サイクル閾値(cycle threshold)(CT)を、非希釈サンプルから決定したβ-アクチンに対して標準化した。次いで、対照ΔCT値を、CTが線形範囲内に減少する最小濃度のIL-1βを使用して計算した。次いで、残りの実験群についての遺伝子発現の変化をこの対照と比較して計算し、それにより、実際の増加倍率の評価は変化しない。これらの計算から、外科麻酔および腸操作に応答するIL-1βmRNA発現は、手術から3時間後に対照と比較して38倍増加することが示された。初期IL-6について報告された発現よりもいくらか後に最大発現が生じ、手術から6時間後および12時間後に170倍および150倍に達し、24時間までに40倍に再度低下した(図12A)。COで治療した動物では、6時間後のIL-1β発現は、60%まで減少した(図12B)。手術から24時間後に採取した筋層抽出物からのIL-1βタンパク質放出を、細胞培養培地でのインキュベーションからさらに24時間後に測定した(図12C)。RT-PCRデータと相関して、いずれの対照群においてもIL-1βタンパク質を検出することができなかったが、100mgの抽出組織によって産生されたタンパク質濃度は、腸操作後に上昇した。その応答は、CO吸入で治療したマウスにおいて60%まで有意に減少した。
【0112】
シクロオキシゲナーゼ-2および誘導性一酸化窒素シンターゼの発現
活性化常在型マクロファージおよび浸潤性白血球は、腸平滑筋収縮装置に対して直接的且つ強力な阻害効果を有するシクロオキシゲナーゼの誘導性イソ型(COX-2)由来のプロスタグランジンおよび一酸化窒素シンターゼの誘導形態(iNOS)由来の一酸化窒素(NO)を合成および放出する。
【0113】
操作後のiNOS発現についての一過性プロフィールを、図13A〜13Cに示す。経時変化分析により、小腸操作から3時間後および6時間後に遺伝子発現が有意に増大することが示された(図13B)。6時間後のピーク発現は、COで治療した動物で60%まで減少した(図14B)。ナイーブマウスのCOへの曝露では、iNOS発現に対して影響を与えなかった(増加倍率:対照、1.06±0.18;CO(3時間)、1.04±0.19;CO(6時間)、1.26±0.19)。手術から24時間後に採取された筋層抽出物から培養培地に放出された総亜硝酸を、NO産生の評価として測定した(図13C)。PCRデータによって予想されるように、亜硝酸測定値は、腸操作後に有意に増加し、この増加はCOでのマウスの治療によって75%まで減少した。選択的iNOSインヒビターであるL-Nil(50μM)の存在下での筋層抽出物のインキュベーションによって類似の応答の減少が認められ、iNOSが手術で誘導されたNO産生の増加の供給源であることを示す。
【0114】
図14A〜14Dは、COX-2発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。図は、IM誘導性COX-2発現の一過性プロフィールを示す。経時変化分析により、手術から3時間後および6時間後にCOX-2遺伝子発現が8〜10倍に増加し、24時間上昇したままであることが示された(図14A)。CO治療では、3時間後または6時間後の遺伝子発現に影響を与えなかった(図14B)。非手術対照マウスによるCO吸入自体によって、手術から3時間後にCOX-2メッセージの比較的小さく2.5倍誘導された(図14C)。COX-2活性のマーカーとして、手術から24時間後に採取された筋層抽出物からのPGE2放出を測定した(図14D)。PCRデータと一致して、CO吸入のみおよび腸操作は共にPGE2放出を有意に増大させた。特にPGE2に関して、操作マウスのCO治療ではこのプラスタノイドのIM誘導性放出に影響を与えなかった。
【0115】
抗炎症性遺伝子発現
IL-10は、胃腸管における重要な保護効果および抗炎症効果を有する多面性サイトカインである。図15A〜15Cは、IL-10に対するCO吸入の効果を示す。図は、IL-10発現の長期プロフィールを示す。手術から3時間後および6時間後、腸操作に応答し、対照と比較して遺伝子発現は12倍になった。その後発現は減少したが、対照発現と比較して24時間を通して約4倍に上昇したままであった(図15A)。3時間後のCO治療操作マウスでは、IL-10遺伝子発現は、対照と比較して43倍に増加し、操作のみよりも300%応答した(図15B)。対照マウスでは、CO吸入のみでIL-10発現の有意な増加の誘導に十分であった(図15C)。
【0116】
HO-1遺伝子発現に対するCO吸入の効果も評価した。図16A〜16Bは、HO-1発現に対するCO吸入の効果を示す。図16Aは、手術から3時間後および6時間後のIM誘導性遺伝子発現(図7Dを参照のこと)をCOで治療した操作マウスのそれと比較する。CO吸入によって、手術から3時間後のHO-1遺伝子発現も操作のみでのレベルよりも300%増加した(図16B)。この場合、非手術対照マウスによるCOのみの吸入により、小さいが有意なHO-1発現の増加が誘導されたが、これは6時間のみで認められる。
【0117】
本実施例は、低濃度のCO(250ppm)の吸入により、術後イレウスを特徴付ける腸運動障害を有意に軽減するというインビボおよびインビトロでの証拠を提供する。データは、COが遺伝子発現およびタンパク質発現レベルで炎症および抗炎症経路の特定の要素を選択的に調整して腸機能を有意に改善するように作用することができることを示す。
【0118】
術後イレウスは、現在、開腹手術手段の事実上避けられない結果であり、短期間の無緊張症から数日間持続し得る重症麻酔性イレウスの範囲であり得る。麻酔性イレウスは、有意に罹患およびしばしば死亡する腸の鬱血、細菌の過剰増殖、および流動物電解質の不均衡によって特徴付けられる。吸入によるマウスへのCOの曝露により、操作によって誘導された自発的輪走平滑筋収縮の抑制が改善され、コリン作動性アゴニストに応答して収縮する筋肉の能力が回復し、腸通過障害が有意に減少された。この収縮機能全体の改善は、炎症性細胞浸潤物を有意に減少させることなく達成され、COが白血球漸増に関連するもの以外の炎症カスケードの要素に影響を与えることが示唆される。炎症カスケードに対する効果を評価するために、炎症性および抗炎症性メディエーター遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRによって評価した。
【0119】
炎症性サイトカインIL-6およびIL-1のレベルの増加は、ヒトおよび動物の急性および慢性腸炎(術後イレウスが含まれる)の間に一貫して発現する。IL-6は、種々の細胞型の化学誘引物質および接着分子の合成の誘導を活性化し、それにより白血球の漸増および腸筋層への管外遊出の開始に中心的な役割を果たす。この実施例では、CO吸入では手術から3時間後および6時間後に測定された初期の手術により誘導されたIL-6遺伝子発現の増加は変化せず、炎症性細胞浸潤物の規模に対する効果の欠如と一致することが見出された。しかし、手術から24時間後に決定した単離腸筋層からのIL-6タンパク質放出は、COで治療したマウスにおいて5000pg/mlから2000pg/mlまで60%減少し、COはIL-6発現に対する転写後効果を有することが示唆される。この維持されたタンパク質放出レベルは、ナイーブ対照(150pg/ml)と比較してさらに顕著に上昇し、このうちの何がIL-6炎症シグナル伝達に対して影響を与え得るか評価することは困難であった。しかし、最近の研究で、IL-6もまた重要な抗炎症性を有し得ることが示され、IL-6発現の継続は一定の保護経路の誘導に必要であることが示唆される。これらには、潜在的に、TNF-α、IL-1β、およびマクロファージ炎症性タンパク質-2の産生を阻害し、IL-1受容体アンタゴニストおよびTNF可溶性受容体レベルをインビトロで増加させる能力が含まれる。したがって、IL-6媒介性炎症経路の抑制および炎症カスケードの後期段階でのIL-6媒介性抗炎症経路の開始は、手術から24時間後で認められた腸収縮の改善に寄与し得る。
【0120】
術後イレウスにおいてIL-1βが果たす役割はあまり特徴付けられていないが、内因性IL-1βは、コリン作動性アンタゴニストおよび電気刺激に対するラット腸平滑筋の収縮反応を阻害することが示され、ニューロン経路の変化による阻害効果の発揮が示唆される。さらに、IL-1活性の免疫中和によってマウスイレウスモデルの疾患の重症度が非常に減少し、このサイトカインは腸炎症開始において重要な役割を果たすことを示す。COで治療した操作マウスでは、IL-1β遺伝子発現が顕著に減少し、手術から6時間後に手術によって誘導された遺伝子発現が75%減少し、24時間後に測定したタンパク質発現の減少に相当する。したがって、IL-1βの炎症活性および神経筋装置に対するその潜在的阻害効果が顕著に軽減すると予想される。まとめると、これらの所見により、白血球漸増から独立しているか白血球漸増後に起こるIL-6およびIL-1β媒介炎症カスケード内の選択的要素を標的する機構によってCO吸入の保護効果が少なくとも一部で得られることが示唆される。
【0121】
CO治療マウスで浸潤白血球数は変化しないにもかかわらず、サイトカインデータは、古典的に白血球を生成するサイトカインのCO依存性機能阻害が存在することを示した。したがって、COによる阻害のためのさらなる標的としての白血球由来の動力学的に活性な平滑筋メディエーターであるNOおよびPGE2の調整を調査した。COX-2によって産生されたプロスタノイドおよびiNOSによって産生された一酸化窒素が腸平滑筋収縮性に対して強力な阻害効果を有し、COX-2酵素の阻害または白血球由来のiNOS遺伝子の選択的ノックアウトにより術後イレウスの発症に対する耐性が顕著に増大することが示された。本実施例では、iNOSおよびCOX-2遺伝子発現試験により、これら両方が腸操作後に有意に増大することが明らかとなった。手術によって誘導されたiNOS遺伝子発現およびNO産生の増加は、CO治療動物において約75%減少し、COは遺伝子転写レベルでiNOS発現を調整するように作用することができることが示唆される。iNOS活性ならびにNOSの内皮およびニューロンのイソ型をおそらくNOSタンパク質上に存在するヘム部分へのCOの結合によりCOによって直接阻害することができることもインビトロで示された。まとめると、遺伝子発現および/または酵素活性の減少の結果としてのNO放出の減少は、CO吸入によって誘導された腸機能改善に有意に寄与すると予想される。iNOSと対照的に、手術から24時間後に採取したインキュベートした筋層の培養培地で測定したところ、CO吸入は手術によって誘導されたCOX-2mRNA発現またはPGE2放出に影響を与えなかった。興味深いことに、ナイーブマウスによるCO吸入により、手術から3時間後にCOX-2mRNA発現が2.5倍に増加し、これは24時間後のPGE2放出の増加に対応する。COによるCOX-2の誘導は以前に報告されているが、この活性の増加の機能的因果関係は未知である。CO治療対照マウスは機能障害や炎症性メディエーターの増大を示さず、この例では、COX-2の誘導は炎症能力を発揮しないことが示唆される。
【0122】
CO吸入の劇的効果の1つは、抗炎症経路に関連する遺伝子(IL-10およびHO-1)の発現に対してであった。腸操作後に両遺伝子が誘導されている間、CO治療操作マウスで発現が300%増加した。この増加は、手術から3時間後に認められたが、6時間後には認められず、CO曝露によりこれらの遺伝子が初期に誘導されることが示唆され、この概念は、ナイーブ動物によるCO吸入のみによりIL-10およびHO-1が有意に誘導されることを示す結果によって支持される。術後イレウスにおいてこれらのメディエーターによって果たされる役割は、以前には特徴付けられていなかった。しかし、IL-10は、リンパ系細胞および骨髄性細胞に対して広範な生物学的効果を有する多面性サイトカインである。その公知の機能の1つは、炎症メディエーターの産生を阻害する能力(腫瘍壊死因子α(TNFα)、IL-6、IL-1、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子の産生および活性化単球/マクロファージによる一酸化窒素の生成が含まれる)である。最近、IL-10が、L-アルギニンの細胞取り込みおよびiNOS自体の触媒活性の拮抗によってLPS刺激マウスマクロファージによるNO産生を阻害し、それにより腸平滑筋に対するNOの阻害効果の軽減に潜在的に寄与することが見出された。さらに、種々の急性および慢性炎症状態においてHO-1媒介経路の誘導は重要な抗炎症効果および細胞保護効果を有することが明らかになりつつある。現在、これら2つのメディエーターの発現が相互関係を有することが示唆される証拠が存在する。公開された所見は、COへの曝露によりIL-10遺伝子発現およびLPS刺激マクロファージからのタンパク質放出が増加することを示している。より最近では、内因性IL-10がマウスマクロファージにおいてHO-1を誘導し、HO-1誘導はリポ多糖誘導性TNFα産生に対するIL-10の阻害効果に必要であることが見出された。HO-1の初期誘導により、外因的に適用したガスの効果に寄与すると予想される内因性COの生成が増加させることができる。さらに、HO-1活性は、ビリベルジンおよびビリルビンのレドックスサイクルを介したフリーラジカルの捕捉に寄与する細胞保護性および抗酸化性を有する。したがって、IL-10産生の増加およびHO-1活性の増大は、炎症メディエーター発現の下方制御、COの組織利用可能性の増大、およびフリーラジカルストレスからの保護によってその発症初期の炎症カスケードの抑制に合わせて作用する。
【0123】
まとめると、本明細書に示したデータにより、炎症経路および抗炎症経路内の選択要因のターゲティングによってCO吸入の保護効果が得られることが示唆される。COは、遺伝子発現レベルおよびタンパク質発現レベルの両方で作用し、IL-10およびHO-1を誘導し、IL-1βを下方制御し、iNOSを阻害するようである。まとめると、これらの効果により、腸筋層内の手術によって誘導された炎症応答が調整され、術後機能が改善される。
【0124】
実施例3
COによりマウスおよびブタにおける小腸の手術操作に関連するイレウスの発症が抑制される
イレウスは、小腸の穏やかな操作によってマウスで誘導される。切開によりマウスの腹腔を露呈させ、小腸の突き出し(poking)および突き刺し(prodding)によって腸を操作した(例えば、Schwarzら、Gastroenterology 121(6):1354-1357(2001)を参照のこと)。その後切開部を閉じ、24時間後に分析を行った。腸操作直前の1時間前および24時間の回復期間中にマウスを吸入によってCOに曝露した(250ppmおよび500ppm)。腸収縮を、ベタニコール(0.3〜300μM)に応答する輪走筋ストリップ収縮の測定によるインビトロならびに経口投与したフルオレセイン標識デキストランの分布および上記実施例1に記載の幾何学中心の計算からの腸通過の決定によるインビボで評価した。実施例1に記載の筋層外側の抽出物由来のSYBRグリーンリアルタイムRT-PCRによってHO-1およびIL-10 mRNA発現を決定した。一酸化窒素(平滑筋収縮の強力なインヒビター)の放出を、上記実施例1にも記載の総血清亜硝酸塩の測定によって評価した。
【0125】
ベタニコール(100μM)に応答して得られたピーク収縮力は、対照(2.2±0.5g/s/mm2)と比較してIMによって有意に減少した(1.1±0.2g/s/mm2)。収縮性のIM誘導性抑制は、IM+COマウスで防止された(1.9±0.5g/s/mm2)。CO治療マウスで腸通過も改善された(幾何学中心:対照=11.0±0.5、IM=2.7±0.2、IM+CO=6.3±0.8)。RT-PCRデータは、IMによって対照に対してIMから3時間後にピークHO-1発現(6時間後に45倍)ならびにIL-6発現(300倍)およびIL-10発現(13倍)の有意な増加が誘導されることを示した。IM-COマウスでは、HO-1発現がより早くピークに達するほど(IMから3時間後)、対照に対して発現レベルがより高かった(150倍)。IM-COマウスにおいて3時間後のIL-10発現も高かった(35倍)。血清亜硝酸塩は、対照(2.4±1.0μM)と比較してIM後に増加し(18.3±3.6μM)、IM-CO後に減少した(6.0±1.6μM)。
【0126】
したがって、COにより抗炎症性サイトカインIL-10の誘導およびNO産生の減少を含み得る機構を介してインビトロおよびインビボで手術によって誘導された腸運動障害が軽減される。HO-1の初期誘導(IMのみよりも発現が300%増加)により、COの利用可能性が増大し、その抗炎症効果が増大する。
【0127】
ブタモデルにおいて類似の実験を行った。穏やかな小腸操作(IM)によってイレウスが誘導された。ブタを、IMの3時間前にCO(250ppm)または空気(対照)に曝露した。胃腸管機能を、小腸内に存在する鋼球ベアリングの腸通過の観察によってインビボで評価した。COは、腸操作後に腸通過を改善することが見出された。
【0128】
実施例4
側腹切開の3時間前の低濃度CO(250〜75ppm)の前治療により、術後イレウスの発症から保護される
本実施例は、低濃度のCOの短期間送達により術後イレウスの発症から保護されることを証明する。
【0129】
穏やかな小腸操作(IM)によってイレウスを誘導した。側腹切開の1時間前または3時間前にラットに漸減濃度のCO(250ppm、125ppm、75ppm、30ppm)を含む空気を曝露した(n=6)。結果を、前に確立したCO曝露プロトコール(側腹切開の1時間前および24時間後に250ppm)を使用して得られた結果と比較した。経口投与したフルオレセイン標識デキストランのGI管全体の分布由来の腸通過の決定によって胃腸機能をインビボで評価した。幾何学的中心(GC)の計算によって、統計比較のための標識デキストラン分布の中央値を決定した。
【0130】
非手術対照と比較して手術操作を受けたラットで幾何学的中心は有意に減少し(GC:対照=9.8±0.2、IM=5.8±0.4)、腸通過の有意な遅延が示された。非手術ラットの24時間の250ppmの曝露により腸通過が僅かに遅延したにもかかわらず(GC:8.8±0.4)、1時間の前治療および治療から24時間後の250ppmのCOにより、手術操作を受けたラットの腸通過が有意に改善された(GC:8.2±0.4)。手術1時間前のみの250ppmでの操作ラットの前治療では、手術によって誘導された通過阻害の防止にあまり有効ではないが(GC:7.2±0.3)、3時間の前治療により24時間治療で達成された効果と等価な効果が得られた(GC:8.6±0.3)。125ppmおよび75ppmほどの低さの濃度での前治療によって類似の改善が得られた(それぞれ、GC:8.6±0.4および8.8±0.1)。CO濃度を30ppmにさらに減少させた場合に、この保護効果は減少した(GC:7.0±0.2)。
【0131】
本実施例は、術後イレウスの発症からの保護の利点を完全に得るためにCOへの長期曝露は必要ないことを証明する。前手術期間中の麻酔ガスへの低濃度のCOの組み込みにより、感受性の高い患者におけるイレウスの軽減を補助し、それにより術後の回復が加速し、入院期間が短くなる浸潤性が最小の技術を得ることができる。
【0132】
実施例5
イレウスの治療プロトコール
以下の実施例は、手術手順(例えば、移植(例えば、SITx)または非移植手順(例えば、イレウスが発症し得る手順))の前、途中、および/または後に患者の治療で使用するためのプロトコールを示す。実施例には、移植手順でCOを使用したイレウス(例えば、移植および非移植手順に起因するイレウス)の治療プロトコール、ドナー、胃腸管、またはその一部(例えば、小腸)、およびレシピエントのさらなる治療プロトコールが含まれる。1つまたは複数の任意の以下の手順を、所与の手術手順で使用することができる。
【0133】
患者の治療
患者に手術手順を行う前、途中、および/または後または患者がイレウス(例えば、手術または手術に関連しない状態に起因するイレウス)と診断された後にCOを患者に全身または局所投与することができる。10ppm〜1000ppmの濃度範囲(例えば、約100ppm〜約800ppm、約150ppm〜約600ppm、または約200ppm〜約500ppm)のCOを患者に吸入させることができる。好ましい濃度には、例えば、約30ppm、約50ppm、約75ppm、約100ppm、約125ppm、約200ppm、約250ppm、約500ppm、約750ppm、または約1000ppmが含まれる。COを断続的または連続的に患者に投与することができ、手順の0〜20日前に開始することが好ましい(例えば、手順の少なくとも約30分前(例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約5時間、約7時間、または約10時間前、または約1日、約2日、約4日、約6日、約8日、約10日、約12日、約14日、約18日、または約20日前、または20日以上前)に開始する)。代替的にまたはさらに、例えば、吸入および/または局所投与によって手順中に患者にCOを投与することができる。あるいはまたはさらに、手順後に患者にCOを投与することができる(例えば、手順完了直後から開始し、約1時間、約2時間、約5時間、約7時間、または10時間または約1、約2日間、約5日間、約8日間、約10日間、約20日間、約30日間、約50日間、または約60日間、無期限、または手順完了後正常な腸運動性が回復するまで継続する)。
【0134】
移植手順
ドナーの治療
器官またはその一部の採取前に、ドナーを一酸化炭素吸入(250ppm)で1時間治療することができる。1〜6時間または脳死(死体)ドナーを治療することが可能となる時点から器官を取り出す時間までの全期間の範囲で10ppm〜1000ppmの用量で治療薬を投与することができる。ヒトドナーのために、脳死告知後できるだけ早く治療を開始すべきである。いくつかの適用では、脳死前に治療を開始することが望ましい可能性がある。
【0135】
異種移植ドナーとして使用される非ヒト動物(例えば、ブタ)のために、所望する場合、生成されたカルボキシヘモグロビンが移植すべき器官の生存および機能を脅かさない限り、生きたドナー動物を比較的高レベルの一酸化炭素吸入で治療することができる。例えば、500ppmを超えるレベル(例えば、1000ppmまたはそれ以上および10,000ppmまで(特に、短時間))を使用することができる。
【0136】
器官のインサイチュー治療
器官をドナーから採取する前に、ドナー中に存在する間に器官を溶液(例えば、緩衝液または媒質)でフラッシングまたは灌流することができる。一酸化炭素を満たした溶液で器官をフラッシングし、一酸化炭素含有率が充填状態に維持されるように一酸化炭素ガス体中で維持することを意図する。少なくとも10分間(例えば、1時間、数時間、またはそれ以上)フラッシングすることができる。溶液は、理想的には、器官の細胞に対してできるだけ高濃度の一酸化炭素を送達すべきである。
【0137】
器官のエクスビボ治療
小腸などの器官を、ドナーから取り出した時点からレシピエントに移植されるまでの時間一酸化炭素を含む媒質に保存することができる。COを含む媒質中の器官の維持またはこのような媒質での灌流によってこれを行うことができる。動物中よりもむしろエクスビボでこれを行うので、COを充填した媒質を維持するために、非常に高濃度(例えば、10,000ppm)のCOガスを使用することができる。
【0138】
レシピエントの治療
移植日の手術開始の少なくとも30分前にCOでのレシピエントの治療を開始することができる。または、レシピエントの器官の再灌流の少なくとも30分前に開始することができる。少なくとも30分間(例えば、1時間)持続することができる。10ppm〜3000ppmの間の一酸化炭素用量を、種々の時間(例えば、数分または数時間)で送達させることができ、移植日および移植から数日後に投与することができる。例えば、一定濃度(例えば、3000ppm)の一酸化炭素を1回の呼吸に付き10秒間保持する呼吸を3回連続して行うことにより患者に吸入させることができる。または、呼吸を保持するよりもむしろ規則正しく呼吸することによって長期間断続的または連続して低濃度のガスを送達させることができる。患者への一酸化炭素の適切な投与のガイドとしてカルボキシヘモグロビン濃度を使用することができる。通常、レシピエントの治療により、移植を必要とする患者の許容可能なリスクを引き起こすと考えられるレベルを超えたカルボキシヘモグロビンレベルに上昇すべきではない。
【0139】
本発明は詳細な説明と組み合わせて記載されているが、上記説明は本発明の例示を目的とし、本発明の範囲を制限せず、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義されると理解すべきである。他の局面、利点、および修正形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】小腸移植(SITx)および自発性およびベタニコール刺激小腸輪走筋収縮性に対するCO治療の効果を示す線グラフである。黒三角=対照;白菱形=対照+CO;X=SITx;黒四角=SITx+CO。
【図2A】対照動物(SITxに供していない動物)の腸通過に対するCOの効果を示す棒グラフである。黒塗りのバー=対照;ストライプのバー=対照+CO(250ppm);stom=胃;sb=小腸。
【図2B】SITxを受けた動物の腸通過に対するCOの効果を示す棒グラフである。黒塗りのバー=SITx;ストライプのバー=SITx+CO(250ppm);stom=胃;sb=小腸;およびcol=結腸。
【図2C】COによってSITxを受けたラットの腸通過が有意に改善されたことを示す棒グラフである。グラフは、計算した通過の幾何学的中心(geometric center)の測定値の計算をまとめている。対照=空気に曝露した対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;SITx=SITxを受け、空気に曝した動物;SITx+CO=SITxを受け、COに曝した動物。
【図3】SITx後の腸筋層への白血球漸増に対するCOの効果を示す棒グラフである。対照=空気に曝露した対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;SbTx=SITxを受け、空気に曝した動物;SbTx+CO=SITxを受け、COに曝した動物。
【図4A】RNアーゼ保護アッセイによって測定した、SITx後の種々の測定点での粘膜および筋層におけるIL-6 mRNA発現を示す線グラフである。黒四角=筋肉;白丸=粘膜。
【図4B】RNアーゼ保護アッセイによって測定した、SITx後の種々の測定点での粘膜および筋層におけるIL-1β mRNA発現を示す線グラフである。黒四角=筋肉;白丸=粘膜。
【図5】リアルタイムRT-PCR分析によって測定した、再灌流から4時間後の腸移植片の筋層外側における一酸化窒素シンターゼ(iNOS)、IL-6、IL-1β、およびIL-10発現に対するCOの効果を示す棒グラフを示す。正常=空気に曝露した対照動物;正常+CO=COに曝露した対照動物;SITx=SITxを受け、空気に曝露した動物;SITx+CO=SITxを受け、COに曝露した動物。
【図6】再灌流から1時間後(SITx+CO(1時間))および4時間後(SITx+CO(4時間))に測定した、SITxを受けた動物における血清IL-6濃度および硝酸塩/亜硝酸塩濃度に対するCOの効果を示す棒グラフである。正常=空気に曝露した対照動物;正常+CO=COに曝露した対照動物;SITx(1時間)およびSITx(4時間)=再灌流からそれぞれ1時間後および4時間後に測定したSITxを受けた動物。
【図7A】リアルタイム2工程RT-PCR分析を使用して決定した、筋層抽出物におけるHO-1発現に対する腸操作(IM)の効果を示す棒グラフである。サンプルを、側腹切開から3時間後(IM3時間)、6時間後(IM6時間)、12時間後(IM12時間)、および24時間後(IM24時間)に分析した。術後3〜6時間でHO-1発現がピークになった。データは、対照±SEM(n=6)と比較した平均増加倍率を示す。P=0.001;**P=0.0001。
【図7B】IM後に筋層に浸潤した多形核白血球におけるHO-1様免疫反応性を示す筋層のホールマウントの写真である。
【図7C】IM後に筋層に浸潤したマクロファージ様細胞におけるHO-1様免疫反応性を示す筋層のホールマウントの写真である。
【図7D】IM後に筋層に浸潤した顆粒球含有細胞におけるHO-1様免疫反応性を示す筋層のホールマウントの写真である。画像の下半分の不明瞭な免疫蛍光部位は、焦点面の真下の細胞である。
【図7E】対照動物の筋層におけるHO-1様免疫反応性の欠損を示す筋層のホールマウントの写真である。
【図8A】IMに供していないマウスにおける腸通過に対するCO吸入(24時間曝露)の効果を示す棒グラフである。stom=胃;sb=小腸;およびcol=結腸。黒塗りのバー=COに曝露していない動物;ストライプのバー=COに曝露した動物。大部分の蛍光シグナルは、盲腸および近接結腸に局在している。
【図8B】IMに供したマウスにおける腸通過に対するCO吸入(24時間曝露)の効果を示す棒グラフである。stom=胃;sb=小腸;およびcol=結腸。黒塗りのバー=COに曝露していない動物;ストライプのバー=COに曝露した動物。IM後、通過は有意に遅延する。CO吸入により、標識デキストランがより遠位に分布した(IM-CO)。
【図8C】幾何学的中心(GC)の計算結果を示す棒グラフである。数値が高いほど標識デキストランがより遠位に分布していることを示す。対照=対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;IM=IMに供した動物;IM+CO=IMに供し、CO曝露した動物。*IM群では、対照と比較してGCが顕著に減少した。P<0.0001;n=6。†CO吸入(IM+CO)により、IMと比較してGCが有意に増加した。P=0.001;n=6。
【図9A】自発収縮活性に対するCOの効果を示す代表的軌跡を示す図である。対照:手術していないマウスに特徴的な律動性収縮。対照+CO:対照マウスによる24時間の一酸化炭素(CO)吸入は、自発的収縮性に対する効果は無かった。IM:小腸の手術後に律動性収縮は失われる。IM+CO:COで処置した操作動物において律動性が回復する。
【図9B】IMに供していない動物由来の環状平滑筋ストリップにおける緊張性収縮の大きさに対するCOの効果を示す線グラフ(用量応答曲線)である。漸増濃度のベタニコール(0.1〜300μmol/L)へのストリップの曝露によって収縮が誘導された。対照動物によるCOの吸入は、ベタニコール誘導性収縮活性に影響を与えなかった。黒四角=対照;黒三角=対照+CO。
【図9C】IMに供した動物由来の環状平滑筋ストリップにおける緊張性収縮の大きさに対するCOの効果を示す線グラフ(用量応答曲線)である。漸増濃度のベタニコール(0.1〜300μmol/L)へのストリップの曝露によって収縮が誘導された。ベタニコールに反応して収縮する環状筋の能力は、IM後に有意に損なわれた。CO吸入により、収縮活性が対照レベルに回復した(IM+CO)。黒四角=IM;黒三角=IM+CO。
【図10】対照マウスおよび腸操作(IM)後の腸筋層に浸潤したミエロペルオキシダーゼ(MPO)陽性白血球数に対するCOの吸入効果を示す棒グラフである。対照=対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;IM=IMに供した動物;IM+CO=IMに供し、COに曝露した動物。データを、平均±SEMとして示す。*P<0.0001;n=4。
【図11A】IL-6 mRNA発現の経時時間に対する外科麻酔およびIMの効果のリアルタイム2工程RT-PCRの分析結果を示す棒グラフである。サンプルを、3時間後(IM3時間)、6時間後(IM6時間)、12時間後(IM12時間)、および24時間後(IM24時間)に分析した。術後3〜6時間で発現がピークになった。データを、平均±SEMとして示す。対照と比較してP<0.0001。
【図11B】手術から3時間後(IM+CO 3時間)および6時間後(IM+CO 6時間)のIL-6 mRNA発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。IM 3時間およびIM 6時間=それぞれ3時間後および6時間後のIM対照動物。データを、平均±SEMとして示す。
【図11C】手術から24時間後に採取した筋層抽出物からのIL-6タンパク質放出に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。IL-6タンパク質放出は、CO吸入によって有意に弱められた。対照=対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;IM=IMに供した動物;IM+CO=IMに供し、CO曝露した動物。データを、平均±SEMとして示す。対照と比較してP<0.0001;†IMと比較してP=0.001;n=6。
【図12A】IL-1β mRNA発現の経時時間に対する外科麻酔およびIMの効果のリアルタイム2工程RT-PCRの分析結果を示す棒グラフである(腸操作(IM)後のmRNA発現)。サンプルを、3時間後(IM3時間)、6時間後(IM6時間)、12時間後(IM12時間)、および24時間後(IM24時間)に分析した。術後6時間で発現がピークになった。データを、平均±SEMとして示す。P=0.001および対照と比較して**P<0.0001、n=6。
【図12B】手術から3時間後(IM+CO 3時間)および6時間後(IM+CO 6時間)のIL-1β mRNA発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。COにより、ピークIL-1β mRNA発現が有意に阻害された。IM 3時間およびIM 6時間=それぞれ3時間後および6時間後のIM対照動物。データを、平均±SEMとして示す。IM6時間と比較してP=0.001、n=6。
【図12C】手術から24時間後に採取した筋層抽出物からのIL-1β放出に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。IL-1βタンパク質放出は、CO吸入によって有意に弱められた。対照=対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;IM=IMに供した動物;IM+CO=IMに供し、CO曝露した動物。データを、平均±SEMとして示す。ND=検出されず。対照と比較してP=0.001;†IMと比較してP=0.001;n=6。
【図13A】iNOS mRNA発現の経時時間に対する外科麻酔およびIMの効果のリアルタイム2工程RT-PCRの分析結果を示す棒グラフである。サンプルを、3時間後(IM3時間)、6時間後(IM6時間)、12時間後(IM12時間)、および24時間後(IM24時間)に分析した。術後6時間で発現がピークになった。データを、平均±SEMとして示す。P=0.001および**対照と比較してP<0.0001、n=6。
【図13B】手術から3時間後(IM+CO 3時間)および6時間後(IM+CO 6時間)のiNOS mRNA発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。IM 3時間およびIM 6時間=それぞれ3時間後および6時間後のIM対照動物。データを、平均±SEMとして示す。†IM6時間と比較してP=0.001、n=6。
【図13C】手術から24時間後に採取した筋層抽出物からの総亜硝酸塩放出に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。iNOS活性の指標として総亜硝酸塩放出を決定した。CO吸入によって操作筋層からの手術によって誘導された亜硝酸塩放出が有意に阻害された。選択的iNOSインヒビターであるL-Nil(30μM;IM+L-Nil)の存在下での筋層抽出物のインキュベーションによって、亜硝酸塩が同様に減少した。対照=対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;IM=IMに供した動物;IM+CO=IMに供し、CO曝露した動物。対照と比較してP=0.001;†IMと比較してP=0.001;n=6。データを、平均±SEMとして示す。
【図14A】COX-2 mRNA発現の経時時間に対する外科麻酔およびIMの効果のリアルタイム2工程RT-PCRの分析結果を示す棒グラフである。サンプルを、3時間後(IM3時間)、6時間後(IM6時間)、12時間後(IM12時間)、および24時間後(IM24時間)に分析した。術後3〜12時間で発現がピークになった。データを、平均±SEMとして示す。P=0.01;**対照と比較してP=0.0001、n=6。
【図14B】手術から3時間後(IM+CO 3時間)および6時間後(IM+CO 6時間)のCOX-2 mRNA発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。IM 3時間およびIM 6時間=それぞれ3時間後および6時間後のIM対照動物。データを、平均±SEMとして示す。
【図14C】対照動物によるCO吸入によって処置から3時間後(CO 3時間)にCOX-2 mRNA発現が有意に増大したことを示す棒グラフである。CO6時間=処置6時間後の発現。データを、平均±SEMとして示す。P=0.01。
【図14D】手術から24時間後に採取した筋層抽出物からのPGE2タンパク質放出に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。COX-2活性の指標としてPGE2タンパク質放出を決定した。CO吸入によって対照筋層からのタンパク質放出が有意に増加するが、操作筋層からの手術によって誘導されたPGE2放出の増加には効果は無かった。対照=対照動物;対照+CO=COに曝露した対照動物;IM=IMに供した動物;IM+CO=IMに供し、CO曝露した動物。データを、平均±SEMとして示す。対照と比較してP=0.01および**P=0.0001;n=6。
【図15A】IL-10 mRNA発現の経時時間に対する外科麻酔およびIMの効果のリアルタイム2工程RT-PCRの分析結果を示す棒グラフである。サンプルを、3時間後(IM3時間)、6時間後(IM6時間)、12時間後(IM12時間)、および24時間後(IM24時間)に分析した。術後3〜6時間で発現がピークになった。データを、平均±SEMとして示す。対照と比較してP≦0.001;n=6。
【図15B】手術から3時間後(IM+CO 3時間)および6時間後(IM+CO 6時間)のIL-10 mRNA発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。COの吸入により、術後3時間後にIL-10メッセージは増加するか、6時間後では増加しなかった。IM 3時間およびIM 6時間=それぞれ3時間後および6時間後のIM対照動物。データを、平均±SEMとして示す。†IM3時間と比較してP=0.001;n=6。
【図15C】対象動物によるCO吸入によって処置から3時間後(CO 3時間)および6時間後(CO 6時間)にIL-10 mRNA発現が有意に増大したことを示す棒グラフである。データを、平均±SEMとして示す。対照と比較してP≦0.001;n=6。
【図16A】術後3時間および6時間(IM)のHO-1 mRNA発現の経時時間に対する外科麻酔およびIMの効果のリアルタイム2工程RT-PCRの分析結果を示す棒グラフである。CO吸収により、手術から3時間後(IM+CO 3時間)にHO-1 mRNA発現は有意に増大したが、6時間後(IM+CO 6時間)では増大しなかった。IM 3時間およびIM 6時間=それぞれ3時間後および6時間後のIM対照動物。†IM3時間と比較してP<0.001;n=6。
【図16B】処置から3時間後(CO 3時間)および6時間後(CO 6時間)のHO-1 mRNA発現に対するCO吸入の効果を示す棒グラフである。対照動物によるCO吸入によって処置から6時間後にHO-1 mRNA発現が増大した。対照と比較してP<0.05;n=6。
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> University of Pittsburgh of the Commonwealth
System of Higher Education
<120> METHODS OF TREATING ILEUS
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<223> Synthetically generated oligonucleotide
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acggtatctg atcgtcttcg aacc 24

Claims (10)

  1. 患者のイレウスを治療または予防するための薬学的組成物を調製するための、一酸化炭素の使用。
  2. イレウスが、小腸のイレウス、結腸のイレウス、または胃のイレウスである、請求項1記載の使用。
  3. イレウスが、術後のイレウスまたは分娩後のイレウスである、請求項1記載の使用。
  4. 患者が、泌尿生殖器系の手術、消化器系の手術、リンパ系の手術、呼吸器系の手術、横隔膜の手術、癌治療のための手術、子宮内膜手術、または整形外科手術に起因するイレウスに罹患しているかまたはそのリスクを有している、請求項1記載の使用。
  5. イレウスが手術に起因しない、請求項1または2記載の使用。
  6. 薬学的組成物が、患者に、経口的に、吸入により、または患者の腹腔に直接的に投与される、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用。
  7. 薬学的組成物が気体形態である、請求項1〜6のいずれか一項記載の使用。
  8. 薬学的組成物が液体形態である、請求項1〜6のいずれか一項記載の使用。
  9. 薬学的組成物が、患者による吸入に適した、一酸化炭素ガスを含むガス体である、請求項1記載の使用。
  10. 患者がヒトである、請求項1〜9のいずれか一項記載の使用。
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